質問「高速増殖炉もんじゅ事故について

(平成7年12月27日参議院科学技術特別委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 最初にお断り申し上げなければなりませんが、私自身素人ですし、起きたばかりという表現が適切かどうかわかりませんが、事故が起きてから間もなく、原因究明中ということで、若干報道等による推測の部分もあろうかと思いますけれども、現時点での皆様方関係者の判断といいますか、そういったものを中心にお聞かせ願いたいと思います。
  まず、理解の前提といたしまして、このナトリウム冷却炉といいますか、そのことに対して、私の理解では、もう最初の時点からこの様式の原子炉というものは実用化を目指していた。古くもう四十年も前から計画されていたんだけれども、要するに、ナトリウムのハンドリングの問題でいまだに実用化されていないと申しますか、ほとんどの国が経済性も含めて撤退して、我が国とフランス、それからロシアがやっている程度だということの理解でよろしいのかどうか、伺いたいと思います。

○説明員(岡崎俊雄君) 先生御指摘のとおり、高速増殖炉の冷却材としての求められる要件というのは、現在、通常の原子力発電所で求められております水に比べて幾つかのやはり特色を持っていなければならない、そういう要請がございます。
  そういう観点から、ナトリウムというものがすぐれているという観点から、国際的にもこのナトリウムを冷却材とします高速増殖炉の開発に各国とも取り組んできているという事情は先生の御指摘のとおりでございます。
○山崎力君 ということよりも、それが非常に難しくて撤退が相次いでいる、それで我が国が中心となって現時点においてやっていると。ロシアの情報開示の問題はありますけれども、そういった点で、ナトリウムがなぜそういうふうに各国が撤退するような形の難しい冷却材であるのかという点を簡単に御説明願えればという趣旨でございます。
○説明員(岡崎俊雄君) 御指摘のとおり、ナトリウムというのは大変すぐれた性質を持っておる反面、今回の事故からもおわかりいただけますとおり、空気であるとかあるいは水と反応しました場合には大変激しい反応をする場合もございます。したがいまして、このナトリウムを取り扱うには大変注意を要する、あるいは大変高度な技術も要することではございます。
  したがいまして、高速増殖炉を体系的に開発するには、このナトリウムの技術をやはり克服しなければならないということは御指摘のとおりでございます。各国のこれまでの開発において、それぞれの国でこのナトリウム技術にかかわる幾つかのトラブルをもちろん経ておるわけでございますし、我が国もそのための研究開発は進めてきたわけでございます。
  したがいまして、我々もナトリウム技術をすべて完全にマスターしたという状況では決してございませんが、他面、この高速増殖炉の開発について、各国がいろんな政策の違い、あるいは放棄した国もございますけれども、むしろ直接にこのナトリウム技術の難しさと申し上げますよりは、やはり全体的な経済性であるとか、あるいは資源の状況、あるいは他のエネルギーとの競合、そういった全体の政策の中からこの高速増殖炉の開発についての各国の政策の違いというのはあらわれてきているのではないか、こういうぐあいに認識をしておるわけでございます。
○山崎力君 その中で、やはり先ほど松村先生の方からも御指摘ありましたけれども、今回の事故で私が個人的に感じたことは、非常に似ているのが新幹線の橋梁の落下であると、今までの安全神話が崩れた。しかし、反面、不幸中の幸いといいますか、漏れた箇所が非常に都合のいいといいますか被害の少ない場所であった。
  聞くところによりますと、ナトリウム管、一次冷却と二次冷却の間はパイプを通している、数ミリの金属パイプの間で一次、二次のナトリウムが接している。あるいは、蒸気発生器、水蒸気、水と同じような形で接している。そういった箇所でもしこのような事故が起きれば、片方は格納容器内でしょうし、片方はまさに一番ナトリウムが問題となる水との接触という可能性が出てくる。そういったことを考えると、今回の事故はまさに不幸中の幸いてあったという印象を持っているんですが、御認識はいかがでしょうか。

○参考人(高橋忠男君) 今、先生御指摘のように、ナトリウムが漏れ得る箇所として一次系と二次系の境目の中間熱交換器と呼ばれる部分、それからその系統の配管、及び蒸気発生器の配管、この三つは確かにございます。
  一次系と二次系の境目で漏れた場合には、二次系の方が常に圧力を高くしてございますので、二次系のナトリウムが一次系に入り込んで、放射性の一次系は二次系に出てくることはない、こういう方式にしてございます。蒸気発生器の伝熱管が破れまして水がナトリウム中に出た場合には、これはそれを早期に検出をし、また大きな水漏えいのあった場合には水素ガスが発生して圧力が上昇いたしますので、それを逃がすような設備が設けでございます。
  今回、二次系の配管あるいはその附属施設から漏れたということかと思いますけれども、確かに放射性物質あるいは水との反応という意味では、先生がおっしゃった意味では、ある意味では幸いであった。しかしながら、その周辺が空気雰囲気でございますので、それとの反応がございまして今回のような結果になってきたということでございます。
○山崎力君 今の御発言ですと、いわゆる一次系と二次系の間のパイプ破損といいますか漏れの場合は、二次系には絶対に放射性を含んだナトリウムが入ってこない、あるいは蒸気発生器の中でナトリウムが漏れても爆発的な反応はしないというふうな意味での発言でしょうか。そうでなければ、今の発言の意味がちょっと不明確だと私は思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(高橋忠男君) ちょっと言葉不足であって申しわけございませんでしたが、一次系、二次系の境目がたとえ万一破損したとしても放射性のナトリウムが二次系に漏れない、こういう仕掛けがしてあるということでございます。
  それからもう一つは、蒸気発生器の伝熱管が破れた場合に、先ほど申し上げましたような装置があり、先生ちょっとおっしゃいました爆発的な事故には至らないということを私申し上げたつもりでございます。
○山崎力君 ということは、今回の事故が考え得る最大の事故だったというふうな御認識でしょうか、このナトリウム漏れに関しては。
  私の言いたいのは、今回の事故が最低限の、いわゆる地震で新幹線の橋脚が倒れて、たまたまその時間帯に新幹線が通っていなかったからあれだけで済んだといいますか、新幹線の乗客その他に被害が出なかったということなんです。一次系と二次系の間のいわゆるパイプの破損、そういったものがもし仮にあった場合でも一次系に放射性物質を含んだナトリウムが混入することは圧力の差からあり得ない。そういった事態もあるでしょうけれども、そういった形の事故というものを想定していない、あるいは蒸気発生器内での破損によるナトリウム漏えいによる爆発的な被害を拡大するような事故というものはあり得ない、そういう認識なのかどうかということなんです。

○参考人(高橋忠男君) たびたび言葉が足りなくて恐縮でございますけれども、二次系のナトリウムにかかわるナトリウムの漏えいとしてその三ケースがあるという意味で申し上げました。そして、その三ケースとも対応がなされているということを申し上げたつもりでございます。
○山崎力君 この問題で時間を使いたくないんですけれども、その三ケースがあり得るということは前提として質問しているわけですから、そのことについての問題点、それから対応策がある程度なされているということも知っての上です。その上で、こういう事故があそこの箇所で出たことによってこれだけの大きな問題になっているんだけれども、似たような形で違った場所で出た場合、現在予想される以上の被害が出たんではないだろうかということを質問しているわけで、対応策ができているから起きないと言うんならそれで結構ですけれども、それだったらば逆に、今回の場合予想された事故だったのかどうかということを質問したくなるわけです。その点についてはいかがでしょうか。
○参考人(大石博君) 少し説明がまずいように私は思います。
  一次系というのは放射能を含んだナトリウムが循環しております。温度が高いし、放射性物質を含んだナトリウムが循環しておるということでございますので、格納容器に入れております。やはりここで何か起きると大変なことになるというので格納容器の中に一つは入っております。それから空気はありません、窒素ガス。空気には酸素があります。酸素とナトリウムと反応しないように窒素ガスを入れております。これだけやはり一次系は大事だと、安全確保を十分しなきゃいかぬということで対策をとっております。
  それから蒸気発生器、ここには水が流れております。空気とナトリウムの反応よりも水とナトリウムの反応の方が怖いわけです。したがいまして、そこはこれまでいろいろな研究開発をやり、実験をやり、これなら大丈夫ということで私ども今の構造の機器を使っておるわけですが、もし水とナトリウムとやりますと、これは激しい化学反応を起こしますから、起こした場合には圧力が上昇をして温度が上がって、爆発なんか起こさないような対応をしております。
  今回起きました二次系は、幸い放射能をナトリウムは持っておりません。したがって、ここで漏れますと、主たる反応は水ではなくて空気でございますから、酸素でございます。もちろん空気中に若干水分がありますから、その反応をします。それぞれの危険性を考慮して、それぞれのレベルの安全対策をとっておりますということを申し上げたかったわけです。
  たまたま今回は、漏えい量が全体の量から見て非常に少なかった。しかし、あれだけの少ない量が漏れても写真、テレビでごらんになりましたように大変なことでございますので、我々は今この大変な事態を反省し、対応策に懸命になっておるところでございます。申しわけございません。
○山崎力君 続いてのことですけれども、今回の事故を見ていて感じましたことは、昔からといいますか、これまでのいろいろな高速炉を取り巻くトラブルがあったにもかかわらず、事故への対応措置というものが極めて不十分であった。ナトリウム漏れというものが発生しないという前提ですべての、発生しないようにするというのは当然ですが、ということが組み立てられていたというふうに考えざるを得ない部分がございます。
  例えば、今、格納容器内は窒素充てんによって酸化防止されているとおっしゃいましたけれども、二次系に関してはそれがなされていなかった。すれば当然あのような事故にはなっていないと。
  それから、ちょっと技術的なことで一、二確認をさせていただきたいんですが、格納容器内のテレビモニターはあるのかないのか。当然、今後二次系についてもテレビモニターの設置は出てくるでしょう。それからもう一つ技術的なことですが、いわゆる三つの系統のうち一つが今回出たわけですけれども、二つの系統の室内は隔離されていて今回の影響が全然出ないのかどうか。空調等でつながっていて、ミストが流れればある程度の影響が出ようかと思うんですが、その辺はどうなっておりますでしょうか。

○参考人(高橋忠男君) 一次系の窒素雰囲気の中に監視用のテレビがあるかという件でございますけれども、原則として人が入らない領域でございますので、工業用テレビを見て監視をしております。
  二次系におきましてはA、B、C、三系統ございます。原則として、一つのループで故障が起こったときに他の系統にその影響は及ばないということを基本原則にいたしております。しかし、このナトリウムの漏えいという事故に関しましては、完全密閉装置をとっているわけではございませんので、多少のミストが飛ぶ可能性はありますが、実際上その影響は少ないと、影響は安全上差し支えないという判断をしております。
○山崎力君 そこのところで、今後の問題となった場合、今回の一番の反省材料というのは、技術的な問題はこれからいろいろ検討していかなきゃいけないし、我々にその問題点を検討しろと言っても若干無理な点がございますけれども、わかるところは、先ほど松村先生の方からも出ましたけれども、いわゆる広報体制といいますか、どのような形でどうなんだと、これを知らせるのか知らせないのか。今、理事長の方からいろいろの問題点、反省が聞かれましたけれども、若干その中で、具体的なことで教えていただきたいということがございます。
  その前提として、あれほど反省の言葉を述べて、それだけ口を酸っぱくして理事長から部下の方に言っていたにもかかわらず、今回の事故でそれが全く反映されていないことが明らかになってしまったという極めて皮肉な結果、そういった意味で理事長、非常にお立場上、今まで自分のやってきたことが部下から、言葉をきつく言えば無視されたということに対して苦渋の点もあろうかと思って、質問するのも非常に心苦しい点はあるんですけれども、あえてお伺いしたいと思います。今回の対応の責任者に対して、その責任者がどのような心理状態であのような発表をしたのかということについて、理事長として質問あるいは調査なさいましたか。

○参考人(大石博君) 私、この事故が起きてから三度現地に参りました。それまでも大体二月に一回は現地に行きまして、幹部といいますか課長さん、管理職とフリーに意見交換をやってまいりました。
  そうした中で、この事故後、事故が起きてからの建設所の幹部を見ておりまして、私が感じましたことを二、三申し上げたいと思います。
  その第一点は、この事故の後、事実関係を公表するのに非常にためらいがあったということを感じました。それはどうしてかといいますと、第一点は、「もんじゅ」というのは近くにある原子力発電所と違って国内外から非常に注目をされておるということ、そうした緊張感の中で仕事をしておるということ。二つ目は、この大型の施設で初めてナトリウムの漏えい事故を経験したと、初体験だということです。研究開発段階では随分とやっております。全部で百二十回ぐらい漏らす研究、漏らしたときに安全かどうかという研究はしておりますが、この大きな規模でナトリウムを漏らしたのは初めてだというようなこと。注目されておるということと初体験をした漏えい事故ということで、事実関係の発表をためらったという感じを持ったというふうに私は見ております。
  第二点目、これが大事なことだと思いますが、先ほど来、地元重視、地元の御理解、信頼ということを申し上げましたが、やはり情報提供の重要性に対する意識が不足をしておったということ。地元が大事であればどんどん情報を出すべきなのに、地元重視のあるいは地元の理解、信頼の重要性に対する意識が欠けておると。
  それからもう一点は、技術開発集団でございますので、社会的な面への配慮が欠けておる、こういうことを感じました。この事故の後、再三こういった面の反省をすべしということで申し上げてきたところでございます。いろんな各種情報が積極的に速やかに出ないのはこの辺に問題がある、いわゆる意識の改革をやらなきゃだめだというふうに私は今感じておるところでございます。これには、一人一人の意識改革というのは時間がかかりますが、ひとつ辛抱強くやっていきたいと思います。
○山崎力君 時間がかかるとおっしゃいましたけれども、もしそうであるならば、仮に技術的な原因究明ができても、運転再開まではそれだけの時間がかかるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○参考人(大石博君) 私は、徹底した原因究明をやり、原因がどうであったのかというところを地域の皆様方に十分御理解いただくとともに、万全の再発防止対策ができたということの御理解と信頼を得られぬことには運転再開はできないと思うんです。したがって、時間がかかると思います。
  しかし、私どもはできるだけ早い方が望ましいわけですから、速やかに原因究明をやって、それを明らかにしていきたいと思っております。
○山崎力君 今の御言葉でございますけれども、原因究明、これは科学的な面でのあれはいずれ皆さん方専門家で出てくるでしょう。それでいろんなところを直せばいいというようなことも出てくるかもしれません。あるいは今度の二次系のところを緩衝の窒素充てんのパイプで覆うとか、空調のあれをどうするとかそういった技術的な点、金さえかければ解決する問題はあると思うんですけれども、このメンテというか運転にかかわる人たちの意識が今のような動燃さんの状況では、何か我々のわからぬところで起きていたとしても隠すと、それでとんでもない事故が起きて初めて出てくるというような不信感というものは、これは解決されないと思うんです。
  その辺のところは、単に原因究明ができてこれに対応する措置がとられたと、よって安全であるというふうな点での科学的な技術的な安全性の確保ということは、これは十分可能でしょうけれども、そういう人間の心の中まで入った安全性の問題といいますか、いわゆる住民に安心感を与えるようなところまで持っていくというのは非常に困難な部分があるということを指摘しておきたいと思います。またそうでなければ、そこまでいかなければ、今後大きな禍根を残す可能性があるということだと思います。
  そこで、ちょっと視点を変えまして、これからのことを若干お伺いしたいんですが、緊急事態のマニュアルその他を全面的に直さざるを得ない、施設を直さざるを得ないということは、当然情報開示していただけると確信しておりますけれども、浦野科技庁長官にお伺いしたいんですが、要するに、今後のエネルギー政策に支障のないような解決をとらなければならないというふうに先ほど御答弁なさっておられます。その意味で私は、今度の事故というものがもし解決されなければ、国のプルトニウム利用計画というものが一とんざを来すということは間違いないというふうに感じておりますが、その点はそれでよろしゅうございますでしょうか。

○国務大臣(浦野烋興君) 今回の事故は、私どもにとりましても極めて重大、憂慮すべき問題であると受けとめておるところでございまして、今回の事故に対する国民各位のそのお気持ちというもの、怒りの高まり、これが我が国のエネルギー政策に大きな影響を与える、そのことを憂慮もいたしております。しかし、だからといって、その国民の方々のお気持ちというものを我々はしっかりとこれはまた受けとめていかなければならぬところでもございます。
  将来のエネルギーの必要性、これを考えていく場合に、私自身は、いわゆる核燃料リサイクルの重要性、このことは認識しつつ、しかし今後、原因究明をしっかりやった段階で、我々としては真剣に検討を加えなければならぬ、そのような今気持ちでおります。
○山崎力君 もう少し具体的なことでお伺いしたいと思いますが、今この「もんじゅ」がATRの計画中止以降は唯一のプルトニウム利用という形の、まあ実質上ですけれども、問題であって、これが進展しなければ、先ほどいわゆる核燃料サイクルの問題をおっしゃいましたけれども、その根幹にかかわる、この「もんじゅ」の開発が進まなければプルトニウム利用は実質上できないというふうに理解していいのかどうかという点でございます。
○説明員(岡崎俊雄君) 日本のプルトニウムの利用政策上、確かに高速増殖炉は、将来の原子力発電の主流、しかもプルトニウム利用の主流としての位置づけでまいったわけでございますが、現在の計画によりましても、この高速増殖炉の実用化は二〇三〇年ごろと、こういうことを目指しておるわけでございます。
  それに対しまして、当面の間のこのプルトニウム利用につきましては、軽水炉によりますプルトニウム利用というものを進めていく、このような計画で進めようとしておるところでございます。
○山崎力君 そうなってきますと、いわゆる軽水炉におけるプルトニウム混合燃料の使用ということが一番これからの問題になってこようかと思いますが、その辺の経済性というものに関しまして若干問題もあるよということに今なっております。
  それで、「もんじゅ」がスタートしないということになって全部MOX化した場合、これはかなりの負担が電力会社あるいはその電力料金等を通じて国民にはね返ってくるという意味で大きな問題ではないかと認識しておりますが、その辺はいかがでございましょうか。

○説明員(岡崎俊雄君) プルトニウム利用と申しましょうか、あるいは核燃料リサイクル政策というものは、もちろん一つは資源を徹底的に有効利用していくという観点と、もう一点は、いわゆる原子力発電所から発生します使用済み燃料の処理あるいは廃棄物の最終処分、こういうものを視野に入れながらこの問題に取り組んでいくべきものだと考えております。
  その際に、このプルトニウム利用にかかわります観点は、もちろん技術的な問題に加えて、今先生御指摘の経済性の観点というのは大変重要でございます。
  現在の試算によりますと、確かに通常の濃縮ウランを使用していくだけの形態に比べまして、プルトニウムを利用していくことによってその経済性が少々高くなるという試算は確かにございますけれども、長期的な視点、あるいは原子力発電が本来持っております燃料コストというものの発電コストの中に占める割合が二割ぐらいと大変低うございますので、このプルトニウム利用に伴います経済的な上昇というのは果たしてエネルギーコストの中でどのような形の役割を占めるかということも十分勘案しながら、今後このプルトニウム利用政策について検討をしていくべき問題であろうかと思っております。
○山崎力君 そうした背景の中で、今回の「もんじゅ」の事故のリカバーの問題ですが、今もちろん事故直後で、どう回復して、それで技術的な究明をして、もう一回恐らく再稼働するためには地元の理解、それから計器、機器の点検、これが空気中の酸素、水分と、特に水蒸気等と反応していれば苛性ソーダになっているということで、その苛性ソーダの電気的なものに対する影響等を考えると、極めて大きな補修工事というんでしょうか、そういったものが予想されるんですが、大まかなタイムスケジュールというものはできていないでしょうか。
  というのは、もちろん原因究明までの時間というのはこれはわかりませんけれども、要するに、少なくとも工事を見積もって、再修理をしてやるという形になれば、最低とのぐらいはかかるのか。それから、それ以上どのくらい延びればと、これは地元の理解というものをちょっとおいておいての話ですけれども、技術的にはどうなのかということはまだやっていらっしゃらないのか、それとも今の時点でどの程度なのか。
  それから、時間ももうそろそろでございますので、あわせて、そのことが今のいわゆる核の再処理、プルトニウム利用の計画に当然影響をしてくるというふうに判断せざるを得ないので、大分先の話ですけれども、その辺の見通しについてお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○参考人(大石博君) 私の方からは、復旧行程がどうかということにお答えいたしたいと思いますが、私どもまだ原因究明の行程すら立てておりません。
  現在、国の立入検査保あるいは福井県の立入調査、科学技術庁のタスクフォース、いろいろな外部の方がお見えになって、そして、物によっては現場の保存、さわっちゃいかぬというような状況でございまして、私どもとしてはできるだけ速やかに原因を究明したいんでございますけれども、いろいろそういった関係がございまして、まずは原因究明を早くしたいと、そういう気持ちで、復旧行程まではまだ考えておりません。そういう状況でございます。
○説明員(岡崎俊雄君) 科技庁といたしましても、今まさに大石理事長がおっしゃいました気持ちと全く同じでございます。
  本件の事態の重要性というものを私どもも深くやっぱり認識をしなければなりません。ようやく原因究明が緒についたばかりでございます。
  先生御指摘の、もちろん将来のプルトニウム利用計画に対して何らかの影響があるいはあるかもしれません。ただし、それはこの「もんじゅ」の原因究明等の状況を見ながら今後検討していかなければならない課題であろうかと思っております。
○委員長(長谷川清君) もう時間ですから、いいですね。
○山崎力君 一つだけ。
  質問のときに言っておけばよかったんですが、その辺のところで、年単位と考えてよろしいのかどうかということだけちょっと最後につけ加えさせてください。

○参考人(大石博君) その点も、現時点では私ども全く考えたこともございませんので、今ここではちょっとお答えしかねます。
(後略)