質問「『豊浜トンネル崩落事故について』他

(平成8年2月22日参議院建設委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 平成会の山崎力でございます。
  三大臣の所信表明の内容に沿う形で、また先ほどの質疑にもありましたけれども、北海道の豊浜トンネルの崩落事故についての若干の質問をこれからさせていただきたいと思います。
  当委員会において初めての質問でもこれあり、また事実上、各省庁間で重なり合う部分もあると思いますので、御答弁の際、私の方からの指摘にかかわらず、関連があると思えば御遠慮なくほかの担当のところからでも御答弁願えればと思っております。
  まず最初に、豊浜トンネルのことでございます。いろいろな事実関係その他については各所で出ておりますので、私は二、三の点に絞ってこの問題について所見を伺いたいと思います。
  一つは、これはさきの阪神・淡路大震災の教訓が生かされたのかという報道にもあるような指揮命令系の問題でございます。端的に言えば、今度の際に行政側の最高責任者といいますか、もし御当人が当地にいられれば最高指揮官になられるのは建設大臣なんでしょうか、それとも北海道開発庁長官なんでしょうか。その辺はいかがでございましょうか。

○国務大臣(中尾栄一君) 今回は一般国道の指定区間におけるトンネルの岩盤崩落事故でございますから、道路管理の責任は現地を管理する北海道開発局長であり、また建設大臣は同開発局の指揮監督を行うとされております。
  事故発生後における被災者の救出や災害復旧等の対応については、北海道開発局を中心に同開発局の上級官庁である北海道開発庁と、道路管理に責任を有する建設省が緊密な協力連携のもとに当たることが適切でございまして、今回もこのような対応がとられたところでございます。
○山崎力君 今の御答弁にもありましたように、本来、北海道開発局が現地の現場責任となれば、常識的にといいますか、一般の感覚からすれば北海道開発庁長官がその上にあるというふうに考えるのが普通だと思うんですが、現実にはそういうふうにはなっていないというような御答弁だと承りました。
  事ほどさように、こういった問題というのは、何か事があったときに指揮命令系統がきちっと、内部的でなくて、対外的にもわかる形であるということが一つの必要条件だと私は思っております。
  例えば、今回の場合はともかくといたしまして、道路の種別による、国道、あるいは国道であっても北海道以外の場合は国直轄管理と地方公共団体管理の場合がある、あるいは北海道でいえば道道、普通のところでいえば県道といったところで違ってくる。ただしその対応というのは、これは敏速かつ迅速に人命救助その他に当たるということは、公道として見れば同じことをしなければならないわけです。それがその場所によって違ってくる、そういったときにどうするのかということが一般の国民から見ればわかりづらい。そして、それがその内部的なあれで調整に手間取っているとすれば、何をやっているんだ、こういうことになろうかと思います。その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

○国務大臣(岡部三郎君) ただいま建設大臣からお話がございましたように、道路管理に関しては建設大臣が北海道開発局を指揮監督することになっておりますが、北海道開発庁といたしましては、北海道開発局に対し組織管理、業務運営一般についての指導監督を行うということになっておりまして、そうした立場から今回の事故について救助活動の円滑な実施が図られるような所要の指示をいたしたところであります。
○山崎力君 申しわけございませんが、今の御答弁でも、むしろそうなってくると一般の見方からするとトップリーダーといいますか指揮所が二つあるような、並列してあるような印象を受けてしまうわけでございます。その点が危機管理においては一番よろしくないということもこれ広く言われていることでございますので、これは今回の事故に限らず大震災、大災害、そういったものに対しての対応をとるときに、行政側としてどういうふうな上下関係、指揮命令系統、対応系統でいくのかということを、これは大きくなれば国土庁の管轄というふうな形にもなろうかと思いますけれども、指揮命令と調整というものがどこでどう行われているか、やはりもう少し国民の側に目に見える形で、わかる形で考えていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
  次に、ちょっと先ほどの午前中の質疑の中で、あれと思ったことがございました。というのは、今回の事故は不可抗力であるというふうな内容のことがあったと記憶しておりますが、現時点でそこまで確認されたかどうかだけ、ちょっと一点、細かいことですが確認させてください。

○政府委員(橋本鋼太郎君) 今回のトンネル岩盤崩落事故につきましては、原因究明の調査委員会を北海道開発局のもとにつくりまして現在究明中でありますので、原因についてはまだこれからの課題と考えております。
○山崎力君 それでは、まだ不可抗力とは認められていないということで、次に続けさせていただきます。
  この問題に関して、先ほどとも関連しますが、広報体制の問題点が広く指摘されておりました。これはいろいろ難しい状態の中で、人命救助その他の実際の活動においては広報というのは、余り直接的な救助活動には結びつかないという意味でとかく今まで軽視された嫌いが私はあると思います。
  ところが、この情報化時代において、そういった一般への報道伝達を含めた広報活動というものの位置づけというのは極めて重大になってきている。ある意味において、国民、住民の理解を得る意味において極めて根幹的な課題になってきていると思うのですが、正直に言いまして、今回それが十分に達せられたかというと、やはり私の目から見ても不十分であったと言わざるを得ない部分がかなりございます。そういった点で行政サイドが広報を、こういったことが起きたときにどのように情報伝達をするかという体制を事前にある程度用意しておかなければ、これからも同じことが繰り返されるというふうに私は思っておりますので、その辺についての御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(岡部三郎君) 広報体制につきましては、当初は救生活動を最優先として取り組んできたために必ずしも御指摘のように十分ではなかった点があったかと思います。救生活動が難航、長期化するにつれて報道陣も増加をいたしてまいりましたし、その対応体制を強化する必要があると判断をいたしまして、十二日に私は現地へ参りましたときに、これに対する応援体制を開発局から強化をするように指示をいたしたわけでございます。
  しかしながら、結果的には情報の提供がタイムリーに行われたとは先生御指摘のように必ずしも言えない点もあったかと思います。また、この説明の方法も非常に事柄が専門的であったために十分に報告者の意図が伝わらなかったという点もありましたし、また報道陣の規模が非常に大きくて担当者が少なかったといったような幾つかの問題点があったと思います。
  今後につきましては、これらの経験を踏まえまして、大事故における適切な広報をどのような体制で実施していくのがいいかといったような問題について今後の課題として検討をしてまいりたい、かように考えております。
○山崎力君 よろしくお願いします。これは大きな災害になれば当然国土庁サイドも関係してくる問題だと思いますので、その辺、各省庁間でどう広報体制をとるかということの御検討は当然国土庁でもなさっていただけるものとして、次の質問に進ませていただきます。
  広い意味での広報とも関連いたしますけれども、私はこういった事故の際、次の世代へのといいますか、教訓を引き継ぐ意味において事後措置、特に調査報告書というものが極めて重要なものになってくるだろうと思います。
  その中で、いわゆる自然科学的といいますか、いろいろな力学的な問題とかあるいは地質学的な問題とか、そういったものもこれは当然重要なことでございますけれども、私が見るところ、感じるところにおいては、こうした一連の中でいわゆる人間系といいますか、その担当者がどのような情報を得てどのような判断を下していったかというような問題についての報告書は余り見受けたことがございません。これは科学的な問題というのはどこでも出てくるわけですけれども、いわば社会科学といいますか人間科学的な、人間がその現場に入ったときにどういう状況、情報の中でどう判断したのかということは、これは極めて教訓という意味においては重要な要素を占めるものだと思っております。
  そういう意味で、例えば最初に入った人たちがバスがつぶされたのを現認しながらやはり二次災害が起こる可能性があるということでそこで引き上げておりますけれども、そういったときに、どういう状況で二次災害が起こるということを判断し、それがだれが決断したかというようなことをそういった報告書に盛り込んでいただきたいという要望を私自身は持っております。その点についてはいかがでございましょうか。

○政府委員(橋本鋼太郎君) 今回のような大規模な事故における対応の一環だと思います。そういう点につきましては、今後十分検討していくということにしております。
○山崎力君 十分検討をしていただいて、それら検討していただいた結果が報告書の中に記載されるという形をとっていただくことを希望して、この問題を終わらせていただきたいと思います。
  続いて、主に建設大臣の所信表明に沿った形で質問を進めさせていただきますが、まず第一の課題として挙げられた景気回復、これはいろいろ先ほどの質問の中で公共投資というものの内需等に対する効果というものを数字を挙げておっしゃられておりましたけれども、最近の論調において、従前のような効果は建設投資、工事その他においてもう発揮されないのではないかというような意見が出ております。
  その辺について、先ほどの、現時点でのこういう効果があるよという、たしかこれは政府側の数字が出ておりましたけれども、どのように建設公共投資が内需拡大等に反映されているかという動きの数字というものと、そういったものに対して建設側として、行政側としてはどう対応していくかということの御検討はなさっておられるのでございましょうか。

○政府委員(小野邦久君) 最近、公共投資の波及効果につきまして、午前中も岩井先生からお話がございましたけれども、特にケインズ政策、ケインジアン的な考え方に対していろいろな御批判もございます。かつてのような公共投資の波及効果はもうないのではないかといったような御議論もあるわけでございますけれども、私ども政府といたしまして、いろいろ公共投資の波及効果を考える場合にはやはり世界経済モデルによって推測をしていくということをやっているわけでございますが、最新の第五次の世界経済モデルによれば、名目一兆円の公共投資によって名目GDPを三年間の合計で二・一三兆円増加をさせる、そういう効果があるということになっております。所得税減税等の他の手段と比較しても大変大きな効果があるというふうに考えております。
  ちなみに、昭和五十七年の第一次世界経済モデルでは、この二・一三という数値は実は二・七八という数値でございまして、経済がだんだんサービス化しているとか、あるいは金融等もだんだんグローバル化してきているとか、あるいは石油の価格の上昇があるとかいろんな要因があるわけでございまして、長期的には確かに従来のような数値ではないわけでございますけれども、なお減税等と比較いたしますと大変大きな効果があるというふうに考えております。
  今回の不況自身、影響自体はやはり民間設備投資の大変な落ち込みということが非常に大きな要因の一つでもあるわけでございまして、もし仮に数次にわたるような補正予算というものがないとすればどうだったかということを調べてみますと、やはりこれは相当のマイナス成長であったというふうに考えているところでございます。
  ちなみに、平成五年度の数字で申し上げますと、もし公的な固定資本形成の伸びが対前年度と比べましてゼロであった、伸びがなかったということを仮定いたしますと、実際の経済成長率、GDPの成長率はマイナスの〇・八という数字もございました。これが、平成五年度、四年度に比べて数次の経済対策によって公共投資を相当ふやした結果、辛うじて〇・二という水面下を上回ったわけでございます。そういったようなことからも、公共投資の経済効果はかなり大きなものがある、相当大きなものがあるというふうに考えているわけでございます。
  どういう工夫をしているのかということでございますけれども、民需がとにかく力を増してくるまでの景気の下支えということからやはり公共事業を的確に執行する。そのためには、平成七年度には二回の補正も組んでいただいたわけでございます。また、平成八年度予算をできるだけ早く成立させていただいて、切れ目ない執行を図るということも大事だと思っております。
  また、土地の流動化の議論も先ほどございましたけれども、土地対策の観点からもなるべく流動化に資するという意味で、公共用地の先行取得というようなものも平成七年度の二次補正で相当の金額を積んでいただいております。
  そういったような工夫もして、公共投資でやはり景気の下支え、あるいは住宅投資で内需振興というものを図っていきたい、こう思っているところでございます。
○山崎力君 わかりました。何も効果がないと言っているのではなくて、数字にも出ましたように、従前ほどの効果が上がってこないという数字を把握しているのであれば、それを従前のような効果を上げる効率的な工夫をしていただきたいという要望でございますので、次に移らせていただきます。
  大臣の中の第二の課題として、「質の高い住宅、社会資本の重点的、計画的整備」ということをおっしゃっておられました。その中で、特に「重点的な投資」ということを述べておられますが、これは具体的に何を重点とするのか、今までとどこをどう変えていこうとなさっているのかということを御答弁願いたいと思います。

○政府委員(小野邦久君) 大臣が所信表明で述べられました質の高い住宅、社会資本のための国民のニーズに的確に対応した重点的な投資ということでございます。公共事業でございますので、真に豊かな国民生活を実現していくというためにはやはり国民の方々の御要望を的確に踏まえていくことが大変大事だと思っております。
  例えば、平成八年度予算で御説明をいたしますと、安全で安心できる地域づくりあるいは町づくりの推進、これは阪神・淡路大震災の教訓ではございませんけれども、耐震性向上のための道路橋の補強でございますとかあるいは堤防の補強、あるいは住宅の補強等、あるいは防災公園の整備といった安全、安心の観点からの町づくりというようなものに重点的に平成八年度予算では力を注いでいるところでございます。
  もちろんそれ以外にも、快適な暮らしを支える生活基盤整備の推進、これは下水道とか、あるいは高齢者あるいは障害をお持ちの方に優しい町づくり、そういったような観点からのいろいろな事業がございます。
  あるいは、豊かな住生活を実現する。何といっても我が国の中でやはり豊かな住生活の実現というのは大変おくれている分野でもございます。そういったような観点からの都心居住の推進でございますとか、あるいは近郊居住の推進といったような住宅政策。
  あるいは、地域が今大変、平成不況の影響もございますけれども、何というか力を失っているのではないかというような御指摘もあるわけでございますが、何とか魅力と活力を追求するような新しい地域づくり、このためにはやはり高規格幹線道路でございますとか地域高規格道路といったような道路網の整備、ネットワークの整備というのは大変重要な課題でございます。あるいは情報化にどうこたえていくか。
  そういったような観点に、例えば平成八年度の予算案でございますと、全体として四・一、私どもでは四・三という数字でございますけれども、今私が申し上げましたような五つの分野につきましては、例えば一〇%あるいは三四%といった高い伸び率を確保いたしまして重点的に投資をしているわけでございます。このような傾向は平成八年度だけではなくて従来もそうでございますが、特に平成八年度予算におきましては、阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえて、より以上にやはり国民の皆様方のニーズの高い分野に重点的に投資をしたい、こういうふうに考えているところでございます。
○山崎力君 今の御答弁で大体の大筋の面は見えてきたと思うんですが、私が聞いて残念なのは、最初の阪神・淡路大震災のことと絡むんですけれども、安全、安心ないろいろな施設づくりということですが、これは後でもちょっと質問させていただこうと思っていたんですが、いわゆる従来のやり方では安心できなかったということを、それをあのことを教訓にいたしまして何とかそのままにほっておけないということでお金を出すということでいろいろなことをなさっていらっしゃるというふうに受けとめれば、これは何も重点事業にするというふうに筆頭に持ってくる課題ではないのではないかというふうに言いたくなる部分がございます。
  それはさておきまして、今の話の中に出てきた豊かな住生活、住環境という問題、これは後の方で「具体的に」ということで大臣も触れられておりますので、ここで少し取り上げさせていただきたいと思います。
  私が思うところ、豊かな住環境というもの、都市づくり全体から見て、今回のバブルというときに非常に端的にあらわれたことは、優良な住環境がその当主が死ぬことによって保てない。具体的に言えば相続税。不動産以外の財産を余り持たな家庭において、当主が亡くなって相続問題が発生したときにそれまでの住宅環境を保てない、それを処分しなければ相続税が払えないという、それがいろいろな住環境の破壊ということにつながっていると思うんです。
  これはもちろん税制ですから、大蔵省の所轄、所管になると思うんですけれども、建設行政あるいは国土の町づくりという意味からいけば、今バブル崩壊後若干おさまっているとはいえ、長い目で見ればこれは避けて通れない問題だと思うんですが、その辺についてのお考えはいかがでございましょうか。

○国務大臣(中尾栄一君) 豊かな住生活の実現のために、今後、質を重視した住宅宅地対策を推進する必要がございますけれども、都心居住促進対策あるいはまたケアつき住宅などの高齢者向け住宅の供給、大都市近郊等における優良な住宅宅地の供給等により良質なストック形成あるいはまた居住水準の一層の向上を図ることが極めて必要であると考えておる次第でございます。
  今回お願いをいたしました公営住宅法あるいはまた住宅金融公庫法、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法、俗に優良法と言っておりますが、この改正はいずれもそうした趣旨によるものでございます。
  また、御指摘のございました相続税等の問題もございますが、これは相続制度のあり方の問題としてまた議論する必要があるであろうと思っております。
  また、宅地の細分化の問題につきましては、土地所有者の立場に立てばさまざまな事情がございまして、困難な問題ではございますが、優良な住宅地が細分化されていくことは大変に残念なことでございますから、建築協定や地区計画などの活用によりましてそのような事態が進まないように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○山崎力君 今の御答弁ですと、いわゆる相続問題は税制の方でまた別に考えて、宅地の細分化についてはまた別にというふうなことなんですが、私が申し上げたいのは、相続によって優良な宅地を意に反して放棄せざるを得ない人がかなりいたんだと、特に都市における優良住宅地において。そして、それが処分された後、それが自然的にといいますかほぼ自動的に細分化されて再配分されると、こういうことによって都市住宅環境がその地域においては悪くなるのではないか。現実に悪くなって、従来の良好な住宅地の様相が保てなくなってきている。こういう実態があるという認識のもとに質問させていただいているわけでございます。
  それに対して、本来のそういった豊かな町をつくるという立場の建設省、もちろんつくられることはそれでいいわけですけれども、そのつくった後、今の制度においてはそれが十分今後とも保っていけないという可能性がこの相続問題にはあるんだという御認識からすれば、当然、政府の一員として大蔵省なりなんなりにその辺のことを御討議願うとかそういった形の働きかけはなさっているのか、どう考えていらっしゃるのかということが私の質問の趣旨でございます。

○政府委員(小鷲茂君) 行政対応の実態について御説明をさせていただきたいと思います。
  おっしゃるように、優良宅地が相続税を契機といたしまして転々譲渡されて細分化されていくということは現実にあるわけでございます。特に、数年前のバブルのピークのときに、相続財産の評価が非常に高くて相続税が払えない、こういうことで起こったわけでございます。
  幸いにして地価は最近大分安定化をいたしてきておりまして、今後かつてのような状況は続々と続くということではないんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、さはさりながら、基本的には先生御指摘のような問題があることは事実でございます。
  しかしながら、先ほど言いましたように制度的に建築協定でありますとか地区計画制度とか、こういうものがあるわけでございますが、こういうものにつきまして基本的に地主の皆さん全員の方が同意していただかないとなかなか導入できないという難しい面もあるわけでございます。
  そこで、先生の御提案は、税の方で相続財産が分割されなくて済むような制度要求をしているのかということでございますが、率直に申し上げまして正式の要求として私どもは過去こういうことを大蔵当局に要求してはございませんけれども、せっかくの財産がそのまま子孫の方々に受け継がれていかないというのは大変残念なことはそのとおりでございますので、いろいろ研究させていただきたいと存じます。
○山崎力君 続いて第三の課題について、先ほど長谷川委員からもありましたけれども、いわゆる中小・中堅建設業者の育成といいますか、地方におけるそういった業者をどうやっていくかという問題だと思うんですが、この背景には、一つ入札制度に関しては外国企業の参入問題もこれあると思います。
  それからもう一つ、具体的に先ほども出た格付という話、ランクづけの問題でいけば、国のランクと、地方公共団体、県その他の同一業者につけるランクづけが違っているといいますか、その辺のところをどうこれから調整していくのか。あるいはランクの下の業者が、地方の場合は公共事業がほとんどだということで一般からの受注が少ないということもあって、どうしてもランクアップの実績づくりの機会に乏しい、こういった不満もこれあるわけですが、そういったことについてこれからどういうふうな考え方で進めていかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。

○政府委員(伴襄君) 特に地元の中小・中堅建設業対策というようなことで、先ほど午前中にも御答弁申し上げましたが、やっぱり一番決め手になりますのは発注標準、今のランクづけだと思います。これが発注者によってかなり違っていることもまた事実でございますので、なるべくバランスをとるようにと思っておりますが、例えば建設省の発注標準自体もだんだん発注規模が大型化していきますとそれに対応していない面もございますので、先ほど答弁いたしましたが、暫定的にはまず三地方建設局でやりまして、全国的には来年度からやりたい。そういった考え方をほかの国の発注者、公団等、それから地方公共団体、そういったところにもいろんな協議機関がありますので、そういったところで敷衍していきたいというふうに思っております。
  それから、中小・中堅建設業者の方がいろんな例えばジョイントベンチャーだとか、それから本来ならランクが下なんですが上の工事に、繰り上がりと言っておりますけれども、参入の機会を得て経験を経ながらその実績をつくっていくということをやっていきたいと思っております。それから、なるべく技術者の要件とか実績の要件も緩和いたしまして、例えば同種の工事であれば幅広く経験をとらえるとか、それからあるいは技術者の経験も、余り短期間で過去三年とか五年ですとなかなか経験がない、十年ぐらい延ばせば経験がふえるとかといったようなことも踏まえて、経験のカウントもしやすくするように、あるいは技術者のカウントをしやすくするようにしたいというようなことを考えて実施しているところでございます。
○山崎力君 今おっしゃられた方策が具体的な形で各論でも十分関係者に納得されるような行政をお願いしたいと思います。
  続きまして、所信の「当面の諸施策」ということの方に入らせていただきます。
  私の選挙区が雪国ということもございまして、いろいろ道路その他都市づくりにおいても雪対策というのが非常に金のかかる、それでいて労多くして春になれば何も残らない、こういう状況でございます。そういった中で、特に道路においてはスタッドレスになってからの物損事故の増加とかいろいろございます。そういった面での具体的な施策を要望しておきたいと思います。御答弁は結構でございます。
  それと同時に、いわゆる町づくり、国土づくりの中で、私が個人的に思いますことは、古い時代の町並み、日本においては明治、大正の初めくらいまで、それから欧米各国、特にヨーロッパにおける古い町並み、そういったものと我が国の大都市部における町並みを比べてみますと、統一性とかあるいはバランスとかそういった形がむしろ退化してきているんではないかという考え方を持っております。
  これは、どうしても総合的な都市政策というものが私権とのつり合いの中でなかなか難しいということはわかるんですが、例えば「快適生活を支える生活基盤整備」の中で、「公園整備等による潤いのある都市環境の創出、」、こうなっております。ほかの省庁に絡む問題ですけれども、学校とか寺院あるいは神社、そういった旧来の日本古来の、古来といっても学校は明治からですが、そういったもの等の空間を、オープンスペースと言っていいかもしれませんけれども、そういうのを組み込んだ形の都市政策というものがもう少し見えてきていいんじゃないかというふうに思っておるんですが、その点はいかがでございましょうか。

○政府委員(近藤茂夫君) 確かに先生御指摘のとおり、ともすれば従来の町づくりは機能面が重視されがちだったわけでございますが、近年、私どもの町づくりの考え方につきましては、国民が非常に質の高い町づくりを要望するということで、私どもも環境とかあるいは文化とか美しさとかそういったことについて配慮しなければいけないということを一つの大きな基本課題として持っているわけでございます。
  その場合に、街区単位で町並みを整備しているときに、今先生御指摘のオープンスペースをできるだけ整備する、公共事業として整備するだけではなくて、既存の文化的なものを保存する、そういうことも考えていかなければいけない。そのために、今かなり公共団体において一般的に活用されておりますのは、先ほど大臣の答弁にございました地区計画、これは必要に応じてその建物の意匠、形態についても基本的な合意のもとに規制することができるということでもございますし、それからまた神社仏閣についても、これは都市緑地保全法という形の中でそういったものを保全する。
  さらには民有地についても、安定的な民有地につきましては市民緑地協定、市民協定という格好でそれが保存そして税制上の特例を設ける、そういった制度も去年の緑地保全法の改正で対応していただいたわけでございまして、今後の町づくりの一つの方向として、美しさ、景観、文化、こういったことに十分配慮した町づくりを進めていきたい、このように思っておるところでございます。
○山崎力君 ぜひそのような方向でやっていただきたいと思います。
  続きまして、「豊かな住生活」は先ほどやりましたので、阪神・淡路大震災との絡みで御質問させていただきたいと思います。
  一言で言えば悲惨な災害でございましたけれども、建設行政の中で、私が感じますのは、新幹線であるとか地下鉄であるとか高速道路であるとか、いわゆる建造物に対する我が国の建築学会といいますか土木学会といいますか、そういったものの神話が崩壊したのがあの震災の我々の委員会が担当する部分においては重大な問題ではないかと思っております。
  あれからもう一年以上経過した中で、今どうなっているかということで思い返してみますと、そういった私たちの担当するところにおいて、あの地震というものが従来の予想を超えた部分がかなりあったと思いますけれども、本当に根幹的な見直しを迫られるものであるのか、それともあの被害が計算ミスといいますか、そういった予想外の計算をしなきゃならぬ係数がふえたものなのか。それとも、そういったものは踏まえたんだけれども、何らかの設計ミスがあったのか、あるいは施工ミスがあったのか、あるいは故意的な手抜き工事があったのか。そういったものの概要というものをやはり広く情報として知らしめることが開かれた行政につながるのではないかと思っております。
  ここまで言っていいかどうかわかりませんけれども、そういったものが逐次提示されて、それぞれの建設会社の固有名詞まで出てくれば、これはこれからの建設行政といいますか、そういった中において一般的にかなりの影響力を持つものであると私は思っております。そういった報告書というものは将来出る可能性があるんでしょうか、どうでしょうか。

○説明員(井上靖武君) 昨年の大地震では建設省所管の施設に非常に大きな被害が発生しましたことから、建設省ではこれを重く受けとめまして、地震後から直ちに耐震工学の専門家などから成る委員会を、道路橋それから河川堤防、建築物などの施設ごとに設置しまして、被災原因の徹底究明と施設の耐震性向上方策の検討を行ってきたところでございます。
  被災原因につきましては、道路橋につきましては設計を上回る大きな水平方向の地震力を受けたこと。建築物については、第一には、現行の耐震基準以前に建築された古い建築物について、耐震性が現行耐震基準で要求する性能に比べて低かったこと。それから第二に、現行の耐震基準によって建てられた新しい建築物について、ピロティー形式の建築物等を中心に十分な設計上の配慮が足りなかったこと。河川堤防につきましては地盤の液状化などが主な原因として挙げられております。
  このような各委員会の検討結果につきましては、これまで中間報告などとして対外公表をしてまいりましたところですが、このうちダムそれから道路橋、建築物の各委員会の報告につきましては、昨年中に最終的なものとして公表を行っております。
  その他の委員会の検討結果につきましても、最終報告がまとまり次第、公表していくつもりでございます。
○山崎力君 もちろん、そういった形のものが出てくるということは前提でございますけれども、あえて言わせていただければ、いわゆる建設省管轄だけでなくて、これは国として考えれば、国の補助金が出ている建物、建造物については当然同じような調査をなさるべきであろうという気がしております。
  できるだけ範囲を広げて、これは何年先か今すぐかわかりませんけれども、どこで起きるかわかりませんけれども、地震と離れられない国であるということを考えれば、そういったことが次世代への今の時点での行政の義務だろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  続いて、これはバブルと絡んでくるんですが、いわゆる建設業、不動産業の振興対策という項目になってくるわけでございます。
  もちろん、住専の問題という、貸し先が不動産業ということでございます。これが、住宅、土地分譲あるいは仲介あっせんといった、建設省が本来イメージしているところの業種と違った形のもので、まさに土地を商品として転がすといいますか転売することを目的とした土地利用というような形で、それがバブル崩壊とともに住専問題という形になってきた。
  これは、建設行政の中で端的にあらわれておりますのは、先ほどの町づくりという面から見ても、一等地において、不整形といいますか不定形といいますかそういった空き地ができて、そこが何台かの駐車場になっているというところが東京都内その他にもかなり見られる状況になっている。これは、都市をどうつくるかということに関しても、ある意味では醜い、整っていない状況であろうかと思います。
  そしてもう一つ言えば、先ほどの話の中でございましたけれども、所有から利用するんだ、土地を持っていることから利用していくんだという考え方が出されておりまして、同時に土地の流動化が景気対策にとって極めて有効である、そっちの方向にいきたいんだというお話も伺いました。
  私から見るところ、土地の流動化と土地の利用というものは必ずしも一致しない、むしろ反する部分があるのではないか。土地の流動化と利用の方向へもっていきますと、土地の短期利用というものをイメージしなければ、土地の流動化と土地利用というものは一致しないんではないかという感じを持っておるんですが、その辺についての建設省としてのお考えはいかがなものなんでしょうか。あるいは国土庁の絡みも出てくるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

○政府委員(小鷲茂君) 土地利用という観点からいたしますと、建設省の領域があるわけでございますので私どもから御答弁いたしますが、ただいま先生の御意見では、利用と流動化というのは相反する場合があるんではないかということでございますが、私どもが流動化と言っております場合には、土地が動くこと自体が必要だということよりも、動いて、その結果有効利用される、有効利用を目的として動くということが大事だというふうに申し上げているつもりでございます。
  したがいまして、流動化というふうに無限定で私どもついつい用語を使っておりますけれども、その前提として、有効利用を前提とする流動化、つまり最終需要者がお買いいただくということを念頭に置いた流動化を促進いたしたいというふうに考えている次第でございます。
○政府委員(深澤日出男君) 国土庁といたしましても、所有から利用へという土地政策の観点からいたしまして、今建設省から御答弁ありましたように、ただ単に土地が右から左に動くというだけではなくて、あるいは投機的な取引が行われる、土地転がしが行われるという意味での流動化ということは我々は全然考えておりませんで、あくまでも有効利用を前提とし、有効利用されるために土地が動くということが大前提でなければならないというふうに我々は考えております。
○山崎力君 おっしゃるとおりだと思います。
  ただ、土地の流動化ということが、景気対策に結びつきますねということの言葉自体の印象からすれば、これは極めて誤解を招くことになるし、また逆にバブルの教訓として、土地が流動化する、いわゆる悪い意味での流動化することが景気の表面的な回復につながるという実態もこれございますので、有効利用のための土地の流動化だという、そのためのというのがどうしても置き忘れられがちになるのが実態であると思うんです。
  ですから、そういった意味で、これからの土地政策ということで余り土地流動化という言葉を使っていただきたくないというのが私の個人的な意見でございます。
  そして、最後の方になってまいりますが、今回のこういった大震災あるいは古平のトンネル崩壊事故、そういった建設行政あるいは国土をどうつくっていくかといったときに、将来的なビジョンというものが当然必要であると思うんです。
  具体的に言いますと、豊かな住宅、質の高い住宅というのは、国として何平米くらいのことをイメージしているのかとか、あるいは街路というものはどの程度のものをイメージしているのか。それがどの程度、今は実現されているんだけれども、もちろん下水道の普及率を上げていく、そういうふうな一つの将来的にこういったものを我が日本の、我が町あるいはほかの町も含めて建設行政の中、国土行政の中でやっていきたいんだと。これは、北海道に関しては開発庁さんも当然そういった形でやっていきたいんだということがいろいろ言われておるんですが、なかなか総合的なイメージとして伝わってこない。
  一つ一つの道路、橋あるいは建物ということに関しては非常に立派な業績その他を上げられているわけでございますけれども、総合的なつながりの中でどういう町づくりをしていくんだ、国土づくりをしていくんだということが、国民に対してこういうことをやっていくんですよということ、やっていきたいんだということを伝えていただくような面もこれからは重視していただきたいと思うわけでございます。
  それに関しまして、最後になりますけれども、思いつきのようですが、一つだけちょっと気になっていることを国土庁にお尋ねしたいんです。
  首都機能の移転ということで、これが一つの計画として候補地選定その他をやっているわけですが、それとは別にして、バブルがはじけて土地が下落している状態の中で、東京一極集中、そういった中での首都機能が移転した場合の東京の土地の値段とかそういう変動要因が今までと違って出てきていると思うんですが、その辺のところを御答弁願いたいということと、それから北海道開発庁長官あるいは建設大臣に、そういった北海道の総合的な感覚あるいは建設行政全体をこうしたいんだということのお言葉を最後に言いただければと思います。
  私の質問はこれで終わらせていただきますが、御答弁のほどよろしくお願いいたします。

○政府委員(五十嵐健之君) 首都機能移転関係についての御質問でございます。
  いろいろな変動要因がこれから出てくるではないかという御指摘でございますけれども、今までもこういう国土づくりあるいは町づくりにつきましてはどうしても二十年、三十年かかるプロジェクトでございますので、いろんな変動要因があったわけでございます。
  この首都機能移転そのものにつきましては、国政全般にわたる種々の改革の一環にしたい、あるいは東京の一極集中の是正に大きく貢献したい、そして防災問題に対応力をつけていきたい、こういう大きな目標のもとで実施したいというふうに考えております。その間にいろんな要素があろうかと思いますが、何とかそれを処理しながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(岡部三郎君) 御指摘の北海道の振興開発に関しての基本的な考え方、こういうことでございますが、地域振興はやはりその地域の特色を生かした発展の方向を目指していくということが大変に必要であろうと思っております。
  北海道におきましても、諸産業発展のための基盤整備を図る、あるいは住民の方々の生活環境の整備を図るということはもちろん非常に大事なことでございますが、それと同時に、やはり北海道は我が国では数少ない多くの大自然が残っておるところでございますから、こうした自然と人間との共生ということを考えながら、その中で今住んでおる人たちはもとより、国民全体が生活の場としてあるいは憩いの場として、休養の場としてこれを国民全体が活用できるようなそうした基盤の整備も大変に必要なことではないかと考えまして、今新たな振興開発計画にもそういうことを織り込んでいきたいということを考えておる次第でございます。
(後略)