質問「『高速増殖炉もんじゅ事故について』他

(平成8年6月14日参議院科学技術特別委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 平成会の山崎でございます。多岐にわたる質問をさせていただきたいと思います。御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
  今回の事故は、単純に言えば温度計の設計のミスであった。それが巨大なああいう「もんじゅ」というものをストップさせ、あるいは動燃という組織全体の評価を揺るがし、そして我が国の原子力政策自体にも将来的に大きな影響を与える事故になってしまった。これは、ほかの原子力発電所の美浜の細管破断あるいはそういった別のところという、いわば巨大精密機械ともいえる原子炉関係において、一部品がその全体を破壊してしまうといいますかストップさせてしまうというものの一つの典型だろうと思うんです。
  そういった観点から、まずこの温度計の設計ミスの原因究明についてどの範囲まで調査なさったのか。具体的に言えば、最終的な設計者、個人なのかあるいはチームなのか、その点検をする、クロスチェックをするチーム、そういったものについてどういった人がどういう調査をしたのかという点まで調査なさったのか、まずお伺いしたいと思います。

○政府委員(宮林正恭君) 本報告書の作成に当たりましては、二次系の温度計さやの設計、製作、施工を行いました石川島播磨重工に対して聴取を行っております。設計をしましたのは石川島播磨重工でございますが、動燃、それからまず一次的なコントラクターでございました東芝についても当然聴取をしているところでございます。それで、具体的には担当部署、東芝の場合は動力炉開発部、それから石川島播磨重工につきましては原子力事業部の責任者から直接聴取するという形をとっております。
○山崎力君 ということは、具体的にだれが設計したかという固有名詞のところまでは調査なさっていないということでございますか。
○政府委員(宮林正恭君) その点につきましては、個人名あるいはその直接の担当者までは聴取を行っておりません。
○参考人(中野啓昌君) ただいまの調査の範囲につきまして、動燃でも実施いたしましたので先生の御質問にお答えさせていただきたいと存じます。
  動燃で実施いたしました調査の範囲、原因究明といたしましては、今、局長からもございましたけれども、設計関係者に関連しましては会社名、部署名、それから内容につきましては設計の経緯、設計の考え方、設計時に行われました評価、こういったものを調べております。
  また、製作、加工、施工法に関しましては、使用された材料、それから加工、施工法の調査も行っております。
  つくられた後の検査についてでございますけれども、検査が仕様どおりに行われたかどうか、こういったことの検査、それから流力振動による高サイクル疲労調査も実施いたしております。そのほか破損さや管の調査等々も行っておりまして、今、先生御指摘の末端まで調べたのかということでございますが、末端の最終的にそれを加工したメーカーまで調べてございます。
○山崎力君 私がそういう細かい点にこだわるのは、こういった場合一つの組織の問題として、何というんでしょうか、対外的なエクスキューズといいますか、そういうものの整合性を持たせるために、どこで本当にミスがあったのか、例えば設計した人が一人だったのかチームだったのか、そういうミスがあった場合にバックアップする体制がその部署にあったのかなかったのか、そういったことが固有名詞まで調べませんとわからないのではないかという問題意識を持っているからでございます。
  それが、会社の部署は聞いた、そこからこういう経過であったということを聞いたということはもちろん大切なことでございますけれども、向こう側からの経過説明の中に自分たちのミスを覆い隠すような、単純なところを本当にたった一人の設計者の文献の読みミスでこういったものが最後までまかり通ったのかどうかということは、私に言わせれば、その個人まで確かめないと本当のところはわからないんじゃないかという気がするんですが、その点いかがでございましょうか。

○参考人(中野啓昌君) 先生のおっしゃるように、やはりプロジェクト自体が非常に大きいものでございますから、末端まで一つ一つさかのぼって調べていかないとわからないものと思っております。また、そういう考え方から、先ほど申し上げましたように末端まで調査いたしました。
○山崎力君 ちょっと最初の安全局長の説明と違ったような御答弁だと思うんですが、いわゆる科技庁側はそういったところまではいかなかったけれども、動燃さんとしてはそこまでちゃんと調べましたという意味合いで受け取ってよろしいんでございましょうか。
○政府委員(宮林正恭君) そのあたりのところにつきましては、私どもは動燃の方から聞いておりまして、設計をいたしましたのはチームでございまして、課長、主務、それから担当という直接的には四名の方が参加をされた。実際に実務を担当された方は担当のお二人で、それを主務、それから課長というふうにチェックをしていかれた、こういうふうに聞いております。
○山崎力君 そういった点が、残念なことですが、しなくても済めばいいわけですけれども、やはりそこまでやらなければいけない問題だろうと思っておりますので、今後ともその辺の個々それぞれの問題についてやっていただきたいと思います。
  そして、次の段階として、この温度計の設計について科技庁は審査の対象としていなかったということでございます。その理由。あるいは、次に当然の連想として出てきますのは、温度計以外の部材、部品についても審査の対象外になっているものがあるんではないか。特に今回のナトリウムに関しては、一次系、二次系含めた配管類に取りつけられているそういった機器について審査の対象外というものがほかにもあるんではないか、それは大丈夫なのかという疑問が出てくるわけですが、その辺のところはいかがでございましょうか。

○政府委員(宮林正恭君) 国の審査におきましては、原子炉等規制法に基づきまして災害を防止する、すなわち一般公衆の安全を確保するという観点から必要なものについて審査を行うということにしております。
  御指摘の温度計につきましては安全審査の対象とはいたしておりませんで、動燃の自主保安によって安全性を確認するということにいたしておりました。これにつきましては、報告書でも述べておりますけれども、今後は科学技術庁が審査、検査を行うということにいたしております。
  それから、御質問のございました点につきましては、温度計のさや管以外のものにつきましては、審査の対象となっていないものといたしまして、例えば配管についております流量計、それから圧力計といった計装品、これらにつきましては、この構造というものにつきましては審査をするという形になっておりません。それで、審査の中身といたしましては、性能及び数といいますか、員数と言っておりますが、そういうものを確認する。これは先ほど申し上げました災害の防止をするという観点からそういうふうなことのチェックをしているわけでございます。
  それから、あと主配管に接続がされておりますベント管、枝管でございますが、こういうものにつきましては、この主配管と接続をされております部分の溶接、こういうものについてはチェックをいたしておりますが、そのあと、ベント管の先端の方に至りますと、必ずしもすべてチェックをする、こういうふうな形はとっておりません。
  今回の「もんじゅ」の事故と同じようなことが起こるのではないかという心配があるという御指摘でございますが、これにつきましては今後「もんじゅ」の安全性総点検をやる、こういうふうなことにいたしておるわけでございまして、その中で十分「もんじゅ」のシステム全体の安全性を確認していくということにしたいと思っております。
  その中で、審査なり検査を政府としてやる必要がある、こういうふうなものが出てまいりますれば、当然そういうふうな対応をさせていただくというふうにしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○山崎力君 やはりさや管一つの欠損がこういう事故になったということを考えれば、ほかの機器についても強度的に大丈夫なのかということは、今度動かしました、次は流量計が折れてそこから漏れましたというのでは、これはもう話にもならぬわけでございますので、皆様方釈迦に説法だと思いますけれども、その辺の再点検、念には念を入れてやっていただきたいと思います。
  続いて、そういった全体の設計・工事方法の認可、審査、そういったことは科技庁の所管としてやられているわけです。例えばもう全体的な問題、強度計算その他のことをやられていると思うんですが、その場合のクロスチェックといいますか、これは動燃さんの方との絡みもあるんですが、そういったものをどうやって計算して大丈夫だよということを担保しているのかという点についてはどういうふうな形になっておりますでしょうか。

○政府委員(宮林正恭君) 今回の温度計につきましては審査をいたしておりませんので、一般的な考え方ということで御説明させていただきたいと思います。
  まずクロスチェックでございますが、行政庁が審査をいたします際には、必要に応じて傘下にございます日本原子力研究所、こういうところなどにお願いをして、あるいはそれ以外の機関ということもございますけれども、いろいろとコンピューターでチェックをしていただくというふうなことなどをやっております。
  それからまた、いわゆるダブルチェックというシステムによりまして、原子力安全委員会におかれましては政府のやりました行政庁審査の中身についてもう一度チェックをされるというふうな構造になっております。
○山崎力君 動燃の方々にお伺いしたいんですが、今回の報告書では一義的な責任は動燃にありますというふうな形になっておると受けとめております。
  それで、中間報告書が出ているわけですが、そのことについて動燃として一義的な責任、当然いろいろお感じになっていると思いますが、その辺についての御所見を簡潔にお伺いしたいのと、それから、動燃として動燃内部の反省を踏まえた報告書をつくるお考えがあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

○参考人(近藤俊幸君) 動燃は「もんじゅ」の設置者でありますので、設計から施工、保守に至るまで責任があると考えております。今回の事故については重く受けとめております。
  それから、動燃としての報告書でございますが、せんだって六月七日にやりました再現実験等を今解析中でございますので、そういうものも含めて報告したいと思っておりますので、まだ時間をいただきたいと思っております。
○山崎力君 私がこの問題で一つひっかかっているといいますか、今回の動燃さんの対応の中で、残念なことに唯一の犠牲者が動燃から出られた。しかも、それは今回の事故に直接関係している部署の方が責任を感じてという形ではなかったということがございます。そういう動燃の報告書といったたぐいのものを出されるとした場合、その犠牲者の、自殺された方の理由、原因、そういったものも調べなければ動燃の体質をみずから点検するということにならないのではないかというふうな意識を持っておるんですが、その辺についての調査をなされておりますでしょうか。また、その辺を報告書の形で公表するお考えがありますで
しょうか。

○参考人(中野啓昌君) お答えいたします。
  大変残念なことに西村次長を失ったわけでございますが、私どもとしましては職制を通じまして、人事部を中心にして彼の死に至った原因を調査いたしております。
  ただ、御案内のように、この趣旨の原因といいますのはかなりプライバシーに関連した事項が多うございますので、今先生の御質問にございました報告書の中にどういう形で入れるかということについては、十分検討して考えたいというふうに思っております。
○山崎力君 プライバシーの点は当然でございますけれども、いわゆる動燃の組織として彼の死に与えた影響のある部分があれば、その辺のところは最低限明らかにしていただきたいと御要望申し上げます。
  続きまして、原子力安全委員会の方に質問を移らせていただきますが、原子力安全委員会はどのような役割と権限を持っているのか、そしてそれに伴う責任はどういうものであるのか。特に、安全審査についてはどのような形に置かれているのかということを御説明願いたいと思います。

○説明員(都甲泰正君) お答えいたします。
  原子力安全委員会の役割は、原子力基本法等に基づきまして、安全確保のための規制政策、それから核燃料物質及び原子炉の安全規制、さらには原子力利用に伴う障害防止の基本等に関しまして「企画し、審議し、及び決定する」こととなっております。
  また、行政庁が原子炉施設の設置許可等を行う場合には、原子炉等規制法に基づきまして、原子力安全委員会の意見を聞きましてこれを尊重することとされております。
  これらに基づきまして、所掌する行政庁におきまして原子炉施設の設置許可等に関する安全審査が行われました後に、原子力安全委員会がその審査の内容について、必要な技術的能力があること及び災害の防止上支障がないことについての基準の適用が妥当であるか否かということに関しまして、客観的な立場からダブルチェックを行っているところでございます。
  また、設置許可に関する答申に際しましては、必要に応じまして、原子炉等規制法に基づいて行政庁の行う設計及び工事の方法の認可あるいは電気事業法に基づいて行政庁が行う工事計画の認可以降の段階で特に留意すべき重要事項を摘出いたしまして、その処理方針について行政庁より報告を受け、審査をしておるところでございます。
○山崎力君 そういった概括的なお仕事の中で二点お伺いしたいと思うんですが、一点は、今回の「もんじゅ」の事故防止という点から原子力安全委員会として反省すべき点はなかったのかどうか。原子力安全委員会の仕事の内容から見て、ここを注意していればさや管その他あるいはマニュアルの面で改善の余地があったのではなかったかという点が一点でございます。
  それから、こういう全体的な安全審査の中で、これはちょっと発想が飛ぶんですが、先ほどの河本先生の中にもありましたけれども、いわゆる阪神・淡路大震災のときのように想定が、前提が狂っていた場合、例えば震度六しか来ないだろうと言っていたのが七来てしまった。こういった場合のチェックというものは、これは具体的なものをやる人たちにとっては不可能なわけでございます。そういった根本的な計数の定め方、そういった点で安全委員会というものの役割は非常に大きいと思うんですが、そういういわゆる事故想定といったものについての考え方が今回の「もんじゅ」その他について変わってきている部分があるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○説明員(都甲泰正君) 最初の御質問でございますが、今回の「もんじゅ」事故にかんがみまして、安全審査のやり方その他について反映すべきところはないかという御趣旨かと思うのでございますが、この点に関しましては、現在「もんじゅ」事故調査を行っております原子力安全委員会のワーキンググループといたしましても、その点を含めまして現在検討を進めていただいておるところでございます。
  また、原子力安全委員会といたしましても、特に研究開発段階の原子力施設の安全確保に関しまして、安全審査でございますとかそれに続く後続の安全規制段階、その他いろいろな安全確保の方策全般につきまして現在検討を行っておるところでございまして、今後、これらいろいろな調査活動の結論を得た上で、安全委員会として最終的な見解をお示ししたいと考えておるところでございます。
  それから、第二番目の御質問の事故想定が妥当であったかどうかという御質問に関しましても、これは「もんじゅ」の安全審査段階のときの事故想定が妥当であったかどうかという御質問の御趣旨かと思いますが、今回の大洗におきます実験結果あるいはこの「もんじゅ」の事故の原因調査等を踏まえまして、これも同じく今後検討を続けてまいりたいと思っておるところでございます。
○山崎力君 最終報告にそういった形のものを明確な形でお示し願いたいと希望申し上げます。
  ところで、今回の問題というのは、私個人の発想だけではないと思うんです。昨年来、阪神大震災で、例えば高速道路のあれが落ちる、新幹線は幸い通っていなかったからいいようなものですけれども橋脚が落ちる、あるいは大丈夫と思われていたビルが使い物にならなくなる。あるいはエイズの問題で、これを使えば死人がかなりの確度で出るであろうという薬剤を長期間行政が放置していたという結果を招いている。そして、今度の「もんじゅ」の事故もそういうことだろうと思うんですが、いわゆる科学技術と申しましょうか自然科学の分野において、そういったものを知っている人、ハンドリングできる人というのは一般的に限られる、専門知識を有するという問題があろうかと思うんです。
  一般の文科系の大学あるいはそういったものをやってこられた方が、行政庁としてそういった専門知識をどう国民に対して使っていくのか、システムをどう構築していくのかということが、そういった関連の行政庁としては非常に大切なことではないかと私自身思っております。
  それが破綻を来したのがある意味ではこの三つの例ではないだろうか。これは、これからの科学の時代、科技庁全体の行政の中でいつも振り返らなければならない問題でもあろうかと私自身は思っております。そうした中での行政の仕組みというものが、今回の科技庁においては「もんじゅ」の事故に対応してどのように再点検あるいは再構築していかなきゃいかぬのかということを考えているわけですけれども、その辺に関する大臣の御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(中川秀直君) 先ほど来、御質疑を賜っておりますけれども、「もんじゅ」の安全確保についての設計、施工、運転、保守等すべてにおいて、まず第一義的な安全確保の責任というものは、これは原子炉設置者である動燃の責任というふうに法律上もなっておるわけでございます。
  また、国の方は、それに対して災害を防止する、公衆の安全を確保するという観点から所要の規制を実施する、安全規制をする責任を持っておるわけであります。その国の方にも行政庁としての科技庁、そしてまた独立した第三者機関としての安全委員会、この両方がダブルチェックをしながらやっていくという体制になっているわけでございます。
  また、こういう施設をつくるメーカーあるいは建設会社等々も、これは発注者である動燃の監督下において機器、設備の設計、製作、施工、保守等を厳正に実施していく責任がある、このように考えております。
  こういった国や動燃、メーカー、それぞれがみずからの責任を果たしていくと、それがすべて一〇〇%あらゆる努力を加えてなされまして初めて安全が確保されるシステムだ、こう言えると思うのでございますが、今回の事故を顧みて、このシステム全体、これまでの体制、やり方が本当に十分であったかということを顧みてみますと、やはり十分な点でなかったという点もある、このように私たちは謙虚に真摯に受けとめていかなきゃいかぬと思います。
  そこで、この事故を教訓として一層もっと実効性のあるいろいろなことをしなきゃいけないということで、私どももまた安全委員会におかれても御検討いただいているんだろうと思いますし、私どもは何よりもまずその責任を感じなきゃいかぬと思っております。動燃においても自主保安あるいは品質保証活動等々において一層責任を感じて今お取り組みをいただいていると思います。私ども自身も、安全性総点検の中で設備あるいは保安規定、マニュアルについても今後は審査の対象に拡充をしてまいりたいと思いますし、また、そのようなことを通じまして、より適切な安全確保に努めてまいりたい。
  最後に申し上げますが、私は、放射能災害を起こさないという点においては、我が国の原子力関係者の今日までの努力はある一定の評価は与えられていいと思います。しかし、それにふさわしい市民からの理解、国民からの理解が得られているかというと必ずしもそうではないと思います。それは、やはり今委員いろいろな他のことについてもお触れになりましたが、一層透明性を高めていく、そしてわかりやすく、そして正確に御説明をして御理解を得るという努力が欠けていたからではないか、このように考えております。
○山崎力君 御答弁のとおりのことであろうと思います。特に民主主義的な行政においては、その権限と責任の所在の明確化が必要であるという点と、その政策決定の過程が透明性を保っているということが一番の問題であろうと私自身思っております。
  いろいろな訴訟も起きております。その中で関係者が言っているのは、決定後の数字は出てくるけれども、その数字がどういう計算式に基づいて出てきたのかというところがどうも我々に明らかになっていないという不満も聞かれております。もちろんパテントとかあるいは安全保障上の問題で明らかにできない部分はあるかもしれませんけれども、逆に言えば、そういった点を指摘することによってオープンにできないということも私は情報開示の一つのあり方ではないかと思っております。
  次に移りますが、これは最終報告書、先ほど河本先生の方からもありまして、まだ時期は決まっていないということでございますが、私どもの感覚からすれば、最終報告に基づいて対処が決まるとなれば、当然八月の概算要求には間に合わぬと、その報告書が出ない段階での対処方針は出ないわけでしょうから。そうすると、再来年度、十年度の予算にこういったものの対処方針が出てくるのかなというふうな感じでおります。
  その点について、さや管一本でこれだけの巨大なシステムがストップしている状況で、非常に言いにくいことですけれども、その影響というものは金額的に見れば莫大な損害を動燃さんに与えている、あるいは動燃さんは国民に対して損害を与えているということになっております。最終報告が出るからこれはまだ別として、その費用の負担について、例えば動燃さんはその製造者あるいは契約者に対して損害賠償をするお気持ちがあるのかどうか、その点を確かめたいと思います。

○参考人(中野啓昌君) 先生お尋ねの、今回の事故に関連してメーカーに損害賠償する気があるのかどうかというお尋ねかと存じます。
  先生も御案内かと思いますが、最近の新聞に出ておりましたけれども、メーカーはさや管に対するナトリウムの流れによる振動及び応力集中を回避することができなかった温度計の設計に問題があった、メーカーの設計上のミスであったということを認めております。
  こういうことを前提にいたしまして、現在、原因究明で残されました部分を私ども解明を進めるとともに、現場ではいわゆるナトリウム漏れによって、ナトリウムのエアロゾルによって機器類がいろいろ影響を受けておるわけでございます。そういった影響調査を進めている段階でございまして、責任分担等につきましては、これらの解明、調査がなされてから総合的に判断されていくのかなというふうに考えております。
  したがいまして、損害の賠償をメーカーに求める措置につきましては、それらの解明が済んだところで協議していきたいと思っております。
○山崎力君 その損害の程度というのをどこまで見積もるかということは、これまた技術的な問題であろうかと思います。
  ただし、少なくともメーカー、製造者、設計者、これがどういった形になるか、東芝さんなのか石播さんなのか、その辺は別といたしまして、動燃が頼んだ部品の設計ミスによって事業に重大な影響が出た。またその部品を使ったものがもう使えない。その損害によってほかの機器類にも影響が出た。単純に考えても、それの取りかえ費用だけでも膨大な金額になるということは想定つくわけでございます。
  それと同時に、算定不能なものとして、このプルトニウムを利用する高速増殖炉の計画自体が年の単位でおくれたということに対する人件費とか将来への影響ということを考えると、まさにそれは算定不能な額になろうかと思うのでございます。
  納税者サイドから見ますと、動燃さんの事業主体というのはほとんど税金だというふうに私どもは理解しております。ということは、今回の損害は少なくともメーカーかあるいは国民の税金かで賄われなければならないということが現実かと思います。
  その点について、再度でございますけれども、確かに損害賠償をするとすればその金額の特定、そしてその理由というものを明らかにしなければ裁判にはならないと思いますけれども、現実に今そういったものでこれだけは最低限問題があるというふうなところということの問題点。言い方がまずかったと思いますけれども、少なくとも動燃がクロスチェックを怠ったことによる動燃側の過失というものと、それからつくったという製造者、メーカー側の過失というものとの関係をどういうふうに考えておるのかということで訴訟自体が変わってくると思いますけれども、その辺についてはいかがでございましょうか。

○参考人(中野啓昌君) その辺につきましても今原因を調査している中で、メーカーとの間でどの段階でクロスチェックを怠ったのかということも再確認しつつ話を進めていきたいというふうに思っております。
○山崎力君 お金の問題ばかりで非常に恐縮なんですけれども、これは、こういった物事に対する将来の科学技術、あるいはそういったものの事故のリカバリーについてかなり大きな問題になろうかと思いますので、その先例という意味からも、国民の側に対してその辺の事情を明らかにしていくという態度をこれからも続けていただきたいと思うわけでございます。
  そういった点から見ますと、この「もんじゅ」の安全対策全体、あるいは運転再開をするための必要な経費、こういったものは私どもからすれば一民間企業が負担するような、幾ら巨大な民間企業であれその一社ですべてを賄えるような金額ではないというふうに私は想像しております。ということは、この「もんじゅ」再開が、原因究明が明らかになりあるいは民間会社の負担割合が明らかになった後でも、国として科技庁として、国民に対してこれだけの予算をお願いしたいという事態が、恐らく長官在任中ではないと思いますけれども、出てくると。そういったときに、この事故の原因調査をやっているときの担当大臣として長官がどのように引き継いでいくかということが役所として重要だろうと思うんですが、その辺の考え方を大臣、最後にお聞かせ願いたいと思います。
  それからもう一つ、先輩政治家に対しての質問として、こういった技術者あるいは科学技術という将来の日本を変えるかもしらぬ、あるいはどういうふうになるかもしらぬという、何というんでしょうか、未知の世界の問題に対して、政治家として国民を代表してどう監督といいますか指導していくかといったことは極めて重大な我々の課題だろうと思っておるんですけれども、その辺についての御所見もお答え願いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(中川秀直君) 第一点のお尋ねでございますが、これも確かに先ほど来委員みずから御指摘をいただきましたけれども、今私どもが置かれている状況というものは、今回の事故の原因究明を徹底させるということ、そこから何が必要かということをまずデスクワークではございますけれども明らかにして摘出をする。そして、まず地元の方々を初めとした国民の皆様に経費の問題は別として安心していただける状況をつくり出していく。その段階で初めて高速増殖炉の議論を、今円卓会議等でもエネルギーの問題あるいはまた安全、環境の問題、すべてもろもろを含んで御議論をいただいている、そんな御議論を踏まえながら、初めて運転再開の議論がその段階から始めさせていただけるということで、今直ちにそういう議論を前提とした予算の編成とか要求とかいうことはなかなかできることではない、このように思っております。
  平成八年度予算、実は政府案ができますときは事故の直後でございましたが、その段階におきましても、この八年度予算でも事故が起きた直後、わずか一カ月もなかったわけでございますけれども、その辺多少調整をしたようでございます。
  平成九年度予算の要求等あるいはまた編成等に当たりましても、まだ方針は未定でございますけれども、いずれ、この調査に必要な経費というのはあると思いますし、実験等に必要な経費もあると思います。あるいはまた、それとは別に現にプラントは存在するわけで、直ちに安全措置を講じなきゃならない点もあるかもしれません。そういう意味での経費はまたお願いしなければならないことになるかとも思われますが、いずれにしてもその辺はこれから議論をしてまいるところでございます。
  そして第一点目の最後として、いずれにしても、この安全対策あるいはその運転再開等に必要となる経費が将来算出をされてきた場合、そしてまたそれを予算計上される場合には、当然のことながらその内容を、先ほど透明性の確保と申しましたが、国会にあるいはまた国民の皆様にできる限り明らかにして、そしてまた国会において各般から御審議を賜るということが必須のことであろう、このように考えております。
  それから最後の、第二点目のお尋ねは、これも非常に大きな問題でございまして、直ちにこうでございますと申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、確かに未来に対する挑戦という部分においては勇気も持たなければならぬと思います。
  この前、アリアン5という衛星が、ヨーロッパ連合でございますが、ESAにおいて打ち上げられまして失敗をしました。これ約四トンのものを上げる、日本のHUロケットよりも倍の能力を目指しているもののようでございますが、その後のESAの声明等を見ますと、反省すべき点はきちんと指摘していますけれども、我々は必ず成功するんだ、非常に自信を持って信念を持ってやるんだということをこの声明で発表しております。すべての関係者の技術を凝縮し、政治、技術及び産業当局の意思と団結を結集しているから我々は必ず成功すると確信している、こういうことを言っております。そういう点も持たなければ、研究者、技術者は一層前に進んでいくことはできないと思います。同時にまた、それが常に国民に開かれた形で御理解をいただきながら、そして御納得をいただきながら進められていくためには、常に評価もいただき、そして透明性も確保し進められていくべきものではないかなと、こんなことを、今ぱっとお尋ねをいただいたことでございますので、思い浮かんだ次第でございます。
(後略)