質問「中国の現状と香港返還後の見通し

(平成9年2月12日参議院国際問題に関する調査会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 今、最後の竹中先生の発言の中にもありましたのですが、三先生の今までのお話の中で一番の前提条件になることに関してちょっとお伺いしたいと思います。
  というのは、いろいろ地域間競合とか地域間格差が出てどうなってくるか、雁行した発展形態がそのままいけばいいんだけれども、それがうまくいけば楽観論につながるという前提のもとに、そこのところが問題になったときにどうなるかということについてのお話は具体的に出てこなかったと思う、それが悲観論につながることだろうと思うんですが。その中で竹中先生は、政治が足を引っ張ってこなかったことが結果的に非常によかったとおっしゃっていたんですが、この政治という面を見ますと、やっぱり一番最初に来るのが香港返還に伴う中国の問題だろうと思います。
  そして、中国自体がこれから我々の経済社会の中にスムーズに入ってこれるのかどうか。要するに、中国の地域間格差というものを中国がうまくまとめてこれから入ってくるかどうかということが、将来的に問題視するときに一番のリスク要因と考えられるのではないかというふうに感じました。その点についての三先生の将来の見通しを含めた考え方をお示し願えればと思います。
  もしこれがまずくいきますと、今まで先生方のおっしゃられたいろいろなことは、すべてパアになってしまうというか烏有に帰す可能性も十分あるなと。特に香港の問題が、これは中国内乱とかなんとかというクリティカルな問題でなくても、中国政府が香港をこれからどうするのかという、ここ四、五年の間に返還後出てくる変化で大きく変化する要因にもなりかねないというのが私の考え方なんですが、その辺についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。

○参考人(長谷川潔君) ポイントをつかれた御質問だと思います。
  返還後の香港がどうなるかというのは、なかなか今の時点では非常に予測しづらいものがあります。中国がこの運営に失敗すると、先ほど竹中先生がおっしゃられたように局地経済圏という形でも周りの地域と結びついておりますし、また中国そのものの成長が低下していけば、やはりNIESに対する波及も考えられるということで、適切な御質問だと思います。
  これをどう考えるかということですが、まず香港の運営をどうするか。これは、私自身いろんな人に聞いてみるんですが、本音のところはよくわからない面があります。ただ、中国として確実なことは、やはり香港の発展をそのまま継続させるような形でマネジメントしたいということを中国は考えております。
  ただ、それがどのような種類の統制、コントロールを加えるか。今見ておりますと、情報面、それから民主化のレベル。英国がいろんな、中国側にすれば非常に怒りが込み上げてくるような格好で返還間際にばたばたと民主的なことを制度としてつくったわけです。今まで何十年とやってきた歴史の中で民主主義の政策なんかなかったというのが香港あるいは中国側から見た本音であります。それが、返還する前にばたばたといろんなことをやって、それで、今中国は、ある意味で中国国内の法律との整合性をとるために少し後ろへ後退させるようなことをやっているのが現状だと思います。
  そして、現象的には、イギリスが引き揚げ、そしてイギリスにかわって中国に対して香港問題で文句を言うのはアメリカだという形になりつつあります。実際、台湾問題だけではなく香港問題に対するアメリカの発言というのが、これからかなりウエートを増してくるだろうと思われます。
  そして、中国が国際社会にうまく入ってこられるのかということなんですが、実際、経済面ではもう既に国際社会にどっぶり入っているわけです。貿易の規模を見ましても、もうこれはWTOに早く入れた方が世界の利益になるという気が私どもはしますけれども。その意味では、アメリカと中国の関係が今後どうなるのか。
  私どもの新聞で「米中時代」という連載を、昨年の八月ごろから何回かに分けてシリーズでやっておりますけれども、その実態を見ますと、米中というのはビジネス面では物すごく、こんなにまで結びついているのかというところまで行っています。航空機の問題しかり、これはボーイングが筆頭ですが、通信ではモトローラががっちり入り込んでおります。そして、金融証券システムをつくるのは、アメリカがコンサルタントに応じてアメリカの制度をそのまま、アメリカの標準を、アメリカンスタンダードを持ち込もうとしている。
  そして、確かにアメリカと中国の間には人権、民主化、もちろん通商問題、昨年では月ベースで見ますと何カ月かは対米赤字の最大の国は中国だという事態になっております。通商摩擦がしたがって起きてくる。それから、武器拡散とか麻薬の問題。麻薬の問題は、雲南省あたりから香港を通じて出ていくというようなことで、アメリカはかなり神経をとがらせております。そういったいろんな問題を抱えているけれども、アメリカとしては、どうも中国とこれからうまくやらないと世界は安定しないということに基本的には考え始めた。
  例えば、クリントン大統領が、APECに参加する直前にオーストラリアでクリントンのアジア・ドクトリンといいますか、そんな声明を発表しております。アジア政策を発表したんですが、その中の表現の仕方を見ますと、中国と協力することは非常に生産的であり建設的であるという言い方で、まずそうやって言い切って、その次にオールゾーという接続詞を持ってきて、中国との間では人権問題とか民主化問題とかいろいろな小異はあるという言い方をしています。
  そして、APECの江沢民さんとクリントンとの会談で、相互に訪問しましょうというところまでいったことを見ますと、三月にゴア副大統領が北京に行きます、クリントンさんはまだ一回も北京に行っていないわけなんですが。そうやって年内に訪問するか、ことしのカナダでのAPECに江沢民主席が行って、それから多分その前後にワシントンに行くと思うんです。
  その後、クリントンさんが年内かあるいは来年になるかもしれませんが訪中をする、こういった枠組みのつくられ方を見ていきますと、戦略的に基本的なところではお互いに提携をしましょうという関係になりつつある。そして、言えることは、ビジネスが先行していたのですが、政治がその後を追い始めているというのが今の米中関係だろうと思っております。
  先ほどの質問に戻りますが、中国がうまく世界の経済の中に入ってこれるかどうか、これは当面現象的にはアメリカによるところが非常に大きい。私自身はWTOへの参加を早く認めていくべきだろうというふうに思っております。アメリカは、それをカードにして貿易面でのいろんな譲歩を得ようとしたりいろいろしておりますので、少しまだ時間はかかるかもしれませんが、これはしかし世界経済全体にとっても、今の中国の大きさから考えますとそうしていった方がもちろんいいだろうと思っております。
  また、中国の最大の問題である地域間格差、地域内の経済格差、これをどう解決するか、と同時に国有企業の問題が中国は非常に大きな問題になっております。病院から学校から全部国有企業に併設されていて、社会政策的な面倒まで国有企業が見ていた。それを切り離して外資と同じレベルで競争させていくには、本来社会政策を中国政府自体が用意した上でやらないとおかしいんですが、用意しないまま切り離そうという動きもあります。
  したがって、この面でも中国の国内が少し混乱する可能性はあります。ただ、ことし秋と言われております、九月末ごろか十月ごろだろうとは思いますが、五年に一回の共産党大会で江沢民体制が基盤を固められるかどうか、固めた上でいろいろそういった内政の問題をやっていくことになるだろうというふうに思っております。
  お答えになったかどうかわかりませんが、中国をうまく国際社会にエンゲージあるいはコミットさせていくという方向は、これはもうぜひともアメリカを先頭に日本も後押ししていく、日本はもう後押しする姿勢を見せておりますが、これは正しい方向だと私自身は考えております。
○参考人(広野良吉君) 二つだけその点について申し上げたいと思います。
  特に、東南アジアに行っておりまして思うのは、中国に対する見方がどうしても二つ出てくるという点です。
  一つは、やはり市場としての中国、あるいはまた投資先としての中国一これは非常に大きな魅力があるわけであって、東南アジアのいろんな企業あるいは政府の方々も中国の経済的な意味での魅力、これは非常に高く評価している。これは、アメリカもそうですし日本もそうだと思います。
  ヨーロッパもそうだと思います。しかし同時に、ちょうど中南米諸国にとって、かつてアメリカが巨大な北の国ということで脅威であったと同じように、東南アジアの方にとっては中国というのはやっぱりもう一つの脅威の面も持っている。その脅威の面というのは次の四点で脅威の面であるわけです。
  一つは、経済的に脅威である。
  やはり中国は、あれだけの膨大な労働力を持っておりますし低賃金であるわけですから、世界市場において今後どんどんと経済的に出てくる。中国自身の大きな経済力、これが競争力となってあらわれてくる、これは現にもうそういう状況が出てまいっております。これをどうするか。あるいはまたエネルギー問題ですね。中国はこの状況を続けていきますと、必ずエネルギー不足の問題が出てまいります。このときに、例えば原子力発電その他が出てくるわけですけれども、あるいはまた食糧の問題、こういうことで経済的な面でのもろもろの角度からの脅威があるということ。
  それから、第二番目には環境の問題です。
  現在のような状況を中国がやっていきますと、これは東南アジアの諸国にとっても大きな環境的な脅威になります。具体的に一つの例を申し上げますと、これは雲南省の例です。雲南省は、雲南省自身の開発のために、雲南省を流れているメコン川ですね、あのメコン川の水力を使って発電するということをたくさん計画し、現にもう始めました。
  ところが、このメコン川というのは国際的な河川です。それで、中国が雲南省でもってそういうことをどんどんやりますと川の水量が大きなインパクトを受けます。その下流地域にある国は何であるかというと、当然それはタイでありラオスでありカンボジアであり、そして最後はベトナムです。
  御存じのように、私自身もエカフェにおりまして、昔メコン川を担当いたしましたけれども、このメコンの、特にベトナムとかあるいはカンボジアの方々からすると、タイが水力発電をやるだけでも大きな影響があるのに、ましてや雲南省で中国がどんどん自己のエネルギー、電力を満足させるためにやりますと、実はメコンのデルタに水が逆流してくるわけですね。すなわち海水が入ってくるわけです。海水が入ってくることによって、あのメコンのデルタのすばらしい米作地帯、これが全部被害を受ける、完全に被害を受けるわけです。
  それですから、中国のやることが、中国は確かに自分の利益のことを考えてやるけれども、それが非常にメコン川下流の諸国に大きなインパクトを与えますので、私たちは今中国に対して自制するようにということを一生懸命に言っている最中です。これはメコン川の委員会でもってやっております。
  もちろん、日本の環境庁もエコ・アジアというのをやっておりまして、これはもうことしで七年目になりますが、エコ・アジアを通じてできるだけ中国に環境問題を考えてほしいということを言っております。
  また同時に、日米のコモン・アジェンダというのをつくりまして、コモン・アジェンダの中では環境問題をやっておりますので、その環境問題をもちろん中国との関係で扱うという方向で、この前、橋本総理もそういうような発言があったやに聞いております。
  それから、第三番目の大きな脅威は民主化の問題です。
  民主化がどんどん進んでいけば脅威にならないんですけれども、果たしてそれがどうなるかということ。これが、もし下手をして中国の中でそれが進展しないことによって何かの政治的な不安が出てくると、これはやっぱり当然東南アジアにも大きな影響を与える。もちろん日本あるいはその他周辺諸国に影響を与えます。
  それから、最後に軍事です。
  これは先ほどからも出ておりますので、私はもう申し上げませんが、中国の持つ膨大な軍事力、これはやはり非常に脅威であって、軍事費を今世界のあらゆる先進国は削減しておりますけれども、大変残念ながら中国は削減するどころか近代化ということで拡大しております。いろんな理由があるでしょうけれども、やはりそれが脅威になることは事実であって、そういう意味ではARFとかあるいは国連とかその他いろんな場を通じて、何とかしてこういう脅威を少なくするようにすることが重要ではないかと思います。
  それから最後に、この問題は非常にデリケートですので、私はこのことについてどうお話ししていいかわかりませんが、ただ、先日私は台湾に行ってまいりました。台湾に行ってきて、これはネイティブといいますか、台湾の一般の大衆のことであって政府のことじゃありません、台湾の人々といろいろ話をしました。かつて日本で教育を受けた人々とかいろんな方々とお話ししたわけですけれども、日本の大学、高等商業学校、いろいろ出た方々です。
  そういう方々と話していましてわかったことは、やっぱり台湾の人々は、何とかして台湾の人々が本当に安定した生活ができるような状況をつくってほしい。自分たちとしてはやるけれども、何せ国際環境が非常に影響する台湾ですので、その台湾に対して、どういう格好か知りませんけれども、何らかの形で台湾の方々が安定した生活ができるということが非常に重要ではないか。その面で日本はやっぱり中国とよく話し合って、そういう面での何かをすることが台湾の人々に対する一種の恩返しにもなる、こういうふうに考えております。
  どうもありがとうございました。
○参考人(竹中平蔵君) 今の広野先生のお話の中で雲南省の話が出ましたけれども、私もその雲南省からメコンのあたりを少し前に見てくる機会があったんですけれども、例えばラオスという国は、メコン川の流域開発が今のままでいけばインドシナのクウェートになるというふうに言われるわけですね。これは、川の落差が一番大きいのがラオスだそうで、したがってそこで電力をつくることが本来ならばできて、エネルギーで生産を高めることができるという意味でクウェートになる可能性があると。
  しかし、それも上流で中国がどのような対応をするかだということで、やはり中国がどうなるかということは御質問のとおりで、大変大きな問題になっているわけだと思います。
  まず、香港の話から少しさせていただきたいのですけれども、香港を見る限り、やはり香港そのものが少しずつ変わっていくということは、これはもう間違いないのではないかと思います。
  アジアの発展のパターンの中で、例えば政府の役割が重要だ云々という話がありましたけれども、実はその唯一の例外が香港であったわけです。
  香港は、御承知のように積極的非介入主義というのを建前として、むしろもう何もしないということを政策のメインに打ち立てていた。ところが香港は、一九九二年に元の財務長官が、積極的非介入主義をもう取り下げるという発言を既にしています。その意味でいいますと、やっぱり中国に戻るということを前提にして、政府の役割というのをむしろ少し強化していくという方向にこれは明らかに変化しているわけです。
  香港については二つの変化があるのではないかというふうに思います。一つは、これは香港の変化というよりは、中国政府自身が香港と上海の役割分担をどこかで明確にしていくだろうということではないかと思います。
  香港は、アジアの金融の中心地としての役割をもちろんこれからも担っていく、それが中国のメリットでもあるわけですけれども、その一部をやはり近い将来、多分新しい機能は上海にやらせるというようなことが一つの政策として考えられているように思います。その意味でいくと、香港の金融のセンターとしての位置づけというのは、相対的に低下する可能性があるというふうに私自身は思います。もちろん、すぐそんな大きな変化が起こるということではありません。
  もう一つ考えられるといいますか、私自身がわかりませんのは香港ドルの価値がどうなるかということであります。
  御承知のように、香港ドルは香港の二つの民間銀行が発券するわけでありますけれども、実は発券するに当たって、今それと同じ額のドルを積んでいます。完全にドルリンク、つまりドルの紙幣を出すかわりに別の紙幣を刷って出しているわけで、まさにドルがもう香港の通貨に今なっているわけであります。
  しかし、中国に戻った後、この通貨のシステムがそのままで本当に長期間続いていくのだろうかということに関しては、地元の金融専門家の間にもさまざまな意見があるようです。そうしますと、ドルの裏づけがあったから香港ドルというのは安定するわけでありますけれども、それが違ってくると香港ドルの価値そのものが変動すると。これは、幾つかの大きなマクロ経済的なインパクトを与える可能性もあるわけで、その点についての不確定要因が当面あるということではないかと思います。
  ただ、いずれにしても、香港の役割が当面大きく変わるということはないわけでありますけれども、少しずつ変化が出てくるというふうに考えておいた方がいいと思います。
  さて、中国の問題なのでありますけれども、中国が今の政治と経済のある意味での矛盾をいつまで抱えていくんだろうか。これは、ある意味で永遠のなぞでありまして、私自身もわからないことだらけであります。
  ただ、ちょっと幾つかロジックをたどっていくと、中国の経済の発展政策というのは、やはりこういった発展政策をとるというフレームワークを何か示してきたわけではなくて、ある意味で非常に地道なと言いますか、目の前の成功事例を積み重ねて今日まで来ているということではないかと思うんです。
  その結果、どういう効果があったかなかったかということなんですけれども、中国の農村人口は八億だというふうに言われています。ところが、中国のいわゆる農耕地面積というのは全体の七%ぐらいしかない。七%の面積しかないところに八億の人間がいて、そのうち労働力人口が四億人いるわけですね。しかし、この七%の土地には四億人も要らないわけです。一億人でできるというふうに言われているんです。したがって、三億人が余剰人口であった。
  では、そのうち何が起こってきたかというと、いわゆる開放政策の中で生まれてきた郷鎮企業で今のところ約一・三億人、一億三千万人はそれに吸収されているというふうに言われています。したがって、残りが一・七億人、これをどのように吸収していくかというのが実は経済政策上の大きな問題になっている。
  しかし、これはとりもなおさず、一・三億人の人は既にそれによって大きな経済的な利害を持っているということです。つまり、開放政策によって直接利益を得ている人がこれだけいるということでありますから、開放政策は容易には後戻りしないんだという言い方がされますけれども、これ
はまさしくこの一・三億人という数字の中に裏づけられているということになると思います。しかし、一・七億人は余剰でありますから、その意味で中国は開放政策において明らかに今曲がり角を迎えている。つまり、今までのような形での経済開放特区を続けるというような政策は、これはもう明らかに変化しつつあるというふうに考えていいと思います。
  したがって、問題になるのは、そこで次の新たな成功事例をどのような形で求めていくのかということであります。その点が実はまだ見えてきません。幾つかの説があるようでありますけれども、中国のいわゆる中堅クラスの都市、中堅クラスの都市といっても人口が二百万とか三百万の都市なわけですけれども、そういったところの経済発展を重視していくというのが今のところの意見のようであります。つまり、上海のクラスよりもう少し低いランクの、しかし大都市を重点的にやっていくということのようであります。
  実は、沿岸部と内陸部の格差という言い方がよくされるわけですけれども、どうも中国の最近のエコノミストに聞いてみると、問題は沿岸と内陸の格差というよりは沿岸地域の中での目に見える格差、内陸同士の目に見える格差、そういうところにむしろ問題があるようです。その意味での成功事例をいかにつくっていくかというのが、やはり中国に新しく問われることではないかと思います。その意味でいうと、やはり日本の投資がそういった中堅の都市に行って成功事例を助けるということが、日本にとっても意味のある重要なことではないかというふうに思います。
  もう一つ重要な点は、どうも最近の議論を聞いている限り、軍はこの開放政策をかなり強く支持しているということのようであります。一つの大きな理由は、開放政策の中で軍はさまざまな事業を営んで、それによって利益を得ているということです。つまり、自由化政策のメリットを最も受けている一つが軍であるという側面があった。したがって、これまたそんなに強硬な反改革の力が従来考えていたほどあるわけではないということだと思います。
  最後に、貿易の話でありますけれども、やはりWTOへの加盟というのは中国にとってはぜひとも必要だし、日本やアメリカにとっても重要な課題であります。つまり中国の貿易相手の既に八五%はWTOへの加盟国でありますから、中国にとってはその中にみずからが入るということはまさしくメリットがある。
  そのときに、問題はどの程度バリア、障壁を高くして、中国に世界のグローバルスタンダードを受け入れてもらうのかということではないかと思います。これについては、最近はどうもアメリカも余り高いバリアを設けない方がいいというような、これは短期的に非常に振れがあるようでありますけれども、意見になりつつある。その意味で、ことしは日中二十五年ということもありますけれども、非常に日本にとっても対中政策を推し進めるチャンスであるというふうに思います。
(後略)