質問「『ナホトカ号重油流出事故について』他

(平成9年2月26日参議院災害対策特別委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 平成会の山崎力でございます。
  まず、いろいろ運輸、農水その他ほかの委員会で取り上げられたことではございますが、ロシアのタンカーからの油流出事故についてお尋ねしていきたいと思います。その後、阪神大震災についても時間があれば質問させていただきたいと思っております。
  今回の事故というものに対して、いわゆる災害対策ということでいろいろ処置が講じられてきましたけれども、基本的にいわゆる災害対策と言う場合、自然災害をまず念頭に置いた法体系ではなかったかと。それが人為災害といいますか事故災害と言われるような場合に対して、どうこれをやっていくかということが今回の事故で一つの問題点を提起しているのではないかというふうな視点から質問させていただきたいと思います。
  まず、今回の事故に関して災害対策基本法に定める災害であるというふうな認定がなされたということですが、こうした事故災害の場合、どこでだれがどのような基準で災害と判断するのか、その点からお尋ねしたいと思います。

○政府委員(福田秀文君) 災害対策基本法上、災害とはどういうものであるか定義が置かれておりまして、一つは異常な自然現象により生じた被害、もう一つは大規模な事故により生じた被害、これの両方を災対法上は災害というふうに定義をしております。
  災害に当たるかどうかについて、例えば政府で認定するとかあるいは決定するとかというような手続の規定は置かれておりません。したがいまして、災害に当たるかどうかの判断は、国あるいは公共団体がそれぞれみずからの責務を講じようとするときに、これが災害に当たるかどうかをそのとき判断するということになります。
○山崎力君 そうなってきますと、一つの問題は、災害認定が行われれば何らかの財政措置等が期待できるということを地方公共団体、地方自治体は経験的に感じておるわけでございます。ですから、そういう点でいって、自然災害の場合はある意味において今までの経験則が行き渡っているというと非常に残念なことなんですけれども、そういったことで、これはこの程度の被害、規模の災害であるからこの程度のアシストといいますか援助がほかのところから、県なり国なりから期待できるであろうというようなことが現実に行われてきたわけです。
  今回、私が問題としたいのは、事故災害、人為災害の場合、そういった経験がほとんどの場合、国も含めてかもしれませんが、地方自治体にはなかったということがある種の対策上の、混乱とまでは言いませんけれども、ちょっと足を引っ張った嫌いがあったのではないかというふうに、報道等を通じて私は認識しております。
  そういった意味から、この災害が自然災害か事故災害か不明だった場合、どのようなまず対応が行われるのか。もし仮に対策本部が置かれるとした場合、今回の場合担当省庁が海上におけるタンカーという原因でございますから運輸省がというふうなことはスムーズにいきましたけれども、原因者がよくわからないといった場合、どこが主にまず対策に当たるのか。事故が、あるいは原因が当初の予定と違った場合どういうふうな対応を政府側としてするのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○政府委員(福田秀文君) 災害が発生した場合に初動対応が極めて重要なことは先生おっしゃるとおりでございまして、先生のおっしゃったことを繰り返しますけれども、地震とか台風、こういう自然災害の場合には、その初動時の対応というものはもちろん国土庁が中心となって関係省庁と一体となって対応してまいることになりますし、明らかなる事故による被害の場合には、原則といたしましてその事故にかかわりのある所管の省庁が中心となって関係省庁一体となって事に当たっていくということにしておるわけでございます。
  ただ、自然の災害なのか事故の災害なのか、当初の段階ではその災害の態様、状況、そういうものが十分に把握できないというようなことから所管省庁が明確でないという場合も無論あると思います。そういう場合には、初動対応というのは極めて重要であるという観点から、国土庁が中心となって関係省庁と連携しながら適切に対応していくということになると思います。
○山崎力君 お尋ねしたところで抜けているのが、ここが最初の所管庁だろうと思って、所管庁だろうというふうにして対応していたのが、自後そこのところではない。例えば、事故災害であっても、当初は運輸省の担当であったと思われるところが、あるいは通産の担当であったり建設の担当であったりということもあり得ますし、自然災害として国土庁が担当していたところが、原因が途中段階でわかって、これは運輸省の対応だということがあり得ると思うんです。その辺のお答えが欠けていたように思いますが、お答え願いますでしょうか。
○政府委員(福田秀文君) 自然災害であろうとあるいは事故災害であろうと、災害が発生した場合には、政府は明確な体制のもとで責任を持って応急対策を迅速に的確にやらなきゃならぬわけでございまして、途中で情勢が変わったということが、なかなか事例は難しいと思いますけれども、仮にそういう状況の変化があったという場合でも、やはり応急対策が極めて重要でございますので、応急対策に支障がないように継続的に適切に対処するということになろうと思います。
○山崎力君 その辺のところの今のお答えですと、明確な法律上の決まりはないと。例えば、自然災害だとして国土庁が主管庁だったのが、途中で運輸省の原因だったというようなことになった場合、運輸省が所管するのかどうかわからないと。
  その辺は適宜ということであろうというふうに理解して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
  今回の事故災害の場合、ほかの自然災害と性格が違うということは、おいおい私自身の解釈でやっていきたいと思っているんですが、その辺について、どうも財政援助という意味、対策上の支援という意味で防災対策の実施に当たる部分で、特に地方自治体において若干誤解があったのではないかというような気がしております。
  その点について、国土庁の今の御見解はいかがでしょうか。

○政府委員(福田秀文君) 今回のナホトカ号の事故災害に関連して、ちょっと法律の適用関係を最初に申し上げさせていただきたいと思います。
  災害対策基本法は、申すまでもなく広く災害対策一般を定めたいわゆる一般法、基本法というものでございます。そういう位置づけを持っております。この災対法のほかに、さらに災害の態様あるいは講ずべき対策の内容等々に応じまして個別の特別法が定められておるケースが多いわけであります。
  例えば、今回の海上における重油流出事故のような例につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律などが定められておりまして、これにのっとって事前の予防措置とか災害が起きたときの応急措置とか、あるいは責任のある者はだれかというようなことが書いてございまして、それに基づきまして、今回海上保安庁が中心となって応急対策が講じられてきたわけであります。
  また、責任のある者が費用負担をするということが出てくるわけでありますけれども、これにつきましては油濁損害賠償保障法等がございまして、船舶所有者から賠償また国際油濁補償基金からは補償がなされるというような体系になっておるわけでございます。
  災対法上の取り扱いについてでございますけれども、災対法は昭和三十六年にできた法律でございまして、地方公共団体の方では長い間にわたりまして災対法に基づきまして各種施策を講じてまいってきているところでございます。
  国土庁といたしましても、さらに今後、公共団体と密接な連携を保ちながらこの法律の適用の遺憾なきを期したいというふうに考えております。
○山崎力君 今御答弁願いましたけれども、昭和三十六年以来、地方公共団体は長い間とおっしゃいましたが、これはあくまでも自然災害に対する経験でございまして、今回のような事故災害についての経験は、地方公共団体には余りそういった意味で大規模なものはなかったのではないかということが私の考え方の中にございます。
  今も答弁の中にもありましたけれども、自然災害と事故災害、人為災害が一番違うところは何かといえば、私の理解では損害賠償、損害補償が違ってくるということでございます。自然に対して訴えるわけにはいかないけれども、事故災害、人為災害で原因者が明らかである場合、当然損害賠償という問題が生じるわけですが、その際のいわゆる被害者といいますか、そういった者に対する補償というものは法的にどのような対応になっているか。
  法務省の方からでしょうか、お答え願えればと思います。一般論で結構でございます。

○説明員(揖斐潔君) 一般的に、事故災害が発生いたしまして、それによって損害をこうむった方がいらっしゃるという場合につきまして、その被害者は、不法行為ということで民法七百九条の規定に基づきまして加害者に対して損害賠償を請求することができるということになっているわけでございます。
  この場合の、民法七百九条に基づいて損害賠償を請求するためには、第一には加害者の故意または過失ある行為により、第二に被害者の権利を侵害し、第三に加害行為により損害が発生したということが必要だと言われているところでございます。
  被害者としては、これらの要件を主張、立証いたしまして加害者に対して損害賠償を請求するということになるわけでございますけれども、こうした民事上の原則に対して、特別法が定められているという場合にはその特別法の規定に従った処理がされるということになるところでございます。
○山崎力君 そこで、今回のナホトカ号のケースに関して言えば、油濁損害賠償保障法及びそれに対する国際基金、それに関する国際条約によって定められた額は二百二十億円以上と言われておりますが、それが支払われるということがほぼめどがついている段階でございます。
  そして、その条約によれば、その費用というものは案分されて、被害額の特定というのは技術的に極めて難しいところがございますけれども、被害者に対して支払われるという形になっているというふうに理解しております。
  そこで、私が問題と考えておりますのは、どこが若干自然災害と違ってくるかといえば、この制度が今回できるとすれば、国ないし地方公共団体が防災事業に対してのいろいろな活動、例えば油を抜き取るとか道路をつくるとか、そういったものが対策費用として計上されてそれが被害額に算定されるならば、それをやればやるほど実際に被害を受けられた方々、一般の私人あるいは団体も含めて、その方たちの被害額が二百二十億円でおさまればいいんですけれども、超えた場合、やればやるほど取り分が少なくなるという特徴が、自然災害の場合と事故災害の場合と違ってくるということだと私は思っております。
  案分比例ですから、国がかかった費用、その分かかればかかるほど国の損害額が大きくなる。そうすれば、一般の方たちの被害額は案分比によって取り分が少なくなってくる。これが自然災害と事故災害、補償のある場合に違ってくる大きな問題点だろうと私は思っております。
  さらに加えて言えば、こうした場合、地方公共団体が災害費用を国に補てんしてくれ、こういうふうなことが言われております。特交で面倒を見るとかいろいろな政策が言われておりますけれども、地方自治体の被害額の算定という場合、特交を受けたりあるいは直接受けた場合の被害額というのはどう算定されるのか。考えようによっては、例えばA町というある町が被害を十億円こうむった、その分国から十億円受けた。その場合の被害額、補償制度によって来るお金がどっちなんだと。
  国が補償したことによってその額は国が持つのか、国の方の被害額に算定されるのか、そうではなくてA町のもともとになるのか、そういったことも今回のことで問題になろうかと私は思っております。
  そういった点で私が考えるのは、できるだけ被害者の方たちの部分を、被害に対しての額を確保する視点からすれば、国あるいはそういった地方自治体も含めてで結構ですが、そういったことの債権というものを国側が一部放棄したり全部放棄したり、あるいは勘案したりすることができるのかどうか。今回のケースというふうに限定した方がいいのか、あるいは一般論で言った方がいいのかはわかりませんが、その辺について、大蔵省だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

○説明員(中村明雄君) 財政法第八条という規定がございまして、「国の債権の全部若しくは一部を免除し又はその効力を変更するには、法律に基くことを要する。」というふうに規定されております。
  したがいまして、国が債権免除を行ったり効力変更等、国にとって不利になるような変更を行う場合には、法律に基づくことを要するということになっております。
○山崎力君 これは、ある意味では当然の規定だと思います。
  そういうことになりますと、この辺のところまで地方自治体とか一般住民の方に、現時点では理解されていると言えないのではないかという意識を私は持っております。これが自然災害と事故災害の大きな違いだろうというふうに思っております。
  ということになりますと、最初に申し上げましたように、この最初の段階で事故災害か自然災害かわからないというようなことになりますと、初動体制を実際にやるべき地方自治体あるいは当事者の方たちが、こういったことを言うのは非常に嫌なことですけれども、緊急時にそれにかかる費用はだれが負担してくれるんだと。そういうふうなことを考えずにやればやるほど、やらなくちゃならぬということは事実なんですけれども、今回のように長期間その対策が必要になってきますと、とても我が町の財政ではこれ以上の負担はできない、どうしたらいいかと。あるいは、払ってくれるところがはっきりしている。今だったらこのくらいのあれでもらえるかもしらぬけれども、これから国がそこのところに大きな被害額に算定されるようなことをすれば、我が町にとっては実入りが少なくなる。しかも、それを国が補てんしてくれるかどうかということも政策上の問題でわからない、こういうふうなことになりかねないと私は危惧するわけでございます。
  さらに今回、これは大臣にちょっとお伺いしたいんですが、この点からいきますと、これは大臣が議員であるという立法府の立場からのお答えになろうかと思うんですが、さきの大蔵省からの答弁にもありましたように、立法によらなければこれは減額あるいは放棄できないと。言葉をかえて解釈すれば、立法すればこれは放棄もできるというふうに受け取れるわけでございます。
  ということは、災害のときに一般人の被害についてはなるべく平等といいますか、あきらめてもらう、個々の補償については。そのかわり、全体的な対応策を国ないし地方公共団体が対応していく、個人補償はしないというのが今までの政府の基本的な考え方であったと思います。阪神・淡路大震災についてもその点の議論がなされ、被害者補償について一部議員立法の動きがあるということは御承知のとおりでございます。
  そういった点で、今回の油流出事故について行政府の長としてはなかなか言いづらいことではあろうかと思うし、あるいはむしろ我々の議員立法でこの問題について対処すべきことかもしれませんが、一応両方の立場でおられる長官からこの問題についてのいわゆる国の被害額、そういったものの取り分についてどう考えるか。条約どおり決まった割合はそのまま取るんだというのがいいのか、それともそこはこういう形になっているんだから若干遠慮してもいいのではないかというか、その辺のところの御感想をまずお伺いしたいと思います。

○国務大臣(伊藤公介君) 事故災害につきましては、さまざまな御指摘をいただいているように事故の原因があるわけでございます。したがって、あくまでも民事で対応するという基本的な立場にございます。加えて、私有財産制度のもとでは、それぞれの責任において処理をするということになろうかと思います。
  しかし、今度のこのケースも、当然のことながら船主の責任が問われているわけでありますし、今後損害賠償につきましては国際条約にのっとって処理をすることになるし、それについては民事といいながらなかなか国家間の問題といいますか、国の支援も当然必要だと。
  そういう立場から、現在も運輸大臣を対策本部長といたしまして、もちろん外務大臣を初め、さまざまな農林漁業に対します直接的な被害もございますので農水大臣など関係の閣僚とも当然連絡をとりながら、私ども国土庁も災害を担当いたします役所として、それぞれの関係各大臣また各役所とも連携をしながら対応していかなければならないと思っております。
  特に、自治体がさまざまなこの事故災害に対して既にいろいろな御負担をいただいているわけであります。それに対しては、当座国も特別交付金等でお手伝いをする。しかし、それも当然のことながら今後の損害賠償の対象になるわけでございまして、これは明確になっているところであります。さまざまな事故災害あるいは自然災害等もあるわけでありますが、その時々に適切に国としての支援もしていかなければならない。
  民事でありますから、基本的にはそういう立場に立ちますけれども、現実に地方自治体が甚大な被害をこうむる、あるいはそれに対するさまざまな対策に対する費用がかかる。そうしたことに対しては、長期的になるということもありますから、国もそれに対しては適切な対応をしていかなければならないと思いますし、私は、国土庁として関係省庁とも十分連絡をとってやっていきたいと思っております。
○山崎力君 基本的なことを言えば、被害を受ける国民、その中には自治体等も含まれると考えてもいいと思うんですが、一面において災害の発生原因が自然であろうと人為的なものであろうと、被害の形態の違いはありますけれども、被害を受ける立場からすればそんなものは関係ないわけで、その災害の様相に適した対応策をとってほしい、あるいはそれに伴う復旧、そういったものをとってほしいというのが一般の偽らざる気持ちだろうと私は思うわけでございます。
  今までの対策というものが、我が国に多いいわゆる自然災害に対して一般的にこれまで行われてきた。小さな災害は、小さいと言っては非常にその被害者には申しわけない言い方ですが、今までかなりあったんですけれども、今回のように広範囲でしかも時間的に長い時間を対策に要する人為災害というものは、確かに今まで私が思いつく限りにおいてもない、初めてのケースだろうと私は思っております。そういった意味で、対策費用をどうするんだ、補てんをどうするんだと、今の話にもございました。補てんした場合、債権が移るのか移らないのか、国と地方自治体の間で。そういった問題も、ある意味では明確になっていない部分があるのではないかと思います。
  そして、人為災害の場合、何より問題だと私が思うのは、それぞれが特別法で大体においてなされてきている。それは一つ一つの小規模なものであれば、そこの関係の省庁の方々が指揮をとって対応していくという方がむしろ適切であると思いますし、そういった意味で今までのやり方が間違っていたとは決して言えないと思います。
  しかしながら、今回のケースを見たときに、これだけ広がったときに、運輸省がすべてのスタートの担当省庁としてやられるということもわかるんですけれども、これからもしかして、これだけ社会が全般的に複雑化してきたときに、思わぬ被害を生じる人為災害、事故災害というものが何が飛び出してくるかわからない。そういったときに、各省庁間を調整して、そして対応策を練るということを言いますと、災害対策基本法にもあるように、責任の所在を明確化するというような形からいうのもなんですが、やはり担当庁である国土庁がそういったものをあらかじめ精査してある程度の、特に特別法における対応策を吟味する仕事が、ならすという意味であるのではないかというふうに私は感じております。
  そういった意味で、これからの国土庁の役割というものが新たにつけ加わったというのが今回の事故ではないかと私は思っておるのでございますが、その辺に関する大臣の所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(伊藤公介君) 今度のナホトカ号重油流出事故は、私たちにとりましても今後も極めてあり得るケースだと思います。
  これまで私たちがいろいろな事故災害に遭ってまいりましたけれども、今委員御指摘のようにその経験を超える事故を経験しているわけでありますが、今後を考えますと、さまざまなことを将来に向かって対応しなければならないことは事実だと思います。
  今、官房長官のもとで関係閣僚会議もこの事故に関して持たれているところでありますので、実は閣議等でも、この事故の損害賠償等の今後の交渉等も含めて将来的な対応をどうするかということを現在政府でも協議しているところでありますから、今後どういうような形でこうした事故災害に対して対応するかということは、関係省庁と十分連絡をとって来るべき問題にも十分対応できる体制を整えなければならないというふうに思っております。
○山崎力君 よろしくお願いいたします。
  特に、私がこの人為災害で感じるのは、特別法による補償規定がどうなっているのかということと、もう一つ、事故によっては一般の民法原則による損害賠償になるのか、その辺のことはほとんどの方がわからない。ごく一部の関係者しかわからないところで、損害賠償が一義的に事故原因者にあるというのが今回の、今回のといいますか人為災害、事故災害の特徴であるとすれば、その辺のところを国民にわかりやすくどこかが説明しなければならないというふうなことを御検討願いたいと思います。
  最後に、大震災の問題について一つだけお伺いしたいと思います。
  前の阿部委員からの話で大分やっていますし後の方も出ると思うので、一点だけ国土庁としての考え方をお伺いしたいのですが、これからが要するに仮設に住んでおられるような被災者の方々が一般の恒久住宅に移っていく時期に今入っておると思います。民心の安定という意味からいけば、これは極めて円滑に進むということが重要でございますが、その点についての細かい点は、兵庫県なり神戸市なりが一生懸命これからうまくやろうとしていることだろうと思います。
  その点は別としまして、国としてこうしたいわゆるハンドリングといいますか細かいソフトの面での手当てを含めた現時点、これからのあと一両年の間の移行に関しての注意点といいますか、そういったことをどういうふうに今の時点でそこを見詰めておられるか、あるいは援助していこうとしているかという点について長官から御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(伊藤公介君) 仮設住宅から恒久住宅に移っていただくという仕事が、阪神・淡路では当面の最大の問題だと思っております。特に、最近も現地の知事さんとも直接お会いして現地の状況も報告をいただいているわけでありますが、何といっても仮設住宅に現在おられる方々が非常に高齢であるということが、今後の我々が大変配慮していかなければならない重要な課題であろうというふうに思っております。
  そこで、既に委員も御案内であろうと思いますけれども、特に高齢者の方また要援護者であるとか、非常に立場の弱い方々に対しましては住宅のいわゆる家賃を大幅に引き下げる、あるいは住宅金融公庫の枠を拡大するとか、あるいはまた一定期間無利子にするとか、そうした住宅に対しますさまざまな対応をしているところでございますし、特に恒久住宅に移りますときに当座のいろいろな費用が必要であります。
  そうした立場から、特に生活の基盤が弱い方々に対しましては、昨年の十二月後半に三党プロジェクトチームで御決定をいただきました月額一万五千円から二万五千円を五年間支給するなど、そうしたきめ細かい施策をさせていただいているところでありまして、それに対しても国が当然支援をしてきているわけであります。
  ただ、今後公的住宅に移る場合に、先ほどもいろいろ御指摘ございましたけれども、いわゆる高齢者の方々が既に仮設住宅でさまざまな友達ができている、新しいコミュニケーションが地域に形成されてきている。したがって、新しい公的住宅に移るときも、できたら新しい友達なんかと一緒に移りたい、そういう御希望もあるようでございまして、やはりそうした温かいきめ細かな配慮も当然必要だと、地元の自治体とも十分連携をとって対応してまいりたいと思っております。
(後略)