質問「『山一証券の自主廃業について』他

(平成9年11月25日参議院内閣委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 平成会の山崎でございます。
  急な質問でございますけれども、きのう、きょうの問題でしたので、冒頭、官房長官にお伺いしたい問題がございます。と申しますのは、今回、省庁の再編問題、行政改革等でやられておりますが、その一つの目的として官邸の危機管理能力の強化というものがございます。その点で、現今の山一証券の問題に絡みまして一つ質問をさせていただきたいと思います。
  簿外債務が二千六百億あるということでございまして、日にちは私の記憶でございますけれども、今月十七日に大蔵大臣に報告があったと。その後、一カ月以上も前の十月六日には同じことを山一証券側からメーンバンクである富士銀行に報告していたという報道がございます。私が問題としたいのは十一月二十二日の総理の発言でございまして、記者団からの山一証券が自主廃業をする動きがあるようだがという質問に対して、承知していないという答弁がございました。
  そういった一連の流れの中で、官房長官は、この問題、いわゆる帳簿外の債務があって山一証券が自主廃業に追い込まれる可能性が極めて高いという情報をいつごろ御承知願ったのか、また大蔵省がこれだけの帳簿外の債務があるということを、検査を今までしていたわけですけれども、報告があるまで全然気がつかなかったということになっております。この点について、これは経済危機という観点からすればまさに一種の危機管理に対する官邸機能の強化という面、そういった面からの視点で結構でございますから、どう評価してどのような御感想をお持ちか、まずお伺いしたいと思います。

○国務大臣(村岡兼造君) 今突然のお尋ねでございますが、山一証券をめぐる問題については、いろいろそういうような動きがあるよということは事務方より私も報告を受けておりました。しかし、自主廃業という方向性については十一月二十四日の発表の前日に私は聞いたわけでございます。私の推測ではするかあるいはまた会社更生法を受けるかと、山一証券の取締役会ですか、そういういろんな動向はあったと聞いておりますけれども、自主廃業というようなことを聞いたのは発表の前日でございます。
  それから、恐らく総理も、二十二日でございますか、そのような山一証券のいろいろな問題等は承知したと思いますが、自主廃業というような問題については、取締役会が何回も開かれておる、こういうことで私は聞いていないと、こんな答弁になったのではなかろうかと思っております。
  いずれにいたしましても、政府として、四大証券の一つである山一証券が自主廃業するという事態の重大性にかんがみまして、投資者保護、信用、そして市場秩序の維持安定を第一義として必要な措置を講じたいという大蔵大臣談話、万全を期すということで私どもも措置していきたい、こう思っております。
○山崎力君 いずれにしましても、これは経済問題であるから危機管理とはちょっとという感覚をお持ちの方もあるかもしれませんけれども、国家運営の立場からすればまさにこの問題も大きな危機管理の課題であろうと思っております。
  大蔵省自体への作業の問題点はここでは問わないことといたしまして、いずれにしろ政府内部でのこういった大きな問題の情報の集約化という点からいけば共通する面がございますので、内閣官房におかれましては、そういった意思で今回の一つの改革をやろうとしておられるのであればもう少し別の対応があってもよかったのではないかという印象を持っておりますので、その点をお含みおき願いまして、次の質問に移らせていただきます。
  次に、対人地雷に関して若干これからお伺いしていきたいと思います。
  午前中、板垣、永野両先輩議員からも話がありましたので、なるべく重複を避けまして質問させていただきますが、まず私の聞き及んでいるところによりますと、この対人地雷全面禁止条約、これについて防衛庁としてはいわゆる代替措置を講じることという条件つきで了承したというふうに報じられておりますけれども、その辺についてはそういう理解でよろしゅうございますでしょうか、防衛庁長官。

○国務大臣(久間章生君) 我が国の防衛のことを考えますと代替措置が必要であるということを主張してきております。これを条件として認めたとかいうような表現をされますと困りますけれども、代替措置は対人地雷がなくなった場合でも必要である、そういうことを主張しております。
○山崎力君 そうしますと、確かに必要だと思って今まで整備してきた兵器を一方的に廃棄するということの条約に参加しようというわけでございますから、今後いろいろなことが出てくると思うんですけれども、やはりそれなりのめどがある程度立っていなければ、これは署名するといって、署名してから発効まで四年くらいあるという話を伺っていますが、その間のある程度のめどは必要ではないのかなという気がいたします。
  それで、その代替手段の問題とか経費、廃棄についても代替兵器についてもこれはある程度まとまった費用が必要だということは当然考えられる、予想がつくわけでございますが、その辺についてはどのようになっておりますでしょうか。

○国務大臣(久間章生君) そのような代替措置自体がどういう形でやれるのか、まだそういう研究の緒についたばかりでございまして、これから先それにどういった経費がかかるのか、そういうことについても皆目段取りをつけることができずにおります。いずれにしましても、我が国の防衛政策上何らかのそういう措置が必要であるということは主張しているところでございます。
  一方、我が国の政策として、今全世界のいろんな動きの中でどういうような政策判断をしていくか、これはまた国全体としての判断でもございますので、そういう中で調整を外務大臣が中心になられまして政府内でやっておるという状況でございます。
○山崎力君 そういう状況だということを前提にしまして次の中身に入らせていただきますが、これは午前中の両先輩議員からの質問と重なる部分があるので、重複はなるべく避けて質問したいと思うんです。
  要するに、我が国が対人地雷条約に加盟したとしても、いわゆるノーベル平和賞を受けた、対人地雷を世界からなくす、特に一般市民に対する被害をなくすということに関して見れば、事実上何の貢献もないということが断言できると思うのです。中身については両先輩議員の話の中にあったとおりでございます。そして、むしろ一方的に、我が国の防衛上、これはあってはならないことですけれども、もし必要だというような事態になった場合にみずからの防衛の手を縛る内容の条約でございます。
  そういった点で、まず対応措置も十分でない、予算についても検討中である、これからやっていきたいということになっているんですが、そうなってまいりますと、簡単に言えばただでさえ兵力を削減して軍縮の方向を打ち出した自衛隊、防衛庁の予算にとって、処理の費用あるいは代替兵器の新規購入というような費用面からいきますと、これはそっちをやろうとすれば予定の装備計画に狂いを生じるということは当然考えられるわけでございます。
  これは外務大臣にお伺いしたいんですが、そういった中の予算、どっちが持つかというかプラスするかという問題もこれからなんでございますけれども、今いわゆる対人地雷について問題になっているのは、内戦の後始末的な、要するにどこに敷設したかもどうなっているかも全くわからない、それでかりそめかあるいは恒久かは別として一応平和が戻ってきた、一般市民の生活が戻ってきた、そういった人たちが放置された対人地雷によって多数の負傷者を出しているということであります。
  こういう状況の改善に何ら貢献しない問題について、我が国が今この時点でなぜ条約に参加しなければいけないのかというような点の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(小渕恵三君) 対人地雷の禁止につきましては、昨年六月、リヨン・サミットで橋本総理も国際的な全面禁止に向けての支持及び使用について一連の自主的な措置を発表いたしております。また、昨年十二月に国連総会で採択されました対人地雷全面禁止決議の共同提案国になっております。
  この問題につきましては、先ほど来御質疑もありましたし御意見もありましたように、NGOがいろいろ活躍され、それがノーベル賞受賞にもつ
ながったとか、あるいはダイアナ元英国皇太子妃のたゆまざる人道的運動によりましてそれが世界にアピールしておるとか、いろいろございました。それは大きな世界の流れを象徴する事象でありまして、我が国としては我が国としての立場から、この問題が国の安全保障にかかわる重大な問題だという観点に立ちまして対処いたしておるところでございますが、大きな世界の趨勢の中で、特に対人地雷ということに関しましては我が国もそうした大きな流れの中で対処いたしてまいりたいと思います。
  先ほど申し上げましたように、幾つかの条件といいますか対応しなければならない問題がございますけれども、そうしたことに適切に対応しながら今この禁止条約に向けての取りまとめをいたしておるさなかでございます。
○山崎力君 世界の流れというふうにおっしゃいましたが、これは釈迦に説法でございますけれども、今一番被害を出している対人地雷の生産国が、輸出国でもあるわけでしょうが、この条約に参加するということに対してクエスチョンマークがついている、こういう状況でございます。
  それからもう一つ、アメリカはこれは困ると。ただ、一般の市民に対しての被害を削減するように、今現実に出しているのは、散布された後放置されている地雷が被害を出しているわけですから、その対人地雷除去に対してお金を出そう、特別に予算措置をとろう、こういうふうな発言をして、それはそれで一つのやり方だろうと思っております。
  残念ながら、我が国はその点についての協力もできかねる法的な状況にある。PKOの目的の一つに入っていながらその条文が凍結されている。自衛隊の職務、特殊能力という意味からいけば、自衛隊の人たちが行って、現地で、カンボジア等で除去に当たるということが凍結を解除しなければできない状況にある。むしろ協力するならばきょう、あすの、毎年何千人という被害者を出しているのを幾らかでも、一人でも二人でも少なくするならそっちの方がむしろ先決ではないかというような気もするのですが、その点について政府内部でPKOの問題についての解除、協力について検討しようという動きがあるのかどうか、この点はいかがでございましょうか。

○政府委員(阿部信泰君) ただいま御質問のありました問題、つまりこの条約に署名する意思のない国も幾つかあるわけでございます。これらにつきましては、もう一つ今ジュネーブで軍縮会議というのがありまして、そちらでもより多くの国を含めた条約をつくろうという議論をしておりますので、そちらの方も政府として追求することにしております。
  また、地雷除去の技術につきまして、これがこれまでの政府の政策の関係上簡単に出せないという問題、協力できないという問題がありますが、これについては何とか、特に人道目的ということについてそういうことができないかということを検討しているところでございます。
○山崎力君 その点、湾岸のことを思い出しておりまして、いわゆる実際的に協力できない言いわけ、エクスキューズとしてここのところの条約だけやっておけばいいんじゃないかというような感じを私なんぞはちょっと持ってしまうものですから、その辺のところは基本を踏まえた対応をしていただきたいと思います。
  それから、もう一つこの問題で、これはほかのことにも感じるんですが、予算措置の問題なんですね。これはこれからだと言っているんですが、実は似たような問題がございます。
  というのは、国の外交方針として、防衛庁のというか自衛官の協力を得なければできない問題をやろうとしているということなんです。その具体的な内容は、言われれば御承知の方がほとんどだと思うんですが、中国大陸における旧帝国陸軍を中心とした遺棄化学兵器、この問題をどう処理するかということが今行われております。
  政府としては、日本の責任で処分に取り組むということを一種の外交上の約束にしておられるということなんですが、この問題に対する今後の法整備や処理に対する予算をどのように考えておられるのか、これは官房長官の担当だと思いますが、どうなっておりますでしょうか。

○国務大臣(村岡兼造君) 本件については、さまざまな分野にわたる技術、専門的な知見を必要とするなどから政府全体で取り組んでいく必要があります。そのため、内閣に遺棄化学兵器処理対策連絡調整会議を設け、さらにこの十月には遺棄化学兵器処理対策室を設けたところでございます。
  条約では、我が国は今後十年以内、二〇〇七年の四月までに中国にある遺棄化学兵器をすべて廃棄しなければならないとの義務が生じておるわけでございます。
  質問の点に関しましては、政府としては今後とも中国側と本件処理の枠組みについて協議を続けるとともに、今後の実際の処理に向けた取り組みについて対策室を中心に体制面や資金面も含め総合的に検討を進めてまいりたい、このように思っております。
○山崎力君 またここでも検討を進めるというよく聞く言葉が出てきてしまうわけですが、これはもうタイムリミットを限られた問題でございます。しかも、聞くところによれば膨大な予算措置を必要とする。そして、実際に当たる人となると、やはり専門技術という点からいけば自衛隊の方々を処理の現場に向かわせなければならない、そういった事例でございます。その辺の法整備も必要になってくるんじゃないんだろうか。そこへ行く自衛隊をまさか中国の方で海外派兵だということでけしからぬというようなことは言わないと思いますけれども、現実の問題として、人道主義でもそういったもののときに行けるか行けないかという詰めた議論も必要だろうと思いますし、何よりこういった場合、国としてやらなきゃいかぬときに、省庁の縦割り予算をどういうふうに配分するかということが私としてみれば一つのテストケースになるだろうという気がしております。
  そういった意味で、先ほどの対人地雷除去の問題についても、将来もし仮に自衛隊の人が国際貢献の一つとして処理に向かうということになれば、これはそういった意味での予算をどこがどう持つのかという問題も出てきますし、それからまさに防衛庁とは関係のないところで、国の方策として代替兵器開発あるいは廃棄というようなところが決まった場合に、そこを全部防衛庁の予算で、形式的にはそうなるかもしらぬけれども、枠の中へ入れていいのかどうかという議論も当然出てくると思います。その辺のところを、検討します検討しますで結論だけぽんと出るということになりますと、これは非常に大きなその場しのぎの問題になろうと思います。
  その辺、これは一つの国の政策における総合的な、金をどこでどう使って何をやるんだというところで、まさに先ほど言った一種の内閣官房の機能強化という部分とも絡んでまいりますので、非常に慎重な上で、その辺のところの経過をオープンにした形で、今後大きく出てくる問題ですので、はっきりした形の予算措置なり方針なりを明らかにしていただきたいと御要望申し上げます。
  次に、ガイドラインの問題で若干お伺いしたいと思います。
  今までもいろいろ議論になっているんですが、やはり基本にあるのは、皆様方政府側の答弁とすれば憲法の範囲内でという当然の前提をおっしゃっているわけですけれども、そこのところの集団的自衛権との絡みを考えますと、午前中の両先生のお話にもありましたけれども、すっきりしたものが出てこない、なかなか見えてこないという部分がどうしてもあるわけでございます。
  そこのところで、時間の関係もございますのでまず簡潔にお願いしたいんですが、一般国際法上、交戦権というものはどういうふうな意味合いで、そして憲法九条で禁止されている交戦権というのはどういうものかということをお示し願いたいと思うんです。

○政府委員(竹内行夫君) 交戦権についてのお尋ねでございますけれども、一般国際法上厳密に定義されているということではございませんけれども、一般的に申しますと、伝統的な戦時国際法におきまして、国家が交戦国として有する国際法上の諸権利をいうということでございます。
  さてそこで、我が国憲法第九条第二項は「国の交戦権は、これを認めない。」としておりますが、ここにいう交戦権につきましては、昭和五十五年の政府の答弁書がございまして、これによりますと、「ここにいう交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶のだ捕等を行うことを含むものであると解している。」と、こういうことでございます。
○山崎力君 そうしますと、今回ガイドラインのもとで、いわゆる九条の絡みで禁止されているところがこの交戦権絡みのところで出てくる部分も若干予想されるわけですけれども、その辺の検討はどういうふうになされたんでしょうか。関係はあったんでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 新しいガイドラインにおきましては、我が国がアメリカに対して行います協力が示されておりますけれども、そこに示されております行為というものは、船舶検査等を含めまして我が国が行うことを想定している具体的な内容及び態様を見ます限り、それ自体は武力の行使に該当しないというのが政府の基本的な考えでございます。したがいまして、かかる協力を行うことによって我が国がいわゆる交戦国の立場に立つわけでもないし、これらの協力は交戦国の有する国際法上の権利の行使として行われるものではございませんで、したがいまして憲法第九条第二項に言う交戦権の行使には当たらないという考え方でございます。
○山崎力君 そこのところで、これはまた時を改めて内閣の法制局の方も入れての議論になるかと思うのですが、周辺事態の問題を考えてみましたときに、いわゆる日本の基地からの米軍の直接出撃、そういったたぐいの戦闘になったときの協力問題というのは事前協議の対象になるであろうということになっておりますが、そういった事態における周辺事態とそうでない場合の周辺事態ではおのずから質が違ってくるという気がいたしております。
  日本の基地から、例えば岩国なり嘉手納なり三沢なりから直接米軍が爆弾を積んでどこかへ飛んでいって落としてくるといったときに、それを拒否できるかできないかの場合とそうでない場合とで、オーケーを出した場合もノーの場合も、ノーはちょっと問題がどうなるかはまた別問題ですけれども、事前協議の結果直接出撃してもいいですよというオーケーを出した場合と、それほどでない周辺事態の問題とではおのずと周辺事態でも質が違ってくるというふうに理解しておりますが、そういった点、細かい点になりますので今回はこの程度にします。
  もう一つちょっと別の角度から気になるのは、ガイドラインのもとでの対米協力というのが今回出ているんですが、いわゆる国連軍たる米軍に対しての協力というのはどうなっているのか。これが意味するところはおわかりだと思うんですが、その辺はどうなっておりますでしょうか。

○政府委員(田中均君) お答えを申し上げます。
  今次の日米の防衛協力のガイドラインというのはまさに日米の防衛協力のあり方についての大枠を定めたということでございまして、その国連軍と申しますのが何を意味するかというのは必ずしもよくわかりませんが、国連軍に対して協力を行うということを想定して策定されているものではございません。
○山崎力君 そうしますと、まさに国連軍が戦った戦争、これは正規に成立したかどうかというのは議論が分かれているとも思うんですが、一応我々の常識としては国連軍が戦った戦争がかつて日本の周辺にあったわけでございます。そのとき我が国は占領下でございまして、主権があったかどうかの問題もあるんですけれども、そのときに国連に対する協力の法もできていたと思います。
  そうすると、まず今の確認ですけれども、米軍はある意味じゃ二重国籍的な、米軍としてとそれから国連軍としてという二重国籍的な性格を持ちますが、米軍以外の国連軍というものの存在もあり得るわけで、その場合、いわゆる今回のガイドラインの協力は米軍以外の国連軍にはしないというふうに判断してよろしいのでしょうか。

○政府委員(竹内行夫君) 繰り返しになるかもしれませんが、今度のガイドラインと申しますのはあくまでも日米間の協力についての一般的な大枠、方向性を決めるものでございますので、それが国連軍に参加しておる国でありましても、第三国との協力関係ということを想定して策定しているものではございません。
○山崎力君 想定して策定していないというのは私も承知しているんですが、問題はその想定していなくて策定したガイドラインにのっとった形で政府として国連軍に対して協力するのかしないのかという問題が出てくるわけでございましょう。
  その辺についてはどうですか。

○政府委員(竹内行夫君) この指針の枠組みの中におきましては、私が今まで申しましたとおり、そういう国との協力というものを想定しておりません。
  しかし、そのことは日本と国連の間の協力全体を否定する、排除するという趣旨ではございません。それはまさしく国連を強化し国連に協力するというのが我が国の外交の基本方針でございますし、このガイドラインも前文においてその趣旨をうたっているところでございます。また、安保条約の第一条におきましても国連を強化するということがうたわれておりますので、そういう協力はもちろん排除されておりませんが、それはこの指針とは別の文脈において検討される、また行われるべきものという認識でございます。
○山崎力君 その辺のところがちょっとわからないんです。要するに、ガイドラインというのは米軍との協力関係をどうするかという指針でございましょう。それで、米軍と別に国連軍というものにどうするかという問題があるわけで、現実に国連軍に対する援助の法律も我が国は持っているわけです。それが憲法に違反しない、しかも今度のガイドラインも憲法に違反しないということになれば、いわゆる米軍へのガイドラインが同じような国連軍へのガイドラインに置きかわってどこが悪いのかと。その辺のところ、二重国籍の米軍の問題と言ったのもそういうことなんです。
  行った飛行機が落ちた、救助に行く、それが米軍の飛行機であるならばガイドラインにのっとって自衛隊のヘリコプターで救難に行くと。ところが、それがたまさか国連軍の米軍以外の飛行機であったら、それがわかった時点で引き返すのかという問題が当然出てくるわけでございまして、その辺のところをもう少しはっきりした方が国民に対する説明としての情報公開になるのではないかと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。

○政府委員(田中均君) 私どもが申し上げておりますのは、この防衛協力のガイドラインというのはまさに日米の両国政府の当事者の間でどういう防衛協力が望ましいかという大枠を決めたということでございます。
  ただ、日本としてどういう具体的な行動をとるかということについては、当然のことながら日本として主体的に何をどこまでやるんだという形で検討していかなければいけない。ただいま先生御指摘になった点もそうでございますけれども、それは国連との協力という観点からいろんなことを考えるべきケースというのも当然あると思いますが、この防衛協力のガイドラインは当事者でない国連についてどういう防衛協力をするかということを決めたものではないということでございます。
○山崎力君 一点だけ確認して次のところへ行きたいと思います。
  それでは、朝鮮事態に対する国連との協力の絡みでできた法律で、国連の部隊が我が国に進駐したいというふうな要請があった場合に、我が国はいわゆる法律上、条約上、拒否できるんでしょうか。
  これは質問通告になかったので、流れの中から出てきたので、申しわけないんですが、今の時点でわかればお答え願いたいと思います。

○政府委員(田中均君) 先生御指摘のいわゆる国連軍というのは一九五〇年に安保理決議八十三というものでできた国連軍であろうと思います。同時に、その国連軍との間で国連軍に係る地位協定というものが存在していることも事実でございます。
  ただ、一方において、休戦協定が成立しておりますから、具体的な形で今後それがどういう事態において適用されるかというのは、我々は休戦協定が破られるという事態を想定しておらないので、まさにそういう事態になったときの国連の議論というものを踏まえて考えていくべきことではないかというふうに思っております。
○山崎力君 休戦協定が破棄されないといいますか、そういった事態を想定していないということで済めば非常に結構だと思うんですが、そこのところを、仮定の話で破棄されることを想定しないというのはいかがなものかということですが、時間の関係がございますので、次の問題です。
  一連の流れで、重複を避けさせていただきますけれども、今回のガイドラインの問題で一番の問題は、先ほど防衛庁長官もおっしゃったように、我が国の有事法制がまだ不十分な点があるというところでガイドラインの問題が出てきている。本来であれば、結局アメリカ抜きでの、我が国独自での防衛に対する法整備をどうするかという点がまず独立国家、法治国家としてはあるべきだと思います。次いで、不十分なところを他国との条約によって、これは例の集団的自衛権の絡みが出てくるので難しいところがありますけれども、アメリカとの防衛協力によって補完していく。そのためにはどういうふうな法整備が必要かというのが次の段階にありまして、最終的にそれではいわゆる日本の領土、領空、領海内でのアメリカとの協力と若干離れて、周辺におけるアメリカとの協力、米軍との協力はどうすべきかというガイドラインが出てくる。
  ところが、今の状況から見ますと、順序が逆ではないか。ガイドラインをやってみてどこが協力できるか、それをやろうとしたときに不十分な国内法がありそうなのでこれから検討してまいります、それをそのときに改めて国会に諮りますというのはどう考えても順序が逆ではないかという疑念が晴れません。その点が一つの大きなねじれ、ねじれといいますか複雑化している問題だろうと思うんです。
  時間がなくなりましたので、そこのところに対するこの疑念がどういうものなのかという、私だけでないと思いますので、その辺の御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(久間章生君) 今おっしゃいましたように、我が国有事の場合の法整備については、前々からも言っておりますように、研究にとどまらず整備をすることが必要であるというふうに思っておりますが、これは昭和五十六年に第一分類、五十九年に第二分類の報告を出しましてから今日まで、これだけ年月がかかって今日に至っております。といいますのは、やはり高度の政治判断も必要だったんだろうと思います。
  しかし、そういう中におきまして、今このガイドラインを新しくつくりまして、これに基づいて周辺事態の場合にどうするかというようなことになりますと、またそこで必要な法整備が出てくるわけでございまして、これらは密接に絡み合うのも事実でございます。だから、そういうような全体の流れの中でどうしていくのか、これこそまさにこれから先検討をしながら、今言いました、これまで研究にとどめておったものを一緒にやるのかどうか。
  しかし、そうはいいましても、我が国が緊急事態という場合に、大体基本的な点はあるわけでございます。若干そういうところで法が不整備だという状況がございますけれども、周辺事態の場合に実効性あるものとするためには、全く新しい検討でございますだけに、そちらについては官房副長官のもとでの各省庁の局長等会議でもう一回出発から議論しなきゃなりませんので、そちらの方に今勢力を注いでおる、そういう状況でございます。これは本当に関連性があるわけでございますので、決して委員御指摘のそういう話をむげにするわけではございませんが、そういうことも頭に置きながら今急ぐところから整備を検討してもらっているという状況でございます。
(後略)