質問「『金融危機の乗り切り方について』他

(平成10年2月13日参議院財政・金融委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 改革クラブの山崎と申します。
  まず最初に、松野参考人にお伺いしたいと思うんですが、今までの討論その他を聞いておりましての私の感想も含めてなんですけれども、証券、銀行とも松野参考人が局長をされていた当時はいわゆる護送船団方式という形で、なるべく破綻をさせたくない、丸くおさめていきたいということだったと思っております。その政策の是非はともかくといたしまして、となればそういった下世話に言うやばい状態になった証券会社、そういったものをどういうふうに立ち直らせていくか、救うかというようなことの業績悪化を防ぐための相談というのは局長レベルまで上がってきていたんでしょうか、どうでしょうか。

○参考人(松野允彦君) 私が証券局長をやっておりましたのは平成二年から四年まででございますけれども、当時、もちろん今御指摘のような護送船団方式といいますか、なるべく一番船足の遅い会社についても成り立つような行政が行われていたというような御指摘があります。確かにそういう面が全くなかったと言うつもりはございません。
  ただ、私が行政を行っておりました期間は、むしろそういうことをやめて証券、銀行、相乗りをする、証券市場もそれによって機能を拡大するというようなことで、いわゆる制度改革法を国会で御審議いただいて、ちょうど私がやめる寸前に成立をさせていただきまして、その後実施に移されているわけでございます。
  そういったようなことから、私としては護送船団方式が残っていたということについて否定するつもりはございませんけれども、方向としてはやはり、今申し上げましたように、銀行、証券、特に証券市場に新しいプレーヤーを導入して証券市場を拡大する、そのためには基本的に従来の証券会社も自己責任でもう少し競争をしなきゃいけないというような経営環境になっていくというのを覚悟してほしいということを申し上げておりました。あわせて、本当は破綻をした場合のいわゆるセーフティーネットをつくるということも必要だったわけでございますが、証券界についてのセーフティーネットにつきましては、残念ながら私の局長時代にはそこまで手がつかなかったということはございます。
  ただ、基本的に私の行政の姿勢としては、今申し上げたように、従来のような破綻をさせないで護送船団でいくというような考え方はとっていませんでしたし、また現実に私がやっておりましたときにそういう証券会社が出そうだというようなことは私はなかったと思います。
○山崎力君 黒澤参考人にお尋ねします。
  今回の審議している法案と絡むことなんですが、いわゆるビッグバンを控えて、会長の目から見て日本の銀行が今のままの姿ですべて、都銀以上ということで結構ですけれども、成り立つとお考えでしょうか。

○参考人(黒澤洋君) 日本の銀行、百四十八でございますけれども、そのすべての銀行が国際的なビッグバンに耐え得るということはあり得ないと思います。どこの国でも国際的な競争力を持っている銀行は四つとか五つとか六つとか、そのぐらいでございまして、日本はいわゆる部長銀、信託だけで十九行ございます。その上、地方銀行もニューヨーク、ロンドンに支店を持っておられるところが十も二十もありまして、ちょっとこれは多過ぎるわけでございまして、山崎先生御承知のように続々撤退しておりますけれども、そういうことで私は世界的なビッグバンの中で国際的な競争に耐え得る銀行というのは十行以下ではないかというふうに思っております。
○山崎力君 そういう御認識で、もしそうであるならば、今のいわゆる政府の十七兆の資金を導入できないといいますか、それで破綻するところは早目に破綻した方がいいんじゃないかと。それが日本の金融システムを揺るがす事態になるとしても、それは将来のビッグバンのときに、それが持ちこたえていたところが一斉に倒れるという事態に比べれば、かえってコントロール可能ではないかという考え方も成り立つと思うんですが、その辺の御感想はいかがですか。
○参考人(黒澤洋君) 今、山崎先生のおっしゃいましたことは非常に高度の政策判断を伴うようなことでございまして、御当局あるいは政府においていろいろお考えがあることと思います。私がいたずらに私見を申し述べるような性質のことを超えているような気がいたしますので御勘弁いただければと思います。
○山崎力君 であるならば、単に今の政府のやり方は非常に歓迎するということは余りおっしゃらない方がよろしいのではないかと思うわけでございます。
  それはさておきまして、本題といいますか、余り愉快でない話なんですが、今回の貴行の問題でいえば、世間一般の一番の関心はどこにあるかといえば、これは氷山の一角なのか、それとも特異な事例なのかというところだろうと思うわけでございます。世間は氷山の一角だろうと見ておると言っていいと思うんですが、会長の立場からすればこれは特異なケースだというふうにおっしゃりたい、その辺のところの接点がどこにあるのかということだろうと思うんです。
  その点でお伺いしたいのは、先ほどもおっしゃっていましたけれども、接待ということが今回は供応という形のあれになってくるわけですけれども、やり過ぎだったという、反省しているということは認めているわけですが、こういった接待が井坂何がしだけの問題であったのか。本来の民間企業とすれば、お得意様に対して御接待申し上げて商売をよりよくやろうとするのはある意味では当然なわけでございます。
  ですから、いわゆる対反間、それから対公務員、それから準公務員も含めて、そういったもので違いがあったのかなかったのか、当然お調べになっていると思いますが、その辺はどうなっておりますでしょうか。

○参考人(黒澤洋君) 山崎先生のおっしゃった接待あるいはお言葉を拝借すれば供応ということでございますが、公務員、準公務員につきましては、私どもとしてもそれなりの注意を払いまして控え目にやってきております。一般の取引先に対する接待、供応でございますが、それの方がはるかに大きな金額でございます。
  ただ、だからいいじゃないかということは言っておりませんで、特に公務員、準公務員に対する接待はもうやめるということにしました。かつてやっていたのが当時としては社会通念で許されるんじゃないかということも申しません。当時としても許されなかったことでございます。深く反省しております。
○山崎力君 そのことを余りおっしゃいますと、かつての公務員の方々も背筋が寒くなるような形になろうかと思うので、いい方向に行っているわけですからいいわけですけれども、むしろ正直にかつてはこの程度のことは許されると思ってやっていたけれども今振り返ってみるとというふうに言われた方がよろしいかと私は今までの発言を受けて思うわけでございます。
  そこで申し上げたいのは、今やめたということであるならば、井坂何がしに対する接待が注意していた公務員に対する、あるいは準公務員に対する接待あるいはそういったものと違っていたのか違っていなかったのか、そういった立場の公務員の方とのあれで。その辺はどう御認識でございますか。

○参考人(黒澤洋君) 井坂元理事に対する接待がどういうふうであったかということにつきましては、ただいま検察でお調べの最中でございますので、私どもといたしましては発言は控えさせていただきたいと思います。したがって、他とどうであるかということについでも御勘弁いただければと思います。
  正直に言えと、そのころは本当はいいと思っていたと、今考えると間違いだということの方がいいんじゃないかという山崎先生の御忠告でございますが、先ほど申し上げましたように、私はやっぱり五万円、七万円、あるいはもうちょっと超えるようなこういう接待をやっていでいいのかと、おかしいなということを当時から考えておりました。これは公務員、準公務員だけではございません。私個人の考えでございますが、民間でもこういう接待ということは、国際的に見てこんなことをやっているのは日本だけですから、順次改めていかなきゃならないことだというふうに考えております。
○山崎力君 言葉じりで恐縮なんですけれども、公務員に対して五万、七万という接待が過剰であったとするならば、民間にはどれだけの金額で接待していたのかというふうなこともあるわけで、それが成り立つ商売というのは非常にうらやましいとちょっとひがみ的な言葉も言いたくなるわけですが、まさに今おっしゃられた検察の捜査中であるからしてというこの言葉が今回の問題の核心だろうと思うわけでございます。
  要するに、行員としてほかの方たちと同じようなことをこの井坂何がしにしていたとすれば、それは一つの社員としての義務を果たしたにすぎないわけでございます。要するに、主幹事をとるために重要な人物である、とりたいと、だからふだんの接待を超えてやったということになれば、これはまさに社としての業務に伴う違法行為というふうになってまいりますし、それから逆に、井坂何がしという特異な人格がその地位を利用して接待を求めた、それを断り切れなかったということになればまた違った展開も出てくるわけです。
  そこのところをみずからはっきりしない限り、私は確かに公判を控えての問題点はあろうかと思いますけれども、その辺のところはもう既に行内ではしっかりした報告が会長に上がっていると思いますが、その辺のところを踏まえて、公判に差し支えない限りでの一歩踏み込んだ答弁は可能だと思いますのでその辺をお答え願えればということで、そろそろ時間でございますので私の質問を終わらせていただきます。

○参考人(黒澤洋君) ただいま山崎先生の難しい御質問でございますが、特に最後の方に山崎先生が言われました井坂理事からこういう接待をせよ、こういうことをせよという御要求、御要請があったことはただの一度もございません。
(中略)
○山崎力君 改革クラブの山崎と申します。
  時間が限られておりますので簡潔にお答え願えればと思います。
  まず、今回の金融二法案のいろいろな説明の中で、政府側より臨機応変の緊急、時限の措置であるというような形の表現がございます。確かにそのとおりなんでしょう。ということは、財政運営が予定どおりではなかった、予想されたものではなかった、それに対して変わったことをしなければいけないということなんですが、この臨機応変の措置をとらなければならない「機」、すなわちそういうきっかけ、そういう状況というものをどのようにまず把握されているのかお尋ねしたいと思います。

○政府委員(山口公生君) これはしばしば申し上げておりますように、昨年の十一月から十二月にかけまして、株価の下落、格付の評価などの引き下げ、危機の報道等で個人レベルでは窓口へ預金の引き出しに人がかなり殺到した、コール市場ではすくみ現象が起きた、海外では外貨が取れなくなったというようなことを経験したわけでございます。みんなが自分のことを大事に考えるのは自然なことでありますけれども、金融はお金が回らないと金融の機能を発揮できません。そういったことを昨年深刻な事態として私どもとしては受けとめざるを得ない事態だったと思います。
  また、今度の三月期を考えてみましても、三月期を心配する余り、株価が下がったらどうしようということで、逆に分母であります貸し出しをどんどん絞ろうとする動き、これがよく御批判があります貸し渋りとか、あるいは回収現象という形であらわれてくる、こういうことは経済全体のある意味では危機を招来しかねないということでございます。
  先生がいみじくもおっしゃいました臨機応変の「機」という部分がまさに危機管理の「機」に通じるというような感じで、危機管理の「機」が我々としては今一番求められておる部分であろうと思っております。
○山崎力君 ということであろうと思うわけですけれども、そうしますと、例えば金融ビッグバン、午前中の参考人の中でもありましたけれども、日本を代表する銀行の責任者が十九行ある都銀のうち半分も将来残らぬのではないかと。こういうふうな大経済対策といいますか、経済問題であるということは、これはわかり切った話で、その当時から黒船来航に相当する日本の再度の開国だというようなことは言っていたわけです。そういったことから来て、今回程度のことで単に山一あるいは北拓がつぶれたというだけで、そういうふうなことになるということを予想していなかったのか。一行もつぶさない、そういった形でビッグバンに対応できるというふうに経済運営を考えられていたのかどうか、お尋ねします。
○政府委員(山口公生君) 破綻すべき銀行という表現は適切ではありませんが、破綻状態に陥った銀行は退出してもらうということは従前からの私どもの考え方ではあるわけでございます。ただ、昨年の暮れごろに出ましたこの不安心理の増幅効果、効果といってもいい意味じゃないです、増幅の悪循環と申しましょうか、これにつきましてはやはりここまでひどい状況に、また経済全体を巻き込む事態になるとは予想を超えるものがあったということは私は認めざるを得ないと思うわけでございます。
  ただ、今おっしゃいました金融ビッグバンという、護送船団方式をやめビッグバンに乗り出す、これは長期的にはこういう方針は変わりないわけで、これで体力を強くし日本経済をしっかりしたものにするということでございます。その前に取り急ぎ危機は乗り越えないといけないということでございまして、これは一つはこういった大型の破綻をある意味では戦後しばらく経験しなかったわけでございます。私ども個人も、マーケットの関係者も、みんなこういった大型破綻に遭遇して、かなりそこに気持ちの不安心理が生まれたということは私どもとしては貴重な経験であり、また教訓にしなければいけないことだったというふうに思っております。
○山崎力君 その辺のところの認識の問題なんですが、そうするとこれからビッグバンに向けての中で、こういったことが起こればまた奇貨にせにゃいかぬ。起こらなければそこまではもつだろうけれども、もっと何らかの大きな金融機関あるいはそういったものが破綻するのは目に見えているというふうな中で、大多数の方々がそういった形で確かにそこまで予想できなかったということは事実でございますし、予想した人は少なかったのかもしれません。別にあのときの取りつけ騒ぎが本当の意味での取りつけ騒ぎまで行ったかというと、そこまでは行っていない。要するに、株価といったものに対する心理上の問題を何とかせにゃいかぬということでやっていたというふうにしか私には思えないわけでございます。
  それが結局、不良行を早い時点で処理できればいいところが、こういうふうな形で支えていけばある時点でばたばたと行くか、もっと最終的に悪くなるんじゃないか、そこのところをどう考えているのかなという疑問はぬぐえないわけでございます。正直言いまして、この程度のことの影響で慌てふためいたのではないかという気もこの法案でするわけでございますけれども、そこのところは時間の関係で置いておくとしまして、大臣にお伺いしたいわけでございます。
  これは非常に言いにくいことですけれども、前任の三塚大蔵大臣は不祥事の責任をとってやめられたと報ぜられております、経済運営の方も入っていたんじゃないかというのもありますけれども。とすれば、今一連のこういった中で新たに大蔵省からしかるべきポジションの人がもし司直の手にかかるということになれば、改めて松永大蔵大臣自身の問題が出てきてしまうということになるんですが、その辺についての御認識を伺って、時間でございますので私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
  委員が今申されましたように、前三塚大蔵大臣は、大蔵省の職員に逮捕者が出て、そして大蔵省の行政に対する国民の信頼を著しく傷つけた、そういったことの責任を全体としておとりになったというふうに思います。私はその後を受けて、そのような事態が二度と起こらないように綱紀の粛正、そして不祥事を起こした人の、これは刑事処分の方は検察当局がやるとしても、その後に事実関係が明らかになってきますからそれに基づく行政的な処分、さらにはそうした検察庁の手を煩わさなかった人であっても、もし過去において倫理にもとる行為があった人については内部調査を進めておるわけであります。その結果を見て適正な処置をして、そして綱紀の粛正と、それから職員一人一人が本来の公務員としての使命感を持って、しっかり国家、国民のために働くように、そういう状況の大蔵省をつくり上げるという責任を負って私はこの任に当たっておるわけであります。
  今後もそういう責任を果たすように全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
(中略)
○山崎力君 改革クラブの山崎でございます。
  最後の質問になります。お疲れのところとは存じますが、おつき合い願いたいと思います。最後でございますので大づかみにこの問題をとらえて質問させていただきます。
  今の一連の質問の中でも、牛嶋先生あるいは志苫先生の言葉もございました。先ほどの大蔵省当局からの御回答の中にもありましたけれども、今回の二法案、緊急時限の、臨機応変の措置であるということは繰り返し総理も申されてきたところであります。とすれば、このような措置をとらざるを得なかったということ自体がやはり大きく見れば金融政策、財政政策の失敗、失態が原因でこうなったのではないかというふうに私は感じているわけです。
  そういったときに、どのような責任を感じるか、あるいは責任をとるかということが、国民の信頼を取り戻す一つの策ではないかと私は思うんですが、総理の御見解はいかがでございましょうか。

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、必要だと思う政策をその必要だと思うタイミングにつくり上げること、そしてまたその政策を実行するために必要な法律案を起草し国会に御審議を願うこと、これは行政としての当然の役割だと考えております。そして、先刻の他の議員の御議論の中にも国際的な影響というものまで含めての御論議がありましたように、国内の状況だけで我々が自国の経済を考えていることのできる状況ではございません。
  そうした中におきまして、私は、行政の責任は、その時点時点における最善の方策を考え、そしてそれを実行し、新たな法律が必要でありますならばそれを起草し国会に御審議をお願いし、その成立を待ってその対応をしていくことだと考えております。
○山崎力君 そこの点が一番の問題だろうと思うんです。
  まさにおっしゃるとおりなんですけれども、それではなぜその時点で必要な政策が出てきたのか、当初の方針どおり、考えどおりいけばそういう政策をとらなくてもいいのではないかと。あるいは、今これをやらなければ将来もっと悪くなりますよという提案に対して、それをその時点でする必要はないんだと言って先延ばしして、それである時点でやっぱり必要になったからやりますよというようなことでも今の総理の答弁からすると許されるということになると私は思うわけです。
  ですから、この際私は、やはり国民の率直な感想としては、今までの財政あるいは金融の運営に落ち度があったということをまず最高責任者として認めていただいて、つけ加えるならば、幸か不幸か、そのことによって総理の不信任が通るような国会の状況でもございませんし、まずそれを認めていただいた上で明確な方針、すなわち、各委員からも出ておりますけれども、並大抵のことでは乗り切れないというビッグバンに対して、これ
からの政府の方針はかくやる、今までのことを踏まえて、反省を踏まえてかくやるというふうにけじめをつけた形で再度出発される方がよっぽど国民の支持を得られるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども他の委員に対してお答えをいたしましたことと一部重複することをお許しいただきたいと思いますが、バブルの発生から崩壊に至るプロセス、そしてその崩壊から今日に至るプロセスの中で行政が常に正しかったかと言えば、正しかったと言う自信はありませんと私は率直に先ほどもそう申し上げました。そして、その時点その時点において政策担当者、政策責任者は最善と思う施策を当然ながら努力してきたわけでありますが、結果としてその努力が実らなかった部分があることも私は隠しておりません。同時に、バブルの発生から崩壊に至るプロセスというものが私どもの過去の経験に全くなかった状況でありましたから、その時点において十分考えたと思ったことでもそれが結果として十分でなかったという御批判を受ける部分はあると思います。私は素直に先ほどもそう申し上げましたし、改めてのお尋ねでありますからそのように同じお答えをさせていただきます。
  そして、その上で、その状態を受けて、この事態を乗り切っていくために全力を尽くして、また院の御協力も賜りたいとお願いを申し上げている次第であります。
○山崎力君 その御意見といいますか姿勢というものに関して、それなりの評価というものは当然出てくるわけだと私は思います。
  しかしながら、先ほどの議論の中でもございましたけれども、国民の意向というもの、国民の考え方、取りつけ騒ぎが起きるか起きないか、これは非常に心理的な問題がございます。
  今度の財政あるいは金融二法の問題でいけば、国民が大蔵省の、あるいは政府の金融政策、財政政策に対して信頼感を持つか持たないかというところが一番大きなポイントになるのではないかと思うわけでございます。
  その点に関して、個々のケースを言いたくはないんですけれども、大蔵省の今の現状の問題、あるいは倒産した北拓が予想以上の債務があって、それはもう北海道銀行との合併問題でそれがつぶれたという原因になっていたという問題、山一の問題でいえば簿外債務があったという問題、そういったことの一つ一つの積み重ねが私は国民の今の現状に対する問題意識といいますか、信用の失墜に至っているのではないかと。
  それが、申しわけない言い方で、これも戦後の総理としては初めてかもしれません、いわゆる株価によって政権の安定度が違ってくるという初めての事態を総理自身、今味わっていらっしゃると思うわけです。このことで思い返すのは、名君と言われた吉宗八代将軍が米相場に一喜一憂していたという、そういったことも考えるわけです。
  それはともかくとして、こういった事態に対して国民の一人一人が日本の財政、将来に対して安心を持てるという施策が先ほどの言葉で出できているのかといえば、私はそうは思えない。むしろ総理が素直に今までのことを、言葉じりでございますけれども、正しかったとは思わない、間違っていなかったとは思わない、そうは言い切れないと言うことよりも、むしろこの点の方が至らなかった、間違っていたと認めた上でこれを改めると言った方が国民の理解は得られるのではないかというふうに思うわけですが、その点はいかがでございましょうか。

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私個人の格好のいい悪いというようなことであれば、あるいは議員の御指摘どおりにする方がよいのかもしれません。
  同時に、証券市場も私は気になりますが、為替市場も気になりますし、殊に最近はアジアの他国の通貨の水準も大変気になっております。証券市場あるいは為替市場を心配された総理は私以外にもたくさんおられると思いますけれども、またそれだけの重みのある職だと思いますが、確かにアジアの他の通貨を心配するという場面に立ったのは私が初めでかもしれません。
  しかし、そういう状況に現に日本があり、その中で一定の役割を果たすことを期待され、現にまた日本は果たしつつあります。そして、それは議員のお目に触れておりますもの、お目に触れでおらないもの、さまざまなものがありましょう。報道されておりますもの、報道されておりませんもの、当然ながらこうした課題についてはございます。
  私としては、でき得る限りすべての御協力をいただきながらこの事態を乗り切っていき、それがアジアの安定にも寄与していくということを御理解賜りたいと心から願っております。
○山崎力君 終わります。
(後略)