質問「『公団子会社不祥事問題について』他

(平成10年3月12日参議院国土・環境委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 改革クラブの山崎でございます。
  最後になりまして、お疲れさまでございますが、私が通告させていただいたのが前の諸先輩で大分消化されるかと思いましたら、なぜか意外と消化されておりませんので、申しわけございません、的確に短い御答弁を願えればと思います。
  まず、建設大臣の建設行政に関する所信表明に沿った形でスタートさせていただきます。
  景気回復に向けた取り組みとして都市のリノベーションを実施するという表現がございますが、このリノベーションというのは、辞書を引くあれもなかったんですが、修繕とか修復とかそういったことだろうということで、私の頭ではばっと的確な言葉が出てこない、日本語になっているのかなという気もするんですけれども、その辺のイメージは、何をどういったイメージでこの言葉を使われたのか、まずお伺いしたいと思います。

○国務大臣(瓦力君) 委員御案内のとおり、我が国は人口が都市へ集中いたしまして市街地が外延的に拡大するいわゆる都市化社会から、都市化が終えんいたしまして熟成段階に入って今日都市型社会に移行しつつある、そういう転換期ではなかろうか。
  そういたしますと、都市政策におきましても、都市の中に目を向け直すいわゆる都市のリノベーション、今委員から、わかったようでどうなんだというようなことでございますが、都市の再構築に取り組んでみる大事なときではないか、こういうことで都市のリノベーションと、こう申し上げたわけであります。
  都市の再構築を進めるために、これまでもいろいろ総合的な計画であるそういう枠組みのもとで、街路、公園など都市の骨格となる都市基盤施設の整備であるとか、都市の基盤施設と市街地を一体的に整備する土地区画整理事業、市街地再開発事業等の法定事業の実施、さらに土地利用規制による民間建築行為、開発行為の適切な誘導、こういったところを推進してきたわけでありますが、今後とも都市計画中央審議会における審議も踏まえまして横断的な取り組みをいたしましてさらに都市の再開発を推進してまいろう、こういうことで都市のリノベーションに着手して政策を展開したい、こう考えておるわけであります。
○山崎力君 最終的にという言葉ですと再開発に近いというようなニュアンスでございましたけれども、言葉というのは非常に大切で、再開発というと非常に何かわかるんですけれども、それだけじゃないよということで言葉を選ばれてこういう言葉を使われたと思うんです。非常に広がりのある内容だとすれば、この言葉が日本語に定着するまで若干時間はまだかかるのではないかという気がいたしますので、その辺を御配慮願いたいと思います。
  続きまして、この表明の中でまず建設業界の問題が出てまいりました。そして、聞かせていただいてふと思うことなんですが、中小・中堅建設業者の受注機会の確保に資するということと競争性の高い市場環境の整備、こういうことが並んで出てまいります。この二つを両立させるというのはどうなんだという気がするわけです。
  競争性の高いということになりますと、やはり弱肉強食ということになりますし、そうすると中小・中堅業者の受注機会の確保というのとどうもぴったりこないんですが、それはどういうことを考えてこういう表現をなされたのか、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(瓦力君) 確かにさようなことを、今建設業をめぐる極めて困難なときでございますが、所信にも申し述べさせていただいたわけでありますが、地域経済の活性化あるいは雇用確保の観点から、特に経営環境に厳しいものがあります中小建設業者の経営改善策の一環といたしまして、一つには一般競争方式の客観点数を引き下げてこれを積極的に進めるとか、また下位ランク業者の上位ランク工事へ参入の拡大を図るとか、あるいは経常JV制度の活用を図ることなどによりまして、中小建設業者の受注機会の確保対策を推進いたしております。
  これらの施策は、単に中小企業であることのみをもって保護するものではなくて、優良な中小企業の競争参加機会を拡大することでございまして、市場の競争性を高めるものでございます。いわゆる技術と経営にすぐれた中小企業が伸びられるもので、競争性の高い市場環境整備と矛盾するものではないと、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
○山崎力君 ただ、これを突き詰めていくと矛盾が出てきてしまうわけでございます。これはもう正直に言いまして私も、それじゃどういうふうにすればいいかと言われれば困るんですけれども、大企業がとにかく大きな力を持って中小の分野にまで入り込んできて安い価格でどんどん落札していくということになれば、これは明らかに中小企業への圧迫になるわけで、さはさりながらそういったことをストップすることが競争性の高いというか透明性の高いと言われてみれば、確かに安い価格でできる余力があるところの方が受注機会がふえるという、そういった根本的な問題点がやはりあるというふうに認識しております。そのハンドリングが非常に難しいと思いますので、その辺、まさに下世話な言葉で言えば、後で後ろ指の指されないような行政をしていただきたいと希望申し上げます。
  それと絡む問題なんですが、先ほども最初の段階で特殊法人、道路公団の問題がありました。確かにそういった問題はもちろんなんですが、民営化の問題も絡んでくるかと思うんですけれども、子会社と言われるファミリー企業の問題があるかと思うんです。
  そういった点で、まさにそこのところでは透明な手続がなされていないのではないか。考えようによってはいわゆる特殊法人が子会社と呼ばれるようなファミリー企業を抱える必要があるのか、それは一般の企業にそこのところをやらせればいいのではないか。特に公費が投入されているところでございますから、その辺のところを全廃すれば、民営化すればこれは問題がなくなるわけで、そう言っては非常に皮肉っぽくなりますけれども、民営化すれば今回のような汚職というような問題、収賄というような問題は出てこないわけです。
  その点、やはり道路という公共性その他の問題という観点、特に建前上将来は一般道路化すると、道路公団の道路も、そういう建前がスタートした時点での問題もあろうかと思うんですが、国鉄が民営化されたということを考えれば、いわゆる高速道路であっても似たようなものだという考え方もできます。そういったところを踏まえた上で、民間会社であればかなりそういったところのコストダウンということを強くやらなければいけないはずなんですが、その辺のところがこれからどうなるのかということがやはりこの問題の焦点だろうと思います。
  建設省として、かなりこの道路公団等の経営の内容、特に発注コストの管理、相手先の企業の問題、入札の問題というものを今以上に厳しくする必要があると感じているんですが、御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(瓦力君) 公団におきましてもこれらの改革を大きな課題として今取り組んでいただいておるわけでございまして、適正な料金水準のもとに採算性を確保しつつ着実に道路整備を行う。これは国にかわりまして有料道路制度を活用して実施しておるわけでございますし、また建設管理費の節減、適切な国費助成というものを、利用者の面から見ますと料金面におきましてもある面では欠くことのできないことでございますから、こういうことで組み合わせながらやってきたわけでございます。
  さらに今後は、道路施設協会の子会社に料金収受業務や維持修繕業務等を委託しておりますが、発注に当たりまして客観的な基準に従って適正に積算しているところでありますけれども、会社の利益は経営努力等によるものと、こう考えるわけでございます。これらにつきましてもいろいろ今検討を加えまして、九年度における競争性及び透明性を確保する観点から、随意契約によって発注していたものを競争入札をもって導入するなど、今取り組んでおるところでございます。
  なお、若干問題がありますれば、道路局長からまたこれに類して答えさせたいと思います。
○山崎力君 いろいろな立場があるかもしれませんが、この建設関係に限らず特殊法人といった問題、これは全体の大きな行政改革の中に含まれる問題だろうと思いますけれども、その特殊法人自体よりもむしろそこの子会社といいますか、その関係の方がちょっと世の中の人には説明が難しいような関係があるというふうに報じられておりますし、今大臣の答弁の中にもありましたように、随意契約からいわゆる入札制度に変えるということ自体がその一つの証明であったような気もいたしますので、その辺の子会社を果たして特殊法人が持つ必要があるのかという根本的なところからこの問題を検討していただきたいと思い、次の問題に移らせていただきます。
  阪神・淡路の大震災のときの絡みでございますが、まず最初に、所信の中でいわゆる共同溝、「電線共同溝等」という表現がありましたが、非常にひどい災害であったわけですけれども、そういったもののいわゆる市街都市の再開発事業ですね、土地区画整理も含めた、そういったときがある意味では電線の共同溝化のチャンスであるというふうに感じていたんですが、いろいろな報道等、私も現地へ行ったときの感じからすれば、意外と電線というか電柱が目立っている。これはどういうふうになっているのかなという気がするんですが、この神戸その他の被災地の再開発に対して、共同溝化というものの位置づけはどうなっておるんでしょうか。

○政府委員(佐藤信彦君) 先生のおっしゃられている共同溝にというお話でありますが、電線共同溝は電線の地中化という道路の事業としてそれを進めてきているところでございます。これはもちろん防災性の向上とか快適な行動空間の確保、それから都市景観の向上といった面で非常に大事な施策ではないかといったことで従来から進めてきております。
  特にこの五年、平成七年から十一年までの間に二千キロの地中化を目指すといったことで進めてきているわけでございますが、特に阪神大震災、このときに地下化したところについては震災で道路に電柱が倒れたりしないもので復旧路にすぐ使えたといったようなこともございまして、復興に当たってもそういった地下化を進めるといった観点から、関係自治体それから電力会社、NTTなどと協議しながらそういった施策を進めてきております。
  この中で、震災後三年間の間に電線共同溝が六十七キロ、それからキャブが三キロ等々合わせまして大体八十一キロの区間についてはそういったものができてきているといった状況でございます。ですが、これも電線だけが地中化するんじゃなくて、それにあわせていろんなトランスとかそういったものをまた地下に入れなくちゃならない。そういった部分の用地がまた必要だとか、そういったもろもろの状況もございまして、全部が地中化に進むということにはなっておりません。
  ですが、そういったこともございますので、地中化を進める方向をこれからもやっていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○山崎力君 予定のあれよりも早く進めるというか、圧倒的にいけばという気がしていたんですが、そういったところまではまだいっていないんじゃないかという趣旨でございました。予算、それから復旧の度合いといいますか、電線がなければ暮らしていけないということがあって、地下を掘っているよりも早く持ってこいという実情もわかりますけれども、そういうチャンスということをとらえるという意味で一層の御尽力をお願いしたいと思います。
  それで、そこの絡みで国土庁の方にお伺いしたいんですが、国土庁の方の所信表明の中で、政府の初動対応の迅速化をやって総合的な災害対策を着実に進めていくという表現があったんですが、これは一番のあのときの問題からいけば、もちろんそういった国側のあれもあったんですが、地元で第一線でまず動いていただく消防とか警察とか、それも広域になりますと県単位を超える場合もある。そのときのことについて触れられていなかったんですけれども、そういったもののあれは、自治省の方も絡むこととは思いますが、防災の観点から国土庁がその辺のところをどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(亀井久興君) 大規模な災害が発生いたしましたときに初動対応をどうするかということは極めて重要でございまして、今阪神・淡路大震災のことについてもお触れになったわけでございます。当然のことながら、一次的には住民に最も身近な行政主体であります市町村が当たるということでございますが、広域的、総合的な対策については都道府県及び国が行わなくてはいけないわけでございまして、その際に警察や消防等そうした公共機関との連携というのは極めて重要でございまして、そうした関係機関からの画像情報とかさまざまな情報等も含めまして多くの被害情報をいち早く収集して、それをまた伝達する、そうしたことは迅速にやっていかなくてはいけないというように思っております。
  国土庁といたしまして、防災基本計画及び国土庁の防災業務計画に基づきましてこうした応急対策を迅速に実施するとともに、中央防災無線網の都道府県への拡充とか消防、警察等が収集した災害の現地の画像情報の官邸への伝送路の確保とか、そうした体制の整備を現在図っているところでございます。
  これからまた各省庁、関係地方公共団体、公共機関等と連携をいたしまして災害対策の充実に努力してまいりたいと思っております。
○山崎力君 もう一つ災害に絡んでちょっとお伺いしたいんですが、前の災害特で私も質問したことなんですが、ナホトカ号の事件のときの広域的な対応の問題と同時に、いわゆる人為災害ということでの被害補償の問題です。そこのときに、その復旧に国が金を出せばその分だけ民間の人が補償の取り分が少なくなるという問題がございまして、災害対策基本法の問題というのは、自然災害、要するに原因者がいないときはこれはもう当然国がそういったもののいろいろ面倒を見るんだけれども、原因者がいたときに、それじゃその分は民間の被害をかけた民間同士といいますか私人間同士の被害補償よといったときに国が乗り出してくると、その国のかけた分だけそこから取ってしまわなけりゃいかぬ。そういった意味で、人為災害と自然災害と違ってくるという点が一点ございます。
  それからもう一つ、ナホトカ号でロシア側のあれでは一種の自然災害だ、あれも悪天候だ。そうなってくると、思い返すと阪神大震災のときに、幸いにも被害はありませんでしたけれども、鉄道、新幹線等のあれが若干ずれて、そこで新幹線が大事故を起こしたといった場合、これは自然災害なんだろうか人為災害なんだろうかという問題もありますし、あるいは岸壁の船が地震で岸壁にぶつかって亀裂を生じて油を出したと、こういった場合はどっちに入るんだとかいろいろ微妙な問題がございますので、この点、時間の関係で答弁は結構でございますが、国土庁において、そういう人間の起こす災害というのが自然災害に比べて小さいとも言えない時代が来ている可能性がございますので、御検討を今後お願いしたいと思います。
  最後の質問に時間的になると思いますが、また建設省の問題に戻りまして、豊かな住生活の実現のためいろいろな制度を考えていらっしゃる、税制上も考えていらっしゃると言うんですが、私の実感するところで、大都市、特に大都市部における住宅の環境の悪化の最大の原因は何かといえば、これは相続税なんです。今まで住んでいた方が亡くなられたことによって、それが地価が上がっていたというバブル時代は特に顕著だったわけですけれども、それをなかなか払うだけの資金がない、よってそこのところを切り売りあるいは全部売ってほかに移らにゃいかぬ。買ったところはそのままではなかなか商売にならないので細かく分ける、あるいは相続税対策として小さなアパートを建てて対策にする。
  そういったことが極めて東京周辺あるいは近畿圏も含めてあるわけで、その点に触れないでこういうふうなこと、相続税というと所管が違うというところもあるかもしれませんが、本当に良好な住宅環境を考えるならば相続税の問題に触れないわけにはいかないんだろうと私は思っているんですが、ここには触れられていなかったわけですけれども、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(瓦力君) 山崎委員から、市街地におきましての住環境の重要性、また阻害要因として相続税の課税に関連いたしまして敷地の分割等いろいろ問題があるのではないかというような御指摘でございまして、確かにそういったことを仄聞しないわけではございません。
  建設省といたしましては、都市計画や建築基準、その他各種制度の適切な活用を通じて良質な住宅ストックの形成を図りつつ市街地の住環境の維持向上を図ってまいりたい、かように考えております。相続税に係る問題につきましては、また別途、委員会を異にして御質問をいただければと思いますが、仄聞をしながらまだ快適な市街地を形成してまいりたい、このように今考えている次第でございます。
○山崎力君 今のお言葉で感じたことを一言申させていただきますと、住宅の取得とか形成とかという言葉があるんですが、私の申し上げているのは、かってよかった、いいと思われていた住宅街がこの相続税によって悪くなる。取得するとかなんとか、今までよかったものを維持するという方がむしろ大きな役割で、それがもういろんなところで形成できなくなってきている、結果的に悪くなっているということでございますので、ちょっと若干今の大臣の答弁と感覚がそこでずれているのかなという言葉を感じましたので、指摘させていただきます。
  そういったことで、もう時間でございますので終わらせていただきますが、これは委員会が別ということになるとちょっとまたもう一つあれで、まさに建設行政、いい都市空間をつくる、住宅をつくるという点からいきますと、やはり建設省に頑張っていただかなければ、大蔵省の税金の取り分が少なくなることを遠慮しているというわけにもいかないと思いますので、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(瓦力君) 御指摘でございますので、よくよく心得て取り組んでまいります。どうも失敬いたしました。
(後略)