質問「『中心市街地法の運用について』他

(平成10年5月20日参議院経済・産業委員会、国土・環境委員会連合審査会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 改革クラブの山崎でございます。
  主に建設といいますか、国土・環境におりました関係で、そっちの方の絡みは今までのいろんな委員会の審査である程度やっておりましたが、今度の法案でいわゆる通産省絡みの関係がございますので、もし建設省関係の方はそこに補足したいというのであれば結構でございますけれども、そうでなければ、直接の質問は通産の方にさせていただくということで御了承願いたいと思います。まず、この問題、いろいろな問題があるということは承知しております。特に私の地元での各都市の実情を見たとき、あるいはほかのところへ行ったとき、特に地方中小都市といいますか、県庁所在地を含めた都市の流れを見たときにほぼ共通した状況であるということは承知しております。
  そしてもう一つ大事な点は、これがきのう、きょうのことであったのではなくて、もう既に二十年くらい前から言われておってそれがいろいろな形で出てきた。最初は百貨店法だったのが大店法に切りかわって、今回この大店法の問題が出てきたというような流れの中で、これは本当に何とかしてくれと心配される地元の関係者の声は私も聞いているわけです。
  それで、それに対して何とかしたいという国側の施策がこの法案になってきたということも承知した上で、もう一歩下がって納税者の立場になったときに、これが最終的に一種のばらまきになってカンフル注射にはなるけれども、その辺のところどまりで、要するに死期を延ばしただけで結果は何も残らなかったというような形になりはしないかという懸念があるわけでございます。
  その点で、いろいろな問題点がございますけれども、その辺に対する基本的な認識として、今回の問題、こういう中心市街地のというふうに言ってきたのは、私のような立場で今まで見てきた者からしますと、要するに、今まで中小企業、小売業に対する通産サイドからの施策をいろいろやってきたんだけれども、うまくいかなくなってそれだけではもうどうしようもなくなった。そこで、都市づくり、街づくりという建設サイドのものと一体化することによってまた何とかしようとしているのではないのかという疑問があるわけでございます。
  簡単に言えば、要するに一種の中小企業対策、小規模な商店を中心としたそういった対策でなぜやれないのかということが私の疑問であるわけですけれども、その点についていかがでございましょうか。

○国務大臣(堀内光雄君) 委員の御指摘のとおり、今までも商店街の活性化対策というものはいろいろな方策をとってまいりまして、それぞれ決して成果がなかったとは申しません。その成果はそれぞれ上がってきたとは思っておりますが、やはりシャッターが下がるあるいは空洞化が出てくるというようなことで、何とかもう一度この商店街をよみがえらせるようなことはできないか。同時に、商店街自体も非常ないろいろ努力をしながら、その穴埋め、商店の足りない部分を補充したりして合成果を上げているところもあるわけでございます。
  そういうものを後押ししながらもう一回その商店街自体の活性化を図ると同時に、商店街自体だけで存在するものでは本来ないんであって、昔からの市街地というものがあって、その市街地の中にはいろいろと古い歴史の中から、コミュニティーがあり、あるいは防災防犯まで商店街とのつながりの中で出てきたり、あるいは伝統もあり、お祭りもあり、いろんな文化もあるというような、そういう昔の都市というものをもう一回見直しをしながら、そして全体的に取り上げてそれを活性化することにしなきゃだめなのではないか。
  それには、通産省の小売商店街対策というようなものだけではなくて、今まで縦割り行政の中でどうしても自分の省庁だけの問題になっていたものを、活性化のために何とか一緒に努力をする、力を合わせて成果を上げようじゃないかということでこの十一省庁が取りまとめをしたということになっているわけなのであります。
  そういう意味で、消費者のニーズの変化だとかモータリゼーションの進展だとかいうような環境の変化に対して、今商店街の対応をどういうぐあいにするかというところに一番基本点があるということになってまいります。
○山崎力君 御苦労はよくわかるわけですが、ただ、私のように大ざっぱな人間から見ますと、要するに現実に対抗馬としての郊外の大規模店舗というものは存在するわけです。その影響があるからこそ中心市街地の問題が出てきている。
  そういう意味からいきますと、消費者サイドというか物を買う者からしますと、その買う量がふえる、要するに経済が右肩上がりで上がっていくというふうに考えますと、郊外の大規模と中心市街地が活性化されて両方ともよくなる、これは当然考えられるわけです。昨今の経済情勢でいきますと、これはあくまでも中心市街地対郊外大規模のゼロサムゲームでありまして、片方がよくなれば片方がその分売り上げが減る、その競争だという基本的な認識というものがなければならないと普通にそう思うわけです。その辺についてと今回の施策についての関連はどうなっているかをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(堀内光雄君) 大規模店が郊外に立地をする、それに大きな商業の流れが行ってしまった。これをどういうぐあいに大きな都市づくりの中で考えるかということになりますと、先ほどから建設省の都市局長からの説明もございますように、ゾーニングというものを考えて、この地域は大型店を建てるべきではないところだとか、この地域は建ててもいいところだとか、商店街をここは大いに伸ばしていかなきゃいけないところだとか、そして市街地とのつながりをどうやって持っていくかとか、そういう大きな意味合いの中での立地を考えてまいりませんと、先ほど委員のお話のように、今までの大店法というものでは全然規制のできなくなってきている点ができております。
  この規制というものも社会的規制の問題でありまして、経済的規制ではありませんが、そういう社会的規制の面でも今までの大店法ではできない。そういうものを都市計画と含めながら、一つの理想的な都市をつくるための計画ということになってきているわけでございまして、そういう点を御理解いただければというふうに思います。
○山崎力君 そういうふうな発言が通産大臣から出るとは思いませんで、建設大臣が言うような中身じゃないかと思っております。
  というのは、まさにそこのところは建設省が言っていることでありまして、その中で中心市街地をどうするんだという意味合いでの法案ならばいいんです。現実にはそうだと思うんです。ところが、審議の中身からいきますと、まさに国土・環境の方に来なかったのと同様に、上側に来る都市計画をどうするんだと。
  私自身考えているのは、日本の街づくりの根幹自体がないじゃないか。建築基準法から、都市計画法から、これが日本の将来のあるべき姿であるということが今までどうしても出てこなかった。本当に後追い後追いの都市政策で、その場その場の住民のニーズにどうやって対応していくかということで今までの都市政策、建設行政が行われてきた。これはやむを得ない部分もあるんだけれども、国として、公共機関として、日本の我が町はこういうふうな都市であるべきであるとか、あるいは首都としての機能はこうあるべきであるとか、景観的に世界に誇れる町であるとか、そういったものをやる余裕がなかったと言えば聞こえはいいんだけれども、その発想があったかどうかという問題もあるんです。
  その中でこの問題が出てきて、物流その他のところが出てきているのはわかるんですが、この流れといいますか出方から見ますと、やはり結局住民サイドが音を上げた、このままくしの歯の抜けたような商店街じゃもうやっていられないよ、行政さん何とかしてくれというような声に押されて出てきた法案じゃないかという私は危惧を持っているわけです。
  それはそれでいいんだけれども、そういうふうな発想からくると、対応策がまさにさっきの、最終的には、皆さんお金配りましたからこれでやれるところはやってください、やれないところはそれを元手に別のことを考えてくださいというような、そういう法案になりはしないかということが私の危惧するところであります。
  そこのところを踏まえた上で、一番私が問題とするのは、それぞれの市町村がそれぞれ生き死にをかけてこれから商店街の活性化を考えるわけです。そのときに全部に希望の額は出ていかないわけです、物理的に。そうすると細切れになって、戦力の逐次投入じゃないですけれども、それぞれがそこでむだ遣いになってしまう。これはいいとなったところにある程度のお金をつぎ込んで、街づくりをして商店街の活性化をして初めて郊外の大型店に対抗できるいい町並みができる。
  そういうふうなことだろうと思うんですけれども、その判断、あなたのところの町はいいよ、だからお金を出すよ、あなたのプランはだめだよ、そんなのじゃとてもやっていけないよという判断をだれがどういう基準ですることになるんでしょうか。

○国務大臣(堀内光雄君) 先ほどからの御質問がどうもちょっと誘導的に、建設大臣がちょっと遠くに行ったものですから私が答えましたけれども、本来私が答えるべきものでなかったのかもしれません。
  今度の中心市街地の基本的な考え方というのは商店街の活性化、そしてそのポイントというのは、個々の商店や商店街が点とか線とかいう点に着目して支援の枠組みをしてきたということが今までのやり方なんですが、それを広く中心市街地の商業全体というものを眺めまして、それを一体的に面としてとらえて、そして多様な規模とか業種とか業態とかいうような店舗をそろえて、そういう中でさらに基盤としての駐車場とかコミュニティーの施設とか、そういうものの計画的な配置をやっていって整備を促進する。そして、そういう中で各般の支援措置を講ずることによって初めて理想的なものが商店街の中でもまとまってでき上がってくるということになるわけなんであります。
  そういう意味合いから、今度の場合にも商工会とか商工会議所だとか第三セクターだとかいうものを主体とするタウンマネジメントという機関を中心にして、そこが計画を立てる。あくまで地元の主体性によって、地元の計画のもとに取り上げて、それを十一省庁の窓口としては一本にいたしまして、三省の中で一本になって受け入れて、それを連絡機関において検討する。
  その際に、町が大きいとか小さいとかそういうような問題ではなくて、空洞化しつつあって非常に大変な都市である、あるいは空洞化しそうであるとか、あるいは熱意があるかないかとか、そういうものを中心にして出てきた計画というものをしっかり見きわめまして、数は制限するわけじゃありません、その中でできるだけいいものから逐次完成をさせていくということで、ばらまきのようなことは絶対しないようにしてまいりたいというふうに考えております。
○山崎力君 長々とお聞かせ願ったんですが、そのお考えは悪いと一言も言っていないんです。それはわかるんです。ただ、実際にやるときにそういうふうにうまくいきますかということなんです。基準がはっきりしていて、こういうところだったら、おたくの方は一生懸命やってしっかりしたプランですからこれはいいですねと、その辺のところの理由をちゃんと出せますか、それに必要なお金が出せますか。
  時間がなくなりますから言いっ放しになるかもしれませんけれども、これは市町村間の問題だってあるわけですよ。要するに、隣の町の流れている人をこっちの町のショッピングセンターに持ってきたら町自体がよくなるという、その市町村間の競争だってあるわけです。隣の町のショッピングセンターにとられて中心街がおかしくなっている。こっちの方は人が集まることによって、旧来大したことのない商店街がそれに付随して活性化しているという、そういう市町村間の競争だってあり得るわけです。
  先ほども言いましたようにゼロサムゲームだから、こっちに肩入れしてそれで整備したら、これは中小企業の人はいいかもしらぬけれども、こっちの大店の方がおかしくなってしまう。これだけ自由競争の中でこれでいいのかと。むしろ最低限の設備といいますか、建設的な部分をやることによって、商売はまさに商店街対大店の方のあれで、判断は消費者に任せるべきであるということもできるはずなんです。
  その辺のところをどうやって持っていくのかというところが、現状認識とそれに対応する方針はわかるんだけれども、その結果がどうなるかというのが全然見えてこない。それに大量の一兆円ものお金を使うということが果たしていいんだろうか、むだ金にならないだろうか。よく使ってほしいんだけれども、そこのところが今のところではできないんだという気持ちだということで、最後に大臣のその辺に対する御感想を簡単で結構ですから承って、質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(堀内光雄君) 建設大臣から少し答弁をした方がいいと思うんですが、建設大臣ともよく連絡をとりながら御期待にこたえられるようにしっかりやってまいりますので、御協力をお願いいたしたいと思います。
○山崎力君 終わります。
(後略)