質問「『後追いに過ぎるミサイル情報公開』他

(平成10年9月3日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 改革クラブの山崎です。
  若干今までの議論というのは私から見ると何か少しずれているんじゃないかという気がします。今回の実験への認識がちょっと違うのかなと思うんです。例えば今回の場合、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国という国としての政治形態、国家形態としての特殊性を抜きにした議論というのは無意味だということ、すべてそれに収れんされると私は思っております
  例えば、今回の実験のときによくやるように北側が公海上に警戒区域を事前に発表していた場合、仮に上を飛んだとしても今回のような我が国の対応ができたかどうかというようなことが言えるわけですし、核兵器の問題からいけば、今はどうか知りませんけれども、かつては複数の国が我が国に核弾頭を向けてセットしていたというのは公然の秘密だったわけで、それに対抗策がなかったというのもこれは当たり前の話で、アメリカ自体もそれを持っていなかったわけですし今も持っていない。そういったところでこういった議論をするのはいかがなものかなという気がします。
  むしろ問題とすべきは、そういった中で我が国がかつてから言われたように専守防衛としての情報収集能力に欠けているところがあったのではないか、そこに対しての努力不足があったのではないか。今回の発表を見ていると、すべてある意味ではマスコミの追認作業を政府側がしている。一番の問題は、いわゆる制服組あるいは防衛庁、外務省を含めた役所が集めた情報をどこまで国民に公開していいかという判断を政府としてしていないんじゃないか、判断できてないんじゃないかという点が私は一番懸念されるところだと思うわけです。その辺のところを両大臣からお伺いしたい。
  それから、具体的な例を言います。
  そのミサイル発射のときに、一段目と二段目の切り離しした場合を、その時点をレーダーでキャッチしていたのかどうか。
  二つ目は、本来こういった時点であれば、危険水域というか着弾予想水域を含めて、着弾というのは本来は弾頭部だけで、切り離したロケットの落下地域は着弾と言いませんけれども、その辺の言葉の不正確性も含めて、北側が観測船をその辺のところに置いているのが普通なんです。前回はそうだったはずですけれども、今回それが見られたのか見られなかったのかというのも極めて重要なポイントなんだけれども、全然出てこない。もし警戒していたら、北側の船が来たよと、それが太平洋側にも行ったとなればこれは明らかなわけで中、事前の準備として。それを見落としていたのかいなかったのか、太平洋側に先ほどのイージス艦がいたのかいなかったのか。
  そういった事実関係、そのくらいの事実関係を明らかにして、これだけのことを我々はしていましたということを国民の前に明らかにすることが国民のこういった問題に対する政治、政府への信頼性を高めるものじゃないかと私は思っているんです。その辺のコメントが全然出てこないというのはいかがなものかというふうに思っておりますけれども、その辺の事実関係並びに考え方についてお聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(額賀福志郎君) 私は一カ月前に防衛庁長官を拝命しまして、まず情報については、原則公開であろう、そして戦略的、戦術的にこれはどうしても公開できないというものはある、そこをまずどっちに重点を置くかというと、公開をする方に重点を置いて考えるべきであるという基本的な考え方を持っております。それでまた、そういうふうに指導してきているという思いであります。
  そこで、第一段、第二段のロケットの切り離しについてキャッチをしていたのかどうかということでございますけれども、これは先ほど来申し上げていますように、早期警戒情報については日本海に落下したという情報だけでありましたけれども、その前にいろいろな情報を得ておりますので、それを加味して分析をした結果、これは第二段ロケットの仕組みである、米軍情報とかみ合わせた上でそういうふうに分析をしたということから見て、そこを我が海上自衛隊、我々もその能力があった、あるいは分析をする結果を得ることができたというふうに思っております。
  それから、イージス艦は一隻だけ出ておりました。それは主に日本海側にいまして、それは大浦洞からミサイルが発射されていく、言ってみればそれを追跡していくことになるんだと思いますけれども、一方でその情報をさまざまのところでアメリカもキャッチしているだろうし、我が方もキャッチしていくという形で三陸沖の着弾予想を固めていったということだと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 具体的な事実関係は防衛庁長官から述べられたわけでありますが、考え方を述べろということなので私なりの考え方。
  情報を発表するのは早い方がいいか遅い方がいいかといえば早い方がいいに決まっていると。じゃ、確実な方がいいか不確実な方がいいかといえば確実な方がいいと。その二つのせめぎ合いで、不確実なときに発表してそれが揺れることがまた国民に不安を与えるということとの関係ということは一つあり得ることだと思います、一般的な考え方でありますが。
  それともう一つ、情報を公開した方がいいか公開しない方がいいかといえば、公開した方が一般的にいいに決まっていると。ただし、この種の情報については、特に情報提供者との信頼関係が、情報を提供してくれた方が情報を公開していないときに、そのことをやることによって今後一切情報提供を協力しないよということは、これは単なる可能性の問題じゃなくて、本当に現実の問題としてあることなんですね。だから、そういうことを考えた上で、そして具体的にはそういう全般を考えられて主として防衛庁が判断されたんではないかと、こういうふうに考えております。
○山崎力君 質問に対してのお答えが大分抜けているんで、もう一回。申しわけないんですが、御答弁いただけてないものですから。
  先ほどの額賀長官の話でも、私の質問は、自衛隊の主にレーダー傍受、電波傍受によって自衛隊自身が一段目と二段目の切り離しのことをキャッチしていたのかいないのかということをまず聞いております。だから、していたのかしていないのか、イエスかノーかの答え。まだそれをはっきり聞いてないというのか、その点が一点。
  それから、太平洋側にイージス艦、主に日本海というのもおかしな言い方なんですが、確かに太平洋側には恐らくいなかったんでしょう。ですけれども、太平洋側に来る可能性があるとしてイージス艦じゃない艦艇を配置していたのかしていなかったのかという点のお答えもない。
  それから第三点として、先ほども言いましたが、北側の観測船の動きをフォローするというのはこういったミサイル実験のときのイロハのイなわけです。そこのところのフォローがあったのかなかったのか。逆に言えば、その動きがなかったために、本来なら、普通の実験ならばそういうことが出てくるのが当然なのに、そういった動きが北側からなかったから情報収集について我々も後手をとりましたと、こういうことはあり得るわけですけれども、その辺のお話もない。
  それから、先ほどもおっしゃられましたけれども、我々の情報収集の体制の多くの部分をアメリカ側が持っているということはわかるんです。ただ、そこのところでの信頼関係というのもあるんですけれども、逆に言えば、そういったところからの情報を総合しなければ今回の実験は、言葉をかえれば我が国の情報収集能力、エリント、コミントによってとれなかったということをあらわしているわけです、今のお言葉ですと。
  本来なら、どこからもそういった情報を得られなくても自前の兵器というか観測装置によってとることも可能なわけです。現実に、この間の大韓航空機がソ連機に落とされたときに、ある意味じゃ本当の機密である会話まで国連総会にアメリカの要請で出しているわけですよ、我が自衛隊の能力として。
  そういったものを踏まえた上でどうするんですかということを私はお伺いしているわけで、単に一般論でお伺いしているわけではないということで再度御答弁願えればと思います。

○国務大臣(額賀福志郎君) まず、そのレーダー、電波傍受をキャッチしていたのかしていないのかということにつきましては、これは私は原則公開とは言いましたけれども、山崎委員は非常に御造詣の深い方でありますから御理解をいただけると思いますけれども、我が国の今後の情報収集とか分析だとかあるいは戦略的なことを考えた場合に、なかなかこの場で明快にお答えすることが適切かどうかというふうに私は判断をしておりまして、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。
  イージス艦につきましては、日本海側であります。それから、観測船は確認しておりません。

(後略)