質問「『防衛装備品水増し請求問題』ほか

(平成10年12月11日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 最初に、会計検査院の方にお伺いしたいと思います。
  これは田委員が先ほど発言された、いわゆる市場原理に基づかない物品の価格算定をどうするかということで、今回の問題について、一応水増し請求したというところで返還額をきちっと決めて返させるような方向にするということなんですが、その返還額というものは本来の物品の価格ということが前提であるわけですけれども、その辺に関して会計検査院はどのようにかかわったのか、これからかかわるのか、それが適当な価格であったのかということをどうするのかということについて、まずお伺いしたいと思います。

○説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。
  今回の水増し請求の問題につきましては、現在防衛当局において東洋通信機あるいはニコー電子との間で返還額について最終的な調整をやっていると思っております。
  私どもといたしましては、その結果が出ました段階におきまして、各資料等を検討いたしましてその妥当性について判断したいというふうに考えております。
  また、一般的な話で恐縮なんですけれども、国産の防衛装備品につきましては、今、先生御指摘のように、非常に市場性がないというところから、または同一品を複数の業者が製造することもほとんどないということで、同種同品質のものの価格比較というものが大変難しいという状況でございます。
  しかしながら、調達実施本部等が原価計算方式によりまして決定しました予定価格の内訳につきましては、製造現場であります製造会社等に赴いたりいたしましてできるだけ実際に発生した費用の確認に努めているところでございます。また、ライセンス契約により製造する装備品につきましては、ロイヤルティー等の支払いを必要とするものでありますので、その支払いの根拠となる契約書等を確認し、また算定方法の妥当性や支払いの必要性の有無についても調査しているところでございます。
  また、輸入品につきましては、例えば護衛艦搭載用のイージスシステムがFMS、有償援助により調達されているわけでございますが、製造業者が海外にありまして、価格の妥当性を調査するためには現地に赴きまして原価の内容を確認する必要がありますが、これまでは現地で調査したことはなく、価格の妥当性の確認は今後の課題となっているところでございます。
  なお、ソフトウエアにつきましては、やはり防衛機密上の問題等もあることから、従来は価格算定の検査はしていない、こういう状況でございます。
○山崎力君 詳しく御答弁いただいたわけですけれども、防衛庁の方で額がまだ決まっていないということですが、これはある程度すぐ出てくる話だろうと思います。算定が済んでいるというのは、どういう感じでしょうか、今。
○政府委員(及川耕造君) 既に立件をされております東洋通信機、ニコー電子等については鋭意作業を進めておりまして、極力返還額の確定をいたしたいと思っております。先ほども御質問ございましたNEC等につきましては、現在事業所に立ち入っている最中でございます。
○山崎力君 この問題、本当に一番難しい、いつまでたっても正解というのは出ないと思うんです。
  これから問題になるか、一部報道されているところですけれども、今の自衛隊のT7練習機、スイスのメーカーとの入札問題がありまして、今話題の富士重工が落札する際に、最初の同類機種よりもかなり下のあれを入れてとった、それがスイス側から抗議を受けた、こういう事案があるわけです。逆に、日本がアメリカから輸入していたAMM、空対空ミサイルを日本側が類似品を開発して安い価格で買えるぞというふうなところまでいったら、向こうがそれよりも極めて安い値段をつけてきて買わざるを得なかった。こういう事案もあるので、そういう点、兵器の類の値段というものは非常に難しい。
  これは国防上の産業維持という国家的見地の問題もありますので、その辺のところで、これからの国際社会の兵器市場の中で日本がどういうふうな価格で兵器あるいは装備品を調達していくかというのは極めて難しい背景のある問題だと思うんです。赤字になっても、工場、予定のもの、工員の確保、機材の確保をする意味では受注しなきゃいかぬよという場合もあるでしょうし、それを何とか別のところで面倒見てよという話もあるかもしれないし、コストダウンしたらその分安くなるんじゃかなわないから、コストダウンをわざとしないで高いままでつくっているよということもあるかもしれない。
  その辺のところを、長官、どのように考えていくか、これがこの問題のベースになっていると思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(野呂田芳成君) 先ほどから委員の皆様から再三御指摘を受けているわけですが、私はこの問題は、防衛上の必要性から大変高度な技術と技能を必要とする、それから秘密を守らなければいけない、そして多額の生産設備を必要とする、こういうことでありながら、一方においてはお客さんは防衛庁だけということになりますから、なかなかいろいろな企業がその需要にこたえられるようなことにはなっていないわけで、そこが、企業と防衛庁の癒着というか依存関係が長期にわたって醸成されてきたということの背景に厳としてあると思うんです。
  だから、今そうするというんじゃなくて、国産にこだわらないで外国のものを使うというふうに踏み切るということも一つの解決策かもしれませんが、今のところはそういうことはやっていない。武器輸出三原則はきちっと守らなきゃいかぬということですから、なかなか体質を変えて、言うことは簡単です、随意契約だめだから競争契約をやれと言っても、買うのは一つでつくるのは何社もいないということですから、こういうことでなかなか問題があるなと実は思っております。
  私どもとしては、何とかひとつ企業がもっとコスト低減に努力してもらうとかあるいは防衛庁としては価格ソースの多様化を図っていくとか、そういうことをやってまいりたいと思います。
  私、防衛庁に赴任してきまして大変不満なのは、NECでも何でも立ち入り調査しているんですけれども、四、五十人動員するということがもう至難のわざなんです。ということは、原価計算をできる人が四、五十人しか実はいないんです。これだけの膨大な事案が出ながら、四、五十人しか原価計算できる人がいない。工数の計算にも大変時間がかかる。こういうことで実はアメリカに浜田政務次官らを派遣して勉強してもらったんですが、アメリカは五万四千人もいて、その中に一千人以上の公認会計士らが入ってやっているわけです。五万四千人です。
  日本は、本庁の方に千人ぐらい、地方調達の方に千人ぐらいで、しかも原価計算できるのはせいぜい四、五十人、地方入れると百人になるそうですが、百人ぐらいしかいないというところに非常に問題がありますから、私は総務庁長官には、何とか税理士とか公認会計士を導入して独立行政法人でこういうことをやらせられないかということを今一生懸命交渉しているところでございます。
○山崎力君 これは長期的に重大な問題ですので御努力願いたいと思います。その際、秘密保持の点からいけば公認会計士よりも会計検査院との共同ということもあり得るということでございますので、その辺のところの御検討も願いたいと思います。
  時間がありませんので、一、二点。
  今、北朝鮮のミサイル発射準備が進んでいるんではないかということで、予算委員会ですか、答弁されていると思うんですが、今の段階はこの間の発射時点ほどの態勢はとっていない、今の時点はそれほど差し迫っていないということで理解してよろしいかということだけ、簡単に御答弁願えればと思います。

○国務大臣(野呂田芳成君) 弾道ミサイルを運ぶような車両が引き出されたりしたというような断片的な情報はあるんですが、何のためにそういうことをやっているのか全く意図はわかりません。そういう確実な情報は確認されていません。
  きのうもペリーさんが、アメリカの前の国防長官が来ましてその話をしましたけれども、アメリカも確認できていないということであります。
○山崎力君 最後の質問です。
  今回の一連の問題で、これはちょっと誤解を招く発言になるかもしれませんが、前の額賀長官もちょっとわかっていなかったんじゃないかなと思っていたのは、今回の問題、制服の人たちの再就職の問題で非常に気にしていられたんですが、私が見るところ今までのところは、今後はどうか知りませんけれども、今度の不祥事に関して制服の人は直接関係していないんですよ。
  だから、先ほど田村さんも言われたんだけれども、ユニホームの人たちから見れば、内局の、背広組は何やっているんだと。逆に、きつい言葉で言えば、我々が一朝あるときには生死をかける装備で、それをある意味でピンはねしている連中が内局にいたんじゃないか、そういう発想を持ってもいたし方ない部分があるわけです。そうすると、ユニホームを含めた防衛庁全体から見るとこれは重大な問題ですので、その辺のところをもう少しはっきりした形で理解を得るようにしないといけないなと。再就職の問題は、背広の人の再就職の問題で、制服の人の再就職の問題じゃなかったわけですから、その辺のところをもう少し明確にしていただいて、これからの庁内の士気の維持というものに努めていただきたいと思うんですが、長官のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(野呂田芳成君) 御指摘のとおりだと私も実感しております。
  ですから、内局の幹部等に対しては今まで顧問のようなのは全く承認の対象にしておりませんでしたが、今度は全部を長官の承認事項にして、しかも行った先についてはすべて国会に報告するというふうに措置したいと思います。
  全く御指摘のとおりですが、自衛隊の隊員の皆さん方については、やっぱり精強な部隊を維持するということで早期退職をやったり任期制があるものですから、そういう人たちは大変老後に不安を感じますから、逆にそういう人たちの再就職の問題に対してはもう少しきめ細かく厚いものをやりたい、こう思って今検討しているところです。

(後略)