質問「『小児ぜんそく事業の不適正化』ほか

(平成11年3月2日参議院予算委員会会議録より抜粋)


(前略)
○委員長(倉田寛之君) 関連質疑を許します。山崎力君。
○山崎力君 私は、いわゆる小児ぜんそくに関連いたしまして、医療行政との問題点、これを厚生省を中心にお伺いし、いわゆる集団的自衛権と国際連合の関係で日米ガイドラインに関連して関係省庁、それで余裕がありましたら日債銀のいわゆる第V分類についてお伺いしていきたいと思います。
  まず、小児ぜんそくでございますけれども、これは小児慢性特定疾患治療研究事業ということで予算がついてやっているようでございます。
  そういったところでの研究事業の適正化が昨年来行われておって、それには患者の保護者に対して医師の意見書を提出させるようにしてある、こういうことでございますが、この辺の施策の考え方はどのようになっておりますでしょうか。

○国務大臣(宮下創平君) 小児慢性特定疾患治療研究事業という長い言葉の事業でございますが、これは疾患名が十くらいございますが、その中に小児ぜんそくも入っております。そして、この研究につきましては、今後の一層の推進を図るために、平成十年度から本事業の開始や継続の申請の際に保護者から提出される医師の意見書等に記載されております対象児童の症状とか検査結果等のデータを国が登録管理することとしたところでございます。
  このことを指していらっしゃるかと存じますが、小児ぜんそくにつきましても本事業の対象疾患となっておりますことから、登録された患者の医療情報を集計、分析、評価して、今後の小児ぜんそくの診断、治療の向上とかあるいは研究の推進に役立たせたい、こういうことでこの対策がとられているところでございます。
○山崎力君 基礎データとして、小児ぜんそくの全国の患者数、重度、軽度という軽重の問題、それから国が補助の基準としている入院日数三十日以上、そういった分類での患者数はどのようになっておるのでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 平成八年度の厚生省の患者調査によりますと、二十歳未満のぜんそくの患者の数が全国で五十万七千人と推計されております。これら患者の症状別の数につきましては、統計等が現在ございませんで、不明でございます。
  私どもの小児慢性特定疾患治療研究事業の対象にしておりますのは一カ月以上の入院を必要とするぜんそく患者ということでございますが、平成九年度の実績によりますと対象者数は八千百七十六名ということになっております。
○山崎力君 そうすると、今度の意見書を提出させるのはこの一カ月以上の八千人を対象にしているんでしょうか、それとも五十万人を対象にしているんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 私どもが行っております小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者ということでございます。
○山崎力君 数字で言うとどちらに当たるんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 八千百七十六名の方でございます。
○山崎力君 この件について、五十万人を対象としているのではないかということで全国各地で、そういった方々に対して医師の意見書を各都道府県のところで出させるようにということは承知なさっておられるでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 国が行っておりますこの小児慢性特定疾患治療研究事業のほかに、これは一カ月以上ということでございますので、それより軽度のぜんそくの方あるいは外来のみのぜんそくの方等を対象にした助成事業を県単独で行っているところが数県ございます。そういったところにつきましては、それぞれの県の御判断において手続等を定めているということでございます。
○山崎力君 そういったところでは、三十日以上の患者さんとそれ以下の県の単独でやっている患者さんの違いというものを区別して国に報告しろというふうになっておりますか。
○政府委員(横田吉男君) 私どもが求めておりますのは、私どもが行っておりますこの小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者ということでございますが、県によりましては、県の中の管理システムといたしまして県単独の事業と国の事業とをあわせて管理しているところがございます。そういったところにつきましては、私どもに対する報告の方も両方を一緒にというところもございます。
○山崎力君 例えば東京都の場合、国の事業とは別に独自で医療助成を行っていて、それは極めて緩やかといいますか、範囲を広げていると聞いております。そういったところでは、一カ月以上の入院患者、必要とする国の対象者というものが、東京都だけで助成されるものですから、報告、数字に出てこないというふうにも聞いておりますが、例えば八千百七十六人中、東京都の患者さんは幾らでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 東京都におきましては、私どもの小児慢性特定疾患治療研究事業とは別に、都独自の公害等健康被害のぜんそく患者に対する助成ということで、十八歳未満のぜんそく患者に入院あるいは通院を問わず助成している仕組みがございます。
  ぜんそく患者といたしましてはどちらかを選択して申請するということでございますが、東京都の場合におきましては、独自の助成事業の方を申請する方が多いということで、国の方に申請される方は八名ということでございます。
○山崎力君 ということで、お聞きになった方はおわかりと思うんですが、これは全国平均とかなんとかと、とても統計としてできるような調査じゃないんですね。ある県は入院一日くらいでやった人を小児ぜんそくとして出す、ある県は三十日以上の国の基準に見合った人をやっている。東京都は全然ほとんどそういったことは関係なしで、数字が上がってくるとしたら八人しかいない。これでまともな統計数字が出るんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) この小児慢性特定疾患治療研究事業は、全体で十疾患五百疾病ほど、主に治療に大変長期間を要し費用も高額なものについて自己負担分を助成する、あわせて研究も行うという仕組みでございまして、どちらかと申しますと、今まで助成事業の方に重点が置かれておりまして、患者個々の情報を中央に集中してこれを治療研究に役立てるという面では非常に薄かったということもございまして、十年度から改正し、患者情報の登録システムというものをつくったわけでございます。
  東京都のように制度を独自に持っておって分かれているものにつきましては、そちらの方に申請された方は上がってまいりませんので、その分確かに少ないという面がございますが、私ども、全国的なシステムといたしましてそれは仕方がないかなと思っております。必要に応じまして東京都の方の協力なり連携も図るようにしながら治療研究の実を上げてまいりたいと考えております。
○山崎力君 それでは、ちなみに各県、大ざっぱで結構です、県単位で結構ですから、厚生省さんの三十日で補助をしている自治体、あるいはそうでない、もっと自主財源をもとにその辺の補助をしている自治体の数の比率はどうなっておりますか。
○政府委員(横田吉男君) 私どもの事業の上乗せ等を行っております県といたしましては、七県でございます。これに全く独自の助成事業を行っている東京都を加えますと、八県ということになります。
○山崎力君 そうすると、その八県なりなんなりにそのプラスの部分をカットしてもらうか、あるいは全体でやるか、どっちかしなければ、これは全国トータルの数字をもとにいろいろな施策ができないと思うんですが、その辺は検討されたんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 治療研究を行う上におきましてはデータが多い方がよろしいわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、県によりましては、県のシステムとして国の事業対象の患者と独自の事業対象の患者とが分けられないようなシステムになっているところもございます。こういったところにつきましては、私ども分けて情報が得られるように今後努力してまいりたいというふうに考えております。
○山崎力君 この辺のところは算数をやった人間ならば、平均が出ないということから考えれば、東京都は削除されているわ、七県の数字は軽度の人の数字が入ってくるわ、これどう考えるんだということを検討されたとはとても思えないんです。
  ただ、この問題はそれだけじゃございません。要するに、今回で新たなところというのは、今までそういった形で補助をされていた方、軽度の方、軽度というんですか、国の基準になっていらっしゃらない方に一斉に診断書、意見書に伴う診断をしろ、それをつけろというふうになっておりまして、ある県ではその診断書料にある程度のお金を払えと。それも医者側から言うと非常にトータルが難しいので、例えば二千以上は取りなさいというような通達がなされているわけです。
  さらにもう一つ言えば、こういった調査が出るということによって、きっとこれは自治体における福祉の切り捨て、費用の切り捨てになるんじゃないかという不安が医師、患者側両方にありまして、実際の切り捨てにならないように、それじゃ重目にしておくかというようなことまでうわさされているんですが、その辺の感覚というのは厚生省お持ちでしょうか。

○政府委員(横田吉男君) この事業の対象になるかどうかにつきましては、従来から医師の意見書、診断書を添付して、審査して決定することになっていたわけでありますけれども、県によりましては、非常に簡単な、診断名とかだけで審査するとか、あるいは審査を行います対策協議会の構成が非常に不十分であるとか、いろいろな問題が指摘されたわけでありまして、私どもこういった点につきまして、小児慢性特定疾患対策協議会という審査を行う場所の委員の充実とともに、患者の出す医師の診断書につきましても、疾患群ごとの様式というものを定めたわけでございます。これに伴いまして、各県それに合わせた意見書等の添付を行うようになったわけでありますが、その際、従前と比べまして診断書料が上げられたというようなところもあるというふうに聞いております。
  この診断書の料金につきましては、これは私どもとして統一的な指導は全くしておりませんで、それぞれ個々の医療機関ごとに医療機関の判断で決定するというふうになっているところでございます。
○山崎力君 ちょっと変だと思いませんか。国としては、三十日以上の入院患者、それだけ重い人に対してちゃんとしたデータを出してくださいという形になっているわけです。ところが、そうでない県、一日入院すれば一応補助しましょうというところは、そういった軽い人たちもかなりの検査をしてやってくださいということに当然なるわけです。そういった人たちは、ある意味では不必要な検査をしなければ医師の意見書が出せない。医師側、県の側からすればそういった思いになるというふうに私は思うんですが、その辺厚生省はどう判断されたんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 私どもが行っております国の助成事業としての小児慢性特定疾患治療事業の診断書の様式なり審査体制というものにつきまして通知等を出したわけでありますが、県が独自に行っております事業につきましては、県の独自の判断におきましてそれぞれが決定されているということでございまして、私どものように全部同じにしたというところもありますし、また違ったところもあるのではないかというふうに考えております。
○山崎力君 ですから、それが全国のやっているところからすれば、全部のそういった軽い人も含めて検査するんだということであればわかるんですよ。ところが、本来、三十日以上の重い人たちだけのデータが欲しいんですよと、それも東京都が欠けているよというところからで、そのときに、そういったものを各県に通達するときにその旨注記なさっているんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 国の助成事業についての指導基準等は出しておりますが、それ以外のものについては一切指導通知等は出していないところでございます。
○山崎力君 厚生大臣にお伺いしますが、こういった形で検査事業が行われております。そして、それに対して担当する医者あるいは患者というものが、国の方針が変わったんだろうか、本来なら各県の問題なんですけれども、国のあれでということで動き出したものですから、そのような誤解がかなりある。医師会ですら、これは国と連動しているんだろうと思っているところがあるくらいです。
  その辺について、いわゆる一般的な厚生行政を担当する大臣としての所感をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(宮下創平君) ただいま診断書料等につきまして局長の方から詳細な説明を申し上げたところでございますが、そもそもこの制度は研究事業ということで重症患者ということに限定をして、しかもそのメリットは自己負担分を国庫で負担するというところにメリットがあると言ってよろしいかと思います。そういう体制でございますので、一律に医療費補助をするとかそういうことではありません。したがって、軽度の方々はこの診断書料等をいただくという前提に立っていないと思うんです。今、委員のおっしゃられるように誤解があるとすれば、これは正していかなければなりません。
  私どもは、あくまで地方自治体のおやりになることはおやりになることとして、国としては一定の、一カ月以上の入院患者等々重症な方々を研究対象にして、なお自己負担分を見ておるということでございますから、これはそういうことで御理解をいただくしかないと思います。
  同時に、診断書料としてまちまちではないかという御指摘も確かにそのとおり、局長の答弁したとおりでございますが、ある程度こういうものは指針として一定の額である方が私は望ましいとは思います。検討させていただきます。
  なお、これはしかし全部国庫で見ればいいじゃないかという考え方もあるかもしれませんが、そういった点は、この事業の特性からして、御負担をいただくということが筋ではなかろうか、このように思っております。
○山崎力君 それでは、こういったことに対して、一つの特定疾患、七県が使えないデータをよこす、東京都が抜けているといったことが果たして研究事業の対象になり得るのかという根本的な疑問も私は捨て切れません。それと同時に、これは別の問題として、地方自治体がある特定の疾患に対して補助をする、地域性もあるかもしれないし一つの県民性もあるかもしれない。そのこと自体について厚生省としてはどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(宮下創平君) 国民に対して良質な医療給付を行うというのがこの保険制度の任務でございますから、一定の条件のもとに、大体、最小限度といいますか、基準を設けて給付することが公平な道であると国の立場としては思っております。
  しかし一方、自治体におきましては、そこに非常に焦点を合わせて重視したいという市町村もございますから、それ以上の、国の基準以上のメリットを与えるという制度を提示したところもあることは今お話しのとおりでございます。しかしこれは、それであるからといって地方団体のレベルにみんな合わせるとか、あるいは地方団体が独自にやっているのを国の保険システムで全部見るというわけにもまいりませんので、自治体のやっていることを否定するわけにはまいりませんけれども、国の措置としては、一種のスタンダードでやるということが妥当ではないかと思っています。
○山崎力君 そういったときの考え方が地方も非常に難しいので、地方分権だからどんどんやらせろ、そういうのはその地方の特色なんだという考え方もあれば、国民の医療というのはなるべく平等であるべきだ、負担も平等であるべきだという考え方からすれば、これは行き過ぎがあるならばやっぱりそこはちょっとスタンダードをつくらなくちゃいけないのではないかという考え方も出てこようかと思うんですが、自治省としてはどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(野田毅君) この問題、御指摘のとおり、特に小児慢性特定疾患治療研究事業でありますが、これは現在都道府県などに対する国庫補助事業として行われて、制度発足以来、逐次対象疾患の拡充、対象年齢の延長などが図られてきておるわけですが、事業主体である都道府県などにおいては、地域の実情に応じて自主的な判断に基づいて地方単独事業として対象疾患の拡大などを行ってきておるというのが実情であります。
  自治省としては、制度の趣旨に照らして全国的に対応が必要なものについては国庫補助制度によって対処することが基本である、その上で地方団体が福祉施策的な観点も考慮して独自の対応を行うということは地方団体や地域住民の選択によるものであると、こう考えておるわけです。
  そこで、このような地方団体独自の福祉施策に対する財源措置として、地方財政計画においては、地方単独事業にかかわる社会福祉系統経費、十一年度の地方財政計画では約四兆円計上しておるわけですが、これに基づいてまた地方交付税措置をとっているところでございます。
  率直に言って、どのレベルまでが標準的なことなのかというのは、ある意味ではどこまで、特に医療の世界あるいは福祉の世界でどこまで自己負担をお願いすることが妥当なのかどうかということについて国としてどう考えるのかという問題と、あるいはその辺についてそれぞれの自治体における、あるいは地域住民がどこまで判断するかということとの兼ね合いなのであって、一般論として画一的な基準というのはなかなか設けにくいので、結局具体的なそういったことでそれに即して判断していくしかないのではないか。
  いずれにせよ、最終的には地域住民の選択の世界に入ってくる部分がかなりあるというふうに思います。
○山崎力君 この問題は、ほかの部分でも共通の部分がございまして、例えばただの、いわゆる補助制度が充実した自治体へ住居移転の自由のもとに行ってその医療を受けたいという実例ももう現実に、これは小児ではありませんけれども出ております。もう一つその点で関連して言えば、今回、次に実施が問題とされる介護保険で、これを自治体でプラスアルファしていきたいという声は絶対出てくると思うんです。
  その辺についての公平性、国と地方との役割分担、その辺について自治大臣並びに小渕総理に考え方をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(野田毅君) 現在、平成十二年四月からの実施に向けて、特にその実施主体である市町村においては大変な努力を願ってその前提となる作業を精力的に今やっていただいておることは御承知のとおりでございます。
  その中で、率直に申し上げて、特に保険料の問題についていろんな御意見がございますが、特に介護保険の高齢者に係る保険料については昨年十月に厚生省から粗い推計を行う方法が示されて、現在市町村においてそれに従って計算を行ってサービスと保険料の水準についていろいろ検討している、そういう準備作業をしておると。
  その中で、市町村にとって不可抗力的に生じてくる問題としての後期高齢者の割合、これは市町村によって異なってくるという部分がございますし、所得水準の格差ということもあるわけで、これらが結果的に保険料の格差ということに反映されてくる。この部分は国庫負担金の中の調整交付金によってならされることにはなっておるわけですけれども、一方で、介護サービスの水準の違いに起因する保険料格差ということについては、結局、地方団体や地域住民の選択によるのだ、こういう位置づけになっておりまして、各市町村の首長さんが大変悩んでいるというような現状をよく承知しております。
  今のところ自治省としては、当面、準備作業をいろいろ市町村に努力していただいておる最中でありますから、特に厚生省に対しても、市町村などの意見を十分に尊重しながら介護制度の円滑な運営が確保されるような準備を進めてもらいたいということを申しております。
  ただこの中で、今御指摘のような視点からの問いかけというのはなかなか厄介な問題であって、まさに人口移動、どこに住むかということについては制約をするわけにいかないというようなこともあって、本当にそういった点も含めてどう対応するかというのは頭の痛い問題だと思っています。
  いずれにしても、自治省としては、このことが市町村の全体的な事務運営に大きな障害にならないような形に持っていかなきゃならぬということは当然のことであると思っております。
○国務大臣(小渕恵三君) 保健、医療、福祉分野における介護サービスの供給体制の整備につきましては、基盤整備がおくれている市町村もありますが、御苦労いただいている市町村の協力を得ながら、地域の実情に応じた介護サービスの展開が図られるよう多様な手法の活用を推進しておるところであり、国としても必要な支援に努めておるところでございます。
  今後とも、平成十二年四月からの介護保険制度が円滑に実施されるよう、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、新ゴールドプランの達成に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  山崎委員が御指摘をされました御主張といいますか御意見を拝聴いたしておりまして、小児慢性特定疾患治療研究事業に関連いたしまして、自治体ごとの格差やばらつきの問題についてお触れになられました。なかなか難しい問題であろうと、厚生大臣、自治大臣の御答弁を聞いておりました。
  いずれにしても、国民全体に関しましてせっかく導入する介護保険にばらつきがあるといいますか、そういうことがあってはならぬというような気もいたしておりまして、難しい問題でありますが、政府を挙げて研究させていただきたいと思っております。
○山崎力君 ちょっとこの問題で視点を変えますと、やはり保健、医療に対する金のかかり方というのが非常に大きくなっているというのが背景にあろうと思うんです。介護保険も、全部医療保険でできるなら介護保険制度は必要でなかったという意見もございます。
  そこで、基本となるんですが、文部大臣にお伺いしたいんですが、現在の医療教育においてなるべく金のかからない医療をどうしたらいいかという教育は大学医学部等で行われているんでしょうか。

○国務大臣(有馬朗人君) 現在、二十一世紀医学ということについて医療懇談会でさまざまな問題を議論してもらっております。
  いずれにいたしましても、最も重要なことは最善の治療を施すという、この教育に関しては一生懸命やっていると思いますが、患者の生活のことまで考えて医療費のこととか医療保険というふうなことにまで十分教育をしているかどうか、これは私もつまびらかではございませんが、これを充実する方向に進んでいきたいと思っております。
○山崎力君 要するに、医者が薬の値段を知らないでどんどん使っているという実態があるわけで、どこでも教育されていないわけです。開業するときに初めてこの薬の値段は幾らかということもあり得るということになると、大学病院あるいは国公立の病院、そういったところでも医者になる資格を取るまでは一生懸命治療の方法を覚えるかもしれないけれども、これからの治療が国民の医療体系全体の中で、どの薬を使ってどの薬を使わない、似たような効果でこっちが安くてこっちが高いということくらいは当然医者の方も患者のために必要だと思うんですが、その教育体系が全然ないというふうに私は感じるわけです。
  改めて、大学教育だけでなくて国公立あるいは一般の病院についてこれがないのかあるのか、その辺を含めて文部大臣並びに厚生大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(宮下創平君) 医者の資質といたしまして技術が高いということはこれはもう当然のことでございますが、同時に、患者のニーズとか、高齢化もしておりますので、そういったことに配慮をする、あるいはその患者、家族の抱える身体的、心理的ないろいろの諸要素、あるいは社会的な問題も的確に認識をして総合判断できることが必要かと存じます。
  今、厚生省の方としては、こういったことを医者が身につけられるように、医師の国家試験の適正な実施ということと、それから卒後の臨床研修の充実ということをやっておりますが、まず第一の医師の国家試験の出題基準につきましては、社会保障制度と医療経済を出題の項目と最近いたしております。そこで、今、委員のおっしゃられたような視点も理解度を深めていく必要があろうかと思います。
  それから、卒後の臨床研修につきましては、医療における経済性を学ぶという項目がございまして、これを研修の中でしっかりと身につけていただきたいということでやっておりまして、試験を通じ、あるいは臨床研修を通じまして、こうした医療の社会的側面への配慮をいたさなければならないと、一応そういう体制になっております。
  なお、お薬の問題について言及がございましたが、確かに委員のおっしゃるとおりでございまして、やはりこれからの医療は、患者もそれから医療提供者も医療コストという問題は頭から離れるわけにはまいりませんので、いかに効率的、合理的な医療の給付をどういう安価な薬を用いてやることができるかということも、国民医療もこれからどんどん増嵩いたしますから大切な視点だということで、薬価基準制度についても今おいおい私ども検討中でございますが、そういった合理的な制度にすることはぜひとも必要だとこの際申し添えておきます。
○国務大臣(有馬朗人君) 先ほども申し上げましたように、二十一世紀医学・医療懇談会というのがございまして、実はつい最近、二月二十六日に第四次報告を文部大臣の方に提出してくださいました。その中に、「医学・歯学教育においては、医療経済、医療政策、医療保険制度、医療・病院管理などの医療の社会的・経済的側面に関する教育の充実を図っていくことが必要である。」という提言をいただいております。
  今まで私も十分だったと思いませんけれども、こういう提言をいただきました以上、医療の社会的、経済的側面に関する教育をさらに充実してくださるよう各大学に期待をいたしたいと思っております。
○山崎力君 この問題はこれだけにしておきますが、要するに、ある地域の小児ぜんそくを抱えた患者さんにとってみれば、今までしたことのないような検査をしなくちゃならなくなって、検査料も払わされて、そのあげくの果てに、あなたは軽いから今まで県の方で出していたお金は払えませんよと、こういう事態が想起されるようなことが行われているということを厚生省が放置していたということは、ちょっと私はいかがなものかというふうに思う次第でございます。
  続いて、ちょっと別の問題として、日米ガイドライン絡みの前に自衛隊のことす。
  最近ではないんですけれども、米軍機のF16戦闘機による低空飛行訓練というものが、F16だけではないんですが、あるんです。ついせんだって岩手県に墜落しまして、その際、ヒドラジンというんでしょうか、そういう猛毒物質が積んであって、その辺のところの対策が、消火に当たった人たちに悪影響がないかというのが心配されておりました。その辺について、自衛隊機でも使っているのかどうかを含めて防衛庁から説明を受けたいと思います。

○国務大臣(野呂田芳成君) 米軍のF16につきましては、緊急動力装置の液体燃料としてヒドラジンを使用していると承知しております。自衛隊が保有する航空機についてはヒドラジンを全く使用しておりません。なお、米軍等の軍用機におけるヒドラジンの使用については、現在のところF16の緊急動力装置以外は使用していないと承知しております。
  念のために、緊急動力装置と申しますのは、一般的にエンジンが飛行中に停止し、通常使用する発電機に動力が供給できず、機体の電気系統の機能が喪失した場合に緊急発電機に動力を供給し、一定期間必要最小限の電気供給を維持させる装置であります。
  なお、このヒドラジンは、現在人工衛星用姿勢制御装置等にも用いられると承知しております。
○山崎力君 それで、もう一つ、私の地元のことなんですが、世界遺産に指定されている白神山地もその低空飛行訓練の対象になって、そこのところで絶滅に瀕するといいますか、貴重な生態系、イヌワシとかいろいろいるんでしょう、私も見たことはないんですが、それの飛行高度にまでおりた訓練をしている、こういうことが言われております。
  これは、どこを訓練するかしないかという問題もそうですけれども、そういった貴重な自然体系のところである、もちろんあと牧場であるとかそういったいろんな地域があるんでしょうけれども、同じ山の中で人が住んでいないところならというふうな軽い気持ちで米軍がやっているとしたらこれもまた問題なんですが、その辺の米軍への周知徹底その他についてはどのようになっておりますでしょうか。

○国務大臣(野呂田芳成君) どっちの所管でもありそうでなさそうなものですから、私からかわって答弁させていただきます。
  念のために申し上げますが、私も山崎委員と白神山地を隔てた裏側に住んでいるものですから大変心配しているところですが、低空飛行の問題がありまして、当庁としては米軍機の飛行訓練に際しまして、事故や被害の発生防止に万全を期するとともに、地上への影響を最小限にするよう努めることは当然であると考えております。御指摘のケースについては事実関係がつまびらかになっているわけではございませんが、二月二十二日、仙台防衛施設局から米軍の三沢基地に対しまして新聞報道の内容等をつまびらかに伝え、強く注意喚起を行ったところでございます。
  なお、低空飛行の問題につきましては、外務大臣と先般来日したコーエン国防長官の間での取り決めもございますので、外務大臣からも御答弁していただいた方がよろしいかと存じます。
○国務大臣(高村正彦君) 一般的な話でありますが、米軍機の低空飛行訓練に関しては、去る一月十四日、私とコーエン国防長官との間で安全性の確保及び住民への影響軽減のための具体的措置につき意見の一致を見たところであります。その上で、例えばICAOや我が国航空法に規定された最低安全高度基準を適用して飛行する等の内容を公表したところであります。
  それで、今の御指摘の件につきましては、防衛庁長官が述べられたとおりであります。この報道に接して、米側に対しては米軍機の可能性が強いという内容を伝えるとともに、同地域は世界遺産にも登録され、野生動物が生息する地域として環境保全に対する地元住民の関心が高い地域である点に注意を喚起しつつ、事実関係につき今照会しているところでございます。
○山崎力君 この件はそのくらいにしまして、今回いろいろ問題になっているガイドラインの問題でございます。
  つまるところ、やはり最終的には憲法というか集団的自衛権の問題にこの問題というのはどうしても入ってきちゃうと思うんです。まず、基本的なことで恐縮でございますけれども、集団的自衛権とはということになってくると、これは長いスパンで見て新しい概念だと思うんです。ここ百年以上前には集団的自衛権というのはまず概念としてはなかったはずですが、国連憲章上あるいは国際法上どのような経緯でこの考え方が出てきて、今どのように国際社会において認識されているのか、その辺のところをお答え願いたいと思います。

○国務大臣(高村正彦君) 国際法上、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利をいうわけであります。
  国連憲章との関係については、国連憲章の制定以前に既に地域的な相互援助条約を締結していた米州諸国等の主張を入れて、起草過程において集団的自衛権が国連憲章五十一条で明示的に規定されるに至ったものと理解をしております。
○山崎力君 我が国のごとく、この集団的自衛権を否定している国がほかにあるんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) スイス等の永世中立を宣言している国がそうであると、こういうふうに理解しております。
○山崎力君 そういった国が国連に加盟する際、国連との協力に関して、その理由をもってスイスは長い間国連に加盟していなかったという事実があるわけですけれども、永世中立を標榜してスウェーデンのごとく加盟している国もあるんですが、そういった国々は国連に対する武力的な協力というものをどのような考え方でやってきておるんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  委員御案内のように、国連憲章のもとでは原則として武力の行使が禁止されております。しかしながら、その武力行使の違法性を阻却する事態として、広い意味での国連のもとでの集団安全保障措置をとる場合、それから自衛権を行使する場合、その自衛権を行使する場合の中に、個別的な自衛権を行使する場合と集団的な自衛権を行使する場合、これが入っているということでございます。
  したがって、国連加盟国は、今申し上げたこの二つの武力行使の違法性を阻却するというこの状況に対応するということを念頭に置いて国連の中で活動しているということかと思います。
○山崎力君 それでは、具体的な問題として、かつての朝鮮国連軍と言われた、今でもあるという、法的にはあると言っていいと思うんですが、これはどのような立場の国連軍だったんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  朝鮮国連軍につきましては、一九五〇年六月二十七日未明にいわゆる朝鮮事変が勃発いたしまして、これを受けまして国連安全保障理事会で三つの決議が採択されております。
  この三つの決議の中の安保理決議八十三、この勧告に基づきまして、加盟国が自発的に兵力を提供したものでございます。さらに、七月七日付安保理決議八十四、これに基づきまして米国のもとにある統一司令部の指揮下に編成されるとともに国連旗の使用が認められた、こういうことでございます。
  したがいまして、国連の集団安全保障制度、このよって立つ基本的な考え方に沿った、そういう国連軍というふうに認識しております。
○山崎力君 その当時、我が国は国家、いわゆる独立国家だったんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 当時は、日本は連合軍の占領下にございました。したがいまして、日本は国家ではございましたが、国家の主権の行使が一部制限されている状況にあったというふうに考えられます。
○山崎力君 その際、我が国は、国としてといいますか、個人ではなくて組織立った形態の行政機関を通じて大分その当時の朝鮮国連軍に協力していたと思うんですが、一番鮮明なのは、当時日本人が機雷掃海を行って朝鮮周辺まで行って戦死者まで出している、こういう時期がございますが、これは国として協力したんでしょうか、それともそのような技能を持つ人が米軍もしくは国連軍に雇われたんでしょうか。どちらなんでしょうか。
○政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。
  私どもの古い記録で海上保安庁の三十年史にそういう記述がございます。
  海上保安庁は、当時米国の極東海軍司令官の指令に基づきまして、昭和二十五年十月からその同じ年の十二月まで約二カ月間、四個の掃海隊を朝鮮沿岸における機雷の掃海作業に従事させました。先生御指摘のように、この間触雷をした掃海船が粉砕、沈没いたしまして、一名の死者、また十八名の負傷者も出す事故が発生しております。要するに、海上保安庁の職員が米軍の指令に基づき従事した結果、こうなったということでございます。
○山崎力君 そこでお伺いしたいんですが、このような協力をした国が、独立をしたというか上がなくなった時点で、これは国連への協力だったわけですね、そういう国連への協力の実績のある国が今現在同様な協力ができるんでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  その後の歴史的な事実関係にかかわることでございますが、いわゆる朝鮮国連軍、これは一九五三年七月二十七日に休戦協定が成立して以降、それなりの変質を遂げております。
  我が国との関係につきましては、休戦協定成立の約半年後の一九五四年二月十九日に国連軍地位協定を締結しております。したがいまして、朝鮮国連軍と我が国との関係は、基本的にはこの国連軍地位協定によって律せられるということになります。
  もう一点補足的に申し上げますと、米国との関係では、その後一九六〇年六月二十三日に岸・ハーター交換公文、これは吉田・アチソン交換公文に関する岸・ハーター交換公文というものが締結されておりまして、これに基づきまして国連軍、いわゆる朝鮮国連軍の中の米軍に関しましては安保条約及びその関連取り決めによって規律されると、こういう状況になってきております。
  したがいまして、朝鮮と今我が国との関係では、今私が申し上げたような法律関係が生きているということでございます。
○山崎力君 そういう事実関係はわかったんですけれども、そういった協力ができるのかできないのかという質問を私はしておるんで、そのお答えを願いたいと思います。
○政府委員(竹内行夫君) ただいま条約局長が御答弁申し上げましたとおり、朝鮮国連軍と我が国との関係、朝鮮国連軍の我が国におきます地位に関しましては国連軍地位協定に定められておるところでございます。
  そこで、その国連軍地位協定におきまして、これは現在でも有効でございますけれども、我が国の支援といたしましては、例えば施設の使用を認めること、それから調達を我が国で行いますときに免税措置を認めること等が認められております。
  ただ、国連軍地位協定上、もちろん朝鮮国連軍がみずから、またはその役務調達の一環としまして我が国の民間業者に委託していろんな調達を行うとか役務を調達するということは地位協定上認められているわけでございますけれども、例えば自衛隊がその役務を提供するというようなことはこの国連軍地位協定では想定されておりません。国連軍地位協定におきましても、我が国におきます活動というものはあくまでも兵たん活動ということが決められておるわけでございます。
○山崎力君 そうすると、朝鮮戦争当時の機雷掃海に対する協力、国連に対する協力というのは、地位協定があるから今はできないんだということでございますけれども、これは先ほどの集団的自衛権の制約という問題からいって、今から振り返って見ればこれは違憲の行為だったんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府委員(大森政輔君) お尋ねの件につきましては今までも何度か尋ねられたことがございます。
  要するに、当時のような形態における掃海活動を現在行うとすれば憲法との関係でどうかということは、裏返して言えば、当時はどういう憲法の適用関係であったかということになろうかと思います。その点に関しましては、当時の特別掃海部隊の派遣は、連合国最高司令官の指揮のもとにある米国極東海軍司令官の指令に基づき行われたというふうに承知しておりまして、我が国が連合国の管理下にあった当時としては、我が国としてはこの指令に従わざるを得なかったということでございます。
  そこで、当時の憲法と連合国最高司令官の指令との関係でございますが、これは既に最高裁判所が昭和二十八年七月二十二日付の大法廷判決におきまして、連合国の管理下にあった当時にあっては日本国の統治の権限は一般には憲法によって行われているが、連合国最高司令官が降伏条項を実施するため適当と認める措置をとる関係においてはその権力によって制限を受ける法律状態に置かれているというふうに判示しておりまして、場合によりましては、日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有する指令を出し得る状態であったと。そこで、当時我が国として行えたからといって、現在も憲法上行うことができるということには当然にならない。
  したがいまして、平和条約発効後におきましては、結論から申しますと、あのような形態における掃海部隊の派遣、その部隊による掃海活動というものは許されないんであろうというふうに考えております。
○山崎力君 今の御答弁を裏返して言えば、あの当時、我が政府は憲法違反のことをやったんだというふうに考えてよろしいのでございますか。
○政府委員(大森政輔君) 憲法違反という言葉は非常に語弊がございまして誤解を生ずると思いますが、当時は一般的には憲法の適用下にあったわけではありますけれども、それを超える連合国最高司令官の指令というものが有効に出し得た、したがってそれに従ったんであると。その関係では、結論から申しますと、憲法違反というふうに評価すべきものではなかったんだろうというふうに感じられます。
○山崎力君 とすると、今できないとはおっしゃっているんだけれども、今回これからそういうことをやると、集団的自衛権というところからいくと問題があるんだけれども、憲法違反とは言えないねということになるんでしょうか。
○政府委員(大森政輔君) 先ほど私の言葉の選択がまずかったんではなかろうかと思いますが、当時は、もし連合国最高司令官の指令がなければ憲法上は行い得なかった行為であるということが前提でございまして、したがって現在同様のことを行うとすれば、日本国憲法との関係で行い得ないという結論になるということでございます。
○山崎力君 そういうふうないろいろ微妙な問題があるんですが、一言で言えば、朝鮮戦争当時の我が国の関係というものは今の憲法下、特に集団的自衛権の問題で許されないことが多々ありますよと、多々かどうかは別としてですが。
  そういったときに、国際協力、要するに当時は国際連合、国連に対して、幾ら連合国最高司令官の命令とはいえ、一たん協力した協力内容を、その後独立したあるいは国連に加盟したからといって、その当時の国連憲章とその当時の日本国憲法は生きているわけですから、それを今回はできないねということを対外的に説明するというのはどのような論理構成で説明すればよろしいのでしょうか。

○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  現時点におきます我が国の国際社会における権利義務関係、これは先ほど私及び北米局長から申し上げましたように、朝鮮との関係では国連軍地位協定それから日米安保条約及びその関連取り決め、そういうものによって成り立っているわけでございます。
  したがいまして、我が国が現在国際社会に対しまして今申し上げましたような国際協定に基づく義務を履行する、このような説明で国際社会に対する納得というものは十分に得られるというふうに考えております。
○政府委員(大森政輔君) 要するに、現在は日本国憲法の適用を制約する日本国憲法を超える権力というものはないわけでございますから、日本国憲法に禁止されていることはなし得ないということに尽きるんではなかろうかと思います。
○山崎力君 ということは、今のお言葉でもあったんですが、朝鮮への掃海艇のあれは日本国憲法を超えた行為であったということだろうと思うんです。
  法律論はともかくといたしまして、視点を変えまして、民間業者、民間人が米国あるいは国連軍と相対契約のもとにそういった行為、あるいは弾薬を運ぶとか、そういった行為というのは法律あるいは憲法上規制されているんでしょうか。

○国務大臣(野呂田芳成君) 周辺事態安全確保法の第九条二項では、周辺事態に際し、関係行政機関の長は国以外の者に対し必要な協力を依頼することができることとしておりますが、今、委員から御質問があったような場合は、国からの依頼に基づかない民間運送事業者の自由な意思に基づく契約による物資の輸送でございますから、そういう部分については何ら制約を課するものではないと考えます。
  民間運送事業者による物資の輸送については、安全基準等関係する法令に従って実施する限りにおいては自由に実施できるものであり、必要に応じ安全に関する情報の提供を行うことなどはあり得ると考えておりますが、米軍と民間運送事業者の間における民事上の契約に対して政府として干渉できるものではないと考えております。
○山崎力君 それで、またもとに戻るような格好ですが、いわゆる朝鮮国連軍への弾薬等の輸送についてはその地位協定上どのような扱いになっておりますでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 国連軍地位協定におきましては、例えば御指摘の弾薬の輸送に関する便宜を図るとかいったような規定は全くございません。
  ただし、このことは、今そういう実戦部隊はございませんので仮定の問題でございますけれども、地位協定の仕組みといたしましては、国連軍がみずから、もしくは民間業者と契約をいたしまして、それでいろんな役務、資材を調達するということは認められているわけでございます。その際に、弾薬を輸送するというようなことを民間業者に委託することについては特別の規定はないということを申し上げているところでございます。
○山崎力君 その際、例えば自衛隊あるいはその他公的機関の協力というものの要請があった場合は地位協定上どのようになっておりますでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 国連軍地位協定におきましては、そのような場合に例えば自衛隊が武器弾薬を国連軍のために輸送するというようなことは全く予想されておりませんし、規定もございませんし、そういうことは地位協定上ないと考えます。
○山崎力君 それでは、この問題はまた後刻やらせていただきます。
  時間も足りなくなっておりますが、金融監督庁が主だと思いますけれども、またぞろ紙面をにぎわせております日債銀への出資問題です。
  これは、第V分類の額というものが二つあると。この間の衆議院での参考人質疑においても、それぞれ自分なりの考えで、片方が正しくて片方が違っているというふうにはなっていないということなわけです。
  それで、日債銀側はあくまでもあれは第V分類七千億でよかったんだというふうに言っておるわけで、その辺と、出資した者たちへの説明及び大蔵省と日銀との連絡、そういった大蔵省の検査結果が出た後の、例えば今回新聞に出たところによりますと、日本生命へ、実はあのとき七千億と思われていたあれが、うちで調べたら一兆円を超えていたよということを言っていなかったのではないかと。その辺の問題がすぐ思い浮かぶわけでございますけれども、まず大蔵省がその出資先にV分類は自分たちの検査結果では一兆一千億だったということを説明すべきだったと思うんですが、なぜしなかったんでしょう。守秘義務とも違うと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
  ただいまお話がありましたように、日債銀は平成九年五月当時、増資の要請先に対しまして、将来の回収に懸念がある債権の額は約七千億円であるという説明を行いました。これは、当時日債銀が何らかの形でその資産状況を増資の要請先に対しまして説明する必要に迫られまして、途中段階でありましたが、大蔵省検査の状況をも踏まえましてみずから積み上げた計数を説明したものと承知いたしております。
  今御質問がございましたのは、なぜそれを増資要請先に対して大蔵省が、平成九年九月に検査結果が出たわけでございますが、これを増資要請先、つまりもう既に増資が完了しておりますけれども、増資の決定を行い、増資をした先が三十四ございますが、そこに対して言わなかったかという御質問でございます。今お話がございましたように、結局、国家公務員の守秘義務の観点から、当局としては原則として検査の対象となりました金融機関に対してのみこの検査結果を通知しておるわけでございまして、たとえ出資をした金融機関といえどもその内容を伝えることはできないということであったと思いますので、御理解をいただきたいと存じます。
○山崎力君 そこの原因となったというのは、もう大分新聞にも出ております、いわゆる飛ばし用の、不良債権隠しのための関連会社への出資、それを不良と認めるか認めないかと。銀行からすれば、あそこはつぶさない会社だから引き当てをするだけの第V分類にはならぬだろうということでやって、そこの会計基準がしっかりしていなかったから、この問題の数字が二つ出たんだというふうには伝えられているんですが、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
○政府委員(日野正晴君) お答え申し上げます。
  金融行政につきましては、御案内のとおり従来のいわゆる護送船団行政とは決別いたしまして、現在は明確なルールに基づく透明かつ公正な行政を進めることを基本としているわけでございます。そして、資産の分類基準につきましても、これは早期是正措置制度が導入された後に、金融検査における資産の査定はいかにあるべきかということで平成九年の三月に検査部から通達を出しておりまして、これによってその内容も公表されているところでございます。
  日債銀に対します平成九年四月を基準日とする大蔵省検査におきましても、御指摘のように第V分類の額が相違した主な原因というのは、日債銀が今後とも支援を続ける方針を有しており、日債銀の意思に反しては倒産することはないと考えられる日債銀の子会社のグループに対する債権につきましては日債銀はU分類としていたわけでございますが、検査官はその会社自体の財務内容等から見て第V分類と査定したものでございます。
  しかし、これは先ほど申し上げました平成九年三月に出されておりまして、かつその内容も公表されております「早期是正措置制度導入後の金融検査における資産査定について」と題する通達で言うところの分類基準に照らしますと、これは当然第V分類と判断されるべきところでありまして、これを日債銀が第U分類、こういう主張をしていたわけでございます。決して、先ほど御指摘がありましたような資産の分類基準が不明確であったということではないということを御理解いただきたいと思います。
○山崎力君 ところが、そうだとすればごめんなさいで謝って、そこのところでいけばいいんですけれども、大蔵省からその示達結果が出された後も日銀へ古い金額のまま日債銀は報告しておる。
  それから、この間の衆議院での参考人でも、これはこれで正しかったんだと、そういうふうに居直ったと言うと言葉は悪いんですが、信念を持って最後まで突っぱねた。これを行政側としては、何も言えないというところが非常に私はわからないという気を国民自体も持つと思うんですが、その辺についてはどう考えたらよろしいんでしょうか。

○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
  平成九年の四月に日債銀が経営再建策を樹立いたしまして、またさらに昨年三月には公的資金の注入が行われました。その時点で把握されておりました財務状況を前提にいたしまして、当時整備されておりましたセーフティーネット、現在とはかなりというか全く違ったセーフティーネットと言ってもよろしいかと思いますが、そういったセーフティーネットの整備状況や、あるいは金融システムの安定性確保のための必要性を勘案いたしまして、当時としては最善と考えられる手法がとられたものというふうに理解しているわけでございます。
  確かに、昨年十一月に通知いたしました金融監督庁の検査結果におきまして、日債銀は平成十年の三月末時点で債務超過と見込まれたことを踏まえまして、所要の手続によりまして昨年十二月十三日に金融再生法三十六条によって特別公的管理の開始が決定されたわけでありますが、私どもといたしましては、いずれにいたしましてもこの現下の金融問題については適切に対応して、預金者等の保護と信用秩序の維持、内外の金融市場の安定性確保に今後とも万全を期してまいりたいと考えております。
○山崎力君 今の御答弁で信頼回復できるかどうかというのは非常に疑問なんですが、きょうは最後になりますけれども、そこの中間施設としての飛ばし用の関連会社、これを多数やってそこで全部不良資産を集めておいてということで、これが四千億あったということに、これは細かくわかれば別でしょうけれども、一応四千億だと。こういった会社というものは、特に銀行に関連した会社というのは、ある意味では公序良俗に反するんじゃないかという気もするんですが、その辺、行政はこれまでどのような措置を講じてきたのでしょうか。
○政府委員(日野正晴君) お答えいたします。
  金融機関の財務の健全性の確保につきましては、まずもって金融機関がみずから健全かつ適切な業務運営に努めることを前提といたしまして、監督当局としても、これまで検査あるいは検査結果を踏まえた指導や監督によりまして、与信の審査、管理あるいは内部管理が適切に行われるように留意してきたところでございます。
  日債銀につきましても、検査結果等を踏まえまして、不良債権の早期処理、回収、収益力の強化等につきまして指導するとともに、その改善状況につきましてもフォローアップするなど、その時々の業務や財務の状況についてそれに対応する方策を図ってきたものと承知しております。
  先ほどの御質問と関連いたしますが、先般の参考人の質疑で、東郷前頭取が、いわゆる受け皿会社につきまして、大蔵省から回収の極大化に有効との指摘を受けていたという御答弁がありまして、大蔵省は当時こういった受け皿会社を認容したのではないかといったような御質問を受けることもございますけれども、日債銀の東郷前頭取が大蔵省検査で受け皿会社の活用が有効であるとして評価されたと発言している点につきましては、実は東郷前頭取は検査報告書の一つのパラグラフの中の前段の部分だけを御引用になっているように私は思います。
  検査報告書におきましては、この日債銀及び関連ノンバンクの不良資産を子会社、孫会社へ移行する手法は、回収財源の確保、ひいては回収額の極大化の面で有効な面もあるけれども、損失拡大のリスクを内包していることから、当初は回収を促進するため用いた手法が資産内容悪化の大きな要因となっている旨指摘している箇所を指しているものというふうに思われます。
  しかしながら、これは当時、大蔵省としては、受け皿会社を活用する方法を有効であるとして評価したものではございませんで、資産内容の悪化の大きな要因となっているということを指摘したものと承知しております。
○山崎力君 この問題は引き続き集中等で質問させていただくとしまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
(後略)