質問「『具体性の無さが不安の根源』ほか

(平成11年3月9日参議院労働・社会政策委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 参議院の会の山崎でございます。
  私、労働関係の委員会に所属するのは初めてですし、今まで、かつてのいろいろな新進党その他の党内でも余りその辺のところに首を突っ込むことがなかったわけで、そういった意味で、初心者として大臣の所信表明に対して素直に読んだ感想から始めまして、私なりの問題意識を持ったところをお尋ねしてまいりたいと思います。
  そういった意味で、非常に初歩的で苦笑されながらということも覚悟の上でございますが、その辺は御勘弁願いたいと思うわけでございます。
  まず最初に、第一印象ですけれども、全体として問題意識、それから問題の解決の方向性というものはかなりよくできているなと思ったんですが、具体策あるいはその具体的な効果というものがこの所信表明の中ではなかなか見えてこない、不明瞭である。
  どうなんだろう、どうしてなんだろうというふうに私なりに考えてみたところ、やっぱり従来の労働行政のあり方、位置づけというものが昨今の状況の中で変わってきているのにもかかわらず、そこのところをどこまでどうやったらいいかというのが労働省自体余りはっきりしていないんじゃないか、模索中なんじゃないかなというところに原因があるのではないか。特に、他省庁との関係をどういうふうにやっていくんだと。労働行政だけでこの問題を解決できないということをにおわせながらも、それ言っちゃうとなかなか役所としての立場もあれなんで、ただ課題だけぽんと置いてあるというような意味合いを私は感じ取ったわけでございます。
  そういった意味で、逆に言いますと、こういう大きな変化の中で労働行政が国民の理解を得るためには言葉遣い一つも重要だと思うんですが、その辺の言葉遣いのところから私なりに幾つか質問をまずさせていただきたいと思うわけです。
  というのは、いただきました所信表明の書類の二ページにあるんですが、真ん中の下の方で「雇用の創出・安定という堅固な礎」、こういう表現になっています。「雇用の創出」はともかくとしまして、「安定」という言葉からは今言われている労働流動性、これをどうするんだということに対して、労働省としては従来方式の一生涯一企業というか、そういった形の方にやはり国民のニーズ、要望というものがあるんだ、その方向で労働省としてはやるんだというふうにしか読めない表現なんですけれども、その辺いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 確かに百万人は、雇用の創出が三十七万、安定が六十四万となっております。そして、その安定というのは、ほっておけば外部労働市場に出てしまう労働者を企業が支えることによって失業にしないという効果、これは雇用の創出、生み出す効果に準ずる準創出効果であるという思いでそういうふうに書いたわけであります。
  ただ、先生御指摘のとおり、今後は新産業がどんどん育っていってそこに適切な労働力が供給をされないとその業が育っていかない、そうしないと旧態依然とした産業が日本の二十一世紀を支えていけるかということになればこれは甚だ疑問であると。おっしゃるとおりであります。
  そこで、安定効果はすなわち流動性を否定したということではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  私は、今後の労働行政というのは新しく次代を担っていく産業にもう時代を担い終えた産業からちゃんと労働力がスムーズに失業という形態を極力経ないで移行していく、しかもその間に職業訓練という過程があって、職業能力がバージョンアップされた人がちゃんとそこに移動するという体制をしっかりとることだというふうにはよく承知をいたしております。
  ただ、雇用不安を起こさない、つまり失業率を必要以上に拡大しないという意味で、この安定効果をねらったというつもりでございます。
○山崎力君 今はしなくも大臣の口から出たんですが、後から言おうと思ったんですが、出たついでにと言ってはあれですが、どうも私はパソコンが苦手でございまして、そういった人間からしますと、六ページの「アクセスできるネットワークを整備する」とか、十ページにある「バージョンアップ」という言葉、これ日本語として定着しているとは思えないんです、パソコンをやっている人たちはそうなんでしょうけれども。それで、十ページにある「アビリティガーデン等」、こうなっているんです。
  こういう言葉遣いすること自体が、労働行政に知悉したといいますか、よく知っている人間はそれはそれでわかる、ある程度の概念が決まっているわけでしょう。そうじゃない人たちから見ると、これは何なんだろうと。
  まさに私が最初に言ったように、今までのように労働関係者だけがこの問題をやって、いかに労働者の権利を守るとか、あるいはそういった人たちのためにどういう制度をつくるかといういわば仲間内だけの状態から、今のこの時代というのは労働省、国民全体のこういう大不況の中で、それからもう一つ言えば企業形態あるいは産業形態の大変針をするときに、変針というのは針を変えるという意味で、その時代にこういう言葉遣いを使っていいとするという。私は、非常に狭いところから、細かいところからおこがましいんですけれども、その辺のところから考えていただかないと、本当に国民に浸透した労働行政はできないんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 私もパソコン余り得意じゃありませんで、語学にもそんな強くないんですが、そういうやつに限ってこういうものを使いたがるとよく言われるのでありますが、私が大臣に就任をしてまずこういう言葉を覚えるのが最初の仕事でございました。
  アビリティガーデンというのは正式名称で言いますと生涯職業能力開発促進センター、何か余計わからなくなっちゃうような感じがしますし、生涯というものをとったもう一つのセンターがございまして、職業能力開発促進センターというのはいわゆる職業訓練、ポリテクセンターと言われているところであります。日本語だけ並べて書いても、どこがどう違うんだか正直私わかりませんでして、それでむしろ全く違う言葉で逆に理解しやすくなったようなところがございます。
  バージョンアップにつきましては、これは私の前にもう使われていたのか私が使い始めたのかよくわかりませんが、これはパソコンのソフトの能力アップといいますか、そういうものをイメージして、今の世代には感覚的にわかりやすいんじゃないかと思ってよく使っているのでありますが、確かに一言で意味が理解できるような日本語があればその方がいいのかとも思いますけれども、日本語に直した方が余計わからなくなっちゃうような部分もありますので、約束事の言葉として定着しているものはそれで耳にきっちり入ってくるんではないかなというふうに思いますが、確かにちょっと片仮名が多過ぎるかなという思いもしないわけではございません。
○山崎力君 その辺でいけば、例えば雇用活性化総合プラン、これをプランと、なぜ片仮名にして計画にしなかったんだとか、カウンセリングというのは相談窓口の充実でいいじゃないかとか、ミスマッチは不適合。あるいは、アクセスするネットワークというのはこれは大分よくなっていますけれども、アクティブエージングなんという言葉を普通の人に聞かせて、労働行政、これがわからなかったら全然話になりませんよという態度が僕は一番問題じゃないかなと思うわけです。
  言葉のところはあれなんですが、一番そこのところで私自身ひっかかっているのはセーフティーネットという言葉なんです。これは、もともとのセーフティーネットとは違った意味合いで、労働省としての労働行政の中の言葉で使われているんだろうということはよく想像はつくわけです。ところがこの場合、失業中のセーフティーネットというのは何だと言ったら、素人で言えば、要するに失業保険の充実、それから次の雇用機会への拡大ということなんだろうというふうには思うんですが、それ以外何か初心者向けに意味するところがあれば教えていただきたい。

○国務大臣(甘利明君) セーフティーネットは、私の解釈するところ綱渡りの綱から落っこちたときに下に敷いてある網でありますけれども、これはいろんな意味で使われると思います。安全措置といいますか防御措置といいますか、これは厚生行政でも使われていますし、労働行政でも、そして最近では産業政策上も競争政策におけるセーフティーネットとは何ぞやと。これは再チャレンジを容易にするシステム、つまり一回失敗したらもう市場からはじき出されるんじゃなくて何度も挑戦できるシステムというのは競争政策上のセーフティーネットであるというような表現も使われておりまして、つまり一度踏み外してしまってもちゃんとカバーしてくれる仕組みというふうに考えております。
○山崎力君 一応その程度のことは私の頭でも想定がつくわけですが、その辺のところをこういうふうな形で「万全を期すとともに」と、こうなっているわけです。非常に広いあいまいもことした概念で「万全を期すとともに」と、こうなっていて、「とともに、就職支援策を一層強化する」と。そうすると、就職支援策というのはセーフティーネットの確保には含まれないんだな、こういうふうな文章になるわけですね。そうすると、さっきの理解が違ってくるのかな、こういうふうに思わざるを得ないわけです。
  そういった言葉遣いの問題だけ取り上げていくのもなんですから申し上げますが、例えば今度のセーフティーネットの問題は、ある意味においては、最後の段階に行けば、厚生省のいわゆる生活保護、そこのところとの境目はどうするつもりなんですかという問題がございますね、失業保険との絡みでいけば。切れた後どういうふうにつなげるのか、つながらないのか。それは、労働省がそこまで踏み込んでやるんですか、やらないんですかという、そこまでこの問題は行くと思います。
  それで、もう一つ行きますと、新規学卒者の就職問題。この問題でいくと、「学校等との連携を図り」となっている。就職について図るというところからいけば、我が国の状態から見て、今まで明らかに違ってきているわけです。今までのホワイトカラー、ブルーカラーにしろ何にしろ、そのまま使えるというのはごくごくわずかな職種でございまして、それこそ町工場から始まって大企業まで、本来の意味での適当な人たちを集めてきて、そこで再教育をして職業人としての技術と自覚を持たせるという制度があったんですが、それは欧米とちょっと違うところだと。前に同僚議員からもありました。
  そういった中でこの問題を考えたときに、いわゆる職業教育をどうするんですかというときに、新卒者の場合に関してみれば、文部省と相当程度協議しなければ出てこない問題だと。ところが、そこら辺についての話がどうなんだろうとなったときに見えてこない。私が最初言ったときの具体的な話になってくると不明瞭な部分が出てくるということになるんですが、その辺についてはいかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 職業教育、学生の職業教育というのか職業意識の高揚といいますのは、学卒者が就職をしてその方々が三年以内に離職をしてしまう比率というのが三分の一近くあるんです。それは、いろいろ言う人がおられます。こらえ性がなくなったとか飽きっぽいとか、いろんな話がありますが、結局、要するに自分の適性と合わない仕事だと思う人なんだと思います。そうしますと、学生の時代から職業についての認識を深めておく。また怒られますけれども、そういう意味でも、ミスマッチといいますか、自分が考えていることと現場との整合性をちゃんと合わせていく。そして、職業というのは、アルバイトと違って、もうちょっと気合いを入れて取り組んでいくものなんだという意識をやっぱり学生に持ってもらわなくちゃならない。
  そういう意味で、インターンシップ制度というのは、学生でありながら実体験ができる、しかもそれで単位が取れるということでありますから、もちろん文部省と通産省と労働省と連携をとって、アルバイト感覚で入りました、気に入らないからはいやめたということにならないように、働くということは自己実現をする手段ですから、だからそういう面で真剣に取り組んでいけるように、自分の思いと現場の仕事とがすれ違わないように、学生時代からその意識高揚をし、機会を持っていくということだというふうに思います。
○山崎力君 ですから、そうなってきた場合、文教の方からいけば、かつてであれば、地方の中核のところの大きな商店の跡取り息子が商業学校へ行ってそこから大学へ行かないで就職する人もいたし、町工場の息子さんは工業学校へ行って、技術が、ある程度設計図が引けて、旋盤くらいもちょっと引けて、それで手伝う。これが当たり前の時期があったんですよ。ところが、もうそういった学校間の格差が、そういう実業学校、そういった学校では、要するに落ちこぼれが行くんだと。もちろん例外がたくさんありますけれども。そういうふうなところに普通高校へシフトしてきて、それでそういった人たちが大学へ大勢入ってくる。こういう時代背景のもとで、今おっしゃられたことを言っても、その話はもう十年も前から決まった問題ですよ。今さらそういうふうなことをおっしゃったところで何か新しいような政策に見えますかと言ったら、見えないというふうに私は思うわけです。
  そこのところで踏み込むのであれば、まさにその辺を文部省としてどう考えるんだというところを労働省としてけんけんがくがくやって、その結果をこういうふうな形の所信の中に、話し合いの結果こういう方向性が見えていますからこういうふうな形で我が省としてはやりたいと思いますという言葉を私は聞きたいということなんですが、その辺の感覚というのはいかがなものでしょうか、大臣。

○国務大臣(甘利明君) インターンシップ制度というのはもう既に私が就任する前から取り組んでいる問題でありますし、職業意識というのは、職業高校、技術高校から普通高校へ、あるいは大学へという学生のシフトによるもの、つまりそういう経過を通じて職業意識がなくなったということではなくて、もともと普通高校あるいは大学に進む人たちの中にどうやって就職するということについて、こんなはずじゃなかったという思いを持たせないように認識をさせていくかということが大事だというふうに思っております。
  このインターンシップ制をスタートさせるに当たりましては、当然労働省と文部省あるいは通産省とある程度の打ち合わせはした後に大学関係者と協議をしてこういう制度を仕組んだわけでありますし、しかも単位として取得することができるということは大学側もかなり踏み込んで協議をしているというふうに思っております。
○山崎力君 今のは新卒者のことでしたが、もう一つのあれでいけば、十ページにある先ほどのバージョンアップの話になるんですが、この前提として、時代のニーズ、要請の変化に合わせてとなっておるんですが、その時代の要請の変化を、どういう将来になるんだということを予測するというのは、産業の中でも、非常に関係者の中でも難しい部門ですね。次の世代の産業は何だ、今の要請は何だと、それを労働省がやるのかそれとも通産省がやるのか、その辺協議だろうと思うんですけれども、だから先ほども言いましたように、これはいいんですよ、バージョンアップかどうかわかりません、これは。
  例えば、先ほどの雇用創出がつくり出されるというような形のときに、住宅及びその関連分野というのはこれは旧来の問題でいいわけですが、保健・福祉分野十万人、情報通信分野十八万人と、こうなっているわけですが、保健・福祉の場合の一番今現場サイドで問題になっているのは、介護をやれる人たちがどれだけいるか、その教育をどういうふうにしたらいいか、それからもう一つ言えば、都会部はいいけれども田舎に行ったらどうするのと、こういうのが問題になっているわけです。まさに創出された労働者をどういうふうに確保するかというところが現場サイドでは問題になっているわけですね。資格を緩めるのか、資格制度にするのかと。
  その辺のところは厚生省がこれから地元等と考えてある程度のラインがおいおいできてくると思うんですが、その辺のことに対して、労働省として、労働行政としてはどこまで入るんですか。どこまでサービス提供を一般の労働者にするんですか。端的な表現をすれば、その介護に関する人たちの教育の内容まで入り込むんですかということなんですが、そういった点での他省庁とのかかわりと、労働省がどこまで自分たちのテリトリーとして、役割分担としてやるんだということが私はむしろこれからの具体的施策としては重要だと思うんですが、その辺がどうも所信の中では見えてこなかったということなんですけれども、大臣、お考えいかがでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) この分野に関しましては、厚生省と労働省、いずれ一緒になる役所でありますが、それに向けて協議項目というのを持っております。労働省は何を担当するのか、厚生省はどう対処するのか、両省で今協議をしております。
  介護の分野におきましては、私どもは職業能力開発を担当しておりますから、言ってみれば職業訓練の講座というものがありますが、カリキュラムがありますが、そこに介護人材を育てるというそのカリキュラムを入れていく等々の受け持ち分担をさせていただいているところでございます。
○山崎力君 その辺のところで、また別の方でいけば、今度は情報通信のところの専門家というか、そこに従事する人を教育すると。一番問題なのは、そういった人たち、要望がある人たちに対して教育する立場の教師、その人たちの人材をどう養成してどう確保するかということがそういった意味でのバージョンアップのためには必要なわけだと思うんですが、その辺の施策が労働省の担当なのかそうでないのかも見えてこないというところがあろうかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 職業訓練施設の教師を育てる学校というのが訓練大学校、もとの私の選挙区の相模原というところにあります。ここでは、先生を養成する学校でありますから、そこで近未来に必要とされる人材を養成する中身のカリキュラム、これを適宜見直して、教える先生の養成も、旧来型のカリキュラムを教える人だけではなくて、新しい要望に添った授業をできる人を養成しているというところでございます。
  もちろん将来成長が見込まれる十五分野というのがあります。情報通信とか介護とか環境とか新製造技術だとかいろいろ可能性が大きい分野についてそれを職業訓練にどう生かしていくか。これは全部公共がやってしまうということではなくて、情報関連について言えば民間でも十分能力がありますから、最低限公として果たすべき使命の役割は担っていく、そこに新しい要望にこたえられるような教育内容にしていくということは常時見直しているところでございます。
○山崎力君 そういった点での具体策が、先ほども言いましたように問題意識と方向性は間違っていないと思うんです。だから、それをどう切り分けて具体的に時代の変化の中で適合させていくか、労働者をそれなりに適合させていくかという具体的なところになると、これは質的な面と量的な面があろうと思うんですが、その辺が見えてこないから、ある意味では一般の人たちは不安でたまらないんだと。要するにセーフティーネットは、皆さん方の立場で言えばセーフティーネットを張っているかもしれないけれども、その張っていることは確かだけれども、その網の目が非常に細かいのかもしれないけれども、細かいことは見えない、落っこちたらそのまますとんと地面まで落ちちゃうかもしれない、そういう不安感を私は一般の労働者が現時点で持っているということが一番の問題じゃないかなと。今のお話でもそういうふうな感じをぬぐえないということを御理解願いたいと思います。
  もう一つ、非常に大きな問題で最後に大臣のお考えを伺いたいんですが、いわゆる全世界的な中で、ILOの問題もあるしWTOの問題もありますけれども、いわゆる国際社会の競争をどうしたらいいのかという問題があろうかと思うんです。各国間のいろんな事情の中での条件、賃金もあれば勤務時間もあれば政府の助成措置もあれば、そういった中でつくる品物の価格が当然違ってくるわけですが、そこのところで競争していくよと、それをダンピングだという問題もあれば、非常に劣悪な労働条件の中でこれができているんだから問題だとか、そういったこともたまにといいますか漏れ聞くわけでございますけれども、そういった中での世界の労働条件と通商貿易の関係について、どのような流れに今なっているのか、あるいは日本国労働省としてどのようにその辺のところを意識なさっているのかということをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(甘利明君) アメリカやEUやフランスは、労働条件が先進国よりも悪い国でつくった製品はダンピング輸出であるという認識を持っているんだと思います。
  しかし、国が発展する歴史的過程を振り返ってみれば、労働集約型といいますか、賃金が安いことをもって生産能力に反映をさせるという経緯は当然どこの国もとってきたわけであります。そして、生産性が向上していないのに無理やりに力で賃金を引き上げてしまったらこれは道理にかなわない。生産性が上がってくる過程で労働賃金というのは当然上がってくるわけでありますし、その間の努力を通じて国というのは発展をしていくわけでありますから、一つの国が発展してきた歴史を振り返ってみて、自分はもうここに到達しているからよその国もこうあるべきだという議論は正論ではないと思うのであります。労働賃金が安いがための、安いことがその国の輸出力になっている部分も、どこの国も経験はしてきているのでありますから、それを貿易制裁措置として処理をするというのは正義ではないと思います。
  そこで、その国が労働条件を上げようとしていることを金融面あるいは人的な支援でどう応援をしてあげるか。そのことによって自立的に条件を改善させていく。その努力を誘導するような措置が我々がとるべき道だというふうに考えておるわけでございまして、そういう考え方のもとに先般のG8労働大臣会合に臨んだ次第でございます。
○山崎力君 終わります。
(後略)