質問「不審船舶の検査について

(平成11年4月27日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 きょう議題になっておるものと違って一般的な問題で質問させていただきたいと思います。
  船舶検査がいろいろな方面で話題になっておりますが、そのことの基本的なところを確認したいという視点で質問させていただきます。
  まず、船がいわゆる主権の及ぶところでない公海上で国際法あるいは条約的にどう取り扱われているかということなんですけれども、まず、その中で国籍不明船、どこのどんな船だかわからぬという船をどのように扱っているのか、もう全く手つかずなのかどうなのか、国際法上どういうふうに考えられておりますでしょうか。

○国務大臣(高村正彦君) 国際法上、公海上の船舶は原則としてその旗国の排他的管轄権に服することとなっております。
  他方、国連海洋法条約上、軍艦または政府船舶が公海上にて国籍が不明確な船舶に遭遇した場合には、当該外国船舶が国籍を有していないと疑うに足りる十分な根拠があるのであれば船籍の確認等のため臨検する権利が認められているわけでございます。
○山崎力君 それは、こう言ってはなんですけれども、いわゆる平時ということも含めてと考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) もちろん平時も含めてそういうことでございます。
○山崎力君 そうしてきますと、その辺のところにどういう違いがあるかということなんですが、しかるべき船が、軍艦というような形ができると、一般の普通の船ができるわけではないということになるわけですけれども、そうなってくると、いわゆる軍艦がそういうふうな質問ができる、国籍不明だというようなときに質問ができる、あるいは臨検ができる。そういったときに資格がどのようなものなのか、先ほど申されましたけれども、その定義はどうなっているのかということなんですけれども、その辺はどうなっておりますか。
○国務大臣(高村正彦君) これは国際法上できるということでありますから、国際法上は軍艦もしくは政府船舶ですから、日本の政府船舶は国際法上はできると。では国内法上どういう権限が与えられているかという話になってくるんだろうと、こういうふうに思います。
○山崎力君 そうしますと、政府船舶というと一つは自衛艦が当然考えられるわけですけれども、警察権を付与されている保安庁も当然政府の船になるだろう、あるいは取り締まり権限を与えられている水産庁の監視船とかなんとかはできる、だけれども、いわゆる地方自治体所属の漁業取り締まり船はできない、こういうふうに考えてよろしいわけでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 国際法上臨検の権利を行う船についてどのように考えるべきかということにつきましては、「政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできるその他の船舶又は航空機で正当な権限を有するもの」というふうに一応考えられます。この規定を満たす国内法上の制度はどうなっているのかということは、これは各国にゆだねられているということになるわけでございます。
  我が国の場合は、この規定に照らして申し上げれば、自衛艦あるいは海上保安庁の船というのは当然これに該当することになると思いますが、それ以上の詳細は国内法上の体制いかんによるということになるかと思います。
○山崎力君 これ以上のことはきょうのあれではないんですが、それを踏まえて、これから問題になるガイドライン関連法の審議のとき、あるいは今回外された、新しい法律がどこの所管になるかわかりませんけれども、出てきたときに恐らくそれを踏まえてやると。国際法上はこうなっておるということは、きょうの御答弁で明らかになったと思います。
  そういった意味で、一言で言えば、公海上での船舶について国際法上では無国籍な船あるいはそういったものに対しては原則としてそれは許されないんだ、明らかにどこかの国と明示する、旗国といいますか所属する船でなければいけないということは、国際法といいますか国際社会において確立された考え方であるというふうに考えてよろしいかということなんですが、いかがでしょうか。

○政府委員(東郷和彦君) 今の委員からの御質問及び大臣からの答弁で申し上げておりますように、公海におきましては原則として旗国が船に対しては管轄権を行使する、しかし、その制度を秩序あらしめるために一定の警察権というようなものが国際法上で認められてきたと。その警察権を行使し得る場合はどういうことかということは、大臣からも申し上げましたように、例えば海洋法条約の百十条あるいはそれ以前にできました公海条約の二十二条等に規定があって、そのいずれの条約におきましても、国籍がはっきりしない船、これに対しては警察権を行使して臨検ができるということになっているわけでございます。
  したがいまして、国籍がはっきりしない船が何らかの権利を持って行動できるかというようなことはそれ以前の問題でございまして、船は国籍をはっきりした形で行動せねばならないというのが国際法上の基本的な考え方であるということだろうと思います。
○山崎力君 終わります。

(後略)