質問「『不審船舶の検査について』他

(平成11年5月17日参議院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 参議院の会の山崎でございます。
  今、入澤委員からも質問がありましたのですが、いわゆる事前承認の問題で、基本計画まで行くかどうかという議論がございました。修正をされた三会派のどなたでも結構ですが、その中で、基本計画というのはどこまで基本計画に含めるのかというのが我々には見えてこない部分があって、その議論の中で、当然基本計画を含めるべき、含めるべきでない、実施要項との絡みになるんですが、その辺の議論でどうしてそこまで行かなかったのかということを簡潔に御説明願いたいと思います。

○衆議院議員(大野功統君) 基本計画について国会承認を求める、その場合どういう議論があったか、こういうことでございます。
  国会承認の場合、大ざっぱに言って、周辺事態を国会承認するか、二番目に基本計画をするか、それから三番目に自衛隊の出動を国会承認するか、こういう議論があろうかと思います。
  周辺事態のところは、御質問にはございませんが、ちょっと背景とかいろいろ非常事態宣言みたいな響きも出てくる、こういうことで避ける。
  それから基本計画自体は、そもそも自民党の立場は国会承認は必要ない、こういう立場でございました。それから他の党では基本計画も含めてやれ。ただ、基本計画の中には、例えば機雷の掃海、あるいは邦人救出活動、既に法律によって認められている分野も入ってくる、こういう問題が出てまいります。それからもう一つは、基本計画というのはいわば運用の問題でございます。さらにもう一つ加えれば、基本計画というのは、変更した場合に、もし国会承認ということをかけますと、もう一度国会承認を取り直さなきゃいけない、こういう議論がありました。
  最終的には、委員御存じのとおり、自衛隊の出動という、これまでの例にもございます、また国民から見てシビリアンコントロールということで一番わかりやすい自衛隊出動、こういうことにした次第でございます。
○山崎力君 長いことでもないのですが、一つ一つ押さえてやっていますと飛び飛びになるようで、今までみたいに流れに沿ってというわけにいかないものですから御勘弁願いたいと思いますが、その辺のところで船舶検査というのはカットされたわけです。
  そこで、お伺いしたいのは、いわゆる国連決議のない平時においてどこまで任意の船舶検査ができるのか。国際法的にもいろいろ問題のあるところだと思います。旗国の承認があればできるのではないか、こういう意見もございますが、その場合、旗国が承認しても当該船舶が拒否したらどこまで強制力を持つのかという問題もあろうかと思います。そこのところで、そういうふうなことで検査できるのなら、ある程度担保されるなら一々国連の承認も要らないのではないかという議論もあったやに聞いておりますが、その辺のまとめがどうなっているかということをちょっと簡潔に御説明願いたいと思います。

○衆議院議員(大野功統君) たびたび申し上げましたとおり、船舶検査の基本は旗国の承認でございます。したがいまして、国連決議があろうとなかろうと、実際上差はございません。ただし、国連決議があった場合には旗国の承認があったものとみなせる、これは受忍義務、国連憲章二十五条の問題でございます。
  それから、どこまでやれるんだと。政府原案というのは、まず第一段階として国連決議、安保理事会の決議。それから第二段階として船長さんの同意。そしてやれることは、威嚇射撃はやれません、もし船長さんが同意しなかった場合は追跡したりということまで書いてございます。そこまででございます。日本の周辺事態法の場合には、船舶検査につきましてそこでもう限度をつくっている。
  ただ、世界的にどうか、こういう問題でございますが、世界的に見た場合、船長の同意がない場合にどうしたらいいんだろう。これはグローバルスタンダードはございません。したがいまして、場合によっては威嚇射撃等、船体の破壊行為まで及ぶ場合もあるし、ない場合もある。
  ただ、ここで明確にしておきたいのは、日本の場合には、自衛隊の船舶検査活動についての根拠法がございませんから、これがないと船舶検査は何もできない、こういうことでございます。
○山崎力君 それで、また飛ぶようで恐縮ですが、外務省の方になろうかと思うんですが、我々の基本としている今回の法案というのも、ある意味では日米安保条約がその背景にあるわけですが、これも不磨の大典ではございませんで、一年間の猶予で失効することが決められております。そういった場合、こういった関係法案というのはどうなるんでしょうか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(竹内行夫君) 御指摘のようなケース、日米安保条約が失効といいますか終了といいますか、そういった場合でございますけれども、これは仮定の場合でございます。したがって、なかなか想定することが難しゅうございますけれども、一般的に純粋な法律論ということで申し上げさせていただきますと、日米安保条約が仮に失効した、効力を失ったということ自体によって自動的に周辺事態安全確保法案といったものが失効する、効果を失うというような法的な構造にはなっておらないわけでございます。
  他方、日米安保条約の目的にかんがみまして、またこの周辺事態安全確保法案のよって立ちますところ、政治的な背景等々を考えますれば、そのような御指摘のような事態が起こった場合には、恐らくこの法案の、法律の取り扱いにつきましてその大きな前提が変わるわけでございますので、その時点でしかるべく見直しが行われるとか、いろんな措置がとられるということになろうかと存じます。
○山崎力君 これは確認ですけれども、失効した場合、日米地位協定みたいな付随する協定等はやはり同時に失効すると考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(竹内行夫君) 地位協定に関しましてはその終了に関する条項がございまして、この地位協定といいますものは、安保条約が「有効である間、有効とする。ただし、それ以前に両政府間の合意によつて終了させたときは、この限りでない。」ということでございます。したがいまして、安保条約が有効でなくなった場合には地位協定も有効でなくなるということが明示的に決められております。
○山崎力君 ほかにそういうものがあるかどうかは別として、そういうもの以外は、一応失効したからといって直ちにその関連法案が失効するわけではない、効力を失うわけではない。ただ、現実の問題として、目的その他に安保条約の目的を果たすのに有効に資するためというようなことがあった場合、これは実質的に効力を失うことになりかねない、こういうことだろうと思います。
  そういった中で、今度の船舶検査の問題というのは別の法律でつくるわけですから、考え方として、その日米安全保障条約の中でやるのかな、あるいは国連協力の中で国際社会の一員としてやるのかなと。両方考え方ができる。これは前にも質問させていただきましたが、そのどちらをとるかで、ある意味では新しい法律をつくる場合完全に考え方の土台の部分が違ってくる。
  その辺についての協議というのは、これから極めて、妥協がさっとできればいいんですが、今国会中にもという表現をしている三会派の約束なんですけれども、その辺のめどが立たない以上日程的にもなかなか難しいというふうには思っているんですが、いかがでございましょう。その辺のめどはそれこそこれから立つ見込みがあるんでしょうか。

○衆議院議員(大野功統君) 今から協議をやっていこうということで、委員御指摘の問題点はこれから議論していくところでございます。我々としては、気持ちは絶対に今国会中に成立させたい、こういう気持ちでやっているところでございます。
○山崎力君 ちょっとまた飛ぶようですが、運輸省の方、いらっしゃると思います。
  古い話ではないんですが、古くなったような感じで、さきの北朝鮮と目される不審船、それを追っかけた際、巡視船のたしか「ちくぜん」でしたか、警告射撃を二十ミリ機関砲において行った、こういうふうに言われておりますが、これは具体的に当該不審船の何メートル後方から、着弾地は、どのくらい離れたところに撃ったんでしょうか。

○政府委員(楠木行雄君) お答えいたします。
  先生御指摘の「ちくぜん」につきましては、三隻の巡視船艇から威嚇射撃を実施した中で一番遠い距離でございました。約十一キロメートルでございました。
  なお、着弾点から当該不審船までの距離につきましては、警備手法にもかかわることでありまして、お答えを差し控えさせていただきます。
○山崎力君 ということなんですが、二十ミリ機関砲の射程距離というのは、これはでこぼこというか一致はしておりませんが、公刊物に出ております。約五キロ前後。十一キロ後方から射程五キロの機関砲を発射したと。これは何やっているんだということになるわけです。しかも、逃げているところですから、警告にも何にもならなかった。
  それで、もう一つ言えば、射程が十一キロのものを持っていたわけです。三十五ミリ機関砲というのは「ちくぜん」にはたしかあったはずです。それを撃たないで、相手距離の約半分までしか届かないような射撃を行った。まさに何のためにやったのかということをあえて言わせていただきたい。警告も何もありはしない。鉄砲の弾の、税金のむだ遣いじゃないか、それだけで税金を幾らむだに使ったんだと、テレビ放映のためにやったんじゃないか、絵にするためにと言わざるを得ないことが行われておりました。古傷に触るようで恐縮ですが、あえてここで指摘させていただきたいと思います。
  それで、もう一つ、技術的といいますか、法律的なことなんですが、海上保安官及び保安官補は司法警察職員に含まれるというふうになっております。一般に司法警察職員、これは警察官も含むわけですが、そういった人たちの一般人との違った権能、法律上の権限というものはどのようなものであるか、あるいはそういったものをどのように教育というか、その司法警察職員にそういったものの使い方というものを教えているかというようなことを、これは法務省からでしょうか、警察庁からでしょうか、教えていただきたいと思います。

○政府委員(金重凱之君) 司法警察職員につきましての付与されている権限、一般のものとどう違うのか、こういうことでございます。
  この司法警察職員たる警察官でございますけれども、刑事訴訟法上、被疑者の取り調べ、それから逮捕状による逮捕、それから犯罪捜査のための捜索、差し押さえ等々の権限が付与されているところでございまして、そういう権限を行使するに当たりまして適正にその権限が行使できるような教育を平素から行っておるということでございます。
○山崎力君 そうしますと、非常に微妙な問題なんですが、これは質問通告はしていないのでお答えは結構ですけれども、さきの不審船事件のときに、もし仮に不審船が停止した場合、捜査的な行動は、海上自衛官は司法警察職員としての資格が付与されていないわけですから、今の答弁からいけば捜査活動はできない、法律的にできない、こういうふうになっているわけでございます。
  ですから、動けないようにするところまでは一般人の行為として、あるいは現行犯逮捕という形のものとして、その後の、一般用語で言えば身柄確保後はすべて海上保安庁の船が到着してからでないとできない。巷間マスコミ等に言われたとおり、もしとまったらどうするんだといったときに、ボートで武装して、臨検というあれはおかしいんですけれども、中へ乗り込んでいく活動が法的に果たしてできたのかどうか。その辺のところの疑問が私は今になって改めて出てくるわけでございます。
  そこで、次に関連する問題として、前に私の質問に外務省、たしか東郷条約局長でしたか、御答弁になったんですが、国際法上司法警察職員が、いわゆる正規兵といいますか、戦争状態にある敵国兵に対してどのような行動が許されているかということをお聞きして、原則として司法警察、いわゆる民間警察が軍人を相手にすることはなじまない、犯罪の行為があったとしてもなじまないというふうな御答弁をいただいたと思うんですが、確認の意味でもう一度お聞かせ願いたいと思います。

    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  個別具体的状況を離れて一般論として申し上げることが困難な点もございますが、国家間の本格的な武力紛争が行われているような事態においては、紛争当事国の軍隊構成員は、国際法上許容される範囲内で相手方軍隊の構成員を殺傷し、その装備兵器を破壊する等の戦闘行為を遂行することになるわけでございます。さらに国際法上、こういう国家間の武力紛争におきましては、戦闘員と文民を峻別するということが基本的な原則とされておるわけでございます。
  したがいまして、武力紛争発生時におきましては、私人の違法行為の取り締まりを任務とする文民警察官が相手国軍隊の構成員に警察権を行使したり戦争犯罪の取り締まりを行うことを目的としてこうした戦闘行為に参加するということは想定されないと。一般には文民警察官は戦闘員とはみなされず、軍隊に編入する等の特別の措置をとらない場合には国際的な武力紛争に用いられないというのが一般的な考え方だということでございます。
  先日御答弁申し上げたのは、このような趣旨を申し上げた所存でございます。
○山崎力君 再度ありがとうございました。
  そこで、私が御指摘申し上げたいのは、いろいろな問題のときに、テロとかあるいはそういった暴動的な、日本有事直前といいますか周辺有事においても、そういった行動に対して警察とか海上保安庁が対応する、こういうふうに一応同僚議員の質問に対してお答えになっていたように記憶しているわけでございます。
  そうなってくると、さきの不審船の例でいえば、あの時点において例えば停止して身柄確保が成った、こういったときにおいて、彼らが身分を明らかにして、我々は某国の正規軍の軍人である、こうなったときに対処のしようがあるかどうかということです。自衛隊は軍隊的なものですけれども、あれは警察行動としての権限付与で行動していた。海上保安庁も警察行動として行動していた。それで、捕まえる寸前になって向こうが、軍人だ、あなたたちは文民警察の資格で追っかけてきたんでしょうと。今、東郷局長からの答弁にあったように、我々は正規の軍隊である、あなた方に尋問その他取り調べを受けるいわれはない、こういうふうに言われたらどうするんだ、こういうことでございます。
  もっとありていに申し上げます。かなりの規模の機動隊員その他が武装して某原子力発電所を警備していたと。そこに少人数の部隊が上陸してきて、我々は某国のコマンド部隊の一員である、正規の軍隊である、あなた方は文民警察ではないか、国際法上あなた方は我々に抵抗する、実力阻止することはできないはずだ、やりたいのなら自衛隊を連れてこい、それまで我々の行動を実力阻止することは国際法違反である、このように言われたらどうなるのかという点でございます。
  私の考えでは対応に非常に苦慮せざるを得ないということなんですが、その辺のところを一応質問通告してありますので、どなたか適当にお答え願いたいと思います。

○政府委員(東郷和彦君) お答え申し上げます。
  先ほど私が申し上げましたのは、国家間の本格的な武力紛争が発生したときに国際法の観点から見ますと基本的に物事がどういうふうに識別されるかという点を申し上げた所存でございます。
    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
  ただいま委員御指摘の事態というのは、いずれのケースも非常に特殊な限定的な事態かと思います。そのような事態に関して、また具体的状況を綿密に知らない状況でお答え申し上げるのは困難な点もございますけれども、一定のそういう非常に限定的な状況のもとで、国内の治安維持という観点から、まずは文民警察官が対応するという可能性は排除されないというふうに考えます。
○山崎力君 特殊だとおっしゃいますけれども、湾岸戦争のアメリカ軍のいわゆる反撃形式を見ても、アメリカ軍のかつての冷戦時代の対応、NATO正面での対応を見ても、第一にあったのはソビエトの特殊部隊スペツナズに対する対応策をどうするかということが関係者の間では常識だったわけで、むしろこれからの本格戦闘は特殊部隊の拠点攻撃から戦端が開かれる、これは軍事をかじった人間であればもう常識の話なんです。
  そのことを特殊だと言って、それに対して、そういう場合は文民警察で対応することもやむなしと、こういうことでは、若干法的な構成といいますか、そういったものが私は困難にならざるを得ないと思うんです。
  それを特殊だと言うことの根拠をお示しになれるなら、こういう考え方が特殊だということが言えるんでしたら、私はむしろ言っていただきたいんです。これからの不幸な事態の戦端、スタートはそこから始まるんだろうと私は思っているものですから、もう一度御答弁願いたいと思います。

○政府委員(柳澤協二君) ちょっとその対応の側面から御説明させていただきますと、いわゆるゲリラコマンド攻撃というケースにつきましては、これは新しいガイドラインでもございますように、我が国に対する武力攻撃が行われた事態の一対応というふうに認識することが現にできると思いますし、そういう場合にはそういう対応を当然とることになります。
  そして、いわゆる治安事態という形で処理するか、防衛事態という形で、処理するかというのは変でありますが、自衛隊が第一義的に出るかということの判断基準は、これはいろいろあると思いますが、一つにはやはりそれが正規の部隊であろうと不正規の部隊であろうと、外国の軍隊による組織的、計画的な侵略行為かどうかということでございますので、いわゆる小規模なゲリラ的なテロ行為であれば必ず警察機関が第一義的に当たらなければいけないということにはならないと思っております。
○山崎力君 いや、警察が当たらなきゃならないんじゃなくて、当たる可能性が多いんだけれども、警察はそれに対応する法的な根拠がないんではないかということを私は申し上げたいんです。
  これは海上保安庁さんの方がむしろ、逆に言うと先にその事態になるかもしれない。要するに、ゲリラコマンド部隊、過般もありましたけれども、半潜没船みたいなのがどうも原子力発電所を目指して海上を進行して領海を侵犯している、ただしそこのところには北朝鮮の国旗が翻っておったと。それを海上保安庁の現認した巡視船が攻撃を加えれば撃退することが十分可能である、こういったことだって十分考えられるわけです。
  そのときに、海上保安庁が文民警察として相手国の軍隊に阻止行動ができない、一義的にはできないということが先ほどの東郷局長の答弁であったということなんですが、非常にあり得べき想定からいけば、海上保安庁は、当然自衛隊あるいは政府に対して通報して自衛隊の出撃を要請することはできるわけですけれども、それをただエスコートして、この間の不審船の場合の自衛艦みたいな形で途中までエスコートするだけなのか、阻止行動がとれるのか、その辺の法的な吟味はどうなっているか、御答弁願いたいと思います。

○政府委員(楠木行雄君) この間の不審船の場合、やや距離があいておりましたけれども、警職法に基づきまして、逃走の防止という観点がございましたので撃ったわけでございます。
  それから、先生おっしゃいます軍艦といいますのは、旗を掲げておるだけではなくて、国際海洋法条約の第二十九条によりますと、そういった外部標識だけではなくて、「当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいう。」、こういうふうにされておりまして、こういう軍艦に限っては旗国以外の国の管轄権に属さないということになるわけでございます。
  しかし、そうでない限りは私どもが警察権を行使する対象になりますし、また仮にそういった他国の軍艦がその領海内に入ってきた場合であっても、無害通航でないというふうになりますと、私どもは海洋法条約その他の国際法規に基づきまして、当該軍艦に対して退去要求を行うということになるわけでございます。
  また、今回の不審船のような場合、我々やはりそれを教訓にし、また反省をいたしまして、海上保安庁が第一に対処することは変わりはございませんが、著しく困難であるとか、あるいは不可能であるという場合には、内閣の判断を仰ぎまして、状況に応じて自衛隊との連携をとる必要があると考えておりまして、今その方向で対策をとりつつあるわけでございます。
○政府委員(東郷和彦君) 一点、誤解をもし持たれるといけないと思いまして、補足させていただきたいのでございますが、私が文民警察官が一義的には対応しないというふうに申し上げたのは、累次申し上げておりますように、現下の国際法では文民は保護されねばならないという一般に分かち合われている原則があると。その観点からは国内の治安をつかさどる警察官というのは文民の側に立つということでございます。
  ただ、もし緊急の事態が起きたときに何らかの武器の使用をすることが適当だという判断をした場合に、それは法的にはどういう事態が生ずるかといいますれば、それはもはや相手が外国の攻撃であった場合には、文民の立場には立たなくなるということでありまして、相手側から攻撃されると、攻撃されても国際法上文民は保護されねばならないという権利は主張できなくなるだろうという事態が起きるんだろうと思います。
  したがいまして、先ほど先生が御指摘になられた二つの、本格的な武力紛争が起きているという事態に比べればかなり例外的と申し上げていいような事態のときに、海上保安庁の方で武力を行使しようとしたときに、相手側から、おまえが武力を行使するのは国際法違反だからできないよと言われる、そういう筋合いにはないんだろうというふうに思います。
○山崎力君 ただ、そう言われても、海上保安庁は海上保安庁法で軍隊としての行動はできない、こうなっているわけなんですね。そこのところの行動をすることになってしまうわけです。
○政府委員(東郷和彦君) 今、私が申し上げましたのは、国際法上の位置づけという観点から申し上げましたので、国内法の体制上そこをどう整備していくか、これはまたおのずから別の問題かと心得ます。
○山崎力君 ということは、国内法ではそういうことをやっちゃいけないということになっているわけです。
  それから、先ほど保安庁長官の方から退去要求ができると言ったんですが、これは強制力は文民警察としてはできない、強制排除はできないはずでございます。
  もう時間もなくなりましたので、かくかくしかじか、いわゆる有事に対して、周辺事態だけじゃなくて有事に対してどういうふうに日本の実力部隊を組み合わせてやるかということが今回の審議の中で私が点検していくと随分出てきた。これをどうするつもりですかということをまず今後政府側に問いかけた形で、私の質問を終わらせていただきます。
(拍手)
(後略)