質問「派遣法改正で常用代替防止は担保できるか

(平成11年6月10日参議院労働・社会政策委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 ちょっと質問通告の順番と違うんですが、今回の審議を通じて一つまず大きな意味での問題というのは、今回の制度が現行のいわゆる専門的と称される二十六業務、それに特殊なという三種類、警備業務であるとか港湾運輸とかそういったもの、それから今回のいわゆるネガティブ化によるような問題、三本立てにまずなるわけですが、これはいろいろいわく因縁、これまでの事情でそれぞれの対応策として出てきたというのはもちろん了解するわけですし、これでスタートすると。それで、平場でこういった制度をつくるというのであれば、それぞれやりたいところなんだけれども、現実に今までの経過があるのでという御答弁もいただいているわけです。
  これは形式論になるかもしれませんけれども、こういった制度、いわゆる今回の労働関係に関する制度全体の見方からすれば、やはりある時点において再検討する、つくっておいてこれからすぐ再検討というのもおかしいかもしれませんけれども、それは少なくても視野に入れておかなきゃいけない。この機会において、やはり二十六業務の中身、プラスするのか減らすのか、それともゼロにするのか、その辺のところの将来に向かっての展望というのはある程度必要だろうと思うんですが、その辺について、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(甘利明君) 二段階、先生の言をかりれば三段階になっているわけでありますが、つまり専門性を有する部署、それから特定の雇用管理が必要なところ、それと今回の規制緩和部分、これが二段階に分かれているわけでありますけれども、これは先生が既に御指摘されましたように、その事情は、今回自由化する部分と若干違う専門性、特定の雇用管理という観点と、それからもう既にこの業について派遣労働者として仕事をしている人たちにいきなりほかと横並びということもいかがなものかという、大きく分ければ二つの理由だというふうに思います。
  そこで、三年後に見直すときに、先生初め当委員会で御指摘をされている点を踏まえて、そのときに必要な検討を図ることとしたいというふうに思っております。
○山崎力君 その三年後の見直しなんですが、一番問題点の指摘としてわかりやすいのは、今回の改正が常用代替の防止、そういったものをいかに担保できるか、労働条件の問題もございますけれども、こういうことが一つの焦点になろうかと思うんですが、三年後の見直しの前提として、少なくても実態把握を今からしておかなきゃいかぬ。
  もし仮にこれが施行された場合、現状はかくかくしかじかであった、三年後の状態はかくかくしかじかである、こういう変化をもとに、我々というか、将来の我々の立場の役所にしろ議員にしろ、ある程度皮膚感覚も大切ですけれども、その実態の数字をもとに検討する必要があるのではないかと思うわけです。そのためには、三年後の見直しで三年たってみてというのではなくて、現状の労働条件、これに関するようなところのあれがどうなのかという点である程度把握する、今まで以上の現状の労働状態の把握を必要とすると思うんですが、その辺の対応策というのと、将来それに対してどうなさるのか、その辺の状況をお聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(甘利明君) 三年たった後に検討するということは、当然現状を把握し、その推移も把握していなければならないと思います。
  私どもが想定していたのと違う事態が決して起きないということでも当然ないと思いますから、その辺はこの法改正が意味するところがきちんと行われていくように、あるいは懸念されていることが極力出てこないようにしっかり目配り、気配りをしながら三年後に備えたいというふうに思っております。
○山崎力君 少なくてもやっていらっしゃると思うんですが、三年後のときに、こういう状態になっておる、こういう数字が出ておる、だけれども、三年前どうだったのか、そのときはちょっとこの数字はございませんでということのないように、これは将来のことですけれども、関係者はしっかりしたデータ収集を現時点から行っていただきたいと希望いたします。
  そして、最後の質問になるんですが、今回の改正案、派遣法、安定法、いろいろな同僚議員の質問を聞いていて一番問題になるのは、非常に抽象的になりますけれども、全体としての流れの中でいろいろなことが行われようとしているけれども、労働者の保護措置というものが総体として十分なのかどうなのか、今回のことで悪化するのではないか。これは常用代替防止という一つの具体例がございますけれども、そういったものが的確に労働省として、行政として対応できるのか、今のやり方でできるのかという疑問、そこに対する疑問がかなりの部分を占めたと私は受けとめております。
  逆に、それでいけば、それを締め過ぎればまた今回のこと、本来の目的であった労働者の雇用の確保あるいはそういった新たな労働市場の拡大という部分も、効果の部分を減らすことになる。本末転倒になるのか、それとも角を矯めて牛を殺すことになるのか、そのあんばい、バランスをどうとるか。こっちに行き過ぎたら片方の方が被害が大きくなるし、反対に行き過ぎても問題だ。そのハンドリングは極めてデリケートな問題だろうと思います。これは労働問題全般にかかわる問題ですけれども、今回の改正というものについても当然それが出てくる。
  その辺について、果たして今までの労働行政でそれに対応できるんだろうかという不安といいますか疑問といいますか、そこが根底にあろうかと思うんですが、その辺のところを国民にわかりやすく説明してといいますか、関係者は非常に多種多様でございますからその辺は難しいとは重々思うんですけれども、その辺のところ、行政の長、今回の改正の責任者としての大臣の所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(甘利明君) 非常にいい御指摘だと思います。
  今回、この改正法を提出させていただくに当たり、働く側のニーズとそれから採用する側の企業側のニーズ、両方にうまくバランスよくこたえていきたい、それはとりもなおさず、片方に対する懸念を、最終的に心配がゼロまで追求していくと、おっしゃるように健全な経済社会の発展に一体全体どう資するのか、健全な経済社会の発展というのはその結果として雇用の場をこれから国際競争の中でつくっていくという大事な使命がありますから、そこをどうバランスをとっていくかというのは物すごく大事な問題だと思います。
  私も産業政策を少しかじりましたから多少なりともバランス感覚はあると思うのでありますけれども、逆に言えば、企業側の論理が入り過ぎないかということも自分なりに気をつけて今回の法改正に臨んだつもりでありますし、省庁再編が行われていく中で、私どもは社会のセーフティーネットを担う役所になっていくわけであります。セーフティーネットが機能するためには、きちんとした経済社会自体が存在するということとあわせてでありますから、これは関係省庁ともしっかりと連絡をとりながら、しっかりとしたバランスをとって対応していきたいというふうに思っております。
○山崎力君 決意のほどはうかがえました。しかし、現実にそれがどうなるかというのは、これはまた別の次元の問題でございまして、大臣がいつまで大臣でいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、次の大臣も含めて、役所のそれこそハンドリングをするのは行政の、労働省の、名前が変わるかもしれませんけれども、その辺のところを我々国民の代表者が見なければいけないんだ、多種多様の国民の代表者である我々国会議員の中から選ばれた大臣だという視点を忘れずにやっていただきたいという希望を申し上げて、私の質問を終わります。
(後略)