質問「『防衛庁設置法改正の節約効果』ほか

(平成11年7月27日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 先ほど同僚議員からもありましたけれども、今回の設置法改正で人数がどうなるかということは出ておりましたけれども、具体的に、予算的にはどの程度の節約効果が今回の改正で期待されているんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) このたびの改正で、陸上自衛隊については第七師団の改編等を行うことによりまして自衛官の定数を千六百四人削減することとしておりますが、これによりまして陸上自衛隊の自衛官約七百三十人の実員が削減されることとなります。一方、統合幕僚会議事務局及び情報本部に自衛官六十一名を増員することにしております。この増減員による予算面での節減効果は、人件費、糧食費で年間二十億円、平成十二年度平年化ベースで二十億円と見積もられるところであります。
  なお、平成十一年度予算では、第七師団の改編等を行う時期を平成十二年三月下旬としているため、人件・糧食費の節減効果は約三千万円でございます。
○山崎力君 こういった中で年々やっているわけですけれども、現中期防、要するにコンパクト化、効率化、合理化をするよということで始まって三年がたったと思うんですけれども、当初の計画どおりの予算の節約あるいは装備の更新、近代化というものは現時点において順調になされていると考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(野呂田芳成君) 結論から申し上げますと、私は順調になされているというふうに考えております。
  現在の中期防では、基幹部隊、主要装備等について、合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに装備の更新や近代化を進めているわけでありますが、進捗状況でいえば、平成八年度からこれまでの間に、陸自については、一個師団を旅団に改編するとともに自衛官定数を七千百人削減し、即応予備自衛官を三千四百人導入しました。海上自衛隊についても、二個護衛隊を廃止するとともに護衛艦数を五そう削減しました。
  平成十一年度末までに、これから陸自について、さらに自衛官数を千六百人削減、即応自衛官を約九百九十人導入する。それから海自につきましても、二個ある掃海群を一個に集約する。空自についても、十二個の警戒群を警戒隊に改編する。そういうことをやろうと思っております。
  また、装備の更新、近代化につきましても、陸自については高機動車や多用途ヘリコプターの導入、海自につきましてはミサイル艇の導入、空自については早期警戒管制機の導入等を行うほか、情報機能の向上を行いたい。
  予算の節約について申し上げますと、正面装備にかかる予算額は、前中期防においては五年間の平均が約八千七百億円であったのに対し、今回の中期防で平均で八千二百億円と節減されております。特に最近は、十年度、十一年度と二年連続して対前年度マイナスとなっております。
  しかし、このような新大綱に基づく防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を着実に推進しているわけでありますけれども、装備力等については欠陥が生じないように十分配慮して行っているところであります。
○山崎力君 この問題というのは、世界的な冷戦以降、緊張緩和の中でということもありましたけれども、将来の少子化を踏まえたという意見もあり、あるいはいわゆる法律上の定数と現実の定数のギャップ、乖離を整えるという意味もあったと。むしろ、その方が実際的な防衛計画の中でふさわしいんだというような意見を聞いておったわけであります。
  そういった中で、着々とやられているということは御同慶の至りですけれども、問題は、これだけ近代兵器がいろいろなところで段違いの威力を発揮し始めている。これはコソボでも証明されている。完全に、昔の海軍の言葉で言えばアウトレンジされて、こっちから撃つ弾は全部届いて当たるけれども、向こうの撃つ弾は手前に落ちて、こちらは無傷でいられる、こういう戦闘がこれからの戦争の一つの要件になってくるのかなという気がしておるわけです。
  そういった中で、果たして個々具体的な装備の近代化というものが、かなりそれにはお金がかかる部分があり、しかも、なおかつ日本の防衛力整備というのは、言葉をかえれば、国産化に固執する余り、極めてハイコストの兵器を装備せざるを得ない。結局、質はある程度確保されても量の面で非常に弱い。今回の削減でますますそれがひどくなるのではないかという危惧が一方であるわけです。
  そういった中で、具体的に、特に近代戦において重要である機動力の確保の面において、果たして、西欧並み、ヨーロッパ諸国並みとは言いませんけれども、日本にふさわしい装備が出てきているんだろうかという点、非常に私は危惧の念を持っておりますが、そういった流れについてどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(野呂田芳成君) いろいろお考えいただいて大変感謝にたえませんが、御指摘の機動力につきましては、十一年度改編予定の第七師団については、我が国唯一の機甲師団として既に装甲車等の十分な機動力を保有しているところであります。
  また、一般論として申し上げましても、師団の改編に当たっては、悪路においても高い機動性能を有する高機動車や、これは十人乗りでありますが、そのほか人員や物資を輸送し得る多用途ヘリコプター等を新たに導入しているところでありまして、実数が削減されても多様な任務に的確に対応し得るような陸自全体としての機動力の充実に十分配慮しているところであります。
  その他、装備の更新、近代化に当たっても、自動化や整備性の向上を図ることにより、より少ない人員で運用し得るよう配慮しているところであります。
  軍事技術の趨勢に対応するとともに定員の削減を図っていきたいと思いまして、例えば火砲の代替として多連装ロケットシステムを導入するとか、あるいは地対空誘導弾の改良ホークを近代化されたものに改善するとか、定員は減っても装備面では欠陥のないように配慮してまいりたいと思っております。
○山崎力君 ちょっと細々となると専門的になるかもしれませんけれども、今、第七師団のことをおっしゃいましたけれども、これは特殊な師団でございまして、ほかの師団と比べ物にならないほど近代化された師団で、むしろほかの旅団化されたところも含めて、どのような機動力を持たせるか、あるいは遠距離の攻撃力というか移動力を持たせるかということが特に陸上自衛隊では課題になっている部分でございます。
  そういった点で、ある意味では一つのショーウインドーとしての第七師団は結構なんですけれども、それは集中運用という考え方ですが、ほかの師団、旅団のところの火力、機動力に関してはやはり相当程度考慮しなければならない実情にあると思います。
  そういった点でいえば、海上あるいは航空でも、正面装備は確かに世界一流だけれども、そこのところのバックアップシステムが果たしてどの程度なのか、その辺の吟味というものが余りなされてきていない。計画をやるとその計画実施をとにかくやらなきゃいかぬということで、アフターフォローをどうするかという点を、もう三年たったわけですから、その辺の実績を踏まえた、削減だけではやはり乗り切れない、機械だけでは乗り切れない部分があるのじゃないかという気がしております。
  蛇足でつけ加えれば、変なと言いますと非常に言葉があれですけれども、この雇用情勢の悪化の中でいろいろな施策をとるよりも、定員削減しないで自衛隊が全部それを抱え込んだ方がよっぽど雇用対策になるのじゃないかという考え方も成り立つわけでございますので、その辺を考慮して、時間ですからもうやめますけれども、今後の防衛大綱、防衛方針の遺憾なきをお願いしておきたいと思います。

(後略)