質問「『北朝鮮の核施設疑惑について』他

(平成11年11月18日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 私もペリー報告絡みの質問から入らせていただきます。
  これは、そちらにいらっしゃる山本外務政務次官とともにアメリカ、韓国を訪れたときにアメリカの国務省、国防省あるいは共和党の上院議員、そういった方たちとの話の中で感じたことなんですが、あのペリー報告のもとになった不可解な地下施設、これは原子力、原爆開発関係ではないかという疑いで、査察とは向こうは認めていないんですが、見学なのか査察なのかはともかくとして、行ったと。そのことの具体的な中身というものについて非常に公表していない部分がありまして、余り触れてほしくないというのを私は感じたわけでございます。
  このことについては、事前にといいますか、直後に前任者の高村外務大臣にお聞きしたんですけれども、そこのところは言わないでくれというふうに言われているというふうな御答弁をいただいた記憶があるんですが、かえってむしろそうなってくると、何なんだあれは、こういう気持ちになっているんですが、その辺のところを河野外務大臣、どのように引き継いで、かつまたお感じになっているか、その辺からお聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(河野洋平君) 山崎議員の御指摘の地下施設というのは金倉里の施設ということだろうと思いますが、五月にアメリカがこの施設に参りましていろいろ見たわけですが、その結果、この施設は米朝間で合意された枠組みに違反するものではない、こういう結論を報告をされたわけでございます。私もそういう報告を受けたというふうに引き継いでおります。
○山崎力君 結論だけで、これは私が個人的にアメリカ国務省の担当者から同じ質問をして聞いたんですが、その結論を信用しろ、我々を信用しなさい、あれは核関連施設ではないと我々は結論づけたんだからと言うだけなんですよ。大きさがどうでこうで、こういうあれだからこれは具体的には無理なんだというデータ的な裏づけが全くなしなんです。まさに信頼するかしないかだけの問題。
  これは、ある意味においては非常に民主的な、みんなで考えて政府もデータを公表してやるという感覚からすれば、非常に閉鎖的なといいますか、情報公開にある意味では反した部分であろうというふうに私自身は感じたんですが、その点、僕と同じ言葉を聞いているはずの山本外務政務次官の方から、もし何かあればコメントをいただきたいと思います。

○政務次官(山本一太君) 山崎先生と御一緒にアメリカ出張させていただきまして国務省の高官にお目にかかったときに、先生からこの質問が出たこともよく覚えておりますし、相手方の答えも、今、先生がおっしゃったようなことだったというふうに記憶をしております。
  結論からいいますと、河野大臣のおっしゃったことに尽きるというふうに思っておりますけれども、いずれにせよ、アメリカ政府はもう少し詳しい話もちらちらしていたと思うんですが、施設の今の大きさとかあるいは規模、形状などから考えて機材が据えつけられたとか、それに関連した施設としてのなかなか機能を果たせないんではないかということで、これはその意味では合意された枠組みには反していないという答えもそのときにたしか政府高官の方からあったというふうに記憶をしておりまして、そういうことではないかと考えております。
○山崎力君 その辺のところは韓国側からもお聞きして、あの大きさのものでは原爆開発等の原子力施設をつくるにしては規模が小さいということは聞いている、ただし、それでは何のためにああいうのをつくったのかは我々もよくわからない、こういう説明があったわけです。
  そこの結論だけで、形状とか何とかというのは要するに数字が入っていないんですよ。それから形状も入っていない。岩盤がむき出しなのか、コンクリートを巻いているのか、真っすぐなのか、四角い穴なのか丸い穴なのか、曲がっているのか、勾配がどうなっているのか、そういったことが出ていないということは恐らく、私のこれは個人的な感想ですが、要するにそういうことを公表することによって、アメリカ内部のそういった専門家がこれだったらできるぞとか、こういうふうに工夫すればこういうことじゃないかというふうな、余計な詮索を避けるためにデータを隠しているんじゃないかというふうに勘ぐってしまうような説明の仕方だったわけです。
  ですから、むしろアメリカの国務省としては、とにかく北を刺激しないで、振り上げたこぶしの査察といいますか、それをおろしてやるための一種の儀式的なものをしようとしたんだけれども、そうすると疑問が残ってしまうから、国内的にも、だから我々の方にも信用しろというふうに言っているんではないかなというふうな気がして、その数字の公表を避けるという理由が、どうもそこのところの説明が、今まで納得できるような説明が来ていないというところが非常に私は懸念材料として持っているんです。その辺について、大臣いかがでしょうか。

○国務大臣(河野洋平君) アメリカからは、担当者が、先ほども申し上げましたように、現地を見てきた後、報告があったわけです。
  その報告は、今、議員がおっしゃったように、縦横何メートルで何がどうでというような詳細な報告があったというふうには私は承知しておりません。ただ、自分が見た範囲ではあの場所がそういうことに使われるとか、そういうことができる場所とは全く考えられませんという、そういう報告があったというふうに承知しております。
○山崎力君 その辺は前の高村さん時代と変わらないわけですが、そこで、どうしても僕みたいな感覚で見ると、何でそこまで数字を出さないんだろう、出せば余計その辺がはっきりするのにということに対して、公表を避けているということに対しての疑念というのはどうしても残るんだということを、私自身、これは皆様方からの答弁聞いても消えることがないということは、残念ながら申し上げなくてはならないと思います。その問題は、今後もまた何かが出てくればそういったことになろうかと思います。
  続いて、飛びますが、今度は西ティモールへの自衛隊機派遣検討問題です。これは、食糧輸送のためということで、自衛隊機はそういうのに適している部分があるというのは承知しているんですが、逆の見方で、何で民間機ではだめなんだろう、民間機で食糧を運んだっていいではないかと。何かそういったときに民間機、日航機あるいは全日空機に要請して人員を避難させるということもあり得るわけですが、食糧を運ぶのにも民間機は使えるはずなんだけれども、何でこの際自衛隊機なんだろうということの御説明といいますか、考え方がちょっと伝わっていないような感じがするので、その辺の検討をどういうふうにされたか教えていただきたいと思います。

○国務大臣(河野洋平君) 西ティモールのクパン県及び同県のエルタリ空港の状況を見て、同地において一定期間、迅速かつ安定的に空輸を行うためには、空輸に関する技術あるいは能力、経験などを有する専門組織による対応が必要である、こういうことが期待されているというふうに聞いております。そうした期待にこたえ得るのは何かというのが我々の判断でございます。
○山崎力君 ということは、もし仮に西ティモールの空港施設が国際線の大きな飛行機、ジャンボでも飛んでいるような大きなあるいは設備の整った空港であるならば、自衛隊機でなくていわゆる民間機を使用するということも考えられるということなんでしょうか。
  それとも、やはり情勢その他から見て、こういうふうなことになった場合は、今後自衛隊機を使うという政策をこれからも続けるんだということなんでしょうか。

○国務大臣(河野洋平君) ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、この場合には、先ほど申し上げましたように、UNHCRから我々に対して期待されているものは、空輸に関する技術とか能力とか経験などを有する専門組織をもって対応できるということが非常に強く要求されているわけです。
  仮に、議員がおっしゃるように、民間のチャーター機でいいではないかというならば、これは恐らくUNHCRは日本に対して資金援助を求めて、その資金で自分がチャーター機をチャーターするということだってあり得るわけで、我々はあくまで幾つかの選択肢を考えて一番いい選択をしようと思っておりますが、現時点ではそうお答えする以外ありません。
○山崎力君 ということは、UNHCR側の要請に応じたから、要請の内容が自衛隊機を使うのにという形の要請であったから今回は自衛隊機を派遣することにしたと、そのように理解してよろしいわけでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) あくまでも今回要請をしてきておりますのはUNHCRでございまして、UNHCRは今申し上げたようなことを期待して日本に対して支援を求めてきているということでございますから、その期待に一番ぴったり合ったものを我々が考えるということでございます。
○山崎力君 時間が参りましたので、次の質問にさせていただきます。
  これは、もう前からの懸案でございますけれども、西村発言のときからのいろいろな経緯の中で、以前からも私だけでなくてその辺のところと関係ある人がどうするんだという、国の外交方針の問題なんですが、非核三原則というのがございまして、その中で、核をつくるとか持つとかというのは、これは日本側の、政府等の自発的な気持ちですから、これは政府で何とでもなる話だと思うんですが、持ち込ませないというのがございます。
  その持ち込ませないというのは、相手のあることでございまして、自分たちの考え方を貫こうとすれば、何らかのそこに無理やりといいますか、持ち込もうとする者に対して摩擦を生じざるを得ないと。そのときに、極端な話でいえば、実力をもってその搬入を阻止するということでなければ、これは非核三原則の持ち込ませないということは担保されないと思うんですが、その辺の議論というものが今まで余りなされていなかったような気がするんですが、その辺について、大臣いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(河野洋平君) 私は、大事なことは日本が非核三原則をとっておるということを国際的に周知徹底するということがまず大事だと思うんですね。持ち込ませずというのは日本の政策として極めて重要な政策だということを承知の上で来る者がいるかどうかということだと思います。
  私は、今の状況からいって、まず大事なことは国際的に我が国の政策を周知徹底せしむることだ、それが何より大事なことじゃないかというふうに思います。
○山崎力君 最後に一言。
  この問題でいえば、関係者は十分承知していることなんですが、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡等に不必要な公海部分がある、このことの背景にあるのは非核三原則の持ち込ませないことであるということを否定できる論理というのはほとんどないと私は聞いております。その辺のところで、そういった形で、いびつな形で持ち込ませないということをやっている国であるということは、これはやはりある程度時期が来た場合においては考えなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
  まさに、いろいろ説明はされていますけれども、宗谷海峡の真ん中の、日本海側部分の真ん中に公海部分をつくるのはともかく、日本海側の領海のところをあけて公海部分をつくっているということは、これはもうそれ以外の何物でもないというふうに理解せざるを得ないわけで、その辺が周知徹底なのかなというふうな気も私はしているわけでございまして、時間の関係で御答弁は結構でございますが、そういう疑問があるということを御承知おき願いたいと思います。
  終わります。

(後略)