質問「そごう百貨店への債権放棄について

(平成12年7月18日参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 自由民主党・保守党の山崎でございます。
  今回のそごうの問題を中心として金融再生委員会委員長その他の皆様方からお話を承りたいと思います。民間からは興銀、新生銀行の代表の方においでいただきました。忌憚のない御意見、御感想を伺えたらと思っております。
  まず、いろいろ世間を騒がせたといえば今回そごうについての問題、物議を醸したということは事実だろうと思いますが、今回のそごうの債権放棄要請からそれを取り下げて民事再生法で行くよと適用申請に至った、こういった一連の経緯について、大臣、再生委員長の御感想といいますか、今の所感をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(久世公堯君) 今回の問題でございますが、これは前大臣のときに、金融再生法が定めております費用最小化原則を基軸としながら債権放棄要請を預金保険機構の方から受け入れることもやむを得ないということでこれを了承したわけでございまして、いろいろと熟慮の末の苦渋の決断であったと承っております。
  ところで、その後、そごうが自主的な経営判断といたしましてこの債権放棄要請というものを取り下げたことによりまして、金融再生委員会の了承は実質的にはなかったものと同じになったところでございまして、今はそごうの債権問題が民事再生法のもとにおいて順調に進むということを期待しているわけでございます。
  今回の問題を通じて、今後債権放棄の問題がもし起こるとすれば、これにつきましては慎重の上にも慎重な判断をしなければいけないというふうに考えております。また、その判断の基準はどうかということもたびたび聞かれておりますけれども、これはよくいろんな方面の御意見というものを拝聴いたしまして慎重に真摯に検討をしたいと思っております。
  また、今回のそごう問題、きょうの午前の質疑にもございましたように、資産の評定とかあるいは瑕疵担保責任の問題とか、非常に法律、経済、会計を通ずる技術的、専門的な要素がたくさんございます。それだけに、なかなかこの問題というものを各方面にも国民の皆様にも正確にお伝えするということが非常に難しい問題でございますけれども、しかし、やはり行政というものは広く開示を行うことによって多くの方々の意見を承ることが肝要かと思うわけでございます。
  したがって、今後はできるだけ情報の開示に努め、かつわかりやすくこれをあらゆる手段を通じて行うことによって広く国民の声というものを聞きたいと考えております。
  以上でございます。
○山崎力君 今、大臣の方から、今回の措置は専門的な要素が多くてという御答弁がございました。
  確かにそういう面はございます。ただ、国民の立場からすれば、それはそれとして、大づかみの流れでもどうなっているんだろうかということをやはり理解してもらう必要はあると思います。専門知識を持った人間しかわからないというのであれば、これはなかなか国民相手の行政、政治というのはできない部分がございます。
  そういった意味で、今回の一連の事柄について、マスコミ等で私自身も見受けましたし、一般の方とのつき合いの中でも聞いたことがございます。その端的な表現は、要するに、債権放棄をするということから民事再生法適用申請になったときに、おい、そっちの方がおれたちの税金を余計に使うのかよという率直なというか非常に正直な感想を私自身も聞きました。
  これ自身の前提として、今回のそごう、非常にけしからぬ、処理がけしからぬといったときによく言われたのは、新たないわゆる国費、税金投入で一民間小売業であるそごうを救うのかと、こういう表現、あるいは我々の税金でそごうを助けるのか、こういう表現がございました。これはある意味では正しいところがございますけれども、正確に言うと、先ほどの疑問が、そういう声が、先ほど申し上げた声が出るように、誤解に基づく、誤解を前提とするそういう考え方が国民の間にあったということも私は否定できないと思います。
  その辺について、特に税金投入で新たな本来は使わなくてもいい税金をそごうのために使うんだという印象を国民が、全部とは言いません、かなりの部分が持ったんではないかと考えても不思議はないような報道、そういったあるいは雰囲気というものが私はあったと思います。
  その辺について実はこうなんだということで、そこの辺が誤解されていたんではないか、言葉をかえれば、政府側、金融再生委員会等の方の発表あるいは公表の仕方がそこのところが足りなかったんではないかということがあれば、率直なところをここで御披露願いたいと思います。

○国務大臣(久世公堯君) ただいま御指摘の点でございますが、私どもは金融再生法第三条に掲げております費用の最小化の原則、午前中にも申し上げましたが、国民の負担をできるだけ少なくするというのがこの金融再生法の趣旨に沿ったこの債権放棄の場合においても一番基軸にしなければいけない原理でございまして、私どもはそれに沿って今まで対処をしているわけでございます。
  したがって、そごうを救おうというような目的では全くありませんし、大企業だからそれがどうだとか、中小企業だったらそれがどうでないとか、あるいはまた大規模な、あるいはまた関連するところがデパートのように非常に多角的だとか、そういうような基準は一切ございません。
  判断の一番の基軸は、国民の負担ができるだけ少なくなるようにと、こういうような配慮からこの債権放棄を受け入れたわけでございまして、そごうの場合につきましても、もしそうでなかったならば、最初から公的な手続に移るならば、例えば民事再生法でありますとかあるいは会社更生法でありますとか破産法でありますとか、破産法制に乗っかっていくとすれば、どう考えましてもこの債権放棄を受け入れるよりは二百億とか四百億とかそういうような範囲で国民の税金が割り増しになるわけでございます。
  そういうようなところからこのような判断をしたわけでございまして、今回、民事再生法にのっとってやるということになりますと、国民負担の面からいうとプラスになるわけでございますけれども、これはそごう自身がそういう決断をしたわけでございますから、できるだけこの民事再生法による場合におきましても国民の税金が少なくなるように私どもも努め、またそうやっていきたい、このように考えております。
○山崎力君 そこのところのまず答弁はそれで結構だと思うんですけれども、私がむしろ事務方の方にでもお伺いしたいのは、要するに、そごうは、今回の当初のスキームというもので余計に税金というかそういったものを使うことの、そういう仕組みだったのかどうかということなんです。そこのところを国民がある意味では誤解しているんじゃないかという意見もあるわけです。その辺のところをはっきりさせておくのがまずこの問題の前提だろうと思ってお伺いしているわけですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
  今、先生の御趣旨は、具体的に国民がわかるようにという趣旨だと思うのでございます。
  そういう観点から振り返ってみますと、旧長銀が一昨年の十月に破綻しました後国有化になりまして特別公的管理銀行になりまして、その間にそごう債権も含め資産判定をし、そして民間銀行となる旧長銀がそのまま引き継いでいく資産として判定をし、さらにことしの二月に実際に、三月一日に譲渡されたわけでございますけれども、二月二十九日で最終的な資産査定をいたしました。その際、そごうにつきましては破綻懸念先でございました。
  と申しますのは、端数をはしょって話させていただきますけれども、額面二千億に対しまして引当金千億積む債務者であったわけでございます。これは、債権の価値といたしましては二千億マイナス引当金の千億で、千億の価値として新生銀行に引き継いだわけでございます。この千億の引当金を積むということは、基本的に銀行の会計からしてそれだけリスクのある債務者だということで、そのリスクに見合う引当金を積むわけでございます。この引当金はどのお金で積んだのかといえば、これは要するに国民の税金で積んだわけでございます。
  こういう七千ほどの債務者を新しい新生銀行に引き継いだわけですけれども、こういう引当金の合計は九千億でございますし、そのほか、実は不適資産としてRCC行きになった資産が膨大ございます。それやこれや全部合わせまして国民の税金は三・六兆円、三兆六千億使われたわけでございます。
  これは何で使われたかといえば、あくまでペイオフを凍結している時代に預金者、長銀の場合は金融債の保有者が多うございましたけれども、いわば債務全額保護という大方針のもとに三・六兆円旧長銀については国民の負担がかかったということでございまして、そごうの引当金の一千億もこの三・六兆円の一部でございます。この時点で既にそごうにつきましては一千億費やされているわけでございます。その後、新生銀行に行きました後で、結局新生銀行と国との契約によりましていわゆる瑕疵担保条項というものがついていたわけでございます。
  今回、そこの経緯は少しはしょって申しますと、瑕疵担保条項に該当するということで、二割債権の価値がおっこちているということでいわば解除、これは解約されたと同じでございます。すなわち、そごうの債権について、実質価値千億円で行ったものが、千億円払ってまた国、実際は預保の金融再生勘定に戻ってきてしまったわけでございます。戻ってきたのは実質価値千億円でございまして、これは額面二千億と引当金千億そのままになっております。
  今回、債権放棄要請ございましたのは九百七十億でございまして、したがいまして引当金の範囲内でございますので、これで債権放棄要請を受けた場合には当面、当面といいますかその段階では、追加的に国民の税金を一銭も使わないで済むわけでございます。預金保険機構及び当委員会はいろいろ議論いたしまして、やはり我々がよって立つのは金融再生法三条にございます破綻処理費用の最小化の原則と、今の段階で一銭も税金を、追加的にと申しますか、追加的に使わないで済むならやはりそれによらざるを得ないんじゃないかという判断を下したわけですけれども、もちろんこれには大前提がございます。すなわち、そごうがまた一、二年たってつぶれたのなら結局そっちの方が費用が大きくなるということもあるわけでございまして、そういう観点から、再建策の実現可能性あるいは合理性ということが大前提になるわけでございます。
  これにつきましては、メーンバンクとそごうが練りに練った策を預金保険機構が精査し、それを預金保険機構から当委員会が報告を受けた次第です。そして、六月三十日の段階では、当委員会としてはこの再建策には合理性があるという判断をしたわけでございまして、そういう判断をする以上、当面一銭も税金が出ていかないならやはりそれによらざるを得ないんだろうということで、預金保険機構の案であります債権放棄に応じる案を了承したわけでございます。
  その後の七月一日以降のあらしのような国民の批判を受けたわけでございます。それにつきましては、当方の説明不足つくづく反省もし今後に生かしていきたいと思っているわけですけれども、十分反省はしております。ただ三十日の時点では、やはりこれが一番法律にのっとった最善の策だと当委員会は考えた次第でございます。
○山崎力君 今の御説明、経過、私はわかるんですが、ただ私のような立場からでも言わせていただければ、今の説明で国民がそれじゃわかるかといえばまずわからないだろうと。反省をもししていると言うのであれば、今の答弁で国民がわかるような答弁をしているというのが本当の反省じゃないかと私は思うわけです。やっていることとそれを説明することとはまた別のことですけれども、その説明が十分でなければ、やっていること自体が国民に理解できない、支持を受けられない。今回のそごうの反省する点はまさにこの点じゃなかろうかと私は思うわけです。
  例えて言えば、もし仮にそごうの今回の債権放棄のスキームで、旧長銀、新生銀行の債務でなくてそれがほかの銀行の債務であったならば、そしてほかの銀行が、例えばどこでも、名前を出してもいいです、三菱でも富士でも、そういう有名な銀行の債権をそこが持っていて、そこが債権放棄に応じたら今回のような事態にはなったんですか、ならないんですか。ならないでしょう。いかがでしょうか。

○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
  私がお答えするのが適当かどうかあれでございますけれども、債権放棄自体は民民の世界では回収額の極大化という観点から通常とられている手法、もちろん通常とられているのはと申しますのは、決してとられていない措置ではないという意味で通常とられていると申し上げているのですけれども、ただその際には各銀行とも株主代表訴訟が常に念頭にあるわけでございまして、債権放棄に応じる場合はぎりぎりの判断をして、やはり放棄に応じた方がかつその再建策が実現可能だからということで債権放棄に応じているんだと思います。
  当委員会とのかかわりで申し上げれば、昨年三月七兆五千億の資本注入をほとんどの大手行にしたわけでございますが、その際当委員会は三つの原則を立てました。経済合理性、すなわちその方が回収が大きくなるという点。第二としては経営責任の明確化、すなわち債務者の経営陣は退いてもらうということ、プラスいろいろなことがあるかと思います。第三が、結果として社会的混乱がそれで避けられるという点。そういう三つの要件を再生委員会の基本的考え方として話しまして、そして資本注入行に対してはそれを守ってもらうという意味におきまして、経営健全化計画にはその銀行が債権放棄に応じる場合はこの三つの原則を守って応じますということを書き加えていただいて、それを我々はフォローアップでチェックしている次第でございます。
○山崎力君 御丁寧に御答弁いただくのはいいんですが、幾ら与党とはいえ質問のことにのみ答えていただいた方が話が進みやすいと思いますので。
  今の質問からいけば、そういうことはあり得ることでしょうと。私がなぜこういう質問をしたかというと、もし仮に新生銀行の債権でなければ、それが預金保険機構に移っていなければ、そういう普通の一般の銀行の、今回のそごうのあれだって、同じスキームでやったとしても、税金を投入するんだとか、新たな税金をどうこうするという話にはならないでしょうと。そういう意味で私御質問しているわけです。
  ですから、それは、私の方から言っても、幾ら素人とはいえその程度はわかると思いますけれども、要するに今回のこのそごう問題というのは、どういうことでそごうを再建するのか倒産させるのか、その辺のところに、本来ならまさに金融機関同士のいろいろの話し合いの中で決まるべきところの金融機関の一つに預金保険機構というものが入って、その横並びで預金保険機構が銀行として一民間銀行と同じ横並びの中でその一企業をどうやって救済するかしないかということをする羽目になってしまった。ここに私は一番の制度的な問題があるんじゃないかなと。
  預金保険機構の能力がどうかわかりません。金融再生委員会の能力がどこまであるかわかりません。しかしながら、それをなりわいとする銀行業、それで生きている銀行業とは違う性格の機関だと私は思っております。それが今度のそごう問題に関して見れば、全く本来ならば銀行と同じ判断をする、一企業のために判断をする、そのことによって債権放棄する。そのことが国民にとっては、新たな自分たちのお金を勝手に使われているんじゃないか、こういう直接に誤解とは言えない部分はあると思いますけれども、そういうふうな皆様方からすれば不本意な評価を受けることになったのではないか。それがこの問題をここまで持ってきたのではないかと私は思っているわけでございます。
  そういう点からいきまして、いろいろな責任があろうかと思います。貸し手側、借り手側。それから本当にそごうの再建のときにぎりぎりのことをやったんだろうかという素朴な疑問も当然出てくるわけでございます。
  しかしながら、いろいろな今までの討議の中で、それでは、国民に損をさせないと言いながらも、これは実質的には損はさせていないんですが、少なくともそごうに対して約二千億の債権を持っていたわけです。その部分の約半分を放棄すると。これはもうそごうの経営状況からいって戻ってこない不良債権だから実質的な損害には当たらないとは言いながらも、これは得べかりき債権なわけですね、不良だとはいえ。それをそごうをやるために捨てて、いいところの千億を残した形でそごうを再建してもらいましょう、そういうスキームをそごうと興銀さんとでつくった。さあそれで新生銀行さんそれに乗ってやってくれませんかというときに、新生銀行さんは、自分のところではとても体力的にそれは耐え切れない、思えば二〇%以上のこれは損害に当たる、受け継いだ資産からいっても損害に当たる。それは瑕疵担保責任の特約だから、それは国の方に買い戻してもらうことができる。だから、それでもって預金保険機構に買い戻してくださいと。それで買い戻されて、預金保険機構が今回のそごう救済スキームの一員となった、こういうことだろうと私思うわけです。
  その点でいきますと、まず、せっかくおいでで恐縮なんですが、新生銀行社長、会長、どちらでお呼びしていいのかちょっとあれですが、社長と呼ばせていただければ、今回のそごうの債権について御相談が当然再建策について債権者側の金融機関としてほかからあったと思うわけですが、それを受けて、債権放棄の要請があったという時点で、そごうはこれはもう抱え切れない、二〇%の要請に応じ切れないというふうに判断されたのか。それとも、それ以前から、そごうというのはどうもまずい債権である、約束どおり国側にいつかは折を見て買い戻してもらうことになるであろうというふうに御認識されていたのか、どちらでございますか。

○参考人(八城政基君) 債権放棄の御要請があるまではそういう判断はいたしておりません。
  債権放棄の御要請をいただいてから、我々として、そごうグループ、そごうのグループの中の個社について、債権の内容と、それからどのくらいの引当金が必要になるか、午前中御説明いたしましたことを全部精査いたしました。
○山崎力君 それで、申しわけないんですが、これは将来のことで、今回のことで長銀からのいわゆる債務といいますか債権というものがどの程度良好なものであるか、ほかにもたくさん不良債権があって今後何かがあれば国に買い戻してもらうというケースが出てくるんではないかという点は、当然のことながら国民サイドからすれば注目しているわけでございます。
  もちろん、いつごろどこどこのあれを幾らくらいで幾らの債権を国に買い戻してもらうよと今この時点で言うというのは、これは経済人としては非常識なことだとはわかりますけれども、当然のことながらそれが急に何かの拍子でまた出てくればまたこういう物議を醸すわけでございますから、午前中の質問で民主党さんからもう少し具体的に言えと、個別に言えということを政府側といいますか金融再生委員会の方に言っております。
  ここで、非常に恐縮ですが、まず新生銀行も、商売道徳と言うとおかしいんですが、企業倫理としてそれは現時点で新生銀行としては言えないというのならばそのことを明言していただくことと、それからもう一点、ただこの間のようにそごうみたいにこういうスキームが来て、これに乗れるかどうかということで初めてこれはまずいということで国側に買い戻しといいますか、買い戻しというのは正確じゃないのかもしれません法律用語からいけば、引き取りという形で戻すということがあり得る債権というのは、当然金融機関としてはこれからは事前にやっておくべきことであろうと思うわけです。これからどんどん、その再建計画がある程度できました、やりました、そのときにこれじゃだめだというので買い戻しを預金保険機構にお願いしますというのが続けば、これはやはり金融機関としての独自性といいますか自律性が損なわれるんではないか。
  やはりこういったことがあった以上、ある程度自発的に本当に二割以上の損害が高ずる、約束どおりの瑕疵担保の契約を履行してもらうということが予想されるんであれば、確実になるんであれば、これ三年というこれからのあれはありますけれども、時期を見て当然その辺のところをきちっきちっとやっていかれると思いますので、その辺の現状について、言える範囲で結構ですから、ここで御披露願えたらと思います。

○参考人(八城政基君) お答えいたします。
  私どもは金融検査マニュアルに準拠いたしまして自己査定を半年ごとにいたしております。
  その中で一例を申しますと、二〇〇〇年三月期の決算ベースで、金融再生法でどれだけのものが破産更生債権であり危険債権であるかとかあるいは要管理債権であるかということはちゃんと把握いたしております。それから同時に、それに対する引当金も把握いたしております。
  ですから、債務の内容については確実に把握をしているつもりでありますけれども、同時に問題が起きまして既に破綻をした場合には、これは先ほどから話題になっております瑕疵担保条項に従って預金保険機構への買い戻し、あるいは解除権というのが正式な名前でありますけれども、行使する可能性ありますけれども、まだ、既に再生を図っているという場合もございます。したがって、そういうプロセスにあるところについて直ちに解除権が発生していても行使をしないというケースがいろいろとございます。
○山崎力君 ということで、なかなか旧長銀から引き取った新生銀行の債権、そごうだけではないなというような感じの受け取り方ができる御答弁をいただいたわけでございます。
  この瑕疵担保の問題、この契約がよかったのか悪かったのかさんざんいろいろなことで言われてまいりました。ここで改めて私の方から取り上げたいとは思いませんが、今回もう一点考えてみて、国民が非常に反感を持った背景、私なりに考えてみたところでこういう点があろうかと思うんですが、これはどちらからでも結構です、興銀さんでも新生銀行さんでも結構でございます。
  要するに銀行自体がつぶれるという事態が現実のものとなって、それに伴う大きな影響が社会的に予想される。これは何とか食いとめなければいけない。金融システムは守らなきゃいかぬ。そのためには、国民の税金は多額であっても使わなきゃいかぬという合意のもとに今のスキームというものができた。これは、よしあしは別として現実にそれを選択したわけでございます。それと同時に、やはり国民はそこまでは理解したとしても、ところどころで出てくる報道、情報でもいいわけですが、要するに資本注入を受けて体力をつけた銀行が、いわゆる経済の金融システムを守るというためで体力をつけた銀行が、国民の税金で体力をつけた銀行が、ところどころでそごうのように要するに債権放棄をしてその企業を存続させているではないかと。体力がない時代だったらとても債権放棄をしてその企業を存続させ得ない、つぶれてもらわざるを得なかった企業をそういうふうな形で救済しているのではないか。それは、ほとんどが大企業である。大きいところは銀行が借金棒引きして救ってくれているよね。それに反して中小は大変な取り立てだよね。貸し渋りもあってなかなかそれどころじゃない、金をよく貸してくれぬと。こういうふうな社会的な考え方が今回のそごうへの反発ということの背景に私はあったと思うんです。
  その点について、そういった雰囲気といいますか気分というと非常にこれアバウトなことでございますが、国民の世論の背景にそういった感覚というのがあるんじゃないかということをお感じになっておられるでしょうか。その辺のことについて、それでは今度は西村頭取の方からちょっとお考えを伺えればと思います。

○参考人(西村正雄君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、実は、公的資金といいましても税金の入っている場合とそうでない場合と二つございます。
  長銀さんの場合には、先ほど森事務局長が言われましたように、たしか三兆六千億の国民の税金が入っているわけでございますけれども、昨年三月末に行われました資本注入は、これは税金ではないわけでございます。税金の場合はもらいっ放しで返さなくていいわけでございますけれども、私どもの場合には、結局金融システムを安定する、円滑な資金供給をするということで入ったわけでございますから、私はあの後の再生委員会の後の記者会見で、公的資金が入ったことは重く受けとめますけれども、これをなるべく政府に有利な形でお返しするように経営努力しますと申し上げたわけです。現に昨年度、九九年度で私どもは利息と配当金で七十億、これを預金保険機構にお払いしております。また優先株、これを三月末の私ども株価に換算いたしますと今お国に千百億程度の含み益が出ているわけでございます。
  したがいまして、私どもは公的資金は確かに入れてございます。これは税金でございません。なるべく、これから経営努力をして株価を上げて、そして政府に有利な形でお払いするというような形を考えております。
  したがいまして、今税金とおっしゃいましたけれども、税金という御質問でございましたら私でなくて新生銀行の方に聞いていただきたいと思います。
○山崎力君 一般の金融機関からすればそういうお考えになると思います。
  そこでなんです。要するに同じ銀行、金融機関といいながらも、興銀さんと新生銀行さんとでは性格が違う債権ではないだろうか。だからこそ預金保険機構に移ったのではないだろうか。そこのところは非常に不正確ですけれども、やはり税金をという感覚が国民に出てきた。しかもそれが私の言った、これ直接にはお答えになられませんでしたけれども、要するに体力をつけた、これは返す金だから別に税金をもらったわけじゃない。それはおっしゃるとおりですけれども、そのお金は何らかの保証のもとに国の方から来たお金であることも事実でございます。
  ですから、そういった点で、今回のときに、先ほども言ったような横並びの形で、金融再生委員会の承認のもと、債権放棄のスキームの方へ持っていくというところにやっぱり国民が違和感を感じてもしようがない点があったんじゃないのかなという気が私するわけでございます。
  時間の関係もあって私の方から言わせていただきますが、要するに、先ほどもちらっと話が出ましたけれども、債権放棄するしないというのは、一般銀行にとってみれば、株主代表訴訟あるいは株主総会、そういったものに耐えられるかどうかというのがもうまず発想の第一にあろうかと思うんです。
  ところが、預金保険機構あるいは金融再生委員会、これは株主に相当するあるいは株主代表訴訟に対応する、そういった機関というものは、それを考えるところというのはどこかあるんでしょうか。その辺をまずお伺いしたいと思います。

○政府参考人(森昭治君) お答えを申し上げます。
  当委員会も行政組織そのものでございまして、法の枠内での運用、それに尽きると思います。
○山崎力君 その法の枠内ということで、お立場、与えられた道具としてといいますか働かれる根拠となる法律以外に我々によって立つものはないんだ、そのところで我々としては忠実にその職務を果たしたつもりであるというのが皆様方のお立場だろうと思うんです。
  ですから、そこのところで、逆に私なんぞそういったことをわきから見ているという非常に申しわけないんですが言い方からすれば、そういう全体を見たときに、今度のそごうの救済スキームをつくったこと自体、すなわち新生銀行のそごうに対する債権をほかの一般銀行の債権と同一視した形でいわゆるそごうの再生計画をつくったということ自体がある意味では問題があったのかなというふうに感じております。そこは、先ほどその問題同じと言うことができないというのは、先ほどのお話にあったように、興銀さんのお金と新生銀行さんのお金、そのよって来る時点が違ってきているということもあるんですが、その辺いかがでございましょうか。

○参考人(西村正雄君) そのよって来るところが違うということではなくて、今度のスキームの場合には全部で債権放棄を要請しているところが興長銀を除きまして七十二行あるわけでございます。債権放棄というのは全社の合意が必要なわけでございます。通常、日本で行われております債権放棄は、その場合は主力銀行が多く負担すると。それでなければほかの銀行はとても、先ほど言われたように株主代表訴訟の問題がありますから、応じません。
  そごうに関しましては、長らく興長両行で主力、準主力というような形で来た、これはもう天下周知の事実でございますから、それが長銀さんから新生銀行に変わりましても新生銀行さんが準主力であるということには変わりないわけでございますから、この主力と準主力の債権放棄をするウエートを高くしなければ全体がまとまらないわけでございます。
  したがいまして、私どもは一定の計算で、恐らく一番合理的な形でもって、私どもは千八百九十三億の放棄をいたしましたところ、新生銀行さんに九百七十億ということで、大体プロラタの割合に比べて一般行の負担をやや減らしました。そういう形でございます。
  したがいまして、信用部分に対するカット率は私どもで九九%、新生銀行さんで八五%、それからその他行で五〇%と、そういう割合でやったわけでございますから、新生銀行さんの債権放棄がなければこのスキームはそもそも成り立たなかったわけでございます。
○山崎力君 おっしゃりたいことはよくわかります。ただ、その新生銀行が、先ほども言ったように、ほかの銀行であったら違っていたよと。違っていた可能性が十分あるよと。ただし、長銀がつぶれた形で新生銀行になった時点で三兆六千億国費といいますか税金がと言っていいと思うんですが入った時点で、この銀行の性格が違ってきているんじゃないかなという見方がやっぱり国民の中にあったんではないだろうかと。
  逆に言えば、きょうせっかくおいでですからお伺いしたいんですけれども、要するに買い取り、瑕疵担保の国への引き取り、これがなかった場合、新生銀行としてそごうの債権放棄に銀行マンとして応じましたですか、応じませんでしたですか。

○参考人(八城政基君) お答えいたします。
  応じることは非常に困難だったと思います。
  少し説明してよろしゅうございますか。
  と申しますのは、新生銀行の背景にありますのは、破綻をして、そして預金者とそれから長銀債の保有者を守るために、負債と資産の比較で見ますと、負債は残っているけれども、つまりこれは預金であり長銀債の負債が残っております、資産の方は非常に減価しておりまして、その最後のツケが三兆六千億ということになって、そこで左と右、負債と資産をバランスさせたわけでございます。
  銀行といえども全く資本を持たない銀行であります。そうなりますと、ゼロの資本で銀行経営はできませんので、そこで新たに普通株として千二百億、それから国から優先株の形で二千四百億をいただいたと。さらに、長銀が持っておりました株式の処分によって得た利益の中の二千五百億円を資本としていただいたということで、形としてはちゃんとした銀行として再生できたわけでありますけれども。
  それから、その時点から先につきましては、かつて二十五兆円の規模の銀行が二分の一になり、そして持っているのは非常に大きな債権であると。
  そこで、どのくらいの体力があるかと申しますと、含み益は全く今ございません。二番目には、一年間の収益として予想されています業務純益はわずか百九十億である。それに対して引当金を新たに追加するというときに三百億の追加が必要になるということになりますと、もうこれだけでことしから赤字が始まるということになります。
  そういう理由で、恐らく瑕疵担保条項がなければ、解除権がなければやはりお断りせざるを得なかったということになると思います。
○山崎力君 という債権を預金保険機構に解除権、契約で引き戻すと。そこのところで一つの、本来のバンカーはこれはもうそのスキームに乗るのは無理だという判断の債権、今お話しになりました、それを引き取っておいて、それでその最初のスキームに乗せていくということの判断、これは独自になされたということであろうと思うんですけれども、そこのところの説明というものがいま一つ見えてこないということは、やはり我々にとってもなかなか、どうしてこういうふうな判断をしたのかなと。費用最小化原則という言葉はわかります。ただしこれも、本当に費用最小かどうかというのは結果を見てみなきゃわからない、理屈の上だけでございます。
  もう一つ言えば、今回よかったなと、ある意味でいえば。もし仮にそごうが後で興銀さんの方というか、そごうさんの方でみずから、どこからかのアドバイスもあったようですけれども、みずから引き下げたように、悪名をこうむって売り上げが予定よりも何倍も落ちる、これは予想外のことですけれども、金融あるいは事業、商売の世界ではこれはあり得ることでございます。そういった場合の責任を一般行の場合は株主から当然突き上げられる。業務は悪化する、そのときの判断はどうだということで株主総会で突き上げられる。そういったことでの結果責任は制度的に負うシステムになっております。
  ところが、預金保険機構の場合は、いや、あのときはこれで計画どおりいくと思いましたけれども、しかし一般消費者の方から悪者視されて、そごうが売り上げが全然、予定の半分も行かない、そういったことでとてもやりきれない、こういったことも考えられたわけでございます。
  私は、預金保険機構あるいは金融再生委員会というのは、そこまでの経営者としての、一経営者としての対応策というか責任もそうですし、制度もそうだし、あるいは法的な与えられた権能もそうだし、そもそも無理だったんじゃないのかなという気がしておるんですが、いかがでございましょうか。

○参考人(松田昇君) お答えいたします。
  先ほど来、先生の御指摘をいろいろ伺っておりまして、非常に身にしみると申しますか、そういう感じが非常にしております。
  一つは、どうしてもわかりづらいスキームであるということです。
  まず最初に、なぜ我々預金保険機構がこの債権の回収に当たらなければいけない立場になったのかということをごく簡単に申し上げたいと思います。
  これは、金融再生法によりまして、旧長銀が破綻しました折にこれを国有化銀行にいたしました。それでその際に、法律の規定によりまして私ども預金保険機構が株主ということになりました。いよいよ処分が今度新生銀行に移るということになりました。株式の移動ではございますけれども、こういう銀行買収の実態からいいますと、資産の譲渡に同視できるわけでございます。
  そこで、株式譲渡契約の中に瑕疵担保条項を入れた契約ができました。それによって新生銀行に一定の引当金をつけたままお渡しをいたしました。その引当金の中身は先ほど来申し上げておりますように預金者等保護のための穴埋め、これはもう行って返ってこない重大なお金であります。それはしかし、そういう制度を守るための話でございますからやむを得ず我々も出しているわけでございますが、それが一たん新生銀行に参りました。
  ところが、このたびいろいろな経営御判断で、新生銀もいろいろ悩まれたと思いますけれども、瑕疵担保条項をお使いになるということになりまして、そこで我々としてしたことは二つございます。
  一つは、本当に契約上の瑕疵担保条項に当たるんですか、新生銀言うとおり当たるんですかと。それは双方の公認会計士を使いまして金融マニュアルをよくよく見まして、どうもこれは当たりますと。当たる以上は契約上の義務から引き取らざるを得ません。
  そこまではいいんですが、その後我々は一体どうなるかと申しますと、今の金融再生法では、我々預金保険機構それ自体が債権を回収する立場になっていて、直接は整理回収機構に丸投げの形と申しますか買い取り委託で投げられないという形になっていて、それで残ってしまっているわけですね。しかし、我々は、法令の中の私どもの仕事でございますから、そこで考えましたのは、第一に国民の二次ロスを、前に三・六兆も使っていますから、今度二次ロスをできるだけ出さないで回収する方法は何かと、そういうこと、その一点が必要最小限度の条件でございます。
  その意味でいろいろ調査しシミュレーションしますと、公的整理に移りますと、少なくとも今の時点で損害の発生は間違いない、国民の二次ロス負担は起きますと。一方、私的整理は、興銀初め金融団のいろいろな協力、支援があれば何とか、内容を見ましたけれども、それでやっていけるという判断をしましたので、興銀と交渉して三十年のところを十二年に縮めて、それで完済できる目当てをつくって、これならばむしろ二十九億、計算でございますけれども、二十九億国民に還元できるという立場からやったわけでございます。それが預金保険機構の立場でございます。
  ただ、そのスキームがなかなか、私も新聞記者にも話すんですが、話した人はこの長銀の破綻から始まってきて一連の流れの中のこういうことなんですねとわかってくれるんですが、キャッチフレーズになるとどうもそこのところが、税金使って一私企業救済、こういうことになります。
  ところが、よく考えてみますと、あらゆる貸出債権の多くは、銀行で貸したのはみんな私企業なんです。それがたまたま一見こう戻ってきて、国のいわば公的立場をもって我々のところにあるものですから、そこのところがいろいろそういう何というか説明のなかなかしづらい、国民の自然な感性にすぽんと入っていけないものを生んで、それがいろんな副作用といいましょうか反作用になったんではないかなと。その点我々も今後考えなきゃいけないんですけれども、我々の立場はそういうことでございますので、法の執行機関としては最善の努力を尽くしたと、このように思っています。
○山崎力君 改めてこういったことで言うのも何なんですけれども、公的なお金というのは非常にかたいといいますか、きつい管理というものが要望されておりまして、民間といわゆる政府のお金が債権やその他でぶつかったときは、公の政府のお金の方を優先するという基本的な考え方がございます。これは財政法にも書かれておって、法律によらなければ勝手に政府のお金を放棄できない、そういった規定もございます。
  そういった意味で、優先するところが、法律的にといいますか、与えられた仕事の中で全く民間金融機関と横並びの債権者として預金保険機構が今回の場合なってしまったと。これはなられた方としてはたまったものじゃないという、苦渋の選択をせざるを得ないというのはよくわかるんですけれども、だけれども、そのことは同情するとしても、このやり方が今後とも続くのがどうも健全だとは思えない、国民に納得してもらえるとは思えないというのが私個人のみならずかなりの方がそういうふうに思っていると思うわけでございます。
  そういった意味でいえば、これは先ほどのお話で無理だとは思っておりますけれども、九九%不担保債を全部興銀さんは放棄してこれ以上はとても放棄できない、もし仮に担保債の方まで放棄して新生銀行さんの方の放棄の穴埋めをしたら、これはもういわゆる株主代表訴訟を起こされたら完全にアウトだと、そういった立場だということもわかるんですが、先ほどもそういった点新生銀行さんの方がおっしゃったように、自分のところの体力がもたないよと、だから瑕疵担保のあれがなかったらその時点でそごう救済のスキームはもうないんだというふうに判断できなかったのかどうなのか、その辺のお考えはいかがでございましょうか。

○参考人(西村正雄君) お答え申し上げます。
  先ほども申し上げましたように、準メーンの新生銀行の負担が大きくなければこの債権放棄は成り立ちません。それで、九百七十億でございますけれども、大体千億程度の既に引き当てを積んでいるということは私どもも承知しておりましたので、その範囲内であると。あと、新生銀行さんがその体力あるいはこれから日本で営業をやっていく場合に日本の金融慣行というものをどういうふうにお考えになるかと。これはまさに新生銀行さんの御判断でございますから、その時点で債権放棄を応諾されるのか、その時点でお断りになるのか、あるいは今度のように預保の方に瑕疵担保条項でお譲りになるかと、この三つの方法でございます。これはまさに新生銀行さんの経営判断そのものであったわけでございます。
  したがいまして、私どもとしては、もし新生銀行さんが預保にお移しになる前にこれはもう無理だということであれば、その時点でこの話というものは、これはこのスキーム全体が難しくなると。したがって、そこで直接法的な民事再生法に行くというやり方になったかもしれない、そういう感じがいたします。
○山崎力君 もうそろそろ私の時間の方のめどが見えてきたので締めくくりの方に入らせていただきたいと思います。
  今回いろいろなことが言われております。金融庁の方おいでになると思いますが、そういった貸し手側の責任、御当人、代表者として西村頭取おられてちょっと聞きにくい部分もあるんですけれども、銀行がそういった形でどんどん貸していっている、それで焦げついている。そういったところが、貸出先の今回でいえばそごうみたいな企業があるわけですけれども、その辺のところの何ていうんでしょうか監視と言うと言葉は悪いんですけれども、その辺本当に適当な金融機関として貸し手であったかどうかというような検査あるいはそういうふうな判断というのは金融庁としてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
  金融庁は確かに銀行監督当局でございます。そういうことで日々監督をしておるわけでございますが、それは金融機関の経営の健全性確保とか、そういった観点から、例えば大口融資規制だとかいろんな監督をやっているわけでございます。
  ただ、今、先生お尋ねのような個別の企業の経営破綻の責任だとかあるいは個別金融機関による個別の融資政策につきまして、金融庁としては申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。
○山崎力君 それからもう一つ、ちょっと細かい話になっていくかもしれませんが、借り手の責任はそごうという形でいいんですが、株主というものがあるわけでございます。これは興銀さんにもあればそごうさんにも株主というのは当然ある。その辺のところが、こういったそごうにお金をたくさん貸して、逆に言えばバブルに乗っかって、いろんな経営判断のミスもあったんでしょうが、間違えてこういう事態に陥った、そういう経営陣を容認してきたそごうの株主さん、あるいはそれを助長してきたとは言いませんけれども、そこまでは言いませんけれども、結果的に見ればそれを後押しした形のメーンである興銀の株主さん、今回一番多く債権放棄しなきゃならぬという意味からいけば、そういう点、責任追及という意味で最終責任を負うそういった株主さん、そういった方たちにも、もし仮にそごうを本当に残してやりたいという気があるとすれば、それで国民のそういった負担というものの納得を得るとするならば、その辺の責任も何らかの形でとっていただく、目に見える形でとっていただく再生の方法があったんではないかなという気もするわけですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  先に預金保険機構の方から。

○参考人(松田昇君) 先生御指摘のとおり、こういう場合には減資をするということができればそれにこしたことはないと思います。ただ、一件一件異なる様相の整理でございますから、本件に即して申し上げますと、そごうの株主はグループ会社が一四%、持ち株会が八%、金融機関が二二%、取引先が三%、一般株主が五二%でございました。それで、そういう状況を考えますと、特別決議の存在が必要ですので、現実の問題として早急に減資の手続をとることができるだろうか、こういう疑問が一つございました。とりあえず、そういうことで現実的な難しさが一つあるねというのが一つでございます。
  それから、翻って考えてみますと、株主の中の金融機関とか取引業者というのは、この再建計画に賛同をして協力をしていただかなければいけない立場、それにさらに追い打ちをかけて減資までやれるんだろうかという問題もございました。
  それにもちろんそごう最大の責任者でこの問題の最大の責任者である水島さん、彼がお持ちになっているそごう関係の株式については全部出していただく、これが条件でございますし、現に出していただいております。
  さらに加えて、再建計画によりますと、デット・エクイティー・スワップによりまして既存株主の権利が一般的に二倍ぐらいに希薄化するという現象が起きます。実質的には減資と同様の効果がなされているのではないか、こういう判断を全部いたしまして、これについては事実上株主責任についても明確化が図られているという判断のもとに今回の再建計画に賛同した、こういう立場でございます。
○山崎力君 確かにそういうふうな説明を聞けば、よくやられているなというのはわかるんですが、ただそのことが、何回も繰り返しになりますが、このことに対して、そごうの処理スキームに対して国民の理解が得られなかったという結果から振り返ってみますれば、その今の説明で、おい株主は何にも今度のどじに、どじと言うと言葉は変ですが、失敗に損をしていないじゃないかと。一般の株主という意味です、そごうの株主でもいいわけです。あるいは、それを支える興銀さんの株主でもいいかもしれない。彼らが、そういう株主の人たちがはっきりとした形でよそ様というか、ほかの人たちから見て彼らも損をしたんだ、もちろん株価が下がるとかなんとかというのはありますけれども、今回のそごうの問題について損をしたんだな、負担をしたんだなということがわかれば、何らかの形で国民の同情もわいたんだろうと思う。ところが、それがない。そういった点を今の説明で、いややっているんですよ、こういうことで実際はできないんですよと幾ら説明してもなかなか専門的な知識のない方には御理解いただけない。それが相乗効果として、もともとそれなりに専門家の方がちゃんとできるよというつもりでやったいわゆる債権放棄による再建というもの自体が、もう既に購買額の低下ということでもう成り立たないということをそごう自体が認めざるを得なくなって今回民事再生法になってしまった。このことは極めて私は重大に受けとめなければならないと思うわけでございます。
  もう一点、制度的な問題でいえば、今回の金融再生委員会、追認といいますか、預金保険機構のやること、決めたことはいいだろうと、こういうことになったわけですが、これは三条委員会でございます。そうすると、この委員会の結論、もし仮にそごうが引き下げないとすれば、仮に森総理がやっぱり政府としてもこれはどうもまずかったと、決めたんだけれどもまずい、変えなさいと言った場合、これは変えられる制度なんでしょうか。例えば当時の谷垣委員長あるいは今の久世委員長が、これはほかの委員さんがいいよと、だけれども私は政治家として議院内閣制の立法府からこの責任者として送り込まれた者としてどうもちょっと国民の理解が得られないからまずいんじゃないか、このままではと思っても、もし仮に反対しても、一たん多数決で決められてしまったら、政府でこの制度というのは判断を覆すということはできるんでしょうか。その辺のところをお伺いしたいと思います。

○国務大臣(久世公堯君) ただいま御指摘の点でございますが、金融再生委員会は、今、委員が御指摘になりましたように、三条委員会、行政委員会の中でも特に中立公正をモットーとする極めて独立性の高い委員会でございます。
  ただ、この金融再生委員会は五人の構成でございますが、四人の委員はそれぞれ法律、経済、金融の専門家でございまして、委員長である私が国務大臣ということで内閣の一員でございます。したがいまして、この内閣の一員であるということは、そこが結節点でございまして、議院内閣制における内閣の一員が三条委員会の委員長になることによって三条委員会の構成としては、これは中立公正を旨とするものでございますけれども、同時に、絶えず政府との調整をそこでとるという形で委員長が国務大臣になっております。
  そこで、今御指摘の点でございますが、既に今回の問題につきましても預金保険機構からの御提案によりましてそれを三条委員会で慎重審議をした結果、これを了承するという結論になりました。この結論につきましては、これはだれといえども変えることができないわけでございます。その議論した過程においていろいろと政府と相談するということは幾らでもあり得ますけれども、一たん三条委員会が決めたことにつきましては政府といえども変えることができない。
  ただ、もし、そこにおいて全く事情の変更が行われる、例えば今回のはもともとなかったものになるわけでございますので、そもそもそごうの方で自主的に取り下げた、取り下げたから物はもうなくなってしまったんだから、ここでもし別な判断を加えるというならこれは事は別でございますけれども、そういう大変革のような事情の変更がない限りにおきましては、それは決定を変えることはできないと思います。
○山崎力君 それでは、ちょっとこれは私としての最後の質問になると思います。これは感想を述べながら申し上げます。
  やはりどう考えても預金保険機構あるいは金融再生委員会、これが一銀行としての、民間銀行としての同じ作業を、幾ら費用最小化の原則といいながら、そこのところの判断をずっと続けていく、例えばもし今回そごうの問題が当初の方針どおり決まっていれば、あと十何年間にわたってそごうの経営状態が本当に当初の予定どおりに債権の回収ができるような経営状態なんだろうかということを見守っていかなきゃいかぬ部分がございますね。そういうふうなことは、私はやはりそういった国の機関としてそれを同じ立場でやるのは無理だろうというのが正直なところではないかと思うわけでございます。
  そういった点から考えまして、今回、幸か不幸か、そごうさんの自主的な判断でそういうふうなことはやらないことになりました。現実なことでいえば、ある意味でいえば、前に置いて申しわけないんですけれども、新生銀行さんが判断したこと、すなわちこのままでは我々としてはそごうの再生ができない債権だ、それをもう一回ばば抜きみたいに預金保険機構が引いてきて、もう一回それで相談して、これでできるのできないのという形をやるということのスキームは、僕は当初、先ほどもちらっとおっしゃっていて、そちらの方からは言えないと思うんだけれども、最初のスキームはそこまで予想していなかったんじゃないかと、こういう事態になるのを、経営判断をしてそれをちゃんと追っかけていくというのは。
  というふうなことは、ある程度お立場上できないかもしれないけれども、私からすればもうそろそろ、こういったことが出た以上、目の前に置いて申しわけないんですが、新生銀行さんがいろいろなこれからも問題、先ほどもないわけじゃないということですから、出てきたときに、これはとても私どもと銀行屋としては債権放棄に応じられるような債権ではありませんと、そういったことで、二割以上の損害があるので、瑕疵担保のあれで引き取ってくださいという債権については、慎重の上にも慎重にという言葉をそろそろ取り下げても実質的には影響ないのではないかなと。もっと具体的に言えば、まずそのときには新生銀行さんの債権を省いた形で、それをどこかが負担する形でほかの銀行の方たちが処理をするかしないかということをまずスキームとして考えるべき時期に来ているんじゃないんだろうかと。
  一部報道によれば、新生銀行さんの持っている某企業の債権を某銀行が肩がわりすることによってその会社の再生を目指すという報道も既になされております。その辺について、どの程度までお立場上現時点で踏み込めるかどうか私もわかりませんが、将来展望、将来についての方針について最後に大臣にお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○国務大臣(久世公堯君) 預金保険なり再生委員会が一般の銀行と同じ土俵で債権放棄の判断を行うということについての御質疑だろうと思いますが、金融再生委員会は御承知のごとく金融再生法の枠組みの中で行動をいたしております。
  したがいまして、本件の場合につきましても金融再生委員会は、金融再生法が定める、たびたび申しております費用最小化原則を基軸としながら債権放棄要請を受け入れることもやむを得ないと判断をしたわけでございます。そこで、そごうの再建計画の合理性につきましては関係者も十分に検証したところであり、金融再生委員会もまた預金保険機構から十分な説明を受けた上で判断を了承したわけでございます。
  今後の預金保険機構の債権放棄につきましては慎重の上にも慎重に対処すべきでございますが、ただいまの場合につきましても再建計画というものが基本にあるわけでございますが、それに対する結果責任というものは必ずしも明らかではございませんが、再建計画を審査する専門性について申し上げますと、預金保険機構というのは私どもが監督をしている機構でございますが、これはイコール国でございまして、各省庁あるいは日銀、金融機関等から多くの人材が出向しておりますし、その中にはこのような再建計画の分析に通じている要員も非常に多いわけでございます。これらのスタッフを中心に再建計画の内容について詳細に検討を行った結果が今回の結論でございまして、この債権放棄と申しますのは非常に重要な問題で、それぞれの事案について検討を進めなければいけない問題でございます。
  これからは、この債権放棄問題については安易に認められるべきではなくて、慎重な判断のもとに対応してまいりたいと思っております。
○山崎力君 終わります。

(後略)