質問「有事の際の船舶検査活動について

(平成12年11月28日参議院外交・防衛委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 山崎でございます。
  それでは、周辺事態に際して実施する船舶検査に関して幾つか質問させていただきます。
  この問題は、皆様御承知のとおり、いわゆるガイドライン関連法の一つとして出てまいりましたが、与党間等での協議調わずということで先延ばしという形にされておりました。それが今回出てきたということであります。
  そういった中での問題から、一、二まずお伺いしたいと思いますが、前の政府原案といいますか、そういったものでは、国連安保理決議に基づいて活動を行うんだというふうになっておりましたが、今回、いわゆる旗国の同意がある場合も実施可能としている、こういう点が前回と一番大きく違っている点ではないかと思います。
  そういう意味で、まず事実関係からお伺いしたいんですが、いわゆる旗国主義というふうなことも言っておりますが、これは国際法の中でどういう意義づけ、定義づけがなされているんでしょうか。

○政府参考人(谷内正太郎君) 国際法上の旗国主義と申しますのは、船舶は一般に公海においてその旗国の排他的管轄権に服するという原則でございます。
○山崎力君 それでは、その旗国というものの同意といいますか、そういったものを今回の案に加えた理由というものを御説明願いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今議員からお話がございましたように、過日御審議をいただきました周辺事態法の中でさまざまな御議論がございまして、今もお話がございましたように、その御議論の中で当時は合意できなかった部分でございましたけれども、国会におきます御議論などを踏まえて与党内で改めて御議論がございまして、今回こうした船舶検査法案という法律をつくって、新たにガイドライン法案の一環としてそうした効果をより高めるためにこの法律案を御提案申し上げ、御審議をいただいているという状況でございます。
○山崎力君 この船舶検査の問題の一番根本的な考え方の違いとしてあったのは、いわゆる国連協力といいますか、国連の制裁活動としての経済封鎖等に協力するという際の船舶検査をやるのか、それとも日本周辺有事等に、有事になる前が主でしょうけれども、周辺のそういった事態に対応した形で船舶検査をやるのか、どっちの考え方でやるんだということが一番大きな争点であったと思います。
  そういった中で、一応その辺の議論を踏まえた上で周辺事態にやるんだということを明確にしたということが今回の政府案の大きな特色であろうと思うわけですが、その際、今いろいろお答えいただきましたが、旗国主義というものを加えて周辺有事でやるのであるということになります。
  それは一つの考え方といたしまして、それでは国連協力の方はどうなったんだという点が次の問題として出てくると思うんですが、この辺、ある考え方では、周辺事態に限らず日本の国連活動への協力として全世界的に対応していくべきではなかったかという考え方が当然出てまいろうかと思うんですが、その辺、外務大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(河野洋平君) 議員から今も御説明がございましたとおり、この船舶検査活動法案は、日米防衛協力のための指針の実効性を確保するというために法整備の一環として提出して御議論をいただいているわけでございまして、今議員がお話しになりました国連協力といいますか、そうした視点は、船舶検査活動の中でも周辺事態以外の場合まで考えるべきだと、こういう御指摘だと思いますが、周辺事態以外の場合について行うということについてはこの法案では全く想定をしていないわけでございまして、別途の検討を行うべき課題であるというふうに考えているわけです。
  この法案は、繰り返して申し上げますが、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態への対応措置を定めた法整備の一環、あくまでそういう考え方でこの法案を提出させていただいております。
○山崎力君 わかりました。今の別途検討と、たしか別途検討という御答弁でございますが、これは今までになかった形の初めての御答弁だと思います。
  そういった点からいきますと、そっちの方へ行くとまた話がもとに戻るといいますか、あれでございますので、今回の周辺事態に関してというふうにいきたいと思いますが、その前に一言だけ、国連協力というと、古くはPKOといいますか、その他いろいろ難しい問題もあるし、条約上の問題あるいは憲法に絡む国内法の問題、そういったものもかなり新たな検討を必要とする部分があろうと思いますので、国連協力の部分の問題は、それはそれとして今後御検討をお願いしたいと。ただ、これで船舶検査一件落着という、そういうものではないということだけ指摘させていただいて、本来の周辺事態に関する方に戻りたいと思います。
  その中で、旗国の同意があればと、こういうことになるわけですけれども、明確な旗国の船、旗国主義に伴う船舶という場合以外のケースも当然考えられるわけでございまして、対象船舶がいわゆる無国籍船といった場合、そのはっきりしない国籍の船に対してどのように対応していくかという問題がまず考えられるわけでございますが、まずその前提として、いわゆる無国籍船といいますか、はっきりしない船というのはどのように国際法では位置づけられているんでしょうか。

○政府参考人(谷内正太郎君) 無国籍船につきましては、国際法上厳密な定義というものはございませんで、また海洋法条約上にも定義条項というのはございません。しかしながら、一般には無国籍船と申しますものはいずれの国の国籍も有していない船舶のことをいいます。それからまた、二つ以上の国の旗を適宜使用して航行するという船舶もございますけれども、これも無国籍船舶とみなされます。
○山崎力君 そういった船、ある程度想定はつくわけですが、厳密なところは別として、多くの場合どこの船かなというのはわからぬと、問い合わせてもはっきりしない、あるいは明らかに偽っているというような場合、そういった無国籍船に対してはどのように対応するおつもりなんでしょうか。
○政府参考人(谷内正太郎君) 国際法上、公海上にございます船舶はその旗国の排他的管轄権に服するので、当該船舶に対しまして船舶検査活動を実施するためにはその旗国の同意を得る必要がございます。他方、無国籍船につきましては、いずれの国も公海上におきまして排他的な管轄権を有せず、ある国が当該船舶に対しまして船舶検査を行っても旗国主義との関係で国際法上の問題は生じないというふうに考えられます。
○山崎力君 そういったことで対応可能であるということでございます。
  そうすると、次の段階として、その旗国の承認が得られれば船舶検査は可能だというのは当然出てくるわけですけれども、もし旗国がそれを拒否した場合といいますか同意しなかった場合、どのような対応を予定しているでしょうか。

○国務大臣(虎島和夫君) 大前提としては国連安保理決議があると。これがとれない場合がありますので、旗国主義、旗国の同意を得て行うということが今度つけ加えられてきたわけです。ですから、そういうようなことで、あとはもう一つは船長の同意というのも乗船検査は要るわけでありますけれども、これをかみ合わせながらやっていくという措置をこの法律で考えておるわけであります。
○山崎力君 同意を得るような努力はなされるわけでしょうけれども、それはそれとして、具体的な場合、要するにこの状況の中でなるべくそういうことがないように事前からはっきりした形なんでしょうけれども、いわゆる封鎖線、ピケットラインというところ、これ以上入ってはだめですよというのは当然あるわけですけれども、それに近づいて急に旗国の同意の得られていない国の船であることが判明したというようなこともあり得ると思うんです。
  その場合、いわゆる現場にいるところから、こういった状況ですから、最終的には外務省が相手国に対しておたくのこういう船がこの地域に来ておると、船舶検査に同意願いたいというようなことを時間的に限られた中でやらなければいけないと思うんですが、その辺の検討はどのようになされているんでしょうか。

○政府参考人(竹内行夫君) 非常に具体的な状況における同意の取りつけの問題についてのお尋ねでございます。
  まず第一義的には、先生御承知のとおり安保理決議の採択を目指した外交努力を行うということが先決でございます。その場合には御承知のとおり受忍義務ということで船舶検査が行えると。そういうことが何らかの事情で安保理決議ができなかった場合にどうするかということにつきましては、まさに個別の状況によって異なるわけでございますし、これも事前にあらかじめ関係国の合意によって船舶検査についての同意を得る努力を行うと。これは国際約束であったり意図表明であったり、とにかく明確な意図を事前に表明してもらうということに努めるわけでございます。それがない状況で、今具体的に先生がお尋ねのような状況ということになりますと、これはもう旗国の同意がございません場合ですから、その場で船舶検査を行うということは国際法上できないという状況でございます。
  したがいまして、その場合には、必要に応じてその旗国に対して改めてと申しますか、その段階で速やかに同意を得る努力を行うということに尽きるかと思います。もしそれでもその相手の国が同意を与えないというような意思を明示する場合には、これは船舶検査は行えないという状況になるわけでございます。
  いずれにしましても、外交努力をいろんなやり方で重ねるということかと思います。
○山崎力君 流れからいけばそういうことだと思うんですが、そういった場合のときに、事務的というとおかしいんですけれども、連絡方法のおくれで、いや言ってくれればオーケーしたのにというようなことがないように御尽力願いたいといいますか、尽力というよりも、今そのプロセスをどうやっていくかという内部的な連絡経路の検討もされておいた方がいい事例が出てくるんではないかと思います。
  もう一つ具体的な形でいきますと、旗国もオーケーした、そうするとこれから対象船に対しての船舶検査ですよというこういうことになるわけですが、二つその時点でもトラブルの発生することがある。
  一つは、国はオーケーなんだけれども船の管理者たる船長が困ると言った場合。それから、船長はいいでしょうと言っていたんだけれどもどうも不穏な様子が見える、要するに船長がその船を掌握し切れていない場合に、一部の乗っている船員、そういった者がどうも抵抗の姿勢を示しているようであると、そういうところも考えられるわけですけれども、その辺は御検討済みでしょうか。

○政務次官(鈴木正孝君) お尋ねの乗船検査という状態に入ったときに、船長が承諾をしていても他の船員が船長に従わないと、そういうような場合にどうするかということだろうと思います。
  船長等の承諾を得ている場合、これはスムーズにやれるようにということになるわけでございますが、通常船長が承諾をしている場合には船長の指揮下に、統制に服すというのが船員の常識的な行動だろうというふうに思っておりますが、万々一船長等が承諾をしていながら他の船員が船長の命に従わないというような場合、では具体的にどうかということになるわけですが、船員が船長の統制に服するよう船長を説得する、あるいは可能な限り乗船検査等を実施できるよう努める、そういうような関連の努力を現場で状況に照らし合わせながら具体的にやるというようなことが一つ考えられるかと、このように思います。
○山崎力君 船長が拒否して、何というんでしょうか具体的な乗船検査ができないという場合は、これはある程度問題ははっきりしているわけですけれども、どうも船長自体がこの問題に関して船の管理の主導権を握っていないようだというような場合どうするかというのは、これは極めて珍しいケースではあろうと思うんですけれども、本当にシリアスな場合ですとあり得るケース、向こう側もそういう意味では大変危機感を持って対応しなきゃいかぬということは考えられるケースでございますので、その辺のところもよく御検討、実際の場合は現場サイドの話になりますが、御検討願いたいと思うわけでございます。
  と申しますのも、今回の場合で、抵抗をされた場合どこまで実力行使できるかという問題、武器使用も含めた形であるわけですけれども、そういった場合のある程度の基準、軍隊の全体のあれでいけば、よく言われているのはROEという、ルール・オブ・エンゲージメントというんですか、そういったものにも絡んでくると思うんですが、その辺のところの御検討というものは、これはほかの部分もあろう、ほかの部分というか、この船舶検査活動に限らずいろいろ検討なされているやにお聞きしておりますが、その辺については今現状どのような感じでございましょうか。

○政務次官(鈴木正孝君) 自衛官が対象船舶に乗船をして職務を行うというその際に不測の事態を避けるといいましょうか、そういう中で自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護するために必要最小限で武器の使用を行い得るように措置をこの法案ではしているわけでございます。
  防衛庁としての武器の使用の手順等、適切な運用を確保する、そういう意味におきましてその手続、やり方等について具体的に要領を作成するなど、現場で隊員が混乱しないようにいろいろと配慮をしたいと、このように思っているところでもございます。
  また後段の、一般論としてROEのような、言ってみますと部隊行動基準、こういうようなものにつきまして防衛庁での検討状況はいかがかというこういうお話かと思いますけれども、私どもそれぞれの部隊がその時々の情勢や現場の状況あるいはシビリアンコントロールという大きな課題、そういうものを前提にしながら自衛隊の行動というものを見るというそういうことに当然なるわけでございますが、先般来具体的な部隊行動基準についての策定についての具体的な検討というものを進めてきておりますし、その作成手順、手続等に関する規定を整備しながら具体化していく必要があるのではないかと、このように今考えておるところでございます。
○山崎力君 このROEという横文字を使うのは、交戦規則とかいろいろ翻訳もありますけれども、一応武器使用の基準とかあるいは部隊対応の基準とかルールという言葉にあるように、そういう制度化されたもの、こういったものは非常に重要であろうというふうに感じております。
  また、その一方、それが公表されますと肝心のときにその裏をかかれることになるわけで、それは原則として部外には秘匿しておかなければならないという性格もあるものですから、事が起こったときに初めてそのものが正しいものであったのか、それともいいかげんなものであったのかということがわかる性格のものでございますので、その辺のところは当局、きちっと事前に制度化といいますか内容を確たるものにしていただきたいというふうに御要望を申し上げたいと思います。
  それから、それに絡むといいますか、一番ある意味においてはシリアスな場面で、こういったいわゆる海上封鎖等のときに問題にされるのがいわゆる警告射撃と称されるものでございまして、今回こういったことはどうも実施する制度になっていない、正確に言えば、というふうに承っております。これは諸外国の場合ですと海軍艦艇はそれをやれるということが常識的に伝えられているわけですが、今回の我が船舶検査活動でこれを含めなかったという理由について教えていただきたいと思います。

○政務次官(鈴木正孝君) 今般の船舶検査活動に関する法律につきまして、警告射撃を実施しないというそういう形で法案上は整理しているわけでございますが、この経済制裁の実効性を確保する、そのための具体的な措置については、封鎖制裁活動に各国が状況に応じて必要と考えられる措置を主体的にそれぞれの国が考えるということが大前提ということになるわけでございますが、その中で具体的な態様につきましても、それぞれの国の解釈やらあるいは対応等、完全に一致しているというものでは必ずしもないわけでございます。
  我が国として種々諸外国におけるこれまでの活動実績等、あるいは実際に行われた際の警告射撃等の状況等を考えてみますと、そのケースは極めてまれな状況というようなことでございますので、本法案に規定されている活動そのものは経済制裁の実効性を確保するための措置、大きな全体としての措置の中で警告射撃にこだわらなくても十分に全体的な効果を上げ得るものというような判断をして、法案上はそのように整理をしたと、こういうことでございます。
○山崎力君 この問題、今の御答弁も含めてなんですが、要するに船舶検査活動、それの前提条件にある制裁活動、普通の場合、常識的に見れば当該国に対して船による物品の輸送を制限するという目的でこの船舶検査活動というのは行われるわけでございますから、それが国連決議で行われる場合もあれば、今回のように、なるべくそれは努力するとしても、それが行えなかった場合、それでもやらなきゃいかぬといった場合、旗国主義でオーケーが出ればやろうよと、こういうことで実施するというわけでございます。
  そのとき、当然我が国だけでやるというのは想定されておりませんで、少なくともアメリカ海軍は主体的な行動をとるという部分もあろうかと思います。それは補完してやると。何せ広い海を点検するわけですから数が勝負という場合もあって、その見張り役として日本の自衛艦もそれに参加するというのが今回予想されたことだろうと思います。
  そういった中で、正直に言えば船舶検査活動でどれだけの実効性が本当はあるんだろうなということもありますし、逆に漏れ聞くところによれば、アメリカ軍が日本の協力の中で一番期待していた部分が、ある意味ではこの船舶検査活動ではないかと。要するにアメリカは、何かあったときに船の数が足りないと、触覚といいますか、そういった部分だけでもいいから日本がきちっとやってくれればアメリカも数の不足を補うことができるという、その辺が日本が差し支えない範囲で協力できる一番の利点ではないかといいますか、そういった感じのことがあるわけでございます。
  そういう点を考えて、この船舶検査活動の実効性、そういったものをトータルとしてどのようにお考えか、これは大臣の方から御見解をいただければと思います。

○国務大臣(虎島和夫君) 大変具体的なお話、しかも示唆に富んだ御発言をちょうだいしているわけですが、お説のようなこと等については今政務次官の方から答弁したことであります。
  また、包括的には、このことが協力が得られない、同意が得られない、それじゃというわけにもまいらないから、やっぱり総合的な外交政策あるいは経済交流政策等々を複合的に組み合わせながら、そして実効あるものにしていくというようなことを考えておりますので、総合すれば、やっぱりこの船舶検査法による検査がきっかけになって経済制裁は実効あるものに仕立て上げられるという考えを持っておるわけであります。
○山崎力君 外務大臣も何かつけ加えることがあれば御見解をいただきたいんですが。
○国務大臣(河野洋平君) 今防衛庁長官からお話がございましたように、外交活動というものは極めて重要で、近隣諸国との関係をよい状況にしておくという努力が必要と思います。と同時に、日米安保条約がその目的を達成するために円滑にスムーズに運用されるということが重要だというふうに考えておりまして、今回の法案もその一環というふうに考えておりまして御審議をお願いしているところでございます。
○山崎力君 時間の関係もありまして、答弁の方はよろしいかと思います。
  もう一つ、数の面からいけば当然海上保安庁の船もやったらどうだと、どうせドンパチやらないといいますか、そういう協力なんだからいいんじゃないかという考え方も出てこようかと思います。ただ、この問題、いわゆる自衛隊と海上保安庁の役割分担あるいは海上保安庁の警察権の行動がどこまで公海上及ぶのかなど、いろいろちょっと素人考えで見ても大きな問題は絡んでおりますし、今回の日米協力に関するものとはちょっと性格が異なりますので、これはこの問題とは直接の関連はなしで外してもいいのかなとは思っておりますが、その辺のところをそれだけでやればまた時間がかかると思いますので、それはそれとして、いわゆる今回の問題を含めて有事法制という国の全体的な中でどのような役割分担をしていくのかということと、これはもう小渕総理大臣時代から、そろそろやはりそういった法体系の方も真剣に検討しなければいけないのではないかということが言われております。
  そういった点での現時点での防衛庁、もちろんその他の省庁との連携といいますか調整もあると思いますが、その辺の現状とこれからの見通し、ある程度現時点でおっしゃれるところまでの点をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(虎島和夫君) 本案につきましては、特に森総理も所信表明その他で、自衛隊が文民統制のもとで適切に対処して国家国民の安全を確保するためにぜひとも必要な法制が有事法制であるということは述べておるとおりであります。
  したがって、このことは平時においてこそ備えておかなきゃならぬということでありますが、現在は我が方としては第一分類、第二分類、第三分類という分類をしながら防衛庁として検討を加え、そして研究をし、公表したものもあるわけでありますが、全体的にはまだこの有事法制体系というのが全きを得るまでには作業も進んでおらないという面もあるわけであります。
  したがって、このことについては、我々としても法制が整備されることが望ましいという考えはもう十分持っておるわけでありますけれども、これは法制のための検討をしたらどうかという与党の考え方も先般表明されましたので、それを踏まえまして適切に対応しなきゃならぬ重要な課題であるという認識を持っております。
○山崎力君 それからもう一点、これはどちらかというと諸外国の絡みになろうと思うんですが、今回の問題、これは前のガイドラインのときから我が周辺諸国のうちの幾つかの国は余りいい感情を持たない反応をしたところもあるというふうに記憶しておりますし、この問題はどういうふうな形になるのかなという気がする一方で、当然我が国の自衛権に基づく公海上での行動ですから、そこまで勘ぐられたくもないという気も一方ではあるわけでございます。
  ただ、外交というのは相手のあることでございますから、誤解があるならばそれを解かなければなりませんし、あるいは思い込みがあるならばそれに対してもはっきりと物を申さなければならないと思うわけでございますが、一応そういった前提をもとにして、今回の船舶検査活動、これは国連協力がほとんどだろうと思いますけれども、そういった点を全部踏まえた上で、特段今私たちが諸外国のこの問題に対する反応で留意しておくといいますか、考えておかなきゃいかぬ反応が出ているかどうか、簡単で結構でございますから、外務省の方からお答え願えればと思います。

○政務次官(荒木清寛君) 今回の船舶検査法案につきましては、韓国、中国、ロシアに対して事務方を通じて具体的に説明をしてまいりましたけれども、これまでのところこれらの国から懸念が表明されたとは承知をしておりません。
  今後、仮に本法律案に関して懸念を表明する諸国があるとすれば、必要に応じて透明性をもって説明をしていくことが重要であると考えております。
○山崎力君 今のところそういうことで、安心して今の御答弁をお聞かせ願いました。
  いずれにしろ、この法案でガイドライン関係は一応今の時点では法体系は整ったということになろうかと思います。その辺のところで、どの程度実効性があるのかないのか。逆に言えば、その実効性を証明する機会がない方が当然いいわけで、机上の空論というとおかしいんですけれども、これがただ法律になっただけで使われなければ一番これは我々にとっても周辺にとっても幸せな事態であろうと思います。
  ただ、先ほども申し上げましたとおり、我が国の有事といいますか緊急事態に対する法体系というものはまだまだ不十分で、先ほどの長官の御答弁でも、将来この辺でというところまでのめどはまだ立っていないというふうに感じておりますが、いずれにせよ、この問題、先ほどもちらっと触れましたけれども、これから周辺、周辺有事の周辺でなくてこの法案の周辺を見ても、例えば海上保安庁との絡みをどうするんだと、あるいは諸外国の海上封鎖に対する協力関係、これは国連でもしやるとすれば日本、アメリカだけでない国の船も一緒にやる可能性は十分予想されるわけでございますが、その国との連絡をどうするのか。
  特に、私の聞くところでは、海上封鎖に関しては国連のいわゆるPKO活動のように国連からある程度権限を与えられた司令官のもとでやるというケースはほとんど今までなかったというふうに記憶しております。それぞれが連絡協力しながら、ある意味では、言葉を悪く言えば勝手にやっていると。それがアメリカと日本であればある程度疎通はきくんでしょうけれども、それにプラスアルファの国が入った場合どういうふうに調整するんだろうなという点があろうかと思います。
  そういった点で、課題はあるとは思いますけれども、それが細かく詰めていく必要はあるんでしょうけれども、非常にその結果うまく制度ができたとしても、それができるだけ運用の機会がない方がいいという、極めてこういう性格からいけばむだな努力をする方がいいという法案でございますけれども、そういったことで余り先送りしていますといざというときに間に合わぬということでもございますので、関係者の努力をお願いしたいと思います。
  細かいそういった点、本当に中に突っ込んでいけばそれなりの問題が出てくるかと思いますけれども、一応これがスタートするという時点で問題意識として私の気がついたところを申し上げましたので、政府方においては意のあるところを酌んで今後とも御努力願いたいということで私の質問を終わりたいと思いますが、最後に両大臣から一言ずつ所見をいただければと思います。

○国務大臣(虎島和夫君) お説のとおりでございます。実施区域等を定めますけれども、やはり各国との間の連絡協調がうまくいっていないとすき間ができる、海上で。そうなると実効性が担保されないということ等ありますので、運用上は御提言等を踏まえてしっかりやらなきゃいかぬと思っております。
  ただ、ベースとしては、アジア地区においては私どもはARFという組織を呼びかけて防衛の人道支援交流というのもやっていますので、いろんな機会を利用しながら趣旨の説明をし、足らざるところについてはまた我々も研究を重ねて実効ある措置をとりたい、こう思っております。
○国務大臣(河野洋平君) 外務省といたしましては、この法案が成立をいたしました後も、とにかく安保理での決議を、もしそういう事態が発生するということであれば安保理の決議を得るというための努力をやらなければならぬというふうに考えております。
○山崎力君 終わります。

(後略)