質問「『地域経済の活性化策について』他

(平成13年10月30日参議院経済産業委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 山崎力でございます。
  それでは、一般的な全般的なことについて、大臣を初め副大臣、政務官の方々にお伺いしていきたいと思います。
  一番大きな最近の経済産業のことをめぐる時期的な問題とすればAPECがあろうかと思うんですが、それは後にちょっと回しまして、まず個別的なことで一つ二つお伺いしていきたいと思います。
  いわゆる狂牛病問題でございますけれども、一般的には消費者に対して大丈夫だとか生産者に対してどういう措置をとったらいいかというような形の議論、報道等がなされているわけですが、その一方で、ある意味での風評被害という面もあるんでしょう、小売あるいは流通業界の影響というのも非常に深刻だということもございますし、なかなかそこのところでの回復策というのは難しいところもあるというふうに伺っておりますが、経済産業省としてどのような支援策といいますか、対応をとられようとしているのか、あるいはこれから計画して実際にやっているのかという、その点をまずお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) お答え申し上げます。
  いわゆる狂牛病の患畜の確認に伴い、御指摘のように経済的に影響を受けている小売店等の関連中小企業、大変な被害が出ております。一番顕著なものは、売り上げの減少等の問題が生じているわけでございまして、経済産業省といたしましては、関連中小企業者対策として相談窓口の設置、運転資金融資等の措置を農林水産省から要請のございました十月四日より実施をさせていただいております。
  具体的に申し上げますと、政府系中小企業金融関係三機関、ここに窓口を設置をし、そして各経済産業局等にも相談窓口も設置をいたしました。十月二十六日現在で、これまでに合計四千五百三十一件の御相談をお受けをいたしまして対応させていただいています。また、影響を受ける中小企業者に対しまして、前述の政府系三金融機関から運転資金を別枠で貸し付ける制度を適用いたしました。三機関合計の融資実績は、これも十月二十六日現在で、これまでに九十五件ございまして約十五億円となっております。さらに、影響を受ける中小企業者に対して、別枠で信用保証をするセーフティーネット保証制度を適用しておりまして、これも十月二十六日現在で、これまでの保証実績が百四十五件、約十六億円となっております。
  さらに御相談やあるいは信用保証そして貸し付け、こういった御要請があると思いますので、私どもとしては積極的に対応させていただきたいと、このように思っています。
○山崎力君 よろしくお願いしたいと思います。
  もう一つの今日的な問題というと、やはりアメリカの同時多発テロということになろうかと思うのですが、まず我が日本の影響についてですが、全般的な影響ももちろんこれはアメリカを通じてあるわけですけれども、観光に対しての非常に集中的な悪い影響が沖縄県で出ていると。米軍基地の関係があって何か非常に不安感を感じるせいか、キャンセルするところが多くなって非常に困っているという報道ございます。事実そのとおりだと思いますし、またそういったことでいわゆる飛行機といいますか航空業界、あるいは観光全体の、観光業者と言われている、旅行業者と言われている業界自体にも悪い影響が出ていると思っているんですが、この辺の対応策というか、その辺についてはどのように経済産業省としてお感じになっていらっしゃるでしょうか。

○副大臣(大島慶久君) 私の方からお答えを申し上げます。
  先生御指摘のように、同時テロの発生以来、沖縄の観光のキャンセルは大変なものでございまして、我々も本当に心配をいたしております。
  沖縄県といえば基幹産業がない地域でございますから、やはりこういった観光・リゾート産業というものは大変重要でありますけれども、今後はそういった観光に対するホテル、旅館業はもとより、お土産を販売するような小規模の販売業者、いろいろと広範な業種への波及ということが懸念をされていることは事実でございます。
  そういう事態を踏まえまして、沖縄県内の関連中小企業者へのまず対応といたしましては、沖縄振興開発金融公庫において緊急融資制度が創設をされました。そして、昨日より実施をされたところでございますが、これに準じた制度を商工組合中央金庫においても実施をいたしているところでございます。また、今月十五日には、中小企業庁から、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、内閣府沖縄総合事務局に対して沖縄県内における相談窓口の設置を要請をし、中小企業者からの相談に応じる体制を整備をさせていただいたところでございます。
  さらには、テロ事件の影響を受ける全国の中小企業者に対しまして、その対策として、一つには政府系中小企業金融関係三機関からの運転資金の別枠の貸し付けを実施することといたしましたほか、旅行業者、ツアーオペレーター業者あるいは添乗サービスの業務に携わる中小企業に対して別枠での信用保証を適用するべく、今週中に必要な手続を終了することといたしております。これら措置についても、当然沖縄県にも適用されることとなっている次第でございます。
  一方、沖縄県議会では、十月十五日に、沖縄の県民生活や経済活動は平常どおり行われているということを全国民にアピールをし、沖縄観光の安全を宣言する旨の決議を全会一致で行ったところでございます。
  政府といたしましても、同日の十五日に開催されました国際会議等各種会議の沖縄開催の推進にかかわる各省庁連絡会議において、沖縄県では現在、国際会議等各種会議の開催に支障が生じないような状況であるということを、この会議を通じて沖縄開催の推進に引き続き積極的に取り組むことを申し合わせたところでございます。
  我が省といたしましては、テロ事件が沖縄地域の経済産業に与える多大な影響にかんがみ、国際会議等各種会議の開催の推進に積極的に取り組むとともに、沖縄における中小企業の経営安定確保等のために機動的に施策を講じてまいりたいと存じております。
○山崎力君 集中的に沖縄ということになっているわけでございますけれども、そういった痛みが、偏るというとおかしいんですけれども、全体で受けるのはともかくとして、一つのところに集中的に行くというのは非常に対応が難しゅうございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  これは沖縄、日本の問題でございますけれども、このテロ問題というのは、もう世界経済の中核であるアメリカの経済、それに打撃を与えまして、これがうまく回復してくれるのかというようなことが危惧されている状況でございます。今の現状から、今後にかけての世界経済、こういったものの流れをどのように把握しているのか、それが日本にどのような影響をもたらすというふうに思われているのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。

○副大臣(大島慶久君) お答えいたします。
  世界経済の同時減速という中で今回のテロ事件というものが発生したわけでございますので、これは先生御指摘のとおり、米国は世界経済の牽引的な役割を果たしている国でございます。特に消費の七〇%を米国は個人消費で賄っている、こういう状況でございますから、非常にその打撃というものは大きなものがあるというふうに我々も理解をいたしております。こういう事態に陥れば、米国経済の調整が長期化するとともに、日本を初め各国経済の先行きが一層不透明な状況になる、世界経済全体の後退も深刻化するおそれがあるというふうに我々も認識をいたしております。
  こういう中で、世界経済の回復のためには、我が国は世界第二位の経済大国である、こういう国でございますから、民需を中心といたしまして自律的な回復軌道に乗せていくことが極めて重要であろうと思っております。
  私といたしましては、先般取りまとめた改革先行プログラムの着実な実行を初め、今後とも、情勢を見きわめつつ、果断な政策運営を行ってまいる所存でございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○山崎力君 ここのところが本当に危惧されているわけで、いろいろなプランあるいはアイデア等も伺っているんですけれども、私のみならず国民全体が期待はするけれどもなかなか、何というんでしょうか、ああ、やってくれるなという安心感までいかない今の経済運営ではないか、産業政策ではないかというふうに思っております。一層の御努力をお願いしたいと思います。
  そういった中で、こういったときに一番ある意味で重要なのは国際間の協調だろうと思うわけですが、そういった観点から見て、せんだって上海で行われたAPECの会合について、まず総括的にどのように大臣とらえられているか、御見解、感想等も含めてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) 先般、中国の上海で開催されましたAPEC、これは私ども閣僚が出席をいたします閣僚会合と、その後、参加の国・地域の首脳が集まりました首脳会合がございました。これは本年の総括をする意味での会合だったと思いまして、それを私は総括させていただくと、非常に成果が上がったAPECだったと思っています。
  まず、私が参加をさせていただきました閣僚会合においては、やはり今御指摘の世界経済というものがこのグローバリゼーションの中でより緊密に連携をしていかなきゃいけない。その中で、やはり貿易・投資の自由化、円滑化、これは各国そして地域が毎年作成する個別行動計画というのがございます。これに関して私どもから、やはりそこを進捗させるということがボゴール宣言にもかなうことでございまして、そして、その個別行動計画をしっかりとチェックする意味での調査団の派遣、こういうことの審査プロセスの改善策を提言して、これは満場一致で取り入れられたところでございまして、これはこれからの世界の経済連携にとっては非常にいいことだったと思っています。また、大阪行動指針の改定にも合意することができました。
  そして、もう一つ大切なことは、この十一月に開催されますカタールのドーハでのWTOの会合、これに関しまして、このWTOの閣僚会合におきましてもバランスのとれた十分広範なアジェンダで新しいラウンドを立ち上げようと、こういうことで明確な決意が表明されましたことは、やはりこれからの世界経済にとって非常に大きな前進だったと思っております。
  私に関して言わさせていただくと、この機会をとらえまして中国や米国の閣僚とも精力的に会談をさせていただきまして、それぞれいろいろな話し合いをさせていただきました。
  また、首脳会合につきましては、小泉首相が出席をされまして、首脳宣言とともに今後のAPECの活動を活性化するための指針を示す上海アコード、そして、今この同時多発テロをとらえて反テロリズム宣言を採択をする、こういう成果が私は得られたと思っております。
  来年はメキシコが議長国を務めるわけでございますけれども、我が国といたしましては、引き続き他のエコノミーとも協調をしながらAPECの活動をさらに高めていきたいと、このように思っております。
○山崎力君 今、カタール・ドーハでのWTOのお話に触れられましたが、ちょっと質問通告していなかったんであれがなければ結構でございますけれども、WTOのところでの絡みで言えば、せんだってシンガポールとの自由貿易協定を締結されました。この辺のところと、いわゆるこれは二国間の協定で、たしか日本ではこういった形のは初めてだというふうに記憶しておりますけれども、そこの考え方と、それといわゆるWTOのグローバルな、一括交渉的な部分とどのような関係にあるのかという点、もし差し支えなければ御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(平沼赳夫君) 二国間のFTAと言っておりますけれども、経済連携の協定に関しまして私どもの基本的な考え方というのは、あくまでも世界の自由貿易体制、これを確立するのはやっぱりWTOという大きな土俵である、それを補完する意味で二国間協定、これはやはりこれから世界経済がさらに緊密化、拡大していくに当たって二国間協定というのはそういう補完的な役割として意味がある、こういう基本姿勢を持っております。
  そういう意味で、昨年、シンガポールのゴー・チョクトン首相と、そして当時の我が国の森首相との間で、今年中に締結をしようと、こういうことで鋭意検討を進めてまいりました。
  その中で、ようやく先日、基本的な合意に達しまして、あと条約とかいろいろ作業が残っておりますけれども、年内締結のめどが立ったわけでございまして、あくまでも全体の自由貿易の中で、それを補完する意味合いのものとして、御指摘の日本で初めてのことでございますので、私どもとしてはそういう形でしっかりと結んでいきたい、このように思っています。
○山崎力君 初めてということで、いい点もあれば、我が国にとっての産業上、安い品物が入ってくる、これは自由化の場合も同じことですけれども、シンガポールがどういう形で来るかという不安がないわけでも、産業界としてはないと思います。その辺のうまいかじ取りをお願いして。
  WTOの問題なんですが、この問題でいえば、やはり焦点は現時点ではセーフガードの問題になると思います。いろいろ議論がございますが、私どもの周辺の話を聞けば、我が国がセーフガードの発動といいますか、予備的な形でやったということは、これはいわゆるWTOの協定にのっとったものである、ある意味で合法的なものであると。ところが、対する中国は、現在加盟していないからいいようなものの、加盟していれば明らかに違法な行為を行っていると、それを同列に論じていいのかという、非常に耳に入りやすい、それだけにいろいろ問題解決の難しい議論が国内にあることは大臣御承知のとおりだと思います。
  端的に言いまして、こういった農産品、それからいわゆる工業といいますか、軽工業に入ると思いますが、問題ではタオルといったもの、あるいはほかの農産品も、何というんでしょう、今後の問題点として浮かび上がっているわけですが、WTOの中で、このセーフガードの問題に関してどのように経済産業省としてはこれまで取り組んでこられて、これからの交渉を含めて取り組んでいくのか、その辺のところの御見解を伺いたいと思います。

○大臣政務官(大村秀章君) 山崎委員から、WTOそしてその中でのセーフガードについての御質問をいただきました。
  今回のことし四月に発動した農産品三品目のセーフガード暫定措置、これにつきましてはWTO協定に基づいた合法的な措置である、合法的な手続にのっとって進めてきたということはもう御案内のとおりでございまして、それに対しまして中国側の方から、本来、暫定措置に対しては制裁措置を発動できないというWTOのルールであるわけでありますけれども、にもかかわらず、六月になってその報復関税ということで打ってきたということでございます。
  私どもといたしましては、これまでも中国側に対して、もう話し合いで解決をしていこう、そして我々はルールに基づいていると、中国側のものは日中貿易協定にも違反しているじゃないかということを常に常に申し上げてきたところでございます。
  そういう中で、このセーフガードに関しまして、十月八日の小泉総理と朱鎔基首相との会談の中で、話し合いで解決するというやりとりがございました。そして、それを受けまして、先日の上海APEC閣僚会議の席上で、平沼大臣が中国の石広生対外貿易経済合作部長と会談を行い、早急に協議を開始をするということを希望するということで合意をされたところでございます。
  そしてさらに、APECの首脳会談におきましても、これは十月二十一日でございますが、これは中国の江沢民主席の方から、できるだけ早く協議により解決を望むという発言があり、小泉総理からこれに対して、話し合いで友好的に解決をしていくことが重要だという発言があったということでございます。
  こうしたことを踏まえまして、十月二十五日、このWTOの関係閣僚会議、経済産業省、農水省、そして外務省、財務省の四省庁プラス福田官房長官でございますが、この閣僚会議におきまして、中国側との協議を早期に開催をし、本件の話し合いによる解決を粘り強く追求していくということで一致をしたところでございます。あわせまして、福田官房長官から中国の武大偉大使に対しまして、こうした政府の方針を伝達をし、協議の再開というものを今呼びかけているところでございます。いずれにしても、粘り強くこの点は話し合いで解決をしていきたいと思っております。
  そしてまた、御質問にありましたタオルの、繊維のセーフガードでございますが、これも四月の十六日に調査を開始し、十月の十五日が調査期限ということでありましたけれども、最近の輸入動向がこの夏になりましてふえたり減ったりということで、まだまだ状況を十分把握する必要があるということで調査期間を六カ月間、来年の四月の十五日まで延長したところでございます。
  そういう意味で、このタオルのセーフガードにつきましては、残りのさらに半年間の延長の中で十分状況を見きわめてまいりたいというふうに思っております。
  いずれにいたしましても、我が国は、先ほど平沼大臣も申し上げましたとおり、WTOの協定の中で国際ルール、そして関連の国内法令等に基づいて、透明、公平、そして公正に対応をしてまいりたいというふうに思っておりますし、そういう意味では、中国側と話し合いの中でこの問題を解決していきたいと存じておりますので、また山崎委員の御支援もよろしくお願い申し上げます。
○山崎力君 粘り強い話し合い、方向としては結構だと思いますけれども、これは一つには期限というものが明確にある問題でございます。その辺のところの折り合いをどうするのかということと、先ほど申し上げましたけれども、こちらの方は正当な権利として行っていることに対して、向こう側は本来やってはいけないことをやっていると。そこで対等な話し合いがあっていいのかという半分感情論的な議論も国内にはございますし、この席ではふさわしくないかもしれませんが、もっとありていに言えば、農産物で工業製品をバーターするのかと。まあタオルはこういったあれですけれども、農産品を犠牲にして工業製品の方を重視するのかというような形の農業者団体からの強い不満の声も伝わっているところでございます。
  その辺、国として、政府としてどうするかというのは難しい問題ですけれども、少なくとも、今回の対中国に関して粘り強い交渉は結構だけれども、時間というか期限があるんだと。その辺のところでの、何というんでしょうか、気配りといいますか、国民あるいは関係者に対する説明、どうしているんだ、どうなっているんだということをもう少しはっきりさせていただきたい。しづらいのはわかるんですけれども、そこのところを要望として申し上げたいと思います。
  正直言いまして、もうそんなに時間、もう十一月目前で、ありません。そういった中で、今の立場から言えばそこまでの御回答だというのは重々承知でございますけれども、繰り返しになりますが、ただ粘り強い交渉をするんだというだけではそろそろ納得できない方々が国内に多くなっているという実情をぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。そこのところまでにいたしまして、対外的なこととして。
  今の我が小泉内閣で行おうとしている構造改革ということなんですが、基本的に非常に景気が悪い、不況であるという共通の中で、今この状況の中で改革をできるのかいなという声が特に中小企業者団体を中心に、時期的にどうなんだと、やるのはいいけれども、このとき、今本当にやっていくのかいなという疑問の声が出ているわけでございます。
  そういった我が国経済の現状をどのように認識され、景気回復に向けて経済産業省としてどのような政策を行おうとしているのか、御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) 山崎委員御指摘のとおり、今の日本の経済の現状というのは大変厳しいものがあると思います。昨日発表されました鉱工業生産、これも過去七年の中で最悪のマイナス二・九%、こういうことでございますし、本日発表されました完全失業率も対前月比、これも急激な悪化でございまして、〇・三ポイント上がりまして五・三に相なりました。
  こういうことが示しておりますとおり、非常に厳しいものがございますし、先ほど来御議論があります米国における同時多発テロ、これがアメリカのやはり景気の非常に大きな原動力になっている消費というものを抑制し、日本を初め世界各国にその影響が出てきている。そういう中で、日本の今の経済の状況というのは極めて厳しい状況に相なっていると、このような認識を持っております。
  その中で、構造改革というのは、長い長いバブルがはじけた後、やっぱり処理をしていかなければならない一つの大きな課題でございまして、これは避けて通れない道だと、こういうことで小泉内閣は挙げてこの問題に取り組んでいるところであります。
  しかし、小泉首相も言われておりますとおり、構造改革にはやっぱりある程度痛みが伴うわけでありまして、その痛みを最小限に食いとめる、このことがやはり基本になければならない。経済産業省といたしましては、そのことを最優先に考えていかなければならないと思っております。
  そういう中で、全国に五百万企業があると言われておりますが、その大宗、九九%以上が中小企業でありまして、意欲があり、そしてまだ非常に可能性を持っている、そういったまじめにやっている中小企業者に対して悪い影響が出てはならないということで、これまでもいわゆる政府系金融機関等を通じて一連の支援策を講じてまいりました。
  しかし、こういう事態に相なりましたので、先ほど私も所信の中で申し述べさせていただきましたけれども、この臨時国会で委員各位のお力をいただきながら、やはり売り掛け債権、そこに着目をした新しい保証制度をつくっていこうと。これは、もう土地というものが限界に来ておりまして、中小企業の土地担保というのは時価で九十一兆ございます、現金預金というのは七十八兆でございまして、ここも手がつかない。そうすると、約八十七兆、土地と同じぐらいの固まりの売り掛け債権がございますので、こういったところに着目をしてやはりしっかりとした対策をとっていかなきゃなりませんし、その他この他、いわゆる新しい保証制度、こういったものの中で枠も拡大をいたしました。それから、今の一連の狂牛病の問題でございますとか、そういった例えば流通業の破綻に伴って巻き込まれるところにも特別のセーフティーネットを張らせていただいています。
  そういう中で、今直近に取りまとめられました構造改革の先行プラン、これを補正予算とあわせてしっかりと実施をしていきたい。その中で、雇用対策、こういうものに力点を置いて私どもは雇用の安定を図っていかなきゃいけない、そういう観点で、そこに力点を私どもは置いてこれからも努力をさせていただきたいと思います。
  同時に、雇用を吸収するということを考えますと、やはり中長期的に雇用を創出する新規産業あるいは新市場というものをつくっていかなきゃいけない。そのためには、これも私が新規産業創出プランということで、今、年間約十八万社しか新規の企業というのは誕生しておりませんけれども、これを倍増するために、例えば物的担保ではなくて事業計画書と経営者の姿勢というものに着目をして、そしてそこに積極的に融資をする、そういう中で意欲のある、そういった新規に事業を起こす方々、その手助けをしていこうと。
  これはもう山崎委員も御承知だと思いますけれども、今、日本には年間百二十万人を超える、新しく事業を創業しよう、こういう意欲を持っている、そういう方々がおられます。そして、準備の段階まで進むのがその約半数、昨年の実績でいうと五十七万人が準備の直前まで来ておりますけれども、結果は十八万人しか新規に立ち上げない。ここはやはりそこにインセンティブを与えるというような政策をして、大きく、日本の経済というのはまだまだ、しっかりとやればポテンシャリティーがありますから、そういう政策もとっていかなければ私はならない。そういうことで、私どもはそういった形で最大限の努力を傾注していこう、そう思っています。
  また、これも委員御承知のことだと思いますけれども、地域経済を活性化しなきゃいけない。そのためには、九カ所に我が経済産業省はいわゆる経済産業局を設けております。そこと地域の経済界と連携をとって、産学官の連携のもとに今全国十九カ所で、そして三千五百の企業が参画をして産業クラスター、こういうものができつつあります。こういったところをさらに伸ばしていけば、地域経済も雇用も含めて活性化ができる、こういうことも私どもは積極的に取り組んでいかなきゃいけない。そういうもろもろのことを一生懸命にやらせていただきたいと思っております。
  そういう中で、限られた一つの三十兆という枠がありますけれども、補正予算、そういったものもしっかりと見据えてやらなきゃいかぬと思っておりますし、小泉総理大臣もその所信表明の中において、重大な局面のときには機動的、柔軟的、大胆に取り組むと、こういうことですから、積極的な面の経済政策もやはり必要があったら展開をしていく、こういう基本姿勢で私どもは臨んでいきたい、このように思っております。
○山崎力君 構造改革に伴う痛みというものが弱いところに集中しないようにというのが非常に難しい。どうしてもこういった厳しい時代には弱いところにそういったものが耐えられない痛みとなって来るということがあろうと思います。中小企業に対してどうするかというのは本当に大きな問題ですし、その悲鳴というのはいろいろ現に出てきておりますし、想像以上に厳しいというのが今の実感でございます。
  その中で、つい私自身、首をもたげるのは、改革とは逆行することなんですが、雇用創出もいいんだけれども、失業者を出さないでつぶさない、企業が続けて雇用を確保できるのならその企業を存続させるという、後ろ向きですけれども、そういう考え方ももう少しあっていいんじゃないかなという、非常にこれは改革と逆行したことで矛盾しているんですが、私自身もそういう気持ちになっているということをこの機会に御披露申し上げて、御参考にしていただきたいと思います。
  特に今一番地方の方で、私、青森の選出ですが、言われているのは、公共事業の一〇%削減ということでございまして、そしてこれは事実ですからしようがないんですが、いわゆる建設業の占める割合といいますか、そういったものが全国的にどこが多いか、こういえば、どうしても私の青森を含むベストファイブに東北の四県が入っているわけでございます。あと新潟だと記憶していますけれども。東北電力のところといえば範囲に入ってしまう、そういうところにやっぱり建設業のシェアといいますか、経済に占めるシェアが大きい。
  そういったところというのは大きな企業というのは少ないものですから、必然的に公共事業による仕事をやっている方たちの比率も高くなるということで、こういった方々に公共事業一〇%の削減という一つの方針を出しながら地域経済をどうやって活性化していくのかということになると、正直いい知恵が見えないといいますか、いろいろ努力されているのはわかるんですが、これだったらば我らが地域も何とかなりそうだという明るい展望がどうしても見えてこない部分があるんです。その辺についての御見解、非常に難しいことで、先ほどの御答弁の中でもかなりの部分答弁なされていることはわかるんですが、もう一回その辺のところを経済産業省としてお考えを伺いたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、先ほどの答弁の中で若干触れさせてもいただきました。
  御指摘のように、私も選挙区は岡山でございまして、地方経済に占める例えば建設業、これは非常に比率が高いわけでございます。そういう中で公共事業というものをカットするというのは、地域経済に非常に大きな影響が出ることは私はそのとおりだと思っています。
  そういう中で、私どもといたしましては、先ほども触れさせていただきましたように地方に九拠点設けております経済産業局、この十月に私どもは全部の局長を集めました。そして、まずその地域に密着して一生懸命頑張っている局長からそれぞれの地域の現状をしっかりと聞かせていただきました。そうしましたら、各局長の調査というのは非常に厳しいものがございまして、一時期は例えば中京地区なんかはよかったわけでございますけれども、そこもさらに悪化と、こういうふうな状況になっております。
  ですから、我々としては経済産業局を中心にしっかりと地域の現状を把握し、そして、これは坂口厚生労働大臣とこの八月に会談をして合意をいたしまして、今までは別々にやっておりましたけれども、経済産業省と厚生労働省と一体となって、そしてその地域の現状に即した対策をやっていこうと、こういうことで鋭意努力をした結果、いろいろな実が上がってきております。ですから、さらにここできめ細かい対応をさせていただく、このことが重要だと思います。
  そこと、これは重複いたしますけれども、地域の経済産業を活性化するためには、やっぱり地域に密着をした、その地域に特異なそういった産業を育成をしていく、こういうことで、詳しくもう数字は申し上げましたから言いませんけれども、産業クラスター、これはさらに百五十の大学もそこに絡まっております。そういう中でやっぱり地域に新しい業を起こしていくということも必要でありますし、それから産学官の人的なネットワークの形成をいたしまして地域に即した技術開発をやっていく、ビジネスインキュベーターといいますけれども、そういうことも同時にやらせていただきたい、こういうふうに思っておりまして、大変厳しい今の局面でございますけれども、私どもはでき得る限り地域経済活性化のためにきめ細かな対応をさせていただければと、こういうふうに思っております。
○山崎力君 本当に厳しい状況だと思います。
  最後になりますが、私の意見だけ述べさせていただきたいと思います。
  本当に厳しい中でいろいろな努力をなされているんですが、私個人のこれは感覚といいますか考えですけれども、いろいろなことをなさっても、地方の実態を見ると、結局せっかく来たいい工場なりなんなりが外国へ行ってしまうというのがここ十年来ございました。その背景にあるのは、やはり端的に言えば、先ほどもちょっと話が出てまいりましたけれども中国の問題でございまして、人民元が事実上ドルとリンクしている中で、その為替の中で、本当に日本の物づくりの産業が将来あるんだろうかという、そういう基本的な問題点があるんではないか。そこがなければ、幾ら努力しても積み上げたものが崩れてしまうというような感じを持っております。
  その辺のところの議論は時間の関係で割愛させていただきますが、そういった外交といいますか世界経済の中での問題、そこがデフレの要因の一つだという指摘もございます。本当にこれから正念場、来年の景気がどうなるかということで日本の二十一世紀のスタートの色合いといいますか、灰色になるか、それから若干明るいものになるかということになろうかと思う時期の経済産業行政の担い手として一層の御努力をお願いしたいと思います。
  時間の関係で若干質問を残したことをおわびしながら、終わらせていただきます。
  ありがとうございました。

(後略)