質問「下請法改正案について

(平成14年7月23日参議院経済産業委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 御苦労さまでございます。民主党さんの方で下請法の改正案を議員立法の形で提出されたということで拝見させていただきました。問題の意識といいますか、考え方としての土台、ベースについては全くそういった形でさもありなんといいますか、そうであろうなというふうに思っております。
  特に、実質昭和四十年から変わっていないということなんですが、何というんでしょうか、この間の経済状況の変化といってよろしいかと思いますけれども、一言で言えば、第三次産業がますます大きくなって比率を高めてきている。そういった中で、この下請業者というものの地位というものがこの法律で幾分かは緩和されてきている部分はあるんですけれども、物を作ったり修理したりという業種自体、全体の経済活動の中で、下請を含む経済活動の中で少なくなって、制約的になっていて、もっともっと広いところにその考え方を広めなきゃいかぬと、こういうところは正に認識に大きな差はないと申し上げてよろしいかと思うんでございますが、問題は、新たな法律を作るという以上、この今の現状がどうなっているかということを把握してからでないと、これはなかなか法律として作るという以上は難しい問題だと思うんですが、そこがなかなかどう把握するかというのは難しいというところもこれあろうかと思います。その辺の御認識についてまずお伺いしたいと思います。

○委員以外の議員(木俣佳丈君) お答え申し上げます。
  今、質問がありましたように、この下請法ができました昭和三十一年、一九五六年から二年前の平成十二年、二〇〇〇年を比較しますと、委員御質問がありましたように、製造業でいうと比率、全産業のうちの三一・三%、サービス業が四七・五%でございました。しかるに、二〇〇〇年では、この数字が全く逆転しておりまして、製造業が二一・六%、サービス業が七一・七%と三倍近くに増えている、こういった状況でございます。
  今回、法律案を、法律の改正をするわけでございますけれども、こういったサービス業に日が当たっていないということにかんがみ、そしてまた、このサービス業で問題がかなり発生しておるということにかんがみ、今回改正案を出したわけでございます。
  特に、これは公正取引委員会でも、平成九年、平成十二年と二度にわたりまして、この役務の提供についての具体的な調査を実施しております。その中で特に特筆するべき産業としては、貨物自動車運送業、そしてまたソフトウエア開発業でございます。
  特に、貨物自動車運送業においては、取引の際に契約書の締結が、例えば荷主との間では五三%が締結していない、又は同業者間で請け負ってやる場合には何と六七・五%が締結していない、こういう現状がございます。さらには、仕事が終わってから代金の減額の要請というものがほぼ四割、七割、同様にございまして、大変な問題になっているということを我々認識しております。
  また、ソフトウエア開発業でございますけれども、発注内容の変更でございます。これは、発注したときから納期の最後の締めのときにこの内容を確認していくということでございますけれども、ユーザーとの取引でも変更の、つまりやり直しの要請でございますけれども、ユーザーとの取引で七〇・五%、コンピューターメーカーとの取引で五五・四%、同業者間では六二・九%、やり直し、変更の問題があるということでございまして、これは公正取引委員会の独自の調査でございます。
  以上でございます。
○山崎力君 そういった問題があるであろうということは容易に想像付くわけでございますが、これが要するに、経済状況の悪くなっている中で、どうしても競争といいますか、価格を下げるという、コストダウンということでそういうふうな話になってきていると、これが厳しくなってきているという部分、これはもう当然あろうかと思います。
  これは、この法律にかかわらず厳しい状態にその業界がなっているということであろうと思うんですが、この法律とそれとは、そこで厳しくなっているというところとはこれ裏腹の関係というところまでは行かない。要するに、この経済状況の中の厳しさと、それからそこの中に伴ってくる現状と見たときに、その現状を何とかしろと言うことはこれはできないわけでございます。その現状の中で、要するに、この法律でそれ以上悪くならないように、もっとくだけて言えば、決まり事はちゃんと守るべきだねと、それを慣習的に守らないでやっているサービス業というのがあるから、それはほかの今までの製造物、そういったものとのやり方でやらなければ、なかなか悪い方向に行くからというのがこの法律の趣旨だろうと思うんですが、今例示されたこのことでも、本当にその一つ一つの業種にめぐっていけば、それなりの議論があり、それなりの実態があり、そしてどの程度この法律で救われるかというものは見えてくると思うんです。
  だから、それはそれでいいと思うんですが、今回、何というんでしょうか、全体に掛けたような形の法律を作られるということなんですが、今おっしゃられたようなことに関しての実態に応じた法律でなくて、全体に掛けた形でいくと、おっしゃられた以外の項目で適当な、下請法の対象とするのが適当な分野というものが全部に及ぶのかどうかという議論が必要になってくると思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。

○委員以外の議員(木俣佳丈君) お答え申し上げます。
  今の質問は、全体に掛かった方がいいということでございます。検討をもっと加えろということだと認識してお答えをさせていただきますけれども、先ほども申しましたように、まず第一点は、経済の実態からしてサービス業というものが大変拡大しているというのがまず第一点でございます。
  さらには、先ほども申しましたように、公正取引委員会が平成九年、サービス業の実態調査を十四業種に対して実行しておりまして、その際に、やはりこれはガイドラインを設けてしっかり見張っていかなきゃいけないなと、こういうことで平成十年にそのガイドラインができました。
  ところが、ではそのガイドラインができて、要するに法律の改正をしないでガイドラインができたわけでございますけれども、平成十二年のときにこのガイドラインがどの程度実効あらしめているかということをまた更に調査したわけでございますが、これが、先ほども申しました二業種でございまして、貨物運送業とソフトの開発業でございますけれども、この際に、やはりこれは実効が上がっていないということで、今回我々は、これは改正をしなければ実効あらしめないんだということを思っておるわけでございます。
  その際に、業種の絞り込みについて検討をした方がいいんではないかというようなことでございますが、今、経済状況の認識からしまして、例えば倒産事故におきましても、昨年、平成十三年度、一万九千百六十四件の倒産のうち中小企業が一万八千八百十九件であったり、又は自殺者、特に自営業の自殺者が平成三年のときからすると倍ぐらいの数になっているとか、また特に貸し渋りなども、DI等で見ますと小売・サービス業が特に貸し渋りがいまだに甚だしい、こういった点からも待ったなしの状況であると我々は認識しておりまして、公正取引委員会も、平成九年から約もう五年がたつわけでございますが、検討に検討を重ねてもしっかりした答えが出てこないということを私どもは待っているわけにいかない。今すぐにやはりこの法案は通しながら、そしてこのサービス業等を、製造業は二割になってしまったわけでございますので、そのほかの特にやり直しや違反行為が多いところに取りあえず範囲を拡大させたい、このように考えたわけでございます。
  以上です。
○山崎力君 大体の考え方は分かりました。
  問題点は、全体的に特にサービス、第三次産業においてのそれぞれの業種における慣行、商慣行というのもあるので、その辺も踏まえなきゃいかぬというところを考えれば、おっしゃられた業種は分かるんだけれども、ほかまで一緒にやってどうなのかねと。
  それからもう一つは、こういう経済状態だから待ったなしと言うんだけれども、法律の考え方というのは、そういうのを抜きにした形の商習慣といいますか、それを立法化していくという考え方からしてどうなのかなという気持ちを持ったということで質問を終えさせていただきます。答弁は結構でございます。
  どうもありがとうございました。
(後略)