運営「有線電気通信法改正案の審議・採決

(平成14年12月3日参議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○委員長(山崎力君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
  まず、委員の異動について御報告いたします。
  昨日、渡辺秀央君が委員を辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。

     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
  有線電気通信法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣法制局第三部長梶田信一郎君、総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、有線電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  本案の趣旨説明は去る十一月二十八日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
  質疑のある方は順次御発言願います。

○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。
  今回、問題になっておりますこのワン切り問題というのは、急速に普及した携帯電話、これに伴って起こってきた社会問題の一つでありますけれども、ワン切り問題に先立つ形で、実は迷惑メール問題というのもかなり社会的な問題を引き起こしました。この迷惑メールに対しましては、前通常国会で実はこの総務委員会の委員長発議という形で、いわゆる迷惑メール法、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律を発議して、成立しまして、七月一日より施行されているわけでございますけれども、この法律の一つの特徴として、送信から受信に至るまでの間に関与するいろんな人たちにいろんな役割を果たしてもらうというのが一つのこの法律の大きなポイントだったと思っております。
  特に、携帯電話事業者とかインターネットプロバイダーにいろんな努力規定というようなものをお願いしているわけでございますけれども、七月一日の施行後、こういった関係者、電気通信事業者の協力度合いというか取組状況がどういうふうになっているのか、是非、加藤副大臣、お詳しいですので、お伺いしたいと思います。
○副大臣(加藤紀文君) ただいま先生御指摘のいわゆる迷惑メール法、先生も大変中心人物として御活躍いただき、この委員会の委員長提案ということで成立したわけでありますが、この法は、お話しのように七月一日より施行されました。
  この法律を見ますと、電気通信事業者が迷惑メール対策に関する情報提供を行うよう努めるべきこと、及び迷惑メール対策に資する技術の開発又は導入に努めるべきことが定められておるところは御承知のとおりでありますが、これらの規定に基づきまして、携帯電話事業者及びプロバイダーにおいて迷惑メール対策の開発、導入に努めることとともに、顧客に対しその周知に努めていることと承知しております。
  具体的には、「未承諾広告※」と表示されました電子メールのフィルタリングサービスを開始いたしました。また、あらかじめ指定したドメインやメールアドレスからのメールのみを受信する機能の件数の拡大、そして電子メールのヘッダー情報の受信者に対する提供等のサービスが開始されたところであります。また、これらのサービスに関して報道発表を行うとともに、各電気通信事業者のホームページ等を通じまして広く周知を図っているところであります。
  以上、申しましたように、各電気通信事業者においては着実に措置を取っているものと考えております。
○世耕弘成君 私もいろいろモニターをしておりますけれども、やはり特に携帯電話事業者を中心に今一定の取組が行われているのかなと思っております。ただ、一方で、やはりこういう違法なメールを送っている業者を今後追い詰めていく中では、特にインターネットプロバイダーの協力、だれが発信しているのかを突き止めるとか、そういうところが非常に重要になると思いますから、これからも業界の協力をよく要請していっていただきたいと思っております。
  さて、この法が施行されて以降、一時期はどうも迷惑メールの数というのは激減したようですけれども、どうも最近、元の水準に戻っているんではないか、この法律、効果がなくなってきたんじゃないかというような一部専門紙での報道等がございます。
  あるいは、これは必ず法律と省令で、タイトルを「未承諾広告※」としなきゃいけない、その「未承諾広告※」というのをネットワークで、携帯電話事業者側で判断をして、そういうのを正に、先ほどおっしゃっていたフィルタリングを掛けて受信者に届けないようにしているわけですが、この「未承諾広告」というのを「未」を「末承諾広告」としてみたり、未承諾と米印の間にスペースを入れたり、この辺を勝手に変えて正確に記載しないでフィルタリングを通り抜けているというような悪質業者がいるということも聞いていますけれども、その辺の事実関係はどういうふうに把握されていますでしょうか。
○政府参考人(鍋倉真一君) 先生御指摘のとおり、法律が施行されましてから、この表示義務と、それから電気通信事業者の、先ほど副大臣が御答弁になりましたフィルタリングサービスが相まちまして、実際に受信者に届くメールの数は減少しているというふうに承知をしております。これはある携帯電話事業者の調査でございますけれども、携帯電話に受信する迷惑メールの数は約六〇%減少したという報告もございます。しかし、今御指摘ございましたように、最近は法律に義務付けられているこの「未承諾広告※」の表示を正しく行わないでフィルタリングをかいくぐって送信するものが見られるのも事実でございます。
  私どもとしましては、本法律に定めます指定法人で日本データ通信協会、これに寄せられました受信者の方からの情報提供に基づきまして、この「未承諾広告※」の表示義務違反を始めとする法律違反のメールの送信者に対して警告メールを送信しておりますが、本年七月から十一月末までに送信した警告メールの数は二千三十九件というふうになっております。
○世耕弘成君 随分通り抜けている業者がいるわけでございます。しかも、これは明らかに我々この委員会が発議して作った迷惑メール対策法違反でございますので、是非とも厳正に対処をしていただきたいと思っております。
  特に、この議員立法で総務大臣にいろんな権限を差し上げたというか、お渡ししております。特に、措置命令ですとか、報告聴取ですとか立入検査ですとか、あるいは事業者団体への指導、助言といったいろんな権限をお与えしたわけですけれども、これが今どの程度活用されているのか、あるいは今後どこまで踏み込まれる予定なのか、お伺いしたいと思います。どうぞ、副大臣。
○副大臣(加藤紀文君) 今、先生が御指摘のこの法律上の、十三条において指定法人ということで財団法人日本データ通信協会を七月十日に指定いたしました。この協会では、迷惑メール相談センターというものを設置いたしまして、電子メールの利用者からの相談に電話等で応じるとともに、法に違反するメールに関する受信者からの情報提供を受け付けているところであります。このセンターに七月一日から十一月末現在でありますが、相談や情報提供は約八万件寄せられております。
  また、十一条によりまして、電気通信事業者の団体に対する指導及び助言に基づきまして、総務省といたしまして電気通信事業者団体に同法の周知を図るように求めております。これまで、電気通信事業者団体においては、会員に対する説明会を開催するとともに、周知用のパンフレットを作成して電子メールの利用者等に配布しているところであります。
  先ほど局長の方から答弁がありましたが、迷惑メール相談センターに寄せられた情報に基づいて、総務省ではこの法に定める義務に違反している送信者に対し警告メールを送信しているところでありますが、七月十日から十一月末現在、二千三十九件の警告メールを送信しております。これまで、送信者に対する報告や立入検査あるいは措置命令を行った例はございませんが、警告メールを繰り返し送信しても改善が見られない場合には命令を発するなど、法に基づき厳正に措置してまいりたいと考えております。
○世耕弘成君 八万件の相談や情報提供があるということは、やはり社会的に困っている人、あるいは関心を持っている人が多いということですから、是非とも法律で与えられた権限を正当に行使をしていただきたい。特に、この措置命令というのを出していただけば、これに違反した場合は、すなわち、もう次は罰則が待っているわけでございますから、厳正に対処していただきたいと思います。
  続きまして、ワン切りについてお話をしたいと思いますが、実は、ワン切り問題で関西地方で大幅な電話のふくそうが起こった直後、我が自民党の電気通信調査会でもこのテーマに関してどう取り組むかということを議論いたしました。
  その中で、当時、私は個人的に、取組方の方法としては三つあるんじゃないかということで、三つ、その調査会へ提言をさせていただきました。
  まず一つが、電気通信事業法、この法律の中で端末機器の機能について総務省がちゃんと規定ができるようになっているんです。ある一定の機能を制限することができるんです。これ、実はモデムなんかにはそういうのが適用されていまして、幾ら特定の番号へつなごうと思っても、一定時間の間に一定回数以上はつなげないようになっているなんという規制はもう今現実に運用されているわけでございますから、それを活用して、ワン切りのようにたくさんのところへ通話を成立させないで掛けるようなことができる装置そのものを規制したらどうだというのが一点でございました。
  そして、二点目は、実は、この迷惑メール対策法の中にございます、メールで無作為に、ランダムにいろんなあて先に送ること自体、この迷惑メール対策法、実は規制をしておりますから、この迷惑メール対策法の考え方を援用して、メールアドレスを電話番号という形に書き換えればこのワン切りの対策もできるんじゃないかと、この迷惑メール対策の一部をうまく活用した新法を作ったらどうだというのが二点目でございました。
  そして、三点目が、この有線電気通信法の範囲を拡充してワン切りに使えるようにしたらどうだと。
  この三点を提言をさせていただきましたが、結果としては総務省は、そのうちの一つ、この有線電気通信法の改正という形を選択されたわけでございますが、この三点、検討された経緯とか、どういう判断でこの有線電気通信法だけでワン切りの規制をされようとしているのかについて、加藤副大臣からお伺いしたいと思います。
○副大臣(加藤紀文君) 先生御指摘のとおり、先般、七月十五日と二十九日、二度にわたりまして、大阪府及び兵庫県の一部のエリアでワン切りを原因とするいわゆる電話ネットワークのふくそうが発生いたしました。約五百万回線の電話が四時間以上にわたりましてつながりにくくなった事態が起こったことに踏まえまして、総務省といたしましてもその対策を講じているところでありますが、先生御指摘の一問目といいますか、三点御指摘がありました最初の端末機器の技術基準の厳格化、これに関しましては、電気通信ネットワークに接続できる端末の技術基準というのを端末設備規則という省令で定めているところでありますが、ふくそう対策に資する技術基準の在り方について、現在、情報通信審議会において鋭意検討しているところであります。
  また、二番目、三番目の御指摘であります有線電気通信法の罰則をワン切りに対応できるように改正すること、またソフトを用いた架空電話への発信を禁止することにつきましては、自動的にワン切りを行う機能を有する装置を用いてワン切りを行った者を処罰するという改正をすることとして、正に現在御審議をいただいている最中でありますが、先生の御指摘に沿った対応を行ってきたものと考えております。
○世耕弘成君 是非、この端末機器の技術基準の厳格化というのもこれ非常に有効だと、特に今後出てくるものに関しては有効だと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。
  最後に、片山大臣にこれはお伺いしたいんですけれども、今回は、この関西におけるふくそうというのはたまたまワン切りの業者がやって起こったものでございますけれども、これ万が一、このワン切り業者と全く同じ技術を用いて、例えば悪意を持って、例えば東京の中心部の兜町かいわいの電話を麻痺させてやろうと。その上で、何か株が暴落するとかそういう情報を流したりしたら、これは正にテロができるわけでございまして、私は、非常にこのワン切りの技術というのは悪用されると恐ろしいことになると思っておりますけれども、こういう正にサイバーテロのような形でワン切りが行われた場合どういう対処をされる方針をお持ちなのか、大臣から最後直接お伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、世耕委員言われましたように、もし一定の意図を持ってワン切りを悪用して、今言われましたようなネットワークを攻撃して一種のサイバーテロ的なことを起こそうと思っても、まあやってやれないことはないという、そういう危険性もあるわけでありますので、私どもの方としましては、内閣全体でセキュリティー全体の厳重な基準を作っていくということを今考えておりますけれども、当面は情報通信ネットワーク安全・信頼性基準というものを厳重にしていきながら、電気通信事業者の皆さんにそういう設備をやってもらう、それについて税制で優遇していくと、こういうことを考えておりますし、それから広く、事業者だけじゃなくて万般にファイアウオールその他の設備をやる者についても税制を中心に優遇を考えていくと。
  基本的にはやっぱり技術基準をしっかりすることでございますので、私どもの方の研究所や役所も研究会を作るなり、そういうことを今後ともやっていきたいと。しかし、内閣全体として、私どもだけでなくて警察庁やその他も入れて、サイバーテロに対しての対応はしっかりやっていきたいと、こういうふうに考えております。
○世耕弘成君 以上、終わります。
○内藤正光君 おはようございます。民主党・新緑風会の内藤正光でございます。
  本日、三十分ですが、ワン切りについて質問さしていただきたいと思います。
  言うまでもないことではございますが、今回の法改正の契機になったのは、ワン切りがNTTのネットワークに障害を与えたことだと思います。それを踏まえて十三条の第二項が新たに設けられたと。そしてまた、先週でしたか、大臣の提案理由を読みますと、「電気通信ネットワークの安全及びこれに対する国民の信頼を確保するため、」というふうに書いてあります。
  こういった十三条二項だとか、あるいはまた提案理由を読んでいきますと、うがった見方をすると、NTTが設備容量を拡大するということもワン切り問題を解決する一つの方法なのかなと読めてしまうんですが、そういう認識ですか。
○政府参考人(鍋倉真一君) 今回の法案はいわゆるワン切り、これは、先生、釈迦に説法ですけれども、着信履歴にコールバックさせて有料の音声サービスを聞かせることを目的に、特殊な装置を用いて、不完了呼といいますけれども、そういうものを発生させるワン切りがネットワークのふくそうの危険を生じさせるということで、このワン切り行為そのものに罰則を科するというものでございます。そうすることによりまして、これ直罰でございますから、この法律が施行されれば抑止効果が働くというふうに考えております。
  したがいまして、この法案の効果として、ワン切りを受信することによる利用者の被害もなくなっていくというふうに考えておりまして、その意味でこの法案は利用者をワン切りによる被害から守るということで、安心して電気通信サービスを利用していただけるようにするための法律であるというふうに私ども考えております。
○内藤正光君 確認したいんですが、十三条二項に規定されたワン切りという行為は、たとえシステム障害が起こらなくとも、引き起こさなくとも、行為自体が違法であるという認識でよろしいんですね。
○政府参考人(鍋倉真一君) そのとおりでございます。
○内藤正光君 ならば、この法案の仕組み自体、このシステム障害というのを重点を置いているように見えてしようがないんですが、私はむしろ真っ正面からワン切りという悪質な行為自体に対峙すべきではなかったかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(鍋倉真一君) 私どもは、そのワン切り行為そのものに、先生がおっしゃる意図でやっているというふうに私ども認識しております。
○内藤正光君 いや、私が見るところ、どうもちょっと本質を巧みに外しているんですね。
  では、ちょっとお伺いしますが、現行法でもそうですし、また改正案でもそうなんですが、有線電気通信事業者がワン切りを悪用した業者の住所、氏名等のいわゆる発信者情報ですね、被害者に知らせることができない仕組みになっているんですが、それはなぜなんでしょう。
○政府参考人(鍋倉真一君) これも先生、釈迦に説法かもしれませんけれども、事業法で通信の秘密ということで、これは通信の秘密というのは通信の内容にとどまりませんで、通信の当事者の住所ですとか氏名ですとか、あるいは発信場所とか通信の構成要素、あるいは通信の回数、通信が存在したかどうかも含めまして保護の対象になるというふうに考えられております。
  ですから、この通信の秘密については厳格な保護の対象とされておりますので、現在ですと、その裁判所の令状が発付された場合、それもその令状で特定された範囲ということで提供されるというふうに考えておりまして、電気通信事業者が任意に開示をすることは許されないというふうに思っております。
  ですから、電気通信事業者がワン切りを受信して被害を受けた者から開示を求められましても、原則として応じることは許されないというふうに考えております。
○内藤正光君 内容のみならず、いわゆる発信者の名前、住所、発信回数等いわゆる外形的な情報ですね、これすらも保護の対象になるということですね。
  ちょっと大臣に見解をお尋ねしたいんですが、ワン切りによる典型的な被害はどういうものか。迷惑だなというその程度で済めばまだましなんです。実際に、ワン切り業者、取立てが、取立てを恐れてお金を払ってしまう。後から、ああ、これは私もワン切りの被害に遭ったんだということで、お金を戻してもらわなきゃいけない。民事訴訟を起こしたい。
  じゃ、果たして今の法体系の下、民事訴訟が起こせるかということなんですが、加害者である発信者の住所とか氏名が全く分からないわけです。ということは、裁判所から訴状が送達できない。現在、民事訴訟を起こそうとしたら、加害者匿名のまま起こせないわけですね。加害者を特定する必要があるわけなんです。裁判を起こす、例えば私が加害者を特定しなきゃいけないということは、現行、加害者の何の情報も明らかにされていない状況では民事訴訟が起こせないんですね。
  私は、悪質業者のいわゆる通信の秘密なるものが、かえって善良な市民から憲法で保障されている裁判を受ける権利、これを奪ってしまっているんじゃないかと思うんですが、こういった現状に対しては、大臣、どういうふうにお考えでしょう。
○国務大臣(片山虎之助君) 内藤委員言われますように、この今の通信の秘密というのは、もう物すごく厳重に守られるような仕組みになっていますよね。
  しかし、それはそれだけの私は理由があると、こう思いますけれども、そういうことで、このワン切りみたいなものとのその接点、調整というか、調節の具合をどうするのかというのは大変大きい問題だと思いますね。容易には特定できないんです。
  ただ、このワン切り行為そのものを処罰の対象にしておりますから、ワン切りだとこう思われたら、捜査当局や検察当局に受けた人が言えばいいんですね、告発という大きなことで。そこで捜査当局や検察当局は令状を出すことになれば相手は特定できるんですね。そうすると、相手が特定できればいろんな対抗手段があると、こういうことでございますが、そこまでは、一般的なことについて通信の秘密を犯すようなことは今はできないと、こういうことになっていまして、令状が出ればいいと。令状なしでもやる場合には正当防衛か緊急避難か、限定された、法律に何か書いてなきゃ駄目だと、こうなっていますからね。
  この辺はそれで私はやむを得ないのかなと思いますけれども、いろんなケースが出てきて、それが一つの国民の合意になれば、私は通信の秘密も少し変形してもそれはやむを得ないんじゃないかと、内藤委員に近いようなことも思っておりますが、これは個人の見解でございます。
○内藤正光君 確かに刑事裁判、刑事訴訟は起こせますね。ただ、民事訴訟は全く起こせないんですね、相手が特定できないわけですから。私はこれは大きな問題だと思います。憲法で言う三十二条ですか、何度も言うようなんですが、裁判を受ける権利、これを善良な市民から取り去ってしまうということになる、私はこれ大変な問題だと思います。
  この辺の問題も含めて議論をしていただきたいんですが、よろしいですね。
○国務大臣(片山虎之助君) だから、刑事告発みたいなことできて、刑事上の手続は取れますよね。それで特定できたら民事訴訟起こしゃいいんですよ、特定できたら。プラス民事訴訟を私は起こせばいいと、こういうふうに思いますが、そこまでいかないとなかなか起こせないというところは、内藤委員が言われるように、憲法上の権利としていささか制約的ではないかという御見解も分からないでもないと思いますけれども、今の解釈はそういうことになっていますね、今の立法は。
○内藤正光君 そこで、電気通信関連法のコンメンタールを見てみますと、秘密の保護に関連してこういうことが書いてあるんですね。有線テレビジョン放送又は有線ラジオ放送は、有線電気通信ではあるが本条の規定、つまり通信の保護の規定は適用されないと。これはなぜかといえば、有線テレビジョン放送又は有線ラジオ放送が、公衆すなわち不特定の者によって直接受信されることを目的とするものであるから、その性格上開放的であって秘密性を持つものではないから、だから有線電気通信であったとしても通信の秘密というものは適用されないということを言っているわけですね。
  一方、ワン切りというものはどういうことかといえば、先ほど鍋倉局長の方からも御説明もあったように、不特定多数の携帯電話利用者にぱっと電話を掛けて着信履歴を残し、そして後で有料メッセージを聞かせるものなんですね。そして、このメッセージ自体は着信履歴を持つ者だったらだれだって聞けるわけなんです。その内容自体に秘密性が決してあるものとは言えないんです。内容はもう明らかなんです。そういった意味から考えると、私はこれ極めて放送に近いものではないかなというふうに思います。
  ということで、私は九条の対象外ではないかと、通信法の九条の対象外ではないかと。したがって、発信者情報を被害者に伝えたとしても私は何ら問題ないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(鍋倉真一君) 有線ラジオ放送あるいは有線テレビジョン放送というのは、これは一時に多数の者に放送するいわゆる有線を用いた放送です。放送と定義しております。放送です。
  じゃ、迷惑メールは何なのかということでございますが、確かに同一の内容を送信はしておりますけれども、それを多数の者に通信をするということはございますけれども、あくまでも一つ一つを見ると一対一の通信が多数行われた場合にすぎないということで、これは放送ではございません。ということで、やはり通信の秘密というのが厳格に掛かってくるというふうに考えております。
○内藤正光君 鍋倉局長がさっきおっしゃったことは、最近、昨今の通信技術の向上に伴って通信と放送が融合してきて垣根が低くなった、こういった現状を全く無視した御答弁ではないかなと思うんですが、これは後ほどいろいろ議論させていただきたいと思います。
  そこで、ちょっと法制局さんも来ておりますのでちょっとお伺いしたいんですが、結構、郵政省、旧郵政省、いい報告書を出しているんですね。この平成十一年の二月に出された研究会の報告書でこう書いてあるんですね。「発信者情報と「通信の秘密」」という項目のところでこういうふうに書いてあるんです。基本的には、憲法の基本的人権の規定は、公権力との関係で国民の権利、自由を保護するものであると考えられ、憲法上の通信の秘密は私人である電気通信事業者等へは直接的な適用はなく、電気通信事業法等の通信の秘密に関する規定が適用されるというふうに考えられると。そこで憲法で言う通信の秘密と、通信法で言うところの通信の秘密、ちょっとこの辺区別して理解して、そしてこういうふうに考えているわけですね。
  法制局さんにお伺いしたいんですが、一応郵政省の、旧郵政省の研究会はこういう見解を出しているんですが、法制局さん、この点についてどのようにお考えなのか、改めてお伺いします。
○政府参考人(梶田信一郎君) お答えいたします。
  今、先生のお尋ねの中でありました研究会の報告書、具体的に私承知しておりませんが、お尋ねありました憲法二十一条第二項の通信の秘密に関する規定、これを含めまして憲法の自由権的基本権の保障の規定につきましては、基本的には国家権力あるいは公権力に対して国民の自由や平等を保障するという趣旨の規定であると考えられますので、私人間には直接には適用がないというふうに解しておるところでございます。
○内藤正光君 だから、憲法上で言う通信の秘密というのは私人であるところの電気通信事業者には直接の影響はない、適用はないと。ですから、総務省としては、憲法で言う通信の秘密というものを尊重しながらも、どうあるべきか総務省として検討を深めていけるということでよろしいんですね。
○政府参考人(鍋倉真一君) 基本的にはそういうことだと思います。
○内藤正光君 そういった法制局さんの見解を踏まえて、もう大臣を筆頭に、総務省として、本当に通信の秘密は何なのか、これからどんどんどんどん議論を深めていただきたいわけなんですが。
  そこで、先ほど、揚げ足を取るわけではありませんが、鍋倉局長が、迷惑メールにしろワン切りにしろ、あれは結局は一対一の通信だということをおっしゃった。それについてちょっといろいろ議論をさせていただきたいんですが。
  確かに、最近の通信技術の発展で私たちの生活の利便性は向上していると。しかし、その陰でワン切りだとかあるいは迷惑メール等の問題が社会問題として浮上してきているわけなんですが、どうしてこういう問題が最近浮上してきたのか。いろいろな理由があろうかと思いますが、例えばインターネットの出現というのはちゃんと着目しなきゃいけない。
  インターネットの出現によってどうなったかというと、個人個人、個々人の情報発信力が格段に向上したということです。格段に向上したということはどういうことにつながるかというと、さっきも言ったように、通信と放送の融合ということで垣根がなくなりつつあるわけです。だから、もう今の時代、これが通信ですよ、これが放送ですよということは言えなくなった。それこそ小泉メールマガジンがいい例だと思います。確かにあれはメール、一対一の通信です。ところが、それを送信しているその数たるや、詳しいことは今よく知りませんが、百万とか何百万という数だと思います。こうなってくると、地方のケーブルテレビをしのぐようなものになっているわけなんです。もうこれ放送と言っても私は全然間違いじゃないと思っています。
  そこで、考えなきゃいけないのは、通信というものは何を大事にしなきゃいけないのか。やはり通信の秘密なんだろうと思います。じゃ、片や放送は何を大事にしなきゃいけないのかといえば、やはり公共性だろうと思います。で、先ほども何度も繰り返しておりますように、通信と放送の垣根がなくなり、融合しつつあると。そうなると、放送的な性格を持った通信というのがこれからどんどんどんどん出てくる。この一つがメールであり、そういったものであると思いますが、そうなるとやはり通信の秘密とばかりは言っていられなくなると思うんです。通信の秘密も大事なんだけれども、片や公共性だとかそういった観点、バランスを考えなきゃいけなくなるわけです。
  確かに、メール、迷惑メール、その一件一件を見れば確かに通信です、一対一の。だけれども、迷惑メールにしろワン切りにしろ、従来型の一対一の通信かというと、そうじゃないんです。もうかなり放送的な性格を帯びているんです。だから、いつまでも、これは通信だから通信の秘密を大事にしますよなんて言ったら、これはもう時代後れの答弁と言わざるを得ないんです。やはり時代にマッチした検討を深めていかなきゃいけない。その上でちょっと御答弁をいただきたかったわけなんですが。
  そうなると、当然のことながら、迷惑メールも当然のこと、ましてや今回の法律によって、迷惑メールは元々違法なんですが、ワン切り行為そのものも違法になったんですね。なぜワン切りが放送かというと、基本的に不特定多数の者にばっと着信履歴を残して、後から内容を聞いてもらうわけですから、これはある意味では放送的色彩を持っているものだと私は言えると思います、ワン切りも。迷惑メールも言うまでもないことなんですが。
  そうなってくると、当然のことながらなんですが、通信の秘密というものも、少なくともワン切りだとか迷惑メール等についてはある一定の制約を受けるべきだと考えるのが合理的だと考えるんですが、その点、大臣、そしてまた法制局さんのちょっと見解をお伺いしたいんですが。
○国務大臣(片山虎之助君) 言われるように、やっぱり通信と融合が、似てきていますよね。通信的、まあ放送的通信ですが、今のワン切りなんかもそれに近い、それから通信的放送というのもあるいは出てくるのかもしれませんし、垣根がだんだん低くなって近寄っていることは事実ですね。
  しかし、そうであっても、やっぱり通信と放送はまだ法律の世界では一対一か不特定多数かと、こういうことがあり、しかも委員が言われるように公共性というものがそこには介在しておりますよね。しかし、言われるように、融合してきて放送的通信ができた場合に、それが公共の福祉に違反すると大変な重大な侵害になると、こういうものについては、今までどおりの古典的な通信の秘密をいつまでも確保していかなきゃいかぬかどうかという議論が私は確かにあると思いますよ、状況は変わってきたんだから。今までの画然と通信と放送が分かれたときの通信の秘密を守るということと、それは状況が私は変わってきていると思います。
  ただ、そこで、どのくらいの制約なら公共の福祉を通信に、放送的通信に認めることができるか、これは大変議論していかなきゃいかぬと思いますので、私も、こういう事態を踏まえて、少し研究会でも作りましてそういうことの議論を少し深めていただこうかと、こういうふうに思いますので、現在の、今の立法あるいは我々の解釈はまあ古典的な解釈にさせていただきたいと。しかし、状況は変わっていますから、状況に応じたこれからの法制的な研究を含めて深めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○政府参考人(梶田信一郎君) 御質問は、公共の福祉のために必要がある場合におきまして、通信の秘密に当たると考えられるような発信者情報を開示させるような立法措置を講ずることが憲法上許されるかどうかというような御趣旨のものと思われますが、そうした措置につきましてはまだ政府におきまして具体的に検討されておるわけではございません。
  それで、一般論として、公共の福祉と基本的人権との関係についてお答えをいたしたいと思いますが、憲法十三条では、御承知のとおり、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」ということを定めております。この規定からいたしましても、公共の福祉のために必要な場合には合理的な限度におきまして国民の基本的人権に対する制約を加えることがあり得るものというふうに解されます。
  また、その場合における公共の福祉の内容とか制約の可能な範囲等につきましては、立法目的等に応じまして具体的に判断すべきものというふうに考えておりまして、これまでの最高裁の判決におきましてもこのような見解を取っていると承知しております。
○内藤正光君 発信者情報を開示するかどうかという問題は、迷惑メール、そしてまたワン切りのみならず、昨年審議をいたしましたプロバイダー法でも未解決の問題として残っているわけですね。先ほどから私るる申し上げておりますように、発信者情報を開示しないということは、例えば国民の裁判権を奪うなど、これは救済するための法制としては致命的な欠陥を私は持っているんじゃないかなと思うんです。
  そこで、諸外国はどうかというと、例えばイギリス、ドイツ、フランス等はいろいろ迷惑電話等、迷惑通信等に対して、があった場合、ちゃんと発信者情報を開示する手続を設けているわけです。
  また、EU、広くはEUのことについて簡単に申し上げるならば、確かに一方ではプライバシー保護に関する欧州議会だとか欧州理事会指令等でプライバシーを保護する、通信の秘密を保護するために力を尽くしているんですが、その一方で、同じ指令においてですが、迷惑通信があった際には発信者情報を開示する手続の制度化を加盟各国に義務付けているわけです。つまり、EUの諸国は、一方では通信の秘密を守らなきゃいけないけれども、やはりそうはいいながらも、もう一方では、迷惑通信等があった場合、発信者情報、こちらを尊重しつつなんですが、開示するような法的手続を取らなきゃいけない、制度化しなきゃいけないということで努力をしているわけなんです。
  じゃ、一方、日本はどうかというと、私は大変高く評価しているんですが、平成十一年度の二月一日に旧郵政省のときに大変すばらしい報告書を出したと。その後、どうなっているのかというと、私ちょっと見当たらなかったんですが、それを踏まえて、この点に関する現状、そしてまた今後、先ほど研究会を立ち上げたいと大臣自らおっしゃっていただいたわけなんですが、検討の方向性なりスケジュールなり、あればお答えいただきたい。私は、大臣のリーダーシップで進めていただきたいと思っているんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(鍋倉真一君) 旧郵政省のときに、十一年に研究会をやりまして報告書を出しておりますけれども、先生言われるように、いろいろ発信者情報開示ということについて研究をいたしました。
  それで、例えば行政機関が発信者開示をさせるとか、あるいは第三者機関を設けるとか、いろいろ検討しております。行政機関がやるというのは、なかなか、通信の秘密の問題等もございますのでなかなか難しいと。それじゃ第三者機関を設けようかというようなことも検討しましたが、先生、ちょっとお言葉を返すようでございますけれども、プロバイダー責任制限法、いわゆるプロバイダー責任制限法においては、厳しい要件の下ではありますけれども、発信者情報開示の請求権を初めて設けました。これは、この法律によって初めて発信者情報の請求することができるようになったわけでございます。
  この場合は、これもまた釈迦に説法でございますけれども、いわゆるインターネット上の掲示板みたいなところで、いろいろな誹謗中傷ですとか、あるいはプライバシーの侵害ですとか、いろんな誹謗中傷等が乱れ飛んでいると。そういう方々の被害を救うということで、物すごい厳格な要件はございますけれども、発信者情報開示の請求権を認めたということでございます。
  これは、先生先ほどからお話をされているような、公然性を有する通信ということで不特定多数、確かにそのとおりでございまして、不特定多数が見れるような、一気に見れるような情報でございますので、そういった被害も非常に深刻になるということで発信者情報開示というものを認めたわけでございます。認めたというか、そういう一定のルールを作らせていただいたわけでございます。
  その際にいろいろこのレポートを基に検討いたしました。当初は、この法律、プロバイダー責任制限法を作るときに第三者機関を設けるとかいろいろ検討はいたしましたけれども、やはりいろんな立法上の制約あるいは法律上の問題もございまして、このプロバイダー責任制限法のような発信者情報開示の請求権のような形に落ち着いたということでございまして、この研究会をそのままほっておいたのではなくて、これを基に実はプロバイダー責任制限法というものの検討をしたということでございます。
  今後、大臣の御指示もございますので、それ以外の、これは要するに、もろに掲示板ということで不特定多数に公然性を有する通信でございます。迷惑メールとかあるいはワン切りというのは、それとやはり異なると思います。
  ただ、先生がおっしゃいましたように、通信と放送の垣根がなくなってきているということも、これもまた事実です。ただ、典型的な放送というのは一対多数を同時に送るものですから、これは古典的な解釈ですけれども今歴然とある解釈です。一対不特定多数に同時に送るというのを放送と言っております。これについては表現の自由というのが一つの大きなメルクマールになっております。一対一の通信、これは電話が典型的ですけれども、これは通信の秘密というものがあるということで、全く違う保護法益になっているわけです。それが確かにインターネットの時代になって重なってくる部分というのは出てきていますけれども、やはり世界各国どこを見ましても通信に分類するか放送に分類するかをしております。第三の道を探ったものもございますけれども、なかなかこれはうまくいっていない。というのは、両方哲学が違うからでございます。
  そこのところで、プロバイダー責任法については、掲示板、不特定多数にそういう通信をするものについて初めて風穴を空けたということで、じゃそれより違う一対一の通信、我々は一対一の通信と思っておりますけれども、多数に一対一の通信をするような形態、迷惑メールですとかワン切りというのは、これはなかなか非常な慎重な検討が要るんじゃないかと思います。ただ、大臣の御指示もございますので、研究会を設けてこういうものも検討していかなきゃいけないというふうに思っております。
○内藤正光君 まだいろいろ質問したかったんですが、時間もありません。ちょっと大臣の決意をお伺いしたいわけなんですが。
  確かに、鍋倉局長がおっしゃるように、いろいろ問題があることは分かります。しかし、そもそものことを言えば、もう新しい技術が発展した今日、通信とは何なのか、放送とは何なのか、新たな定義が必要なはずです。古典的な定義にこだわっていたら全然時代に即応できないわけです。そういったことも含めて、この通信の秘密の在り方、保護すべきものは何なのか、そういったものを早急に研究会を設けて検討を進めていっていただけることをお約束していただけますね。できるならば立法化、その前に、例えば立法化に時間が掛かるんであるならば、違法性阻却となり得るようなガイドラインを作るとか、そして何年か先にはすぐ法律を作るとか、そういったことはお約束していただけますね。
○国務大臣(片山虎之助君) とうとうたるIT化、インターネットの急速な普及や利用を含めてのとうとうたるIT化の中で、今までの物の考え方でいいのかどうかというのは確かにありますので、通信の秘密と公共の福祉の関係についてちょっと幅広に研究をしてもらって、そういうことの中で我々としてはどう対応するかを見付けてまいりたいと。今、インターネットを利用しての選挙運動を我々は考えているんですが、これもやっぱりそこのところがいろいろあるんですよ。通信の秘密、公共の福祉、この辺の接点をどこに求めるか。そういうことでございますので、研究会はいずれにせよ近々に立ち上げて、そういうことの対応を始めてまいります。
○内藤正光君 終わります。
○委員長(山崎力君) 速記をちょっと止めておいてください。
    〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) 速記を起こしてください。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎です。
  今日は、ワン切りの問題についてようやくこうやって法律によって一つの防止策ができると。迷惑メールのときも多少時間掛かりましたけれども、今回のこのワン切りの問題については比較的早い対応が法改正という形でできたということでは高く評価をしたいと思います。
  先ほど迷惑メールの話も少しあっておりました。既に施行した法律でございますけれども、この迷惑メールに関する法律、どんな方式でやっているかというと、言わばオプトアウト方式というんですか、今のこの迷惑メールの問題については、受信者からの通信拒否の意思表示があった場合には以後の通信を禁止する方式、これが今の迷惑メールに対する方式としては取られているわけでございますが、先ほど実態の話もあっていたように、なかなか、そうはいうものの、防げるものもあれば、逆にこの迷惑メールの問題、完全に解消できたかというとそうでもない。これをどうしていけばいいのかというのは様々まだ考えなければいけない問題があると思っておるわけでございまして、これは前回法律を作るときにも検討の対象になったとお聞きしておりますし、一つのやり方だろうと思いますが、私はやはりこの迷惑メールの対策として、一つの方式としていわゆるオプトイン方式の問題も、やはりこの法律施行後時間がたってきた、その中でなかなか解消ができない問題もある、そういった中で、このオプトイン方式の問題も検討すべき時期に来ているんではないかと、このように考えておるんですが、迷惑メールの今の現状を踏まえて、その辺についての御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君) 先生御指摘のとおり、今の現行法ではオプトアウト方式が採用されているところでございますけれども、このオプトイン、御指摘のオプトイン方式につきましては、望まない限り広告メールを受信しなくて済むということで、迷惑メール対策としては非常に有効なものだというふうに考えられますが、その一方、電子メールによるマーケティング全体に対しても強い規制を課すことになりかねないという問題がございます。
  現在、法律が施行されて五か月経過したばかりでございますので、このオプトイン方式の採用の必要性につきましては、今申しましたような問題点、それから効果というのはあるわけですが、その効果、あるいはインターネット市場全体への影響などを総合的に勘案して検討する必要があるんじゃないかなというふうに考えております。
○木庭健太郎君 いつもこれは追っ掛けっこみたいなところもあるんですけれども、こういう問題というのは、ただやはり、新たな事態に対して、次に対して手を打っていくというようなことを考えておかないと、なかなか問題の解消にはならないんじゃないかなと思っておりますので、様々な観点で、迷惑メールが今どうなっているかという現状も把握しながら、やはりいろんな方法を考えていただきたいと、このように思っております。
  今回のこのワン切りによる被害の問題につきましても、総務省は迷惑通信への対応の在り方に関する研究会において、この被害から消費者の保護策、救済の在り方についても多分研究会でもいろんな意見があったと思うんですが、研究会でどのような議論があったかということをちょっとお聞きしたいと思っているんです。
  といいますのは、例えば、この迷惑メールの問題等につきましては、いわゆる消費者の救済規定というようなものを実際設けているわけですね。ただ、今回の場合は、法律が有線電気通信法の一部改正ですから法律になじまない面もあるのかもしれませんが、そういった規定が全くないというような問題もある。この点についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君) 今、先生御指摘いただきました研究会、これ今年の八月から十月まで開催をいたしましたけれども、この中では、ワン切りを防止するために、制度面の対応、今これはこの法律でお願いをしているものでございますが、それ以外に、電気通信事業者による自主的な対応あるいは技術的な対応など、発信者側、受信者側、そのネットワーク全体における総合的な対応が必要であるという指摘がございました。また、総務省や電気通信事業者はその自衛策について分かりやすい周知に努めるべきであるというような指摘もなされております。
  今御指摘のございました迷惑メールの法律と同様の規定をワン切りについて設けることにつきましては、今回の法改正が営利事業者がワン切りを行えば直ちに処罰をするというものでございますので、そういった面では再送信の禁止等の規定は設ける必要はない、迷惑メールにそういう規定がございますが、そういうものはないと考えております。
  また、消費者保護の観点で総務大臣に対する申出とか苦情処理とかそういったものも迷惑メール法にはございますけれども、今御説明しましたように、このワン切り行為そのものを規制をするということでございますので、これで相当抑止効果があるのではないかというふうに考えておりますし、それ以外の今申しましたような事業者の措置とかそういったものを考えますと、消費者保護というのは図られるのではないかなというふうに考えております。
○木庭健太郎君 加藤副大臣にお尋ねをしておきたいんですけれども、やはり今度の法律だけ見てしまうと、どうしても有線電気通信設備の保護というような、法律だけで見てしまうとですよ、そういう色彩がどうしても強く見えてしまうし、やはりこれをやる目的というのは、一つはやはり、それを受けて迷惑を受ける側の人たちの観点をどう考えるかということなんだろうと、法律自体を見てしまうとそう感じるわけですよね。
  したがって、実際にプロバイダーの責任制限法でも特定電子メール法でも消費者保護という観点から規定がなされているわけです。そういう規定によって、ある意味では私は消費者保護の効果が出ているんだろうと思いますが、出ているのかどうかということの確認をするとともに、やはり今回の改正、消費者保護という観点というのは、立っていらっしゃるんだとは思いますが、全然明記されないものですから、これはどうなのかなという疑問が残ると。
  その点について副大臣から答弁を求めておきたいと思います。
○副大臣(加藤紀文君) 今、先生お尋ねのプロバイダー責任制限法、これは今年の五月二十七日から施行されました。この法律におきまして、例えば、内容は御承知のとおりでありますから省かせていただきますけれども、この法律によっていわゆる、何といいますか、これと迷惑メールと、この両方の法律が施行されたことによってかなりのいわゆる消費者保護といいますか実効が上がっている状況でありますが、今回のいわゆる有線電気通信事業法の改正により、消費者保護に至る前の段階で、先ほどから局長や大臣御答弁のとおりに、元から断つというわけでありませんが、その行為をした時点で罰則が適用されるわけでありますから、かなり消費者保護の方にも役に立つという考えでおります。
○木庭健太郎君 今回の改正は、言わばどういうものがワン切りかというものを規定をするわけですよね。そういった意味では、今回の改正によりましてどうなるのかとお尋ねしておきたいんですけれども、これ結局、営利を目的としない者が行うワン切りというのは処罰の対象にならないわけですね。さらに、営利事業者が当該事業に関しないで行うワン切り、これも処罰対象外。多数に該当しない程度の数の相手方に受信されることを目的として行うワン切りも処罰の対象外。そういうことになっているわけですが、なぜそうなっているのか、その理由を伺っておきたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君) 今、先生からございましたけれども、逆から申しますとこの四つの要件がこの法律では必要だということで、処罰するためには、一つが営利事業者が当該事業に関して、二つ目が多数の相手方にワン切りをする目的を有して、三つ目がワン切り機能を有する装置を用いて、そして四つ目が実際に符号を送信するということでございますが、ちょっと変な言葉で申しますと、ワン切りというビジネスモデルは、ネットワークをただで使って不完了呼で目的を達すると。その着信履歴に対して応答するという人間がまず少ないでしょうから、大量にわっとやらなければいけないと。しかも、その着信履歴によって応答した者についても有料な番組を聞かせなきゃいかぬということになりますと、物すごく当たりは少なくなるわけですから、多数の者にやらなければそのビジネスが成り立たないという代物だろうと思います。
  今回、そういうものを、そういうビジネスモデルであるということに着目をしてこういう要件で絞ってそれを対象にしたということでございますけれども、いわゆるワン切りというのはそういうものでございますので、そのワン切り行為に着目をしたということでございます。
○木庭健太郎君 現状はそうだろうと思うんです、現状は。ただ、本当にこのワン切りという問題、今後どんなふうな形でこの枠外に出てくるかどうか分からない部分も正直あるようなところがあるんですけれども、結局、今後、私が申し上げたいことは、やっぱり受ける側の消費者をどう保護するかという観点に立つんであれば、結局、処罰対象となる、例えば処罰対象となるワン切りであったとしても、電気通信事業者によってブロックされない限りは利用者の端末には履歴が残ってしまうというような問題もあると思うんですよね。
  だから、私が申し上げたいのは、利用者の端末に送信されてしまったワン切りという問題を考えたときに、総務省としてこういう問題どうお考えになられるのかというようなことを、先ほども申し上げたように、こういった問題は一つの、うまく法の網をくぐりながらいろんな問題を起こしてくる、それに対して法律を作る、それに対してまた起きるという問題もあるんですけれども、そういった点について大臣にお伺いしておきたいと思うんですが。
○国務大臣(片山虎之助君) いろんな消費者保護からいったら御議論あると思いますね。ただ、今までも議論してまいりましたように、通信の秘密を最大限守るという観点から必要最小限度ぎりぎりの規制をしているんですね。だから、営利でなきゃいかぬとか目的がこうでなきゃいかぬとかそういう制約を付けておりますから、この辺は今後状況を見ながら私は議論していく必要があるんだろうと思いますし、また、法律だけじゃなくて、例えばNTTを始めとする電気通信事業者による約款の改正だとか、ブロックですね、受信のブロックサービスだとか、あるいは携帯端末の機能を強化していくと。例えば、着信開始数秒間が音が出ない着信メロディーを提供するとか、呼出し時間が表示する制度だとか、いろんなことが端末の機器開発でも考えていかにゃいかぬのです。こういうふうに思いますしね。
  基本的に、知らぬ人から掛かってきたら、見知らぬ着信履歴があったら掛け直さないことですよ。日本人はそういうのをすぐ掛けるんですよね、まじめというのか。だから、そういうことのPRも大いにしていきたいと思いますしね。
  私どもの総務省としては、先ほども言いましたが、通信の秘密そのものも法的ないろんなことを研究してまいりたいと思いますし、その上で、今言いましたような電気通信事業者の取組あるいは機器の開発、あるいは国民に対するPR、そういうことを含めて総合的な利用者保護、消費者保護、国民保護を考えてまいりたいと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
  私も、この情報通信の分野、携帯電話などにおいては消費者保護、ユーザー保護対策が非常に重要だというふうに思いますので、まずお伺いしたいんですけれども、例えば携帯電話で消費者が困った場合には、大体通信事業者にまず連絡をすることが考えられます。しかし、行政の面では、国民生活センターとか消費生活センター、また総務省にも電気通信消費者相談センター、こういう窓口があるというふうに聞いております。当然、事業者の責任というのはあるんですけれども、客観性、中立性、科学性を担保する上でも、行政が消費者の安全、安心を確保できる環境を作ることが大事ではないかと思います。
  消費生活センターの相談を見ますと、どういう相談が多いかといいますと、これ国民生活センターの統計ですけれども、IT分野のワン切り、これが非常に多くなっていて、また国際電話料金の不当請求、マイラインやADSLの契約トラブル相談、こういう運輸・通信サービスへの相談件数というのが一位になっているそうです。全体の相談件数も右肩上がりになっています。
  ところが、例えば一番の専門家というふうに言われております総務省の電気通信消費者相談センター、これ聞いてびっくりしたんですが、実は本省の職員の方が七人、超多忙な中で通常業務の合間に電話を受けているという体制だそうで、本当に心もとない体制だなと思うんですが、国民生活センターの充実とともに、専門の相談員の配置とか研修の強化、また総務省自身も体制強化、センターにふさわしい体制強化が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
  また、若い人にも分かる相談場所を徹底させる広報、こういうのが、特に若い方が被害も多いし、携帯電話も持っておられるので、そこはどうかなというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府参考人(鍋倉真一君) 平成十年から、先生言われました電気通信消費者相談センターというのを設けております。御指摘のとおり、年々、電気通信、情報通信に関する相談というのは増えておりまして、この当省の相談センターでも、平成十三年には七千三百八十三件ということで、前年度に比べますと一・五倍というふうに増加をしております。
  こういうことを受けまして、増加をしてくるものですから、本省だけではなくて、地方に地方総合通信局がございますが、こういったものの活用も含めまして、あるいは本省のこの相談センターにつきましても、実は今、室でやっておりますけれども、課の組織要求あるいは定員の増要求などもやっております。そういった充実強化を図っていきますとともに、若年層を含めて広く国民に周知する必要があるというふうに認識をしているところでございます。
  また、消費者センター、全国の消費者センターの相談が増加、急増しております。実はこの一番の問題は、消費生活センターの場合には情報通信の玄人の方がおられないというようなこともございますので、私ども総務省の職員をセンターの研修に派遣をしていろいろ対応しているということでございますけれども、これを更に強化をしていきたいというふうに思っております。
○八田ひろ子君 日本消費者連盟というのは、今言われた電気通信相談センターに電話が掛かりにくいという苦情が、電話がつながらない、こういうことも言っていて、体制ができていない。また、相談をしたんだけれども、業者に言うようにと言われただけで相談に乗ってもらえない、こういうのも出ているわけで、解決までサポートできる体制が必要なんですね。
  国民生活センターというのは、昨年、閣議決定された合理化計画で独立法人化して、相談は今言われたように増加していても、効率化を理由に消費者からの相談業務やテストの廃止、縮小を決めているんですね、商品比較テスト。だから、こういう全国の自治体においても消費生活センター廃止、縮小の方向ですから、消費者の願いと逆行しているので、やっぱり体制強化が私は必要だと思うんですね。
  次に、大臣に一つ伺いたいんですけれども、私、この迷惑メールやワン切りというのは何かいつも後追いで大変だなというふうに思っているんですが、二つ、大臣に検討していただきたいんですけれども、未然に消費者への被害を防ぐ対策として、携帯電話などの製造メーカーの責任が大きいんじゃないか、ちゃんとアセスメントなどをやってそういう対応をするとか。もう一つは規制の問題ですね。IP電話などの普及で、自動ダイヤル装置などを使っての営業目的、今回の法案もそうですけれども、これ増加するというふうに予想されていますよね。ですから、やっぱり外国のように、この自動ダイヤル装置を使っての営業目的の電話広告とか宣伝、勧誘、これは受信者の同意を得た場合に限るとか、深夜や早朝はこういう勧誘電話等はさせないと、こういう規制も必要ではないかと。
  この二つの点で大臣に伺いますが、いかがでしょう。大臣、一言。
○副大臣(加藤紀文君) 先生御指摘のとおり、今、目覚ましい技術の進展によりまして電気通信サービスの利便性の向上が図られておりますが、特にIP電話等のIPネットワークを活用した高度なサービスが国民に浸透してくれば、電気通信をめぐる新たなトラブルが登場することも考えられます。これに対応するためには、電気通信分野における消費者対策について、政府、電気通信事業者、メーカー等が連携して推進していくことが重要だと考えております。
  御指摘の、メーカーによる消費者対策の強化、改善も今後重要な課題として積極的な働き掛けをしてまいりたいと考えております。また、電気通信の悪用から消費者を保護するための規制についても、適正に講じていくことが必要だと考えております。
  今回の改正は、正に社会問題化しているワン切りについて、これに絞って早急に対応しようというものでありまして、御指摘の自動ダイヤル装置を用いた電話勧誘や夜間の電話勧誘については、現時点ではまだ社会問題化していないことから法規制は行っていないわけでありますが、いずれにしても、今後とも法制度整備を含めて消費者保護のために必要な対策を適時適切に講じてまいりたいと考えております。
○八田ひろ子君 国民が電気通信に不安を持たないよう、そういうものを払拭する体制というのがいろいろ必要ではないかなというふうに思いますので、是非お願いしたいと思います。
  次に、電気通信事業者の問題について伺います。
  NTTの十一万リストラで、NTT本体に残った労働者の広域配転と家族的責任の問題について、まず、厚生労働省においでいただいておりますので、伺います。
  育児・介護休業法の改正は、法第一条の、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与する、雇用の継続促進、職業と家庭生活の両立、こういう目的を更に強化するということで第二十六条の改正が行われたと私は理解しておりますが、それで間違いないでしょうか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 子供の養育や家族の介護を行っている労働者の場合ですが、転居を伴う配置転換の場合には雇用の継続が困難になったり、職業生活と家庭生活の両立の負担が著しく大きくなるといったようなことがございます。このために、前回の育児・介護休業法の改正で第二十六条を新たに設けたわけですけれども、事業主に対して、育児や介護を行う労働者の転勤について配慮を求めるということにいたしたわけでございます。
  委員がおっしゃるとおりでございます。
○八田ひろ子君 本当に法の目的、労働者の雇用の継続と職業と家庭生活の両立ですね、これを踏まえて配慮義務というのがあるわけです。ところが、育児や介護の責任を負うNTTの労働者に対して、この転居が必要な広域配転が大規模に行われていて、非常に困っている方が多い。
  お手元の二枚目の資料がその一部なんですけれども、十一月二十一日の衆議院の総務委員会でも矢島議員もこの問題取り上げまして、この表にない方も一杯ありまして、この表にない方で、例えば愛知県豊橋市から東京に単身赴任中のNTTの西日本の方、西日本だけれども東京に単身赴任です、兵道耕三さんという方なんですけれども、この方は、お母さんが七十四歳で身障手帳を持っておられて、元気なときも介護が必要なんですが、メニエール氏病の治療や頻繁に起こる腸閉塞の対応が日常的に必要で、パートナーは共働きですけれども、足の手術をされて歩行が困難で、子供さんは一番下の方が保育園にまだ通っていらっしゃって送り迎えがある。
  こういう兵道さんの状況、家庭の育児、介護の状況を把握しない段階で転勤の内示を出されて、本人は一日前だったのでとてもびっくりして、これではとても東京に行けない、困ったというふうに言われたらしいんですけれども、その意向をしんしゃくすることなく一週間後は着任だということで、今単身赴任なんです。この際、要綱に、ガイドラインですか、あるような育児、介護の代替手段があるかどうかという確認も行われていないそうです。
  私、これでは、仕事を続けながら育児、介護の責任を果たしたいという思いに配慮されていたのか、そういうふうに思えないという例だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 一般論でお話をさせていただきたいというふうに思いますが、先ほど議論にありました育児・介護休業法第二十六条に基づきまして事業主はどういうことを求められるかということなんですけれども、育児や介護の状況がどうなっているかということの把握ですとか、あるいは労働者本人の転勤についての意向をしんしゃくをするといったようなことを事業主にやっていただくということが求められております。
  ただ、結果を問うものではないといいましょうか、例えば、今申し上げましたような配慮をしていただいた結果、事業主に対して転勤させないということを求めるとか、あるいは勤務地を別に変更するといったようなことを、そういった結果を求めるという規定ではございませんので、配慮のための手続をしっかり取っていただくというところが大事かというふうに思います。
○八田ひろ子君 今日、皆さんに表をお配りをしたのは、今言った例だけでなくて、育児・介護責任のある労働者の意向をしんしゃくせずに広域配転が、これ一枚だけですけれども、一杯あるんですね。
  例えば、この真ん中にあります、北海道の方があるんですけれども、北海道支店総務部人事労働担当課長が何とおっしゃったか。両親の介護等を要するのだというのであれば、なぜ退職、再雇用を選ばなかったのか、こういうことを公式に述べられている。裁判所に出した書類ですけれども、向こう、会社がですね。
  育児・介護責任のある労働者はNTTを退職せよ、こんな暴言が平気で横行する。これでは、配慮しないというのが会社の方針でやっているとしか考えられない。これは法の精神が無視されているとしか思えませんが、その点ではどうでしょうか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、委員がおっしゃいました、介護責任のある者は会社を辞めよといったようなやり取りがあったかどうかということについては把握しておりませんけれども、もしそういうことが仮にあったということであれば、これは育児・介護休業法の精神、そして二十六条の規定の精神に反することであると思います。
○八田ひろ子君 本当にそうなんですね。
  私、大臣に、NTTというのは国が大株主で、法によって総務大臣も監督命令出せるし、報告も聴取できる、公的責任を有する日本を代表する大企業なんですね。そういう会社が、日本が批准しているILOの百五十六号条約が求める仕事と家庭の両立を目指した男女共同参画基本法とか育児・介護休業法の精神を無視して、嫌がらせのように遠隔地にこういった家庭責任のある労働者を転勤させる。こういうのを政府も認めているんだというふうに一般的に思われたら、日本じゅうの企業が、それじゃ仕事か家庭かと選択を迫ってリストラの手段に使うという心配もある。法に穴を空けるという心配ですね。これでは、二十一世紀の最重要課題と政府が言われている男女共同参画社会、ジェンダーイコールの社会というのは実現できないと思うんですね。
  ですから、大臣にもそういう視点から、今日は時間がありませんので答弁求めませんけれども、是非認識をしていただいて対処していただきたい、これを強く求めて、私の質問を終わります。
○松岡滿壽男君 ワン切りに対する苦情相談が、平成十三年度が十万四千件ですか、平成十四年度の四月―八月の間で約四万件に上がっているわけですけれども、実際、ワン切り被害でどのようなものがあったのかをまずお伺いいたしたいと思います。
○副大臣(加藤紀文君) 先生御承知のように、このワン切りといいますか、ワン切り業者というのが、携帯電話の端末に、着信履歴表示機能を悪用して着信履歴にコールバックさせる、それによって有料の音声サービスとか聞かせまして、当該利用者にその情報料を請求することを目的として多量に発信するということでありまして、この被害が、正に昼夜を問わず着信音が鳴ることによって平穏な生活が害される、また今申し上げました着信履歴にコールバックするとアダルト番組などの有料の音声サービスに接続されて、後日、高額な料金を請求されるといった被害の相談が総務省にも寄せられております。
  また、電気通信事業者側におきましても、ワン切りが原因となりまして電気通信ネットワークにふくそうが生じまして、電話が長時間にわたりながらつながりにくくなるといった被害も生じているところでございます。
○松岡滿壽男君 私も、着信の電話番号があったものだから一回電話しまして秘書に笑われてしまったんですけれども、やっぱり政治家としては着信番号出ていると、つい打ち返す習性があるんですよ。それからもう恐ろしくなって携帯電話持たないことにしてしまったんですけれどもね。
  これで、今度は罰則を規定しているわけですよね。ワン切りを受けた者が警察に届け出ることから違反者の摘発というものが有効にこれ本当にできるんでしょうかね。また、今までに違反者の摘発が実際にどの程度行われているのか、それを伺いたいというふうに思います。
○政府参考人(鍋倉真一君) まず、ワン切りが行われたと推測される場合には、受信者や電気通信事業者が捜査当局に告発をするということが考えられます。次に、ワン切りが行われたとの嫌疑が高まれば、捜査当局が令状を取得して捜索、それから押収を行ってワン切り業者を特定をするということになると考えられます。
  なお、先生御質問の今までの例でございますけれども、当然、この法律を今お願いしておりますので、この法律に基づくものはございませんけれども、これまでワン切り事業者、ワン切り業者について有罪が確定したものとしましては、これは私ども報道で承知をしておりますけれども、わいせつ物陳列罪に該当するということでなされたものがあるというふうに聞いております。
○松岡滿壽男君 この法案自体は私どもも賛成でございますし、これ以上先行議員の質問がいろいろありましたのでいたす考えはございませんし、今日は十二時からフィリピンのアロヨ大統領の演説がありますし、私も議運のメンバーなものですから十分前に行かなきゃいかぬものですから、この問題につきましてはこれで終わりますが、一点だけ総務大臣、この前、十一月の十九日の記者会見のときに、私も、もう二年ぐらい前ですかね、保利自治大臣のときに陳情問題、年末の。これは山口県から来ると一人六万円ぐらい掛かりますからね。だから、千人来れば六千万掛かるし、二千人来れば一億二千万掛かると。全国でもう大変だと思うんです、これ陳情、年末の。やはりそれについてもう少し対応されたらどうですかという話をしまして、それはもう来年からきちっと対応したいというようなお話でしたが、せんだっての総務大臣の記者会見で、塩川財務大臣は、陳情が物すごく多く、あれだけのお金や何かどうなんだろうと言われたんで、陳情にたくさん来たほど減らしたらいいと私は言いました。全部記録を取って、陳情にたくさん来たところはそれだけゆとりがあるのだから減らすということを記者会見で言っておられるんですが、これ具体的にそれじゃどのように陳情に対応されようと考えておられるのか、その秘策をお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 松岡委員から今紹介されましたのは、閣議で塩川さんが、まあ陳情が次から次へゴキブリと言ったんですよ、これは余り適当じゃない言葉ですが、ゴキブリのようにたくさん来ると、大変だと、こうおっしゃるから、いやそれを止めるには陳情に来たほど予算を減らしたらどうかと、こういうことを申し上げたんですけれどもね。
  今いろんな大会やっているんです、いろんな関係が、東京で。大会をやっていますから、地方からその大会に来られて、そのついでにというか、その足で各省お回りになっているケースが多いと思います。各省に来て地方の実情を言ったり自分のところの要望を言うことは私一向構わないと思いますけれども、まあぞろぞろぞろぞろ大勢の方が来るのはどうかなと前から思っておりますが、それ松岡委員、昔よりは相当少なくなりましたよ。昔はですね、私なんかも県におったころは、部長や副知事になると、県に予算の編成のときにおると、おまえは仕事をしていないと非難されるんですよ。だから、それじゃ東京に来ようかと。東京に来てもすぐ帰るとまた仕事をしていないと怒られちゃいかぬものですから、長逗留したりなんかをするので、これ見る世間の方も考え直していただかにゃいかぬと思いますが、そのころに比べると相当私は今予算編成の期間少なくなりましたし、地方からの陳情も物すごく少なくなったと思いますけれども、それでもこの十一月末から十二月初め多いですね。
  これはやっぱり各地方団体があるいはいろんな関係の団体が節度を持って対応していただくと、こういうことじゃないでしょうかね。ちゃんとした話は私は是非聞かせていただきたいと思いますけれどもね。紙を持ってきて大勢でわっと来られてあっという間にお帰りになるようなことが果たして効果があるのかなと、こういう気がいたしております。特に秘策はありませんが節度をこれから是非求めたいと考えております。
○松岡滿壽男君 大臣と同じように私も地方で市長をやっておりましたので、そういう陳情の経験がずっとありますし、ある面ではやはり多少東京に来ることによって気晴らしという部分もあるわけですが、問題はやはりこれ国民の税金なんですよね。
  それともう一つは、結局今、道路公団の問題も相当もんでおるようですけれども、結局その地方行政におる人たちが先が見えなくなっちゃっていると。一体この国のかじ取りというのはどういう方向に向かっていくんだろうかという危機感もやはり私はあると思うんですね。やはり、だからもう少しこういう方向に行くんだということをやはり示さないと、非常に不安だから、地元にいてもやはり東京の様子を見たいという気持ちも私はあると思うんですね。そういうこれからの国の姿というものを、あるいは地方との関係、合併問題も含めてですね、非常に不安に思っているんですよ。
  で、大臣も御指摘のように、国、地方を通じて四兆円も税収が減ると。その中で一体我々どうなるんだろうかという不安がやはりあるというふうに思います。そういうものにひとつきちっとした姿を早く見せるということが大事だと思いますし、もう一つは、やはり陳情が多いところ、逆に予算削るということを言っておられるわけですから、そういう姿をどこかでひとつ見せられることが私は必要と思うんですよ、本当に。
  そういう問題含めてもう一度大臣の御決意を承って、私は質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 松岡委員の言われるとおり、やっぱり将来に対する不安というのが皆さんあると思いますね。だから、それをどうやって解消していくか本気で考えなければならないと思いますし、特に地方の場合には、やっぱり地方財政が御承知のように国の補助金、負担金に相当依存しておりますし、あるいは一般財源といっても地方交付税に依存していると。この状況をできるだけ直していって、やっぱり自主財源、自前のお金を増やしていくということがどうしても必要なんで、そういう意味で税源移譲と国庫補助負担金の整理縮小と地方交付税の見直しの三位一体の改革を是非やりたいと、こういうふうに思っておりまして、東京に行かなくてもそれぞれの地方で自己決定ができると、その代わり自分で責任を持つと、こういう体制に直していくことが是非とも必要ではなかろうかと、こういうふうに思っておりますし、目に余るような陳情や、上京でのいろんなあれがあれば、私どもの方では特別交付税その他もありますので、そういうことの過程を通じてある節度を求める、反省を求めるということは検討させていただきます。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
○又市征治君 社民党の又市です。
  今、この法改正によって、つまり刑事罰によってワン切りを規制しようとしているわけですけれども、防止の方法はほかにも今、幾つか考えられますね。一般に、犯罪や迷惑行為に対して刑罰でしか対処できない場合もあるでしょうけれども、この新しい技術を悪用したこういう行為に対しては技術面からの防止策も検討していくべきではないか、こんなふうに私は思います。
  そこで、総務省が八月に行ったモニターアンケートがありますね。これではモニターの皆さんはワン切りに対してどのような対応を望んでいるのか、多い順に上位三つぐらいを、その割合も含めて御紹介をいただきたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君) 先生今御指摘のモニターのアンケートでございますけれども、これは総務省では平成六年から実施をしておりまして、電気通信に関する利用者の意見とか要望等を把握することを目的としております。千人を対象にお願いをしております。本年八月にもこのモニターアンケートを行いまして、迷惑通信のうちの特にワン切りに関しまして調査を行ったということでございます。
  このアンケートではワン切りへの対応策として次の三つが多かったということでございまして、一つが、新たな法を整備してもらいたい、それからもう一つが、電気通信事業者による迷惑通信防止、予防サービスを充実してもらいたい、それから、悪質な業者を取り締まってもらいたいという回答が上位三つでございまして、それぞれ若干違いますけれども、六割ぐらいの回答があったと。六割、これは複数で回答ができるものですから、それぞれ六割あったということでございます。
○又市征治君 このモニターの回答ですから、一般国民に比べて日ごろから役所への親近感は強いはずですが、必ずしも、今も話ありましたけれども、新たに法律を作って罰しろと言っているのが多かったというわけではないわけですね。
  今年八月に、総務省は迷惑通信への対応の在り方に関する研究会を設けられています。これは八月二十三日に第一回を開いて、わずか四回目の十月四日に報告を出されているわけですが、超特急でのこの報告でデータも載っていないんですけれども、一応技術的な防止策も検討されたようですね。
  そこで、二点お伺いをしたいと思うんですが、まず第一は、一番穏やかな商業ベースの対応策として料金を取るというやり方、つまりワン切りは、先ほどもありましたけれども、現在の課金システムでは料金に加算されないからこそ何万回も発信をしても採算が成り立つ、こういう格好になっているわけですね。そこで、一度でも受信者につながったら料金に加算するというふうにシステムを変えるとか、あるいは受信側の電話機に着信電話番号を残すのが目的なわけですから、番号を残したら通話が成り立ったとみなすとか、こんなことの検討はされているわけですか。
○政府参考人(鍋倉真一君) 今、先生御指摘のとおり、ワン切りというのは、我々、不完了呼と言っておりますけれども、いわゆる受信者につながらない、そこに課金はすることになっていないということで、要するにただでネットワークを使うということで成り立っているビジネスモデルでございます。
  ですから、こういうものに対して課金をするということになりますと、ワン切り事業そのものが成り立たなくなるということで非常に効果があることだろうと思います。
  ただ、この不完了呼に対して課金をするということになりますと、幾つか問題点があるんじゃないかなというふうに思います。
  一つは、間違い電話で、ああ、間違ったなと思って切っちゃう、そういうものにも課金をされちゃうということになりかねませんので、なかなかそういった方々を含めた国民利用者の幅広い理解が得られるかどうかという問題がございます。それから、今現在のネットワークは不完了呼をカウントするシステムがないものですから、課金するためのシステムに多額の設備投資が掛かるということで、この設備投資はひいては受信者全体に転嫁されちゃうという問題点がございます。それからもう一つは、国際的にも不完了呼というのは課金が行われていないということでございます。着信履歴を残した場合に限り通話は成り立ったものとみなすというものについても、今申しましたような同じ問題点があるというふうに考えております。
  なお、特定の場合に課金をするということでございますが、実際にもう一部の携帯電話事業者で既に導入をしておりますけれども、個々の受信者がワン切り業者の電話番号を登録した場合には、以後ワン切り業者がその者に発信をしましても電話をブロックして逆に課金されるというような制度は導入をしているところでございます。
○又市征治君 もう一つ、技術的対処について伺いますが、報告書が出されまして、その三、今後の対応のうち、約款等による対応という箇所で、受信者が発信番号を指定しなくてもワン切りを一括して拒否するという意思表示をもらえば局の交換機でブロックすることが可能だという意味のことが述べられていますね。
  ただ、その要件が大変難しいようですけれども、一定の人数からこの発信者はワン切り業者だからという申告があれば適用する、こんなふうに言われていますね。また逆に、それを公表して反論権を認めるとも書いてあるわけです。あるいは、第三者機関でそのブロッキング指定の公正さを調査をするという方法もあるというふうに考えられているんでしょう。しかし、通信の秘密があるから勝手に着信履歴を調べることはしないとも書かれている。
  ここの部分、もうちょっと簡潔に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君) ワン切りへの対応策の一つとしまして、ワン切り一般について受信を拒否する、受信者からの意思表示に対応して着信をブロックするという方策がこの研究会で提言をされております。これは、今、先生御指摘のとおり受信者側の交換機側でブロックをするということになりますが、仮にこの方法が取られた場合には、各受信者がブロックすべき番号を設定しなくてもワン切りの着信を防止するということができるという非常に大きな効果がございます。
  ただ、この方法については、どのようにブロックすべき番号を特定するかということが問題でして、ワン切りだということで百人の方から申告があればそれでいいのかというような問題がございます。例えば、百人を超えれば、受信者からそういう申告があればブロックするという、そういう方策を取るということは考えられるんですが、ただこれはワン切り以外の発信まで規制することにひょっとしたらなりかねない大きな問題がございますので、ブロックするワン切り電話番号が実際にワン切りに使われていることの確認方法について更に検討していかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
○又市征治君 大変困難な仕分作業だとは思いますけれども、通信の秘密保護との両立を図りながら、技術革新によって刑罰以外の取組によっても可能な防止策というのは積極的に取り組んでいくべきだろうと、こんなふうに思います。そのことを政府及び民間通信事業者の皆さんにお願いを申し上げなきゃならぬと、こう思います。
  私どもとしましても、今のこの法改正そのものについては賛成という立場を述べて、終わりたいと思います。
  ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
  有線電気通信法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

    〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  本日はこれにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会