運営「恩給法改正案の審査・採決ほか

(平成15年3月27日参議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○委員長(山崎力君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
  まず、委員の異動について御報告いたします。
  昨日、高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。
  また、本日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。

     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
  理事の選任につきましては、先例により、委員長の御指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないものと認めます。
  それでは、理事に辻泰弘君を指名いたします。

     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
  恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官大守隆君、総務大臣官房審議官衞藤英達君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局公務員部長森清君、財務省主計局次長杉本和行君、厚生労働大臣官房審議官新島良夫君及び厚生労働省健康局長高原亮治君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
  本案の趣旨説明は去る二十五日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
  質疑のある方は順次御発言願います。

○小野清子君 おはようございます。自由民主党の小野清子でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  まず初めに旧軍人恩給受給者につきまして、本人の恩給、遺族の扶助料別受給者数及びそれぞれの平均年齢についてお伺いさせていただきたいと思います。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  平成十四年三月末恩給統計によりますれば、旧軍人恩給受給者の数は百三十五万四千人となっておりまして、その内訳は、本人恩給が四十七万七千人、扶助料が八十七万七千人となっておるところでございます。
  なお、受給者の総平均年齢は八十一・九歳でございまして、主な恩給種別ごとの平均年齢は、普通恩給が八十三・五歳、普通扶助料が八十・二歳、公務扶助料が八十四・七歳となっておるところでございます。
○小野清子君 両方の平均で、今のはあれですね、旧軍人恩給受給者とそれから扶助料を平均した年齢が八十一・何歳でございますね。それで、恩給を受けている方は八十三・五歳ということでよろしゅうございますか。──はい、分かりました。
  これからの負担額の見込みはどのようなことになっておりますのか、お伺いさせていただきます。
○政府参考人(久山慎一君) 恩給受給者数の将来推計でございますが、恩給受給者の失権によります減少等をどのように見込むかということなど、その推計はなかなか困難ではございますけれども、仮に平成十五年度予算において見込んだ人員百三十万人を基礎といたしまして、厚生労働省作成の平成十三年簡易生命表の年齢別死亡率等を用いて機械的に推計しますと、五年後に約百八万人、十年後に約七十四万人というふうになると見込まれます。
  また、今お尋ねの今後における財政負担の見込みでございますが、社会経済情勢等に影響される恩給改善をどのように試算するか、その見通しは困難ではございますけれども、仮に平成十五年度における恩給制度を前提といたしまして失権率について機械的に計算いたしますと、平成十五年度予算一・一兆円に対しまして、三年後の平成十八年度はおおむね一兆円程度が見込まれるところでございます。
  なお、平均年齢の推計につきましては、受給者が高齢となっておるために見極めることは困難ではないかというふうに考えているところでございます。
○小野清子君 ありがとうございました。
  年月がだんだんたっていきますと、旧軍人恩給の方を受けている皆さんが四十七万人、扶助料の方が八十七万人と、扶助料の方が大変多くなっているという現状もこの数字からかいま見させていただいたところでございます。
  旧軍人恩給の受給者というのは大変熾烈な戦場で身命を賭して、国に忠誠を尽くし、貴重な青春を国にささげた人たちであるわけですけれども、旧軍人恩給というのは国家補償的性格を有する制度であるというのが政府の見解でございます。前回も私、この国家補償的性格というのは、この「的」は何なのかということを大臣に御質問申し上げたところでございますけれども、今回もまた同じ質問をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 恩給制度は、公務員が公務に従事して亡くなったりあるいは負傷したり病気にかかったりと、いろんな場合のための補償なんですけれども、これは国が公務員が公務に携わって起こることとの関係で責任を負うと、こういうことでございまして、そういう意味では国家補償が基本なんですね。国家補償が基本。
  ただ、今の恩給制度を見ますと、国家補償が基本ではございますが、例えば公的年金の制度を参考とした恩給年額の最低保障制度など社会保障的な観点もこれに加味されておりまして、そういう意味ではもう全部国家補償でまとまっているかというと、そういう社会保障的なプラス要素もあるんで、「的」として少し広くなったと、こういうことで「的」が付いているんだろうと、付いているんだと、私が付けたわけじゃありませんが、前からそういう言い方をされているわけです。基本は国家補償。しかし、それにプラスアルファ的な要素もあるんで、国家補償的というのが実態に沿うのではないかと、こういうことで使われていると思います。
○小野清子君 ありがとうございました。基本理念は国家補償であると。しかし、今、大臣がおっしゃったように、社会保障的なプラス要素もある、広くなったというふうな考えでよろしいわけでございますね。その辺の御理解を旧軍人の人たちにも私どもしていただかなければと思いますけれども、あくまでも国家補償の理念に基づく制度というこの気持ちは変わらないということでございますね。ありがとうございました。
  それで、昭和二十七年の四月三十日、法律第百二十七号により制定されました戦傷病者戦没者遺族等援護法の第一章総則第一条には、「軍人軍属等の公務上の負傷若しくは疾病又は死亡に関し、国家補償の精神に基き、軍人軍属等であつた者又はこれらの者の遺族を援護することを目的とする。」と規定されているわけでございます。
  恩給法は援護法とは異なった制度であるということは承知しているわけでございますけれども、恩給法と援護法の相違についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  今、先生おっしゃいました戦傷病者戦没者遺族等援護法でございますが、これは戦傷病者及び戦没者の遺族に対しまして国家補償の精神に基づきまして障害年金及び遺族年金等の支給を行うというものでございます。
  これに対しまして、恩給法でございますが、恩給法は国家補償を基本とする年金制度ではございますが、官吏、旧軍人、教育職員又は警察監獄職員等の一定の身分を有する公務員が相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務のため死亡した場合又は公務による傷病のため退職した場合に、国が公務員との特別な関係に基づきまして給付を行うという、言わば公務員制度の一環を成すものでございます。援護法では見られない普通恩給や普通扶助料のような年功給付も恩給法には存在するところでございます。
  なお、現在、年金給付に関しまして、恩給公務員たる旧軍人及びその遺族につきましては原則として恩給法が適用されており、援護法におきましては旧陸海軍部内の有給嘱託、雇傭人等、国と一定の雇用関係ないし雇用類似関係にあったいわゆる援護法上の軍属及び準軍属並びにその遺族が主たる対象者となっておるところでございます。
○小野清子君 万一、日本に帰国をされてから、例えば病気で亡くなった場合には、この方はどちらの方に、恩給法の方に入るわけでございますね。援護法には入らないんでしょうか。ちょっとこれを質問させていただきます。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  ただいまの点は、その方が民間人であるか、あるいは旧軍属であるか、そういうことによって変わってまいります。
○小野清子君 民間人である場合には入らないということでしょうか。
○政府参考人(久山慎一君) 入りません。
○小野清子君 これは質問の中に入れていなかったので、失礼いたしました。
  平成十五年度の恩給改定につきましては、景気の低迷あるいは国家公務員給与の減額等、大変経済状況が悪く、社会情勢などの厳しい中で、総務大臣の大変御理解によりまして、旧軍人恩給は現行据置きとなり国家補償である理念を堅持されたことに、受給者一同大変感謝をいたしております。本当にこの件に関しましては、いわゆる、先ほどおっしゃっていただきました国家補償という理念を、旧軍人恩給の皆様方、いただいている皆様方は再認識され大変喜んでおりますことをここで御礼を申し上げたいと思います。
  ところで、旧軍人恩給受給者は、御案内のとおり、極めて、先ほどからの御答弁にありますように高齢になっておりますし、そうした中でも老骨にむち打って恩給改善のために運動もしております。ということは、大変有り難い御配慮をいただいたわけですけれども、それでもまだ改善していただきたい恩給改善の分野があるということでございます。
  さい先何十年というわけでもないこの皆様方が命あるうちに改善を実現していただきたいという声がありますので、そういった点から、恩給費予算額は一兆一千三百四億円、前年度比に対しまして六百四十八億円の減額となっているようでございます。旧軍人受給者は年々減少しているわけでございますし、恩給費としての所要額は減少していくものと当然考えられるわけでございます。
  今後の問題として、旧軍人恩給受給者の要求に、減額の枠内において何らかの恩給改善というものは考えられないのでしょうか、この辺をお伺いしたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) 小野委員、日ごろ恩給制度に対する御尽力また御理解、心から敬意を表する次第でございます。
  そして、今の恩給受給者の金額並びに人数も減少ということが今数字で御報告がございましたが、この恩給制度でございますが、これは予算上、義務的経費に当たりまして、受給者数に応じて所要額を毎年、毎年度計上していると。このようないわゆる予算制度に基づいたあらかじめ一定の枠がありまして、その範囲内で運用するという性格のものではないことは御理解いただきたいと思います。
  しかし、様々な関係の御要望、また先ほどの高齢者、また国家に対する貢献と、そういったことも考えまして、私どもとしても今後とも可能な限りの努力をしていきたいと考えております。
○小野清子君 それでは、寡婦加算、〇・九%引き下げられたことに関して御質問を申し上げたいと思います。
  普通扶助料に付加されている寡婦加算額は公的年金と横並びで金額が設定されておりますため、十四年の物価変動見込み値により減額改定となっているわけでございますけれども、寡婦加算は恩給法の規定により支給されていると理解しておりますけれども、これでよろしいのでしょうか。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  寡婦加算は、遺族給付の水準の向上を図るために、昭和五十一年の法改正で厚生年金等公的年金制度と横並びで導入されたものでございまして、恩給法等の一部を改正する法律附則第十四条の規定に基づきまして支給されるものでございます。
○小野清子君 恩給法の規定により支給されているものであるならば、種々の事情はあるといたしましても、同じ恩給法の枠内にあります遺族加算は据置きとなっており、寡婦加算は引下げとなった理由はいかがでございましょうか。
○政府参考人(久山慎一君) 遺族加算は、戦没者遺族等に対する給付の水準の向上を図るために、昭和五十一年の法改正で普通扶助料に係る寡婦加算の新設と同時に設けられました公務関係扶助料、これは公務扶助料と増加非公死扶助料と特別扶助料を指すわけでございますが、この公務関係扶助料に係る定額加算制度でございまして、受給者が寡婦である場合に限らず、すべての公務関係扶助料受給者を対象といたしました公務関係扶助料の特殊性に着目した恩給独自の制度でございます。
  平成十五年度におきまして、遺族加算の額につきましては、寡婦加算以外の他の恩給年額とともに据え置くこととしているところでございます。
  一方、寡婦加算につきましては、恩給法の規定に基づき支給されるものではございますが、その制度は公的年金の制度と横並びで導入されました経緯等から、従来、公的年金の寡婦加算に基本的に連動して改定を行ってきているところでございまして、また、複数の年金を受けている場合には恩給を最優先といたしまして、一つの年金のみに寡婦加算額を加えるという公的年金との制度間調整の仕組みもあることから、公的年金との均衡を考慮してマイナス〇・九%の率によりまして引き下げることとしたものでございます。
○小野清子君 扶助料の改定について、扶助料というのが二分の一であるということはやはり少額過ぎるということで、そういう考え方から、扶助料をお受けになっている方々の立場に立ってということで寡婦加算というものが、あるいは遺族加算というものが、額でやるのか率で、パーセンテージで上げていくのか、私もこの辺は余り定かではございませんけれども、引き続き検討をしていただいて、いずれにしてもこの扶助料というものの改善は引き続きやっていくんだという政府の決意と姿勢が持たれているということを実は非常に、以前の内閣委員会で植木国務大臣が答弁しているということを、寡婦加算、あるいは軍恩関係の皆様方が承知しているものですから、扶助料の支給率等の改善を進めていく考え方はあるやなしや、その辺の御答弁をお願いいたします。
○副大臣(若松謙維君) まず、普通扶助料に係る寡婦加算でございますが、先ほど局長が答弁しましたように、遺族給付の水準の向上を図るために、昭和五十一の法改正で厚生年金等の公的年金制度と横並びで導入されたものでありまして、この普通扶助料受給者のうち、その生活実態等から見て給付の改善が必要とされる六十歳以上の寡婦及び子を有する寡婦について、相対的に低額受給者に有利となるように配慮した定額加算制度と、こういう位置付けでございますが、御指摘の扶助料受給者を含めまして恩給受給者に対する処遇につきましては今後の社会経済を十分に勘案するとともに、受給者の御要望、また小野委員の御要請等も踏まえつつ、今後とも検討してまいりたいと考えております。
○小野清子君 ありがとうございました。
  それでは、一時恩給控除の撤廃について御質問申し上げたいと思います。
  これも前回やはり質問さしていただいたわけですけれども、一時恩給を控除されることにより、最低保障額により、低額となるものについては有利に取り扱われ、最低保障額を給付されていることは私どもも承知しておりますけれども、先に受けた一時恩給を超えた額をいまだに控除されている者がいると聞いております。十五分の一ずつ返還をし、その十五分の一ずつが十五回終われば、通常であればそれで終了であるわけですけれども、それがいまだに続いて、国にお返しする分を超えた分を毎度引かれているという者が非常に大きな不満を持っているわけでございます。
  この規定を撤廃すべきではないかと思いますけれども、この件に関して御答弁をお願いいたします。
○副大臣(若松謙維君) これは、昭和二十八年の法律第百五十五の附則の規定によって、一時恩給を受けた後、普通恩給権が発生した場合には、一時恩給を一括返還するか、普通恩給年額から一時恩給金額の十五分の一を控除するというこの二つの方法、これは委員の御説明のとおりでございまして、そのうち十五分の一の控除を選択した者が相当いるというふうに私どもは認識しております。
  この十五分の一の控除でございますが、十五年賦返還といういわゆる意味ではなくて、当時の財政事情を勘案する中で終身控除するという制度を作ったものでございます。なお、これらの者につきましては、終身控除の制度を撤廃することが適当であるかどうか、また一括返済した者との均衡等も考慮しながら、いずれにしても、例えば十五年終了後は当然検討の余地があろうと思いますし、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
○小野清子君 大変いい御答弁をいただきました。今後、是非、この件に関しましては御検討をいただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。
  それでは、これも前回質問させていただきましたけれども、戦争というのはいつの時期でも大変な現状にあるわけでございます。
  湘桂作戦の加算率の見直しについてこれから質問させていただきますけれども、この加算というのは、昭和二十一年二月一日、旧軍人恩給廃止前に勅令により規定されたものであり、難しいとは思われるわけでございますけれども、例えば昭和十九年六月から十一月までの中シナあるいは南シナにおいて三十六万人の兵を投入した日中戦争の最大の激戦と言われた湘桂作戦の実態に着目し、加算の割合を、増率を現行の一月につき二月加算をあるいは一月につき三月加算に改定できないだろうかという、この件が一点。
  それから、抑留加算の方で恩給欠格者などがまだおります中で、あと一月、二月、この一月を二月にしていただくことで、総数の月日の一か月、二か月足らなくて恩欠者になっている者がまだ相当数おりますので、こういう方々の立場を考えて今質問させていただいておるわけですけれども、この日中戦争等々の加算に関しての御意見を伺わせていただきたいと思います。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  ただいま二点御質問があったかと思いますが、まず最初の点でございます。
  湘桂作戦でございますが、この作戦は、敵機の日本本土空襲を阻止するために中シナ地域の敵空軍基地を覆滅するため、日中戦争最大と言われております約三十六万人の兵力を投入いたしまして展開された一大進攻作戦でございまして、制空権を奪われた中での大変困難な戦いであったというふうに承知をいたしているところでございます。
  ただいまの加算年でございますけれども、戦地勤務など勤務の危険性あるいは特殊性といった実態に着目しながら、その在職年の評価を高めるというものでございまして、制度の枠組みは、戦前から恩給法におきましてきめ細かく定められていたところでございます。
  また、いわゆる戦務加算年等の加算の程度、それから、加算の認められる期間あるいはその地域などは勅裁で定めることとされまして、戦時又は事変の都度、内閣告示をもって公示されたところでございますが、その内容は、加算事由の生じた当時において、戦時、事変の状況を掌握していた旧陸海軍省を中心にしまして種々検討の上、決定されたものでございます。
  したがいまして、加算年の割増し率等につきまして、今日の時点におきまして改めてこれを再検討するということは、このようないろいろな経緯から見まして、いろいろ種々の問題をはらんでおりまして、慎重に対応すべきものというふうに考えておるところでございます。
○小野清子君 時が過ぎまして急に加算ということもある意味では難しいことは分かります。
  たまたま、昨年の八月二十九日でしたか、ペリリュー島玉砕というのをテレビで私見まして、わずか日数としては七十四日間の戦いということでございましたけれども、この内容に関しましては、正に大変な戦いの中で玉砕をしていくわけでございます。一万五百人おりました日本人が、最後に五十人が残ったのみと。最後まで玉砕の命が下らずに、玉砕することも許されずに戦ったという内容を見まして、しかし、食料その他の補給はゼロということで、岩を砕き、その中に座して落ちてくる滴をコップ一つに、三分の一も一日いていかない、それをみんなですすりながらなどというのを拝見しますと、その激戦という言葉が、今この平和の中にあって、そしてまた戦争当時にしろ、基準にするものは、そこの場にいる者以外にはなかなか計り知ることができないというふうな思いを大変強くいたしました。
  また、今年の二月、アリューシャン列島のアッツ島、列島、ダッチハーバーでの戦いというのをやはりこれもテレビでやりまして、偶然ですけれども見させていただきまして、島の島民三千人、非常に友好的に、日本が樺太か北海道かに移転させているんですね、島の皆さんには迷惑が掛からないように。そして激戦となるわけですけれども、これは、登場人物は、辰口信夫見習士官の日記というものが発見されまして、それに詳しく書かれておりまして、これはお医者さんの卵と言っていいんでしょうか、その方が家族に、そしてまだ生まれて一度も会っていない子に切々と書いた日記が、アメリカ兵が、この島も結局は玉砕してしまうわけですけれども、最後の突撃まで書いたメモをアメリカじゅうに翻訳をして、それがあの戦争のさなかに大変大きく反響を呼び、戦地に送り出している母親、子供たちの思いが今も戦争博物館にそれが残っているという話を聞いて、こういうときにでも命を長らえてきた者たちがいるわけですね、玉砕にしても。それから、ペリリュー島にしても五十人が残ったという、こういう人たちがいわゆる軍人恩給の恩給対象者になっているのではないかと思うんです。
  こういう現状をかんがみましたときに、国の方針として一か月を二か月、三か月にするということの中で、やはり国としての、重要作戦地であったかどうかということも大変大きく私は関係してくるのではないかということを感ずるわけです。
  これも昨年質問させていただいたんですけれども、シベリア抑留に関しましても、戦争が終わったからということなのか、いわゆる海外で拘束され、シベリア抑留された皆さんですけれども、全く戦地に従軍したと同じような状況だった、これは御案内のとおりでございます。寒さマイナス四十度、そして建物も自分たちで建てなきゃならない場合もあったと。もちろん衣料が、私も見せてもらいましたけれども、非常に薄いものですね。それから、暖もなければ、食事は黒パン一日三百グラムですから推して知るべし、あとはスープ一杯と。それで中身は重労働で、ノルマを達成しないとこの少ない食事すら削られたと。ですから、実際は六十四万人が抑留をされたという、これはロシアの抑留問題専門家のガリッキー海軍大佐の軍事歴史雑誌というのに載っているわけですけれども、六十四万人のうちの一割近くが半年間、最初の冬で亡くなっているわけです。最初の冬で亡くなっているのが六万一千人、全体で亡くなったうちの約八〇%が半年間で亡くなって、四万八千人というふうなことは、銃を突き付けられた中で、非常に寒さの中で、先ほどから危険性とか特殊性とかその評価の基準が、いろいろおっしゃっていただきましたけれども、こういう戦争と同様と思えるような状況の中で戦後に御苦労をされた皆さん方の状況が一月につき一月の割増しをするということになっているわけですけれども、果たして一月につき一月でいいのだろうかということを、こういう歴史的資料を見させていただきますと、改めて考えさせられるわけです。一月を二月、あるいは三月に直すことで、この加算による恩給欠格者と言われる方々にもある程度の救済ができるのではないかと、そのように考えさせられるわけでございますけれども。
  本当に遠い昔になったとはいえ、いまだにそれを心の中に置きながら、恩給改善のために老骨にむち打ちながら頑張っていられる皆さんの立場をかんがみましたときに、いわゆる重要、国の作戦であった戦地とそうでない戦後の問題だといって片付けられることなのかどうかなどなど、非常に私自身としては考えさせられる点が多うございます。その辺に関しましてお答えをいただければと思います。
○政府参考人(久山慎一君) 今お尋ねの点でございますが、これは抑留加算の制度の関連であろうかと思いますが、この抑留加算の制度につきましては、昭和四十年に新設されたものでございます。この抑留期間は公務員としての勤務期間そのものではなかったにしましても、その勤務の延長とも見られる特殊な期間でございまして、またその間非常に苦労されたということもございますので、特例的な措置として抑留期間を加算年の対象としたところでございます。
  また、その加算年、加算率につきましては、類似の辺陬・不健康地加算というのがあるわけですが、辺陬・不健康地加算の加算率が一月につきまして一月以内ということでありますが、実際はその最高が三分の二月であったというふうなことなどを考慮した上で、抑留期間の一月につき一月の加算率というふうにしたものでございまして、恩給制度上、でき得る限りの措置であろうかというふうに私どもは考えておるところでございます。
  そういうことでございますので、今日の時点でこれの見直しを改めて行うということは適当ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
○小野清子君 理屈からいえばそういうことになるかもしれませんけれども、同じく戦場に出掛け、そしてまた我々が想像に余りある現状の中で、日本の家族を思いながら頑張ってこられた皆さんが、帰国をしてみたら受給者の対象にならないと。それが一、二か月の差であるということであれば、一月を、三分の二月を一月にしてくだすったということは大変有り難いことでございますけれども、この条件をかんがみましたときに、正に戦地と同じような思いでこれだけの一割近くの方が亡くなったということは、いわゆる激戦地と環境的には同じと理解してよろしいのではないかと、そんなふうに考えさせていただくわけでございます。
  何度も同じ質問をするわけにもいきませんけれども、そういう思いを込めながら、最後に大臣から一言お話を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(片山虎之助君) この加算制度は、それぞれの時点で、勅裁というあれもありましたが、判断をして仕組みを作っているんですね。ただ、それが今から考えて本当に妥当なのかどうか、私は議論があると思いますね。それぞれの方にそれぞれの私は考えや言い分があるだろうと。
  しかし、全体としてはその加算制度はバランスを取ってきたと、こういうように思うわけでございまして、今、小野委員が言われるように、もう一か月あれば欠格条項が解消できるというのは大変に気の毒なような気もいたしますが、今の制度はなかなか、この今の時点で見直すということは難しいと。しかし、お気持ちは分かりますんで、研究だけはいろいろさせていただきます。
○小野清子君 ありがとうございました。
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
  恩給法改正に関連いたしまして御質問させていただきたいと思います。
  まず、今回の恩給法の改正案は、普通扶助料に係る寡婦加算の引下げということが、それがすべてということになるわけでございますけれども、先ほど質疑にもございましたけれども、年金の物価スライドとの連動ということの御説明が先ほどあったわけですけれども、確認としてお聞きしたいんですけれども、そのことは厚生年金保険法の六十二条の二のただし書の規定、またそれに基づく政令、ここにその根拠があると、こういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  予算要求時点でのお話と承りましたが、恩給費の概算要求につきましては……
○辻泰弘君 委員長、ちょっと違います。
○委員長(山崎力君) 一応……
○辻泰弘君 いや、通告は番号は違っていますけれども、三番ですね。ですから、先ほどの質問を受けた形ですから。
○委員長(山崎力君) ちょっと速記止めてください。
    〔速記中止〕
○委員長(山崎力君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(久山慎一君) ただいまの規定は恩給法の二条ノ二に規定されているところでございます。
○辻泰弘君 いわゆる連動の根拠規定ですね。結局、厚生年金法の六十二条の二のただし書、そしてそれに規定する政令というのがあって、そこに恩給法に基づく扶助料というのが厚生年金保険法の施行令にあるわけですが、結局そこがあるから連動していると、こういう理解だと思うんですけれども、それでいいですか。そのことなんです。
○副大臣(若松謙維君) まず、しっかりとこれはお答えさせていただきたいと思います。
  この寡婦加算の制度でございますが、これは先ほども御説明ありましたように、いわゆる年金、委員の御質問は年金のいわゆる物価スライドですね、それに連動してこの今回の普通扶助料の寡婦加算の引下げの理由、それについてでよろしいんですか。それとも、恩給全体のお話ですか。
○辻泰弘君 ええそうです。連動の根拠が。
○副大臣(若松謙維君) 今、それ、局長お話ししたように、第二条ノ二の年金額の改定と、そういった根拠条文があるわけでございますが、そういった説明でよろしいでしょうか。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  厚生年金保険法の六十二条の二という規定がございますが、この規定とそれから先ほど申し上げました恩給法の規定が連動いたしまして、そういうことになるという理解でございます。
○辻泰弘君 私が申し上げたとおりということですね。分かりました。
  では次の質問ですけれども、先に御答弁いただいた予算の関係になるわけでございますけれども、今年度の、今年度といいますか十五年度予算要求、予算は一兆一千三百四億円と、こういうことになっているわけでございますけれども、概算要求時点、また原案段階と、こういうことで数字がある程度移動している、これはまあ当然といえば当然のことなんでございますけれども、概算要求時点では物価スライド等含めてどういうふうな考え方で要求されたのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(久山慎一君) 恩給費の概算要求のお尋ねでございますが、概算要求時点におきましては、公務員給与改定の取扱いあるいは暦年の物価動向などが不明確ということがございますので、例年、既定経費のみを要求するということで来ているわけでございます。
  平成十五年度の恩給改定につきましても、この方針に従いまして、平成十四年度と同様に公務員給与、物価等の動向を総合的に勘案しながら検討を行いまして、方針を決定次第所要の措置を講ずるものとするということで、事項要求をしたところでございます。
○辻泰弘君 もう一つ、原案段階から、四十三億ですか、増えているわけですけれども、これは内容的にはどういうことだったんでしょうか。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
  財務省の原案におきましては、十四年は公務員給与や物価がマイナスとなっていることから、恩給の基本年額の引下げの内示がされたところ、総務大臣と財務大臣によります大臣折衝の結果、平成十五年度の恩給費につきまして、大変厳しい財政事情の下ではございますが、寡婦加算以外の恩給年額につきましては、その国家的補償、国家補償的性格にかんがみまして据え置くこと、それから、公的年金と横並びの制度として導入され、その年額を公的年金と基本的に連動して設定している寡婦加算につきましては、平成十四年の物価下落分を引き下げることを内容といたしました恩給改定措置案が決定されたということでございます。
○辻泰弘君 それで、今度の改正に伴って、当然その対象となる方がおられるわけですけれども、その方々に対しての通知ということが当然問題になるわけですけれども、その年額改正通知書になるのかと思うんですが、これはいつどのような形で出されるおつもりでしょうか。
○政府参考人(久山慎一君) お答えいたします。
  恩給年額の改定でございますが、これは法案が成立次第改定の事務処理を行いまして、その改定の内容を受給者に速やかにお知らせしているところでございます。
  今回の年額の改定でございますが、お知らせの仕方は二つございまして、一つは物価の下落に伴いまして減額となる寡婦加算が加算されている恩給受給者に対しましては年額改定通知書、それからその他の据え置かれた恩給受給者に対しましてはその旨を分かりやすく説明いたしましたお知らせを、それぞれ五月中旬を目途としてはがきによりまして通知いたすこととしておるところでございます。
  なお、今回改定される改定後の恩給年額により支払われるのは本年七月、これは四月、五月、六月分でございますが、この七月支給期からでございます。
○辻泰弘君 以下、恩給に関連して幾つか御質問したいと思いますけれども、お一人の人生の中で、恩給に最初所属されていて、その後共済になったという方がおられるわけですけれども、その方々の年金の給付というのは長期給付になるわけでしょうけれども、その部分はいわゆる追加費用といいますか、整理資源と言われている形で負担されているわけですけれども、地共済、国共済、それぞれのいわゆる恩給関係費用、追加費用の額はどうなっているかということ、そしてまたその追加費用はいわゆる会計上負担金収入に入っているということを確認したいと思います。
○政府参考人(森清君) 地方公務員共済組合の長期給付事業における追加費用としての収入は、平成十三年度決算におきましては一兆四千五百七十二億円となっておりまして、この追加費用の計上方法につきましては、各地方公務員共済組合の長期経理において負担金に含めて計上しておるところでございます。
○政府参考人(杉本和行君) 国家公務員、失礼しました、国家公務員共済組合の関係でお答えしたいと思います。
  国家公務員共済組合の長期給付事業におけます追加費用は、十三年度決算で五千四百億円でございます。この追加費用の計上方法につきましては、国の一般会計及び特別会計においてそれぞれ国家公務員共済組合負担金というものに含めて計上させていただいております。また、国家公務員共済組合連合会の長期経理におきましては、負担金収入に含めて計上しているところでございまして、先生御指摘のとおりでございます。
○辻泰弘君 今お答えいただきましたように、この両者とも、負担金に入っているわけでございますけれども、負担金収入に入るわけでございますけれども。
  それで、主計局にちょっと確認ということでお聞きしておきたいんですけれども、いわゆる国民経済計算上のことなんですけれども、いわゆる社会保障負担というのは国民経済計算上算出されているわけですけれども、その中に、今おっしゃっていただいた共済の、国共済、地共済の長期経理、短期経理、これの負担金収入、また掛金収入相当分も入っているわけですけれども、この部分、すなわち負担金収入の部分は国であれば一般会計、特別会計も郵政特会もあるわけですから必ずしも一般会計のみではありませんし、地方においても公営企業会計もあるわけですから必ずしも一般会計、普通会計とは言えませんけれども、しかし、いずれにしましても、税で負担されているということに、部分がかなりあるということになるわけでございます。今の追加費用の分も租税で賄われることになりますわけですから。
  それで、社会保障負担の定義、統計自体はそれは理解しますし、悪いわけじゃない。また、租税負担もそれぞれの定義であって悪くはないわけですが、それを合算して国民負担というのを作る段階でその当該部分が二重計算になると、なってしまわざるを得ない現状にあるというふうに私は思うんですけれども、その点について確認をしておきたいと思います。
○政府参考人(杉本和行君) 共済金の負担金収入は、国が国家公務員の雇用主として国共済の財源に充てるために負担しているものでございますから、社会保障、社会保険料負担に当たるものでございます。また同時に、先生御指摘のように、その財源は租税により賄われている部分がございますので、その限りにおいては租税負担にも含まれるものでございます。したがいまして、国民負担の計算に当たりましては、社会保険料負担と租税負担の双方に含まれているということは、先生の御指摘のとおりでございます。
  ただ、これは国際的な統計の基準でございますSNAに従っているものでございまして、SNAの基準上、社会保障負担の計算に当たりましては、雇用主の事業主負担、これはすべて雇用者報酬ということで擬制されております。その上で、雇用者が雇用主、事業主負担分と本人負担分を合わせて負担すると、それが社会保障負担に当たるという擬制が取られております。
  したがいまして、国が事業主である場合におきましてもそういう取扱いに当たることになりますので、結果として、社会保障負担と租税負担の双方に含まれるということになっておりますが、国際的な基準に従ってやっているものでございます。
○辻泰弘君 現状についての御説明はそのとおりだと思うし、理解しますけれども、ある意味では国民負担というのは国民の本当の負担の部分の実態を表すということに使われているわけですから、今のポイント以外にも幾つかあるんですけれども、そういう意味では、負担の実態という意味でできるだけ精緻なものになるようなお取組をお願いしておきたいと思います。
  では次に、恐れ入りますが、総務大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、共済、国共済、地共済の長期給付の一元化についてということなんですけれども。
  これは、平成十三年三月の閣議決定に基づいて両制度の財政単位の一元化を図ると、こういう閣議決定があったわけでございます。最近、国、地方の長期給付の統合ということが新聞等にも出ているわけでございますけれども、この点についてどういうふうな方針で臨んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 公的年金制度は、一元化の議論は前からあるんですね。だから、徐々にやっていこうと、こういうことなんですが。
  今お話しのように、平成十三年の閣議決定では、国家公務員共済と地方公務員共済を、その財政単位の一元化をやろうと、こういうことでございまして、具体的な枠組みについて検討を進めて、次期財政再計算のときまでにそれを実現しようと、前提として実施しようと。
  それが平成十六年ですから、来年ですよね。そこで、私どもの方と財務省で平成十三年十月に、公務員年金制度財政単位一元化研究会、長い名前の研究会を作りまして、そこで財政単位の一元化について議論いたしております。
  何か、私どもの方では、地共済関係者等の今ヒアリングをやったり、必要な試算をやっておると、こういうことでございまして、今の案だと国家公務員共済、地方公務員共済は組織、制度としては独立したままで、両制度間で財政調整を行うということと、保険料を、保険料率を一本化したいと、こういうことで進めておりまして、夏ぐらいまでに意見の集約を図ると、こう思っておりまして、平成十六年の改革に合わせたいと。
  現状はそういうことでございます。
○辻泰弘君 地共済の短期給付の方でお聞きしておきたいと思うんですけれども、私は、この委員会で、昨年十月の三十一日に、大臣に被用者保険の一元化という流れの中で地共済の統合・再編をどのように考えるのかという御質問をさせていただきまして、そのときに御答弁もいただいているわけなんですけれども、その後、十二月十七日に厚生労働省が医療保険制度体系の在り方等についてという試案を出しているわけでございます。その中には、「共済組合については、その自立性を尊重しつつ、保険者としての運営のあり方を検討する。」と、こういう指摘もあるわけでございます。
  今、検討中のことであろうかと思うんですけれども、総務大臣としてこの地共済の短期給付の統合・再編にどのように臨んでいかれるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、医療保険制度につきましては、大変厚生労働省が苦労されまして、今週中におおよその方向を決めたいと、こういうことでございますが、そういう中で公務員関係は、今、辻委員言われましたような方向ですよね。
  そこで、我々としましては、共済というのは長期も短期も福祉事業も一体でやった方がいいということが一つありまして、ありますが、厚生労働省の考え方のように都道府県単位を一つの基礎にしていくと、こういうことにつきましては、私どもの方もそれでいいんではなかろうかと。特に、地方公務員共済、小さいのも相当まだ残っていますから、できるだけこれをまとめて統合していくという方向で調整を進めたいと、こういうふうに思っております。
○辻泰弘君 恩給関係に関連してお伺いしたいと思います。
  実は、今回の質問に当たりまして勉強させていただきまして、ああ、ここに位置付けられているのかなと思ったのが実は国会議員互助年金のことでございます。実は、恩給関係予算の中に入っておりまして、文官等恩給費の中に実は文官等恩給費と国会議員互助年金が入っていると。こういうことで、所管が総務省の人事・恩給局になると、このようなことのようでございまして、初めて知ったわけでございます。そういうことで、関連して国会議員互助年金についてお伺いしたいと思うんです。
  まず、互助年金ということで年金という名前は付いているわけですけれども、これが恩給に分類されているということの結果としての位置付けだと思うんですけれども、まず恩給に分類される理由といいますか、年金なのか恩給なのかということなんですけれども、その点についてちょっと簡単に御説明いただけるでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 国会議員互助年金法は、これは議員立法ですよね、あれは昭和三十三年ですか。そこで、恩給に似ているんですよね、性格が。長くおったらもらえるという、そういうような点は。そこで、事務局をどうするかということで、たまたま恩給局長が裁定権者になって、事務局は昔の総務庁と。それをそのまま引き継いだんですよね。
  そういうことになっておりますが、これは恩給に似ていますけれども、まあ少し違うんですよ。ただ、予算上は恩給費の中に入っていると。まあ似ているから一緒にしようと、こういうことだと思います。
○辻泰弘君 大臣おっしゃったように、昭和三十三年にできた法律でございますし、議員立法でございますので、ある意味で大臣にお聞きするのも心苦しいところもあるんですけれども、ただちょっと現時点で御所見を賜ればと思うんですが、おっしゃった国会議員互助年金法には、第一条に「この法律は、互助の精神に則り、」というふうになっているわけでございます。ただ、実質は、予算で、国会議員の納付金が九億円で、そしてその支給の方は二十八億円ということで、はっきり言いまして負担と給付の見合いが、バランスが取れていないということになるわけでございまして、そういう意味では互助というのはだれとだれの助け合いになっているのかなと、このように思うわけですけれども、この国会議員互助年金法の互助の精神の互助とはどのようにお受け止めになっていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 互助の精神というのは、お互いに助け合うということですよね。
  意味はそういうことなんですが、今言われるように、それじゃ本当に助け合い程度負担をしているのか、給付の水準がどうかとか、これは議論がありますね。ありますけれども、委員、元々議員立法ですから、ひとつ国会で十分本当の互助の精神に基づくかどうか議論していただいて、これは地方議会の方がずっと出しているんですよ、地方議会の方が。私も国会議員ですから、国会議員のこっちの方が有り難いんですが、そこはやっぱり国民の納得いくということがひとつ要ると思いますね。
○辻泰弘君 おっしゃったとおりだと思うんですけれども、互助と言いながら、実質国民の税金で六割、七割を賄ってもらっているということによって、互助というのが名前が何かおこがましいといいますか、何か申し訳ないような、そんなように思うわけでございまして、これはおっしゃるとおり、確かに政党の方の、政治家の方の問題もありますので、当然そういうことなんですが。
  重ねてで恐縮ですが、ちょっと御所見をお伺いしたいんですけれども、そもそもこの国会議員互助年金法は、国会法の第三十六条に、「議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。」と、ここから出発しているわけでございます。そういう意味で、元々は「退職金を受けることができる。」と、この退職金だったと思うわけでございます。それが、どういうわけか国会議員互助年金法においては、第一条で、先ほど申しました「互助の精神に則り、国会議員の退職により受ける年金等」に対してということで、ここで退職金が年金等ということに化けてしまっているわけでございます。
  そういう意味で、私は、退職金ということであればある程度合理性もあるだろうし、金額の多寡はいろいろ議論もあるでしょうけれども、今は年金ということでずっと払われるということになっているわけでございます。そういう意味では、私は退職金ということが素直な在り方じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 国会法三十六条は、退職金と書いていますよね。だから、退職金というのは普通は一時金的なんですよね。ただ、その退職年金というのが退職金に含まれないかというと、これはいわゆるイメージと法律上の定義はまた別なんで、いろんな議論があると思いますね。この辺を含めて、少し私は整理する必要があるんではなかろうかと、こう思っておりますので、ひとつこれも国会において十分な御議論を賜りたいと思います。
○辻泰弘君 それで、ちょっと事務的にお伺いしておきたいんですけれども、当然これは一般会計で賄われているわけで、予算要求をされ予算編成されるわけですけれども、その場合にどういう人員の前提の置き方をされているのかと。すなわち、選挙があってこの方はもう引退するだろうとか、そういうことを想定されているということになるんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 所要額の積算は、こういうことをやっているようですよ。概算要求時における互助年金の受給者数に過去の裁定及び失権実績を勘案して、プラス、マイナスをして推計して平均年額を乗じて所要額を出していると。任期満了に伴う選挙が予定されている年度においては、過去の選挙における実績により受給者の増減を勘案して所要額を出す。
  選挙のたびに過去の実績どおりになりませんけれども、ほかに見合せはございませんので、そういうことで所要額を推計しております。
○辻泰弘君 内閣府の方に一つ事実関係として確認しておきたいんですけれども、地方議員の方を対象とする地方議会議員共済会、これは社会保障基金ということに位置付けられていて社会保障負担の対象になる、その負担金、掛金がですね。しかし、国会議員互助年金については、主体もちょっと違いますからはっきりしませんのでそういうことだと思いますけれども、社会保障基金じゃなくて社会保障負担にも入らないと。こういうことで、理解でいいでしょうか。
○政府参考人(大守隆君) 国民経済計算上の社会保障負担というのは、社会保障基金に対する雇主及び雇用者の負担ということでございますが、そこで社会保障基金の定義でございますけれども、国際的な基準では、政府の行うほかの活動と独立に組織されて別個の資産及び別個の負債を持っている独立した制度単位を社会保障基金というふうに言っております。
  地方議会の議員共済会は独立した法人でございまして、会計的にも独立しているということでこの定義に当てはまりますけれども、国会議員互助年金の方は、国会議員が納付金を一般会計に納め一般会計が年金を給付しているということでございますので、中央政府から独立した制度単位とは言えないということでございます。このため、これを私どもは社会保障基金ではなくて中央政府の一部というふうにみなしておりまして、その納付金は社会保障負担ではなくて、家計から中央政府への経常的な移転というふうにとらえております。
○辻泰弘君 地方議員の方と国会議員というのはある意味で、政治をやっているという意味では共通しているわけですけれども、そういう統計の位置付けとしても違っているという制度の中にいるということは、ある意味では象徴的なのかもしれませんけれども、やはり国会議員の分もやはり常識的なところに収めていかなければならないんじゃないかと思うわけでございます。
  そこで、この点については最後になるんですけれども、大臣にお聞きしたいんですけれども、さっき言ったように退職金にするということが一つあると思うんですけれども、もし退職金という形にしないのであれば、要は年金という位置付けでいくならば、やはりこれは国会議員互助年金、給付と負担のもちろん抜本的な見直しというのが当然なければならないと思うんですけれども、それを行いつつ、特別国家公務員に当たるわけですから、国共済の位置付け、すなわち地方議会議員共済会は地共済に入っているわけですから、そういう意味では国会議員互助年金、名前はどうなるか分かりませんけれども、国共済に位置付けて、そういう形でやっていくと。そしてまた、十六年の再計算があるわけですけれども、年金改革の中にも組み込むような、そんなことで取り組むべきだと。もちろん政党の方もありますし、私どもの党もそういうプロジェクトチームで取り組んでおりますけれども、そういうことでのお取り組みについて御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 一つのお考えでしょうね。国家公務員共済の大きな枠組みの中に取り込んでいくというのは。ただ、これは性格変更を伴いますから、委員、これは十分御議論いただいて、やっぱり議員立法、昭和三十三年のその精神を私は生かさにゃいかぬと思いますし、各党でどういうふうな意見集約ができるのか、いろんな考え方ができると思いますよ。ただ、今言われたようなことは性格変更ですから、在り方を含め性格変更ですから、これは十分な御議論をしていただいて結論を出していただくことが適当ではないかと。我々の立場としてはお世話をさしていただいておりますけれども、これは私どもの方にやれという格別のおぼしめしでお受けしているものですから、ひとつ十分おぼしめしを出した方の御意見をまとめていただくと、こういうことが必要だと思っております。
○辻泰弘君 済みません、大臣、一つだけ。
  今おっしゃった中で、昭和三十三年のときの、そのときの精神とおっしゃいましたけれども、そのときの精神というのはどういう意味合いなんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 私はつまびらかに承知しておりませんが、こういう形で退職金であるけれども年金を出していくと、それが国家に尽くし、国家国民へ尽くした国会議員さんに対する一つの処遇だと、大きい意味での。そういうことの御判断で法律をお作りになったと思いますし、国会を通ったということは国会がそれを承認したわけですから、その辺の経緯その他も私はあるんではなかろうかと、こう思っているわけであります。
○辻泰弘君 戦後処理という関連で二つお聞きしておきたいと思います。
  厚生労働省にお伺いしたいと思うんですけれども、昨年の十二月五日に大阪高裁で在外被爆者に関する判決が出まして、それについて上告断念をされたと、こういうことが十二月十八日にあったわけでございます。それで、この十二月十八日以降、日本において手帳を取得して手当の支給認定を受けた場合で、出国した後手当の支給を行うということになったわけですけれども、この実施状況、お聞きしたい。
  それから同時に、高齢の方なんかで日本に来て認定を受けることがもはやできないと、そういう方々に対してはこのことが対象にならないことになっているわけですけれども、やはりそもそも人道的見地からと、こういうふうに高らかにうたっていらっしゃるわけですから、その部分についても手当てすることを考えるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(高原亮治君) 昨年十二月の大阪高裁判決を踏まえまして、出国した被爆者に対する手当の支給を都道府県等が行うことができるようにするため、政省令の改正等を行いました。今月から制度を実施したところでありまして、二十五日までに判明したところ、五人の方について支払済み、一人の方について支払手続中ということでございます。過去に手当の支給認定を受けていて出国されたことにより手当が支給されなくなった被爆者が六百五十名いらっしゃるわけですが、できるだけ多くの方々に早急に手当を支給できるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。
  それから、高齢化が進んでいてなかなか渡日、申請手続ができないのではないかというお話でございますが、在外被爆者の方々に対しまして、本年度から手帳取得や渡日治療のために渡日するための旅費の支援等に関する事業、これは主体は四県、失礼いたしました、二県二市でございますが、そういったものに対する補助事業を行っているところでございます。この事業におきましては、手当を申請するためのみの渡日の旅費支給の対象とはしておりませんが、旅費の支給対象となる手帳交付や渡日治療のために来日されるということは対象となっておりまして、併せて手当の申請を行うことも可能であります。さらに、被爆者の健康状況によっては付添い等のための経費も対象としております。
  しかしながら、国外から手当の申請をすることは法律上認められないと考えておりまして、今回の措置は我が国においていったん手当の支給認定を受けた人が出国した場合のものであるということでございまして、手続は国内でしていただけるようにお願いしている次第でございます。判決におきましても、手当の申請時には日本に居住又は現在していることが前提となる旨判示されているところでございます。
○辻泰弘君 現在、今のことにつきましては、渡日が物理的にできないような高齢者の方々もおられるわけですから、その点についても人道的見地からお取り組みいただきたいと思います。
  最後に聞きますけれども、もう一つ厚生労働省ですが、その戦没者の遺族などに対する給付に当たって交付国債の形態を取ってこられているわけですけれども、これは何ゆえ交付国債の形態を取ってこられたか、このことについてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府参考人(新島良夫君) 先生御指摘のとおり、さきの大戦において戦争、公務等のため国に殉じて、殉じた軍人軍属等の御遺族に対しまして、国として弔意、慰藉の念を示すために、戦没者の遺族に対する特別弔慰金あるいは戦没者等の妻又は父母に対する特別給付金を国債の形で支給しているところでございます。これらを国債で交付している主な理由といたしましては、ある程度まとまった金額を額面としつつ、一定期間にわたって償還を行うことによって、国としての弔意、慰藉の念を御遺族に一層実感していただけるというふうに考えていることによるものでございます。
○辻泰弘君 以上で終わります。
○山下栄一君 三点ほどお聞きしたいと思います。
  まず一点目は、小野委員も辻委員も触れられた問題なんですけれども、この恩給年額を変える場合の根拠なんですけれども、同じことを繰り返して申し訳ありませんが、もう今回は普通扶助料に係る寡婦加算の年額を改定すると。これは今までも改定されているけれども、今回初めて下げるということなんですけれども、先ほどからも話がありましたように、他の公的年金と恩給、この寡婦加算制度は昭和五十一年の法律によって制度化されたわけですが、公的年金と恩給の寡婦加算制度は全く同じではない仕組みになっていると思うんですね。
  いずれにしても、この恩給制度の中における加算制度だと。それを変更する場合はこういうふうにしてしなさいという規定があると。それがこの恩給法二条ノ二だと思うんですね。それ以外にないように感じるんですけれども、再度確認さしてください。
○国務大臣(片山虎之助君) 寡婦加算は導入のときから公的年金並びなんですね。そこで、最初に小野委員の、お答えしましたように、恩給というのは基本的には国家補償だと。それは、並びで公的年金とそろえているところがあるんだと。それが、国家補償なんだけれども、補償的とこう広くなっているんだと、寡婦加算なんかも私はその一つだと、こう思っておりまして、根拠は恩給法ですよ。しかし、制度としては並びですから、今までも、山下委員、ずっと並んできているんです。上がるときは上げる、下げるときは下げる。まあ、下げるのは初めてかもしれませんけれども。そういうことでございますので、根拠は恩給法ですけれども、それは導入のときからそういう約束でそういう性格のものだという位置付けでやってまいりましたので、だから今回も、全体は私は据置きと言ったんですけれども、大蔵、財務省は全部を下げてくれと。それはもう下げないと。こういうことでやり取りしまして、それじゃ基本の方は下げませんが、寡婦加算の方が並びだから、こういうことで関係者の方もそれは仕方がありませんねと納得されたものですから、並びとして今回も扱わせていただいたわけであります。
○山下栄一君 制度ができた背景、背景はそうなんだけれども、厳密に言うと法律的な根拠は、今、大臣もおっしゃったように、恩給法だと思うんですね。だから、全く同じではないと、公的年金と。細かい話して申し訳ありませんけれども、そういうことではないかなということを申し上げておきます。
  二点目。二点目は、平成十二年に作られました、これは議員立法でできた法律ですけれども、特に朝鮮半島、台湾出身の旧日本軍軍人軍属等に対する弔慰金等の支給に関する法律、そういう法律が平成十二年五月に議員立法で成立し、十三年四月一日から実施されておると。十三年実施され、十四年実施されているわけですけれども、これが予算レベルでの支給対象で考えていたことと実際実施されている件数との非常に差があるわけです。
  いよいよ来年の三月三十一日で請求期間終了という、最後の年度を迎えようとしておりますので、今まで、資料をいただいたんですけれども、この過去二年間で二千四百四十件想定して予算を組んだけれども、実際の実績はその約一割だと、二百二十四件だと。いろいろの事情があってこうなっていると思うんですけれども、平成十五年度も三百件予定されているけれども、その一割ぐらいになる可能性ももちろん高いと。
  様々な形でこれは周知の徹底の努力をされているということはよく分かりました。だから、ただ最後の年度、請求期間の終了年度を迎えますので、特にどういうふうな取組をされようとしているのか。なかなか非常に現実は、実績が急に増えるということは考えられないような背景があるようですけれども、最後の年度を迎えるに当たってどういうふうな特段の取組をされるのかされないのか、される可能性もないのかも分かりませんけれども、その辺のことのお話を確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(衞藤英達君) 先生御指摘のように、平成十五年度は請求の最終年度でございます。つきましては、お話しのように、広報について特段の努力をしようと考えておりまして、今まででいきますと、政府広報における新聞、テレビ等による、それからポスター、リーフレット等の作成、配布、それから主要都市における相談説明会の開催、それから総務省のホームページを通じた各種情報提供等をやってきたわけでございますが、この四月以降の最終年度ということで、新たに三つの取組を今考えてございます。
  一つは、これまでの支給活動の知見といたしまして、受給者の多くの方々が新聞によってこの制度を承知したということが明らかになってまいりましたので、まず新聞媒体をかなり力点を置いてやっていきたいということでございます。それから二つ目は、特別永住者が多い大都市地域もございますので、こういった大都市地域において重点的な広報を実施したいということが二点目でございます。それから、最終年度でございますので、今年の秋口でございますが、この十月を広報強化の月間といたしまして、この期間にポスターの配布でありますとか相談会の開催等、国それから地方自治体を通じた広範な広報活動を展開していきたいというふうなことで、この三つの柱を中心にこれから頑張っていきたいと思っています。
  以上でございます。
○山下栄一君 私も、事前にお聞きしましたら、広報活動は本当に考えられるありとあらゆることをやっておられるなということは感じました。
  あとは、自治体の窓口の方は交代される可能性もあります、直接担当の方ですね。そういう方々自身が知っておらないと伝わらないという面もありますので、そういう方々への最後の年度に当たっての研修といいますか、そういうことにも力を入れていただけたらなと思いますと同時に、非常に高齢者の方も多いでしょうし、いろんな人づてで伝わることもあると思いますので、様々な民間組織への最後の年度であるということの最後のお願いというか、これはね、そういうこともしていただけたらなというふうに思っております。
  三点目でございますけれども、これは平和祈念事業でございます。
  これは、今年の十月からですか、平和祈念事業特別基金、独立行政法人としてスタートするわけですが、私は、この平和祈念事業、特に新宿にございます本館の展示館の展示物に対する取組をもう少し工夫すべきではないかというふうに感じております。
  一つは、巡回展示なんですけれども、巡回展示も、これは十二年度から特に積極的にやられているようですが、この開催場所も、大都市だけではないとは思いますが、別にたくさんの人数を集めたから成功とも限らない面もあると思いますので、地方都市、中核都市、また場合によっては町村ということでもいいと思うんですけれども、ただこれは、展示物を運んだりセットするのが非常にかえってお金が掛かる面もあるというように思いますけれども、いずれにしても、このこういう取組は非常に大事だと思いますので、草の根の、様々な戦争の悲惨さとか平和の尊さを国民の皆さんに、また若い世代に伝えていくという、そういう意味で大事な事業だというふうに思いますので、様々な工夫をすべきだと。地方巡回展示も力を入れるべきだと思いますし、開催場所も是非工夫していただきたい、これが一点です。
  と同時に、語り部の集いというのもやっておられるようですけれども、これもセットで展示会と一緒に開催する。と同時に、この語り部の方々は、遺族会にしろ軍恩のそういう組織にしろ、実際御自分が抑留とか引揚げでいろいろ経験されたことを語り継ぐということを、非常にまたこれ使命で、また御本人にとっても生きがいになっていくような面もあると思いますので、語り部バンク、これも中央でよく、語り部となる、なられる予定の方々への配慮もしながら、またお願いする形をしっかり取っていただいて、語り部バンクも体制を整えていただきたいなというふうに感じておりますけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(衞藤英達君) 先生御指摘の二点についてお答えしたいと思います。
  まず、展示の関係でございますが、お話ございましたように、中央の展示施設といたしまして、新宿の住友ビルでございますが、そこでその三問題の展示を常設的にやっておりまして、そこで各種の実物資料でありますとかグラフィック、映像、それから模型等の展示をやっております。多くの国民の方々に見ていただきまして、戦争の悲惨さ、また関係者の方々の御労苦を風化させないように、次の世代へしっかりそれを継いでいきたいということで頑張っておるわけでございます。
  もう一つは、中央に対して地方の話、先生お話しなさいましたように、地方でも、これは正に巡回的な感じでございますが、中央のミニ版的に大体毎年五、六か所、日数にして五日間から六日間、延べで大体二千人から三千人集まっていただいているわけでございますが、そういうところで、地域での今次大戦へのかかわり等も説明しながら、三問題についての先ほどのようなことをやっているわけでございます。
  次に、語り部の点でございますが、先生おっしゃいましたように、展示と組み合わせてやるのが一つ有効なことだと考えています。特に来年度からは、展示内容も説明できます語り部の育成に着手しようというようなことも考えておりまして、まだ、その語り部のコンセプトなり位置付けはまだ決まったわけじゃございませんが、こういった先生お話しのような恩給欠格者、強制抑留者、引揚者の体験者の方、高齢ではございますが非常に元気な方が多くて、私もしょっちゅう対応しているわけでございますが、圧倒されるような感じでございます。元気な方たくさんおられますので、先生の御意見を踏まえまして、この語り部の育成に来年度から取り組んでいきたいというふうに考えています。
○山下栄一君 あと、学校教育とか地域の子供会その他への平和の尊さを伝えていくという一つの事業としても位置付けることができると思いますので、いながらにして、また学校で、出掛けていって巡回展示を見るということもこれは必要なわけですけれども、もう一面、いながらにして学ぶことができるという、そういう意味で、中央のこの新宿にある様々な展示物をインターネットで、例えばそういう学校なり地域なりで見ることができるという体制も充実さすべきではないかと。掛け替えのない様々な大事な展示物、また様々な記録、それをインターネットを通じて視聴覚で見ることができるという、そういう体制もぜひ整えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(衞藤英達君) インターネット、非常に普及してございますので、当方としても、今簡単な疑似体験ができるようなことはやっておりますが、また先生のお話を踏まえまして、今後、より多くの資料がいながらにして見られますようなシステム開発に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
○山下栄一君 終わります。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
  今日は、シベリア抑留者賃金未払問題について、大臣と政治家としての議論をしたいと思っております。
  昨年末、近畿地区シベリア抑留者未払い賃金要求の会の代表がお亡くなりになりました。実は、亡くなる直前に私に連絡があり、私が病院に駆け付けると既に酸素吸入を受けておられました。その方は、私の手を握るやチューブを外してベッドに起き上がられて、我々の命が尽きる前にこのシベリア抑留者の声を政府と国会は受け止めてほしいとお訴えになりました。そして、ほどなく私の下に訃報が届いたわけであります。
  私は、この問題の出発点は、終戦後、太平洋や東南アジアあるいは中国南部地域で連合軍に降伏し捕虜となった旧日本軍将兵に対しては、政府は抑留期間の長さに応じた賃金を労働証明書や計算カードに基づいて支払ったと。ところが、シベリア抑留者は労働証明書の発行が受けられなかったため政府から賃金の支払を受けられなかったという、この歴史的事実だと思うんです。
  まず大臣に、こういう事実が存在するということ、これはお認めになっていただけますね。
○国務大臣(片山虎之助君) これは、総務省は承知する立場にないんですよ。
  我々は、例の懇談会が五十九年に報告書を出して昭和六十三年に平和祈念事業特別基金というものができて、それを所管してくれと。それは慰藉の事業をやるんですよ。だから、言われるような問題について、総務大臣や総務省は関知する立場にありません。
○宮本岳志君 政治家としてそういう話は多分御存じだと思うんですね。話は御存じだと思う。
  抑留された人の総数は、旧ソ連の公式記録でも約六十六万人。死亡者は一割の六万人に上るといいますけれども、最近、北朝鮮に移動させられた人のうち一万二千人が亡くなったという報道もあって、死者は八万人以上に上るという見方もございます。
  先ほど、大臣も、昭和五十九年の戦後処理問題懇談会報告を根拠に、未払賃金の支払をしない、慰藉だと答弁されました。しかし、問題は、この報告では触れられていない取扱い上の不平等なんです。つまり、このときにはこの問題は議論されてないんですね。米英軍やオーストラリア軍、中国軍の捕虜になって復員した人々には賃金が支払われたと。ソ連軍捕虜も、このときにはまだ労働証明書というのは出ていなかったんです、この懇談会の当時は。しかし、今やロシア政府は過去を反省し労働証明書を発行するようになった、にもかかわらずこれらの人々には賃金の支払がされてこなかったと。このことについて取扱い上の不平等があるのではないかと、これはおかしいと思わないのかという問題なんですよ。
  これは大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 宮本委員の言う御意見は御意見として聞いておきますよ。
  それから、話は、話は聞いていますよ。あなたを始めとして国会でこれだけ議論されているんですから。しかしそれは、何度も言いますように、それは承っているだけであります。
○宮本岳志君 各委員会でこの問題の議論をやる中で、一体この所管がどこの委員会、省庁であるかと。それで、とにかく幾つかの委員会、幾つかの省庁にかかわるわけですけれども、基本的に現内閣の中で総務省がこれを所管しているという、そういうお話も出ておると思うんですよね。
  それで、取扱い上の不平等ということが極めて私は明瞭だと思います。抑留国が捕虜の帰国時に労働証明書を交付して、帰国後に所属国が賃金の支払を行う、以後の貿易収支で決済するという第一次世界大戦以来行われてきたルールについて、外務省は今、ジュネーブ条約に明文化されたのは一九四九年だから遡及しないんだと、こう言っております。
  私は、これを覆す資料を外務省の外交史料館から入手いたしました。
  資料@を見ていただきたい。これは、一九四六年五月七日にGHQが日本政府に対して示した覚書、「復員」という表題が付いております。ソ連を含む連合国の捕虜になった日本将兵の帰国についての施策内容を示したものです。ここには、各国軍から発行された労働証明書や計算カードに基づく日本政府による賃金支払等について書かれております。
  そして、一枚目のこの表紙部分、この方針の適用地域の中に、コマンド イン チーフ ソビエト フォース イン ザ ファー イーストと。つまり、極東でのソ連軍支配地区が含まれているということは明瞭であります。これは、日本政府の捕虜の復員計画では、他の地域と同様に、ソ連軍に捕らえられた将兵に関しても賃金支払を含む施策の運用を予定していたと。つまり、当時、GHQはそういうふうに予定していたということを示しております。
  これを受けて、日本政府は、賃金支払をするために、当時のソ連政府に受領証、すなわち労働証明書の発行を働き掛けてほしいと。資料Aに付けた、GHQに関する日本政府の要請書。ソ連政府発行の受領証を持ち帰っている場合にあっては日本政府はソ連政府に代わって受領証に対し支払うと、こう書かれてあります。
  つまり、当時は、GHQはシベリア抑留捕虜も賃金支払対象に加えていたと、そして、それを受けて我が国もソ連からの帰還捕虜に賃金支払をしようとしていたと。これはこれらの文書から私は明確だと思うんですけれども、大臣、ひとつ政治家として、これをどうお考えになるか、お聞かせいただけますか。
○国務大臣(片山虎之助君) この問題は、何度も言いますが、総務省の所管じゃないんですよ。所管が全く違う。それでまた、この文書も私どもの所管でもないし、中身は承知しておりませんよ。
  政治家政治家って、ここは国会で、総務大臣として私は出ているんで、総務大臣としては所管外のことに答える立場にはありません。
○宮本岳志君 このシベリア抑留の問題というのが当委員会でも衆議院でも議論されたことは大臣も御存じですよね。御存じですよね。そこで、大臣も、そのときは政府参考人もいらっしゃったと思いますけれども、その場で質疑に立ち会われたと思います。
  これは、やっぱり出発点は、シベリア抑留者の方々がこれはもう党派を超えて何とか命の尽きるまでに解決してほしいという願いを届けておられる。国会でも再三にわたって議論されてきたことなんですよ。
  私は、今日、他の委員の皆さんにも、今後の皆さん方のこの問題に取り組む参考になろうかということも含めて、私が入手した資料を御紹介をして、この取扱い上の不平等ということは党派じゃないと、政治家であればだれでもこのことを事実として知れば胸痛まない者はないだろうということをお訴えをしたいし、これはもちろん立法上の措置ということも議論になってくるわけであります。
  それで、私は、先ほどこの資料も示したように、これらの文書に従って、日本政府はソ連も含むすべての捕虜に対して労働証明書に対する賃金支払をしようとしていた、しかし、ソ連からの帰還捕虜には労働証明書が当時発行されなかった、だから賃金支払ができなかったと。これが私は現到達点だと思っています。
  そして、九一年以降、ロシア政府はついに希望する抑留者への労働証明書発行を開始した。九四年十月に日本政府にその事実を通告しました。資料のBにロシア連邦外務省から日本大使館にあてた九四年十月十八日付け通知の現物と、そして仮訳を付けておきました。
  ここには、「ロシア側は各個人の要請に基づき、旧ソ連領において捕虜に囚われていた日本国民に対し、第二次世界大戦の終結後捕虜に捕られていた期間の公式の労働証明を交付することを伝える光栄を有する。」とあります。
  この通知の真髄は何かと。これは、このロシア政府発行の労働証明が公式のものであるということで、当然ここにはジュネーブ条約に定められた国際ルールに従って旧ソ連軍捕虜の未払賃金問題は解決されるべきものだというロシア側の姿勢が示されていると思います。現にロシアはその後、エリツィン大統領がシベリア抑留について正式に謝罪する、併せてルツコイ副大統領も日本政府が労働証明書を公式の文書と認めるよう要請もされているわけです。
  是非、こういう個人の、仮に個人の要請に基づく文書であったとしても、ロシア政府が公式に出したと、こう述べている以上、この労働証明書を公式文書というふうにやっぱり認めるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) もう何度も同じことを申し上げていますが、この外交にかかわる文書がどうのこうのというのを私がとやかく言う立場にありませんよ。どうぞ外務委員会でもどこでも、そういうところで大いに議論していただきたい。
○宮本岳志君 まあ、擦れ違いということですけれども。
  じゃ、私は、じゃ今日お伝えしていること、私が今日ここでお話ししていることというのは是非、大臣受け止めていただきたいと思うんですよ。片山さんとして受け止めていただきたいと。
  そして、敗戦後、抑留者への賃金支払を不能にした条件、これは正に労働証明書がないということだったんですね、シベリア抑留者に対しては。これは既にこういう形でクリアされたわけです。
  それで、資料Cに付けたんですけれども、ゴルバチョフ時代以降今日までロシア側から返還された旧ソ連内務省の捕虜の個人記録、これは実は帰還者四十七万人分が返還され、現地死亡者約四万人分についても返還されました。厚労省社会・援護局が十二月から始めた抑留者に関するロシア側資料のコピー提供業務で公開された実はお一人お一人の資料というのは、こういうものなんですね。これは労働証明書発行の現地資料の一つでありまして、ソ連軍の捕虜になった年月日、収容所の名称、収容所から釈放された年月日などがすべて記載されております。そのほかに、所属していた部隊、階級、日本での出身地や住所、家族の有無等についてもロシア語で記載をされています。
  これがあれば、四十七万人分もう既にあるんですけれども、わざわざ労働証明書を個別に請求しなくても、支払われるべき未払賃金額というのは既に分かるようになってきているんですね。労働証明書は既に三万四千人分発行されている。さらに、大多数の抑留者についても、これらの資料によって賃金支払の資料というのはもう入手されていると。物理的な障害というのはもうもはや何もないというのが今の状況だと思うんです。
  資料のDに、これは判決です。昨年六月、大阪高裁第二部判決(ネ)第百十八号の抜粋を付けておきました。ここでは、こう判示したんですね。前回衆議院の議論で大臣は最高裁判決をお述べになりましたけれども、これは昨年の大阪高裁の判決なんです。控訴人らはシベリア抑留の悲惨さを述べ抑留そのものに対する憤りを訴えるにも増して、少なくとも、捕虜の労働賃金は支払われるべしとの国際法上当然のことを要求しているにすぎないのであり、現に南方捕虜、諸外国の捕虜が労働賃金の支払を受けているのに対し、シベリア抑留捕虜のみが労働賃金の支払を受けていないことに対しても強い不公平感を抱いており、その立法的措置を講じない立法府、あるいはその提案をしない行政府に対しても、その点に強い憤りを抱いていることは、当法廷の審理を通じて当裁判所にもひしひしと伝わってくるところである、そう述べた上で、控訴人らのシベリアでの艱難辛苦に比べれば、到底不十分であると考えられるにしても、立法府においても、一定の立法措置や慰藉の措置、これは大臣が答弁された慰藉事業のことです、こういうことが講じられてきたことなどを考慮すると、立法府が十分な立法措置を講じていないことや、行政府がその立法の提案をしないことをもって、その当不当はともかく、裁量の範囲を逸脱した違法なものとまで言うことは困難であると。
  つまり、いまだ立法がない下では政府に支払う義務まではないと、それは言っていますよ。しかし、未払賃金を払ってはならないというようなことは一切言っていないわけですし、それどころか、そういう立法措置のないことの当不当はともかくと、ここまで大阪高裁は踏み込んで判示したわけです。だから、政府と国会がその気になりさえすれば、未払賃金の支払を実行する法的な障害はないと、これは明瞭だと思うんですが、大臣、これどうお考えになるかお聞かせいただけますか。
○国務大臣(片山虎之助君) 政府としましては、戦後処理問題に関しては、例の懇談会の報告を尊重して、その提言に従って基金を作り、基金に関する法律を作って慰藉事業を行うと、これをもって戦後処理問題はもう決着したと、こういう考え方でございますので、あとは立法府でどういう御判断をされるか、立法府の中で大いに御議論賜りたいと思います。
○宮本岳志君 責任持った判断を避けておいて最終的に決着したというのは私は到底認められないということを申し上げて、質問を終わります。
○松岡滿壽男君 昨年の恩給法改正の質疑のときに、その時々の社会経済情勢にかんがみというような文言が新たに、今まではずっと「経済情勢等にかんがみ、」という言葉だったんですが、社会を付けたというところでここで議論をしたわけですけれども、ああ、これはやはり社会がくっ付いたからそろそろ恩給も引き下げるのかなという危惧を持ったんですが、案の定、今年は寡婦加算の年額引下げという形が出てきましたが、表現は、今度は社会の文言が今年は削除されまして、「経済情勢等にかんがみ、」という文言に戻りました。これはやはり国会での議論というものをきちっと大臣は、昨年の答弁で来年度どうするかについては検討したいということをおっしゃったことを実行されたということで、これは敬意を表したいというふうに思います。
  しかし、これから先、来年、再来年とどういうふうに、この恩給問題については、小野さんも言われたように、国家補償的な性格がこれ主であるだけに取扱いは非常に難しいと思うんですけれども、来年以降はどのように対応されようとしておられるのか、お考えがあれば伺いたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) この恩給は、受給者の皆さんもだんだん数が減っていますし、高齢化がどんどん進んでおりますね。しかも、そういう方にとっては恩給というのが本当に生活の手当ということだけではなくて心のよりどころにもなっているんですね。やっぱり国家補償という基本的な精神を尊重するならば私はやっぱり守っていきたいと。
  経済社会、社会経済情勢ですか、恐らく経済というのは物価なんでしょうね、デフレの、物価下がっていますから。社会のは公務員給与や公的年金があるんじゃないかと思いますけれども、そういうことの中で本年は据置きが実現して大変私は良かったなと、こう思っておりますが、今後とも受給者の皆さんや関係の皆さんの期待に沿うようにやっぱりしっかりと守っていきたいと、こういうふうに思っております。
○松岡滿壽男君 恩給については、国家補償的な性格が大部分でありますから、今、大臣が守っていきたいという御答弁をいただきましたので、是非そういう方向で頑張っていただきたいというふうに思います。
  それで、平和祈念事業特別基金事業のことでありますが、平成十五年十月一日から独立行政法人に移行することが決まっておるわけでありまして、昨年十一月二十八日のこの総務委員会におきまして、私が、銀杯、書状、慰労品の贈呈を受け取った後、特別の調査を行っていないというふうな御答弁があったわけでありますが、今後、中期目標の設定等を踏まえて何らかの対応を検討したいという御答弁もあったわけでありまして、独立行政法人へ向けてのこの調査への対応、どのように位置付けておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(衞藤英達君) 先生御指摘のように、さきの臨時国会で書状等の贈呈事業のフォローアップ調査をしたらどうかというようなお話ございまして、本年一月からこれに取り組んでございます。
  簡単に御紹介いたしたいと思いますが、調査の方法といたしましては、書状等の贈呈を受けておられる恩給の欠格者、引揚者、それから強制抑留者の本人若しくは遺族の方々、サンプル調査といいながら一万五千人の方々に対しまして、申請した理由でありますとか受け取られた感想、それから贈呈品の取扱いなど数項目にわたりましてアンケート調査を実施したところでございます。一月に発送いたしまして概略まとまったのはついこの間でございますが、ごくごく簡単にちょっと御紹介だけいたしたいと思います。
  まず、書状等を申請した理由でございますが、おおむね七割前後の方々が戦争体験若しくはその引揚げ体験、抑留体験のあかしとしたかったからというような御回答をいただきました。それから、三割を超える方々が国から慰藉の気持ちを表してほしいというような回答もございました。また、贈呈品を受け取られた感想といたしましては、五割前後の方々が申請してよかったと思った、それから四割前後の方々がうれしかったというような回答をいただいております。また、受け取られた贈呈品はどのようにしているかということでございますが、五割前後の方が部屋等に飾っている、また四割前後の方が大切にしまっているというような回答をいただいております。
    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕
  先生お話しのように、本年十月から認可法人が独立行政法人化しますので、またおいおい中期目標等を設定することになりますが、そういった際にこういった調査結果を十分活用していきたいと思っております。
  以上でございます。
○松岡滿壽男君 本年三月末日、平成三年度より行ってきた引揚者に対する内閣総理大臣の書状の贈呈事業の期限がやってくるわけでありますが、平成十四年度十二月末時点で約六万二千件の贈呈を行ってきたということでありますけれども、三月末日で期限を切るということになった理由、それと、実際は引揚者というのは百十九万人おるわけですよ。だけれども、そのうち六万二千人しか申請していないということは、これはどういうこと、どういうふうに理解すればいいのか。あるいは、期限が済んでしまった後申請された方々とか、そういう者に対する対応というものも考えておられるのか、その辺を併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(衞藤英達君) この引揚げの書状贈呈の件でございますが、慰藉事業に関しましては、原則請求主義といいますか、申請請求いただいてから審査の上、書状等を贈呈するという手続になってございまして、先生お話しのように、その数が、引揚げに関しまして母数はかなり大きいんであるが、実際の贈呈実績が少ないんじゃないかということで、実際どういう根拠でということまで定かに当方把握はいたしておりませんが、いずれにせよ、その実数としてはここ数年間大体二千件程度の請求まだいただいておるというような状況ございますので、今回、その請求期限、一応この三月三十一日というようなことになってございましたが、現予算案におきましてはあと二年ほど延長して請求を待ちたいと、このような状況でございます。
○松岡滿壽男君 先ほど来、シベリア抑留者の話が出ましたが、中国残留孤児、それから残留婦人の問題について御質問したいと思うんですが。
  昨年の十二月二十日に中国残留孤児六百三十人が原告となりまして中国残留孤児国家賠償訴訟を提訴したわけです。ずっと国会にも請願が出てきておったんですけれども、十三年、十四年と、中国帰国者老後生活保障に関する請願書、二度とも不採択になりまして、裁判という司法の場で法廷闘争になった。誠に残念だし痛ましいことだというふうに思うんですね。
    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
  平成十五年の二月二十八日付けの資料を見ますると、中国からの永住帰国者は六千二百六世帯、一万九千八百八十九人、このうち残留孤児が二千四百五十七世帯で八千九百八十一人、残留婦人が三千七百四十九世帯で一万九百八人と、こうなっておるわけですね。こういう方々の多くが高齢化、それから日本語ができない方もおられるわけでありまして、就職もできないということで、老後の不安から、もう帰ってくるんじゃなかったという気持ちを随分持っておられる方が多いわけですよね。いろんな請願活動をやってきたりしたわけですけれども、むなしい結果になってしまっていると、やむにやまれぬ気持ちから法廷闘争に持ち込んでいくわけですね。原告側は過大な要求をしているわけじゃ全然ないわけですよね。みんな生活保護を受けたり、老齢年金ですか、老齢基礎年金、そういうもので生活をしているわけでして、老後をとにかく安心して送れるようにしたいと。
  せんだっては、北朝鮮の拉致家族に対する手当てをきちっと政府としてはなさいました。しかし、そういう、それは平時であるからということで手当てをしたと。ところが、残留孤児、残留婦人、ソ連抑留者、これは戦時だというような御答弁がこの国会でもあったんですけれども、これはもう全然認識違うわけですよね。戦後の捕虜ですから、捕虜じゃなくて抑留若しくは拉致なんですよね、これ、一種の国家による。残留孤児、残留婦人も戦争が終わってから発生している問題ですよ。そういう同胞たちがせっかく祖国に帰り着いてこういう処遇を受けているということに対して、私も小学校五年のときに新京で終戦を迎えただけに、人ごとと思えないんですよね。こういうところに、日本人の心の温かさというのが、温かさが欠けてきていると。政治というのは、基本的にやっぱりそういう弱い立場の人たちに対する思いやりがなければ私は成立しないと思うんですね。
  そういう基本を踏まえてこの問題について、今回、恩給の本人支給が四十一万八千人でしょう、遺族支給が九十二万二千人、どんどん減っていくわけですよ。一兆何ぼあった金額が、もう今一兆ちょっとですか、一兆七千億ぐらいまで最初はあったと思いますよ、年額が。そういうことで、支給額も六百五十億円ぐらい減少しているわけですよね。だから、こういうものを少し考えて、全体の恩給の中から対応を考えたらどうだろうかと。わずかばかりの金額ですよ、と思うんですけれども、恩給支給分の減額を基金とした援護法的なものを考えられないかと、中国孤児、中国残留孤児に対して、中国残留婦人と残留孤児。これについての御所見を伺わせていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(新島良夫君) 中国残留邦人につきましては、新たな帰国者が減少する、あるいは帰国者が高齢化するというようなことで、従来のような定着促進センターあるいは自立研修センターを中心とした援護政策がございますけれども、これに加えましてその後の自立支援策が重要となっておるというふうに認識をしているところでございます。
  このために中長期的な自立支援を継続的に行うための拠点といたしまして、平成十三年度に支援・交流センターを開設をいたしまして、日本語習得支援、生活相談、あるいは帰国者相互あるいは地域住民との交流の場を設けるというようなこと、あるいは引きこもり防止対策としてのいろんな事業を行うということで、帰国後四年目以降の帰国者に対しても支援に力を入れるということで老後の不安の解消に取り組んでいるということでございます。
  帰国者の老後生活に対する支援の在り方についてでございますけれども、本人の年齢ということもございますが、就労の状況なりあるいは同伴家族による扶養の意向、こういったものを踏まえながら、帰国者に対します支援施策あるいは各種の社会保障制度を最大限活用していくということで、関係省庁あるいは地方公共団体の協力も得ながら、帰国者の方々が地域社会において安心して自立した暮らしが営めるような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  それから、中国残留邦人に対します生活保障のための経済的支援ということでお話がございました。これにつきましては、シベリア抑留あるいは一般戦災者等、他の戦争被害者との均衡の点から問題があるというふうに考えております。
○松岡滿壽男君 その均衡の問題というのがよく分からないんですけれども。
  それともう一つは、いわゆる北朝鮮の拉致問題は平時に起きた問題だから手厚くするということと、シベリア抑留とか中国残留孤児は戦時の問題だということをおっしゃっているわけですよね。しかし、それは戦時じゃなくてやっぱり平時なんですよ、これも。だからその辺の認識の違いと、均衡がポイントだという御説明がどうも私どもは理解しにくいんですが。もう一回お答えください。
○政府参考人(新島良夫君) 北朝鮮の拉致被害者に対する施策との比較ということでまず申し上げますと、これは平時における北朝鮮の国家的犯罪によるものであるということで、本邦における生活基盤を失うというような極めて特殊な事情に基づくものでございます。一方、残留邦人の方々につきましては、戦争に起因して生じた混乱によって本邦に引き揚げることができなかったということでございまして、そういった意味で、両者、原因あるいはその支援の趣旨が異なっているというふうに考えておるわけでございます。
  それから、均衡の点でございますけれども、昭和五十九年の戦後処理問題懇談会の報告におきまして書かれておりますけれども、およそ戦争は国民すべてに対して何らかの損害を与えるものである、全国民がその意味で戦争犠牲者と言えるものであるというふうに記述されておるわけでございます。そういう意味で、中国残留邦人につきましても、シベリア抑留者あるいは一般戦災者等と同様に戦争被害者の一つの類型であるというふうに考えられるところでございます。
○松岡滿壽男君 もう時間ですから、終わります。
○又市征治君 社民党の又市です。
  今回の改正案が恩給の寡婦加算分だけを減額するという大変おかしな内容でありますから、どうも納得できないわけです。その論議の前に一つだけ伺いますが、これを正当だとする理由として、寡婦加算は従来厚生年金のそれに準拠してきたからと、こう説明をされているわけですが、その点についてお伺いをしていきたいと思うんですが。
  今資料をお配りをさせていただいていますが、これは総務省が出された資料です。
    〔資料配付〕
○又市征治君 これによれば、毎年の改定は、平成六年が二回改定をしておりますので、これも含めて十一回改定がされておる。その実際の結果が厚生年金との関係でどうなっているか比べてみますと、十一回のうち同額になったのは五回しかないわけですね。あとの六回は額が違っていて、うち恩給が厚生年金より百円高くなっていたのは三回、二百円高くなったのが二回、残り一回は、これは平成元年のところですけれども、千七百円そういう意味ではマイナス、こういう格好になっているわけで、この千七百円の、どうしてこういう数値が出てくるのか、ここのところの理由をまず先に聞かしていただきたいと思います。簡潔に。
○政府参考人(久山慎一君) 寡婦加算額でございますが、寡婦加算の導入の経緯などからしまして、公的年金における寡婦加算額と同額になるということが望ましいことではございますけれども、公的年金におきます寡婦加算額は消費者物価変動実績値に基づきまして改定されるのに対しまして、恩給の場合には予算編成時におきます消費者物価変動見込み値によりまして改定を行うこととしておるところでございます。したがいまして、結果として寡婦加算額に差が生じることもございますけれども、やむを得ないものではないかというふうに考えておるところでございます。
  平成三年度、四年度、五年度、九年度及び十年度におきまして公的年金におきます寡婦加算額と恩給における寡婦加算額が相違した理由につきましては、いずれも予算編成時における消費者物価変動見込み値が確定値よりも〇・一ポイント高かったことにより恩給の方が百円ないし二百円高くなっているということによるものでございます。
  また、平成元年度におきまして厚生年金の寡婦加算額が恩給よりも千七百円高くなった理由は、同年が公的年金の財政再計算期に当たりまして、予算編成過程において、恩給については消費者物価変動見込み値により額を設定したわけでございますが、公的年金におきましては障害基礎年金等の加算額の改定率による改定を行ったことによるものでございます。
○又市征治君 今いろいろと説明がございましたが、それらはいずれも技術的なことであって、違いが生ずる根拠としてはちょっと私は薄弱だと思うんですね。
  現に、わざわざこの表をお出ししたのは、見やすく申し上げるために言ったんですが、どうやって恩給を年金に合わせてきたかと、こう見ますと、昭和六十年以前は両者とも定額、十二万円で固定をしていたわけですね。その後だんだん差が、さっき申し上げた千七百円まで広がった後、平成二年に年金額に合わせたわけですよね。その理屈は恩給の過去の動きとは関係なく、この二つの欄があって、左側の斜めの上の欄、上欄にある前の年の年金の額、例えば、これで言うと十二万八千円を引っ張ってきて物価を掛けた、つまり強制一致させた、こういう格好になっているわけですね。同じことを平成六年十月にもやっている。説明は、このときの恩給の欄を見ると、ずばり厚生年金との均衡を考慮してと書いているわけで、過去の恩給額も物価の率とも関係なく、こういうわけですよね。
  そもそも厚生年金に準拠させるというのなら、毎年この横引きにすればいいわけで、そのように法律で定めたらどうかと、こう思うんですが、実際の給付は年度の途中で調整すれば、給付はですよ、調整すればそれはできるんじゃないですか、そこは。
○政府参考人(久山慎一君) 恩給費は一般会計予算でございまして、年末の予算編成時に額を確定いたしまして、年明けには予算案を提出する必要がございます。一方、消費者物価指数でございますが、これは毎月二十六日を含みます週の金曜日に前月分が公表されることとなっておりまして、年平均の指数が確定するのは一月末でございます。こういうことから、年末の予算編成時点におきましては、いまだ確定値を用いることはできないということがございます。そのため、恩給予算につきましては、従来から予算編成時の見込み値を用いまして予算案の額を決定しているところでございます。
  恩給の改定に当たりましては、従来からその時々における社会経済事情等を勘案しながら最も適切な改善指標を採用してきたところでございますが、現在の諸情勢の下では、公務員給与の改定、物価の変動その他の諸事情を総合勘案する、いわゆる総合勘案方式によりまして恩給の実質価値の維持等を図ることが最も適当であると考えておりまして、寡婦加算に係る経費のみを取り出して他の恩給費とは別の時期に額を決定するということは恩給受給者にとっても混乱を招くなど、余り好ましくないものではないかというふうに考えております。
○又市征治君 どうも何か言っていること、擦れ違いがあるようなんですが、私は、これ、ずっと見てみたら、厚生年金と合わせていこうとこう言っているわけだから、横引きにして同じにしたらどうですかと、こう言っているので、もう少し検討をしていただきたいと思います。
  余り時間がありませんから、そこで、今日一番言いたいのは、そもそも今回実施される年金の引下げ自体が、これ、社会的、政治的に私はもう誤りだというふうに言わざるを得ぬと思うんです。小泉内閣はデフレ対策どころかむしろデフレ促進政策、こんな格好になっているんじゃないのか。こういう経済状況なのに、年金もそうだし医療費も、むしろ年金は下げる、医療費は負担増と、こういう格好になっていって経済をおかしくしていく、こういうことなのでありまして、その象徴的な一つが、寡婦だけをターゲットに当てたこの恩給の切下げ案もこれは問題だと。私は元々、恩給切り下げろなんて言っているんじゃなくて、なぜそういう意味で寡婦だけをここで下げるのかと、こう申し上げているわけですね。国民、特に経済的弱者の暮らしの意欲を一層落ち込ませる、こういう政治的な決定というのは納得できないと、こう申し上げたいところであります。
  最後に、時間がございませんから、恩給制度全般のことについて、昨年の審議でも私は、軍人の階級によっていまだに大きな恩給の額が差が付いているというのはおかしいんじゃないか、召集をされ、生活を奪われて死線をさまよわされた兵卒こそが犠牲者であって、恩給算定上の勤続年数も短いのが当たり前なわけですけれども、戦後五十年余りもたっているんですから、もう階級ではなくて、生活保障という観点からフラットな給付にすべきじゃないかということも去年申し上げました。その後、何らかの、このことについて改善の検討などがなされたのかどうか、この点についてまず一つはお伺いしておきたい。
  あわせて、この百三十万人の階級別の内訳、そして将官と兵卒の給付額の差も説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(久山慎一君) 最初に、後者の方の御指摘の点についてお答え申し上げます。
  平成十四年三月末現在の恩給統計によりますれば、旧軍人恩給受給者のうち、階級が兵の者が約六十三万人、下士官が約六十万三千人、将校のうち、尉官が約十一万二千人、佐官以上が約九千人ということになっております。
  将校と兵の恩給年額につきましては、現在、普通恩給年額におきまして、兵の最低保障額が五十六万八千四百円、少将の年額が三百三十一万三千五百円となっておりまして、少将の年額は兵の年額の約五・八倍というふうになっておるところでございます。
  最初のお尋ねの点でございますが、今年度におきます恩給改定につきましては、公的年金と横並びで金額が設定されている寡婦加算につきまして、公的年金と同様、平成十四年の対前年物価変動値〇・九%を引き下げるものでございます。厳しい社会経済情勢の下におきまして、寡婦加算以外の恩給年額については、これを据え置きまして、また個別事項の改定についても、これを行わないというふうにしたものでございます。
  恩給は公務員の退職当時の俸給を基礎として算定することとされておりまして、旧軍人の場合は、従来から、階級ごとに仮定俸給を設けまして、恩給年額計算の基礎としているところでございます。このようにいたしまして、恩給の年額は公務員の退職時の条件に応じて決定されるものでございまして、これは文官恩給にも共通する原則でございますことから、従来からお答えしておりますとおり、旧軍人恩給についても相応の階級差はやむを得ないものというふうに考えているところでございます。
  しかしながら、旧軍人恩給における著しい階級差は必ずしも望ましいものではないということから、昭和二十八年の旧軍人恩給再出発に当たりまして兵の階級の仮定俸給を兵長の階級に一本化したほか、その後の仮定俸給の格差是正におきましてもできるだけ下に厚く改善するよう努めてきたところでございまして、過去においてベースアップにおける回帰分析の採用あるいは最低保障制度の導入等の措置も講ぜられておりまして、終戦時に比較すると階級による差は大幅に縮小されてきているのではないかというふうに考えております。
  現在では、旧軍人の普通恩給受給者の八〇・六%が最低保障制度の適用を受けておりまして、同一実在職年におきます階級差は実質的にほとんどなくなっておるのではないかと考えております。
  なお、恩給受給者の処遇につきましては、今後の社会経済を十分勘案するとともに、受給者の御要望等を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
○又市征治君 引き続き、もう時間がなくなってしまう、答弁が長いものだから、この点の引き続きの改善を求めて、今日は終わりたいと思います。
○委員長(山崎力君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
  これより討論に入ります。
  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
  本法案は、普通扶助料に係る寡婦加算を年額一千四百円ないし二千四百円引き下げるものであります。公的年金に連動させるためとして引き下げることは認められるものではございません。
  また、今回の削減は、サラリーマンの医療費窓口三割負担など社会保障の負担増や給付の削減、配偶者特別控除廃止などの庶民増税による負担増など、合わせて四兆円を超す国民への負担の押し付けの一環であり、個人消費を押し下げ、日本経済に否定的な影響を与えるものであることを指摘いたしまして、討論を終わります。
○委員長(山崎力君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
  これより採決に入ります。
  恩給法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

    〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
  午後一時まで休憩いたします。

    午後零時五分休憩
      ─────・─────
    午後一時開会
○委員長(山崎力君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
  この際、委員の異動について御報告いたします。
  本日、川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として岡崎トミ子君が選任されました。

     ─────────────
○委員長(山崎力君) まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に総務省情報通信政策局長高原耕三君及び総務省政策統括官清水英雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
  日本放送協会関係の付託案件の審査及び行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、日本放送協会の役職員を参考人として、今期国会中、必要に応じて随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣。

○国務大臣(片山虎之助君) 日本放送協会平成十五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
  まず、収支予算について、その概略を御説明申し上げます。
  一般勘定事業収支につきましては、事業収入は六千七百三十八億円、事業支出は六千六百六十億円となっており、事業収支差金七十七億円は、全額を債務償還に使用することとしております。
  一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出とも八百六十五億円となっており、放送設備の整備など建設費に七百八十八億円を計上しております。
  次に、事業計画につきましては、公共放送の使命に徹し、視聴者の要望にこたえ、公正で迅速な報道や多様で質の高い番組の放送を行うとともに、放送を通じて、国際交流と相互理解の促進に貢献していくこととし、また、地域放送を充実するとともに、デジタル放送の普及促進や新しい放送技術の研究開発等に積極的に取り組むこととしています。あわせて、協会の主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、業務全般にわたる改革を一層推進し、効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に理解され、かつ、信頼される公共放送を実現していくこととしています。
  具体的には、三大都市圏での地上デジタルテレビジョン放送の開始、子供向け番組の強化等教育テレビの刷新、夕方時間帯を中心とした地域情報番組の拡充等を計画しております。
  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
  総務大臣の意見といたしましては、これらの収支予算等につきまして、適当なものと認めた上で、受信料により維持運営される協会は、受信料の公平負担を一層徹底しつつ、公共放送としての使命達成に積極的に取り組むとともに、事業運営の適正性及び透明性を一層確保していくことが必要であり、このため、事業計画等の実施に当たり、特に配意すべき事項を付しております。
  具体的には、我が国のデジタル放送の普及発達に先導的な役割を果たすこと、受信契約の締結等の徹底について検討すること、事業全般にわたる情報公開を一層推進し、協会の経営に対する視聴者の理解を得られるようにすること、等の六項目であります。
  以上が提案理由及び内容の概要であります。
  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(山崎力君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。海老沢日本放送協会会長。
○参考人(海老沢勝二君) ただいま議題となっております日本放送協会の平成十五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。
  平成十五年度の事業運営に当たりましては、公共放送の使命に徹し、視聴者の要望にこたえ、公正で迅速な報道や多様で質の高い番組の放送を行うとともに、放送を通じて、国際交流と相互理解の促進に貢献してまいります。
  また、平成十五年十二月から、地上デジタルテレビジョン放送を開始するとともに、地域放送の充実や新しい放送技術の研究開発などに積極的に取り組んでまいります。
  あわせて、協会の主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、業務全般にわたる改革を一層推進し、効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に理解され、かつ、信頼される公共放送を実現してまいります。
  主な事業計画につきまして申し上げますと、まず、建設計画におきましては、地上デジタルテレビジョン放送やハイビジョン放送のための設備の整備を行うとともに、放送会館の整備などを実施いたします。事業運営計画につきましては、国内放送及び国際放送の充実を図るとともに、緊急報道に備えた取材体制の強化や放送技術などの調査研究を積極的に推進いたします。
  以上の事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千七百三十八億円、国内放送費などの支出六千六百六十億四千万円を計上しております。事業収支差金七十七億六千万円につきましては、債務償還に使用することといたしております。また、資本収支につきましては、支出において、建設費など総額八百六十五億六千万円を計上し、収入には、それに必要な財源として、減価償却資金など総額八百六十五億六千万円を計上しております。
  なお、受託業務等勘定におきましては、収入八億八千万円、支出七億六千万円を計上しております。
  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。
  以上、日本放送協会の平成十五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、一層効率的な業務運営を徹底し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。
  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますよう、お願い申し上げます。
○委員長(山崎力君) 以上で説明の聴取は終わりました。
  これより質疑に入ります。
  質疑のある方は順次御発言願います。

○景山俊太郎君 自由民主党の景山俊太郎でございます。
  海老沢会長に、NHKのイラク報道につきまして質問をさせていただきます。
  三月二十日午前十一時半、イラクでアメリカ軍の空爆が始まりました。既に今日で一週間であります。空襲を受けますバグダッドの町の様子でありますとか、砂漠で戦闘が展開される状況が刻々と映し出されております。正に今、世界がテレビの前にくぎ付けになっていると言っても間違いではないと思っております。
  戦争が始まってからは、NHKや各民放各社、イラク報道の一色であります。十二年前の湾岸戦争におきましては、アメリカのCNNがほとんど一人で目立ちたがるような感じで報道しておりましたけれども、今回は、NHKの報道は、正に独自に、各国の報道とも連携を取りながら、情報もふんだんに取り入れて報道がなされていると思っております。
  そこで、このアメリカ、イギリスのイラク攻撃につきまして、その報道について若干質問をしたいと思います。
  その一点は、NHKは、総合テレビだけではなくて、衛星放送、国際放送、ラジオと、たくさんの放送を出しております。それぞれの特徴を生かしながら、分かりやすく多面的に放送していると考えておりますけれども、しかし、こうした報道に当たりまして、NHKとしての報道に対する考え方といいましょうか哲学、そういうものと、視聴者の反響また視聴率、そういったものにつきましてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 御案内のように、今度のイラク戦争につきましては、国際世論がかなり意見が分かれているといいますか、この戦争に対するそれぞれの国の考え方、意見が本当に多岐にわたっております。そういう中で、この戦争の及ぼす影響は、もう日本だけでなくて全世界の政治、経済、社会、いろんな分野に大きな影響を与えているものであります。
  そういう面で、私ども、できるだけ多くの意見を国民に知らせるとともに、また戦争の実態がどういうものなのか、これも、一方的に偏らず多角的にこれを報道することによって、視聴者国民の判断の材料に供したいと。そういうことで、湾岸戦争に比べて、人員、機材とも、今二倍以上のものを動員して報道に当たっているところでございます。
  今バグダッドには、三月十五日まで三人の記者、カメラマン、PDを入れておりましたけれども、非常に危険だということで撤退し、今、隣のヨルダンのアンマンあるいはアメリカの地上軍の基地になっておりますクウェート、それからアメリカ軍の中央司令部がありますカタールのドーハ等に中継所を設けて二十四時間体制で報道を今続けているところであります。今、三十二名の職員がこれに当たっていると同時に、また我々、公平といいますか、できるだけ事実を客観的、多角的に報道する意味合いで、我々の取材だけでなくて世界の多くの国の報道機関等から材料を集めて報道するということで、今のところ世界の二十三か国、四十一のメディアから映像なり情報を収集し、それを総合テレビ、BS第一あるいはハイビジョン、あるいはラジオ、国際放送等に色分けて放送しているわけであります。
  そういう面で、この報道につきましては、できるだけそういう多角的な報道ということで、今非常にNHKはよくやっているという意見を多く寄せられているわけでありますが、非常にまた、こういう面では、今情報戦争と言われるほど、情報合戦といいますか、米英側あるいはイラク側、それぞれいろんな面で報道統制をしながらいろいろな情報合戦をしていることもこれ事実であります。
  そういう面で、できるだけ、どこが真実なのか、どこが事実なのか、その辺を十分検証しながら今報道に当たっているところでございます。
○景山俊太郎君 今回のような非常事態におきまして、海外にいる日本人は、特に日本からの国際放送が頼りになるんじゃないかと思いますが、特にNHKにおかれましては、今回の戦争に当たりまして、国際放送を充実するという点でどういう点に心掛けられましたか、御質問をしたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) 先生御指摘のように、こういうときに国際放送で海外の在留邦人や旅行者たちに適切な情報を流すということは非常に大事だと思っております。
  具体的には、テレビ国際放送のNHKワールドTVでは、三月二十日の十一時半過ぎ、総合テレビで、イラクへの攻撃が始まるとともに総合テレビは特設ニュースをやったわけですけれども、それをテレビ国際放送でも全世界に放送するというふうなことをやりました。それから、テレビ国際放送の海外安全情報、これは一日五回放送しているんですが、その中身は、通常は週二回程度しか更新しないんですけれども、毎日次々に新しい情報を入れて更新するということをやっております。
  ラジオの方も、まずこれはイラクに対する攻撃が始まる一日前の十九日の午前十時から、中東と北アフリカ地域向けの二十四時間の日本語放送を開始するというふうなことをやっております。そして、ラジオの日本語による安全情報についても、通常は一日十二回程度なんです、これを倍増させる、多いときには倍増させて二十五回を放送するというふうな形で、今申しましたように、海外の在留邦人、そして旅行者の安全のために配慮した放送をしております。
○景山俊太郎君 それから、国際放送をインターネットでも流していらっしゃいますけれども、この点につきましては、どうですか。
○参考人(板谷駿一君) お答えいたします。
  インターネットの、国際放送のインターネット活用についてですが、これについても、日本語でのライブサービス、いわゆるストリーミングと言われるもの、これを二十日の正午以降、ラジオ国際放送とほぼ同時に聞くようなサービスを、聞けるようなサービスを行っております。それから、いわゆるオンデマンドサービスというものについても、これはいつでも必要なときに海外の在留邦人の方がイラク情勢について最新情報が得られるというような形を取っておりますし、ここにも当然海外安全情報も掲載しております。
  それから、アクセス、二十日のライブサービス、ストリーミングサービスの一日当たりのアクセス数が、これは九・一一の同時多発テロ発生のときは七千だったんですが、今回は一万五千九百三十件にも達しました。非常に多いアクセスがありました。オンデマンドサービスについても、アクセス数が、ふだんの一日平均九千件程度なんですが、二倍以上の一万九千三百三十五件にも達するというふうなことがあります。
  国際放送におけるインターネットの情報を使った情報提供も今後ますます重要になってくると思っておりますので、積極的に対応していきたいというふうに考えております。
○景山俊太郎君 今回の米英両軍のイラク攻撃というのは、国連の場におきまして、安全保障理事会の常任理事国でありますフランスとかロシア、また中国などが反対する中で始まりました。また、こういった点で非常に戦争に対する各国の意見が異なっておるわけであります。また、それに宗教の違いとか文明の違い、又はイラクの石油利権をめぐる争い等も漏れ聞こえてくるわけでありますけれども、こういった中で放送するということにおきますと、いろいろな面で情報戦争に利用されるような面もあろうと思います。
  そうした点で、NHKにおいては、この複雑な中におきまして、どのように隔たりのない、そして日本にとってだれもが安心して見れるような報道に心掛けておられるか。まだまだ戦争は続くと思いますけれども、今後どういった、これまでもいろいろ反省もあろうと思いますが、そういった点につきましてお伺いをしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 御案内のように、今度のイラク戦争に当たりましては、国連を中心にいろいろな動き、駆け引きがありました。そういう中での武力行使という事態に立ち至ったわけであります。それについては、各国それぞれの立場、思惑等から、いろんな意見が出てくることは我々十分承知をしております。そういう中で、日本の政府の対応もいろいろな面で国民の注目を集めたわけであります。
  そういう意味で、私どもは、こういう非常に影響の大きい戦争報道につきましては、いろんな角度から、大本営発表でなくて、いろいろな角度からこれを検証しながら放送しなきゃならないという、そういう非常に重大な使命を我々は持っているだろうと思っております。
  そういう面で、先ほどもお答えしましたように、我々は世界のあらゆる放送局の情報を手に入れながら、そして、特にBS1では今十四か国、二十の放送機関から各国がそれぞれ放送している映像をそのまま流しておりますけれども、それもできるだけ我々は手を入れないで、各国がどういうふうにこの戦争を取り上げ、また報道しているかということをそのまま伝えているということもしているわけであります。
  そういう中で、我々は、できるだけそういう多角的客観性というものを中心にしながら、いろんな見方、そしてまたいろんな事象というものをできるだけ公平に取り上げる、そういう姿勢で報道に当たっています。
  ただ、国際情勢はよく複雑怪奇でありますし、また、政治でありますから一寸先はやみというほど目まぐるしく展開するわけでありますので、そういうこれからの展開というものを十分に見極めながら、慎重に対応していきたいと思っております。
○景山俊太郎君 時間が来ましたので。
○山内俊夫君 自由民主党の山内です。
  今、景山先生の方から、対イラク攻撃、今回の戦争についての概略、放送に関係するお話もあったかと思います。
  三十二名、現地に派遣し、なおかつ二十三か国がこの取材に乗り出しているということでございますから、取材陣のやはり情報交換というのは私大変必要だろうと思いますし、また安全もそれに関係して確保していくということになっていきますけれども、大体こういう紛争地帯において当事者以外に第三者が比較的命を落とすというケースは、マスコミ陣に大変多くあります。報道陣、例えばカメラマンとか現地取材の記者とか、大変命も落としております。
  こういった意味で、NHKとしてはこういった国際紛争の現場、できるだけいい映像、またいい取材をしようということでかなり危険なところへ突っ込んでいくと思いますけれども、それに対して、安全に関してはどのような考え方をしておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、大事な職員でありますので、安全ということを今第一に心掛けて取材に当たらせております。
  バクダッドでの取材でも、いつ隣国のヨルダンに退避させるか非常に迷いましたけれども、そういう中で日本の報道機関の中では最も遅い三月十五日に決断して退避させたわけであります。しかし、やはり現場としてはできるだけ現場を見たいという、そういう記者魂といいますか、そういうジャーナリスト魂といいますか、がありますけれども、やはりこの際人命が大事だということで、今、ヨルダン、クウェート、カタールというところから生中継をしているわけであります。
  それは、やはり湾岸戦争以来十年、十二年になりますけれども、その間に通信の著しい進展あるいは放送機材の発達等によって、今ビデオフォンとかそういう新しい機材で、携帯で伝送が送れる、きれいな映像ではありませんけれども。そのほか、各国の映像を隣に運んで、そこから衛星で中継局に送るとか、いろんな手だてがこれまでよりたやすくなったということで、そういう面で多角的な報道ができるようになったわけであります。
  そういう面で、できるだけ安全を優先しながら、しかしそういう中で、また今、御承知のように、クウェートからは、アメリカ軍の地上軍の補給部隊に記者一人、これカメラマンはベトナム系アメリカ人、これはアメリカのカメラマンになりますけれども、プロダクションから雇用契約を結んで、今二人で取材に当たっておりますし、またキティーホーク、航空母艦にも記者、カメラマン二人を乗せて取材に当たらせておりますけれども、これも安全を第一に考えながら、今取材に当たらせているところでございます。
○山内俊夫君 それでは、あと少し視点を変えてみたいと思うんですけれども、最近、特に知的所有権というものについて随分いろんなところで声が上がってきております。
  特に、NHKは、私、非常に今まで映像的なものについては、技術もそうでございますし、いろんな特許を持っておられると思います。特に、知的、政府においても知的財産戦略大綱というものができまして、それで知的財産基本法も作り上げておりますけれども、またこれは私の個人的な見解なんですけれども、以前は、NHKというのは視聴者からお金をいただいているものだから余りもうけちゃいけないよという大きな思想があったと思うんですね。私は、そうじゃない、私は三、四年前の質問にもこのように質問させていただいたのは、ちょうどあの当時「だんご三兄弟」がはやっておりまして、これだけでもほぼ十億ぐらいの特許料が入ったという、著作権料が入ったというようなことも聞いております。そのときに、ちょうど「プロジェクトX」という新しい、日本人を元気にする番組を放送するんだということで、その「プロジェクトX」も大変評判を呼んで、今では本にもなっておりまして、結構売行きもいいそうでございますけれども。
  こういった一連の技術また知的所有権というものをもう少し思い切って稼いでもいいんじゃないかと、言葉は悪いですけれどもね。でも、稼ぐことによって視聴料をできるだけ今のお金でキープしていく、もしくは二割ぐらい総収入で稼げれば二割ぐらい安くなるわけでございますから、その辺り、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですが。
○参考人(吉野武彦君) NHKは放送法の定めがありまして、放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究のための業務といたしまして、放送の高品質化でありますとか、あるいは多様化に対する視聴者の要望にこたえ、時代に合った放送サービスを提供するということで研究開発を行っております。
  その結果として、様々な特許を取得しております。平成十五年二月末の現在で、NHKが保有する特許は、国の内外合わせて千二百八十五件であります。放送のデジタル化に関しても、放送の高品質化あるいは多様化など、視聴者の要望にこたえるべく技術開発を進めてきた結果、ハイビジョン、衛星デジタル放送あるいは地上デジタル放送に関連した特許、さらにデジタル技術を活用して話速変換技術など、人に優しい技術に関する特許なども多く保有しております。
  こういったNHKの技術に基づく新しい放送サービスの普及により、視聴者サービスの向上や産業発展などを通して研究成果を社会に還元すると同時に、NHKが保有する特許が使用されることにより副次収入増にもつながっていくというふうに考えております。
  このNHKの特許の技術移転を担当する機関としては、NHKエンジニアリングサービスという公益法人がありまして、これと連携して保有特許を有効活用する取組を進めております。
  今後の放送サービスの基幹となりますデジタル放送の普及発展や充実のためにも、NHKの保有特許を有効活用するとともに、特許による副次収入増加を引き続き図っていきたいと、こういうふうに考えております。
○山内俊夫君 今、少しNHKの特許戦略というものを少し聞かせていただいたんですけれども、その中で、今のお答えの中で、放送のデジタル化、デジタル部門でございますが、これは地上波も今年の十二月から放送開始ということになってきておりますが、このデジタル化の最大の売り物というのが実はこのハイビジョンなんですね。ですから、NHKが今まで長年取り組んでこられたこのハイビジョン技術、これを中心にしたデジタル化関連の特許というのはどのぐらい持っておられるのか、またデジタル化の推進に伴いまして特許料の収入増加というのはどのぐらい見込んでおられるか、その辺りも少しお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(吉野武彦君) 衛星デジタル放送及び地上デジタル放送など、デジタルハイビジョン放送に関連した特許といたしましては、現在約百八十件を保有しております。このデジタル放送の実現のためには、NHKが持っている特許以外にも、企業とか機関が開発した特許も使われることになります。
  したがって、このため、デジタル放送に関連した特許を一括して受信機メーカーに使ってもらえるような工夫が必要です。いわゆるパテントプールというのを作って、ここで実施許諾を行っていくことになります。
  この実施許諾の詳細はこれから詰めることになるわけですが、デジタル放送の普及充実に伴い特許収入というのは相当増加が期待できると考えております。
  以上です。
○山内俊夫君 かなり増加が期待できるということなんですが、今までの大体のいろんな間接的に聞いていきますと、NHKだからもっと安く提供しなさいよとかいう民間とのいろんな話もあるやにも聞いておりますけれども、やはり知的財産権というのは、これは私はもっともっと付加価値を生んで、今から日本社会も世界に向かってやはり生き延びていく一つの大きな方向性を見せているんじゃないかと思いますから、いいものはいいわけですから、しっかりと、口は悪いですが、稼いでください。是非よろしくお願いしたいと思います。
  それで、一つ、最後の質問になりますけれども、最近、川口の方にできましたアーカイブスという映像文化を保存していこうという考え方でございますが、これ大変我々も期待をいたしております。今まで我々が百年、百十年前のものを見るのは、本当に一秒間に十二こまぐらいの動きのぎこちない映像が本当に少し見られた。その前のスチール写真が百五十年ぐらい前のが見られたわけでございますけれども。今からは、今から多分将来、百年、二百年、三百年、五百年、これは保存の仕方によったら大変な文化を後世に伝えるということでもございますし、特に映像文化、NHKが持っておられるかなりいいものというのは、私、数万本あると聞いております、大体、三十分から一時間物に換算いたしまして。ところが、この川口のアーカイブスというのはせいぜいまだ二千本ぐらいしか公開されていないということなんですが、これ、多少いろんな個人の肖像権の問題もあろうかと思いますが、今日はもうそんなに複雑な話は結構でございますが、今後もっと増やしていくのかどうか。それとまた、川口だけじゃなくて、この関東圏、そしてまたオールジャパンでどの程度映像が身近に見れるかどうか、ここら辺りの構想もちょっとお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきますが。
○参考人(板谷駿一君) 今、先生御指摘のように、二千本、テレビ二千本、ラジオ二百本が公開されておりますが、毎年少しずつ増やす、三年後にはテレビ五千本、ラジオで五百本が公開できるようにしていきたいと思っております。
  それから、NHKの拠点局と申しているんですが、札幌とか仙台とか、そういう大きな放送局においては、この秋に、訪れれば見ていただけるようにいたします。
  それから、将来的には、いろいろ、サーバーを替えるとかいろいろなことが必要なんですけれども、それから光ファイバーを敷設する必要ありますけれども、そういうことが必要でありますが、各地のNHKの放送局でもこれが見られるようにすると、そういう方向で今検討しているところでございます。
○山内俊夫君 どうもありがとうございました。
  終わります。
○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。
  今、自民党の先輩議員お二人からイラク戦争、対イラク戦争に関する御質問がありました。現場の取材に関する質問だったわけですけれども、私はちょっと視点を変えて、国内のことについてお伺いしたいと思っております。
  今回、アメリカがイラクに戦争を始めた、それに対して日本が明確な支持の姿勢を示したということで、国内的にはやはり日本もテロの対象となっているという心配をしなければいけないと思っております。そういう中で、特にNHKのような放送局も非常にテロの対象となる蓋然性が高いと考えておりますけれども、NHKとしてテロ対策をどのように取ってこられているのか、それが予算にどういうふうに入っているのかも含めてお伺いしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども公共放送、NHKといたしましては、できるだけ放送会館を一般に公開する、つまり、私の経営理念として、改革と実行、公開と参加ということを言っております。そういう中で、できるだけオープンな形でいろいろな方々に放送局を訪問してもらう、そしてまた番組も見てもらうと。そういうことで、できるだけオープンな形の政策を取っております。
  ただ、一昨年の九・一一、いわゆるテロ事件以来、そういう中で、やっぱり公開しながらも、やはり警備体制を強化しようということで、全職員に入館証を必ず持参させる、そして訪問者にも一応注意を払うというようなことで、いろいろ警備体制を、視聴者に迷惑が掛からない範囲でやっているところであります。
  ただ、御承知のように、番組を送出する中枢部なりあるいは報道局のニュース部門につきましては、これはもう一般の人の立入りを禁止し、二十四時間体制できちっとした体制を取っております。その部門については、できるだけ視聴者には不快感を与えないような体制での警備体制を取っているところでございます。
○世耕弘成君 局舎の管理、しっかりやっていただいているということですが、局舎の管理だけではなくて、例えば、今回もアメリカがやったという話がありますが、妨害電波を流すですとか、あるいは放送制作もかなりコンピューターに頼っている分野が多くなっていると思いますから、サイバーテロの危険性ですとか、あるいは前の対アフガン戦争のときは、やはりアメリカの象徴ということでウォール・ストリート・ ジャーナルのパキスタンの特派員がやっぱり現地で誘拐をされて殺害をされるというような事件もありました。
  ですから、在外職員の安全管理の問題とか、そういった広範に、ありとあらゆるリスクを考えてNHKとしてもテロ対策を打っておいていただきたいというお願いをしておきたいと思います。
  さて、今回、イラク戦争でいろいろな現地の状況なんというのが伝わってくるわけですけれども、我々、今までもいろいろな戦争あるいは内乱、クーデター、テロ、海外で起こったいろんな事件を、報道の状況を見ていると、やはりいろんな争いの中で、やっぱり両方の陣営が取り合う拠点があるんですね。それがやっぱり放送局だと私は思っております。戦争において、あるいは戦いにおいて、やっぱり放送局を取って、そこから自分たちの都合のいい情報を流すというのが非常に戦争の局面においては重要になってくると思っております。
  そういう意味では、やはり今、日本で行われている有事法制の議論、あるいはこれから国民保護法制を検討していこうという形になっていますけれども、そういう中で放送局をどういうふうに扱っていくのかというのは、これは非常に避けて通れない重要な問題だと思っております。国民保護法制では、今、県とか市町村における誘導体制の話が言われていますけれども、避難誘導の体制が言われていますけれども、やっぱり避難の前提になるのは、どういう敵が来てどっちの方向へ逃げていったらいいのかというような情報がやっぱり正確に伝わっていることだと思っています。やっぱり国民保護の前提というのは情報が正確に伝わっていることだと思っております。
  ただ、今回、有事法制とか国民保護法制で、いろいろ政府に私も何回も党の議論の中で質問したことあるんですけれども、残念ながら、放送局をどうするのか、あるいは電波をどうするのかという視点はちょっと今のところ含まれていないような気がしていて、私は大変心配をしているわけでございます。
  ただ、当然、有事法制の中に今度はマスコミを組み込むとなると、これはまた想定されるいろいろな感情的な反発なんというのもあり得るだろうと思っているんですけれども、NHKとして、有事法制とか国民保護法制、こういった法律の中にNHK自体が組み込まれるとしたら、どういうふうにそのことについてお考えになるか、お伺いしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、放送の使命の一つとして、いわゆる大災害なりあるいは緊急事態において国民の生命、財産を放送を通じて守っていくというのが大きな使命だろうと思っております。
  これまで、戦後、昭和二十五年の放送法ができて以来、私どもは、地震、津波、台風とか、いわゆる大災害の報道、これをできるだけ迅速に正確に報道することによって防災、いわゆる災害を未然に防ぐ、あるいは被害を少なくするという、被害報道じゃなくてそういう予防的なものにも力を入れてきているわけであります。ですから、何か緊急事態があれば、我々放送局としては、どういう事態が起こっても、まず国民に正確な情報を的確に知らせるというのが大きな使命だと思います。
  そういう中で、今、有事立法なりいろんなことが議論されてくるとは我々も伺っておりますし、我々自身も、いろんな面で国民の生命、財産を守る上からどうすればうまくいくのか、その辺をいろいろ勉強しているところでございます。
  いずれにしても、最優先するのは国民の生命、財産を守る視点から放送局としての役割を果たしていくという、それを基本にしながら、その中でまた言論の自由、報道の自由という問題もありますので、その辺の兼ね合いをどうするか、今、一生懸命勉強している最中でございます。
○世耕弘成君 NHKさんとして、有事においてもきっちりとした報道機関としての役割を果たしたいと、その決意は非常によく分かりました。
  しかし、一方で、これはNHKだけで対処できる話ではなくて、やはり国もしっかりと、放送をどういうふうに守っていくかというのを考えていかなきゃいけないと思います。
  実は、私、今回のイラク戦争の中でびっくりしたことが一つあるんです。
  というのは、開戦されてすぐ直後に、閣議が招集される前に安全保障会議というのが招集をされました。そこのメンバーを聞いてみたら、最初は、元々は総務大臣は入っていなかったというんですね。これ、本当にびっくりしましたね。国の危機管理の感覚が、私、これでもう本当に露呈してしまったと思っています。消防を管轄して、地方自治体との連携を担当して、通信政策をつかさどって、放送政策をつかさどって、電波の監理者である総務大臣を入れていなかった。最近入ったということを伺っていますけれども、最初そもそも入れていなかったというところを、非常にセンスを疑うところもあるわけなんですけれども、やはりこれ、国民保護法制を議論する中でやっぱりこういう放送とか電波という問題をしっかり組み込むべきだと思っていますが、総務省としてはお考えは、どのようにお考えでしょうか。副大臣、お願いいたします。
○副大臣(加藤紀文君) 先生の御指摘、もっともであります。
  今、国民保護法制についてのお尋ねでありましたが、先生も御指摘されましたけれども、放送事業者が、例えば武力攻撃事態において国民の生命とか身体の安全の確保に関する政府等の緊急情報を正確かつ迅速に伝えるということは極めて重要なことでありますし、その観点からも、先般政府が示しました国民保護法制の輪郭におきまして、指定公共機関や地方指定公共機関となる放送事業者は、内閣総理大臣や都道府県知事の発する警報の内容及び緊急の指示の内容の放送を責務として行うと規定されておりますが、具体的なこの内容につきましては今内閣官房を中心に検討が行われているところでありますし、今後その検討を深めていく過程におきまして、関係者の理解を十分に得つつ、放送が国民保護のために適切な役割を果たせるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
○世耕弘成君 是非とも、NHKだけでは対応できない面があると思います。特に、自衛隊による警護とかそういったことは有事の際にはやはり想定しておかなきゃいけないと思いますから、是非ともしっかりと議論をやっていただきたいと思います。
  さて、ちょっと話を変えまして、今、山内議員からもお話ありました、また昨日は民主党の内藤議員も質問されておりましたが、著作権の問題でございます。
  今、光ファイバー、ADSL等を中心にしたブロードバンドインターネットが物すごく広がっていますが、なかなかコンテンツがないと。私は、今、当面コンテンツとして非常に有力なのはテレビの過去の番組だと思っております。歌謡番組、ドラマ、これがインターネットで例えば百円、二百円、三百円で一番組見れるようになれば、これは面白いということでこういうブロードバンドインターネットを申し込もうという人が増えてくるんじゃないか。非常に、ですからこの過去の番組をどうするかというのは重要なテーマだと思っております。
  昨年、トレソーラという形で、民放の皆さんがブロードバンドインターネットを使った過去の番組配信の実験事業をやられました。近く何か報告書がまとまると聞いておりますけれども。その場合、何か実際の体験を聞いてみますと、やはり著作権処理が大変だったと。もう主演している人とかそういう人は大丈夫なんですけれども、BGMを作った人とか、そういうもう関連のアーティストが一杯いて、その人たちの居場所を探して訪れて承諾書にサインをもらう。行ってみたらもう御本人亡くなっていて、遺族の方が、そんなインターネットなんて私は分からないものにサインができないと言われたりして、このトレソーラというのは、こういう番組流せたらなという候補にしていたやつの二割ぐらいしか著作権処理が完了しなかったと言われています。
  NHKも今恐らく川口のアーカイブスで同じ問題に直面をされていると思います。NHKが持っている映像のうち、先ほど山内議員からもお話ありましたが、二%程度しか著作権きっちり処理できていないという話も聞いておりますけれども、私は、個人的にこういうふうに考えています。
  テレビや、テレビドラマやあるいは音楽、これがテレビを通じて国民がみんなの思い出にしているものというのは、もうそのアーティストの手は離れていると思うんです。基本的には電波という公共のものを使って国民みんなの財産になってしまっているんです。だから、私は、ある程度作ったアーティストの権利というのは制限されてもいいんじゃないか。特に、自分で出版されたり自分で売って歩いたものは別ですけれども、電波に乗って、放送電波に乗って国民が思い出となっているようなものというのは、これはある程度制限していいんじゃないかと思っています。例えば、脚本家とかあるいはBGMの人に一々探し出して著作権処理をするんじゃなくて、例えばその一つの演出家団体とかそういう業界団体みたいなところにある程度お金をぽんと入れたらそれをもって著作権処理は完了したというような、そういう新しい法律のルールを作ってみてもいいんじゃないかと思っています。
  ただ一方で、そういう案を放送業界の方に話をすると、いや、もしかしてそうなるともう最初から二次利用を織り込んだ著作権料を向こうから要求されるから、最初に番組を作る料金が高くなるんじゃないかというような懸念もいただいていますけれども、NHKとしてはその辺どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) お答えいたします。
  NHKのそういうアーカイブスなり、あるいはその他のソフトがブロードバンドを通じて国民に流通すると、そして国民が恩恵を被るということは非常に大切なことで、やがてそういう時代がやってくると思います。
  ただ、今、先生も御指摘のように、著作権者の許諾とかその収益配分を、どこがどのぐらい取ったら、取るべきかというような、利害関係者が、それは通信事業の方もいるし、コンテンツホルダーもいるし、いろんな方々がいろんな御意見を持っていて、その利害調整をどうやっていくかという段階だと思うんです。これが、そういう会議はいろんなところで行われておりますので、そういう形の会議の中で次第にルールができてくるんではないかと思います。
  それから、もう一点御指摘の、二次利用については権利を大幅に緩めたらどうだという御意見でございますが、これについてもその利害関係者がいろいろいまして、それには賛成できないという人も当然いるわけで、いろんな場でNHKもどうしたらいいのかということを研究しながら、またかつNHKの意見も述べていきたいというふうに思っております。
○世耕弘成君 やはり私は、NHKは公共放送としていろいろな先駆的な実験をやっていく一つの責務があると思っていますけれども、是非、今、川口のアーカイブスなんかは無料で過去の番組情報を提供されていますけれども、私、先ほど山内議員がお金を取れとおっしゃっていました、私は別の意味で是非新たな利益配分のモデルをNHKが先行してやっていただきたい。是非、川口アーカイブスだって私百円や二百円取ったって構わないと思います。それをどういうふうに配分していくかというのを是非NHKとして検討をしていただきたいというお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○小野清子君 自由民主党の小野清子でございます。
  昨年の十二月の総務委員会でNHKの決算の審議をした際にいろいろ質問をさせていただきました。その折に、百四十一本も上がりました昨年の法案が国民にそれほど理解をされていないということで、スーパーでニュースの折に是非流してほしいという私は要望を申し上げた記憶がございます。その折に、いろいろ検討してというお答えでございましたが、それがその後どうなっておりますか、お答えをいただきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) この前の決算審議の委員会で小野委員からいろんな貴重な意見を承りました。そして、我々、視聴者のそういう強い要望にどうこたえるかということでいろいろ検討してまいりました。
  御案内のように、重要法案なり国民生活に密着したような法案につきましては、もうその都度いろいろな面で紹介しておりますけれども、先生おっしゃるように、そのほかの法案についてももっと国民に分かりやすく伝えてほしいというこの点につきましては、年度末、三月三十一日の深夜、いわゆる四月一日の最終ニュース、三月三十一日の最終ニュースと言いますが、我々は、十二時から十二時十五分までの十五分間を最終ニュースと言っております、その中で法案を詳しく紹介しようと。もちろんテロップを流し、そこにこの法案の内容はどういうものかというのはアナウンサーがコメントを付けるということで、最終ニュースでその法案、成立した法案について詳しく説明するということにいたしました。
  そして、例えば年度末なり、あるいはそういうときには、一日二十本なり二十五本の大変な数の法案が成立する場合もあります。その場合は、十五分で放送し切れない部分は延長してまで放送するということに決断いたしました。
○小野清子君 ありがとうございましたと申し上げながら、十二時から見る方というのはどれくらいいらっしゃるのかなと少々心配な気分もございます。皆様の反響をいただいた上で、また御一考いただければと思います。
  それでは、総務大臣の方にお伺いいたしますけれども、NHKの受信料は公共放送を支える上での財源であるわけでございまして、これは国民の義務であると思うわけでございます。契約を行っている世帯の、全世帯の八二%にしかし受信料というものがとどまっているということで、とあるときに私が、NHKの受信料は絶対払わないなどということを公言している方に出会ったことがございます。
  そういうことが法律上許されるのかどうか、その辺、お伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、小野委員言われました受信料は放送法の三十二条一項にありまして、NHKの放送を受信できる設備を持つ者はNHKと受信契約を結ばなきゃいかぬ、受信契約を結ぶと受信料を払わにゃいかぬと、こうなっているんですよ。だから、払わない人はこれは完全な法律違反なんです。しかし、それが約二割もおるというのは大変私は問題だと思っているんですね。ただ、私法上の契約ですからね、受信契約を結んで。だから、契約を結ばないというところなんですな。今、公的な年金の保険料なんかもなかなか収納率が低うございまして、税金ほどでは、税金が物すごい高いんですけれども。
  そこでどうするかというのは知恵を出さなきゃいかぬのですが、NHKも努力していると思いますよ。努力していても、少しは上がっているんだけれども目立って上がらない。どうしても上がらないのは、これは完全な社会的不公平ですから、私は法律を直しても取るようにすべきだと個人的には思っておりますが、NHKさんの御意見も聞きながら、今後とも十分検討してまいります。
○小野清子君 私もやはり責任と義務という言葉と同時に、受益と負担というこの問題がきちんとしていかなければ、やはり支払している者とそうでない者が堂々とまかり通っているというのは私は大変おかしなことだと思います。
  それで、考えますと、引っ越しをしたとか、あるいは転勤とかの際にどうもブロックするような感じがなきにしもあらずですけれども、集金のために一軒一軒、一軒であればいいんですけれども、マンションの場合には調べて歩くということは大変な経費が掛かるかと思いますけれども、その辺の二割近い不払の方々の、御努力の一端を短くて結構ですからお教えいただけたらと思います。NHKの方にお願いいたします。
○参考人(安岡裕幸君) お答え申し上げます。
  今、受信契約の率でございますけれども、一八%の方が未契約になっていると、八二%ございます。その内訳なんですが、端的に言いまして、二人以上の世帯の方は九割くらい契約があるんです。ところが、単身世帯でございます、これが六二%ということで、そこのところが大変難しい状況になっているということでございます。
  その単身の方が、なぜかというと学生さんだとか、あるいは単身で企業の方がやられているということで、なかなかお会いできないということがございまして、その辺のところを是非強化していかなきゃいかぬということで、例えば学生さんについては、移動のときに、間もなく来ますけれども、フレッシャーズ対策という格好でいろいろ協力をしてやっていこうということで、これは夜も、おられる方の夜とか朝とかいうことで根気よく頑張っていっているということでございます。
○小野清子君 ありがとうございました。根気よくというのは、国の方でも少しは頑張っていかなければと、そんな気持ちを持たせていただきました。
  続きまして、テレビを見ておりましたら、教育テレビが変わりますというアナウンスがございました。その後、それがどう変わるかが聞き損じておりますけれども、時代の変革の中でいわゆる三チャンネル、教育テレビという言葉が、大体三十数%変わるというふうにちょっと耳に入ったんですけれども、何%変わるかによりまして教育テレビそのもののお作りになられたときの概念がもう変わってきちゃうんではないかと思うんですね。
  その辺辺り、教育テレビという言葉をいつまで大事にされるのか、その内容を合わせて教育・教養テレビというんでしょうか、その辺をお知らせをいただきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 教育テレビは昭和三十四年の一月十日からNHKが世界に先駆けて教育専門のチャンネルを作ったという歴史があります。それと同時に、三年前からは二十四時間放送ということで深夜帯にも、学校の先生方がビデオを撮ってもらうと、そういうことも含めまして二十四時間の体制にしております。
  この教育テレビも、今おっしゃるように非常に教育というと何となく堅苦しいということで、名称を変えたらどうかといういろんな意見ありましたけれども、いろんな先生方あるいはいろんな視聴者の意見を聞いて、結局最終的にやっぱり教育テレビに落ち着いちゃうという。文化テレビがいいのか、教育・教養がいいのか、長いのがいいのか、今ETV、エデュケーショナルのEと、いいもののいいという掛け合わせでETVという言葉も時々使っておりますが、いずれにしても、世界的にもやはりこの教育問題が非常に重要視されてきておりまして、隣の韓国、中国でも今教育テレビという形で放送を数年前から始めております。そういう面で、私はいろいろ考えましたけれども、当分、教育テレビという名称を使わせてもらいたいと思っております。
  今度、番組を大幅に変えたのは、御承知のように今小中学生の学力の低下の問題なりあるいは心の問題が云々されております。そういう面で将来を担う子供たちのためのひとつ質のいい番組を更に強化していこうというものが一つねらいであります。
  それから、やはり福祉とか健康に対するニーズが非常に強いということ、それから今国際語とも言われている英語の会話力をひとつ高めようということで英会話の講座を増やす、それからいわゆる語学講座をできるだけ多くの方に見てもらおうという意味合いから、語学講座についてもいろいろ今工夫を凝らして強化をしていこうとかいう意味でかなりの部分を今手直しをして、四月七日から変えていこうと思っております。
  ただ、私こう見ていますと、今まで一チャンネルでは十分放送し切れない問題がたくさんあります。ですから、次の地上デジタル放送では三チャンネル取れますので、私はやはり次のデジタル放送時代になれば二チャンネルなり三チャンネルで教育番組を強化していくべきじゃないかと、そういうことで今いろいろ、どういう編成、どういう番組を作っていくか、いろいろ今検討しております。
  といいますのは、やはり一つのチャンネルで子供向けのチャンネルもできますし、あるいは次のチャンネルでは学校放送、語学放送も一チャンネルできますし、また生涯教育で福祉とか健康とか、そういう問題でもできますし、本当にやればもう五チャンネルでも六チャンネルでも欲しいところでありますけれども、教育だけでも今一チャンネルでは私は十分使命を達せないと、そういう面で時代の要請にこたえながら、手直ししながら今日まで来ているということでございます。
○小野清子君 あと言葉の点でちょっとお伺いしたいと思いますけれども、非常に片仮名語が多くなっております。国会におきましても片仮名語が多いので、なるべく日本語で話そうという方向で動いているわけですけれども、よく知れていると皆さんの方では思われているかもしれませんけれども、知れているようで知られない、分からない言葉というのが結構あります。
  特に、阪神・淡路大震災のときにライフラインという言葉がどんどんどんどん出まして、私も最初何だろうと一瞬思いました。ああいう片仮名言葉はやはりいろんな方が聞いていらっしゃるわけですから、ライフライン、電気やガス、水道など、その後にコメントとして理解できる言葉をやはり添えるということを是非お考えいただきたい。
  例えばバリアフリーというのも、障害者をお持ちの方、あるいは駅の階段とかああいうものをなるべくなくしてすべての人が出歩きやすくなると。知れているようですけれども、バリアフリーというのは障害を取り除くとか、ああ、そういう意味でバリアフリーなのかと、こう理解してもらえるように何かそういう工夫をされることを、時間がないんで一方的にお話ししてしまいますけれども、そういうことや、それから番組を聞いておりますと六十歳、六十五歳のお年寄りが、という言葉を必ず言うんですね。それで六十歳、六十五歳もいいんですけれども、男性がとか女性がと言うんならいいですけれども、なぜああ意識してお年寄り、高齢者という言葉を必ず付けてくださるんでしょうか。あれは聞いていて余り気分が良くない、我が身に響くということで。やはり今七十歳、八十歳が、百歳が元気な時代ですから、そういう言葉の問題というのは私は放送はとても大事であると思います。
  今やもうテレビもラジオ代わりというこういう時代にもなってきておりますので、やはり正しい日本語を話すということが学歴以上のその人間の教養であるということが諸外国ではよく言われます。そういうところでまず分かりやすいということが第一点と、それから相手に対しての思いやりというのは言葉を使うときにどうであるかということを是非お願いしたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) 本当に御指摘のように、お年寄りとか老人とか高齢者というのは、今本当に、お年寄りと言っていいんでしょうか、お年寄りがどんどん若くなっちゃったものですから、そのことに対して不快感を持たれる方がいるというのは私どもも認識しております。
  ですから、お年寄り、高齢者を使う場合は、例えば特定の個人じゃなくて老人ホームとか高齢化社会とか、そういう集団を表すときは割合使わせていただいておるんですね。なるべく、いずれにせよ、法律、行政用語にも結構多いんですけれども、例えば老齢年金とか老人福祉法とかそういうのがございますけれども、私どもとしてはそこに出ているお年寄りとか高齢者の方、と言っちゃいけないんでしょうか、不快の念にならないように気を付けたいと思います。
  それから、片仮名言葉についても、先生のおっしゃるように、極力言い換えをすると。ライフラインであれば、電気、水道、ガスなどのライフラインとか、そういう努力をしていく必要があると思っております。
○小野清子君 最後になりました。ワールドカップが大変大きくにぎわいましたし、そしてまたシドニー・オリンピックと続きますと、ユニバーシアード・アジア大会というのは二番せんじ、三番せんじという印象があるのでしょうか。これは疑問でございます。
  いわゆるオリンピックで活躍するためには、アジア大会なりユニバーシアード、大学ですね、私も今、言います。ユニバーシアード大会というのは大学生を中心とした世界の大会ですけれども、こういうものに関しまして、NHKさんの方での放映がどうもいまいち少ない。
  今回、第二十一回ユニバーシアード冬季大会、これはイタリーのタルビジオで開かれまして、日本は大変健闘いたしまして、ロシア、ウクライナ、中国に次いで四位、金、銀、銅メダル合わせて十四個。それから、第五回のアジア冬季競技大会、これは青森で開催をされまして、日本は何と一位になりまして、金、銀、銅メダルが二十四、二十三、二十、六十七個のメダルを取り、二位の韓国が二十八個、三位の中国が三十三個と、大変な活躍をいたしました。
  とにかく金、銀、銅が、バイアスロン一、二、三位、あるいはスケートの清水君、それから高校生の加藤君と新鋭、こういう非常にフレッシュな人間が出てくるのがアジア大会、ユニバーシアードなんです。こういうものにもう少しお心を砕いていただいて、選手をテレビが育ててくださるという御理解を是非していただきたい。オリンピックとワールドカップだけではない、本当に地道な、正に世界に出ていった出発の大会、しかも日本であった……
○委員長(山崎力君) 時間が来ておりますので。
○小野清子君 アジア大会、青森大会でございます。是非、この辺をお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○椎名一保君 先日、発行されました小泉内閣のメールマガジンの中で、海老沢会長が二十一世紀の放送の大きな役割として、世界人類の相互理解を深めるための懸け橋となるということをおっしゃっておられたんですけれども、そういう中からNHK、そのテレビメディアの国際社会における役割等につきまして三点ほど、ほか一点につきまして質問をさせていただきたいと思います。
  イラクへの武力行使が始まりましたけれども、世界はテロの脅威にさらされておるわけでございまして、その大きな要因として貧富の差、宗教観の違い、宗教観の違いということは道徳観、そのアイデンティティーの違い、そういうことがあるわけでございまして、文明の衝突と称した、言った方もおられますけれども、今回のイラク紛争につきましては文明の衝突とおっしゃる方がいますけれども、私はそうは思っておりません。あれは、サダム・フセインという理不尽な独裁政権のその暴力を民主主義をもって排斥するということだと私は理解しておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、その文明間の対話ということをテレビメディアが、について果たす役割というのは私は大きなものがあると思います。
  まずNHKといたしまして、その文明間の対話ということにつきまして、どのようなお考えを持ち、またどのように実践をしておられるのか、そのことにつきましてお伺いしたいと思います。
  関連しておりますので、続けてやらさせていただいてよろしいですか。
  それから、海外、海外に対する援助等のことについてお伺いしたいんですけれども、日本やアメリカ、ヨーロッパのメディアはもう、これはもう自立しておるわけでございますけれども、開発途上国、後進国、少数のその小さなメディアというのはなかなか自立して、することがなかなかできないと。そういったことにつきまして、やはりそのメディア間同士での援助ということが大きな一つのテーマとなるべきであろうと思うんですけれども、そのことにつきましてお考えをお伺いしたいと思います。
  また、付け加えまして、日本のODAも、かれこれ大綱ができまして十年たつわけでございますけれども、やはり内容につきましてはいろいろ議論が交わされておるわけでございますけれども、やはりメディアのインフラ整備のためのODAという、そういうその考え方につきましてNHKとしてどのようにお考えになっておられるのか、このまず二点につきましてお伺いしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 日本は第二次世界大戦に敗れて平和国家を目指しているわけであります。そういう面で私は、そういう二十世紀が、二十世紀が戦争と対決の世紀と言われる中で、二十一世紀は真の平和と対話の世紀を目指そうじゃないかという国連での決議といいますか、そういうのがありました。そういう面で、できるだけお互いの文化を尊重し合う、価値観を認め合う、相互理解を深めることが大事だろうと。そのためには、放送は今、国境を越えた時代になりました。
  そういう面で、放送の果たす役割は、そういう文明間の対話、文化の相互理解を深めるための大きな懸け橋になるだろうと。そういうことで、私ども、今そういう国際貢献、国際理解という意味合いも含めて大きくその方面へのシフトをしているところでございます。
  私、今、ABU、アジア・太平洋放送連合、これはアジア・太平洋、それから中近東含めた世界、アジア・太平洋、中近東合わせて五十か国、今、百の放送機関が加盟しておりますが、それの会長を仰せ付かっております。もう四十年の歴史を持っております。そういう中で、去年の東京大会で、我々のこれからの果たすべき役割はそういう文明間の対話、文化の相互理解を深めるための放送がお互いに懸け橋になるのだ、なりましょうという呼び掛けをし、そういう決議をいたしたところであります。
  そういう面で、御案内のように、今から三年前の二〇〇〇年、放送開始七十五周年を記念して世界の四大文明を紹介する番組を作りましたし、また展覧会も催しました。そして、今年はテレビ放送五十周年ということで、それを記念いたしまして、NHKスペシャルで「文明への道」というタイトルの下に、来月の、四月の二十日から毎月一回ずつ、十二月まで八回シリーズでこの「文明への道」を取り上げる。
  つまり、二千三百年前になりますか、マケドニア出身のアレキサンドル大王が世界、ユーラシアを征服する、いわゆるギリシャからペルシャ、インドまでユーラシア大陸を席巻し、新しい西洋圏を作ったわけであります。その時代からモンゴルの、フビライのモンゴル帝国まで千六百年の歴史をひとつ振り返って、文明の衝突、あるいはその文明がどうして衝突しながらまた融合していったか、対話を重ねていったか。その辺を検証し、今の時代とかみ合わせながら放送していこうということで、今取材をしているところでございます。
  それと同時に、これも八月に、今年の八月に東京国立博物館でアレキサンドル大王と東西文明の交流というタイトルで展覧会をし、そして多くの子供たちにも見やすいように八月の夏休み期間中を設定しながら、また番組を作りながら、展覧会をしながら文明の問題を考える、そういうこともしているということを説明させていただきました。
  それと同時に、やはりODAの金を有効に使うためには、やはりそういうソフト面についてももっと私は力を入れるべきじゃないかと。そのための、例えばアフガニスタンの放送局、二十数年前、十数年前ですか、NHKもお手伝いして放送局の建設に役立ったわけでありますけれども、これがタリバン政権によって崩壊してしまった。それの今、お手伝いを今しております。そういう中で、去年のABU総会で、タリバン、アフガニスタンの代表が日本に十数年ぶりで出席しました。
  そういう面で、NHK始めアジア・太平洋放送連合がこの国営放送、アフガニスタンの放送がこれから順調に放送できるようにひとつ援助しようということで意見の一致を見ました。そういうことで、そういう非常に苦しい立場にいる放送局についてはいろんな援助の手を差し伸べようということにいたしました。
  それから、ODAの資金を使った協力でありますけれども、一つは番組、これまで、昭和五十七年から十三年度までで、アジア、アフリカ、南米等も含めて三万三千本の教育、教養の番組あるいはドラマ等も提供しております。それから、各国のそういう番組制作者あるいは技術専門家を日本に受け入れた数が二千六百人ほどこれまで受け入れておりますし、それからまた、私どもからODAの要請によって派遣した数が七十七か国千三百五十二人、七十七か国に千三百五十二人派遣して協力をしているということであります。
  そういう面で、今後とも、ODAの資金等によってまだまだ充実していない放送局等への支援をしていきたいと思っております。
○椎名一保君 大変見識の高い御答弁、ありがとうございました。
  サミュエル・ハンチントン、ただいま四大文明のお話しされましたけれども、そのサミュエル・ハンチントンが八大文明の一つとして日本文明をとらえてくれたと私は思っておりますけれども、やはり二十一世紀、共生の文明、東洋思想、仏教思想とか禅の思想とか言われますけれども、やはり日本に対しての期待感というものは大きなものがあると思いますので、どうかひとつNHKとして積極的に取り組んでいただけるようお願い申し上げる次第でございます。
  続きまして、海外の放送機関との番組の共同制作のことについてお伺いいたします。
  せんだって、宇宙への興味を非常に駆り立てられました番組で、スペシャル番組で「宇宙 未知への大紀行」というような番組がございました。それから、「未来への教室」、イ・ヨンヒですか、大変興味深いものがあったわけでございますけれども、NHKはこうした海外の放送との番組の共同制作を積極的に進めていくべきだと思うわけでございます。そのことについて一点お伺いしたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) NHKは、過去二十年以上にわたって、世界各国の放送局とプロダクションなどの国際共同制作を着実にやっております。その番組の数は今五百本を超えているという状況であります。これは、制作手法により良質な番組を安い価格で、制作費で作るということにも役立ちますし、同時に、互いに切磋琢磨しながらお互いの文化のいいところを学ぶというふうなことにも役立つ大変有効な方法ではないかと思っております。
  今、先生御指摘のように、昨年度は、NHKスペシャル「宇宙 未知への大紀行」とそれから「アジア古都物語」などにもアメリカ、アフリカ、ドイツなどの放送局が参加して一緒に、この場合はNHKが主体で向こうはお金を出すという形の参加でしたが、そういう放送局が、各国の放送局が参加してやっております。
  この後も、共同制作というのはますます大事で、ハイビジョンなんかのもアメリカ、ヨーロッパでもぼちぼち一緒にやりたいというふうなのも出ておりますから、国際共同制作を更に積極的に進めていくということをやっていきたいというふうに思っております。
○椎名一保君 最後の質問というより要望でございますけれども、最近、テレビも非常にマンネリズムに陥っておりまして、報道等は、これはもう今日いろいろ御質問にもございましたとおり、大変果敢にやってくれているんですけれども、特にショー番組とかバラエティー番組でございます。
  昨日もどなたかの御質問にあったかと思うんですけれども、プロダクション側の売手市場というか、やっぱりこの人を使わないといろいろ配給しませんよというような、もうどこのテレビ番組見てもショー番組、バラエティー番組が同じ顔ぶれで、私もテレビ大好き人間でございますので、ちょっとほとほと飽きておるところなんですけれども。
  是非、NHKさんには、斬新的な新人登用の何か果敢にそういったことをやっていただきたいと思っております。もし、こういうことをやっておるというようなことがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  以上をもちまして、終わります。
○委員長(山崎力君) お答えはよろしいですか。
○椎名一保君 もし……。
○参考人(板谷駿一君) 本当に、若くて優秀な才能を持つバラエティーの若手の芸人の方とかドラマの人を発掘していくというのは、私どもにとってマンネリ打破という点からも重要なことだと考えております。
  私ども、長くやっている典型的なものとしては、朝ドラ、朝の連続ドラマのヒロイン、これはもう毎回公募して、たくさんの応募の方があって、その中からオーディションをやって選考するという形を取っております。そして、脇役の方についてもそういう方法を採用するようなことをやっております。
  それから、バラエティー番組については、先生御存じでしょうか、「爆笑オンエアバトル」という割合若い人向けの番組なんですけれども、毎週土曜日の零時十五分から四十四分前までやっているんですが、これはデビュー前の、あるいはデビューしたばかりと言ってもいいですが、前だったり後だったり、まだ若手の方が出てきます。そして、見ているお客さんたちの笑いをどれだけ取れるか、それによってテレビに出られるか出られないかなんということが行われているんですけれども、ここからもいろんな優秀な若手が育ってきました。
  それから、NHK新人演芸賞というのがございまして、東西の若手お笑いタレントと新人落語家でこれの大賞を目指すコンテストをやると、こういうふうなこともやっております。
  いろいろ工夫して、どうしたらいい才能ある若手を発見できるかということを今後とも努力していきたいと思います。
○森元恒雄君 数点お聞きしたいと思います。
  まず、今、我が国は急速な勢いで少子高齢社会に移行しつつあるわけですけれども、社会の第一線の職場から離れた後も、やっぱり生涯にわたって健康で社会とのかかわりをいろんな分野で持ち続けるということが生きがいのある人生を送れる一つの道かなというふうに私は考えるわけでございますが、そういう面においてNHKさんの果たす役割というのが大きなものがあるんじゃないかなと思います。
  今、国の方では、厚生労働省が地方団体と一緒になりまして、ねんりんピックというのを年に一回、地方団体持ち回りで開催をしていまして、スポーツでありますとか、あるいは文化関係のそういう大会を催しておりますけれども、放送事業としては、例えば素人のど自慢のような、ああいう部門別の、特にお年寄り、高齢者の方を対象として趣味とか得意なものを発表し合う、そしてまたそれを表彰するというような事業を是非お考えいただけないかなと思うんですけれども、そういう点についての考えがありましたらお知らせいただきたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) お答えいたします。
  先生御指摘のように、お年寄りに向けて様々な情報とか、それから娯楽を提供するということは、私どもにとっては非常に大事なことだと思っています。NHKはほかの放送局と比べてもお年寄りがたくさん見てくださると、これを大変うれしく私ども思っております。
  ですから、「生活ほっとモーニング」という総合テレビ、月―金で毎朝八時三十五分からやっているような番組で、いろんなお年寄りの暮らしが紹介されたり、お年寄りの健康関係や、それから実用情報を取り上げることが多うございます。
  それから、定時番組としては、「百歳バンザイ」という総合テレビの土曜日午後一時五十分から二時までに、平成七年からこれはやっているんですけれども、百歳になられたいろんな趣味を持つお年寄りの方、健康法、そういうものも御紹介したり、その方の隠し芸なんかも御紹介することがございます。
  それから、特に隠し芸、珍芸ということで言えば、公開派遣番組で、コロッケの「にっぽん愉快家族」というのを総合テレビの日曜日の午後やっておりまして、ここに素人物まねコーナーがあって、お年寄りの方がいろいろ隠し芸をしてくださるというふうなこともやっております。
  ただ、先ほどの小野先生のお話じゃございませんが、最近のお年寄りの方、年寄りだけで自分たちでやるというのは必ずしも好まないと、若い人と一緒になって出るとか、そういうことが好まれるということもあります。
  そういうことも踏まえながらいろいろ考えていきたいと思います。
○森元恒雄君 次に、総務省の方にお聞きしたいと思いますが、今、テレビも一昔前と変わりまして大分状況が変わってまいりました。CATVあるいはBS、CSという衛星放送というふうなことで、非常にチャンネル数が多くなってきた。
  そういう状況を踏まえて、例えばアメリカにありますようなアクセスチャンネル、一般の市民に開放するようなチャンネルが一つぐらいあってもいいんじゃないかと思うんですけれども、自由に、一定のルールは設定するとしても、視聴者が自由に参加して自分たちで番組を作っていくというような構想の可能性について総務省としてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(高原耕三君) 今、先生おっしゃいましたように、米国におきましては、CATVでパブリックアクセスチャンネルというのがございます。これで視聴者が自由に利用できる形態になっておりますが、我が国の場合に、放送事業者が番組の編集責任を有しない放送を導入することが適当であるかどうかと、あるいは番組編集責任の所在が不明確になりますことによって、場合によっては公安及び善良な風俗を害する、これは放送法の表現でございますが、そういう番組の放送される可能性についてどう考えるかといったようなことで、なお慎重な検討が必要と考えております。
  なお、これからデジタル化に伴いまして、双方向番組は放送事業者が番組編集責任を有する中で増えてまいりますので、こういう中で視聴者参加型の番組が増えるということは期待をいたしているところでございます。
○森元恒雄君 特に、ブロードバンドが普及しますと、インターネットを通じて、事実上放送に近いような形の送信、情報発信というのができるようになってくるわけですね。そうしますと、通信なのか放送なのかという垣根が難しくなりますし、今のような現行の放送に対する規律というものもどこまで及ぶのかというふうなこともあると思いますので、幅広くこれは将来の課題として検討いただければと思います。
  次に、放送の質について、これも総務省にお聞きしたいと思いますが、NHKはもとより、民放も含めまして、公共放送には質の高い番組が求められると思います。しかし、質の高さが視聴率の高さにつながるかというと、必ずしもそうならないと。
  そうしますと、特に民放のようにスポンサーで番組を提供しているというような事業体の場合には、なかなかそこの兼ね合いが難しい面が出てくるんじゃないかなというふうに思いますし、現実の放送を見ていましても、いささかそういう点が気になる部分がございます。
  本来は、放送事業者自らが自主的にそういう努力をされるというのが基本だとは思いますけれども、今申し上げましたようなことからそれにもおのずと限界がある。そうすれば、やっぱりそこに何らかの形で公共的に質の高い番組がよりたくさん作られるような仕組みというものがあっていいんじゃないか。
  今、民間サイドで番組の評価をするような試みが一部なされつつあるようですけれども、また、先ごろの放送政策研究会の提言の中にも、報告書の中にも、イギリスにありますような公共サービス放送基金というようなものを設けて、そこが質の高い番組を支援するというふうなことを検討したらどうかと、こういう報告書を出していますが、こういう点について総務省としてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 言われるとおりなんですね。今の放送、特にテレビというのは圧倒的な影響力ですよね。もうほかのメディアはかなわないですよ、いや本当に。今、一番国民生活不可欠なものといったら断トツでテレビですよ。二番目が自動車だったかな。三番目が冷蔵庫か何か知りません。携帯電話はもっと下だった。
  そういうわけですから、やっぱりこの放送の質を向上させ、維持するということは、私はもう今後この放送事業にとっては不可欠だと、こう思いますね。
  ただ、今の仕組みは自律なんですよ。自分でコントロールしなさいと。自律でやりなさいと。公共の福祉を適合しながら表現の自由の中で自律でやれと。こういうことなものですから、放送法でも、番組準則を放送法の中に規定して、それに基づいて放送事業者自らが番組基準を策定してそれでやると、こういうことですよね。しかし、今、正に森元委員言われたように、なかなか自分で自律じゃ難しいんですよ、我々自身のことを考えても。
  そこで、今、民放とNHKさんが放送と青少年に関する委員会だとか、放送と人権等権利に関する委員会というのを作っておるんですけれども、私は、これも正直言いましてもう一つなんで、今後、七月から、番組倫理向上機構ですか、それを併せたものを何か作ってやると。私は大変いいことだと、こういうふうに思っておりますが、これはこれからの運用次第と、こういうことになると思いますね。
  NHKと民放は違うんで、やっぱりNHKさんがそういう意味では質の向上を目指していただく、視聴率に関係なく。こういうことがどうしても必要で、全体を引っ張ってもらわなきゃいけませんね。それから、今度できる機構も機能してもらわなきゃいかぬ。それで、我々の方でもどういう応援ができるか難しいんですが、これについては今後とも考えていきたいと。みんなの課題ですよ。
  それで、どうしても良くならないならほかのことも考えなきゃいかぬといって私は、脅しじゃないんですよ、脅しじゃないんだけれどもそういうことになってくるおそれがある。一時、議員立法の動きがありましたよね。そういうこともありますものですから、ひとつ大いに関係者の自律、努力を期待しております。
○森元恒雄君 先ほども少し議論がございましたが、アーカイブスについて、私は一点お聞きしたいと思います。
  先ほどのお答えですと、放送局まで出向いて、そこで過去の番組を見るというのが今の当面の運用、お考えの運用の仕方かなと思いますが、世の中は本当にブロードバンド時代、インターネット時代ですので、やっぱり家庭にいながらいろんな情報にアクセスできるというのが一番これからあるべき姿だと思うんですね。
  そういう中で、どうしてインターネットを通じて過去の映像情報を、番組を提供しようというようなお答えにならないのかという点をお聞きしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 我々が目指すのは、やはり家庭で、どこにいてもNHKの川口のアーカイブスにアクセスすれば自由に番組が見られる、それが理想であり、それを目標にしているわけであります。
  ただ、その行く前に、今、政府でやっておりますIT戦略本部ですか、やっているいわゆる光ファイバー網を全国的に網羅をして、そういう中で我々も更にコンピューターを充実させながら、そういう混乱が起こらないように、いつでもアクセスにこたえられるような施設を更に充実させなきゃならないというそういう面。
  それから、視聴者にとってはそういう光ファイバー網が本当に安く簡単にできるようになるかどうか、そういう技術的な課題を更に克服しなきゃならないというために少しまだ手間暇掛かっているということですね。
  それからもう一つは、先ほど議論がありますように、著作権の処理の問題があります。今、二千本を一般に公開しておりますけれども、これはNHKの場所へ来てもらって、そこで無料で見せますと、オンデマンドで見せますということで著作権をクリアできるわけですね。これを金を取るとか一般の人でやるとなると、これはまた著作権料が掛かってきます。そこをするためには、更に著作権をクリアするためにどうするかというのが今大きな課題。そういう課題がまだ進んでいないという、そういう現状なために今足踏みをしていると。しかし、私は、この地道な活動をし、国民の理解を得られるならば、だんだん進んでいくだろうというふうには思っております。
  ですから、いずれにしても、そういうコンテンツ、番組の質というものを、日本の多くの場で今作っておりますが、それを保存して、それをいろいろな方に利用してもらうのが、これがまた理想的なものでありますから、そういうふうに更に努力していきたいと思っております。
○森元恒雄君 NHKとしては、是非そういう技術的な問題なり著作権がクリアされれば大いに進めたいという御意向だというふうに伺いました。
  この点について、制度上、仕組み上、何ら制約がないのかどうか、総務省の方にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(高原耕三君) NHKのインターネットを通じた番組の配信のことでございますが、一般的に申し上げますと先生おっしゃるとおりでございます。
  良質のコンテンツをインターネットによって提供することは非常に望ましいと考えておりますが、その制約要件といいますか、それは、その一点目は、NHKが受信料を主たる財源とする公共放送機関、事業体であること、二点目は、ブロードバンド時代の過渡期でありまして、これは将来の技術とかサービスの動向を正確に見通すことは困難だといったようなことから、当面は附帯業務として位置付けて、民間との調和ある事業展開にも配慮しつつ実現することが適当というふうに考えております。
  このような観点から、十四年三月にインターネット利用に関するガイドラインを策定いたしまして、そのガイドラインに従ってNHKにはインターネットに番組提供をお願いしておるところでございます。特に、そのガイドラインの中身は、十億円が上限とか、あるいは終了後一週間程度といったようなことがございます。
  このアーカイブのコンテンツについて言いますと、放送終了後一週間程度であれば今のガイドラインで可能となっておりますが、実態はなかなかそういうのが少ないのではないかといったようなことを考えております。
  しかし、今申し上げましたように、このガイドラインそのものも今後適切に見直していこうということにしておりますので、今後、そういう面では新しい分野についてもインターネットで提供できることが、可能性が広がるものだというふうに考えております。
○森元恒雄君 最後に一点だけお聞きしたいと思いますが、この十二月から東京、名古屋、大阪圏でいわゆるデジタル放送が始まるわけですけれども、今現場ではこの準備が本格的に進められつつあると思いますけれども、その過程でアナログ変換も必要になってくる。そういう場合に、何かうまくスムーズに予定どおり進んでいるのかどうか、その状況。それからまた、デジタルに切り替えますと従来以上に難視聴対策が必要になったりするんじゃないかという話もお聞きするわけですけれども、そういう点に対しても万端抜かりのないような手はずが整えられつつあるのか。その辺の状況なり今後の進め方、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(高原耕三君) 今、アナログ周波数変更対策につきましては、総計二百十四の局所のうち百七十四局所について送信の方は工期決定が済んでいる。それから、受信対策としましては、この二月から既に開始をいたしておりまして、今十七地域一万三千七百世帯の対策を既にもう完了いたしております。地域としては十七地域をもうパーフェクトに完了しているということでございます。一部地域で、青梅地区で混信がございまして予定をちょっとオーバーになることがございましたけれども、これはもう二月終了のところ三月、一月順延をいたしまして三月末には完了する予定になっております。
  それから、難視聴対策でございます。デジタルになりますとむしろ難視聴の世帯は大幅に減るといったような実験もございます。そういうものも含めて、今、先生の御指摘にもございますが、この難視聴対策も万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。
  私は、昨年の審議のときにワールドカップの放映権料が高過ぎるのではないかということを質問をさせていただきました。今年は松井がヤンキースに入団をしたということもあって、大リーグ人気が再び大きくなるのではないかというふうに思っているんですが、この大リーグの放映権とそれから放映権料については一体どういう仕組みになっているのかということをお尋ねをさせていただきたいということと、なぜ大リーグ放送はBSでしかやらないのか。併せて、来年はアテネ・オリンピックなんですけれども、この放映権料の高騰抑制の取組をされているのかどうか、その辺について伺いたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) メジャーリーグ、大リーグの放送権の契約、私ども日本の広告会社電通と結んでおります。電通は、アメリカのメジャーリーグ・ベースボール・インターナショナルというところが独占しておりますので、ここと契約していると。そういう形で今十数年やってきております。
  私どもNHKが大リーグは独占になりませんで、NHKとTBSとフジテレビ三社が権利を持ち合っております。地上放送の方はこれ毎年変わりまして、今年はNHKが四月と七月、それからTBSが六月と九月、フジテレビが五月と八月というふうに分かれております。
  去年、NHKは衛星と地上波で二百六十二試合放送しました。そのうち地上放送は十三試合放送して、全くやっていないわけではありませんで、ただ、これは朝の早い時間であります。御承知のように、ニューヨークならば十四時間時差がありますし、そういう面で朝の八時とか十時に流しますので、なかなか見る機会がないという、そういうハンディがあります。
  今年は、今、松井選手が出場するということで、去年より増やして三百試合程度、衛星と地上波でやるつもりでおりますし、地上波は今のところ前年並み十数試合を地上放送でも放送するつもりでおります。
  この契約は、御承知のように五年契約で、今年切れますが、これから電通とメジャーリーグ・インターナショナルの方との話合いがこれから始まるということで、まだ我々は次の年度、来年度以降の放送権についてまだ交渉はしておりません。
  それから、幾らで今契約しているかというのは、これは関係者との守秘義務がありますものですから、私がこの場で何ぼ払っているということは言えない立場でございます。
○高嶋良充君 じゃ、次に受信料に関連して何点か伺いたいというふうに思いますが、NHKの事業収入は実にその九六%が受信料収入ということになっています。そういう意味では、正に受信料で支えられる公共放送だということが言えるというふうに思うんですが。
  ところで、今年はその受信料収入の伸びが非常に圧縮されているのではないかと。増収額が四十一億円ということになっています。昨年は七十二億円、それと比較すると約半分に圧縮されているわけですけれども、これはどのような根拠、理由なのか、伺いたいと思います。
○参考人(笠井鉄夫君) お答えいたします。
  受信料制度を基盤といたします公共放送NHKといたしまして、受信料の公平負担を徹底いたしまして財源を確保するということ、これは重要な経営課題でございます。よりまして、営業業績の確保のため最大限の取組を行っているというところでございます。
  平成十五年度の受信料収入予算における受信契約の増加目標でございますが、契約総数は十四年度と同じ三十七万件でございます。一方、衛星契約につきましては、これは大変長引く厳しい経済不況の影響もございまして、十五年度の増加目標を十四年度の増加目標より十七万件少ない六十万件としております。
  御指摘のありましたように、平成十五年度における受信料収入の伸びを前年度より低く抑えております。これは、十五年度受信料収入の算出に当たりまして、先ほど申し上げましたように、衛星契約増加目標につきまして十七万件引き下げたことと、それから、十四年度の営業目標の達成が経済不況のあおりを受けまして大変厳しい状況にあるということなどを織り込みまして、前年度予算に対しまして四十一億円の増収ということにしたものでございます。
  厳しい経済環境でございますが、今後とも営業活動の一層の強化を図りまして、効果的、効率的な営業を推進いたしまして、何とか四十一億円の増収確保に努めてまいる所存でございます。
○高嶋良充君 確かに不況という逆風の中ではありますけれども、やっぱり公共放送の屋台骨を支えているというのが受信料でありますから、契約率などを上げていく営業努力というのを要請をしておきたいと思います。
  そこで、総務大臣もこの予算、事業計画に対する総務大臣の意見という中で受信料について触れられているわけでありますけれども、すなわち、二項目めに次のように言われています。「受信料の公平負担等の観点から、未契約世帯等の解消に向け、受信契約の締結及び受信料の収納の徹底について抜本的に検討すること。」と、そういうふうに指摘をされているわけですが、これは私も同意をするんですけれども、その次に若干気になる点が言われているわけであります。「協会における検討結果を踏まえ、必要な場合には、政府においても所要の検討を行うこととする。」と、こういうふうに言われているわけですが、この「政府においても所要の検討」ということは具体的にどのようなことを総務大臣は示唆されているんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 私が大臣になりましてから毎回、毎年言っているんですよ。これで三回目。それはそれなりに数字は上がっていると思いますよ。相当努力されていることは認めるけれども、はかばかしくありませんね、正直言いまして。やっぱりこれは良くないんですよ、受信料を払わないのが主義だとか自分の信念だとか。むちゃですよ、それは。公共放送で、これ、国民全部にそういう放送サービスやっているのに自分は信念で払わない、主義で払わないと。それは通らないんで、NHKさんが相当努力しても努力に限界があるのなら我々の方も考えにゃいかぬと、こういうことなんですね。
  それは今何だといったら、何だという中身はないんですけれども、法律でいろんな措置を取るということでしょうね。何かフランスの方では、私も詳しいわけじゃないんだけれども、こういう受信機を購入したら通知せにゃいかぬと、事業者か何かにね。あるいは売った電気屋さんが通知せにゃいかぬとか、こういうのがあるようですし、技術的に可能なら払わぬ人だけ見せないというのがあるんですよ、スクランブル放送で。そういうことが可能かどうか知りませんよ。だから、いろんなそういう強硬手段を取らずに納めてもらえるのが一番なんですよ。しかし、それがなかなか難しければ、いつまでもこの状況でいくのがいいとは私思えませんので、年金なんかもそうですよ、いろいろな抜本策を考えにゃいかぬという議論になってきている。
  そういうことの中で、やっぱりいろんな幅広の検討を政府としてもやるべきではないかと、こういうふうに思っております。契約なんですから、トイトイの。契約だから限界があるんですよ、努力しても。だから、そこのところをどう考えるかということでございますので、よろしくまた先生方も御意見があったらお願いいたします。
○高嶋良充君 片山大臣独特の言いぶりで、そのとおりかなというふうにごまかされる部分もありますけれども、公共放送ですからその辺のやっぱり政府の関与というか干渉、介入というのは私は控えていくべきだと思うんですが。やっぱりNHKというのは視聴者のために自律をして公平公正に不偏不党を旨とするという放送文化を提供していくことが、やっぱりこれがNHKの使命なんですよね。そういうことから言っていくと、政府の関与というのはやっぱり必要最小限、なければ一番いいんですけれども、が、必要最小限でなければならないというふうに思っているんですが。
  そこで、会長に伺いますけれども、この受信料問題と政府の関与についての対策と決意について伺いたい。
○参考人(海老沢勝二君) 受信料の公平負担というのは非常に難しい問題といいますか、我々は、できるだけ公平負担の原則に基づいて、視聴者国民に受信料をひとつ納めてほしいということでお願いし、活動をしているわけであります。
  一時、イギリスのBBCのように、強制力を持たせて、受信料を払わなければ罰金を掛ける、罰金を払わない者は収監するというのがイギリスのBBCであります。
  それに対して、日本の場合は視聴者とNHKとのいわゆる信頼関係で成り立っておると。NHKは視聴者国民に質のいい番組を提供し、そしてこれを支える特殊な負担金として受信料、各家庭一世帯、何であろうが一世帯一台分を払ってもらうと、そういう契約で来ているわけであります。これは外国の放送機関の人たちにそれを話してもほとんど理解してくれない。それに対して私は、我々は、日本人は性善説でやっているんだということで話するんですけれども、これも理解されませんが、いずれにしても、これはやはり世界で最も私は理想的な公共放送、国民の放送局だろうと思っております。
  それはやはり、強制力がなく、視聴者とNHKとの信頼関係でやっているということだと思います。いろいろ公平負担の原則を貫くならば強制力を働かしてやったらどうかという意見もこれはずっとあるわけでありまして、ただ、我々今八一・八という、もっとこれを増やさないと、立場でありますけれども、私は、今の視聴者と真っ正面から向き合って、視聴者と私どもが緊張関係を持ちながら、視聴者の意見を、真摯に意見を耳を傾けながら、質のいい、国民生活に役立ち、心を豊かにするようないい番組を作ることによってNHKを支えてもらいたい、国民の放送局として存在感あるものにしていってもらいたいと、そういう気持ちで今いるところであります。
  そういう面では、できるだけNHKは国民の放送局としてどこからも干渉されない立場で運営していきたい。つまり、このNHKのこの事業計画、今、審査中の予算案、事業計画、決算すべてはこの国会で承認されて決まっていくわけであって、国会が、皆さんが国民を代表してNHKの事業を見ていただいているわけでありますから、そういう面で、今の制度非常に理想的ないい制度だろうと、そう思っております。
○高嶋良充君 時間が参りましたので御要望だけ申し上げておきますが、今、会長が言われたように、いずれにしても日本のNHKの方式というのは受信料だけで、そして罰則のない制度の下で成り立っているというのは、世界的に見ても非常に例のないことだというふうに思っておりまして、これは逆に日本が誇るべきことではないかなというふうに思っています。
  そういう意味で、NHKとしても、政府の関与が厳しくならないように是非営業努力というか経営努力をして自律してやっぱりやっていける、そういう状況を作り上げていただくということを御要望申し上げて、終わりたいと思います。
○内藤正光君 民主党の内藤でございます。
  まず私からは、デジタル放送の未来像、将来像についてお伺いをしたいと思います。
  御案内のように、地上波のデジタル放送、始まろうとしているわけなんですが、正直なところ、昨今のブロードバンドインターネットの目覚ましい普及の中で、一体国民や視聴者にとってデジタル放送というのはどういうメリットがあるのか、あれだけたくさんのお金を掛けておきながら、アナログがデジタルになって画像がきれいになるというような批判が少なくないわけなんです。しかし、私自身といたしましては、デジタル放送とインターネットとの高い親和性、こういったものに着目すれば様々な付加価値の高いサービスというものの可能性が切り開けてくるんだろうと思います。
  そこで、総務大臣にお伺いをしたいのは、地上波のデジタル化によってどんなIT社会が切り開かれていくのか、その将来像について語っていただけますでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) それはいろんな見方があると思いますけれども、私は、すべての人に大変豊かで、ある意味では楽しい、そういういろんなものを提供できる基盤が整った社会になると。デジタル放送でよく言われますよね、高品質だとか高音質だとか。しかし、それはきれいになって音が良くなるだけじゃ駄目なんですよ。やっぱり、例えば、障害者の方、お年寄りに話速転換というんですか、スピードの調節ができるとか。特にお年寄りは早口言葉に弱いですからね。だから、ゆっくりになるとか字幕がもう自由に見れるようになるとか、こういうことがありますし、それから自動車の今テレビなんというのは大変見にくうございますわね。あるいは携帯で今度どんどんどんどんテレビ的になるとすれば、携帯や自動車のそういう画面も良くなるとか、それから更に今、内藤委員が言われましたように、インターネットと連携をすることによって電子商取引がいろいろできる。あるいは、私は、電子自治体、電子政府と連携をしていくと。こういうことでは、単に見るテレビじゃなくて使うテレビと、こういうことになってくる。情報の端末になっていくと。しかも分かりやすい。お年寄りや障害者も自由に使えるようになると。こういうことが世界で最も進んだIT社会の基盤形成になると、こういうふうに思いますし、なるほどデジタルのためにお金掛かりますよ。それから、デジタル受信機を買ってもらわなきゃいけませんから国民の財布も痛むんだけれども、しかし我々の試算では二百億を超える二百十兆から二十兆のこれだけの経済効果があるに違いないし、電波もかなり小売的になるわけですからこれから新しい電波需要にも応じることができると、こういうふうに思いますので、その辺のPRが足りないんですね、役所というのは下手なんですね。もうこれはNHKや民放に頼まなきゃいけません、もう。役所だけでやったらもう決まり切ったことだけやってなかなかそのPRができないので、国民的な関心を盛り上げて合意を作っていくということがこれからの最大の課題ですよ。ひとつよろしくお願いします。
○内藤正光君 ありがとうございます。
  これからデジタル化が進んでいくということは、すなわちデジタル放送受信機がすべての家庭に普及していくということなんですね。これは私は、日本が大きく飛躍する一大チャンスだというふうに私はとらえるべきだと思います。そして、先ほども申し上げましたように、デジタル放送とインターネットとを融合させた利便性の高いサービスを提供していく。それで、大臣おっしゃったように電子政府だとかe―ラーニング、あるいはe―ショッピング等々、そういったものが可能性として切り開かれていくわけなんです。
  しかし、これらを実現していこうとすると、受信機を単なる受信機で終わらせちゃったら到底これらのものは実現できないわけなんですね。やはり、例えばセキュリティーはもちろんのこと、個人認証といった高い機能をこの受信機の中に組み込んでいかなきゃならないというふうに私は思いますが、NHKさん、お答えいただけますか、その見解を。
○参考人(吉野武彦君) 今、委員御指摘のように、地上のデジタル放送は将来すべての家庭、すべての国民に普及していくデジタルのインフラだというふうに考えております。そして、単なる放送という枠を超えて、放送と通信の融合、いわゆる放送も受けることもできますしブロードバンドも受けることができる、そういった総合情報端末としての役割を担っていくというふうに確信しております。
  そのためには、デジタル放送受信機に様々な機能が求められるわけでありますけれども、特にブロードバンドとも接続できるような機能を活用して、いかに簡単な操作で、しかも安全に多様なサービスを利用できるようにするかということが重要であるというふうに考えております。
  この点に関してのキーになる技術の一つは、いわゆるCAS、これまた片仮名で申し訳ありませんけれども、コンディショナルアクセスシステム、特定の人だけに特定の情報を送ったり、そういうシステムでございますけれども、そういう技術が大変重要であるというふうに考えております。
  現在、BSデジタル放送の受信機には、この個々の受信機のメッセージの表示の機能でありますとか、あるいは視聴の制御でありますとか、課金とか顧客管理、こういったものができるように個人のニーズに対応してサービスを可能にするようなCASのシステムが導入されております。しかし、将来だれもが簡単に安心してこのテレビ端末を家庭内の総合情報端末として活用して、ブロードバンドによる高度なコンテンツ流通サービスのみならず電子自治体サービス、こういったものを利用できるようにするため、さらには、更に発展させてセキュリティー技術とか個人認証の技術なんかを活用するためには、更に高度なCAS機能を搭載することが必須になるんではないかというふうに考えております。また、こうした受信機を実現することが地上デジタル放送の普及にもつながるというふうに考えております。
○内藤正光君 是非NHKにお願いしたいのは、そしてまた総務省、総務大臣にもお願いしたいのは、デジタル放送を単に放送という枠内にとどめ置いておかないでほしい。やはり通信と放送の融合をより一層進めていって、この日本のIT社会をより豊かなものにしていっていただきたいと思います。そして、大臣おっしゃったように、残念ながらNHK、この未来ビジョンを描くのがまだまだできているとは思えませんので、できるだけ国民に分かりやすいように、放送のデジタル化によって、デジタル放送の実現によってこういう社会が実現できるんですよということを目に見える形で広報を広めていっていただきたい、そんなふうなことをお願いを申し上げます。
  さて、その次、二つ目なんですが、番組制作会社の育成についてお尋ねしたいと思います。
  実は、昨日も私、この点について質問をさせていただきました。一般論を申し上げますと、日本の番組制作会社というのは資金力も弱くて、おしなべて発注者であるところのテレビ局の下請的な存在に甘んじていると。だから、自ら企画してテレビ局に売り込むというようなことを、なかなかそういう力を持った制作会社がないわけなんです。特に、アメリカ等と比べるとこれが顕著でございます。
  加えて、日本の放送体系は在京キー局を中心とした放送体系、放送網体系ですから、つまり在京のテレビ局の考えたこと、企画したものが結局全国津々浦々に金太郎あめ的な放送が流されていくということでございます。
  ここで、各国の取組、制作会社の足腰を強くする取組を振り返ってみますと、これよく言われて有名なところではございますが、アメリカは、七〇年代にさかのぼるんですが、例えばゴールデンタイムに、向こうではプライムアワーとかプライムタイムと言っているかと思いますが、そこに一時間、外部の制作会社の作った放送番組を流す枠を設けるだとか、これを義務付けたわけですね。このことによって制作会社というのは大きく力を付け、そしてコンテンツ産業が花開いたという実績があるわけです。また、フランスについても、これ八四年の話なんですが、これがいいかどうかは別といたしまして、こういう政策だというふうにお聞きしていただきたいんですが、各テレビ局から売上げの五%ずつを徴収して基金として、半分を映画制作に、そして半分はテレビ等の番組コンテンツ作りに回していった。こういうふうに、制作会社のいろいろな実力を付けるためにアメリカだとかフランスはいろいろな政策を展開していると。このことによって映像コンテンツ産業の振興、さらには映像文化の多様化というものを努力して進めていっているわけでございます。
  もちろん、NHKの取組、私はそれなりに評価しております。例えば、毎年、聞くところによれば、春と秋に外部制作会社を対象とするコンペをやっていらっしゃると。残念ながらこれを実際に放送はしていないようなんですが、取りあえず企画を募ってコンペをしていると。これは、これ一つの方法だと思います。そしてまた、先週でしたか、三月の十九日なんですが、番組制作委託取引に関する自主基準を自ら公表された。私、これも評価はしているところなんですが。
  しかし、お願いしたいのは、もう一歩更に踏み込んで、制作会社の育成、振興という観点、さらにまた映像文化の多様化を図るという観点で御検討いただきたいことがあるんですが、外部制作会社が作った番組枠を設けるという試み、あるいは年に一度でも結構、二度三度やっていただければなお結構なんですが、外部制作会社を対象とするコンペ形式の番組編集、こんなことをやっていただければ、もう外部の制作会社は競っていい企画を出そうとします。そして、国としてはそこに資金的なてこ入れをしていただければこれは完璧だとは思うんですが、そのことによって外部の制作会社というのは育っていくんだと思います。
  私は、公共放送NHKとしてこれはもう一つの責務として是非取り組んでいっていただきたい、そんなふうに思うんですが、NHKの考え方をお伺いしたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) お答えいたします。
  先生御指摘のアメリカのネットワークなどで編成枠を設けているというお話ですが、NHKはこの番組は外部プロダクション用の編成枠だというふうなやり方はしていませんが、年二回、春、秋に、翌年度に放送する番組の企画提案募集に当たっては、NHKの制作担当者だけじゃなくてNHKの制作子会社ですね、関連会社、それからさらには外部の制作プロダクションの皆さんからも提案を募っています。そして、提案の審査に当たっては、これも単にNHKの職員だけではなくて子会社の職員、それからプロダクションの社員を、社員を分け隔てなく、企画性を重んじて、どれが一番いい企画か、どれが魅力的に番組になりそうかという観点から番組の提案の採用をしておりますので、これが言ってみれば先生のおっしゃる実質的なコンペになっているんではないかと思います。
  それから、定時番組では「課外授業ようこそ先輩」という番組があるんですが、これは先輩が後輩の学校へ行っていろいろ自分の、有名になった先輩が後輩にいろんな授業をやると。これなどは、NHK、子会社、プロダクションの若手ディレクターが競って提案を出し合うと、そして各回の放送を決め、これは今言った三者の若手が腕を競い合い、お互いに切磋する、琢磨する場にもなっているというふうに思います。
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
  まず、緊急報道体制の整備についてお伺いさせていただきたいと思います。
  今回の事業計画におきましても触れられておりますように、災害報道や緊急報道はNHKの大きな使命だと思うわけでございます。私は実は兵庫県の出身でございまして、八年前の阪神大震災ではおじを失っているんですけれども、当時、私は東京におりまして、一番初めに震災の発生を知ったのはNHKの神戸支局が室内が大きく揺れているという報道、それでその規模の大きさを実感したという経験を持っております。
  そういう意味で、緊急報道、災害報道の重要性というものをつくづくと感じるわけでございますけれども、今回の事業計画を拝見させていただきますと、災害への迅速な対応、海外の取材体制の強化、海外の放送機関との連携強化と、こういうような基本方針をお出しになっているわけでございますけれども、具体的に二〇〇三年度におきましてどのような緊急報道体制の整備に向けての御努力をなさるのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 災害報道は公共放送NHKの大きな使命であります。そういう面で、毎年毎年、この災害報道を的確に迅速にするための設備投資をしてきております。
  特にこの十五年度は、御案内のように、東海地震がいつ起こるか分からないような今状態に来ているということ、それから東南海、南海地震も云々される、南関東直下型地震もいろんな話が出ているというようなことで、いつどこで何が起こるか分からないのが日本列島でありますし、また、災害はいつも違った顔をして現れてくるというふうに言われるように、本当に予測の難しいわけであります。そういう面で、私ども、四十七都道府県、どこでも何が起こっても対応できるような体制を取っているということであります。
  特に今、東海地震については、できるだけ機材を更新して、そしてロボットカメラとかあるいはヘリコプターによる取材によって災害の全体像をできるだけ早く視聴者国民に知らせようと。それは、阪神・淡路大震災の際の教訓として、ヘリコプターの出動が非常に遅れてしまった、そのための全体像がつかみにくかったという反省から、特にヘリコプターの第一報の映像については、今いわゆる各都道府県なり、あるいは県警本部なり海上保安庁なり、いろんな関係機関とも協議をしながら、お互いに第一報を撮った者がそれを融通し合って、できるだけ早く国民に知らせようと、そういう取組もしているところであります。
  そういう面で、そういう機材面ではかなり十五年度は予算を上積みしましたけれども、問題はやはり職員のそういう防災意識といいますか、日ごろの実地訓練が大事なんで、畳の上の水練では困るので、図上作戦だけですと困るので、実地訓練を今、年に数回、全員がこれに参加することでやっております。
  そういう面で、いつでもだれでもがこの災害報道にかかわるように、そういう今体制を組んでいるところでございます。
○辻泰弘君 緊急警報放送について総務大臣にちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
  今も毎月一日に試験放送が行われているようでございますけれども、その緊急放送が実際に効果を上げるためにはアダプターがなければならないということになっているようでございますが、しかしそれは現実にはなかなか普及していないというような現状にあるわけでございます。
  そこで、総務大臣として、緊急警報放送を実効あらしめるための方策、これについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、テレビは一億台超えているんですよね。ところが、これを内蔵しているのは五十万台だというんですよね。五十万台じゃ、〇・五%ですからね。そこで、これは今、辻委員言われるようにできるだけ早く普及しなければなりませんので、これから地上波のデジタルが始まりますからね、こういう場合を利用せにゃいかぬと。
  それから、BSはもう大分前から、十二年の十二月から始まっておりますから。そこで今、この送信側、NHKや民間さんの方にはそういうものを、緊急警報放送が可能となるような送信側の技術基準に入れるということを措置しているんです。今度は民放の方で造ってもらう受信設備、この方にも民間のそういう設備規格というんですか、仕様というのか、そういう中にちゃんと入れるように措置しましたんで、これからBS用のデジタル受信機を買うとか、あるいは地上波のデジタル受信機をこれから買うという場合には必ずそういうものを持ってもらうような、そういう指導やPRをしていこうと、こう考えておりますけれども、なかなかすぐ有効なというのは難しいんですけれども、これこそ粘り強くやっていきたいと、こういうふうに考えております。
○辻泰弘君 省資源化、省エネルギー化への対応ということについてお伺いしたいと思います。
  聞くところによりますと、東京においてのごみの多さは、東京都、NHK、東大と、このベストスリーだというふうに聞くわけでございます。
  NHKでもやはりビデオとか紙などのごみが多いだろうと思うわけですけれども、このような廃棄物処理、またそのリサイクルについてはどのように取り組んでいかれるか、御方針をお伺いしたいと思います。
○参考人(山村裕義君) お答えいたします。
  NHKでは、今御指摘のように、環境に配慮した事業運営を、これを進めなければならないということでいろいろ取組をやっておりまして、例えば「省エネ・リサイクル運動」などを平成十二年度からスタートさせておりますし、現在も環境経営推進委員会というのを設けております。
  また、去年初めて環境報告書というのを作りまして、具体的な取組、幾つか御紹介いたしますと、例えば放送局ならではの省電力型の放送設備の設計、開発でありますとか、当然のことでありますが、ごみの分別廃棄の徹底、それからリサイクル用品の積極的な活用、低公害車の導入とか自動車の排ガス対策とか、様々なことをやっておりまして、ベストスリーに入らないようにやっていきたいと思います。
○辻泰弘君 平成十四年三月十九日の地球温暖化対策推進本部が決定しました推進大綱の中には、「国民各界各層の更なる地球温暖化防止活動の推進」という項目がございまして、その中に「一般国民による取組」というのがございます。その中に、「テレビ番組を選び、一日一時間テレビ利用を減らす」というふうな項目がございます。
  世の中二十四時間、利便性追求という流れもあるわけでございますけれども、やはり省エネルギーという地球的規模の課題追求ということも大事なわけでございますが、そういう流れの中で、省資源、省エネルギーという意味合いにおいて、NHKとしてどういうお取組をなされるのか、教えていただきたいと思います。
○参考人(山村裕義君) 今御指摘のことは我々も重く受け止めておりますが、一方で、御案内のように、NHKは公共放送といたしまして災害時の緊急報道など、報道、放送に万全を期さなければならないということで、また視聴者の生活時間が二十四時間化されるというようなことも併せまして、現在、放送の二十四時間化を進めております。
  これによって、御指摘のように電力の消費量が若干増えることはあるんですけれども、視聴者国民の生命、財産を守るということでございまして、今のイラク戦争なども含めまして、やはり私たちは二十四時間放送の体制がこれは必要だと考えておりまして、そういう中でありますが、できるだけ御指摘のような方向でやっていきたいと思っております。
○辻泰弘君 次に、男女共同参画社会に関連して御質問したいと思います。
  現在、日本におきましても男女共同参画社会の実現を目指して各方面でのいろんな取組が進められているわけでございますけれども、公共放送たるNHKにおかれましても、そういった取組を放送を通じて視聴者に伝えていただくという役割も担っていただいているわけでございますけれども、同時にやはりNHKの内部においても、採用、登用等の面でその実践にも努めていただきたいと思うわけでございます。
  資料を拝見いたしますと、NHKにおける女性職員比率は一〇%に達したばかり、また管理職の女性の比率は二・七%程度と、このように聞いているわけでございまして、一般的に見ても必ずしも高いものではないと、このように思うわけでございます。
  そこで、NHKにおける女性職員の採用、定着、登用についての方針、またNHKにおける職員の育児、介護等に対する支援体制、こういったものについて御方針をお伺いしたいと思います。
○参考人(山村裕義君) NHKといたしましては、男女共同参画社会の実現は極めて重要というふうに考えておりまして、この法の精神にのっとって、女性職員の積極的な採用、登用に努めているところでございます。具体的な数字は、今、先生がおっしゃったとおりでありまして、私どもとしては、例えば平成十四年度、これは大卒の女性につきましては、全体の二七%を女性、女性を採用しているということでございます。
  定着率でございますが、過去十年間の採用を見ると、女性職員の定着率はおよそ八四%でございまして、これはほかの産業と比べて極めて高い水準にあると考えております。参考までに、ほかの水準でありますと、これは厚生省の賃金構造基本統計調査、平成十三年度でございますが、こうしたものと比べましても、平均の勤続年数、これはほかの産業では八・九年でございますが、女性職員の平均勤続年数は十二・三年ということでありまして、ほかよりも上回っているということでございます。
  いずれにいたしましても、男女共同参画社会基本法の趣旨にのっとって、女性が更に活躍できる企業体を進めていきたい、企業体を目指していきたいと考えております。
  それから、職員の育児、介護への支援についてでございますが、当然のことではありますが、働きながら育児、介護を可能とする環境を整備いたしまして、仕事との両立の負担を軽減していくことは重要な課題であると認識しておりまして、NHKは、男女雇用機会均等法それから育児・介護休業法の趣旨にのっとって、様々な制度の充実に努めてきておりまして、平成十四年度は育児・介護短時間勤務制度、それから平成十五年度四月、この四月からは子の看護のための休暇、こうした新設ということによって働きやすい環境作りに取り組んでいるところであります。
  今後とも、多くの女性職員が広い分野で活躍できるように、これまで以上に安心して育児、介護ができる環境の整備に着実に取り組んでいきたいと考えております。
○辻泰弘君 職員の方々の労働条件に関して御質問申し上げたいと思います。
  現在、日本においてサービス残業が増えているというふうに言われているわけでございます。その背景としては、やはりリストラなどで従業員が減って、残った従業員の方々に仕事が多くなってしまうということとか、あるいは業績が伸び悩む企業が人件費を抑える方向性を持つと、こういうこともあるわけでございますけれども、そこでNHKのことについてお伺いしたいわけでございますけれども、時間外労働に対する割増し賃金支払の状況はどうかということが一点。もう一つは、職員の方々で対応し切れない業務を担っていただいているであろうパートの方々などの短期雇用者に対する処遇、労働条件への配慮は十分なされているかどうか、その点についてお伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(山村裕義君) まず最初の、時間外労働に対する割増し賃金支払の状況でございますが、平成十三年度、前年度でございますが、NHKの年間総労働時間は二千百九時間になっておりまして、これは社会値の千九百八十八時間を上回っておりますが、このうち基準外時間につきましても月平均三十六・五時間と、これは社会値の十七・一時間を上回っておるわけでございますが、この総労働時間につきましては、緊急報道など放送事業の特殊性をかんがみて、その短縮を図ることは極めて難しいとは考えていますけれども、仕事の仕組み、進め方、それから業務全般を思い切って見直すということをやって時短の促進を図っているところでございます。
  時間外労働につきましては、労働基準法にのっとって、労働組合と労使協定を締結した上で、基準外時間数に応じた割増し賃金を適正に支払っております。
  次に、パートなどにつきましてでございますが、NHKは、今お話しの短期雇用者の処遇それから労働条件には十分意を用いてやっているところでございまして、例えば、国の指針に基づいて雇入れ通知書を渡すとか、それから就業規則等必要な資料を渡して労働条件を説明するとか、それから労働基準法に基づいて年次有給休暇の付与、時間外・休日・深夜労働に対する割増し賃金の支給、さらには時給の最高額、最低額を設定いたしまして、専門性の高いスタッフに対しては最高額を超える額の設定を可能にするという様々な取組をしているところでございます。加えまして、スタッフの雇用、それから日常の服務、勤務管理に当たりましては、上司である管理者に対して就業規則にのっとって適正に実施するように指導を徹底しております。
  いずれにいたしましても、スタッフの職場における円滑なコミュニケーション維持を図るために、担当者による定期的な面談なども実施しておりまして、遺漏ないように配慮しているところでございます。
○辻泰弘君 以上で終わります。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。
  今日は、字幕放送を始め高齢者、障害者向け放送の拡充ということでお尋ねをしたいと思っております。
  昨年も、このNHKの予算審議の際にこの字幕放送の問題を取り上げまして、特に昨年度はワールドカップがあったものですから、このワールドカップサッカーの字幕放送を是非やってもらいたいということを要望しまして、現実に決勝戦とか日本対ベルギー、四試合の字幕放送を行っていただきました。極めて難聴者の方々などから評判が良かったというようなこともお聞きをしております。今後も、この字幕放送、積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、まずNHKとして、今年の字幕放送をどうやって拡充していこうとしているのか、内容について教えていただきたいと思います。
○参考人(板谷駿一君) お答えいたします。
  ワールドカップサッカーについては、全部で五試合放送させていただきました。生中継の字幕を行いました。それから、平成十九年、十九年までに生放送など字幕化困難な番組を除いた午前七時から二十四時までの時間帯、ちょっと長い言い方で恐縮ですが、要するに、行政の指針と言われている、沿った計画ですが、これを一〇〇%実施するということですが、私どもとしては、平成十八年に一年前倒しで実現したいというふうに考えております。
  そして、十五年度の一週間当たりの字幕放送時間は、総合テレビで前年比九時間三十二分増えて五十四時間三十二分、これは全放送時間との絡みです。それから、教育テレビは五時間四十三分増えて三十二時間四十四分などなどになっております。そして、ワールドカップサッカーの字幕化はなかなか難しいトライアルであったわけですが、この後も生番組に積極的に取り組んでいきたいと。
  具体的には、今、夜七時のニュース、夜九時のニュースをやっているわけですが、十五年度は、正午のニュース、それから「NHK歌謡コンサート」なども続けると。それから、大相撲は今年の、既に今年は初場所から毎日字幕を努めると。そういう形で着実に字幕放送の拡充を図っていきたいと思っております。
○木庭健太郎君 スポーツ番組というのは、やはりそういう字幕放送がなかなか生ですから難しい面もあるんですが、逆に言うと、見ている側からとってみても一番字幕が欲しい番組でもあるわけでございます。
  そういう意味では、今年から大相撲というようなことも始めていただいております。さらに、今、例えば皆さん視聴率も高く見てくださるものといえば、選抜を今やっていますよね。こんなものをお考えになるとか、特に大リーグの話もさっきあっておりましたが、この大リーグの含めたプロ野球、そういったもの、是非そういう生番組、もちろん年度計画でやっていかれることは分かっておりますが、そういうものを優先しながら取組を、あのワールドカップの体験を生かしながらやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○参考人(板谷駿一君) スポーツ番組についても拡大はしていきたいんですが、スポーツの番組の字幕放送をどのようにやっているかといいますと、音声自動認識装置だけでは、ノイズなんかを拾っちゃうとうまく働かないんですね、認識装置が。正確にならないということがあり、一度スポーツ中継やったものをもう一回、別な、リスピーカーという、これはスポーツアナウンサーが、別に用意したりして、その方が静かなところでもう一回リスピークすると、それで初めて成り立つというふうなことがありまして、結構手間が掛かると。
    〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕
  それからもう一つは、相撲なら相撲をやる場合には、相撲について自動音声認識装置に一生懸命学習させなくちゃならないんですね。六十日分ぐらいの取組を一生懸命そのサーバーに入れたりして学習させて、それで初めて大相撲がやれるようになる。こういうことなものですから、これはまた別なスポーツだと、またそういうふうにしてやらなくちゃならないということなものですから結構手間が掛かりますが、着実に技術的にも進歩、やがてしていくでしょうし、少しずつ進めていくと。巨人戦なんかについても一部、今年はスタートするようなことを考えております。
○木庭健太郎君 そういうスポーツ番組、いわゆる生ができるようになるという今、時代を迎えているわけでございますが、そんな中で、視聴率は残念ながら余り高くございませんが、国会中継というのもございます。是非、国会中継もこういう字幕放送をきちんとしていただくためには、やっぱり私はこういったものもなるべく進めていただきたいと、こう思っておるわけです。
  リアルタイムで難しいというのであれば、今日みんな一生懸命質問しているのはなぜかというと、これ、録画されてきっと放送されるからというので一生懸命みんなやっているわけですよ。手始めにここの議論から字幕放送を始められたらいかがでしょうか。
○参考人(板谷駿一君) 多分、スポーツ中継と比べても国会中継というのはもっと難しいのかなという気がしているんですが。
  というのは、やはり政治的な御発言ですから、やはりそれが誤って訳されたり表示されたりということは、非常に神経使ってやらなければいけないのかなと。先生方の御意見が間違って伝わるようなことになってはまずいなという意味では正確さを必要とすると。そして、その録画の場合も、結局要約しているんですね。全部の情報を、お話しされていることの情報を要約しないと要するに一つの画面で表示できない。その要約という作業が、そういう御発言については割合難しいのかなと。先生方の御発言というのは、そこのところが悩ましいところでございます。何年かたつと、将来はそういうことができる時代が来るんではないかと思っております。
○木庭健太郎君 加藤副大臣にお尋ねをしたいと思います。
  字幕放送の普及については、今、NHKさん始め放送事業者各社が拡充計画を定めて取り組まれているところでございますが、NHKの報告がございました、進捗状況について。また、総務省として、普及目標達成のためにどう取り組まれるのか、副大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○副大臣(加藤紀文君) 今、NHKさんの方からお話もございましたが、先生、委員御存じのように、平成十九年までに字幕付与可能なすべての放送番組に字幕を付与するという目標を設定いたしまして、NHKや、また民放それぞれの計画を作っていただいて提出していただきました。
  そして、今、平成十三年度でありますが、NHKで七三・四%、そして民放キー五局で一六・一%と着実に充実が図られている状況でありますし、総務省といたしましても、今後、放送事業者が自ら作成した計画に基づいて字幕放送の拡充に取り組んでいっていただくと思いますけれども、実績の把握とか公表等の計画の進行管理を十分に行うとともに、放送事業者の取組を推進するために字幕番組等の制作費用に対する助成とか字幕番組自動制作技術の研究開発を引き続いて推進してまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 大臣にお伺いをしたいんですが、字幕放送の普及へ向けて昨年は次世代字幕研究会というのが開かれて、広く障害者団体などのお考えも聞いて報告書が出されております。今後、デジタル放送がもたらすであろうメリットについては、字幕放送はもとより音声の速度の調節とか双方向の活用、いろんなことが考えられると言われています。
  総務省においても様々な研究をなされていると聞いておりますが、こういったデジタル化の問題、放送に関する問題というのは、我々健常者の視点じゃなく障害者の皆さんから見た場合、我々にない発想があるのではないかと、そのことを私は感じます。携帯電話のマナーモードが、うまくメール機能とかが視聴覚障害者の方たちのコミュニケーションに役立っていたり、いろんなことが現実にあっているわけでございまして、そういう意味では、今後、そういう方々の意見を広く伺っていくような場が必要だと考えますが、大臣から見解を伺っておきたいと思います。
    〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(片山虎之助君) 言われるように、字幕放送はひところよりは大分進んだんですよね。特にNHKさんが相当努力してくれていまして、全体の牽引車になっているんです。民放がちょっと遅れていますね。固有名詞は出したくない、言いたくないんですが、テレビ朝日が一番遅れている。余り言いたくないんですよ。だから、もう少し全体を底上げをして民放にも頑張ってもらう必要があると思いますね、出す方、放送。
  それから、受ける方も、やっぱりそういう字幕放送受信機能を持ったテレビを買っていただくような、これはデジタルになれば大体そうなりますから、その辺で私は大きく進むんではなかろうかと、こういうふうに思っておりまして、是非ともこのデジタル化を機会に、そういう意味で特に障害者の方、高齢者の方に優しいテレビ、役に立つテレビ、これを是非進めていきたいと思っておりますので、今後ともひとつ十分やってまいります。
○木庭健太郎君 最後に、ちょっと話を変えまして、地方放送局の役割という問題について伺っておきたいと思うんです。
  NHKでも、この地域放送というものについて充実を進めて、夕方の時間を中心にして地域放送の時間というのは拡大されております。この委員会というのは地方行政も担当しておりますので、ある意味では、地方分権が進めば地域からの情報というのは一層大事になると思うんです。その意味でも、NHKが各地域に持っていらっしゃる放送局の役割というのは私は大きいと、こう思っております。
  そういう地域放送局の果たすべき役割とは何なのか、これについて会長はどんなお考えを持っていらっしゃるかを聞いておきたいし、もう一つ、実は私の住む福岡県にはなぜか全国で唯一NHKの地域放送局が二つあるんですよ、北九州と福岡と。何で二つになったかというのもあるでしょうけれども、今回は北九州放送局、心機一転して出発することになっておりますが、この新北九州局、どう活用するつもりでいらっしゃるか、これも併せて御答弁いただければ有り難いと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、全国放送と地域放送、これは車の両輪としてこれをバランス良く編成していく、番組編成していくという立場を取っております。
  御承知のように、日本は東京はわずか一割であります。九〇%が地方であります。それと同時にまた、三百諸侯があり、三百の文化があると言われております。各地方にはそれぞれの歴史と伝統に裏打ちされた優れた文化がありますし、またそこにいて営む国民のそれぞれのやはり思いがあるわけでありますから、そういう面で、私は、地方、地域放送を充実させなければ日本の将来はないだろうという、大上段振りかざして今、地域放送の充実強化に努めているところであります。
  特に、デジタル放送が始まれば、当然デジタル放送等によってきめの細かい情報を提供できるだろうというふうに思っているところであります。そういう面で、今、地域放送も五時、六時台から今四時台、北海道は三時台から地域放送をしておりますし、ますます充実させていこうと思っております。
  それと同時に、また地域の情報を全国に発信する、それは世界にも発信する必要がありますので、地域の情報を、地域の文化なり生活ぶりを世界に発信するという、それも今、平均して、地方発全国放送が今、平均して一日四時間ほど出しております。地域放送だけでは──そのほかに地域放送が三時間以上ということで、かなりこの数年で充実してきたつもりでおります。
  それから、北九州の場合は、御承知のように、十数年前に行政改革ということで、NHKも一県一局主義を取れという政府の方針もありましたし、また我々もいつまでも拡大路線でなくて、もっと効率いい仕事をすべきだというようなことで、一県一局主義を取ってまいりました。ただ、北九州の場合は、御承知のように、北九州、百万都市でありますし、隣の下関は山口県であります。山口と下関、両方放送局ありましたし、また、電波の事情によって、北九州から出した方がすべてカバーできるということ、それから大分県北部、いわゆる豊後地方、ここもカバーするという、そういう面で、もう二百数十万の世帯を抱えている大放送圏でありますので、ここはやはり福岡と北九は別々の放送局の方がいいだろうということで二つやっているわけであります。
  そのほかの県については一県一局ということでありますが、ただ、北海道だけは札幌を中心に七局あるということを御承知おき願っておきます。
○木庭健太郎君 終わります。
○山下栄一君 公明党の山下です。
  私、質問させていただく前に、先ほど辻委員が取り上げられた省エネの話ですけれども、私、ちょっと先ほどの御答弁、すっと入ってこない御答弁だったので。
  NHKは、様々な形で地球環境保全に貢献する番組、意欲的に取り組んでおられるわけです、南極放送局の設置もその一つだと思いますし。ただ、この京都議定書をいかに支持するかということは、日本がやっぱり世界に貢献すべき大きなテーマだと、日本がリードすべきテーマだと思っておりますので、そういう意味で、確かに二十四時間のライフスタイルになっているけれども、これは、テレビが二十四時間放映されているからまたライフスタイルにまで影響を与えているという相互作用があると思うんですね。
  私は、この二十四時間放送というのは地球環境問題に本格的に取り組むという観点からどうあるべきかということは、これは挑戦すべきテーマとしてきちっとやはりNHKとしても対応していただきたいなというふうに思います。
  テレビと自動車というのは、もう正に文明の物すごく大きな影響を与えた道具というか、だと思いますときに、だからこそ、利便性と環境との調和といいますか、そういう意味では、これは大変大きなテーマだと思いますので、二十四時間放送の在り方というのは再度見直すべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
  去年の十一月にも取り上げさせていただいた問題なんですけれども、青少年と報道の問題でございます。
  先ほども少し片山大臣もおっしゃっておりました放送の質のことでございますけれども、青少年の心の荒廃というのは非常に、日本だけじゃありませんけれども、先進国共通の悩みになっておるわけですが、テレビ番組が子供の健全な心身の育成に、いい影響も与えるけれども、もう一面、大変な大きな悪い影響も与えるという面があります。この取組はしかし自律的でなきゃならないというふうに、先ほどもそういう問題提起ございましたけれども、というふうに思うんです。
  そういう観点からしますと、私は、放送と青少年に関する委員会という取組は極めて大事な取組だというふうに評価しております。平成十二年から始まりました制度が、これは三年目を迎えようとしているわけで、もう三年たとうとしているわけですけれども、放送と青少年に関する委員会の国民への周知、こういう仕組みがありますよということが余り伝わっていないのではないかというふうに思っております。
  確かにアクセス数は、アクセスというか、この委員会への要望そして苦情というか、そういうのは増えているというふうに聞いておりまして、年間二千件、十四年度は三千件超えるんではないかと思いますけれども、これをやっぱり国民の皆さんに分かっていただくということ、提供者側が、放送事業者側がこういう取組をしているんだということ、これ、案外知られていないというふうに私は思っております。
  自主的に取り組んでいることであると同時に、事業者そして視聴者ではない第三者の、この七名の学識経験者を中心とする各界を代表する方々が視聴者の苦情処理、そして要望を直接第三者の観点から取り上げて、実際、番組を変えさせたり、やめさせたりしているということもあるということ、こういうことは余り御存じじゃないのではないかというふうに思います。
  こういう取組が極めて日本の場合は弱いという、だから、先ほど大臣も触れられましたように、立法措置をしようかというふうな動きまである、出てくる。私は、そういう動きは良くないと思いますし、そういう意味で、自主的であると同時に、第三者の方々が、放送事業者ではないそういう方々が取り組んでおるんだということをもっときちっと国民の皆さんに分かっていただく努力をしていただきたいというふうに思います。
  それで、具体的な提案ですけれども、実際、ラジオだとかテレビでNHKは特に青少年委員会の告知のスポット放送を何度もされているんですけれども、ちょっと時間帯が、皆さん、子供たちやそういうことに非常に関心のある御両親が見られる時間帯というか、十九時から二十三時です、具体的に言えば、この時間帯のちょっと放映回数が少ないのではないか、テレビもそうです、ラジオもそうですけれども、ということ。だから、時間帯の工夫をしていただきたいということと。
  もう一点は、放送と青少年に関する委員会がありますよという周知の中身なんですけれども、中身がちょっとパンチがなくて、例えばこういうふうにあります。私たちは、テレビやラジオの番組が青少年に与える影響について考えています、より良い放送のために、そして子供たちの未来のために青少年委員会へあなたの御意見をお寄せくださいと、こういうふうなことを流されているんですけれども。
  第三者の委員会なんですということ。事業者が別にやっているのではありませんよ、第三者の委員会に直接皆さんのお声が届くんですよということ。そして、NHKが流す場合でも、NHKだけじゃなくて民放の番組についても苦情、御要望寄せてくださいねというふうなことも併せて、周知の中身と時間帯、これをもうちょっと一歩突っ込んだ工夫をしていただきたいというふうに、是非これは取り組んでいただきたいと思っております。
○参考人(板谷駿一君) 青少年委員会、この第三者機関は、私ども大切にしている機関であり、その活動の内容の周知とかいうものをもっときちんとやれということなので、私どもも一生懸命やり方を考えていきたいと思います。
  NHKとしては、十二月二十日に例えばこの委員会が消費者金融CMに関する見解を公表するということになれば、直ちに私どもの番組でその見解の中身を紹介する、これまで出た見解についてもすべて紹介するようなことをやっております。
  それから、PR、周知、これに関しては、平成十四年度上半期、四月―九月の間にラジオ、テレビ合わせて全国で二百十五回放送して、そのうち、テレビは昼間の時間帯で百五回、ただ、プライムタイムの夜七時から十一時で二十八回ということもあって、これをもうちょっと増やしていったらどうだという御意見だと思います。その辺も含めて検討はしてみたいと思います。
  それから、この周知の中身というのは、青少年委員会の方でお作りになるというものを私どもがやらせていただくという形になっておるんですね。この辺は、青少年委員会の自主性を尊重した方がいいのか、そういうこともあるので、またこういうことについても研究してみたいというふうに思っています。
  それからもう一点だけ。この後、青少年委員会が設置されている放送番組向上協議会というのは、いわゆるBRO、放送と人権等権利に関する委員会機構と統合することになります。そして、新たに放送倫理・番組向上機構というのが発足することになるわけで、これからは、この機関、この機関そして青少年委員会はそこにあるということなどもきちんとPRしていくということをやりたいと思います。
○山下栄一君 周知の中身で、青少年委員会がお考えになったということ、分かりましたけれども、ちょっともう少しパンチのあるというか、第三者であるということ、それから民放も含めて苦情処理を受け付けますよということについて、そういうことが分かるような内容のものにしてもらいたいという要望があったということを是非お伝え願いたいというふうに思います。
  次に、芸術、文化への取組なんですけれども、これもNHK、大変な貢献されているということ、よく理解しているつもりなんですけれども、私も最近知ったことで恥ずかしい話なんですけれども、邦楽技能者育成会というNHKの事業で取り組んでおられる。これはもう昭和三十年から取り組んでこられて、特に邦楽部分、日本の伝統の音楽の部分で優れた人材育成をされてきて、もう二千人を超える卒業生を出され、これ学校法人じゃなくてNHKの事業としてやっておられるということなんですけれども。こういうことも余り、知られているところでは知られているんでしょうけれども、そんな長い伝統を持ちながら様々なジャンルの邦楽の演奏能力、また、小歌、小歌ですか、歌の方ですね、についても音楽教育、音楽史も含めてやってこられたということを知りまして、非常に私自身も驚くと同時に、NHKの取組を大変評価をさせていただきたいと思うんですけれども。
  この文化芸術振興基本法というのができまして一年少したつんですが、この邦楽というのが最近義務教育でも学習指導要領に入りましてやり始めたんですけれども、教える人がおらないというふうな深刻な事態があるわけです。そして、日本の音楽というのは基本的に何となく西洋音楽中心になってしまっている。
  だけれども、優れた一千年を超える日本のこの邦楽の伝統があるという。そして、担い手が非常に少ないという。このNHKの取組も、毎年四十五人育成されている、もう指導陣は極めて見事な立派な方々が勢ぞろいされているわけで。だから、文科省に聞きましても、こういう取組がNHKで一生懸命やっておられるということを案外知られていない、文科省自身も余りよく知られてなかったというか、文科庁の方もね。
  そういうことをお聞きしまして、私は、ある意味じゃもうちょっと文科省との連携も、学校制度そのものじゃない形でやっておられるわけですけれども、この邦楽育成は東京芸大でもやっとそういう学科ができたり、また国立劇場でもやっておられる、また様々な流派で伝統方式にのっとって個々の人材育成されているわけですけれども、もう人数的には微々たる養成体制にしかなっておらない。私は、これからますますこういう伝統部分の人材、優れた人材の確保、養成、私非常に大事な取組だと思いますので、文科省との連携や、特に演奏だけではなくて謡曲とか長うたとか、そういう声楽の部分ですね、そういう部分の取組も強化されたらどうかなというふうに思いますと同時に、この名前も、邦楽技能者育成会という名前もちょっと古い表現だなというふうなことも感じまして、それの工夫もしていただいたらどうかなというふうに思います。
  ちょっともう時間ないので、あわせて、N響アカデミーの件ですね。これも最近、三月ですか、NHK交響楽団でアカデミーを作って、これもオーケストラの人材育成するという画期的な取組を、ウイーンフィルとかベルリンフィルではやっておられたそうですけれども、日本では交響楽団としては初めての取組である。これも非常に注目されておる、これから始めようとされている部分ですけれども、この辺についても宣伝も兼ねてちょっと取組状況をおっしゃっていただけたらと思います。
○参考人(板谷駿一君) 邦楽の技能者育成会の名前は、これ伝統ある名前になったので、これを続けることがいいのかどうかということはありますけれども、本当に三十年から、卒業生はもう二千人も増えまして、二千人も超えまして、箏曲の演奏家で人間国宝の山勢松韻さんなんというような方も出てくるというので、非常にこれはいいことだなというふうに思っています。
  それから、N響アカデミーですが、今年四月にNHK交響楽団がこれを設立し、ねらいとしては将来の優秀なオーケストラ演奏者を育成していくということになっております。具体的には、このNHKアカデミーに在籍する若い演奏家にN響のリハーサルとか演奏会を自由に聴いてもらって、同時に、コンサートマスターとか首席奏者の直接の指導によるトレーニングを受けるようにできるようにすると。
  こういう形で、今、若干、ソリストを目指す方が多くて、こういうオーケストラを目指す方が少ないというようなこともややあるようでございまして、そういう部分でオーケストラを担う優れた人材を育てていければいいなというふうに思っております。
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
  まず最初に、NHKの海老沢会長に伺いたいと思います。
  世界の多数の国々、人々が反対をする中でアメリカがイラク攻撃を開始して一週間たちました。私は、この無法で野蛮で国際法違反、国連憲章違反の戦争を絶対に許せないと、こういう立場でありますが、今回のイラク戦争の報道については、戦争報道指針を求める声だとか、あるいは報道そのものに対する意見などいろいろとあると思います。
  作家の池澤夏樹さんがメールコラムに発信されていまして、こんな部分、今日持ってきたんですけれども。
   メディアに言いたいことがあります。
   アメリカ軍の動きを報道することを控えてください。飛び出すミサイルや、離陸してゆく戦闘機、したり顔で成果を説明する司令官、これらは戦争ではありません。
   戦争とは破壊される建物であり、炎上する発電所であり、殺された人々、血まみれバラバラになった子供の死体です。水の出ない水道、空っぽの薬箱、売るもののないマーケット、飢えて泣く赤ん坊、それが戦争の本当の姿です。そちらを映すことができないのなら、戦争を報道することなど最初から諦めてください。
   今の段階で攻撃側の動きばかり伝えるのは、この道義なき戦争に加担することです。
  これは二十日付けなんですが、戦争の本当の姿を映し出す努力、ジャーナリストの皆さん困難も多いでしょうが、非常に大切な問題だということを私は痛感しました。
  そこで、この戦争について、NHKの報道姿勢、取組、報道指針ですね、こういったものについて伺いたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 今度のイラク戦争、御案内のように、いろんな複雑な背景があります。国連を中心にいろんな交渉がありましたけれども、これがまとまらないでアメリカとイギリスが武力行使をしたと。これに対して、それぞれ国際社会で意見が分かれております。国によっても意見が分かれておりますし、日本でもそうであります。それぞれ国益は何かということを念頭に置きながら、それぞれの立場なり、そしてそれぞれの思いでいろんな意見が今飛び交っているわけであります。
  そういう意見が分かれた中で、我々報道機関といたしましては、できるだけ、この戦争がどういう戦争なのか、どういう実態で行われているのか、またそれに対して各国がどのような反応を示しているのか、また一般市民はこれをどういうふうに受け取っておるのか、そういうものを多角的にいろんな視点から取り上げるのは我々の今使命だろうと思っております。
  日本は当事国でありません。平和国家を目指し、どこの国とも仲良くしようという、そういうのが日本の国の方針だろうと思っています。我々もそういう立場から、先ほども述べましたように、我々の姿勢だけではなくて世界の主な国の、あるいは中近東、いわゆるヨルダン放送とかいろんな国の今、四十一の放送機関、あるいは通信社系の映像会社から映像を取り寄せ、情報を集めて、それを総合的に判断して放送を出しているわけであって、私は、NHKは最も世界で公平な偏らない放送をしているつもりでおりますし、一部を見ていろいろ論評はありますけれども、NHK、二十四時間放送をしております。そういう中で、きちっとした視点で見てもらえば、私は、世界で最も公平な扱いをして国民の判断になるような実態を放送しているというふうに今思っているところであります。
  いずれにしても、我々もできるだけ早くこの戦争が終結し、中東に平和がよみがえり、そしてまた、これからのイラクを中心とした中近東問題が解決に向かうことを願っておることは、やぶさかではありません。
  ただ、我々としては、いずれにしてもこういう現実に目を背けるわけにいきませんし、現実は現実として報道するのが我々の使命だろうと思っております。
○八田ひろ子君 憲法九条を持つ国の公共放送機関として、公正中立という御努力を伺いました。
  そこで、イラク戦争に対する視聴者の声というのは、統計を取っておいでになると思いますが、どうなっているのか、お示しください。
○参考人(板谷駿一君) 統計というのではございませんけれども、いろいろ御意見が二十日から二十五日まで、問い合わせも含めてありました。イラク関連で一万二千五百八件でございます。イラク関連と申しましたが、これはイラク関連で番組が変更する、相当変わりました。そのことに対する問い合わせが大体七、八〇%。
  例えば、「おしん」の総集編が遅れました、翌日になりました。これに対しては二千件余り声がありました。それから、二十一日にはイラクへのアメリカの武力行使に対して賛否両論の御意見がかなり寄せられました。これは、アメリカが悪いだのイラクが悪いんだとかフランスはどうだとか、いろんな声でございました。それから、お褒めの言葉としては、NHKの報道は世界の情報と絡め、大変リアルで的確にやっていると。それから、要望としては、株や証券の動きが激しくなるのでニュースの合間にきちんとやってほしいとか、同時通訳が分かりにくいという御批判もありました。
  全体として、後半になって、二十二、二十三日と、割合、定時番組が放送されるようになってから電話の総数も減ってまいりました。日本政府は今度どう対応するかといった声とか、NHKの公正中立な報道に期待しているとか、イラク報道も重要だが国内のニュースもちゃんと放送してと、実に多種多様なお声が寄せられています。
  これ、世論調査ではございませんから詳細な分析は難しいのですが、いろんな、極めて多様な、イラク戦争についても賛否両論、いろんな御意見があったというのが実情だと思います。
○八田ひろ子君 大変国民の関心が強いというのがよく分かります。
  視聴者の方から、今御紹介のあった一つだというふうに思うんですけれども、「週刊こどもニュース」、これは二十二日ですね、このイラク攻撃の番組を見て、どんな戦争も人々が死ぬから反対だとか、子供たちが非常にそのままの思いを語っていたそうなんですが、番組そのものはアメリカの言い分を強調して、戦争に反対している人々のことを言わないので、この方はびっくりしてNHKに電話をされたそうなんです。
  そうしましたら、いろんな意見があるからということでしたので、どんな戦争があろうと他国を侵略する戦争はいけないのではないのですかと、こう聞いたら、NHKの方が、安保理決議一四四一に基づいてくるからということで、どうもこれは言い合いになったようで、見解の相違です、上にはおたくの意見も伝えておきますと言って電話を一方的に切ったと、こういう投書なんですけれども、安保理決議一四四一自体は武力行使を容認した規定はないと、これは国会でも小泉首相が何度も発言をして認めている中身です。ですから、視聴者に対してこの職員の方の発言が事実にも反するということになれば重大ですし、事は戦争、人命にかかわることです。
  ですから、こういう公正中立でない立場とか事実でない発言があってはならないことは当然なんですけれども、そのための研修とか周知徹底というのは、会長としてはどういうふうにきちんとしなければいけないというふうに思っておいでになるのか、御決意を一言伺いたいと思います。
○参考人(山村裕義君) 職員の研修でございますが、私どもは、NHKの財産は人であるという観点から積極的に取り組んでおりまして、延べ四千五百人ぐらいの職員が研修を受けておりまして、この中で公正公平な放送のための放送倫理の徹底を図るという研修を、新採用者から、それから管理職層にまで至る幅広い層に対して行っているところであります。
  今御指摘の投書の件でございますが、そのように申し上げたとはちょっと私どもは承知していないんですけれども、多分、これは電話を受けた者が、これはコミュニケーターと申しまして、出向者とか外部パワーを中心に行っているものでございますが、こうした人たちに対してもNHKの公共性等についてふだんからきちっと教育訓練を行っていますが、今回のような場合、つまりイラク報道のような場合は特にNHKの報道姿勢についてよく理解していただくように丁寧な指導をしているところでございます。NHKといたしましては、今回のイラク報道に当たっては、公正公平な報道がNHKの使命でございますから、一層、放送倫理を一層徹底してやっていきたいと考えておるところでございます。
  そういう意味では、私どもは、研修につきましては、今、様々な方法できっちりやっておるところでございますし、これからも更にそれを進めていきたいと考えております。
○八田ひろ子君 質問や意見に対して説明責任をきちんと果たしていただいて、視聴者の信頼を維持するためにも客観的、公正中立、正確を期す、そういう努力、先ほど会長が言われた、日本国憲法九条の精神を堅持してしっかりとやっていただく。仮にも報道が戦争をあおると国民に受け取られることのないように、私はお願いしたいと思います。
  最後に、時間がございませんので、字幕放送について伺います。
  昨年の総務省の実績調査の公表を見ますと、字幕放送というのは、今日も議論になり、私どもの宮本岳志議員が何度もここでも取り上げておりますけれども、NHKの総合では二二・九%、NHK教育では字幕放送の割合が一三・四%、民放キー局では六・三%。これ、進まない理由が費用の問題だと言われて、現在、総務省の補助金で制作費の半分補助という、それがあるんですけれども、それでもなかなか進まない。
  私、どうしても理解し難いのは、全体の割合も低いんですけれども、字幕付与可能番組でも字幕が付いていないという実態があるわけですね。特に民放低いと先ほど大臣言われたんですけれども、総務省、九七年に法改正をして、字幕付与可能なすべての番組に字幕ができるように目標を立てられました。可能なところは本当に一〇〇%が必要なのに、なぜなかなか進まないのか。私は、NHKさんが一年前倒しというふうに言われたんですけれども、どんどん進めていただくということが本当に大事だと思うんですけれども、なぜこういうふうに進んでいかないのか。それから、NHKさんの場合、生放送でも付ける番組もあるんだったら、早く、二〇〇六年と言わずにできるんではないかと思うんですが、それぞれ、総務大臣と海老沢会長に伺いたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 計画を作ってもらって、その計画に基づいてやってもらうと。それで、今、それに基づいてNHK始め民放も努力中なんですよね。そんな、これは手間も掛かるし金も掛かるし、そう簡単じゃないんですよ。だから、もう一生懸命努力しているんで、二〇〇三年までに可能なものについては字幕放送にしてもらう、こういうことでございますので、我々は、これから、NHK始め、NHKは前倒しですから、成績優秀でございますが、民放についても今後の努力を大いに期待したい、こういうふうに思っております。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、何回も答弁していますように、字幕放送につきましては毎年毎年計画を立てながら、確実に、着実にこれを実行していきたいと思っております。
○委員長(山崎力君) 時間ですので、締めてください。
○八田ひろ子君 はい。
  大臣、二〇〇七年と総務省がお決めになっているんですけれども、やっぱりデジタルデバイド解消のためにも、是非これは早める。大臣はかねがね、デジタル時代だと。高齢者も障害を持った方も字幕放送いつでも見れますと言っても、付けなきゃ見えないんですよね。
  だから、そういう面を強くお願いをして、時間ですので私の質問を終わります。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。
  我が党は、本予算案に基本的には全体として賛成するつもりでおります。しかし、そのことと国会が放送法に基づいてこの予算案やその執行をしっかりチェックする、これは重要な別の問題であって、いささかも弱めていいものではないと考えております。
  今日は、NHKの子会社、関連団体について質問を申し上げたい。
  NHKは、関連団体運営基準というものを作っておられますけれども、その第八条では、「関連団体は、公共放送NHKの使命達成に協力する団体であることを認識し、次に掲げる点を遵守して、社会との調和を図りながら、節度と良識ある事業活動を行う。」。その第一に、「NHKに対する視聴者・国民の信頼を損なう行為を行わない。」と、こう書いておられます。
  私どもに、この間、NHKの子会社や関連会社が幹部職員の退職後の天下り場所になっており、国民や視聴者にとって到底納得できないような実態があるのではないかとの告発を受けました。
  一例挙げますけれども、NHKの子会社の一つにNHKプロモーションという会社がございます。NHK本体が五七%、他の子会社からの出資を含めると実に八八%をNHKが出資する子会社です。ホームページを見ると、役員の氏名はもちろん、その経歴も公表されております。
  昨年六月までこの会社の代表取締役をしていた内林達夫氏はNHKのOBでありますけれども、この人物の現在の役職はどのようになっておりますか。
○参考人(山田勝美君) 今はNHKプロモーションの顧問であります。
○宮本岳志君 内林氏は、一九九七年六月にNHKの大阪放送局の局長を退職され、その後、子会社の一つのNHKプロモーションという会社の専務から社長となられました。NHKプロモーション代表取締役社長を四年間務めて、二〇〇二年六月二十一日に退任したと。現在は、先ほどお話のあった顧問という肩書であります。
  この顧問というのはどのような役職なのか。常勤であるのか。毎日出社をされておられますか。
○参考人(山田勝美君) 毎日出社しているかどうかは分かりませんけれども、現在もNHKプロモーションの事業展開の様々な仕事をやっております。
○宮本岳志君 事前にお伺いしたところ、常勤ということではないと、名誉職的なものだという話もお聞かせいただきました。
  これは、報酬というものは出ないのでしょうか。
○参考人(山田勝美君) 報酬は出ております。
  NHKの関連団体の社長あるいは理事長をされて顧問に就いています人は、委嘱期間が最長で二年間と、顧問の報酬については月額五十万、年収六百万を上限としております。
○宮本岳志君 NHKのそもそも大阪局を退職されるときに退職金が出ていると思うんですね。このNHKそのものを退職されたときの退職金、これは幾らになりますでしょうか。
○参考人(山田勝美君) NHKの平均的な職員が六十歳で定年退職した場合の退職金は二千四百九十一万円であります。職員の最高位であります局長級、内林さんは局長級でありましたが、局長級というのはNHKの全職員の〇・七%しかおりませんが、この局長級の退職金につきましては、当然その平均的な職員より若干高いということで三千万円余りということであります。
○宮本岳志君 三千万円余りの退職金を受け取って、そしてNHKプロモーションの社長に就任をされたと、専務から社長に就任されたと。
  昨年、社長、このプロモーションの社長を退任するときにも退職金が出ていると思いますが、それは幾らですか。
○参考人(山田勝美君) はっきりとした内林さんの退職慰労金については聞いておりませんけれども、普通は、社長を二期四年務めて退任した場合には五百万程度ということになっております。
○宮本岳志君 NHK本体を退職した後、関連会社、子会社の役員や社長に天下って、そもそも本体退職のときに退職金を受け、関連会社で数年勤めた後また退職金を受け取り、今の話では三千万、そしてまた数百万の、三千万余りの退職金をNHK退職時に受け取り、それからプロモーション退職時に数百万というオーダーでの退職金を受け取り、そしてその後、顧問に就任して毎月五十万、年間六百万と、二年間の委嘱と聞きましたので一千二百万受け取ると。
  この間、国の官僚に関してもこういった問題というのは厳しい国民の指摘を受けてきたわけですけれども、NHK会長、こういう事態、こういうことが関連会社、子会社で行われていると。僕は到底国民の納得、視聴者の納得、得られないんじゃないかと思うんですが、いかが会長お考えですか。
○参考人(海老沢勝二君) 私は、何といいますか、社会通念上といいますか、普通の会社でやっているのと同じやり方でやっているというふうに認識しております。
○宮本岳志君 実はそれだけではないんですね。
  内林氏がNHKプロモーションの社長を退任する直前に、昨年五月二十八日から六月五日にかけて、イスタンブール、パリ、プラハ、パリと訪問した。実はその前の社長も、これは招待であって会社の金ではないと聞いたんですが、退任前に業務でスイスに行っております。
  NHKの子会社では社長退任前に会社の金でヨーロッパ旅行に行かせるのかと。これは一体何のためのヨーロッパ旅行だったんですか。
○参考人(山田勝美君) それは慣例にはなっておりません。あくまで業務として、仕事のために正規の出張として行っているわけであります。
○宮本岳志君 じゃ、何のためのヨーロッパ訪問だったんですか、内林氏は。
○参考人(山田勝美君) 内林さんの海外出張につきましては、簡単に申し上げますと、NHKとNHKプロモーションがトルコ関連の展覧会というのをやろうということになっておりまして、その下見のためということと、イスタンブール市内の博物館ほか、パリ、プラハなどでの今後の業務展開に資するために現地の美術館、博物館を訪れたものであります。
  NHKプロモーションは、外国の美術館、博物館からの出品による美術展あるいは展覧会を数多く手掛けておりまして、今回の出張も業務の必要性から実施したもので、退任間際の慰労と云々というようなことでは断じてありません。
○宮本岳志君 いや、退任の決まった社長がヨーロッパに九泊十日で、私、聞いたらトルコ文明展のリサーチに行ったと。こんなばかな話は私は、納得、国民の納得、得れないと思うんですよ。帰国してわずか二週間後には社長を退任すること決まっている。トルコ文明展やるときにはもういないんですよ、社長じゃないんです。こういうことをやったら、やっぱりこれは退職前の慰労ではないかというふうに国民は見る。
  しかも、私の方にもたらされた情報によると、パリから、ある女性タレントと同一便で帰国したという話を聞きましたが、この件について調査いたしましたか、内林氏に確認しましたか。
○参考人(山田勝美君) 宮本議員、この件につきましては、去年の十二月に共産党の別の国会議員の秘書さんからお話がありまして、NHKも本人あるいは関係者から詳しく事実関係を聞きました。その結果、出張時の伝票類までさかのぼって調べたわけですけれども、何らそういうことはない、全くの事実無根であるということであります。
  したがいまして、そのような情報をこのような場でお話しになるということは本人の名誉を著しく傷付けるということでありまして、誠に遺憾であります。
  要するに、内林本人は、長年NHKに勤務して、NHK及びNHKプロモーションの事業に多大の貢献があった人で、たとえ、NHKの関連団体の質問の糸口みたいな、きっかけ作りみたいな格好で宮本先生が質問されているわけでありますけれども、同じ職場で働いてきた同僚、先輩ではありますが、本当にこういった格好で名誉が傷付けられると、耐えられません。
○宮本岳志君 何を言っているんですか。
  我々はちゃんと調査したんですよ。先ほど、私は、パリから同一便で帰国したと認めているじゃないですか、あなた方だって、事前に。
  しかも、私たちは、その便、JAL四〇六便の座席まで確認いたしました。この二人は隣同士の席に座って帰ってきた、このことまで私どもの調査で明らかになっていますよ。JALの、JALグローバルクラブのメンバーしか座れない席で隣同士だったと。私どもはこれ以上の事実もつかんでおりますけれども、この場では差し控えたいと思うんです。
  だがしかし、私、一言、NHKに申し上げておかなければならないことがあります。
  我々は初め、この疑惑についてそのとき知っていたすべての情報を提供して、NHKに事実確認をお願いした。それに対して、報告に来られたNHKの幹部は、内林はこの女性とは面識もないし一度も会ったこともないと言っている、名誉毀損だ、情報提供者は必ず捕まえるなどとおっしゃって、激しく興奮したやり取りになったと聞いたんです。
  そこで、我々が調べたところ、先ほどのような事実まで分かったんです。何も調査をせずに、マスコミとして情報提供者を守る立場にあるあなた方NHKが情報提供者を捕まえると、そういうことを言うに至っては何をかいわんやだと申し上げたい。NHKのこの姿勢は事実を隠ぺいしようとしたものだと、こう非難を免れ得ないということを私はっきり申し上げておきたいと思うんです。
  私は、こういう受信料が基になり公共性が求められるNHKや関連会社で、NHKから退職金をもらい、関連会社で報酬をもらい、また退任間際にリサーチと称して海外旅行をする、そしてまた、その後も顧問として残って顧問料を受け取ると、こういうことは国民にとって決して納得できるものではないということなんです。更に調査をして、報告を求めたいと思います。
  今日、取り上げたのは一社ですけれども、NHKには、こういう子会社、関連会社が依然として三十九社あります。NHK関連団体三十九社の常勤役員は何名で、そのうちNHKの退職者は何名、割合は何%か、お答えいただけますか。
○参考人(山田勝美君) 常勤役員中の三十九団体につきましては、NHKの退職者の比率は八三・〇%であります。従業員中のNHKの退職者の比率は二三・六%、NHKからの出向者の比率は一一・六%であります。
○委員長(山崎力君) 宮本岳志君、時間です。
○宮本岳志君 八割を占めているんですね、常勤者の、退職者が。私はこういったことは本当に改められなければならないし、そしてやっぱりNHKが公共放送というのであれば、先ほどいろいろやり取りがありましたけれども、関連会社の打合せ料とか交際費とか、あらゆるやっぱり情報を開示していくと、自主的に。
  我々は法的にこのようなことを網掛けるということには反対してきました。しかし、自主的に国民に疑念を持たれることのないように明らかにするということを改めて求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺秀央君 どうも御苦労さまでございます。
  昨年も私、NHKの予算のときにも質問をいたしたのでありますが、本当はその後のことについても若干引きずっている問題もありますので、とは思いましたが、今日はせっかくNHK、テレビ放送をやって五十年、大変節目に来ている大事なときでありますし、私の総じての感じを申し上げながら、昨今このテレビ放送、先ほども大臣の答弁、あるいはまた同僚議員の話の中にもありました、いわゆる民放を含めたテレビのこの映像がいかに国民の生活、あるいはまたいろんな精神的な面影響与えるかという話があり、公共性の高いこの映像文化というものに対してのお話がありました。
  私は、最初に、そういう意味では、本当はイラク問題の映像についてNHKが非常に健闘していることは評価をしながら、改めてこの報道陣、現地に三十二名ですか、残されているという話を聞いて、非常に大変なことだと思って若干そのことも危惧しながら、是非ひとつ安全を確保しながら頑張ってほしいと思いますが、いろいろ同僚議員の質問を聞いていると、これぐらい各自質問をしてきますと、大体同じようなことの切り口が違うぐらいの程度になっていくのかという感じもいたしまして。
  ただ、ひとつ申し上げておきたいのは、私は、大臣、最近のテレビ放送、イラク戦のことで、これ今NHKのことは申したが、民放はやっぱり面白おかしく、かつ無責任にやっていますよ。これは視聴率のことしか考えていない嫌いがありますね。娯楽番組は分かりますよ、視聴率は。しかし、どうですか、大臣、これはやはり少なくとも、さっき戦争の話が出ましたけれども、これは大変なことなんですから。
  こういうことがあった。私、朝ちょっと遅い時間に宿舎を出たとき、テレビつけておいた。それこそ、大臣じゃないけれどもテレビ名前言ってもいいが、何と驚くなかれだ、私は、その出ている、何人かでやっている番組ですよ。ある、これはテレビ会社の職員だ、コメンテーターやそんなんじゃない。私はフセインも嫌いだけれどもブッシュも嫌いだと、こう言うんだね。
  いやしくも公共の電波を通じ、映像を通じて、一国の総理に対して好きだ嫌いだと言うことが、一体これ、言論の自由ですかな、あるいはまた政治の中立ですかな。そういうことは一つの例ですよ。頻繁だ。これはもう本当に国民に対する影響は計り知れないものが私はあると思う。
  そういう、だれだって言うんなら、私、いつでも申し上げる。そういう短絡的な、公共の電波を通じて、映像を通じて、いやしくも民放であろうとも、国が認可を与えている事業でしょう。大臣、しっかりとその監察をする必要があると思うが、私は行政監視委員会でもやってもいいんだけれども、一回、大臣の話だけ、この決意だけちょっと聞いておきたい。今後のこともありますから。
○国務大臣(片山虎之助君) 先ほども御答弁させていただきましたけれども、放送法にはっきり、こういうことは守ってくれということは書いているんですね。だから、それをやっていただかないと、NHKはもとよりですが民放だって、私は最近の報道を見て、個人的には本当に真摯さも謙虚さも足りないと思っているんですよ。まあ興味本位とは決して言いませんけれども、もう少し原点に返って物を考えてもらわにゃいかぬと思いますよ。
  それから、先ほど共産党の委員さんとやり取りありましたが、逆の意見もあるんですよ、逆の意見も。八田さんは八田さんみたいなことを言ったけれども、逆に、どうも相手方の肩を持ち過ぎで、反戦デモばかり映している、あんなに何で映さにゃいかぬと。両方の意見があるのが公平なんですよ。公平なんですよ。八田さんみたいな意見もある、別の意見もあるので。だから、それは大変NHKは十分考えていると思います。はい、済みません、時間取りました。
○渡辺秀央君 僕に対する答弁をしなさいよ。まあいいけれども。
  ところで、私は、郵政省にお世話になったときに、ハイビジョン推進協会がハイビジョンの試験放送を開始したときでありまして、たしか何かその儀式があったように記憶していますよ。当時は一チャンネルだけでしたね。なかなか普及も難しい状況だったけれども、その後、二〇〇〇年十二月に開始したBSデジタル放送では、民放も合わせて多くのチャンネルでデジタルハイビジョン放送が行われているわけです。残念ながら、期待しているほどのBSデジタル放送の普及のスピードはどうも上がっていない。先ほどの話もありました。それは設備投資の問題もある。それからもう一つは、政府の方針が若干ちょっと途中で交差しましたな。
  だから、そういうこともあったことかも分かりませんが、その理由ということを考えてみますと、幾つかあると思うんですが、やっぱり放送の中身が面白いかどうか。それからもう一つは、デジタル放送を受信する受信機の値段が先ほどのお話のとおり安くなるかどうか。もっと安くならなきゃいけませんな。さらにもう一つは、視聴者に十分デジタル放送が魅力あること、なぜデジタル放送にするのかといった広報がちょっと足りない。これ、政府の悪い癖で、NHKに任せる、それも。そうなんです。これ、実際には、NHKのテレビ放送五十周年特集として放送をした「テレビは、次の時代へ」では、放送の将来がきちんと分かりやすく説明されていましたよ。
  昨年四月にNHK放送文化研究所が発表した調査では、約六割の人がまだ地上デジタル放送について聞いたことがないというふうに答えている。このような状況では、BSデジタル放送同様、地上デジタル放送の立ち上がりが非常に心配ですね。
  これは、少なくとも国策でやるんでしょう。国策でやるんならだ、やはりそれは、NHK、おまえらしっかりやれよと言うだけではなくて、あるいは民放の、私は去年も言ったはずです、これは。その設備関係の資金が掛かる。しかも地方テレビ局は、民放は特にこの不況の中であえいでいる、経営難である。そういうところへもってきて、なかなか難しい状態であることは分かりますけれども、この三つの問題点、まあちょっとした思い付きかも分かりませんが、総務省として、これに対して更に積極的に私は対応すべきだと思うんですね、特にその広報関係。NHKが映像でもってやりゃいいじゃないかという問題ではないと思うんです。その点の大臣の決意はいかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 言われましたように、これからデジタル化の勝負は国民の理解ですね、理解と協力で。その意味で関係者に全部集まってもらいまして、協議会を作って、そこでいろんな広報を打ち出していく、アクションプランも作ると。だから、放送事業者だけじゃありません。放送事業者だけじゃなくて、例えばメーカーですね、受信機を造るメーカー、それから卸、小売、それから地方自治体、国はもちろん入りますけれども、あるいはいろんな関係、それ以外のメディアの関係者、全部入ってもらいまして、そういう意味での思い切った広報徹底のアクションプランを作ってもらいたいと、こういうふうに思っております。BSデジタルが千日一千万世帯というのが、まあちょっと、もうしばらくしたら一千日になりますけれども、今四百万弱ぐらいですから。しかし、こういうものは伸びていくときはだっと伸びていくと私は思っておりましてね。
  今後とも委員の言われたようなことを念頭に置いて、我が方、頑張ってまいります。
○渡辺秀央君 伸びていくときはだっと伸びていっちゃうんだけれども、そうすると安くなると。それは両方の、ウサギとカメみたいな話だ。だけれども、そこは、やっぱり政府の意気込みが大事だということだと思うんですよ。
  私、ちょっと、せっかくNHK会長、大変御苦労で、非常に、先ほど申し上げたように、私は相対的に昨今のNHKの報道を見ておっても、非常によくいっていると思いますよ。しかもまた、この不況の中でよく受信料を集めるというのは、これなかなか容易な話じゃないですよ、私も実際に話聞いてみたけれども、一軒ずつの話だから。だけれども、その程度のところでこの予算を組まれたということは、努力目標としながらも、大変皆さんの協力し合う、社内のあるいは局内の一致協力の形だろう、あるいはまた国民の理解、信頼だろうと思うんですね。
  もうちょっと時間があればと思ったんですが、もう時間がなくなってしまいましたので、ちょっと最後にお聞きしたいんですが、よく海外に行きますと、その国に余りその方針と入れない、日本では平気だという放送がカットされますわな、外国で。国際放送でですよ。
  このイラク戦争で、特に日本のテレビが外国に映像されるのはNHKだろうと私は思う。例えばどこかの国でこのイラク戦争のNHKの映像を途中でシャットアウトする、そういう国はありましたか、今までに。まあ参考までなんです。これはちょっと事前通告していないけれども、もしだれか分かる人がいたら、ちょっと教えてもらいたい。
○参考人(海老沢勝二君) 私、今のところ、NHKの電波が妨害されたとかカットされたとかは聞いておりません。
  よく、海外放送をしますと、著作権の問題で、我々ふたを閉めると言うんですけれども、これは主にスポーツ番組が多いんです。スポーツの放送権の。それと、また特約したところと同じところで。
  今度、湾岸戦、今のイラク戦争の場合は余りその点はありません。
○渡辺秀央君 いや、それなら結構ですが。非常に国際的にも我が国NHKは公共性高く、中立公正、厳正に報道しておられる。それが世界の、あるいはまた各国の人たちに見てもらうということは、これは普遍性を持ったものとして非常に価値あるもので、私は大事に考えているがために、もしそういう国があったらという危惧でありました。なければなお結構でありました。
  どうぞこういう映像を、私は、NHKの宝でもありましょう、あるいはまた歴史の資料でもありましょう。しかし、こういうものを是非、このイラク戦争が及ぼすいろんな影響、あるいは今の今日的な問題点というものを、ニュース解説などでも非常によくやっておられますが、是非これからも冷静沈着に、面白おかしくは民放に任せても、しかしNHKらしく今までどおりの報道をやっていただくことを期待を申し上げたい。
  また、今までのことは大変よくやっておられるということを評価をしながら、この予算書に対して賛成の意を表しながら、私の質問を終わります。
○松岡滿壽男君 御苦労さまでございます。
  私で十五番目の質問者でありまして、十六人の質問があるという委員会は恐らく国会ではほかにないだろうと思うんですが、それだけやはりNHKに対する期待、それで、せっかくの機会だから意見交流をしたいということだろうというように思うわけであります。
  前に渡辺さんも言われましたが、今年がテレビ放送が始まって五十周年という大きな節目でありまして、五十周年にちなんだ特別番組いろいろありまして、私も懐かしいなという映画を見たりさせていただいておるわけでありますけれども、この五十年間の技術の進歩と、それからテレビに対する国民の意識の変化、非常にテレビの影響というのは強いものがありますね。
  テレビが始まったときに、大宅壮一が一億総白痴化するんじゃないかという危惧を持ちました。それに対するNHKの回答は私は「シルクロード」だったと思うんですね。確かにそういう面では、この五十年間を振り返ってみてテレビの持つ功、罪といいましょうか、功の部分と罪の部分、確かに物を考えなくなってきている。反射的に行動しちゃうという部分があるんですね。深く物を考えない。
  そういうことについて海老沢会長、この五十周年を振り返って、テレビの持つ功、罪についてお考えがございましたらひとつ総括をしていただきたいというふうにお願いいたします。
○参考人(海老沢勝二君) 私は、放送は技術を活用した文化でありますということを常日ごろ言っております。それは、放送というのはそのときの最先端の技術をどう我々が取り入れて、それをどのように利用、活用していくか、それによってまた我々が創意工夫をしながら創造性豊かな番組を作っていくという、そういうものが我々の放送の使命だろうと思っています。
  そういう中でこの五十年間を見ますと、いろんな技術が、白黒からカラーになり、そしてカラーから衛星、ハイビジョン、そしてこれからは四千本級の走査線の更に進んだ映像時代になるだろうと思っております。そういう中で、VTRができたり、またフィルムからテープになったり、いろんな技術革新によってここまで発展してきたわけであります。
  ただ、問題は、いつの時代もそうでありますけれども、国民の生活に役立ち、心を豊かにするような質の高い番組をどう作っていくかという、それはやはり作る人たちの志、見識がもたらすものだろうと思っております。そういう面で、我々はこの五十年間振り返ってみますと、やはりいい人材をどう育てることができたかどうかということに掛かってくると思います。そういう面で、今でもやはりいい人材を育成する、そしてそういう人たちがバランスの取れた質の高い番組を作っていくということが基本だろうと思っています。
  そういう面で、それと同時に、また、国境を越えるテレビとか、テレビがその国だけでなくて、世界にいろんな、メガで政治的、経済的、社会的、いろんな影響を及ぼす時代になったと。そういう面でテレビの影響力が非常に大きくなって、すべてがテレビを通じて情報が交換される時代、それによってまた世の中が動く時代という、そういう面では非常に、何といいますか、空恐ろしいといいますか、我々は放送事業者としてやはり放送というものに対してもっと責任と使命感というものを持たなければならない時代だろうと、そういうふうに今、私、厳しく受け止めています。
  もう一つ、罪の方でありますけれども、私どもはできるだけ、そういう未来を、将来を担う青少年たちの健全育成といいますか、青少年たちにテレビが悪い影響を及ぼす、あるいは低俗番組を作って一億総白痴化になるようなものでは困るんだということで、とにかくそういう悪い影響を与えないような質の高い番組を作るんだというのを我々は基本方針にしておりますので、できるだけそういう低俗的な、あるいは大衆に迎合するという言葉は過ぎると思いますが、いずれにしても、もっと節度を持って、良識ある、そして見識持った立場からいい番組を作るという、そういうことを心掛けてきておりますし、今後これは、この方針は変えないでいくべきだろうと。今、五十年に当たってそういうふうに今決意を新たにしているところでございます。
○松岡滿壽男君 是非、会長のそういうお考えを貫いていただきたいというふうに思うんですが、さっき触れました「シルクロード」、それから先日亡くなられた天本英世さんの「世界わが心の旅」、副題が「グアダルキビール河に私の灰を」という副題でありまして、事実、天本さん亡くなってみると、私もスペイン好きなものだから、あれを見ておったんですよ。ああいうものとか、それから現在の「プロジェクトX」ですね、これなんかやっぱりNHKらしいすばらしい番組だというふうに私は評価、実はしているんです。
  その上で、二、三、ちょっと私の考え方を述べてみたいと思うんですが、マンネリ化が目立つ番組があるんですよね。先ほどから朝番とかあるいは「紅白」、年末の、それから「のど自慢」とか、お好きな方もたくさんおられるわけですけれども、視聴率が大分下がってきている。視聴率の推移は把握しておられると思うんですけれども、さっき教育テレビの話も出ました。時代に合わせてある程度、確かに「紅白」なんというのは家族が団らんして全員で見た時代がありました。しかし、それからまたちょっと変わってきて、一人一人がばらばらで見るという時代に実は残念ながらなっていますね。これまた家族で見るということへ戻すということも必要だろうと思うんだけれども、こういう時代が変わってくるにつれて、やはり積極果敢に新しい番組というものに挑戦する姿勢も、私は、時代を切り開いていくためにも大切だと私は思うんですけれども、NHKとしてどういうふうにそれを考えておられるのか、お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○参考人(海老沢勝二君) 「紅白歌合戦」、「のど自慢」等はもう五十数年やっております。長く続きますとどうしてもこれはマンネリ化していきます。ですから、マンネリ化をしないように、やはり担当者を変えるとか、あるいは世論の動向をきちっと見極めながら、今何が視聴者国民が要望しているのか、もうその辺を我々も的確に把握しながら、マンネリ化しないように、また別の人たちの意見も聞きながら、今やっているところであります。
  特に、去年の「紅白歌合戦」につきましては、民謡とかあるいは歌曲とか童謡とか、いろいろまた復活させるといいますか少し取り入れるとか、やはり歌は世につれ世は歌につれということがありますけれども、その時代によってかなり変わってきております。ですから、戦後しばらくの間は流行歌、歌謡曲といいますか、演歌とか注意を引きましたけれども、最近はポップス系とかいろんなジャンルの歌がはやってきております。その辺のバランスをどう取るかというのが非常に難しくて、私どもも、今、歌謡曲・演歌グループとポップス系が二つに分かれてしまうというような状態であります。その辺のバランスをどう取るか。
  いわゆる価値観が多様化する、それからこういうテレビ時代になり、そしてまたインターネットが出てくる。いわゆる多メディア多チャンネルの時代になりますと、それぞれの人たちが自分の好みのものしか見なくなってしまう。そういう時代で、できるだけ一家そろって会話をしながら見られるような番組を更に強化充実していきたいというのが私たちの希望でありますけれども、そういう努力をしておりますけれども、なかなかそういう時代の価値観の多様化といいますか、そういう背景もありますし、そういう中でいろいろ今工夫をしているわけであります。
  そしてまた、それと同時にまた、そういう日本の伝統、芸能、文化といいますか、これをやはり保存し、継承していかなければなりません。その上にまた新しい文化を創造するということでいろいろトライをしております。今、特に、先ほど出ましたように、邦楽とかやはり歌舞伎なり、あるいは文楽とか能楽とかいろんなもの、私どもそういう古典的なものはほとんど減らさないで継承しておりますし、そういうこともバランスを取りながらできるだけマンネリ化しないような努力は今後とも続けていきたいと思っております。
○松岡滿壽男君 もう一つ、ちょっと気になることなんですけれども、NHKの番組を見ていて、アナウンサーの服装とか態度ですね。確かに価値観も多様化しているし、国民もそういうところを求めている部分もあるんだけれども、砕け過ぎちゃって、はしゃぎ過ぎているという部分が私はあるんじゃないかと思うんですね。
  それで、アナウンサーという役回りはやっぱり主役じゃないはずなんですね。やはり脇役で、相手を引き立てる、主役は国民だと。そういう面から見ると、どうも何かすっきりしないなという部分がありますし、それからまた、民放と同じようにやたら食べ物、ポップスはいいんですよ、だけれども、食べ物とかやたらそういう番組でしょう。アナウンサーがむしゃくしゃ食ったり、それはそれでいいんだろうけれども、この辺はNHKとしてはもうちょっときっちりした態度でやっていただきたいと思うんですが、その辺はどうですかね。
○参考人(板谷駿一君) 確かに、アナウンサーの役割というのは、視聴者に情報を的確に分かりやすく伝えるとか、それからスタジオ番組の中では出演された方のお話をうまく引き出すとか、そういうことが基本なんですね。それで、やはり座をにぎやかにしようと思ってはしゃぎ過ぎだと。はしゃぎ過ぎるんだけれども、本人だけがはしゃいでいて余り説得力がないというふうなケースが結構ありますね。ですから、そういうものについては、これはまだある意味で芸を鍛えて、静かに話すんだけれども説得力があるとかいい表現ができるとか、そういうやっぱりアナウンサーも芸を磨いていくということが必要だなというふうに思っていますし、はしゃぎ過ぎなどについては、民放と違う個性を持つアナウンサーを育てていくんだという考え方でそういうものに対処していきたいなと思っております。
  それから、食べ物も、確かにおっしゃるように、何かみんないろんなものを食べて、まずまずいと言わないですよね。みんなおいしいと言うような、そういうような番組が非常に多いんですけれども、やはり食べ物の問題というのは、食べ物の問題自身は大事な話で、やはり食文化とか環境とか、それから地域の地域性とか、いろんな問題が絡んでいて奥行きのあるテーマでもあると思うんですね。ですから、そういう形で、ただうまいとかまずいとかいうんじゃなくて、私どもの食べ物の番組はいろいろ、何というんですか、そういう生産地での新しい試みを紹介するとか、流通がどうなっているとか、あるいは文化がどうだとか、そういう奥行きとともに伝えるような形をやっていけばいいのかなと。御指摘のような、ただうまい、ちょっと行ってうまい、まずいみたいな番組は避けて、そういうものを作る努力をしていきたいというふうに思っております。
○松岡滿壽男君 今年四月に地元の山口放送局の建て替えが着手されることになったわけですけれども、非常に喜ばしいことだというふうに思っておりますが、放送局は、単にNHKの職員の職場というだけではなくて、地域住民の文化拠点の一つという役割も担っておると思いますし、地元の山口市もその隣接するところに山口情報芸術センターの建設を予定しておるようであります。
  こういう隣接施設とのかかわりを含めて、どのような視点を取り入れて建設、運営されるのか、最後にお伺いをいたしたいというふうに思います。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、地方の放送会館の建設、非常に老朽化が進んでおりますので、段階的に今新しい放送会館の建設をしているところであります。
  山口放送局も、今までの放送会館じゃなくて、もっと県民、市民に開かれたオープンな形の放送会館にしようと、みんながげた履きでも何でも気楽に入ってきて番組にも出演していただく、そして自分たちの放送局、県民の放送局として一緒に番組を作っていくという、そういう姿勢で今設計もいたしましたし、そういう意味合いでこれから運営していきたいと思っています。
  私も四月十六日の起工式には出席して、皆さんといろいろの面でお話ししていきたいと思っております。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
  終わります。
○又市征治君 社民党の又市です。
  トリでございますので、一番最後、お疲れだろうと思いますが、明快でかつ簡潔な御答弁をお願いしたいと、こう思います。
  初めに、NHK予算については、電波使用料の値上げで十億五千万円の支出増になっているわけですが、これは八年続くわけですね。これは、政府のアナログ周波数の変更対策の見込み違いによるものですから、NHKとしてはやむを得ないんだろうと、こう思います。そんなことを含めて、今度提案されている予算案、事業計画等については承認することが適当なんだろうと、こういうふうに判断をしているところであります。
  そこで、会長にお伺いいたしますが、先般来出ておりますように、アメリカによるイラク攻撃が始まって一週間、非常に悲惨で壮絶な生々しい状況が次々と報道されております。NHKにおかれても、多数の特派員等、派遣をされているんだろうと思いますけれども、イラク側、そして米軍側、まあ米英軍側というふうに言った方がいいんでしょう、それぞれ何人ぐらいずつ派遣をされているのか。そして、派遣されているこの人々の安全対策、ここらがどうなっているのか。
  特に、よく言われることですけれども、正規社員はしっかり安全対策をやられているけれども、どうも契約による記者とかカメラマンについては、けがと弁当は自分持ちなんという、こういう言葉があるわけですけれども、そういう無権利状態などというのはないのかどうかを含めて、是非ここらのところをまず第一番目にお伺いしたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 私ども、今、イラク周辺に三十二名の職員を配置して、二十四時間体制で取材、報道に当たっております。そのほか、バグダッドの市内に、いわゆる私どもが日ごろから委託しておりますストリンガーといいますか、情報提供者が三人、カメラマンを含めております。この人たちの負担については、何か事故があった場合は補償するという一札が入っております。もう一人の方は、これはそういう地元で前からのストリンガーでありますからしておりませんが、この人たちがニュースでごらんのように町の状況なり、あるいはそういう市街の状況とか、あるいはバグダッド市民の今の生活ぶりとか、そういうものを今送ってきて我々はそれを使っているわけであります。
  そのほか、いろんな放送、先ほど言いましたように放送会社の映像なり取材原稿を使って多角的に報道しているというところであります。
  いずれにしても、職員の安全が大事でありますから、そういう面で、バグダッドにいました三人の職員も三月十五日にはアンマンに引き揚げさせて、そしてアンマンにはいろんな情報が入ってきますので、そこを中心に今報道しているというところであります。
  それから、アメリカ軍にクウェートからいわゆる補給部隊に記者一人と、それから女性のベトナム系のアメリカ人、女性のカメラマンがそれと同行しております。これについては、契約で何かあった場合の補償は一札、我々は入れてあります。
  それから、キティーホーク、航空母艦でありますが、これに記者、カメラマンはNHKの職員が当たっております。
○又市征治君 戦争への同行取材というのは大変だろうと思います。取材相手の協力が欲しいんでしょうけれども、しかし同時に、報道の自主性、公正性を守るためには、軍の言いなりにならない、そうした毅然とした取材方針あるいは現場記者の態度というのが必要なんだろうと思います。
  特に、現代の戦争というのは半ば宣伝戦でもある、こう言われるわけで、現に今回、米軍は戦況を積極的に広報して戦争を有利に進める目的で従軍記者を募集をされて、今、会長からお話があったように、キティーホークだとかどこかに、NHKとしても従軍記者を派遣をされているという、こういう状況だと思うんですね。一方では、爆撃の被害など、都合の悪い場面は見せないといった報道管制もひくという、こういう状況もあるわけです。
  こうした中で、NHKとしてどういう取材方針で軍の現場とかかわっているのか、この点、まず第一点。
  また、日本では、イラク戦争を報道する際、国内政治や、国内政治の報道や論評を含めて、全体としてどういう方針でやるのか。戦争報道の自主性、中立公正性ということと、なおかつ、基本において言えば、国際紛争における武力の行使その他を否定をする平和憲法下の公共メディアとしての姿勢というのが問われるんだろうと思うんですね。
  会長のこの点についての御見解を承りたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 今、アメリカ軍に、外部の職員を含めて四人が同行しておりますけれども、聞くところによりますとアメリカの戦争の従軍記者といいますか、は五百名と聞いております。四百名がアメリカの方々、百名が日本、スペイン、イギリス等々の国から参加しているというふうに聞いております。
  私どもは、やはり戦争でありますから、非常に身の危険が伴うことは当然であります。そういう中で、やはり戦争の実態なり、またアメリカ軍がどういう体制で戦争をやっているのか、あるいは兵士たちの動向なり、いろいろそういうものを、やはり現実に目を背けないできちっとした視点でこれを伝えていこうと。それだけでは不十分でありますので、イラク側の状態も、イラクの国営放送の映像なりあるいはカタールの衛星放送の映像なり、そういうものを今四十数のそういう放送局なり通信会社から情報を得て、それを総合的に判断して多角的に報道しておるということであります。
  当然、我々は平和を望んでいるわけでありますし、一日も早くこの戦争が終わることを期待しておるわけであります。そういう中で、この戦争のこれからの世界的な影響は非常に大きいわけでありますし、そういうものをやはり我々はきちっと取材をし国民に知らせる責務があるだろうと思っております。そして、やはりこの問題はこれからますます世界全体にわたっていろんな面での影響といいますかがあるわけでありますから、今後とも引き続ききちっとした姿勢でやっていきたいと思っております。
○又市征治君 おっしゃるとおり、国内外の事実とか戦争への国民の生の声、意見を詳しく紹介することは、もちろん報道の第一の使命だろうと思います。
  そこで、ここに二通の文章があります。どちらもイラク攻撃の開始の翌日総務省から出された、一通は放送事業者全体に対して、もう一通はNHKに対して出されたものですけれども、中身は、中東地域の情報をもっと伝えてくれとか現地の日本人に届くようにとか、国民のための要請も含まれております。しかし他方では、テロ・ゲリラ対策をしろとか妨害電波に対処しろとかといった、いわゆる有事体制を思わせるような項目も並んでないわけじゃない。一見、放送事業者への親切な助言のようでもありますけれども、うがった見方をしますと、次の段階は、段階では有事を理由にした報道管制につながりかねない、こういう懸念もないとは言えない。
  そこで、総務省にお伺いするんですが、この文章は閣議あるいは安全保障会議にかけられた結果出されたのかどうか、これが一つ。二つ目に、総務省として、開戦と同時にこういう文章を出すというのは、今も申し上げましたけれども、有事法制の先取りではないかという疑念が一方で言われていることなどについても検討されておるかどうか、この二点、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) これは今までも、例えば同時多発テロですね、一昨年の、あるいは去年のワールドカップなんかのときに、やっぱり通信というのは主要なインフラですから、国民にとって、その安全性、信頼性を確保するためには十分な対応を取ってくれというのは出しているんです。今回は、だから安全保障会議を受けて、受けてという面もありますし、受ける前から実は考えておったので、実はこういうことは当然の我々の役割だと、こう思っておるんですよ。
  それで、邦人保護のためにできるだけNHKに国際放送で情報を出してくれというのは、これは閣僚懇で要請が出たんです、閣僚懇で。そこでなるほどそうだと。例えば、なかなか帰りの飛行機が取れない、チャーター便、チャーター機を飛ばすと。そうしたら、どこにいつまでに行けば乗れるかということを知らないというんですね、中近東の。だから、それはNHKの国際放送が一番有効ですから、これは何人かからそういう要請がありましたから、それは至急NHKにお願いしますと、こういうことでございまして、有事法制なんかとの関連は全く考えておりませんが、いい有事法制ができたらその中の一部になるような話です。一つもおかしくない。
○又市征治君 何か悪い有事法制もあるようでありますから、あの日、今、大臣から言われたように、海上保安庁は全国に警備の指令を、また経済産業省は全国の原発の警戒の指示を出された。警察や防衛庁はもちろんやってあったと思うんですね。総務省の電波に関するこの二つの文章も、そういう意味ではそういう一環として出されている、そういう御答弁でした。
  イラク攻撃を口実に、ただ日本国内的に非常時、非常時といったムードが作り出されるというのは、これはいかがかというこういう思い、やっぱりこういう懸念も国民の中にやっぱりあるわけです。そういう意味で、そんなことは総務大臣は、そういうことに悪乗りしたことは全くないんだと、こういうお話でありますけれども。
  そこで、先ほどは戦争報道の中立公正性の問題をお伺いしましたけれども、こうした政府の方針とのかかわりで、自主報道についても、NHKの言ってみれば公正中立性を守って真実の報道に努めていくというこういう立場で、NHKの姿勢というものについて海老沢会長に改めて決意を含めてお伺いしたいと思うんです。
○参考人(海老沢勝二君) 御案内のように、我々、電波を間断なく、一秒たりとも中断しないで国民に向かって報道するのが我々の使命でありますから、そういう面で当然、テロ対策といいますか、妨害電波が、を出た場合はそれを排除するとか、あるいはいわゆる送信設備の中に侵入を防ぐとか、そういうのはもう当然であります。それは、我々は常日ごろからそれはきちっとやっておるわけでありますし、今後、今度も改めてこういう戦争が始まったわけでありますから一層気を付けるのは当然であるわけであります。
  それと同時に、国際放送、短波あるいは映像による国際放送をやっておりますので、当然邦人の保護というのは我々の使命でありますから、当然今のその安全情報といいますか、をいろんな形で発信し、できるだけ無事に脱出できるように、また無事に旅行ができるような情報を日夜努めるのが我々の使命だと思っております。
  いずれにしても、こういう緊迫した情勢の中で我々は手を抜くことなく、二十四時間体制で的確な、そして正確な、そして早い情報を出し続けていきたいと、今後ともその方針でやっていきたいと思っております。
○又市征治君 関連しまして、会長には前回もお尋ねをしたんですが、個人情報保護について改めてお伺いしたいと思うんです。
  政府が提出をされた関連五法案は、大変さきの国会で国民の強い批判を浴びまして、与党の一部も含めて出し直しを要求されていたところ、今回修正を加えて再提出をされています。確かに、行政の保有する個人情報に関しての公務員そのものへの罰則規定の新設であるとか、あるいは報道に関する除外だとか、幾つかの改善点は見られます。
  会長は前回、前の法案についてですけれども、報道の自由の点から取材規制を法律で定めることについては反対だという趣旨のことを述べられました。現時点で新たな法案が出されているわけですが、どのようにお考えなのか、国民の知る権利の実現と公共放送の役割という点から、改めてお伺いしておきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 今お話しありましたように、旧、古い法案では我々は取材活動が制限されかねないということで、これの削除というものを求めてきたわけでありますけれども、新しい法案ではこの基本原則の部分が削除されたということで、前進したというふうに受け止めております。
  ただ、私ども、この個人情報保護法案につきましては新聞協会等とも一緒になって行動をともにしておりますので、新聞協会等と更に意見のすり合わせをしながら、また国会の審議の状況を見ながら慎重に対応していきたいと思っております。
○又市征治君 時間がなくなってしまったんですが、最後に海外放送について、これは御注文だけ申し上げておきたいと思います。
  昨年の十二月にオーストラリアでのNHKの放送が現地のケーブル会社の都合で契約打切りになって、現地の日本人等が突然見られなくなったということについて私取り上げました。その後このことについては、日本語放送のニーズの順位が現地では低いんで商業的になかなか難しいということで、この後、しかし現地で詰めていくというお話であったんですが、この点について、単にオーストラリアのみにとどまらず、やはりあった放送が打ち切られるということについては大変問題があるということで強く申し上げて、年末には何かひとつ御努力いただいたようで現地からもお礼のメールが入っておりましたけれども、是非この点については引き続き御努力いただくようにお願いを申し上げて、今日の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(山崎力君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。
  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。

    〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
  この際、岩本君から発言を求められておりますので、これを許します。岩本司君。

○岩本司君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
  案文を朗読いたします。
     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
   政府並びに日本放送協会は、次の事項の実現を図るべきである。
  一、放送の社会的影響の重大性を強く自覚し、放送の不偏不党、真実及び自律を一層確保するとともに、放送倫理の確立と徹底を図り、人権に配慮した、正確かつ公正な報道と青少年の健全育成に資する豊かな情操を養う放送番組の提供に努めること。
  二、協会は、その主たる経営財源が受信料であることにかんがみ、受信料制度への国民の一層の理解促進を図り、負担の公平を期するため、契約の確実な締結と収納の確保を図ること。
  三、協会は、視聴者の十分な理解と協力が得られるよう、経営全般にわたる抜本的な見直しに取り組み、業務運営の効率化によって経費の節減にさらに努めるとともに、子会社等の業務範囲等について、適正性、透明性を確保すること。また、視聴者に対する説明責任を果たし、事業運営の透明性を確保するため、情報公開を一層積極的に行うこと。
  四、協会は、インターネットによる情報提供については、放送の補完利用として適正な運営を図ること。
  五、地上デジタル放送の円滑な実施に向け、視聴者への周知を一層強化するとともに、デジタル化のメリットを視聴者が十分に享受できるよう努めること。特にアナログ周波数の変更対策については、対策方法を関係者と十分協議した上で、視聴者の理解と協力の下に実施すること。
  六、障害者や高齢者向けの字幕・解説放送等情報バリアフリー化に資する放送番組を一層拡充すること。
  七、我が国に対する理解と国際間の交流を促進するとともに、流動化する国際情勢にかんがみ、海外在留日本人への情報提供を充実させるため、映像を含む国際放送をさらに拡充すること。
  八、協会は、非常災害時等の緊急報道体制の強化を図り、国民の安全に資する情報の的確で迅速な提供に努めること。また、地域に密着した放送番組の充実・強化を図るとともに、地域から全国への情報発信を一層推進するよう努めること。
  九、情報通信技術の急速な進歩に伴う通信と放送の融合の進展等、放送を取り巻く環境の変化に対応し、放送の公共性の確保、公共放送の使命・役割等、今後の放送制度の在り方について検討すること。
    右決議する。
  以上でございます。
  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(山崎力君) ただいま岩本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

    〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君) 全会一致と認めます。よって、岩本君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
  ただいまの決議に対し、片山総務大臣及び海老沢日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。片山総務大臣。

○国務大臣(片山虎之助君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(山崎力君) 海老沢日本放送協会会長。
○参考人(海老沢勝二君) 日本放送協会平成十五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚くお礼を申し上げます。
  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいろいろいただきました御意見並びに総務大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会運営の根幹を成すものでございますので、これを踏まえて執行に万全を期したいと考えている次第でございます。
  誠にありがとうございました。
○委員長(山崎力君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
     ─────────────
○委員長(山崎力君) 次に、消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  政府から趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣。

○国務大臣(片山虎之助君) 消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
  この法律案は、大規模又は特殊な災害に対処するため、緊急消防援助隊について、消防庁長官による出動の指示、国の財政措置等に係る規定を整備するとともに、都道府県の航空消防隊による市町村の消防の支援、国による主体的な火災原因調査の実施その他の消防に関する体制を整備し、あわせて、消防用設備等に係る技術基準に性能規定を導入するための所要の規定を整備する等の改正を行うものであります。
  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
  第一に、大規模又は特殊な災害時における全国的観点からの緊急対応体制の充実強化として、緊急消防援助隊について法定し、その編成及び施設の整備等の基本的な事項に係る計画の策定、登録及び地方公共団体に対する協力要請の手続等を定めるとともに、消防庁長官による出動の指示を創設するほか、国の財政措置等を規定することとしております。
  第二に、都道府県による航空機を使用した市町村の消防の支援のための消火・救急・救助業務の導入、消防庁長官が特に必要と認める場合の主体的な火災原因調査の実施その他の消防に関する体制の整備を図ることとしております。
  第三に、消防用設備等の技術基準について性能規定の導入のための規定整備を図るとともに、一定の性能を有する特殊消防用設備等の認定制度を設け、あわせて指定検定機関制度に代えて登録検定機関制度を導入することとしております。
  第四に、地方分権推進の趣旨等にかんがみ、常備消防の設置及び救急業務の実施に係る政令指定制度の廃止の措置を講ずることとしております。
  以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(山崎力君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。

    午後五時八分散会