質問「三位一体改革と市町村合併について

(平成16年3月24日参議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 今、又市先生の方からも質問ありましたが、私の方からも三位一体の改革と市町村合併について幾つか、何点か質問させていただきたいと思います。
  三位一体、いろいろニケアの宗教会議で云々という、キリスト教の神と子と聖霊とという話ございますけれども、今の我々の中での話は、いわゆる地方分権推進の中の、特に財源といいますか、基盤的なところでの話として、地方への税源移譲と、そしてもう一つは国庫補助金、国庫補助負担金の削減ですね、それから地方交付税の改革と、これを切り離せない、この三つを切り離せない一体のものとして改革を進めていくんだと、バランスを取っていくんだというふうに理解しているわけですが、そこからいろいろな、今、又市先生も出てきたような問題が出て、なるべく重ならないような形で質問したいと思いますけれども。
  今度の予算において、税源移譲ということで、所得譲与税という名目で、国税である所得税の一部を人口基準、人口配分といいますか、人口を基準として地方へ分配するという形を取ったということなんですが、これは、見方を変えれば、国税の一部を一定の基準で地方公共団体に配分するということですから、それじゃ事実上地方交付税と似たようなものじゃないかと、同じようなものじゃないかという考え方もできようかと思うんですが、どうこの今までの地方交付税と今度の所得譲与税が違うのか、御説明願いたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) お答え申し上げます。
  地方譲与税というのは、基本的に今までの国税だった部分で来ていた部分とこれは全然違って、地方税ということになりますんで、その地方税を割り振るときにはそこの人口比、人口で均等に配分をいたします。したがいまして、東京にも来ます。
  傍ら、地方交付税の場合は、そこの財政水準に基づいて配分をいたしますので、いわゆる東京のようなところには地方交付税は来ません。
  そういった意味では、基本的に基の割り方のあれが違うと思いますんで、根本的に違うと思っております。
○山崎力君 そこから発展してといいますか、進んでいきますと、こういうふうにも言えるわけです。新しい形の地方交付税を作ったんじゃないかと、今までの交付税でない人口割の地方交付税作ったんじゃないかと、それがしかも一番財政力の豊かな東京にも行くんだと、取り分が地方には少なくなると、こうも見られるわけでございまして、その話から、要するに受取方が、立場立場もあるんでしょうけれども、大分この三位一体の受取方が違ってきていると、言葉といいますか仕組みに対する受け止め方なんですが、理解が不十分じゃないのかなというままこの議論というのが進められてきているんじゃないかなという私、危惧を持っております。
  例えば、今回、いろいろ言われておりますが、地方公共団体を中心とした公共事業、ここのところが、国ももちろんそうなんですが、カットされたと。これは別次元で、別の政策でカットされたということは分かるんですけれども、地方からとってみれば、これも国庫補助負担金という形のものが付いてくるものが切られると。要するに、公共事業に来る、それに補助金が来ると。これが基がなくなったから補助金も来なくなったと。
  そうすると、さっきの、それを三位一体に頭に入っていますと、国庫補助負担金が下がるんだから、その分税源移譲かに何かにで地方にお金くれるはずだったんじゃないのと、それが来ないよと、これはちょっと何かおかしいんじゃないのという気持ち、これは端的に言って本来の三位一体を誤解しているというふうに言えるとは思うんですが、お金を当てにしている地方自治体から見ますと、何か裏切られたような、だまされたような気がしないでもないだろうと、非常に同情するところもあるんです。
  ですから、その辺、税源移譲の対象にすべきだとまではとても言えないわけですけれども、そういうことを見る見解について大臣等のお考えを、この辺は違うからこれはやってくれというところをお聞かせ願えればと思いますが。

○国務大臣(麻生太郎君) 山崎先生、基本的には三位一体の話というのは、これは極めて今まで例がなかったような質的なかなりな変換、国税を取り上げて地方税に回しちゃうという話は今までの財務省では考えられなかった話ができ上がっておりますんで、その間、その間、御存じのように、今退職金のあれで一部やっておりますが、あれが何で譲与税という名前になったかというと、今定年退職がずらっと出てくるところが多いのは今から出てきますので、そこの分が決まる前に今年で額を決められますと、地方にとりましては、後、退職者が増えてきた分は今度は自分でやらないかぬということになりますので、ある程度人数が確定するまでの間は譲与税という名前でしておるだけのことであって、最終的には、これは一応数字が分かった段階では地方税になります。移すまでの便法上そういう名前が付いていると御理解いただければよろしいんで、新たな交付税とは全然違う種類で、これは基本的には地方税に将来組み込まれる予備の譲与金という名前、譲与税という名前になっていると御理解いただければと存じます。
  それからもう一点の件につきましては、基本的には広義の三位一体と狭義の三位一体と多分二つ一緒になっていますもんですから話が、どうも役人がやると頭がいいもんですからどんどんどんどん話が難しくなり過ぎていて、私の頭でもなかなか付いていかぬということになっておるんで甚だ迷惑しておるんですが、基本的には、質的大転換の話と量の話とを一緒にしたんだと思うんです。
  この質の話は大体片山先生の話だったんで、この量の話は、いわゆる地財をずっと積み上げていった結果、これもいいあれもやらなくていいでしょうということで、ずっと地財計画に基づいていろいろな公共工事等々、不要不急のものをちょっと減らしてもらった。そこの分が非常に大きなものになりましたし、前年、前と比べますと、あのときは地方税の収入が約二兆円ぐらい景気が悪かったんで減っておりますが、今年は逆に去年に比べたら微増いたしておりますので、その微増した分だけは交付税が出ないということになる。しかし、地方の中小零細のところを見たら、どのみち地方税が入ってきていなかったところは同じことですから、非常にきついことになったというのが一緒になっておりますので、私どもとしては、その量的な部分につきましてはいろんな意味できめ細かな対応を迫られておると私どもも理解をしておりますので、先生のところやら私のところやら、かなり過疎地の多いところは結構しんどいことになっておることはよく理解をしておるつもりでございますので、きめ細かな対応をしていかねばならぬと思っております。
○山崎力君 今大臣からいろいろお話しになって、やっぱりよく分からぬのが、大臣も全部分かったっていう感じでのお答えでなかったんで安心したところもあるんですけれども。
  それではもう一点。広義と狭義、広い意味での三位一体、狭い意味での三位一体、これもあるのかなと思っていたら、やっぱり大臣御自身から、考え方としてあるんだと、質と量の問題でということで非常に、私なりにはある程度アウトラインといいますか、今度の改革が見えてきたと、今の御答弁で見えてきたとは思うんですが、問題は、この現場の県や市町村がそこのところをはっきり理解して、議会の、地方議会の議員さんたちも含めて、その辺のところを踏まえた上で、これからの三位一体の改革をどう取り組むかというふうになるかならないかということの方が一番肝要だと思います。
  先ほどの地財計画の問題ありました。この削減というものがどういう根拠で行われたのか、合理性がどこにあったのかという疑問も当然、一緒にやる必要があったのかという疑問も出てこようかと思います。
  いずれにしろ、これからどうやってこれをやっていくのかということは、なお一層、特に地方の関係者に理解してもらう努力が必要だというのは私の率直な感想でございますので、その辺を含めて御回答願えればと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘だと思っておりますので、私どもとしては、これは、こっちに座っていて聞きに来いと言うだけでは駄目と思います、思っておりますので、総務省といたしましては、今回、幾つか地方で会議を開催をいたします。総務省主催で四月から五月にかけまして、今、八ブロックに分けて実施をいたします。それから、全国市長会主催で同じようなことを全国の九支部で実施をしていただきますので、総務省といたしましては、職員を派遣して、その市長会等々で。また、各ブロック会長会、これは全国町村会長会の方ですが、こちらも同じように四月から七月にかけていろいろ会議をされる予定で、要請をいただいておりますので、私どもとしては、可能な限り総務省の職員を送りまして、具体的な例を説明していきたいと思っております。
  また、こういう本ができておりますので、これ、御自分のところでいろいろ内容が、青森県弘前市ではこういうことやっておるとか、例えば青森県の脇野沢村ではこれとか、種類がこう書いたのがありますので、こういうの、立派なの作ってさっさと売って金もうけようと思わないところがこの赤字になる理由だと思っておるんですけれども、こんなものは、これだけ立派な資料集めたら売りゃいいのにと思うんですけれども、これ全部ただだそうですから、これはお持ち帰りいただいて、これ参考にされたら、これはすごく私どもとしても参考になりました、これは。なるほど、こういうことやれるのかと思って、正直参考にもなりましたので、是非、そういった意味でごもっともな御指摘だと思いますので、対応させていただきたいと存じます。
○山崎力君 よろしくお願いしたいといいますか、しないと大変なことになると思いますので、お願いいたします。
  まあそこのところでもう一つ、それに輪掛けて地方を混乱、同時進行なものですから、混乱させているのが市町村合併でございまして、いろいろ問題点もあるし指摘もあるわけですけれども、結局、地方財政が悪化する中で、地方自治体として、これからの地方分権、言葉を換えれば競争の時代に、スケールメリットを生かした市町村合併して強い自治体作らなきゃ大変なことになるよという本音の部分が余り伝わらないうちに、合併すればこういうふうなお金が入るよとかいうようなあめの部分が先に先行した嫌い、これは地方でいろいろあるかと思いますが、そういうことがある種の誤解を与えて、それで、よしやろうといって、金もらえる方でやっていったら、最後の方になったら、財政突き合わせてみたらやっぱりむちの部分もあって、これは大変だということで、今になって滑った転んだ、さあ、やるかやらないかというところが出てきているというのも事実だと思うんですが、それはそれぞれの事情として、共通として考えられる。私が受け止めて考えられることは、やはり地方のこれから分権の時代、競争の時代といっても、競争するなら、同じスタートラインで同じ条件でさせてくれるならともかく、もう財政力も違えば、地域性はどうしようもないとしても、そういったところのいわく因縁からの格差というものが、地域間格差というのがあるままで、それでスタートさせても困る、困るといいますか、やってられぬぞと。しかも、そこのところを総務省なりほかの国の方でスタートラインを一緒にするような形の、用意ドンで競争できるようなところまでやらせる政策というものが見えてこないと、こういうことに対する不満というものが市町村長の中にも見受けられて、それはもっともだと思うんですが、そういったところで、むしろそれだったら合併しなくてもいいんじゃないかと。もう野たれ死にするかどうか知らぬけれども、死ぬことまでは行かないだろうと、この際あえて言わせていただければ、いろんなことで頭使って、気遣って、胃の中痛くしていろいろな改革をやって生き延びるという算段をやるよりも、このまま淡々と、安楽死じゃないけれども、財政再建団体になって、後は県なり国なりで面倒見てもらおうと、そうすれば職員の給料も下げる心配もしなくていいし、人員カットの方も労働組合からせっつかれなくても済むと、それから、みんなやっていたのを、来年からこの予算厳しくなったからやめてくださいというようなお願いをしないでも済むと、どうせ町村合併になればおれはそこの合併したところの首長にはなれぬのだと。だったら、今の村長、町長なりで淡々とやって、責任取って切腹して、辞めればいいと。冗談半分ですけれども、酒の席でそういうことを言う人も私の地元には、仲のいいとそういう人もいるんです。冗談半分だと思いますけれども。もう、ちょっと脱線するかもしれませんけれども、年金払って将来これっぽっちもらうんだったら、その分払わないで、年取ったら生活保護やなんか受けりゃいいって、全く同じ発想なんです。
  良くないとは思うんですが、その辺のところをどう対応して、どうやって希望を持たせていくのかと、あるいはそれこそ活性化するための地方の活性化のグランドデザインに対して国や総務省としてももう少し一歩進めた地域づくりをアドバイスしてやっていってもいいんじゃないかと。
  これは、中央から地方に対するそういったことというのは、何ていうんでしょう、中央集権化の一つの姿で好ましくないと、正に地方の自主性に基づくそういった地域づくりをやるのが正にこれからの地方の時代の基本じゃないかといえばそれまでなんですけれども、そうやってほっておくと、さっきみたいな話になると、これはもう、ちょっとまずいぞという気も私いたしておりますので、ちょっと二問、質問通告の二つを一緒にした形になりますが、御回答いただきまして、早いようですけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○政府参考人(大野慎一君) ちょっと合併の関係を少し事務的に、大臣の答弁の前に御説明したいと思うんですが、私どもは、地方分権を進めていく上で、やはり一定の規模と能力を持った基礎自治体でなければ住民の方々に対する十分なサービスが提供できないと、このように思っておりまして、まずは規模なり能力を拡大していくと、そのための工夫が合併の推進ということになるわけですが、そこで、しからば、合併する場合に、その地域の中でも当然、従来の市町村の中でも、合併する自治体でも格差があるわけですね。合併した市になったとしても、またほかのところでは格差があるかもしれませんが、まず合併する市町村の中でも格差があるわけですから、これを何とか一体的に行財政運営ができるようにするために、それぞれの自治体が合併しようとするときに市町村建設計画というものを作っていただくと。これはまあ、一体となるべき地域で、例えば公共施設などについては適正に配置をしていくと、こういうふうになるわけですが、このために必要な財源が合併特例債というものになっていまして、これについては、少なくとも今の合併特例法でやる限りについてはきちんと責任持って国の方で手当てをすると、こうなっているわけですので、ここのところは、合併をしようとすれば、その地域の中のまあ格差を是正し、一体感をもたらすような工夫はできるということだろうと思っております。
  その上で、今度は、その全体の基礎自治体の中での、やっぱりそうはいっても差があるではないかと、これをどうするかと、こういうふうになるわけでございます。
  これは大臣の方から答弁させていただきます。
○国務大臣(麻生太郎君) 今おっしゃいましたように、何となく、確かに言われるように、今の話だけ聞くと、まあ簡単に言えば、このまま行けば、このまま試験勉強しなきゃ、おまえ、落第するよという話ですから、やっぱりある程度、やっぱりやることはやらぬといかぬということなんだと思っておるんですけれども、今、地方自治体によって、これは今後とも、ある程度、合併を仮に千五百なり千なり進んだといたしましても、私は、その後も地域の格差はある程度付くことは避け難いと思っております。
  なかなかそんな簡単にいきませんので、そういった意味では、ある程度地方交付税というものの本来持っておりますバッファーとしての役目は、これは今後とも必要でありますし、そのための財源処置もこれは必ず必要と私も思っております。
  ただ、いわゆる小さな村というのもいろいろ、何となく極端な話で、ちょっと、一万になるかならないかぐらいの市も、北海道の例えば歌志内とか、福岡の山田とかいうところはもう人口一万ぐらいで市なんというところもございますんで、こういったところが今のままでいけるかといいますと、これは行政手続がすべてオンライン化されるなどということになってくると、地域住民が本来受けられるべき行政サービスを全然受けるだけの能力がもう基本的には欠けておるということになりますんで、そういったところはある程度のサイズにしていただいて、人材も含めましてということをやっていただかないかぬでしょうし、また議員さんの数も、正直申し上げて、今のままでいきますと二市八町で百八十人そのままなんというわけにもとてもいかぬでしょうし、そういった意味では、ある程度給料を上げてもいいからもっとスリム化していただくとかいうのがむしろ住民の希望するところでもあろうと思っております。
  そういうところで、これだけの規模になったところで、この町の特徴というのは均衡ある町づくりから特色ある町づくりに多分世の中変わってきていると思いますんで、そういった意味で、いろんな意味で、あそこの、先生のところの選挙区のあのビオトープって、トンボ専用の池を作ったりして、あれ随分人が今行き始めていますけれども、ああいったようなものを含めていろんな形のアイデアというものが出しても、余り規模が小さいとそのあれを実際にアイデアは出てもそれ現実に移せませんもんですから、そういった意味ではある程度の規模にしていただくというのは必要。
  ただ、今言われましたように、極端な例の方がいいと思いますが、八丈島のもっと南に青ケ島という島が、人口二百人弱の日本で今一番小さな村だと思いますが、この村に人が住んでいるおかげであの竹島みたいな話にはならぬわけで、ここはやっぱりきちんと人が住んでいるということがやっぱり大事なところですから、そういったところには、頑張ってもらっている人に対して国が何らかの形で支援をしていくというのは私は、あの大陸棚の話とかいろいろありますけれども、そういったものを含め大変大切なものだと思いますんで、何となく画一的に全部というように聞こえるような話もよくありますけれども、私はこういう国において、長い歴史のある国において、その地域によっていろいろ差ができて、おれのところは小さなまま残った、ただし、うちはシティーマネジャーが一人いて、議員は全部三人しかいなくて、みんな無給だと、町長は全部三人で回り持ちみたいなような話をこの間されておられた方がいらっしゃいましたけれども、私はそれはそれなりの一つの見識だとも思いますんで、いろいろこれからやっていきます間、いろいろ出てくるとは思いますけれども、私はそれを、その村にいる人たちがそれでええと、うちはそれでそこそこ黒なんだから、みんなであとは出し合おうというような話になれば、私はそれはそれなりに一つの見識だとも思っております。
  いろんな意味で、決して強制的にやれという発想だけは避けたいと思っておりますんで、いろいろまた知恵をかしていただければと存じます。

(後略)