質問「限りある電波帯の有効活用について

(平成16年5月11日参議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 おはようございます。自民党の山崎でございますが、電波法、それから有線電気通信法の一部改正ということで幾つかお伺いしたいと思います。
  これだけIT化が進んで、その情報伝達の手段としてケーブルとかワイヤを使ったものもどんどん増えております、光ファイバーを含めて。その一方で、また、ワイヤレスといいますか、無線についてのいろいろな問題も出てきていると。これだけ日本が、世界の先進的な情報伝達の手段といいますか、そういったものの基盤を整備していく中で、ますますこれからこの電波というものが利用されていくであろうと。そういった中で、これからの我が国のニーズのこういったものの拡大に備えて、総務省としてはどのような観点からどのような政策をこれから展開していこうとしているのかという点について、まず大臣の御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 誠におっしゃるとおり、この分野は需要が急激に拡大をしていく、更に拡大をしていくだろうと思っております。
  それに伴いまして、昨年の七月に情報通信審議会より答申がなされておりますので、これを受けまして、私どもとしては、西暦二〇一三年までには、その市場、マーケットとしては九十二兆円を超えると言われておりますこの無線サービスの分野におきまして世界最先端をやっておりますこのブロードバンドの使用のためには、無線というものの分野を更に開放していくというのが基本的に必要な戦略の第一だと思っております。その中核を担うことになりますのは、これはいわゆる無線LAN、無線ローカル・エリア・ネットワークと、移動通信、モバイルということになろうと存じますが、そこに周波数が不足をすることが予想されますので、その周波数を確保することが不可欠と存じます。
  また、これのために、昨年七月答申が出されました後の昨年十月にいわゆる周波数の再編方針というのを私ども総務省としては確定をいたしておりますので、今、この周波数の再編方針というのにおきまして、電波の利用状況調査、これは、昔は許可したけれども、今は技術が進んでもっとほかのものを使っているとか、いろいろあろうと思いますので、その利用状況の調査を行わさせていただいて、具体的には、平成十四年度に五ギガヘルツの電波の利用状況につきましては先行的に状況調査を実施をいたしております。その結果、四ギガヘルツ及び五ギガヘルツのところの通信事業者の中継用の固定局というものにつきましては、これ無線に上げてくださいと、これ光ファイバーの方にこれを移してくださいというような話を、周波数帯の移動の可能性が高いと、移動できる可能性が高いということで、無線LANの導入を早くするために周波数の再編に着手することが適当という評価をいたしたところでもあります。
  この評価結果を踏まえまして、今回、電波法の改正におきましてお願いをいたしております給付金制度の実施等々を活用して、電波の再配分というものをタイミング良くさせていただきたいと思っておりますので、山崎先生御質問のとおり、これ、電波は基本的に更に開放するという方法で利用の便にこたえてまいりたいと存じます。
○山崎力君 よく分かりましたが、ただ、今、余り私自身も好きじゃないんですけれども、ユビキタスとかなんとかいう非常に初めて聞くような言葉がこの世界では飛び交っているようでございまして、いつでもどこでもだれとでもって、私、前身がマスコミにいたものですから、いつ、どこで、だれが、どうしたというファイブWワンHですか、いかにとかいう、それを思い出すような内容なんですけれども、こういったことをこれからますますニーズが広まってくるとすれば、そして私ども素人は、電波帯がどんなものだとかどういうふうに使うかというのは、技術的なことというのは余りよく分からぬのですが、そういったところも含めて、これから、例えば今おっしゃられたようなモバイルの通信がどんどん、もう携帯が普及している、そういったところの電波帯が必要であろうと。だけれども、また逆に言えば、今まで使っていない未使用の電波帯の使い方をどうするとか、そういった面での技術開発というものは日本の得意とするところでもございますので、国としてもそういうことに関しての長中期的な視点で対応を考えていくということも必要ではないかと思うんですが、そういった取組方についてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今先生御指摘になりましたように、いわゆるモバイル通信というものの周波数の需要の伸びというのは急激なものが予想されておりまして、移動通信におきましては、現状でいきますと、多分十年後には今の四倍から五倍ぐらいが必要であろうと予想しておりますし、同じく無線LANにつきましても同様の四、五倍の需要が予想されておるところでもあります。
  そういった意味におきましては、今、昔は電話でよかったものが、それがいわゆる通信が、通信というか、iモード、iモードって御存じかと思いますが、iモードというようなものを使い始めましたり、いつのまにか写真は全部こうやって写真を撮るような時代になりましたし、何となく私どもも付いていかないようなレベルのところにも来ておりますので、加えて画素数が四百万画素等々とえらい画素数も上がって、デジタルカメラというようなものがほとんど同じ機能のものが携帯電話の中に組み込まれるということになってきておりますので、多分、今言われました、いつでもどこでも何とでもというような、だれからとでもというようなことが予想されるときの中心の多分器材は、この携帯電話がその主力を占めることはほぼ間違いないと思っております。
  また、無線LANにつきましては、いろいろ御説がありますけれども、光ファイバーとかDSLとかADSLとかいうような有線系のものだけのブロードバンドではなくて、無線系のブロードバンドの利用数というのが急激に上がってまいりますので、携帯電話でテレビが普通に見られるような時代というのはそんな難しい話じゃないんであって、そういった意味では、平成十九年度末には五百万局ぐらいになるだろうと、今、今は二百万局ぐらいが五百万局ぐらいになるだろうと思っております。
  そういった意味で、周波数というのは、これどうしても確保をしておきませんと需要にこたえられないということにもなりますし、この需要の伸びが経済に与える影響も極めて大きいという感じがいたしますので、再配分の実施に関しましては私どもも積極的にと思っておるところでもあります。
  また、今、技術の進歩ということを言われましたけれども、今はやっぱり同じ周波数の上ではほかのものは使えないというんですが、同じ周波数でも別の機械を、例えばレーダーと無線LANを一緒の周波数で使えるということも今技術的には可能ではないかということでかなり技術の進めておりますので、技術開発ということでやっておりますし、携帯電話も大体二ギガヘルツぐらいのところが主力ですが、これを五ギガヘルツまでということで今、技術開発等々が進んでおりますので、この電波の有効利用ということプラス、技術開発によってこういったものの需要に更にこたえていけるように法律的な配慮はしていかねばならぬものだと思ってもおります。
○山崎力君 この今での電波の再配分、そういう電波帯といいますかそっちの方、正確にはそうなんでしょうけれども。そこで、ヨーロッパではそれを、限られた資源と言うとおかしいんですけれども、それを使うんだからということで、その割当てについてオークション制度を取っているということを聞いておりますが、これは一長一短だろうと思います。確かに、オークションして金が入ればその分だけいいということもあろうかと思うんですが、そうすると、全部の電波帯利用者に金を払わせるのかという既得権と新規の問題も出てくるでしょうし、その金が、オークション代が当然利用者への負担という、転嫁されるということもある。
  そういったことを考えると一長一短だなというのが普通の人の考え方ではないかと思うんですが、その点、オークション制の導入について御意見ありますでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) オークションというのは、これは欧米というより欧で、特にドイツ、イギリス等々でこれが採用された前例がありますが、基本的には、大きく申し上げて二つの点で問題があろうかと思っております。
  一つは、この額を見ましてもけたが、ちょっとゼロが一つ違うんじゃないかと思うような五兆円とかいうような額になっておりますので、そういうような形になりますと、例えばドイツで落札総額五兆八千億とか、イギリスでも四兆五千億というような額のものが当時落札をされておりますが、これは落札価格の高騰というのはいろんな意味で、後、その落札した会社が事業を展開するのに、初期投資の分において余りに高額なためにいろいろ問題が起きてくる。例えば、サービスが開始がされていない。落札はしたけれどもサービスをしておらぬというようなことにもなりますので、本来の電波が利用されるべきものがされていないということになっておりますので、ただ、そこはもう、免許の有効期間が二十年ということになっておりますので、その間はもう既得権益みたいな形になっております点が非常に問題かなという感じがいたしますので、サービスの開始ができないようなのはちょっといかがなものかと思っております。
  二つ目は、やっぱりこれは、電波というのはある程度国民の共有の財産という感覚のものでつかんでおく必要があろうかと思いますので、許認可を渡すときに少なくとも、おたくどれだけの地域をその額でカバーしてくれるんですかとか、もうかるところ、民間ですから、もうかるところだけ放送するのは駄目ですよと。人口割でいく点につきましては、過疎地においてもある程度のものがいけるように配慮してもらわないととかいうような意味で、人口のカバー率の話やら何やらある程度勘案して決めておかないと、これは公平性とか公共性というものに欠けるのではないかと思いますので、金の額だけで、それは取る方はそれはそれなりの利益が得られることになりましょうが、その分、国民がいわゆる利便性を欠くことになるという可能性もございますので、そういった意味で公共性確保の面と二つの面から問題があるのではないかと思っておりますので、今の段階においてこのドイツやらイギリスがやったようなオークション型を日本に導入するというのは適切ではないのではないかというのが率直なところであります。
○山崎力君 終わります。

(後略)