質問「『NHK改革の実行方法』ほか

(平成17年3月31日参議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 自由民主党の山崎力でございます。
  このNHKの問題、今回は予算ということでございますけれども、昨年来のいろいろな不祥事と言ってはNHKに失礼かもしれませんが、そういったことが続いておりますので、そしてその経緯の中で新会長選ばれてここにおいでになるということでございます。
  個々の具体的なケースについてはこの際、同僚議員から後で質問あるかもしれませんが、私は取り上げませんけれども、いずれにいたしましても、その結果としていろいろ国民から信頼を損なう形になりまして、受信料の問題等いろいろ問題がこの時点で発生しているというふうに認識しております。反省していただくところはまず反省していただかなければならないわけですが、新会長として、これ、こう言ってはなんですが、全国中継されているそうでございますので、視聴者に向かって、現時点における会長のまず心境と、それからこれからのNHK改革に取り組む決意をお述べいただきたいと思います。

○参考人(橋本元一君) まず冒頭、昨年夏、不祥事発生以来、NHKの対応等で大変国民・視聴者の皆様、厳しい御批判をいただいております。国民・視聴者の皆様及び委員の皆様に、この場をおかりしてまずおわび申し上げたいと思います。
  やはりNHKの中におごり、甘え、このような体質があったことは否めません。このようなものと決別して、早くNHKの再生、改革に取り組みたいと思っております。
  この改革の中には、具体的に重立ったもの、四ポイントほどございます。
  一つは、まず組織の正常化ということでございます。不正経理が発生しないよう防止する、この仕組みを強化してまいりたいと思います。
  二点目。やはり職場全体の倫理観といいますか、あるいは受信料を大事にする、この公金意識、このようなものをこれから高揚、強化をしてまいりたいと思います。それから、やはりこのような公金にかかわる不正があった場合には必ず厳しく対処してまいりたい、また公表してまいりたいというふうに思っております。これら、いずれもNHKの中に甘え、おごりが発生しないようにしたいということでございます。
  続いて、一番厳しい状況になっております財政的な問題としまして、受信料不払あるいは保留の件数が増加してまいった件でございますが、この件につきましては、積極的に特別対策部隊を設ける、あるいは大規模な電話による説得策、このようなものをこれから積極的に活動して回復に、信頼回復に向けての取組を強化したいというふうに思っております。
  それから、第四点目でございますけれども、やはり視聴者の方々との触れ合い、これが大変大事だと思っております。受信料というものは、やはり視聴者の方々との触れ合いがあり、その中で生まれた信頼、そのようなものが一番基本の原点ではなかろうかと私は考えております。したがって、この触れ合いを大事にする、これを強化してまいりたいというふうに思っております。
  このような点を積極的に強力に進めることによって信頼を回復してまいりたいと思います。また、このような取組につきましては、今後、NHKで行う番組の中でも紹介しながら視聴者の方々に御理解を賜る所存でございます。このような改革を、これから私を先頭に、NHK役職員一体となって精力的に進めてまいりたいという所存でございます。
○山崎力君 決意のほどを承りましたが、問題は、実行が残されていると思います。特に、大きな組織になりますと、上の方は幾ら意識が変わっても、末端の本当に一番現場の人たちがどこまでその意識改革できるかというのが勝負だと思っておりますので、その辺はしっかりこれからも我々も見守らせていただきたいと思います。
  ただ問題は、この受信料のことなんですが、これはもう本当に金額、お金の問題でございます。聞くところによれば、もう七十万件を超える受信料の支払拒否あるいは保留があると。その金額も大体四十億程度になるんではないかというふうに、減収になるということですね。ですから、当初予算に比べて四十億も減るとなると、これ本当に、巨大な組織体ですから全体の数字からいえばどの程度になるかというのは私、見当付かないんですが、四十億という金額を見るとこれはすごいことだなというのが感じるんですが、それで、現実問題としてこの予算の立て方の下でここ一年、NHKは成り立ってやっていけるのかという心配も一方で出てくるわけですが、その辺はいかがでございましょうか。

○参考人(橋本元一君) この最重要課題といいますか、この財政的な安定に向けた受信料の収納回復でございます。この点につきましては、やはりまずはこのマイナス四十億というふうな予想外の数字にできるだけならないように回復に努めるということでございます。NHKの中では、今大規模な電話による説得の取組を行っているところでございます。一月およそ六十万件ぐらいの電話のコールができるような体制で、積極的に口座解約を申し出たお客さんにコールバックするというふうな取組もやっております。それから、特別に高度なノウハウを持った営業対策員を、チームをつくりまして首都圏を中心に説得して回るというふうなことも考えております。
  このようなことでできるだけこの回復を図るということでございますが、その上で、更に非常に財政的に厳しい状況になりますれば、やはり支出をかなり削減してまいりまして、収支、この確保に努めたいというふうに思っております。
○山崎力君 申し訳ない言い方ですが、支出の方もカットせざるを得ないという、いろいろ努力されるのは分かるんですが、経営のことからいって、収入は増えたけれども、そのためのコストアップで何というんですか、実収入はそれほどでもないということもあるわけです。公平性の問題からいくとその辺のところが、コスト掛けても、徴税コストを掛けても税金集めなければ、脱税を黙認するわけにいかぬということもあるんで、そういったことはここで議論一々してもしようがないんですが。
  麻生大臣にお伺いしたいんですね。この問題、本当にちょっと悪い知恵を国民に付けた部分があると私は思っております。と申しますのは、法律的には支払わなきゃいかぬという制度なんですが、受信料、ただ罰則がないと。現実の問題にいえば、NHKの不祥事が出て、払いたくないと、それは一時的なことで理解できるわけですが、こういうNHKの公共放送の制度を今のまま、現状のまま維持すれば、払わなくても済むんなら払わないでもいいじゃないのという考え方も出てこようかと思いますし、この経済状況ということも後押ししているのかもしれません。
  そういった中で、もしこのままの減収が続けば、もちろん今おっしゃったように説得して受信料を徴収するなり、あるいは経営改善でコストダウンするなりというのは前提としても将来、下手すると、近い将来このままでいいのかという話になってくる可能性があると私は思っております。
  対応策とすれば、放送にスクランブルを掛けて、受信料を払っていないところは聞こえないように、あるいは見れないようにするとか、あるいは罰則付きで受信料を取るようにするとか、あるいはコマーシャルを一部入れて別途の収入を考えるとか、突き進めば、最後は、今はやりのあれじゃないんですけれども、民間放送もあるんだから、NHKも民間にしちゃえばいいじゃないかというところまでいくと思うんですが、これはちょっと会長の方からは言いにくいことだと思いますんで、その辺も含めて麻生大臣のお考えを伺いたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 今おっしゃるように、隣の吉村さんちは払っているけど、そのお隣の麻生さんちは払っていないと。払っても払わなくてもちゃんとテレビは映ると。なら、おれも払わないでいいんじゃないかという気持ちが起きる点がどうだと言っておられるんだと思いますけれども、そういうことが罰則なしで可能だということを天下に知らしめたというのは、今回の中で一番の今後の問題点を残した、私もその点に関しては全くそう思っております。
  したがいまして、今御存じのように、この受信契約というのは一種の受託契約ということになっておりますんで、これはかかって国民の理解なり支持というものを前提にしてでき上がっている制度でありますんで、この回復にまず努めていただくというのは、もうこれは今会長の方から、橋本会長の方から答弁のあったとおりなんだと存じます。
  ただ、その上で、そういうことが成った上でもなおかつその点はどうであろうかという御疑問に関しましては、今の段階で私も、多分そうなるであろう、こうなるであろうと申し上げることは不可能なんですが、ただ、諸外国の例を見ましてもいろいろな例は、罰則規定を設けてあるところいろいろありますし、二〇一一年にデジタルという、ハイビジョンというようなことになりますと、それは双方向性になりますんで、きちんと払っていないところは映らないようにする等々、やり方はこれはいろいろあろうとは存じますけれども、直ちに、今すぐその前提をして放送法を改正するというのが今あるかという御質問であれば、今、ただいまこの現在にそういったような考えは持っているわけではございません。
○山崎力君 検討しないで済めば私どももいいんですけれども、そのときは総務省を中心にNHKと話し合い、国民の意識を聴いて、正直、NHKの放送がなくてもいいという人もいるのかもしれませんが、内容から見て、ほかの民放よりはいいのをやっているなと、手間暇掛けたものをやっているなという気持ちの人も多いと思いますので、その辺のところは慎重に御判断願いたいと思います。
  ちょっと内容に、番組の内容に入らせていただきますが、一つは、今回のいろんなことでも出てきた報道の公平性という点ですね。
  時間の関係でちょっと早口になりますが、要するに、番組の中で、ある偏ったと言うと語弊ありますけれども、Aの考え方を一方的にやると、ただし時間を置いた次の番組でBという考え方を示すと。放送の時間はずれるけれども、一応公平を取ったという考え方と、もう一つは、やはりある程度Aに重点を置きながらも同一番組の中でBの方の意見も入れると。それである程度、バランスは多少傾くけれども、一方的にAにはしないと。今度は、次の番組ではその逆をやると。二つの公平性の問題があると思うんですが、二つのやり方、考え方が、公平性を取る考え方があると思うんですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

○参考人(出田幸彦君) NHKは公共放送といたしまして、常に不偏不党の立場というものを堅持しながら公平公正な放送を行うということを基本としております。
  私どもNHKが自ら定めております国内番組基準というものがありますが、これでも、「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」と、こういうふうにしております。
  今、お尋ねの公正公平な放送をどう確保するのかということだろうと思いますが、これにつきましては、例えば選挙の際に放送しております様々な企画などはシリーズで放送するということが定着しております。そういったものもありますし、基本的にはケース・バイ・ケースだと思いますが、通常の番組におきましては、やはり一つの番組の中で多様な意見、あるいは多角的な論点というものを紹介していくというのが基本だというふうに考えております。
○山崎力君 それと関連して、私も一時マスコミに籍を置いた者として、自明の理なんですが、今回の不祥事の一連の中で、番組の編集権はどこにあるのかという議論がございました。我々からすれば、形式的にといいますか、法律的には、NHKであれば会長、現場のところでいえば新聞の場合は編集局長だろうというふうに認識しておりますし、そのところの段階があるというのも分かっているんですが、その辺のところがちょっと分からないような感じになっている、混乱しているような報道等も一部見られましたので、NHKの場合のそのシステムはどうなっているか、御披露願えませんでしょうか。
○参考人(出田幸彦君) 御案内のように、放送法の中では編集権という文言は明文化されておりません。ただ、放送事業者に放送番組編集の自由というものが保障されております。したがいまして、放送法において、その放送番組の編集を行う主体というものは法人としての放送事業者というふうに考えております。
  NHKにおいては、法人としてのNHKの代表ということでいえば会長というふうになっておりますし、業務の執行も全体を統括、総理しております。そういう意味では、NHKにおけるいわゆる編集権というものについては、放送事業者の代表であります会長にあるものと考えております。
  ただ、いわゆる編集権というのは、放送番組に関する責任と表裏一体のところがございますんで、そういう意味では、実際の事業運営におきましては放送部門の最高責任者であります放送総局長に委任をされているというふうに私ども認識をしております。個々の番組の制作者に編集権があるというふうには考えてございません。
○山崎力君 ちょっと時間の関係で、最後、一部はしょらせていただきますが、放送内容についていろいろ意見が私の耳にも入ってきております。ちょっと最近の報道ではトピック的なものに偏り過ぎているんではないかというようなことで、もうちょっと掘り下げた報道をするのが公共放送としてのNHKの報道番組やるべきで、そこが民放の違いのはずなのにというようなこともございますが。
  最後に一点、私どもも報道機関と接する機会あって、その機会が多くて、その点でNHKの方にお聞きしておきたいんですが、某大新聞社のトラブルの中で無断で録音されたんじゃないかというのを質問、NHKからその新聞社に質問していると思うんですが、その辺の回答はあったんでしょうか。いかがでしょう。

○参考人(出田幸彦君) 山崎委員のお尋ねは朝日新聞社に対する件だというふうに思いますが、NHKといたしましては一月の二十一日に朝日新聞社に対して十八項目にわたる公開質問状というものを出しております。ただ、もう二か月以上たっておりますけれども、現在に至ってもその項目一つ一つに対しての具体的な答えというものはいただいておりません。
  そういう意味では、朝日新聞社に対しまして、この記事の誤り、それから取材方法の問題点、これにつきましては引き続き訂正と謝罪というものを求めていきたいというふうに考えております。
○山崎力君 終わります。
(後略)