質問「公述人のご意見をお聞きしたい

(平成17年8月1日参議院郵政民営化特別委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 自由民主党の本特別委員会で理事をやっております山崎と申します。
  四人の公述人の方々には、お忙しい時間、本当にありがとうございました。
  今の公述をお聞きして、我々も反省しなければいけないといいますか、国全体というか、そういったマスコミ等も含めて全体なんですが、事ここに至っても、まだこの法案の審議の中身、賛否は別としまして、どこにポイントがあるのか、どうなっているのかということの御理解が進んでないなということをまず感じさせていただきました。私自身からもお答えできるところもあろうかと思うんですが、それ一々、別に政府側で提案しているわけでもないので、そういうことは避けますけれども。
  やっぱりポイントは、お二人の郵便局に勤められている方の一番の心配という形で、今の法案ではなかなか今までどおり、簡易局と無集配の特定局という現場でのお話があったわけですが、その辺の疑問をどう答えるかということに、我々も当然ながらそこに神経を砕いて審議しているわけですけれども、立場からいけばそういうことだろうということなんですが、逆に言えば、藤原さんと斎藤さん、お二人の公述人が、それぞれ今現場からの不安という形での公述をされたことについて順次感想をお聞かせ願えればと思います。

○公述人(藤原誠市君) 我々は郵便局の中で働いているわけじゃありませんので、ただいま実際の担当なさっている方々のお二人の意見を拝聴しまして、なかなかこれはそういう方々にとっては難しい問題がたくさんあるということを痛切に感じております。
  ただ、そういう中で、心配を皆さんも一緒にされて、こういう人たちが一生懸命やっていることをどう助けていくかと。要するに、民営化するには、必ず改革には痛みが伴うということはどんな場合でもあります。ですから、こういう方々が、ある程度痛みを伴うことについては御協力いただくにしても、余り犠牲になって将来が成り立たない、もう郵便事業に携わっていくことができないというふうなことのないように、やっぱりこれだけのノウハウを皆さん持っていらっしゃるわけですから、しかも熱意があるわけですから、例えば民営化になっても、こういう方々の成り立つといいますか、その情熱が生かされるような調整なり見直しなりをしながらやっていっていただきたいなというのが実際の感想であります。
○公述人(斎藤育夫君) 先ほども申し上げましたけれども、本県の場合は非常に県土の面積が広いわけでございまして、やっぱり金融機関の行き届かないところもあるんじゃないかと思うんですね。そういうところでおやりになっておるわけでございますので、何というか、民営化によって、藤原さんおっしゃるように、大改革だと思うんですよ、だから、いろんな問題点は出てくるのは当然かと思いますけれども。特に地域に一緒に暮らしておるわけでございますので、民営化によって、一方的に切り捨てるとか、地域間、地域によっては格差みたいなものが生じてくるというふうなことは、難しい問題だと思いますけれども、何とか御配慮をいただいて、スムーズに民営化にいくように御努力願いたいというふうに考える次第でございます。
  以上です。
○山崎力君 それから、またこれ両公述人にお伺いしなければいけない確認作業なんですが、一番今回の法案で一つ言われている中で、ちょっと実態といいますか、実際の議論と一般の方々との擦れ違いの部分があるんです。これはマスコミの報道の仕方が悪いというわけじゃないんですが、ちょっと誤解を与えるといいますか、我々の中でも若干の問題あるんです。
  それはどういう言葉かというと、民業圧迫という、イコールフッティングという言葉の受取方が本当に理解されているのかなというのを、議論している私どもが疑問に思っている言葉があるわけです。
  そういった点で申し上げますと、民営化された後は、これは民間になるわけですから、民業圧迫ということはあり得ないんですね、理論的に。特に金融に関して一〇〇%民営化された、株式が民間に売り出されたと。持ち合いの問題出ていますけれども、これは別の次元で。そうなったときに、民業圧迫というのは考えられない。
  もっと言えば、そういう新たな金融機関というものが、先ほど藤原さんですか、お話がありましたけれども、そういったものが市場に出ることによって、一般の地銀の方が貸し渋っているようなところにもお金を貸すようになるかもしれないと。そうすれば、そこに新たな緊張関係が生まれて、借り手といいますか、そういった方からすれば新たな選択肢が増えると。そこに競争が生まれると。市場原理で、そこでいい影響が出るであろうと。これは簡易保険も似たような考え方ですが、これが基本なんです、この民営化という考え方は。市場の原理で、皆さんそこのところでやりましょうと。
  ただ、これはまた後で申し上げてもいいんですが、民営化の問題、ほかの郵便とかそういった問題とちょっと若干、窓口会社の問題とちょっと違ってきますけれども、その辺のところが非常に誤解といいますか、希望的観測でお考えになっているんじゃないのかなと。理屈を考えていただければ分かるんです。
  ただ、今の郵貯の問題というのは、今は、先ほどもお話ありましたように、国がバックにいると。ここはもうイコールではないと。だから、この十年間掛けてそのバランスを取りながら、国の保護といいますか、バックアップという心理的なものも含めて、それを下げていきながら、その代わり、今までだったら預け入れが一千万で止まっていたのをもう少し増やすとか、あるいは貸出しなんてしてなかったのをだんだん増やしていくとか、少なくとも、民営化が決まって動き出してから十年間で全く同じイコールフッティングにしようと。そうすれば後はもう市場の原理だと。こういうことですから、民業圧迫になるのが心配かということを言われてしまいますと、そのバランスを取りながらやるというところで民業圧迫にならないようにするという意味では正しいんですが、完全に民営化された後は民業圧迫という言葉は理論上あり得ないということをなかなか分かっていただけない部分があるんですが、その辺についてお二人から御意見を伺えたらと思います。

○公述人(藤原誠市君) 民業圧迫という言葉はよく使われるんですが、民間になればもう民業ですから、お互いに民業同士張り合うというのはこれは当然の原理ですが、現在、若干は景気が回復したと。よく景気という言葉を使いますが、私は、日本の場合は景気が良くなった悪くなったというよりも、現在、物すごい過当競争になっているというふうに思うわけですよ。どんな小さい町にも大型店が入ってきたり、いろんなことが現在起きております。そのために今までの町並みが、完全にシャッターを下ろしたり、それから、例えばここもJRの関係の施設なんですが、そういう関連事業にやっぱり国の、どういうことか分かりませんが、ある程度の資金バックがあって、どんどんどんどん民間と競争をするような時代が最近来ているわけですね。
  例えばJRなら、JRは新幹線をやっていればいいんだといっても、そうはいかない。それに関連して、今度はもっと売上げを伸ばすにはホテルをやる、あるいはいろんな名店街をつくる。今、仙台でも盛岡でも、恐らく日本でも珍しいような名店街ができつつありますが、それは一面は非常に結構なことですね。だけれども、他方においては、それができたためにかなりの、要するに民業圧迫というのはそこなんですが、例えば一つが大きくできたために百の人たちが泣いているわけですよ。
  例えば、我々、県産会社とかいろんな特産品の関係の事業もやっているんですが、そういうところが県と一緒になって店を、例えば特産品の業者のために店をつくる、そしてやっていくけれども、その近くで今度はそれよりもでかいJRが自分のところを利用してどんどんそういうものをやる。つい最近、そういうものに圧迫されてもうやめているわけですよ。大きな県の補助も受けてやっているのに駄目になっている。これはもう最近そういうものが非常に顕著になってきていますね。
  ですから、私の申し上げるのは、今の金融とか郵便配達とか小包輸送とか、そういうものの中でやっているうちは、これは金融機関の問題は一つありますが、民間も非常に潤う面があるんではないかと。ただし、大きな力をバックにして、例えば三百四十兆もあるわけですから、利益もやり方によってはどんどん上がるわけですね。それを今までは国債とか何かに向けておったものが、国債だと十年物でも一%ですよね。これを民間に貸すと三%ぐらいに貸せるわけですから、二%仮に経費を掛けても、またそこに何兆円という利益が、二兆円、三兆円という利益が出る。
  人間というのは、金が余ればやっぱりトップは何かそれを使うと。やっぱりホテルを使うとか、今はかんぽなんか撤退していますけれども、改めて町の中へ今度はホテルを出すとかいろんなことをやるようになるのは、この過当競争の中でやっぱり行き過ぎではないかと。そろそろみんなに少しはゆとりを持って仕事を、希望のある、将来に希望を持てるような仕事をするには、やっぱりそういう過当競争の連続ではもうあきらめてしまうんですよね、事業家は。
  だから、JRにしても郵政公社にしても、そういうことが将来ないようなある程度の歯止めを掛けなければいかぬのではないかと。みんなが本当に夢を持って平和を楽しんで、競争して働く者にもそういう歯止めは必要じゃないかというふうに思います。
○公述人(斎藤育夫君) 先ほどお話ししましたように、民営化についてはいいと思うんですけれども、大き過ぎるんですな、簡単に言えば。ですから、そんな巨大な世界一の銀行を何で今つくらなくちゃいけないかということだと思うんですよ。
  ただ、民営化はやっぱりした方がいいと思うんで、もう少し、先ほども言いましたが、地域で、地域ごとに分割するとかですね、そして民営化後も適正な競争でもってやれるような民営化でなくちゃいかぬじゃないかということを申し上げておるわけです。民営化すればよいということではないと思うんですね。民営化して大きいのをどんと押し付ければ小さいものたちは困るということですから、そうなるんであれば、もう初めからそんなことは考えないで今までどおりやっていただきたいと、こういうことになろうかと思いますが。
○山崎力君 何かやぶ蛇の質問をしちゃったようで恐縮ですが。その地域分割とかいろいろ案があるということは全部ひっくるめた上で、今最終的な局面に入っているということだけは御理解いただきたいと思いますが、それでは、坂下、阿部両公述人にお伺いしたいと思います。
  現場で働いていて、端的に一言ずつで結構です。いわゆる今回の問題というのは、郵便事業はユニバーサルサービスしなきゃいかぬと、だけれども、金融の方はほかで金融サービスをやっているんだから、これは別にそこまで義務付けてやる必要はないと、これが基本的な考え方なんですが、さはさりとて郵便をユニバーサルサービスで維持するためには、現状は、特に地方においてはそのいわゆる上がりといいますか、稼ぎをやるためにも、それから地域のニーズからでも、金融というもののサービスがなければ郵便のユニバーサルサービスも成り立たないんではないかと。
  だから、どうやったらそこのところを今度民営化してもうまくやっていくかという考え方から、今、一般の方にはなかなか分かりづらい複雑な仕組みの中で維持していこうというのが、大ざっぱに言えば今回の郵政の民営化法案の考え方だと思うんですが、そのことについて、それぞれやはり金融がなければ地方の簡易局、集配の特定局というのは成り立たないんだと、そして地域のニーズにも応じられないんだということを確信を持って言えるかどうか、それぞれ一言で結構ですから教えていただきたいと思いますが。

○公述人(坂下尚登君) そうですね、例えば郵便だけの仕事というのは、例えば今郵政の場合は、ゆうパック、EXPACKを郵便局以外の取扱所、販売店とか取扱所で扱っているわけですよね。それはまあそれでいいわけですけれども、郵便局というやはり名前が付いている以上、今までの経過もあるわけですから、やはり年金を払い戻したいとか、やはり簡易保険に入っている方が例えばいろんな満期を取るとか、加入するとかということになれば、もうこれは絶対なくされないものですよね。
  考え方は、先ほど、私ちょっと簡易郵便局の話をしましたけれども、そもそも郵便局と簡易郵便局の仕組みというのが全く違いますし、簡易局側からしますと、もうこれ郵便だけということは、簡易局を、郵便だけの仕事をいただいて、三事業分ぐらいの今程度の手当が出してくれるんであればそれは可能かもしれませんけれども、現実的には今郵便というのは額的にもまあ黒字部分というのはかなり低いわけでして、三事業一体でならしてやっているというのが現実です。簡易局もそれと同じような形で、郵便というのは、まあこんなことを言ってはなんですけれども、本当に手数料というのは少ないんです。とてもじゃないけれども経営していけません。
  ですから、我々受託者側からしますと、貯金と保険がなければこれはもう全然、スタート時点何もないということになろうかと思います。
○公述人(阿部美憲君) 先ほどお話ししたとおりなんですが、利用されるお客様が子供からお年寄りまで幅広く御利用いただいているという点がまず一つです。例えば、貯金の窓口に関していえば、銀行は三時で閉めますが、特定郵便局の場合は四時までやっています。今もっと長いところでいうと、盛岡中央郵便局は六時まで窓口が開いています。ふだん仕事をしていて窓口を利用できない方々にも広く使っていただくようにそういう配慮になっているんだと思うんですが、だれでも公平に使える施設になっているというのが郵便局なんじゃないかなと思います。
  簡易保険についても同様です。
  そんな感じでお願いします。
○山崎力君 どうもありがとうございました。
(後略)