質問「『NHK改革の実行方法』ほか

(平成17年10月20日参議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○山崎力君 自由民主党の山崎でございます。
  今回のNHKの決算の審議に当たりまして、今、橋本会長の方からお話ございましたけれども、そちらの方がどうしても目は行かざるを得ないという実情であることは皆様方御同意していただけるものと思っております。
  しかしながら、この決算、十三年度から十五年度までの三年間につきまして一応の点は洗わなくてはいけないということがございまして、まず、年度ごとに今までの決算ずうっとやってきておりますが、この三年間にわたって大きな変化があるかどうか、収支その他、その辺のところをまず簡単に概略御説明願えればと思います。

○参考人(橋本元一君) お答え申し上げます。
  十三年度から十五年度の決算の主な特徴としまして、収入面では、受信料収入が景気低迷などの影響により、各年度予算に対しおよそ五十億円程度の減収となっております。
  支出面では、予算で見込んでいなかった事項としまして、十三年度ではアメリカ同時多発テロ関連放送、十四年度ではイラク戦争関係放送、十五年度では第四十三回衆議院議員総選挙放送、これらがございました。その他、各年度の特徴的な事項としましては、十三年度では冬季オリンピック・ソルトレークシティー大会放送、第十九回参議院議員通常選挙放送、十四年度ではワールドカップサッカー放送、十五年度では東名阪の三大都市圏での地上デジタルの放送の開始等に取り組んできたことが挙げられます。
  なお、受信料収入の減収につきましては、各年度とも効率的な業務の実施による経費削減等で事業運営費等を削減して、収入の範囲内で支出を賄ってきております。NHKでは、平成二年度以降、受信料収入の確保に努めるとともに、業務改革、経費削減を行い、収入の範囲内で支出を賄ってきております。十三年度から十五年度の決算の構造も同様でございます。
○山崎力君 中身について今会計検査院の方からも報告があって、例年のことですけれども、大きな間違いはないという形で決算が出されているということでございますけれども、ただ、その決算の、厳密に言えば、決算の中身について、十三年度になるんでしょうか、芸能プロデューサーによる番組制作費の着服が行われていたという不祥事がございました。そういったことが決算でチェックできなかったというのもこれ事実でございまして、そういう意味でいえば、予算の執行が適正に行われていなかったと、こういうことだと思います。
  こういう不祥事を見逃すということは、大きな数字、埋もれてしまう数字かもしれませんが、積もり積もれば大きなことになり得ると、こういうことになろうかと思うんですが、その辺のところをNHKとしてはどう受け止めて、今後の再発防止、こういうことが起きないようにしているのか、この際、お示し願いたいと思います。

○参考人(衣奈丈二君) 経理担当の衣奈でございます。
  御指摘のとおり、芸能番組制作費の不正支出問題など、結果的に不祥事を見過ごしたという事態、大変重く受け止めて、今後とも職員の倫理意識を高め不正を根絶する、あるいは透明性、説明責任を重視する事業運営に推進していくということに取り組んでいる最中でございます。
  具体的には、体制の強化の面では、現場の制作部局ですとかあるいは海外の総支局等へ経理担当管理職を配置、増員すること、あるいは経理の、経理局に中央審査センターを設置して全部局に対する審査の指導を強化すること、また内部監査の面で、外部監査法人と連携して内部監査を強化していくなどの体制強化を行っております。それ以外にも、経理処理の手続、ルールについて様々な部分について内部統制の考え方をより強めていく見直しを種々行っております。
  以上でございます。
○山崎力君 そういったことで、先ほどちりも積もればと言ったんですが、この一連の不祥事が発覚して、これまでの決算と、十五年度までの決算と違った数字が恐らく十六年度には出てくるであろうと。そちらの対策の方が現時点では非常に重要で、そういう意味では、今までの十三年度―十五年度、今審議している決算というのは今のNHKの経営状況から見ると参考にならないといいますか、それを基にどうこうするというのはできない状況になったというのは、関係者の皆様方は御納得いただけると思うんですが、当然、そのちりも積もってというのは一人一人の受信料の不払、拒否、そういったものの積み重ねが膨大な数になって山となっていると。
  聞くところによりますと、本年度、十七年度末に予算に比べてこの事業料収入が五百億くらい、五百億円くらい減るんではないかという今までの実績から予想になっているわけですね。それで、今までのこの実績、決算額から見ると、例年、大体この受信料の収入というのは六千五百億をちょっと切るくらいで推移している、六千五百億弱と。その点から見ると、一割に近づくというこれもう膨大な数になっているわけです。本当に深刻な状態だろうというふうになっているんですが、この事態に対して経費の削減とかいろいろやっていると思うんですが、具体的なこの減収対策についてお伺いしておきたいと思います。

○参考人(橋本元一君) 大変視聴者の皆さんから寄せられている信頼を損ね、また大幅な減収が見込まれる大変厳しい状況を重く受け止めております。我々、組織の総力を挙げて信頼回復、財政安定に向けて取り組んでいるところでございます。
  しかし、一方、収入に見合った支出の削減を当然ながらしなければいけないというふうに、おっしゃるとおり努力しているところでありますが、一方では、やはり放送のサービスの質の低下を来さない、あるいは事業の骨格を崩さないというふうなことございます。その中で、我々もう事業の隅々に至るまで節約のチェックをしております。
  具体的に申し上げますと、主なもので言いますと、いろいろ設備の機器の補修関係、こういう設備関係の経費、あるいはいろいろシステムのプログラム開発経費、あるいは事業管理経費など、管理間接的な経費を対象として削減に努めております。本年秋に予定していました人事の採用も中止しております。また、番組制作費の削減につきましても、いろいろ番組の質の低下を来さないよう現場の知恵、工夫などを結集してはおりますが、回線費、通信回線費でございますが、こういうものの間接経費等も優先的に削減するなど努力しているところでございます。
○山崎力君 この問題というのは非常に厄介でございまして、努力されて節約されるその中で今まで気が付かなかったことを切っていったということもありますし、それから、先ほどもお話ありましたけれども、質は何とか保たないかぬと、こういうことなんですが、それは分かります。それから、設備がいろいろとか言われていました。人件費の問題もあると思うんですが、これ削れると、それで我々テレビ等を見ているあるいはラジオを聴いている者からして、質が変わらなければ、その分今まで無駄に使っていたんじゃないかと、こういうふうにも取れるわけですね。
  もちろん、今身を削る思いで削減に取り組んでいる立場からすれば非常にきつい言葉になるかもしれませんが、逆に言えば、それを同情的に言えば、もうぎりぎりのところまで削っているんだけれども余裕がどんどんなくなってきている、あるいは何年かで本当は変えなきゃいかぬ設備を補修しながら本当は新しいのにしたいのを延ばすと、先延ばしすると、そういったことでやっていたとしても、これはいつかその分は支払わなきゃいかぬ、やらなきゃいかぬと。その辺のところは非常に削る段になっても、確かにこういう事態だからみんな何か知恵出して削れるところないかと。ふだん気が付かなかったところで削れるという部分であればこれはいいんですが、これだけの額になるとそうはいかないだろうと思うんで、その辺のところも少し御説明願えませんでしょうか。

○参考人(橋本元一君) おっしゃるとおり、もう本当に身を削る、身を絞るような削減の努力でございます。非常に細かいところまで点検して、そういうものを積み重ねて全体を大きくつくっていくということでございます。しかし一方、やはり我々の日ごろの努力というものを、いかに節約、努力を積み重ねるか、現場の工夫というものを行うかということで努力しています。
  確かに余裕というものはだんだんだんだんなくなっていく中、具体的に言うと、使っているVTRテープ、これまで三回とか四回使い回しをしていたものを五回、六回、そういうふうな形で非常に緻密なところですることによって、こういうふうな努力を積み重ねていますし、それから特に通信回線というものを大変よく使いますけれども、こういうものもきめ細かに時間配分をするというふうなことで、余裕は大変なくなってまいりますけれども、そういうところで、我々きめ細かな動作で、運用方法でカバーしてまいっていくということで考えております。
○山崎力君 貧すれば鈍するということにならないように、しっかり質の確保はしていただきたいと思いますが。
  それと同時に、これだけ事業収入が不足するというか減収した場合、当然今年度の予算との、お金の使い方、五百億というあれですから、使い方が違ってくるだろうと、予算と決算の乖離が相当進むんではないかということが考えられるわけですが、そういった点で、予算を組み替えて、この新しい事態に対応するNHKの予算を組み替えた形で、国会で、こういうふうにお金を使うのでこれだけの減収に対応できますということまでやってはどうかと、やるべきではないかという意見があるんですが、その辺についてのNHKのお考えをお聞かせください。

○参考人(衣奈丈二君) お答えいたします。
  ただいま御紹介いたしましたとおり、あらゆる面にわたる経費の削減を行う一方で、収入の増、減収を食い止めるということにも努力をしておりまして、御案内のとおり、膨大な件数に上っております受信料の支払拒否・保留、この件数を年度内食い止めて、そして大幅と見込まれている減収見込みをより改善させていくということの努力も図っておりますし、あわせて、これは来年度以降の話にはなりますが、十八年度以降受信料収入を何とか回復させていくということも、いわゆる私どもの言葉で営業努力という部分を必死に図っているところでございます。
  その上で、そのような収支両面にわたる自助努力によりまして、全体の十七年度の収支を不足を来さないよう今努力中でございます。その上で、十七年度予算に事業計画として国会を通じお約束をしております様々な計画、例えば地上デジタル放送の放送局の開局、あるいは今年はオリンピック、冬季オリンピックの年でございます、トリノ五輪放送の実施、あるいはそのほか改革、再生のさまざまな取組など着実に実施をしたいと考えております。
  したがいまして、予算の補正をお願いすることなく、現行の予算で業務を着実に実施していきたいと考えております。
○山崎力君 先のことなのでこちらの方から今のお答えに対してどうこう言うつもりありませんが、その決算のときに、十七年度の決算のとき、将来ですけれども、当初の予算と決算がこれだけ違っていたと、これじゃやっぱり最初の予算の意味がなくなった、補正で改めて途中でも報告した方がよかったというような、結果を出すようにしていただかないと、これは何年か後のことですけれども、そうしないと予算と決算の意味がなくなりますんでね、その辺のところをよろしくお願いしたいと思っております。
  こういった形で御努力中だと。それで、今お話、こちらもちょっとお聞きしようかなと思ったデジタル計画も予定どおりやると、こういうことなんですが、何とか受信料の収入減を食い止めるという今表現がございましたけれども、これ、食い止めたところで、前年まで、今決算審議しているところの収入から減った現状を食い止めるだけで、将来どれだけ回復するかというめどは全然立ってないわけですよね。
  それで、粘り強く説得続けたり、場合によっては民事手続を活用して支払催促も検討していくというような発言をお聞きしているわけですが、今のままの受信料制度の下で幾ら努力しても、できるんだろうかというのと、もう一点言えば、払わない人がこれだけ多くなっていると、これは年金でもそういったことをよく言われる、健康保険でもよく言われるんですけれども、払わなくても何とかなるという人の比率がある程度達しますと、制度自体、これいかがなものかと、払った人が損するんじゃないかと、払わなくても同じ利便性を受けるんであれば払わなくてもいいというモラルハザードを起こすと。これは社会である一定程度の数字は出るんですけれども、その数字が、ある数字、これはいろいろな制度によって違うと思いますが、それが出てきちゃうと、これはもう社会的な大きな問題になるということは皆さん御承知のことだと思うんですが。
  今の受信制度でやっていけるのかどうか。コマーシャルを入れるとか強制的に罰則を付けるとか、あるいはデジタル化されたときのスクランブルで見れないようにするとか、いろいろアイデアはあるんでしょうが、その辺のところはそろそろ内部的にはきちっと検討していって、駄目になりました、このままではやれませんから、これから対応策検討しますというふうにならないように、もうある程度の結論が出たら、さっとこちらでいきますというふうなことを、説得といいますか説明できるような形を取っていただかねばならないと思うんですが、来年度以降の見通しと併せて御認識を伺っておきたいと思います。

○参考人(橋本元一君) おっしゃられるとおり、大変厳しい状況の中で、確かに一挙に現在の状況から窮状を回復するということは大変難しいと考えております。
  我々、今年度、まずは支払拒否・保留の増加をとどめた上、来年度以降、段階的にこの受信料収入を増収に転換させる、そういう流れをつくっていくわけでございますけれども、おっしゃるとおり、受信料制度という中で、大変厳しい状況ではありますが、我々、現段階でこの受信料制度に基づく公共放送というのは守っていきたいというふうに思って、最大限これに向けて努力をしてまいりたい。その上で、次の段階、新しいメディア状況というのが当然ながら考えられます。そういう社会に即した財源の在り方等も今後は検討してまいりたいというふうに考えております。
○山崎力君 お立場で現時点ではそういうお答えが妥当だろうという感じはするんですけれども、この不祥事が問題になって、受信料の収入がダウンするという数字を見ていたときのこれは大変なことになるんじゃないかといったときと、もうあれから半年くらいたちまして、現状はもうあのときの予想以上に厳しいダウンになっているというふうに認識しておりますので、その辺のところは非常に危惧を持っているということをお伝えしておかなければいけないと思います。
  その意味で、経営委員会委員長おいでになっていると思いますが、そちらの方からすれば、むしろ現場サイドというのは、私もマスコミにいたから分かるんですけれども、どうしてもいいものをつくりたいという、コスト意識がない人がかえっていい仕事をするというのが、これどこでも同じだと思うんです。これはもう報道にしろ制作番組にしろ、そういうふうな形というのはある。それをいかにお金でコントロールするかというのが、これがマスコミでいえば偉くなる人の資質だと、こういうふうなことも言われているわけですが、そういう意味で石原委員長、どのようにこの事態を見て、まあ最終的な経営上の責任はそちらの方にもあると言えるわけですので、お考えを伺いたいと思います。

○参考人(石原邦夫君) お答え申し上げます。
  現体制におきまして、先ほど来いろいろ御説明申し上げましたように、いろいろな対策を組み、視聴者の皆様方の信頼回復に向けた努力をしておるわけでございますけれども、現状は、先生おっしゃるように、大変厳しい状況にあると言わざるを得ないと思っております。
  こういった事態解決のために何をすべきかということになるわけでございますけれども、ただいま先生おっしゃいましたようなコストカットのやり方、これは基本は、やはり現場における業務プロセスと申しますか、仕事の中身にまで立ち入りまして、その仕事の業務プロセスそのものを見直していく、そういう中でコストカットを図っていくと、これが何よりも大事なんではなかろうかと思っております。
  一律に経費を削減するという考えもございますけれども、それよりは仕事のやり方をどうしたらいいのか、どういう形なら効率的にできるのか、そういう目で現場としてもやっていく必要があろうかと思いますし、執行部もそういった面でそれを監督していく、我々経営委員会としては正にそういった観点で監視、監督を強めてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
○山崎力君 その辺のところでの、現場に立ち入ってというのは二つ面があるというのは私自身も経験しているところございますんで。といいますのは、現場の人間というのは確かに、サボってとは言わないまでも、何というんでしょう、カットされてもしかるべき部分のところを抱えているのはあるんですが、ほかの現場を知らない人間からすると、そこのところを、これがカットされたんじゃとてもやってられないという部分のところもあるんで、その辺のあんばいというのは非常に難しい。経理の目とそれから現場の目が全然違うということがございますんで、その辺のところはしっかり現場と相談しながら質を落さないようにやっていただきたい。
  ただ、甘えでやっていた部分というのはしっかり見極めてカットするという姿勢を、めり張りを付けていただきたいと思っておりますので、その辺はしっかりやっていただきたいと思います。
  最後になりますが、麻生大臣、今までのNHK側からの答弁というか考え方をお聞きになって、監督官庁の責任者としてお考えを、まあ感想というと非常に人ごとになるんで恐縮ですが、お考えを伺っておきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) NHKの一連の話から今日に至るまで、人事含めて経営等々いろいろ努力をされておられると存じます。今回の出された新生プランにつきましても、それなりの努力の跡も見られるところだと思います。
  結果として、少なくとも受信料拒否の部分等々がかつてのほどのカーブとは大分変わってきたということはもう数字の上でもはっきりはいたしていると思いますので、それなりの理解なり評価なり、また、NHK側の努力が少しずつではありますけれども実ってきていると思っておりますので、これまでいろいろありましたけれども、私どもとしては、この委員会で予算を認めていただいた経緯等々これまでありますんで、今回これによって当然、当初立てました予算に比べて売上高は減るということは確実だとは思いますが、それを対応する中で、今、山崎委員から御指摘のありましたように質等々を落とすことなく、少なくとも番組の内容をいいものにして、もって売上げの増、売上増につながるということが最も期待をされるところだと思いますんで、これから後半に入ってきますんで、そこのところをいろいろ、人件費含めていろいろな努力がされるんだと存じますが、そういったものをされる結果、結果として財政状況としては、バランスとしては結構厳しいものだとは思いますけれども、繰越剰余金等々を用いることなく年度末においての結果というものは出していただけるものと、これまで以上、更なる努力を期待をいたしているところであります。
○山崎力君 これは結果が後で、今日のあれじゃないんですけれども、決算の数字で出てくるものですので、今幾ら、今の時点で大変だろうとか、うまく何とかやりますとか言っても、これは何年後かの決算審議で当然数字を基に議論する形になります。そのときに、今日の会議録の中身が、まあそのとおりだったなと言われるのか、それとも何て甘いあれでやっていたのかなと言われるか、どちらかになろうかと思いますので、その辺のところを踏まえて、これからの各役所も、それから当事者のNHKの方々、あるいは経営をしっかりやる経営委員会の方々も見据えて、国民のための放送というものをやっていただきたいと思います。
  我々としても、そこはもう温かいというよりは、むしろしっかりとした目で見させていただくということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

(後略)