答弁「義務教育費国庫負担制度について

(平成18年3月8日衆議院文部科学委員会会議録より抜粋)


(前略)
○松本(大)委員 民主党の松本大輔です。
(中略)
  まず、提案理由説明の「国庫補助負担金の改革」ということですけれども、ここをまた引用しますと「国庫補助負担金の改革としては、義務教育費国庫負担制度を堅持するという方針の下、その国庫負担の割合を改めるほか、」というふうに書いてあります。改革をとめるなと叫ぶ自民党さんとしては、やはり今後も国庫負担割合を引き下げ続けるということでしょうか。
○小坂国務大臣 まず、松本委員が先ほどからおっしゃっておられますが、義務教育の充実ということに対して、今回の負担金の割合を変更したことは充実ではないではないかと、こうおっしゃるんですが、私が申し上げているのは、あくまでも所信の中で申し上げたのは、この義務教育国庫負担法のこの審議に関して申し上げたわけではなくて、所信でございますので、全体的な考え方を述べたものであって、この負担制度そのものが改革そのものではないということは、他の委員の御質問の中でもたびたび申し上げたところでございます。
  また、充実という点、さっきここで申し上げたところで、まだ十分御理解いただいていないように思いますので申し上げるならば、その充実を図る部分の改革というのは、すなわち、小・中・盲・聾学校と養護学校の負担制度の統合をしたとか、あるいは市町村による教育職員の任用を可能とする措置を拡大したとか、あるいは公立学校の施設整備に係る交付金の創設をしたという、こういったことが地方の裁量を拡大することにつながり、教育の現場における創意工夫というものが活性化されて、そして改革に資する、そして義務教育の充実に資する、こう考えて申し上げたところでございます。したがいまして、今回のこの負担割合の変更というもの、そのものが改革というもの、私はそう申し上げたつもりはないわけでございます。
○松本(大)委員 義務教育の充実というのは所信で申し上げたものだ、全体について述べたものだということなんですが、この法案の提案理由説明にも繰り返されている以上は、私はその言いわけは通じないんではないかなというふうに思います。
  それから、国庫負担割合を引き下げるのかどうかという点については、実は御答弁をいただいていないというふうに思いますので、この点について改めてお伺いしたいと思います。
○小坂国務大臣 今回の措置は、義務教育費の国庫負担制度の根幹であるところの国と地方の負担によって教職員給与費の全額を保障するという、この根幹を守ったということでありまして、そして、昨年の政府・与党合意において恒久的な措置というふうに述べられているわけですので、それを踏まえた上での、今回の政府・与党合意というものも、したがって恒久的な意味合いを持つ、このように考えているところでございます。
○松本(大)委員 その恒久的という言葉が私はくせ者だというふうに思っておりまして、先ほどの藤村委員とのやりとりを聞いていても、実は大臣、非常に優秀な大臣は恒久的という言葉を確信犯的に使われたんじゃないのかなというような疑いを、印象を私は持っておりまして、したがって、ちょっとこれは総務省さんとも一緒にやりとりをしたいので、通告の順番とは違いますが、三番、四番、五番は時間があれば後でやるということにしまして、ちょっと六番に進んでみたいなというふうに思います。
  その恒久的とおっしゃった言葉の意味についての確認をまずさせていただきたいと思いますが、お手元に配付させていただきました資料の二なんですけれども。済みません、資料の一は飛ばしましたが、さっき大臣も義務教育の根幹という言葉を出されていますけれども、この根幹という言葉がだんだん時とともに変わってきていないか、意味することが変わってきていないかということについては、後で時間があれば取り上げたいと思います。
  とりあえず資料二なんですけれども、二月二十八日の本会議の我が党の奥村委員の、今回の負担率三分の一は、暫定措置なのか、あるいは恒久措置なのかという質問に対して、小坂大臣は「今回の措置は恒久的なものと認識しておるわけであります。」というふうに御答弁をされています。
  先ほど藤村委員は、定率減税のときの例も引き合いに出しながら、自分としては茶化すつもりはないんだと、大変人格者でいらっしゃる藤村先生ですからそのようにおっしゃるわけですが、私はもう少ししつこい性格でございますので、そこはねっちょりと確認をさせていただきたいと思うんですけれども。
  この「措置は恒久的なものと認識しておる」。これは、奥村委員は、負担率三分の一は暫定措置なのか恒久措置なのかというふうに尋ねているのに、あえて措置というものを主語にして、「措置は恒久的なものと認識しておるわけであります。」というふうに答弁をされています。先ほどの藤村委員の質問の繰り返しになってしまうかもしれませんが、措置は恒久的なものという本会議での大臣の御答弁は、恒久措置であるという意味で御答弁をされたのでしょうか、それとも、的なものということがつくことによって、恒久措置とは意味合いが微妙に違うんだということで、意図的に言葉の使い分けをされたのか、その点について御答弁をお願いします。
○小坂国務大臣 そもそも奥村議員の御質問が、どういう措置かと聞かれたものですから、措置はと申し上げたわけですね。暫定措置か恒久措置かというお尋ねでございましたものですから、十六年末の政府・与党合意において、中教審の答申を得た上で、十八年度に恒久措置を講ずることとされておりましたので、今回の措置は恒久的な措置でございますと申し上げた。
  この恒久措置と恒久的な措置の違いは何かと聞かれれば、私の観念ですよ。私は、どのような法律も、どのような施策も未来永劫変わらないということはないというのを常に思っております。改革の精神というのは、一つの改革の方向性は、時間の流れ、そしてまた社会の変化に対応するという意味において、その時々にまた見直されることはあり得べしというふうに考えるのが改革の精神だと思っておりますから、そういう意味で、恒久という言葉そのものは、未来永劫変わらないというものを私は思っておりましたものですから、恒久的な措置と申し上げたわけでございまして、この措置は十六年度末の政府・与党の合意を踏まえたものですから、十八年度に恒久措置を講ずることとされておりましたその措置でありますということを申し上げたつもりであります。
○松本(大)委員 今、非常に率直に御答弁をいただいたので、ある意味では多少驚きを感じつつ、再度確認をさせていただきたいと思うんですが、要するに、恒久措置とは違うんですよ、未来永劫変わらないという意味での恒久措置ではないんだ、どんな政策であれ、未来永劫変わらないというものはないんだ、見直しもあり得べしというのが改革であり、その意味で恒久的というふうに答弁したという理解でよろしいですか。今、うなずいていただきました。
  ということは、これはやはり、藤村委員は定率減税の例を出されたわけですが、恒久減税と恒久的減税は違うんだというふうにおっしゃられたときに、野党や国民が感じたあの徒労感といいますか、何だよそれという感じを、恐らく今静かにメモをとっていらっしゃる後ろの文科省の官僚の方々も、ああそうなのかと、ちょっとびっくりされているのかいないのか、気になるところではあるんですけれども、そもそも、この恒久措置というものが政府・与党合意においてということなんですけれども、その本文を見る限りは、そこには書いてないですね。資料三としておつけしたんですけれども、十六年十一月二十六日の三位一体改革についてという政府・与党合意ですが、このどこを見ても、恒久措置というふうには書いてありません。
  恒久措置と、恒久的なもの、恒久的な措置というのは違うんだという大臣のお話でしたが、では、恒久措置なのか、恒久的なものなのかは別としまして、恒久的なものとする根拠は何であるというふうにお考えでしょうか。
○小坂国務大臣 答弁が若干繰り返しになってしまうかもしれませんが、政府・与党の合意を踏まえてと先ほど申し上げたように、十六年末の政府・与党の合意において、十八年度に決められる措置というのは恒久措置として決めるんだよ、こうされているわけでございます。そこで、どういう意味で恒久措置という言葉を使ったかは、私としてはちょっと、私の解釈が全く同じ意味ということになるのかどうかという点においては、私自身ではないものですから申し上げられませんが、今回の措置はそれに基づいて行ったわけでありまして、今回の一連の議論を踏まえたその中で、今後、引き続き、それじゃこの議論が重ねられるのかという点においては、今回は結論であるというふうに思っております。
○松本(大)委員 結論であるという部分については、後ほどまた突っ込んでいきたいと思うんですが。
  私がなぜ今質問を大臣にしたかといいますと、恒久措置だというふうに政府・与党合意に入っていないものはやはり恒久措置じゃないんじゃないかと。だからこそ、大臣も恒久的な措置というふうに答弁をされているんじゃないかなということをちょっと検証していこうかなと思ったからなんですが、きのう質問取りのときに文科省の方にお伺いしましたら、何で恒久的なものというふうに答弁されたんですかと聞いたら、資料四としておつけしましたけれども、十六年十一月二十六日の政府・与党合意の際に、それとは別に六者合意というものを交わしたんだと言って、資料四のようなペーパーをいただきました。
  その四の中には、「十八年度において恒久措置を講ずる。」というふうに書いてあるんですが、この文章はタイトルもなければ日付もないんですね。官邸のホームページにも、政府・与党合意の中身としては、これは載っけられていないんですね。したがって、載せなかったことというのがやはり重要なんじゃないかなと。つまりは、恒久措置ではないんじゃないかなという印象を私は持ったものですから、大臣の恒久的とされた答弁を繰り返し御質問させていただいたというわけです。
  さらに資料五としてつけたのは、十七年十一月三十日の政府・与党合意なんですが、これの「税源移譲について」のところでは、(2)として、「所得税から個人住民税への恒久措置として行う。」とはっきり書いてあるんですね。ところが、国庫補助負担金の「文教」のところに関しては、このような恒久措置という文言はありません。
  十六年においては、政府・与党合意の本文にはなくて、タイトルも日付もない六者合意の中にひっそりとたたずんでいた。一年たって、十七年の政府・与党合意については、所得税から個人住民税への税源移譲というものについてははっきりと恒久措置としておきながら、この文教関係の義務教の国庫負担制度については一切記述はない。そして、十六年と違って、六者合意のような文章も存在をしていない。これは余りに対照的ではないかと。すなわち、これはやはり恒久措置じゃないんだ、大臣が答弁で恒久的なものとおっしゃったように、未来永劫変わらないものではないんだと。つまりは、国庫補助負担制度の見直しは今後も続いていくということなんじゃないのかなというふうに私は思っております。
  ですから、先ほど大臣は結論だというふうにおっしゃっていたんですが、これは政府としては、あくまで最終形に向けた一里塚という位置づけではないかなというふうに私は思っております。
  そこで、ちょっと視点を変えて、今度は、せっかくきょうは総務副大臣にもお越しいただいておりますので、確認していきたいと思うんですけれども、先ほど取り上げた二月二十八日の奥村委員とのやりとりの中で、竹中大臣の答弁ですね。国庫負担制度、「その割合を三分の一とすることとされました。その一方で、義務教育や高等学校教育等のあり方、国、都道府県、市町村の役割については引き続き検討するとされたところでございます。さらに、政府・与党合意においては、地方分権に向けた改革に終わりはないとの立場で、今後とも、真に地方の自立と責任を確立するための取り組みを行っていくとされたところでございます。」というふうに御答弁をされております。この答弁の中には、もちろんですけれども、恒久措置という言葉は一言も出てきておりません。要するに、今後の検討次第だというふうにおっしゃっているんではないかなというふうに思います。つまり、総務省の認識としても、これは暫定措置、経過措置なんだということでありまして、そこで確認なんですが、副大臣にお伺いします。
  先ほど引用しました竹中大臣の御答弁、「その一方で、義務教育や高等学校教育等のあり方、国、都道府県、市町村の役割については引き続き検討する」という中身には、これは義務教育費国庫負担制度の見直しも含まれるんでしょうか。
○山崎副大臣 総務副大臣でございます。
  今お尋ねの件でございますけれども、総論として、すべての課題について再検討する、見直していくということで改革には終わりはないという中で、そのすべてのことにという意味であれば含まれると解釈してよろしいかとは思いますが、具体的にそこの一つの政策課題といいますか、そういった制度について、これを恒久的なものであるのか、暫定的なものであるのかという判断をしたものとは私どもは解釈しておりません。

○松本(大)委員 なかなかはっきりおっしゃっていただけないんですが、むしろ、何か総務副大臣と文部科学大臣の答弁が逆だったら、私には理解が、今までの理解は進むんですけれども、何となく総務副大臣の方が御遠慮なさっているのかなというふうな印象も受けます。総論としては、すべてのことという意味でいえば、これは国庫補助負担金の改革というのも、さらなる見直しというのも含まれているということだったわけでありますけれども、これは文部科学大臣の御認識としても、この竹中大臣の御答弁の、引き続き検討という対象の中に国庫負担制度が入るんだという御認識は、文科大臣も同じでいらっしゃいますか。
(後略)