答弁「地方自治と地方税財政などについて

(平成18年6月14日衆議院総務委員会会議録より抜粋)


(前略)
○岡部委員 自由民主党の岡部英明でございます。
  本日は地方自治及び地方税財政についてお伺いしたいと思っております。
  昨年の十二月九日に提出されました第二十八次地方制度調査会の「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」の提言を受ける形で、今国会で地方自治法の一部を改正する法律案が成立いたしましたが、答申の提言内容が十分に反映されたわけではございませんでした。そして、その点に関しましては、附帯決議という形で本改正法の施行に当たっての配慮をすべき事項として取り上げられました。
  本日は、まず、この附帯決議で取り上げられました事項に関連しまして、地方の自主性、自律性の拡大を進め、国から地方への流れをより確かなものとしていく上で、今後も引き続き求められる制度及びその運用方法の改革などをどのように実現させていくのかという観点から、総務省の今後のビジョンについて伺いたいと思っております。
  まず初めに、附帯決議にありました、国の個別法令による義務づけ、枠づけの縮小という留意事項の中で、自治事務については、原則として、国は制度の大枠を定めるにとどめ、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまで条例等により行うことができるようにすることと決議しております。
  地方自治体の現場では、確かに国によるはっきりとした明確な基準を望む声もないわけではございません。また、そのような環境に地方自治体がまだ整備されていない、そのような御意見もあるようです。しかし、国、地方の財政健全化のために地方でも歳出削減努力が一層望まれる状況下では、地方の自由度を高める必要があり、自治事務についての権限を地方に移譲していくべきだと私は考えております。権限を移譲せずに一方的に地方に要求するだけと言わざるを得ません。
  地方分権二十一世紀ビジョン懇談会報告書、中間取りまとめにおいても、自治事務の執行基準を原則として条例で定め、変更できるようにする仕組みを整えるべきであるとして、新分権一括法を早期に制定して、国の規制・関与の廃止縮小を大胆に進めて地方の自由度を拡大するとともに、自治事務の執行基準は原則として条例で決めるという基本方針で、国と地方の権限と責任を再整理すべきであるという提言がなされております。
  しかし、このように権限の移譲、地方の自由度を高める意見がある中でなかなか今まで実際に進展してこなかったという状況がありますが、総務省として、この附帯決議にありました法令による義務づけ、枠づけの縮小という点に関して、今後どのような方針で進めていくつもりなのでしょうか、自治事務の取り扱いの見直しという点も含めまして、御見解を伺いたいと思います。
○山崎副大臣 お答え申し上げます。
  委員御指摘のとおり、今の地方の自律性あるいは自主性というものを高めなくてはいけないという見地から、そういう意味で、国の関与というのは必要最小限度のものにしていった方がよいのではないかということでございまして、そういった点につきましては、御指摘もありました昨年十二月の地方制度調査会からのいろいろな御提言、「特に自治事務については、国は制度の大枠を定めることに留め、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまでできる限り条例等により行うことができるようにすべきである。」という答申をいただいております。
  そういった中で、総務省といたしましては、やはり地方にできることは地方にという理念のもとで、一層の権限移譲や国の関与の廃止縮小等を進めてまいりたいということを考えておりまして、引き続き地方分権に取り組んでまいりたい、推進してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

○岡部委員 地方の自由度、裁量を地方に与えるという声は日増しに大きくなってきているんだろうと私は思っております。ぜひ副大臣のリーダーシップをよろしくお願いしたいというふうに思っています。
  続きまして、行政委員会の見直しについてお伺いしたいと思います。
  先日も行政委員会の見直しについては当委員会で議論があったところでございますが、附帯決議の中でも、行政委員会の制度について、地方の自主性、自律性を拡大するために、必置規定の見直し、組織、運営の弾力化等について、地方公共団体の実態を十分に踏まえて、引き続き検討を行うことと決議しております。先ほどの地方制度調査会の第二十八次答申でも、教育委員会そして農業委員会の見直しについて言及されておりましたが、今回の改正では監査委員制度のみの見直しとなっております。そして、附帯決議として、教育委員会、農業委員会の見直しについては取り残された形というふうになっています。
  先ほども申したわけでございますが、地方に裁量を与える、自由度を高めるという観点からは、行政委員会の必置規定の見直しは確かに私も理解できるものだというふうに思っています。しかし、もう一方では、多角的な意見の反映という視点や、地方自治体の首長に権限が集中してしまうんではないか、また、関係者からは、自治体長から独立した行政委員会制度を求める声もあるのも事実でございます。さらに、先日の大臣の答弁に「法律によって一律に設置を義務づけるまでの必要はないのではないか」という御答弁もありました。
  地域の実情に合わせて設置を決めればよいのではないかとの御意見がある一方で、そうなったときに、個々の行政委員会の意義が十分認識されずに、関係者の意見が反映されない形で行政委員会の設置の有無が決定されてしまうんではないかという懸念もないわけではございません。ぜひその辺のところを、総務省として、今後の行政委員会の見直しについて、対象をどのようにふやしていくのか、どのような御意見を持っているのか、そしてその議論をどのように進めていくのか、お考えをお聞きしたいと思っています。
○山崎副大臣 教育委員会、農業委員会については、御指摘のとおり第二十八次の地方制度調査会の答申で、自主性、自律性の拡大という観点から、必置規定、必ず置くという規定から選択制を導入することが適当であるということの答申を受けたところでございます。今、当省といたしましては、その関係省に対してその答申の内容をお伝えして、検討を依頼しているというところでございます。
  教育委員会につきまして、いわゆる首長と教育委員会との間の事務に関する選択制、あるいは中核市等における県費負担教職員の人事権の移譲についてもその中で言及されておりますが、これらの点につきましては、政府内においてその答申と基本的には同じ方向で検討が行われているものと認識しております。
  総務省といたしましては、地方公共団体の組織については、可能な限りそれぞれの団体、地方公共団体で主体的に判断していくものだというふうに考えておりまして、そういったことが全体として一層の地方分権を推進する結論が得られるように、そういった努力をしてまいりたいと思っております。

○岡部委員 ありがとうございます。
  地方の声、関係団体の声がぜひ反映されるようによろしくお願いしたいというふうに思っています。
  次に、地方税財政改革についてお伺いしたいと思っています。
  三位一体の改革の将来の地方分権の具体的な姿については、大臣の私的懇談会である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、そして地方六団体の新地方分権構想検討委員会、そしてまた経済財政諮問会議のそれぞれの場において、これまでおのおのの立場から提言がなされてまいりました。
  その中で、地方六団体が先日六月七日に大臣に提出した地方分権の推進に関する意見書においては「地方交付税が、国から恩恵的に与えられるものではなく、「自らの財源を他の自治体のために融通しあうことにより、全ての自治体が国に依存せずに、住民に対して一定水準の行政サービスを提供できるようにすべきである」との考え方に基づく、セーフティネットとしての性格を持つものであることを明確にするため、」国の一般会計を通さずに直接特別会計に繰り入れる地方共有税の創設が提案されました。
  出されたばかりでございますが、現在のところの総務省のこの地方共有税構想というものについての御見解をお伺いしたいというふうに思っています。
○山崎副大臣 御指摘のいわゆる地方共有税の問題でございますが、地方六団体からの御提言というのの中では、御指摘もありました特別会計への直入、繰り入れ、それから、財源不足を解消するための法定率の引き上げ等ということが内容として提案されております。
  その中で、交付税制度においては、直接繰り入れにつきましては、これはかねてより地方制度調査会の答申等において御指摘いただいているところでございまして、総務省といたしましては、やはり地方共有の固有財源である地方交付税の性格を明確にする見地からも、直入の実現を図ることが望ましいというふうに考えております。ただ、その一方で、これについては、国の一般会計において税目の状況を一覧性のある形で示せなくなるという御意見もあって、これまで財政当局との合意が困難であったものでございます。
  また、法定率の引き上げにつきましても、こういった中での大幅な財源不足が続く場合、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うというふうに現行の交付税法でも示されているところでございますので、基本的には交付税率を引き上げることが望ましいものと考えております。ただ、そこのところでも、国の方も多額の赤字国債を発行せざるを得ない財政状況ということもあって、財政当局が異なった見解を持っているのも事実でございまして、これまで国の一般会計の特例加算、地方団体の発行する臨時財政対策債により財源不足を補てんしておるということをやってまいりました。
  いずれにいたしましても、当省といたしましては、地方の意見をよく聞きながら、地方分権をさらに推進するための政策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

○岡部委員 どうもありがとうございます。
  この構想、私は、評価するべき点が多々ある、やはり地方交付税のあり方、またその性格を改めて見直し、認識する上で、ぜひ今後議論を深めていくべきだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  続きまして、同じように、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の中間の取りまとめでは、交付税の算定をわかりやすくする観点から新型交付税が提案されています。当委員会でも、先日いろいろな議論が取り交わされたわけではございますが、現在、地方交付税の算定に当たり国の基準が細かくあり、それが自治体の自由を奪っていると同時に、交付税を非常に複雑にしているという観点から、人口、面積を基準として算定基準を一部見直すということが今回の新型交付税の意義だというふうに私はとらえています。
  しかし、地方からは、新型地方交付税に対し不安の声も聞こえております。今後よく検討して、その目的をよく理解していかなければならないと私は考えています。特に、現在財務省あたりで進められている歳出削減の流れを受け、新型交付税の導入によって交付税総額自体が削減されてしまうんではないかと懸念する声もあると聞いております。
  総務省としては、この新型交付税導入は交付税総額の削減が目的の一つなのか、この新型交付税の構想をどのようにとらえているのか、それらについて現在までのところどのような御見解を持っておられるのかお聞きしたいと思います。そして、先ほどの地方の側の懸念というものをどう払拭し、現実に制度化していくのか、今後の展望などもありましたら御見解をお伺いしたいと思います。
○山崎副大臣 ただいまの御質問でございますけれども、新型交付税は、交付税の算定面における改革であって、総額に影響するものではないという点をまず申し上げたいと思います。
  その理由としてということでございますが、今回の考え方のもとになっておりますのは、やはり地方の行財政の各分野にわたって国の法令あるいは補助金等による細かな規制とか関与が行われていることに対応した形で、地方交付税の基準財政需要額の算定方式というものが複雑になっておることもまた事実でございまして、その辺をもう少し簡素化できないかという指摘はこれまでも行われてまいりました。そういったものを受けまして、国の基準づけの廃止、縮減に対応して、算定方法を人口、面積を基本とした簡素なものにする、そういった形での新型交付税を導入することとしたいということでございます。
  現在でも、国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野もございますので、その部分について新型交付税を平成十九年度から導入したいと考えております。
  その後のことでございますけれども、新分権一括法の制定やさらなる補助金改革によって、国の基準づけを大幅に廃止縮小、そういったことに伴いまして、新型交付税の割合を順次拡大してまいって、中期的には全体として五兆円規模を目指したいと考えております。
  そういった考え方でございますので、冒頭申し上げましたように、総額に影響するものではないというふうに明らかにしておきたいと思います。
  それでは、交付税の総額についてはどうなんだということでございますが、現在、歳出歳入一体改革の議論が行われておりますが、この中で、社会保障、公共事業、あるいは人件費といった最終支出の見直し、税収等の歳入のあり方、そういった検討の結果として決まってくるものである、総額についてはそのように思っております。
  今後も、一番重要なことは、国、地方双方が納得できる形で歳出歳入の一体改革、これが必要でございますので、納得できる形の改革を進めてまいりたいと思っております。

○岡部委員 ありがとうございます。
  今、総額に影響するものではないというお話でございます。新型交付税は、私、大変評価しております。地方自治を進めていく、地方に自由度を与えるという意味では大きな一歩ではないかと思っておりますが、総額という部分については、ぜひ、これからも影響がないようお願いしたいというふうに思っております。
  質疑時間が来ましたので、終了させていただきます。
(中略)
○中谷委員長 次に、土屋正忠君。
○土屋(正)委員 住民基本台帳法をめぐる審議について、関連して質問をいたします。
  去る六月八日の日に住民基本台帳法改正についての質疑が行われたわけでありますが、その中で民主党の西村委員の御質問があり、その趣旨は、住民基本台帳法が今全国的な、これは住基ネットを念頭に置いているんでしょうけれども、一つの自治体の中でおさまる話ではなく、広域的な問題である、国で対応したらどうかという趣旨の御質問がございました。高部政府参考人からお答えがあったわけでありますが、さらに、かてて加えて大臣に説明を求め、広域的な課題でもう一度仕切り直しというような、抜本的な改正をしたらどうか、こういう御趣旨の質問があったわけでありますが、これは自治事務になっていることについての質問であります。
  これに対して竹中大臣から、これはまだ確定した速記録ではありませんが、今委員御指摘の、この法律に関連して個別の問題もある、私もそのように認識しております、これを根本的に見直す必要があるのではないか云々とあって、私は、これも含めてですけれども、国の関与のあり方、さらには、そもそも国の責任、地方の責任をどのように考えるのか、区切るのかということについては不断に見直す、とりわけ今の時点で抜本的に見直す必要があるというふうな認識を持っております、このようにお答えになっているわけであります。
  これは住民基本台帳法に対する質疑、法律に対する質疑でございますから、抜本的に見直すということになりますと、西村委員も他のところでおっしゃっているように、法定受託事務にしたらどうかというような趣旨の御質問かと存じます。これに対して、地方自治の最高責任者である総務大臣からのお答えでございますので、あえてこの趣旨について確認をさせていただきたいと存じます。
  そもそも住民基本台帳法は、住民の範囲を特定するための行政の基本的な文書であり、当然のことながら、国民登録法ではないわけであります。地方自治の原点ともいうべき基本的な書類であります。したがいまして、これが法定受託事務のように全国で通用するようなやり方というのはあり得ないわけで、住基ネットでいわゆるその利用についての全国展開というのはあり得ても、住民基本台帳そのものを法定受託事務にしたりということは、自治の原点からいってもあり得ないことだろうと思います。
  それを法定受託事務にしろというような趣旨の質問に対して、抜本的に見直す、こういう大臣の御答弁ですと、これは極めて今後に与える影響は大きいし、誤解を与えるだろうと思います。恐らく大臣の御答弁の趣旨としては、一般論としていろいろ念頭にあって、それを誤解しての答弁だと思いますが、しかし、那辺に趣旨があるのか、副大臣にお尋ね申し上げます。
○山崎副大臣 去る六月八日の総務委員会において今御指摘のようなやりとりがあったというふうに承知しております。西村委員からの質問の方は省くといたしまして、それに対しての竹中大臣からの答弁としては、国と地方の役割の分担について、国の関与のあり方、あるいはそもそも国の責任、地方の責任をどのように考えるか、こういう前提つきで、不断に見直さなければならない、とりわけ今の時点で抜本的に見直す必要があるというふうな趣旨の答弁をさせていただいたところでございます。
  これにつきましては、委員御心配のところでもございますが、住民基本台帳法に係る事務を個別にどうするかという問題ではなくて、先ほど申し上げた前提で、国と地方の役割の分担に関する非常に大きな議論の中で今後議論をしていかなきゃいかぬ、見直す必要があるというふうな、一般論として答弁させていただいたものと聞いております。
  それで、今委員御指摘の点を、住民基本台帳法に係る事務の性格ということにつきまして申し述べれば、住民に最も身近な行政主体である市町村というものが住民を対象とする行政を適切に行うためには、その住民に関する記録を常に正確に把握しておくことが必要不可欠であるというふうに認識しております。
  そういった意味で、この住民基本台帳法に係る事務は住民を対象とする行政を適切に行う上で不可欠な事務であるという性格からいけば、法定受託事務ではなくて自治事務とされているというふうに当方では認識しております。

○土屋(正)委員 今副大臣から副大臣の御答弁でない点について御説明いただいて、ある面ではまことに恐縮をいたしておりますが、そのようなことで終始一貫していただければ結構だと思っております。
  なお、住民基本台帳法の趣旨は、行政文書であると同時に、いわゆる民間に対する信用供給の役割も果たしているわけですね。例えば、住民基本台帳の写しを添付してほしいとか、あるいは住民基本台帳法に基づく完全な自治事務であります印鑑登録事務、これなどは法に基づかない、それぞれの条例の完全な自治事務でありますけれども、これはどこの市町村でもやっております。これなどは、住民基本台帳という行政文書をベースにしながら、それがいわゆる市民生活、国民生活の信用供給の基礎となっているわけでありまして、そういう点から、何人も閲覧をできる、こういうことになっているわけでありますので、そういう趣旨に従ってまたきちっとした行政を行っていただくよう重ねて申し上げて、時間が参りましたので、これで終わります。
  どうもありがとうございました。
(後略)